アラブ諸国の国連大使、ガザ移住案「断固拒否」 トランプ氏を念頭か アラブ諸国の国連大使らが 14 日、米ニューヨークの国連本部で、パレスチナ自治区ガザからの強制移住を拒否すると表明した。 名指しは避けたが、ガザの全住民を域外に移住させるトランプ米大統領の案が念頭にあるとみられる。 今月初めにアラブ諸国の外相らが同様の表明を行っているが、あらためてトランプ氏の提案に反対を示す格好となった。 国連の「アラブ諸国」の代表はこの日、共同声明を発表。 代表してクウェートのアルバナイ国連大使が記者団の前で、「アラブ諸国は、このような強制移住を断固として拒否する」と述べた。 占領地の住民の追放や移送は国際法に違反することを強調。 「パレスチナ人に対してであれ、他のいかなる国家に対するものであれ容認できない」と訴えた。 同席したパレスチナのマンスール国連大使は、13 日にアラブ諸国と、欧州連合 (EU) に所属する国連大使による会合を開催したと説明。 永続的な停戦に向けた手続きや国際法の尊重、強制移住が国際法に違反することなどを共有し、「非常に力強い会合になった」と語った。 パレスチナ人のガザからの強制移住に関しては、国連のグテーレス事務総長も民族浄化に等しいと明確に反対を示しており、マンスール氏は国連事務局も認めていないことも付け加えた。 (ニューヨーク・遠田寛生、asahi = 2-15-25) トランプ氏と会談のヨルダン国王、ガザ移住反対 病気の子は受け入れ トランプ米大統領は 11 日、ヨルダンのアブドラ国王とホワイトハウスで会談し、パレスチナ自治区ガザに住むパレスチナ人をヨルダンに受け入れるよう要求した。 アブドラ国王はこの案に反対する姿勢を強調した。 一方、がんなど重病の子ども 2 千人をガザからヨルダンに「できるだけ早く」受け入れるとの考えも示した。 トランプ氏は今月 4 日、ガザの全住民を域外に移住させ、跡地を米国が「所有」し、再開発を担う案を発表した。 この日も「我々は何も買わない。 ガザを所有する。 ホテルやオフィスビル、住宅など多くのものができる。 中東に安定と平和をもたらすだろう。」と述べた。 国際法違反との指摘が出る中、米国にはガザ所有の「権限」があるとも主張した。 トランプ氏は、ガザの病気の子ども 2 千人を受け入れるとのヨルダン側の提案については「素晴らしい」と歓迎した。 トランプ氏の一方的な移住案に対し、パレスチナや、ヨルダンなどのアラブ諸国は強く反発してきた。 アブドラ国王はトランプ氏との会談後、X (旧ツイッター)に「ガザとヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の移住に反対するヨルダンの確固たる姿勢を改めて表明した」と投稿。 「パレスチナ人を移住させることなくガザを再建し、悲惨な人道状況に対処することを優先事項とするべきだ」と指摘した。 アラブ諸国は、パレスチナ問題はパレスチナ国家の樹立を通じて解決すべきだとの立場だ。 特にヨルダンは、239 万人以上のパレスチナ難民を含むパレスチナ系が人口の約 7 割を占める。 ガザの全住民「移住」はこの立場に矛盾し、自国の安定にも影響を及ぼしかねない。 一方、ヨルダンやエジプトは米国から多額の軍事・経済援助を受ける。 トランプ氏は 10 日、両国がガザのパレスチナ人を受け入れない場合には、援助を打ち切る可能性に言及した。 米国は 2023 会計年度に、ヨルダンに約 17 億ドル(約 2,600 億円)、エジプトには約 15 億ドル(約 2,300 億円)の対外援助を提供している。 ただ、トランプ氏は 11 日には、「我々は非常に良い関係にある。 金で脅す必要はない。」とも述べた。 エジプトは 11 日、ガザの住民が自らの土地に住むことを前提にした包括的な再建案を近く示すとの外務省声明を発表。 アブドラ国王は、エジプト案を待つ考えを示した。 (ワシントン・清宮涼、エルサレム・高久潤、asahi = 2-12-25) イスラエルとレバノンが停戦合意、攻撃応酬に区切り 米大統領が発表 イスラエルと隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘をめぐり、バイデン米大統領は 26 日、イスラエルとレバノンの両国政府が停戦に合意したと発表した。 