中国共産党「北戴河会議」で "政治的暗闘" 勃発か … 李強首相が国務院全体会議でまさかの「習近平思想」排除の衝撃

ありえない! 「習近平」が主語から抜け落ちる

8 月 16 日、中国の李強首相は国務院全体会議を主宰した。 そしてこの会議において、今までに様々な場面で「習近平離れ」の動きを見せてきた李首相は、それこそ旗幟鮮明に「習近平排斥」の姿勢を示したのである。 この国務院全体会議は、李強が首相に就任してから 5 回目の主催である。 17 日の人民日報の公式発表によると、会議には中央政府各部門の責任者が列席した以外に、各省・自治区の責任者もオンライン方式で参加したという。 今まで 5 回の国務院全体会議のうち、各省・自治区の責任者が参加したのは今回が初めてのことだ。 この会議が全国規模の大変重要なものであることを示唆している。

まず、人民日報掲載の会議発表は冒頭からこう述べる。 「会議は党の三中総会の精神と中央政治局会議・政治局常務委員会議の精神を深く学び、党中央の精神を持って思想の統一・意思の統一・行動の統一を図るべきことを強調する」と。 ここで大いに注目すべきなのは、国務院会議としては、学ぶべきところの「精神」は党の一連の会議の精神であって、思想・意思・行動の「統一」の軸となる精神は「党中央の精神」であること。 つまり、肝心の「習近平」と「習近平思想」が完全に抜けて「党」、「党中央」が主語となっている。

現在の中国政治を熟知している人ならば、このような表現を目にしただけでビックリ仰天するのであろう。 習近平ワンマン独裁政権下では普通、党と政府の「思想統一・意思統一・行動統一」の軸とされるのはまさに「習近平思想」であある。そして「党中央」のこととなると、「習近平総書記を核心とする党中央」は絶対不可欠な標準的な表現であって、習氏自身の発言以外に、「党中央」から冠としての「習近平総書記」を外すのはありえない話である。

しかし、李首相主宰の国務院会議はまさにこのような「あり得ない」ことをやってしまった。 国務院の学ぶべき「精神」と「思想・意思・行動統一」の軸から「習近平」、「習近平思想」を堂々と外して、あまりにも露骨な「習近平排斥」を行ったのである。

習近平ではなく「党中央の方策」に従う

その一方、発表されたところでは、李首相が会議での発言で一度だけ、習近平のことに触れたことがある。 「改革の全面的深化に関する習近平総書記の一連の新思想・新観点・新論断を深く学習し理解し、改革の全面深化に関する党中央の方策を断固として実施していく」と。 「習近平」に関する李首相のこの発言は実に興味深いものである。 彼は一応、習近平の「新思想・新観点・新論断」を「深く学習・理解すべき」と語っているが、しかしその直後に「党中央の方策の実施」を述べたのがミソである。

つまり彼はここで、習近平の「新思想・新観点・新論断」に関してはそれを「深く学習・理解すべき」と言ったものの、それの「貫徹」や「実施」については何も言わない。 国務院として実施していくのは「党中央の方策」なのである。 要するに彼はここで、「習近平の思想・観点たるものは一度学んで理解したらそれで終わり。 実際にやることは別である」と言わんばかり。 そして自分が従うのは「党中央の方策」であって「習近平の思想」ではないことを公言しているのである。

「習近平からの離反」の決定的な一歩

今回の李首相発言がどれほど「異常」なものなのか、彼自身がそれまでに主宰した国務院全体会議の「習近平」に関する表現と比べてみればよく分かる。 例えば 2023 年 3 月、李氏が首相になった第 1 回会議は習近平のことについてこう述べる。 「新しい政府は習近平思想を指針とし、習近平総書記の重要講話を深く学び理解し、それを真剣に貫徹させ実施に移さなければならない。」 あるいは今年 3 月開催の李首相主宰 4 回目全体会議は、「習近平総書記の重要講話は、非常に強い思想性・指導性を持ち、われわれはそれを深く学び貫徹させなければならない」と。

つまり以前の国務院会議は、習近平の講話などに関し、国務院のそれに対する「実施」、「貫徹」が強調されているが、今回の場合、「実施」も「貫徹」も抜けて事実上「棚上げ」されたのである。 以上は、人民日報発表の李首相主宰国務院会議の注文内容であるが、習近平の子分であるはずの李氏はこれで、「習近平からの離反」の決定的な一歩を踏み出したと言って良い。 彼は今後、国務院総理として、党中央の一員として「党中央の精神と方策」に従って仕事していくとの姿勢を明確に示し、もはや習近平一個人の言いなりにならないと宣言したのである。

「北戴河会議」で暗闘?

