ガザの死者累計 5 万人超す ハマス、米国の停戦延長案「再検討」 パレスチナ自治区ガザの保健省は 23 日、イスラエル軍が軍事作戦を再開した 18 日以降のガザでの死者数が、計 673 人に達したと発表した。 2023 年 10 月 7 日のイスラム組織ハマスの越境攻撃以降、ガザでの死者数は計 5 万 21 人となった。 ガザでの停戦を巡り、ロイター通信は 21 日、停戦を 4 月下旬ごろまで延長する米国の案をハマスが再検討していると報道。 犠牲が増え続けるなか、ハマスの対応が焦点となりそうだ。 米国は、3 月 1 日に期限を迎えた停戦の第 1 段階を、ガザで捕らわれている人質の解放と引き換えに延長する案を示した。 これに対し、ハマスは、イスラエル軍のガザからの全面撤退や恒久停戦を含む、停戦の第 2 段階への移行を求めていた。 イスラエル軍は 23 日も、ガザでハマスに対する軍事作戦を続け、北部ベイトハヌーンで地上作戦を始めたと発表した。 ハマス系メディアは 23 日、南部ハンユニスへの攻撃で、同組織の政治指導者サラー・バルダウィル氏が死亡したと明らかにした。 ハマスにおける直近の指導層のひとりとされる。 一方、昨年 11 月に停戦合意したレバノンでも再び緊張が高まっている。 イスラエル軍は 22 日、隣国レバノンにあるイスラム教シーア派組織ヒズボラの軍事施設などを攻撃したと発表した。 ヒズボラの司令所やロケットランチャー、武器庫などを攻撃したという。 同軍は、22 日朝のロケット弾によるレバノンからの攻撃への報復だとするが、ヒズボラは攻撃への関与を否定している。 イスラエル軍、停戦合意のレバノンでも攻撃 ロケット弾飛来への報復と主張 AP 通信はレバノンの国営通信の報道を元に、イスラエル軍の攻撃でレバノン南部で子どもを含む計 6 人が死亡したと報じた。 ヒズボラは 22 日の声明で、イスラエルとの停戦について、合意事項を守る姿勢を強調し、イスラエルを非難した。 停戦発効後もイスラエル側の攻撃は続き、レバノンからの撤退も完了していない。 (エルサレム・伊藤弘毅、asahi = 3-23-25) イスラエル軍、ガザ南部でも地上作戦 ハマス「死者数約 600 人に」 パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を再開したイスラエル軍は 20 日、南部ラファで地上作戦を始めたと発表した。 北部や中部でも地上作戦を進めていて、イスラム組織ハマスに対する攻撃をさらに拡大させた。 両者の停戦合意は崩壊の危機にある。 未明のガザに響いた爆発音 「停戦交渉が続いていると」 おびえる住民 イスラエル軍は南部での地上作戦で「いくつかのテロ施設」を破壊したと主張。 また、ハマスが直近の数カ月、かつて病院だった北部の建物を司令所として使い、イスラエル軍や同国領内への攻撃を指揮していたとも主張した。 反撃としてその施設を破壊したとした。 カッツ国防相は 21 日、同国軍に対し、ガザの住民を避難させつつ、更なるエリアを掌握するよう指示したと声明で明かした。 ハマスが人質の解放を拒否し続ける限り、「イスラエルが獲得する地域は増えるだろう」と述べた。 一方、ハマスは 20 日に声明で、18 日以降のガザでの死者数が約 600 人に達し、犠牲者の多くが子どもや女性だと主張した。 ユニセフ(国連児童基金)の現地広報担当者はカタールの衛星放送局アルジャジーラに対し、18 日の戦闘再開以降、少なくとも 200 人の子どもが死亡したと話した。 ハマスは「アラブとイスラム諸国」に対し、国連などで速やかに行動をとり、「侵略とパレスチナの人びとに対する集団殺害」を止めるための措置を講じるよう求めた。 イスラエル軍は 20 日、商都テルアビブに向けてガザから 3 体の飛翔体が発射され、1 体を迎撃、残る 2 体は領内の空き地に落下したと発表。 ハマスの軍事部門「カッサム旅団」は同日、発射を認める声明を出し、「市民に対する殺戮への報復」だとした。 フーシが相次ぎミサイル攻撃 ガザでの「殺戮」の報復と主張 ガザでの戦闘が激しさを増すなか、中東イエメンでも緊張が高まっている。 ハマスとの連帯を示す、イエメンの反政府武装組織フーシ系のメディアは 20 日、米軍による攻撃が、フーシの支配する西部の港湾都市ホデイダや、北部サアダであったと伝えた。 ロイター通信が同日報じた。 