実行されれば、昨年 10 月にパレスチナ自治区ガザでの戦闘が始まって以来、14 カ月近く続いている攻撃の応酬に区切りがつく。 米国は停戦の仲介に取り組んできた。 バイデン氏や米政権高官によると、両国政府が受け入れた米国の停戦案では、イスラエルとレバノンの国境での戦闘は現地時間 27 日午前 4 時に停止する。 今後 60 日の間に、レバノン南部からイスラエル軍が南方に移動してイスラエル国内へと戻り、ヒズボラはリタニ川の北部に撤退する。 これにより空白となる地域は、紛争に参加してこなかったレバノン軍が展開する。 バイデン氏は両国の合意は「恒久的な停戦を目的としたものだ」と述べる一方、「ヒズボラやその他の者が合意を破り、イスラエルに直接的な脅威をもたらすようなことがあれば、イスラエルには国際法にのっとった自衛の権利がある」とも強調した。 合意が確実に履行されるように、米国はフランスや国連レバノン暫定駐留軍 (UNIFIL) などと協力し、違反の有無を監視する。 レバノン軍の支援はするが、米軍部隊の展開はしないという。 米仏両首脳は共同声明で「取り決めが完全に実施されるように取り組み、新たな暴力の連鎖となることを防ぐ決意を崩さない」とした。 イスラエルは 26 日の閣議で停戦案を承認した。 ネタニヤフ首相は同日夜の演説で、ヒズボラとの停戦に対する支持を表明。 ヒズボラの後ろ盾となっているイランへの対応に焦点を当てて、パレスチナ自治区ガザを拠点とするハマスを孤立させる考えを示した。 ヒズボラに合意違反があれば攻撃を再開することも明確にした。 合意には、ヒズボラを国内に抱えるレバノン政府の協力が欠かせない。 停戦の成否は、レバノン政府がどこまでヒズボラの行動を管理できるかにもかかっており、不確定な要素は残る。 レバノンのミカティ暫定首相は 26 日の声明で、停戦案は地域に安定を取り戻す「重要な一歩だ」と評価。 イスラエルに対してはレバノン領内からの撤退を徹底するよう求めた。 イスラエルとヒズボラの戦闘は昨年 10 月に始まった。 ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けたことに、レバノン南部を拠点とするヒズボラが呼応。 イスラエルが応戦して紛争は拡大し、両国の国境付近では数万人が避難を余儀なくされていた。 イスラエルは 9 月にヒズボラの最高指導者を空爆で殺害し、先月には地上侵攻を始めた。 軍事施設を破壊するなど、ヒズボラの戦力弱体化に一定の成果を上げていた。 今回の停戦は、イランの支援を受ける勢力とイスラエルとの対立による中東の不安定化に一定の歯止めをかけるものだが、人道危機の深まるガザでの戦争は終わりが見えない。 バイデン氏は、ハマスの捕虜になった人質の解放とガザでの停戦を最優先事項に掲げており、残り 2 カ月を切った任期で実現に向けて努力を続ける考えを示した。 (ワシントン・下司佳代子、イスタンブール・根本晃、パリ・宋光祐、asahi = 11-27-24) イスラエル軍がレバノン首都などへの攻撃激化 1 日で空爆 145 回 イスラエル軍と隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、中東の衛星放送局アルジャジーラは 17 日、イスラエル軍が首都ベイルートやレバノン南部への攻撃を激化させていると報じた。 アルジャジーラはレバノン当局の発表として、イスラエル軍が 16 日、レバノン南部を中心に、145 回の空爆を行ったとした。 ヒズボラの拠点であるベイルート南郊のダヒヤ地区では 17 日も激しい攻撃が続いているという。 イスラエル軍は地上侵攻も激化させ、米 CNN は 16 日、イスラエル軍が 10 月 1 日にレバノンへの地上侵攻を開始して以降、最も深く侵攻したとみられるとした。 世界銀行が 14 日に公表した報告書によると、戦闘によるレバノンの損害が 1 年間で推計 85 億ドル(約 1 兆 3 千億円)に上るという。 CNN は16 日、レバノンの情報筋の話として、米政府提案の停戦案についてレバノン政府高官の間で協議が続いていると報じた。 イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザへの攻撃も続けている。