どうしてここに来て、李首相はそれほどの思い切った習近平離反をやってしまったのか。 一つの推測としてはおそらく、この二週間に開かれたかもしれない恒例の「北戴河会議」に関係している可能性がある。 「北戴河会議」とは毎年の盛夏の 8 月に、党中央の指導? 者と引退した長老たちが避暑地の北戴河にある党中央専用の「別荘団地」に集まって断続的に開く非公式会議のことだ。

今年の場合、政治局常務委員の蔡奇が 8 月 3 日に北戴河で科学者たちを慰問し、また、習近平・李強を含めた中央指導者たちが 8 月に入ってから姿を消していたことからすれば、いわゆる「北戴河会議」がこの二週間に実際に開かれた可能性は大。 そこで様々な政治的暗闘が行われたことの結果、習近平の力が後退して李首相がある程度の主導権を取り戻したのではないかと推測できるが、実際には何か起きたのかについては、今後の観察が必要である。 (石平、現代ビジネス = 8-19-24)


中国経済、7 月も勢い欠く - 内需支える投資が予想外に減速

中国経済は 7 月も勢いを欠いた。 信頼感の低迷が消費や投資の足を引っ張っており、今年の国内総生産 (GDP) 成長率目標の達成が脅かされている。 国家統計局が 15 日発表した 1 - 7 月の固定資産投資は前年同期比 3.6%増と、予想に反して1−6月から伸びが鈍化。季節的な押し上げ効果にもかかわらず、消費も低調にとどまった。国有企業の投資は1−7月に前年同期比 6.3% 増と、1 - 6 月の 6.8% 増から伸びが縮小する一方、民間企業の投資も振るわなかった。

ブルームバーグ・エコノミクスの曲天石エコノミストはインフラ投資について、内需の主なけん引役の一つであり、今回の予想外の減速は警告サインだとの見方を示す。 曲氏は「需要サイドの中国経済のエンジンも減速し、勢いを失っていることを意味しており、需要サイドの弱さが今後、反対のサイドに跳ね返るかもしれないことを示している」と語る。 中国政府は最近、消費の底上げや景気回復の不均衡是正に取り組んでいるが、本土経済に関する最新動向を見ると、内需はほとんど恩恵を受けていない。 成長を主導しているのは製造業で、中国経済は2つの異なるスピードで推移している。

7 月の小売売上高は前年同月比 2.7% 増加、ブルームバーグ調査の予想中央値は 2.6% 増だった。 6 月は 2% 増にとどまっていた。 みずほセキュリティーズアジアの中国担当シニアエコノミスト、周雪氏は比較対象となる前年同月の水準が低かったことや夏休みシーズンによる恩恵を受けたようだと分析した。 周氏はまた、「中国経済は自己実現的なデフレ期待による大きな脅威に直面しているとわれわれは考えている」とし、「政府にとって最優先課題はより積極的な措置を通じ、この下方スパイラルを早期に断ち切ることだ」と述べた。

7 月の工業生産は前年同月比 5.1% 増加。 市場予想は 5.2% 増だった。 6 月は 5.3% 増えていた。 一方、都市部の失業率は 5.2% に上昇。 卒業生が相次いで夏場の労働市場に参入してきたことを反映したとみられる。 不動産不況が家計を圧迫する限り、消費者に安心感がもたらされる公算は小さい。 政府は 5 月に不動産セクターに対して最大の支援パッケージを打ち出したが、不動産市場の早期の底打ちには至っていない。

スタンダードチャータードの大中華圏・北アジア担当チーフエコノミスト、丁爽氏は「中国経済の勢いは鈍化した」とし、「今年 5% 前後の成長を達成するという目標にさらなる課題を突きつけており、政策当局もこの点を認識するだろう」と話す。 オーストラリア・ニュージーランド銀行 (ANZ) の中国担当シニアストラテジスト、●(= 刑の右側がおおざと)兆鵬氏は 7 - 12 月(下期)の中国経済について、「低調なスタート」を切ったと指摘。 「需要サイドの弱さは根強い」と述べた。 (Bloomberg = 8-15-24)

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中国 GDP 成長率減速 名実逆転は 5 四半期連続 デフレ圧力根強く

中国国家統計局が 15 日発表した 2024 年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比 4.7% 増 だった。 事前の市場予測(約 5.0%)を下回り、成長率は 1 - 3 月期 (5.3%) より減速した。 1 - 6 月期では 5.0% 増で、中国政府が 3 月に発表した年間の成長率目標(5.0% 前後)並みとなった。 ただ、長期化する不動産不況や所得、雇用の伸び悩みで、国内需要は低迷し続けており、外需依存には危うさもつきまとう。 前期比でも 0.7% 増と 1 - 3 月期(1.5% 増)を下回った。 生活実感に近いとされる名目 GDP は 4.0% 増で、実質成長率を下回る「名実逆転」は 5  四半期連続。 デフレ圧力の根強さを示した。