フーシの報道官は 21 日、ガザの人びとに対する「殺戮」への報復として、イスラエルに対してミサイル攻撃を実行したと表明。 ガザに対する「侵攻と封鎖」が終わるまで、軍事作戦やイスラエルに向けた船の航行の阻止を続ける構えを示した。 イスラエル軍は 20 日未明と夜にそれぞれ、イエメンから発射されたミサイル 1 発を迎撃したと発表。 この影響で、エルサレムを含む同国内の広範囲で空襲警報が鳴り、住民らがシェルターなどに避難した。 イラン最高指導者、フーシの作戦への関与を否定 トランプ米大統領は 15 日、紅海を通る商船への攻撃を繰り返してきたフーシに対する攻撃を米軍に命令。 首都サヌアなどを空爆し、約 130 人が死傷したとされる。 フーシも 16 日、ミサイルやドローン(無人機)で米軍の空母に対する報復攻撃を実施。 以来、両者による攻撃の応酬が続いている。 トランプ氏は、フーシの後ろ盾のイランも牽制。 17日に SNS で、「フーシによる今後の攻撃は全て、イランの武器と指導部による攻撃とみなされる」などと記していた。 ロイター通信によると、イランの最高指導者ハメネイ師は 21 日、フーシなどの組織は独自に行動を起こしていると主張し、関与を否定。 「我々は誰とも対立や紛争を起こしていない。 しかし、誰かが悪意を持ってそれを行えば、厳しい罰を食らうだろう。」と話した。 (エルサレム・伊藤弘毅、asahi = 3-22-25) イスラエル軍、ガザで大規模攻撃 404 人死亡 停戦崩壊の危機 イスラエル軍は 18 日、1 月中旬から停戦が続いていたパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスへの大規模な攻撃を始めたと発表した。 ガザ保健省によると、空爆などによる死者は 404 人、負傷者は 560 人以上にのぼる。 イスラエル側は軍事攻勢を強める構えで、停戦合意は崩壊の危機にある。 停戦合意に従い、ハマスは第 1 段階の間に 8 人の遺体を含む 33 人の人質をイスラエル側に引き渡し、イスラエルは拘束していたパレスチナ人約 2 千人を釈放した。 ハマス側はイスラエル軍の完全撤退や恒久停戦の合意を視野に入れた第 2 段階への速やかな移行を求めたが、イスラエル側は消極的で、米国が提案した第 1 段階の延長を支持。 ハマスがさらなる人質解放を進めない場合、戦闘再開も辞さない構えを見せていた。 イスラエル首相府は 18 日の声明で、ハマスへの「強力な行動」をとるように軍に命じたと発表した。 作戦計画は週末に政治指導部に承認されていたという。 ハマスが人質の解放を繰り返し拒否したことなどを攻撃再開の理由に挙げ、「今後は軍事力を増強してハマスに臨む」とした。 AFP通信によると、カッツ国防相は 18 日、「人質を取り戻し、すべての戦争目的が達成されるまで戦闘を止めない」と述べた。 イスラエルは攻撃再開の方針について、停戦合意の仲介役を務めるトランプ米政権にも伝えていた。 イスラエル政府は、今も 59 人の人質がハマスに捕らえられ、24 人は生存の可能性があるとみている。 ハマスは 18 日の声明で、「ネタニヤフ(首相)はジェノサイド戦争を再開した。 停戦合意に違反し、破棄した責任を負わせるべきだ。 軍事的圧力で我々の意思を砕くことはできない。」と対抗する姿勢を示した。 (其山史晃、asahi = 3-18-25) フーシが「米空母を攻撃」発表、130 人死傷の米軍空爆に「報復」 イエメンの反政府武装組織フーシは 16 日、米軍の空母をミサイル 18 発とドローン(無人機) 1 機で攻撃したと発表した。 実際の被害状況は明らかになっていない。 15 日には米軍が首都サヌアなどを空爆して約 130 人が死傷したとされ、フーシが報復を予告していた。 ロイター通信は、米当局者の話として、フーシの攻撃に対し米戦闘機がドローン 11 機を撃墜したと伝えた。 フーシは、パレスチナ自治区ガザで活動するイスラム組織ハマスとの連帯を示し、イスラエルや米国と対立。 紅海周辺を通るイスラエルや米国の船舶への攻撃を繰り返してきた。 この結果、世界的な貿易の要衝である紅海の航行が困難になっている。 トランプ米大統領は 15 日、米軍にフーシへの攻撃を指示したと表明。 フーシに対し、攻撃を続ければ「地獄が降りかかることになる」と脅した。 フーシは 16 日の声明で、米軍による直近のイエメン各地への空爆は 47 回にも及んだとし、「大量殺人だ」と非難した。 