ガザ北部ベイトラヒヤでは 17 日、イスラエル軍が集合住宅を空爆した。 アルジャジーラやロイター通信によると集合住宅には複数の家族が避難していて、数十人が死傷したという。 (エルサレム・森岡みづほ、asahi = 11-17-24) イスラエルがイランに反撃 「爆発音した」と現地 報復連鎖の危機 イスラエル軍は 26 日、イラン国内の複数の軍事目標に精密攻撃を加えたと発表した。 今月 1 日にイランから大規模なミサイル攻撃を受けたことへの報復措置。 中東の軍事大国同士の報復の連鎖が起き、情勢の混迷は緊迫度を増している。 イスラエル軍は 26 日の声明で、「イランからイスラエルへの数カ月にわたる継続的な攻撃に対し、イスラエル軍は現在、イラン国内の複数の軍事目標に対する精密攻撃を実施している」と述べた。 イランとその代理勢力は昨年 10 月 7 日以降、イラン領内からの直接攻撃も含めた七つの戦線でイスラエルを攻撃しているとしている。 AP 通信は複数のイスラエル当局者の話として、核や石油の関連施設は標的にしていないと報じた。 イランメディアは 26 日未明、首都テヘラン周辺で爆発音が聞こえたと報じた。 イランの革命防衛隊に近いメディアのファルス通信によると、テヘランの西部と南西部の複数の軍事基地がイスラエルの攻撃の標的になった模様だとしている。 ロイター通信によると、シリア国営テレビは首都ダマスカス近郊でも爆発音がしたと報じたという。 イランは 1 日に、自らが後ろ盾となっているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師がイスラエル軍に殺害されたことなどへの報復だとして、約 200 発の弾道ミサイルでイスラエルを攻撃していた。 イスラエル中心部の軍事や諜報部門の拠点を狙ったとされる。 この際、弾道ミサイルの大部分はイスラエル軍と米軍の迎撃システムで撃ち落とされたが、一部はイスラエルの中部や南部に落ちた。 イラン政府系メディアは、自国開発の極超音速ミサイルも発射したと伝えていた。 イスラエルのネタニヤフ首相は攻撃後、「イランは代償を払うことになる」と述べ、反撃を宣言していた。 イスラエルがイラン領内を直接攻撃するのは、4 月 19 日以来とみられる。 この際、イスラエル政府は関与を認めていないが、米報道によると、イスラエル軍の戦闘機がイラン中部イスファハン州の核関連施設を守るレーダーを標的にミサイルを発射したとみられている。 この時の攻撃は、イランが 4 月 3 - 14 日に、300 以上のドローン(無人機)やミサイルでイスラエルを攻撃したことへの報復とされている。 イランは同月 1 日シリアの首都ダマスカスで起きたイラン大使館への空爆がイスラエルによるものと断定していた。 昨年 10 月にパレスチナ自治区ガザで勃発したイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が開始から 1 年を超え、イスラエルの攻撃対象は、ハマスを支援する中東各地の武装組織のネットワーク「抵抗の枢軸」にも広がり、その「元締」とも言えるイランとの本格的な直接衝突という事態に発展しかねない様相になっている。 イスラエルは 9 月末から、「抵抗の枢軸」の中核的存在であるヒズボラに対する空爆を激化し、同月 28 日にはナスララ師の殺害を発表。 10 月 1 日未明にはレバノン南部への地上侵攻に踏み切ったことを明らかにし、ヒズボラ側との交戦も激しさを増している。レバノンではイスラエルが大規模空爆に踏み切った 9 月 23 日以降、少なくとも 1,500 人以上の犠牲者が出ている。 (カイロ・其山史晃、asahi = 10-26-24) ヒズボラ後継指導者の死亡確認 ガザ北部で攻撃強化、人道危機の懸念 イスラエル軍は 22 日、レバノンの親イラン組織ヒズボラの後継指導者とみられていたサフィエディン師の死亡を確認したと発表した。 幹部が相次ぎ殺害されているヒズボラにとって、さらなる打撃となる。 イスラエル軍の発表によると、サフィエディン師は、レバノンの首都ベイルートにあるヒズボラ諜報本部を標的とした約3週間前のイスラエル軍の攻撃で、他の幹部らとともに死亡したという。 