GDP と同時に発表された経済指標によると、1 - 6 月の不動産開発投資は前年同期比 10.1% 減で、1 - 3 月(9.5% 減)よりマイナス幅が拡大した。 住宅や商業施設などの販売面積も 19.0% 減と 1 - 3 月(19.4% 減)並みの低水準。 中国政府は 5 月中旬に地方政府による住宅在庫の買い取り方針などを示したが、住宅市場の低迷が続いている。 個人消費の動向を示す社会消費品小売総額も、1 - 6 月は 3.7% 増にとどまり、1 - 3 月(4.7% 増)より減速した。 一方、1 - 6 月の鉱工業生産は 6.0% 増だった。 電気自動車 (EV) など新エネルギー車や太陽光電池などが好調で、輸出(人民元ベース)も 6.9% 増だった。 ただ、欧米は中国製 EV などの過剰生産を問題視、関税引き上げに動いており、今後影響が出る可能性もある。

4 - 6 月期の GDP の発表はウェブサイトのみとなり、通常実施する記者会見は見送った。 ウェブサイトのみの公表は、22 年 7 - 9 月期以来。 15 - 18 日に開く中国の重要会議、第 20 期中央委員会第 3 回総会(3 中全会)と関係している可能性がある。 (北京・小倉祥徳、mainichi = 7-15-24)

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中国、GDP 記者会見行わず ウェブ上で発表、理由明らかにせず

中国国家統計局は 12 日、15 日に予定する 2024 年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) をウェブサイトのみで発表し、通常の記者会見を行わないことを公表した。 理由を明らかにしていないが、15 - 18 日に開催される中国共産党の重要会議、第 20 期中央委員会第 3 回総会(3 中全会)と関係している可能性がある。 中国では、GDP 発表に合わせて記者会見が行われるのが通例で、ウェブサイトのみで公表するのは 22 年 7 - 9 月期以来となる。

当時は、当初予定した同年 10 月 18 日の発表を前日に突如延期し、同 24 日に公表した。 18 日は習近平総書記(国家主席)が異例の 3 期目入りを目指した共産党大会の開催中(22 日に終了)で、中国政府が掲げた年間成長率目標の達成が困難視されていたことから、党大会の議論への影響を考慮して異例の対応をしたとの見方が出ていた。 今回の 3 中全会では、中長期的な経済政策が大きなテーマとなるが、不動産不況や消費低迷が長期化する中、市場関係者の間では、今後の成長期待を高める新たな具体策が出ることへの期待は低い。

一方で 4 - 6 月期の成長率の市場予想は 5% 程度で、1 - 3 月期の 5.3% からはやや減速するものの、年間では政府目標の「5% 前後」をクリアするとの見方も多い。 今後、記者会見を見送ったことに対するさまざまな臆測が広がりそうだ。 (北京・小倉祥徳、mainichi = 7-12-24)

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中国 GDP 5.3% 増 不動産不況など成長の重し 24 年 1 - 3 月期

中国国家統計局が 16 日発表した 2024 年 1 - 3 月期の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比 5.3% 増だった。 企業生産や輸出などがけん引した。 ただ、長期化する不動産不況や低迷する個人消費が成長の重しとなる構造は変わっていない。 年間で中国政府の成長率目標(5.0% 前後)をクリアできるかが引き続き焦点となる。

23年 10 - 12 月期の成長率 (5.2%) を上回った。 前期比では 1.6% 増で、23 年 10 -12 月期(1.2% 増)を上回った。 生活実感に近い名目 GDP の 24 年 1 - 3 月期の増加率は 4.2%。 4 四半期連続で実質成長率を下回り、デフレ圧力の強さを示した。 GDP と同時に発表された経済指標によると、1 - 3 月の不動産開発投資は前年同期比 9.5% 減だった。 マンションや商業施設などの販売面積も 19.4% 減で、住宅市場の本格回復は遠い。 インフラも含めた全体の投資動向を示す固定資産投資は 4.5% 増だった。

一方、鉱工業生産は、半導体や太陽光電池、自動車などが好調で 6.1% 増だった。 輸出(人民元ベース)は 4.9% 増だった。個人消費の動向を示す社会消費品小売総額は 4.7% 増だったが、生産に比べて低い伸びにとどまった。 (北京・小倉祥徳、mainichi = 4-16-24)

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中国経済、過去の成功にすがらない改革で GDP 20% 増も可能 IMF トップが提言

中国の李強首相は、アジア最大の経済大国の先行きをめぐって国際通貨基金 (IMF) と議論の真っ只中にある。 どちらの主張が正しいかに世界経済の行く末がかかっていることを考えれば、このうえなく時宜を得た議論といえるだろう。 中国ナンバー 2 の地位にある李首相は 3 月 24 日、北京で開かれた経済フォーラムで演説し、自国経済について楽観的な見方を示した。 「質の高い経済成長」を生み出し、内需を喚起するよう「マクロ政策の調整を強化していく」取り組みが着々と進んでいると強調。 中国は経済的競争力を高めるにあたって「より高いレベルの開放性」を歓迎していると付け加えた。