米空母に対する攻撃はこの攻撃への報復だと主張。 今後も米艦隊への攻撃を続けるとした。 AFP 通信によると、フーシは 1 月 19 日にガザでのイスラエルとハマスの停戦が始まって以降は、周辺海域での攻撃をしていなかった。 (今泉奏、asahi = 3-17-25)/p> 米軍、イエメンのフーシ派拠点を空爆 子供含む 53 人死亡とフーシ派発表 アメリカのドナルド・トランプ大統領は 15 日、米軍がイエメンの反政府武装組織フーシ派の拠点に対し、「決定的かつ強力」な空爆を行ったと発表した。 フーシ派が紅海で船舶などに攻撃を仕掛けていることへの措置だとしている。 フーシ派は、空爆によって多数の死傷者が出ているとしている。 フーシ派の保健当局のアニス・アル・アスバヒ報道官は 16 日、米軍の空爆で「子供 5 人と女性 2 人」を含む 53 人が死亡し、98 人が負傷したとソーシャルメディアに投稿した。 トランプ氏は、「イランから資金提供を受けているフーシ派は、米軍機に向けてミサイルを発射し、我々の部隊と同盟国を標的にしている」とソーシャルメディアに投稿。 フーシ派の「海賊行為、暴力行為、テロ」によって「数十億ドル」が失われ、人命が危機にさらされていると付け加えた。 フーシ派は、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区の封鎖を解除するまで、紅海を航行する船舶を標的にし続けるとしている。 イスラエルと戦闘を続けるイスラム組織ハマスは、フーシ派と同様にイランの支援を受けている。 2023 年 11 月以降、フーシ派は紅海とアデン湾で、数十隻の商業船舶に対し、ミサイルやドローン(無人機)、小型ボートを使った攻撃を仕掛けている。 これまでに 2 隻を沈め、3 隻を拿捕(だほ)し、乗組員 4 人を殺害している。 フーシ派は 16 日夕、イエメンの首都サヌアと、フーシ派の拠点になっているサウジアラビア国境近くの北部サアダで、複数の爆発があったと発表した。 米ホワイトハウスは、今回の空爆による死者にはフーシ派の主要な人物が数人含まれているとしている。 フーシ派側はこれを認めていない。 フーシ派の指導者アブドル・マリク・アル・フーシ氏は、アメリカがイエメン国内の拠点への攻撃を続ける限り、紅海を航行するアメリカの船舶を標的にしていくと述べた。 「フーシ派指導者を排除」 マイク・ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は米 ABC ニュースに対し、15 日の空爆で「複数のフーシ派指導者を標的にし、排除した」と語った。 米 FOX ニュースに対しては、「我々は圧倒的な力で彼らを攻撃し、イランに『もう十分だ』と警告した」のだと述べた。 ピート・ヘグセス米国防長官は、フーシ派の攻撃がやむまで「容赦ない」ミサイル作戦を行うと誓った。 「明確にしておきたいのは、この作戦は、航行の自由と抑止力の回復のためだということだ」と、ヘグセス氏は FOX ビジネスのテレビ・インタビューで語った。 トランプ氏は空爆の実施を発表した際、「目的を達成するまで圧倒的な殺傷力を行使する」とした。 また、フーシ派に対し、船舶への攻撃をやめなければ「これまでに見たことのないような地獄の雨が降り注ぐだろう」と強調した。 一方でフーシ派は、今回の空爆によってガザのパレスチナ人への支持が弱まることはないとしている。 イランのアッバス・アラグチ外相は、米政府には「イランの外交政策を指図する権限も権利もない」と述べた。 アラグチ氏は 16 日、「イスラエルによるジェノサイド(集団虐殺)とテロへの支持をやめよ」、「イエメンの人々を殺害するのをやめよ」とソーシャルメディアに投稿した。 フーシ派の軍事部門の報道官は 16 日、同組織が紅海上で、米空母「ハリー・S・トルーマン」や複数の軍艦に対し、弾道ミサイルとドローンによる攻撃を仕掛けたと述べた。 証拠は示さなかった。 米政府関係者はロイター通信に対し、米軍機が 16 日にフーシ派のドローン 11 機を撃墜したと明かし、いずれのドローンも「ハリー・S・トルーマン」には接近しなかったとした。 こうしたなか、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は 16 日、イエメンでの「最大限の自制と、すべての軍事活動の停止」を求めた。 (BBC = 3-17-25) |