サフィエディン師は、イスラエルへの攻撃を指示する立場にあったとされる。 標的となった諜報本部には、他にも同本部司令官らを含めた 25 人以上がいたという。 サフィエディン師は 9 月に殺害された最高指導者ナスララ師のいとこで、ヒズボラの意思決定機関シューラ評議会のメンバー。 ロイター通信によると、レバノン南部出身で、イランの神学校に留学するなど、イランの革命防衛隊とも深いつながりがあったという。 北部への攻撃強化、ワクチンの接種延期 一方、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ北部への攻撃を強めている。 北部ジャバリヤなどの住民に対して、南部に避難するよう指示した。 国連によると、この地域には支援物資が届いていないという。 世界保健機関 (WHO) は 23 日、同日から北部で開始予定だったポリオ予防ワクチンの接種を延期すると発表した。 イスラエル軍の攻撃に伴うもので、「人道的な戦闘休止がなされていない」と批判した。 ガザでは 10 月から 2 回目の接種が始まっていた。 WHO によると、北部では 10 歳未満の子ども約 12 万人に接種する予定。 ワクチン接種が遅れると、効果に影響がでるとされ、WHO は懸念を強めている。 ガザ保健省は 23 日、この 24 時間で 74 人が死亡したと発表した。 死者は計 4 万 2,792 人になった。 イスラエル軍はこの 3 週間、イスラム組織ハマスが態勢を立て直すことを防ぐためとして、北部への攻撃を強化している。 国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) のラザリーニ事務局長は 22 日、北部住民が安全に避難できるよう、「数時間の即時停戦」を求める声明を出した。 また X (旧ツイッター)への投稿で、北部の人たちが「ただ死を待っているだけ」の状況に陥っているとして強い懸念を表明した。 この攻撃をめぐり、パレスチナ人側では、ハマスの弱体化に成功したイスラエル側が、ガザからパレスチナ人を追い出すため、手始めとして住民を北部から南部に移そうとしているのではないかとの懸念が広がっている。 また国連開発計画 (UNDP) は 22 日、ガザ全体の経済状況についての試算を発表し、ガザの生活水準が 1950 年代まで落ち込んでいることを明らかにした。 こうしたなか、イスラエルを訪問した米国のブリンケン国務長官は 22 日、ネタニヤフ首相と約 2 時間半にわたって会談した。首相府が同日発表した。 首相府は両氏がガザやレバノンの戦闘の状況について共有し、戦闘終結後のガザについて議論した、としている。 米国務省によると、ブリンケン氏はイスラエル側にガザへの支援物資を増やし、支援が確実に市民に届くようさらなる措置を取るよう求めたという。(翁長忠雄、エルサレム・高久潤、asahi = 10-23-24) 国連軍攻撃に非難続く、日本も イスラエル「ヒズボラ容赦なく攻撃」 イスラエルがレバノン南部でイスラエルとの国境を監視する国連レバノン暫定駐留軍 (UNFIL) への攻撃を繰り返し、施設にも侵入したことに対し、国際社会から非難の声が相次いでいる。 一方、イスラエル側は強硬姿勢を崩さず、被害がさらに拡大する恐れがある。 UNIFIL は国連安全保障理事会の決議に基づく国連平和維持活動 (PKO) 組織の一つ。 1978 年のイスラエル軍のレバノン侵攻を受けて設置された。 交戦する部隊を引き離し、地域の安定を維持する役割を担う。 50 カ国から約 1 万人が平和維持要員として派遣されている。 UNIFIL は今月 13 日、イスラエル軍の戦車 2 両がレバノン南部の UNIFIL 施設の正門を壊し、強制的に侵入したと発表。 UNIFIL が抗議した後に戦車は撤収したが、「衝撃的な違反行為の説明をイスラエル軍に求めた」としている。 イスラエル軍の攻撃などで、これまでに平和維持要員 5 人が負傷した。 UNFIL に参加する英独仏伊、中国、韓国など 40 カ国は 12 日、攻撃の即時停止と調査を要求する共同声明を発表。 グテーレス国連事務総長は 13 日、UNIFILへの攻撃は「国際法に違反し、戦争犯罪になる可能性もある」と非難した。 