一方、同じ経済フォーラムで演説した IMF のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、2024 年の中国に関して、より悲観的な見方を示した。 同専務理事の視点から見ると、「力強い改革を推進する中国」は、現実の姿というよりは仮定の話という色がいまだに濃いようだ。 ゲオルギエバ専務理事は、「中国は分岐点に立とうとしている。 過去に成功を収めた政策に頼るか、質の高い成長という新時代を目指して政策を刷新するか、どちらかだ」と指摘。 習近平国家主席が率いる中国経済は、今後 15 年間に国内総生産 (GDP) を 20% 拡大できる可能性があると主張した。

ただし、それには不動産セクターの立て直し、国内消費の拡大、企業ガバナンスの改善、規制枠組みの緩和、そして人工知能 (AI) や電力価格関連のよりダイナミックな戦略といった諸政策を実施すれば、という条件がつく。 「市場を志向した包括的な改革政策を導入するなら、中国は現状維持のシナリオよりもかなり速いペースで成長できる可能性がある」と専務理事は述べた。 そうすることで、GDP は約 3 兆 5,000 億ドル(約 530 兆円)増加し、インドに匹敵する経済規模になるというのだ。

この演説原稿の行間には、IMF の懸念が太字で書かれている。 つまり、李首相と習主席は、中国経済を底上げする実際の行動より、言葉でのアピールに熱心であるという懸念だ。 IMF によるこれらの提言は、経済フォーラムの翌 3 月 25 日の日程に出席するため北京に集結していたグローバル企業の CEO の耳に心地よく響いただろう。 今回のフォーラムにはアップルのティム・クック、ファイザーのアルバート・ブーラ、フェデックスのラジ・スブラマニアムらが名を連ねていた。

25 日のフォーラムでは金壮竜・工業情報化相が、居並ぶ CEO たちを前に「外国企業の(中国にある)研究開発センターが、大規模な研究プロジェクトを実施するのを奨励する」と述べ、こう付け加えた。「わが国は、技術革新や新事業のために中国にやってくる世界中の科学者、起業家、投資家にサービスと保護を提供する。」 だが、この時中国を訪れていた企業トップは、こうした甘言の裏を知り抜いているはずだ。 市場を開放し、公平な競争の場を用意する、という中国側の約束と、足元のリアルな現実のあいだには大きな開きがあり、これが多国籍企業が対中国投資を敬遠する理由となっている。

中国にとって最も差し迫った課題は、当然ながら、経済成長率を本年度の目標である 5% にできるだけ近づけるよう手を打つことだ。 中国人民銀行は今年 2 月、期間 5 年以上のローンプライムレートを 0.25 ポイント引き下げて 3.95% とした。 2023 年 6 月以来の引き下げであり、おそらく今後も同様の動きがあるとみられる。 ING 銀行のエコノミスト、リン・ソンは「2024 年初頭の状況を見ると、インフレ率は低く、経済成長もいまだに勢いを取り戻すには至っていない。 中国の金融政策は、今後も緩和的な傾向を維持するだろう」と予測する。

しかし、中国の経済成長の質を高めるためには、IMF のゲオルギエバ専務理事が講演で詳述したような大胆な改革が、金融政策よりもはるかに重要だ。 習主席と李首相がこうした改革の実行を確認する時期が早ければ早いほど、今後の中国経済はさらに大きな成長を遂げるはずだ。 (William Pesek、Forbes = 4-8-24)


中国恒大、債権者向け資産回収開始 - 創業者ら被告 7 人から計 60 億ドル

中国、経済・金融の危機

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中国共産党の指導者らの「北戴河会議」開始か 長老交え経済など議論

中国共産党の幹部や長老らが河北省の避暑地に集まって重要課題を話し合う「北戴河会議」が始まった模様だ。 経済の減速傾向が明らかになる中で、今年下半期以降の指導部の方向性を話し合うとみられる。 中国共産党機関紙・人民日報は 4 日付で、蔡奇(ツァイチー)・中央書記局書記が北戴河で、「愛国奮闘」をテーマに集った自然科学やエンジニアリング、社会科学、文化芸術など各分野の専門家らをねぎらったと伝えた。

8 月に入り、同紙が伝える習近平(シーチンピン)国家主席の外交活動や視察といった動静も途絶えている。 不動産不況に端を発する経済の変調を中心に、習指導部が向き合うべき課題は山積している。 党は 7 月の中央委員会第 3 回全体会議(3 中全会)で、「改革のさらなる全面深化」の方策を定めた。 その議論を踏まえ、地方政府の財政難や少子高齢化、相次ぐ洪水災害などの課題をめぐり、引退幹部も交えて意見を交わすとみられる。

一方、台湾問題や半導体の輸出規制などで対立が続く米国は 11 月に大統領選を控える。 その後の情勢も見据え、米欧やグローバルサウス(新興・途上国)との向き合い方についても議論する可能性がある。 (北京・畑宗太郎、asahi = 8-5-24)

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中国、「共同富裕」推進へ収入分配見直し

【北京】中国共産党は 3 中総会の決定全文で、習近平国家主席が掲げる経済格差を是正する「共同富裕」の推進に向け、収入分配制度を見直す方針を示した。 (Kyodo = 7-21-24)

〈編者注〉 普通の国でも難しい課題なのに、今の中国で、高収入者に重税を課すことができるのでしょうか?  直近の問題が山積していることを認識することが先決でしょう。


中国人民銀が 0.1% 追加利下げ 経済減速受け、景気下支え

中国人民銀行(中央銀行)は 22 日、銀行が企業へ貸し出す際の目安となる事実上の政策金利「最優遇貸出金利 (LPR)」の 1 年物を 0.1% 幅引き下げ、3.35% にした。 1 年物の利下げは昨年 8 月以来、11 カ月ぶり。 経済の減速傾向が明らかになり、企業向け融資を促して景気を下支えする。 住宅ローン金利の指標となる LPR の 5 年物も 0.1% 幅引き下げて 3.85% とする。 こちらは今年 2 月以来、5 カ月ぶりの利下げとなる。 不動産市況を回復させる狙いもあるとみられる。

中国国家統計局が 15 日に発表した 2024 年 4 - 6 月期の実質国内総生産 (GDP) は前年同期比 4.7% 増と、前期 (1 - 3 月期)の 5.3% 増から減速し、大方の事前予想も下回った。 また、6 月の製造業購買担当者景気指数 (PMI) は 49.5 と、景気判断の境目である 50 を 2 カ月連続で下回り、景況感も悪化。 こうした状況を受け、金融面での下支えが必要と判断したとみられる。 (北京・鈴木友里子、asahi = 7-22-24)


中国共産党「3 中全会」閉幕 不動産や地方債務が「重要なリスク」

北京で開かれていた中国共産党の重要会議「中央委員会第 3 回全体会議(3 中全会)」が 18 日、閉幕した。 会議では「改革の全面的深化をさらに進め、中国式現代化を推進することに関する党中央の決定」を議決し、その概要がコミュニケ(声明)として公表された。 盛り込まれた改革案を中華人民共和国建国 80 年となる 2029 年までに完成するとした。

5 年に 1 度の党大会から一定期間をおいて開かれる 3 中全会は、共産党が中長期の経済方針を決める場として注目を集める。 今回のコミュニケでは中国経済の停滞や、指導部が国家安全を過度に重視しているとの不安にこたえる形で、「発展と安全を統一的に計画する」ことを打ち出した。 特に経済分野では、不動産と地方債務、中小金融機関を「重要なリスク領域」と位置づけて必要な措置をとるとした。 指導部は 2035 年までに「ハイレベルの社会主義市場経済体制」を完成させることを目標とすることを打ち出した。 税財政体制の改革や収入分配制度の改善にも取り組むとしている。 ただ、いずれの施策や改革も、具体策は示していない。 党は数日後に、決定の全文を公表すると見込まれている。 (北京・斎藤徳彦、asahi = 7-18-24)


中国は米国を抜いて世界一の経済大国になれるのか - 独メディア

中国の一党独裁

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「雪の東京を歩くパンダ」で作られた動画は … 中国 AI、独自の進化

中国の IT & インターネットと関連企業

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アップル、中国での iPhone 出荷台数が伸び鈍化 - 5 月は 40% 増に

中国の携帯電話

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中国の大都市の住宅価格が 10 年で最大の下げ幅を記録 - シンガポールメディア

2024 年 6 月 17 日、シンガポールメディアの聯合早報は、中国の一線都市(大都市)の 5 月分の住宅価格が前月比で下降傾向にあるだけでなく、直近 10 年で最大の下げ幅を記録したことを伝えた。 記事は「中国国家統計局が 17 日に公開した最新のマクロ経済データによると、中国の一線都市の 5 月分の住宅価格は、前月比で 0.7% 下落し、下げ幅が 0.1% 拡大した。 英ロイターの分析によると、11 カ月連続で下降傾向にあるだけでなく、14 年 10 月以来最大の下げ幅を記録した。 また、今年 1 - 5 月の全国不動産開発投資額は 4 兆 632 億元(約 88 兆 5,150 億円)となり、前年同期比で 10.1% 減で、下げ幅では 1 - 4 月の 9.8% を上回った。」と伝えた。

中国政府と中国人民銀行(中央銀行)は 5 月 17 日、低迷する不動産市場の支援のため、住宅ローン金利の下限を実質的に撤廃し、2 回目までの住宅購入者の頭金比率の下限を引き下げるなどの措置を発表した。 その後、上海市や広東省の深セン市と広州市など、北京市を除く他の地域や都市がこの政策に同調し、頭金やローン金利を引き下げた。 中国国家統計局の劉愛華(リウ・アイホア)報道官は 17 日の国務院報道弁公室の記者会見で、「政策効果が発揮されるまでには時間がかかり、不動産市場はまだ調整過程にある」と述べた上で、政府が打ち出した政策は今後の不動産市場の改善につながるという認識を示したという。

記事はロイターの報道を引用し、「中国の不動産市場低迷と地方政府の債務超過やデフレ圧力は経済活動に依然として重くのしかかっている。 最新の経済データから中国経済の不均衡が増長し、外部から財政や貨幣政策を求める声を後押ししている」と指摘した一方で、「銀行は依然として中国政府の金融緩和の主な制約となっている金利差の縮小と通貨安に直面しており、中国人民銀行は月曜日、予想通り主要政策金利を据え置いた。

統計局のデータが示すように、連休中の旅行需要の高まりなどで、小売消費が前年同期比で 3.7% 伸びたものの、他の大部分の経済データは予想したほどではなく、中国経済復活の道の険しさを浮き彫りにしている。 例えば、工業生産は前年同月比 5.6% で、4 月の 6.7% からやや鈍化し、ブルームバーグが予測した 6.2% を下回った」と伝えた。

記事は最後に「ブルームバーグの分析によると、中国社会や経済が基本的には正常な状態に戻ったとしても、5 月の小売消費ですら新型コロナ流行以前の水準である 8% の半分にも届いていないという。 一般家庭が消費に動かないため、中国経済は輸出志向型へ変わって行こうとしている。 工業生産の活性化が不動産市場の低迷をカバーし、経済を正しい軌道に乗せる助けとなるだろうが、主な協力先が新しい貿易障壁を設けるのにつれて、この政策はだんだん大きな不確定さに直面することになるだろう」と述べた。 (原邦之、Record China = 6-19-24)

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中国経済がはまる「日本型デフレ」の泥沼 .消費心理「どん底」で安売り店が躍進
 デフレマインド定着の危険

低価格競争で中国デフレの懸念高まる

中国では一部の小売業者が低価格を売りに積極的にシェアを拡大し、大きな利益を手にしている。 しかし、こうした経営戦略が厳しい価格競争を一段と激化させており、中国が慢性的なデフレに陥るのではないかとの懸念が高まっている。 中国の安売り業者は、不動産危機や高い失業率、暗い経済見通しで消費心理が落ち込む中、何とか需要を掘り起こそうとコーヒーから自動車、衣料品に至るまで、あらゆるものを値下げしている。 低価格帯の通販「ピンドゥオドゥオ」のような企業は、電子商取引大手アリババなどライバルに対抗するために値下げに踏み切り、売上高が増加した。 しかしエコノミストは、こうした戦略が成功したことによって、中国でも消費者の間に日本型のデフレマインドが定着し、慢性化するのではないかと危惧している。

小売業者は何よりも価格で勝負するため、商品の納入業者は厳しいコスト圧縮を強いられ、利益率が圧迫される。 その結果、賃金の伸びが鈍ったり、単発で仕事を請け負う低賃金の「ギグワーカー」への依存度が高まったりして家計の需要が打撃を受ける。 豪メルボルンにあるモナシュ大学のヘリン・シ教授(経済学)は、「この状況が続けば中国は悪循環に陥るかもしれない。 付加価値の低い消費がデフレを引き起こし、利益率が悪化して賃金が下がり、それがさらに消費を押し下げるという負の連鎖だ」と警鐘を鳴らす。 一方、直近の決算シーズンで安売り業者は利益が市場予想を上回り、競合他社を凌駕した。 ピンドゥオドゥオを運営する PDD ホールディングスは 131% の増収を記録。 フードデリバリーアプリの美団は 25%、ディスカウントストアの名創と瑞幸??(ラッキンコーヒー)もそれぞれ 26%、42% の増収だった。

安売り業者間の熾烈な底値競争

消費者心理がどん底に近い環境では、価格こそが王様だ。 中国の自動車メーカーは国内需要の低迷を受けて、ほぼ 2 年にわたり価格競争を繰り広げており、一部のディーラーや自動車金融会社はこの 2 カ月間に頭金なし、さらには金利ゼロなどのローンプログラムを開始した。 米スターバックスは、「安売り業者間の熾烈な競争(ラクスマン・ナラシムハン最高経営責任者)」のせいで第 1 ・四半期に中国での売上高が 8% 減少。 この数カ月で割引クーポンの利用を増やし、価格をラッキンコーヒーに接近させている。

アリババの国内電子商取引部門であるタオバオと天猫(T モール)、およびネット通販大手の京東集団(JD ドットコム)は売上高の伸び率が 1 桁台だったが、いずれも決算後の電話会見で価格競争力が今後の成長のカギになると説明した。 JDドットコムの創業者、リチャード・リュー氏が従業員に送った社内メモに、同社が「肥大化」していると書かれていたことから、JD ドットコムが競争激化に対応して人員削減に踏み切るのではないかとの憶測が流れている。 これはまさに国内需要の回復に不可欠な策とは正反対の動きだ。

中国欧州国際ビジネススクール(上海)のアルバート・フー教授(経済学)は「長期的には価格競争によってさまざまな産業で弱小プレーヤーが淘汰され、生き残った企業は価格を引き上げてサプライチェーンに一息つかせることができるようになるかもしれない」と話した。  ただ、こうした展開が可能になるのは、価格競争が引き起こす市場からの業者撤退を補うだけの雇用と所得が他の産業で創出された場合に限られるとくぎを刺す。  フー氏は「デフレは深刻な問題であり、日本は 30 年以上もこれと闘ってきた。 必要なのは賃金の伸びだ。」と強調した。 (NewsWeek = 6-15-24)

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中国の 5 月 CPI、4 カ月連続プラスの伸び - PPI はマイナス圏続く

→変動の大きい食品とエネルギーを除くコア CPI は 5 月に 0.6% 上昇
→PPI の前年同月比は 2022 年からマイナス圏が続いている

中国の 5 月の消費者物価は 4 カ月連続で前年同月比プラスを維持した。 国家統計局が 12 日発表した 5 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 0.3% 上昇と、4 月と同じ伸び率となった。 ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値は 0.4% 上昇だった。 一方、5 月の生産者物価指数 (PPI) は前年同月比で 1.4% 低下した。 ブルームバーグが調査したエコノミストは 1.5% の下落を予想していた。 4 月は同 2.5% 低下だった。 PPI の前年同月比は 2022 年終盤からマイナス圏が続いている。

ユナイテッド・オーバーシーズ銀行 (UOB) のエコノミスト、ホー・ワイ・チェン氏は「内需は依然として不足気味で、物価圧力はまだ弱い。 食品価格のデフレが物価低迷の主な要因だが、今後数カ月はベース効果が好ましい方向に働くため、状況は緩和されるはずだ」と語った。 変動の大きい食品とエネルギーを除くコア CPI は 5 月に 0.6% 上昇だった。 長期化する不動産不況と労働市場の低迷の中、中国政府は家計支出の増加に弾みをつけることに苦戦している。 生産者物価の低下は企業利益を圧迫し、投資意欲を減退させる。 また、消費者は将来的に商品が安くなることを期待して、一段と支出に消極的になるリスクもある。 (Bloomberg = 6-12-24)

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中国 CPI、4 月は 0.3% 上昇 3 カ月連続プラスで需要回復の兆し

[北京] 中国国家統計局が 11 日発表した 4 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 0.3% 上昇した。 3 カ月連続のプラスとなり内需の改善を示す結果となった。 一方、生産者物価指数 (PPI) は下落が続いた。 CPI の伸びは 3 月の 0.1% から拡大し、ロイター調査の予想(0.2% 上昇)を上回った。 エコノミスト・インテリジェンス・ユニット (EIU) のシニアエコノミスト、Xu Tianchen 氏は「食品とエネルギー価格を除いた CPI は、サービス業を中心とした需要の回復を示している」と指摘した。

変動の激しい食品と燃料価格を除いたコア CPI は 0.7% 上昇し、3 月の 0.6% から加速した。 総合 CPI は前月比 0.1% 上昇した。 市場予想は 0.1% の下落、3 月は 1% の下落だった。 EIU の Xu 氏は「電力会社による値上げも(CPI の上昇に)寄与した可能性がある」との見方を示した。 一部の自治体は財政難により受け取る補助金に影響が出ており、穴埋めのために追加費用を家計に転嫁することを余儀なくされている可能性がある」と述べた。

中国光大銀行のマクロ経済研究員、Zhou Maohua 氏は物価指標について、「国内需要が回復し、需給の改善が続き、内需と物価回復の見通しが明るいことを示している」と分析した。 しかし消費者物価は依然として低く、工業製造部門は依然として圧力にさらされている。 これは有効需要が不十分で、同部門の回復がまだバランスの取れたものでないことを反映している」とも述べた。 4 4月の PPI は前年比 2.5% 下落した。 3 月の 2.8% から下落幅が縮小したものの、マイナスが 1 年半に及んでいる。 (Joe Cash、Reuters = 5-11-24)


中国の社会融資規模、初の縮小 - 4 月の新規融資が予想下回る

→ 4 月は国債の償還額が発行額上回る、融資規模縮小の一因に
→ シャドーバンキングからの資金調達も減少、与信全体を圧迫

中国の与信は 4 月に初の縮小を記録した。 国債発行が鈍化したほか、融資の伸びも予想を下回り、需要の低迷を示唆した。 中国人民銀行(中央銀行)が 11 日に発表したデータを基にブルームバーグが算出したところによると、経済全体のファイナンス規模を示す 4 月の社会融資規模は前月比で 2,000 億元(約 4 兆 3,100 億円)近く減った。 2017 年までさかのぼる比較可能なデータに基づくと減少は初めて。 資金調達活動の縮小を反映している。

データの内訳を見ると、4 月は国債の償還額が発行額よりも多く、融資規模縮小の一因となった。 シャドーバンキング(影の銀行)からの資金調達も減少し、与信全体を圧迫した。 金融機関の 4 月の新規融資は 7,310 億元で、予想の 9,160 億元を下回った。 融資残高の前年比の伸びは 3 月の 9.2% から 9.1% に鈍化した。 ジョーンズラングラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、ブルース・パン氏は「政府が間もなく超長期国債を発行し、5 月と 6 月の与信拡大によって補われる可能性があるため、4 月のデータのボラティリティーは許容範囲内だ」と指摘した。

中央・地方政府は今年これまで、予想よりも遅いペースで債券を発行しており、需給面から国債相場の上昇を後押ししてきた。 先月の中国共産党の中央政治局会議で、指導部はインフラプロジェクトの主要な資金源である特別国債と特別地方債の発行を急ぐよう求めた。 政府は今年、1 兆元相当の特別国債を発行する予定だ。 パン氏は、シャドーバンキングによる資金調達の減少は、当局がリスク防止に重点を置いていることを示していると述べた。 人民銀はここ数カ月、金融システムにおける資金の滞留を避ける意向を強調してきた。

4 月は通常、借り入れの動きが鈍い。 この時期には銀行が四半期ごとの貸出目標達成を急いでいないためだ。 人民銀はここ数週間、金融緩和を控えており、人民元に下押し圧力をかけることや国債相場上昇をあおることを避けている。 (Bloomberg = 5-12-24)


中国高速鉄道で黒字なのは 6 路線のみ - 香港メディア

香港メディアの香港 01 は 9 日、中国の国有鉄道会社・中国国家鉄路集団(国鉄集団)の純利益が 33 億元(約 725 億円)を記録する一方で、高速鉄道で黒字が出ているのは主要 6 路線のみだと報じた。 記事によると、国鉄集団の 2023 年の総収入は前年比 10.62% 増の 1 兆 2,500 億元(約 27 兆 4,000 億円)だった。 純利益はマイナスからプラスに転じ、33 億 400 元と初めて 30 億元の大台を突破した。

今年のメーデー(労働節)連休中の鉄道旅客輸送量は延べ 9,176 万 5,000 人、1 日平均延べ 1,835 万 3,000 人で、2019 年同期比で 23.3% 増加し、春節、清明節に続いて過去最多を更新したという。 一方で、高速鉄道の営業距離は 23 年末時点で 4 万 5,000 キロに達しているものの、利益を出している区間は 2,300 キロと全体の 6% にとどまり、具体的には北京 - 上海、北京 - 天津、上海 - 杭州、広州 - 深センなど、人の流れが多く需要が高い 6 路線のみとなっている。 (北田、Record China = 5-10-24)


中国共産党の重要会議「3 中全会」ようやく開催へ 経済対策など議論

中国共産党は 30 日に開いた中央政治局会議で、主に経済の中長期的方針を決める「第 20 期中央委員会第 3 回全体会議(3 中全会)」を 7 月に北京で開くことを決めた。 国営新華社通信が伝えた。 通常は 5 年に 1 度の党大会の翌年に開かれてきたが、今回は 2022 年 10 月の第 20 回党大会からこの日まで日程が公表されない異例の事態となっていた。

3 中全会は、過去に市場開放策や「一人っ子政策」の緩和への転換を打ち出したこともある党の重要会議だ。 7 月に行われることが決まった今回の会議では、不動産不況が長引き、需要が低迷する足元の国内経済への対策のほか、人口減少などの中長期的な課題についても議論するとみられる。  今回の 3 中全会は、22 年の党大会から 1 年が経つ昨年秋ごろに開催されるとみられていたが、党からの発表はないままだった。 昨年 11 月の米中首脳会談など重要日程が重なったほか、景気減速や人口減少などへの対策が定まっていないことから開催できないのではないかとの見方も出ていた。

新華社通信によると、習近平(シーチンピン)総書記が主宰した 30 日の政治局会議は、現在の経済情勢や経済対策について分析や検討をした。 今年の経済状況については「経済運営はプラスの要因が増加」したと指摘し、「好スタートを切った」と評価。 また、「国内需要を積極的に拡大し、大規模な設備更新と消費財の買い替えを実行しなければならない」として、需要を喚起する重要性を強調した。 (北京・井上亮、asahi = 4-30-24)