国連安保理も 14 日、「強い懸念」を表明。 「全ての当事者」に対し、平和維持要員と国連施設の安全を尊重するよう呼びかけ、地域の安全保障を支える UNIFIL の役割への支持を改めて示した。 岩屋毅外相も 15 日、「深刻な懸念を表明する」との談話を発表した。 また、「国連のために行動する要員に対する攻撃は許されるものではない」とした上で、「UNIFIL の安全に対する全ての脅威を非難する」とイスラエルの攻撃を批判した。 イスラエルのネタニヤフ首相は 14 日の演説で激しく反発した。 「UNIFIL の職員に被害が及んだことを遺憾に思う」としつつ、イスラム教シーア派組織ヒズボラが UNIFIL の施設などを「盾」にしてイスラエルへの攻撃を行っていると主張。 UNIFIL が国境地帯から撤退するよう改めて要求した。 イスラエルとヒズボラの戦闘は激しさを増している。 イスラエル軍は 14 日、北部ハイファ近郊の基地がヒズボラの無人機攻撃を受け、兵士 4 人が死亡したと発表した。 地元メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」などによると、負傷者も 58 人に上り、ヒズボラによる過去最大級の攻撃となった。 ネタニヤフ首相は 14 日、基地を訪問し、「我々は(首都)ベイルートを含むレバノンのあらゆる場所でヒズボラを容赦なく攻撃し続ける」と強調した。 レバノン保健省は同日、イスラエル軍がレバノン北部にあるキリスト教徒が住民の多くを占める村を攻撃し、少なくとも 21 人が死亡、8 人が負傷したと発表した。 イスラエルはキリスト教徒が多く、ヒズボラが拠点としない北部地域にも、攻撃範囲を拡大させているもようだ。 パレスチナ自治区ガザでは 14 日、2 回目のポリオワクチンの予防接種が始まった。 10 歳未満の子ども約 59 万人を対象に、12 日間にわたって続く。 AP 通信によると、中部ヌセイラトの学校の避難所では 13 日、イスラエル軍の空爆で少なくとも 20 人が死亡。 国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) のラザリーニ事務局長は 14 日、X (旧ツイッター)の投稿で、この学校が予防接種の会場として使用される予定だったと非難した。 一方、今月 1 日のイランによるイスラエルへの弾道ミサイル攻撃を受け、米国防総省は 13 日、イスラエルに高高度迎撃ミサイルシステム (THAAD) を配備することを承認したと発表した。 イスラエルの防空システムを強化する狙い。 米メディアによると、要員 100 人も派遣する。 イスラエルはイランへの攻撃の準備も進めているとみられる。 米紙ワシントン・ポストは 14 日、複数の当局者の話として、ネタニヤフ首相が米国に対し、イランへの報復は同国の軍事施設に行う計画だと通告したと報じた。 11 月 5 日の米大統領選の前に実施する見通しという。 イランへの報復をめぐっては、同国の石油施設や核施設を狙うとする臆測が上がっていたが、事実であれば、一定の自制を示した可能性がある。 ワシントン・ポストは、「この計画はワシントン(米政府)で安堵をもって迎えられた」と報じている。 イスラエル首相府は「米国の意見には耳を傾けるが、最終的な決定は国益に基づいて行う」と述べたという。(鈴木峻、イスタンブール・根本晃、asahi = 10-15-24) イスラエル首相「ヒズボラ後継者を殺害」 事実なら打撃 軍が確認中 レバノンへの侵攻を続けるイスラエルのネタニヤフ首相は 8 日の演説で、イスラム教シーア派組織ヒズボラの後継指導者とみられていた人物を殺害したと発表した。 事実ならヒズボラにとって打撃となる。 ネタニヤフ氏はレバノンでの軍事作戦の成果について、「数千人のテロリストを排除した」と強調し、空爆で殺害したヒズボラの最高指導者ナスララ師や後継者も含まれるとした。 消息が分からなくなっているサフィエディン師を指すとみられるが、イスラエル軍報道官は、軍がヒズボラの諜報(ちょうほう)本部を爆撃した際に同師がいたかどうかの状況は調査中とした。 イスラエル軍はレバノンへの激しい空爆や地上作戦を続けている。 レバノン保健省によると、8 日は 36 人が死亡。 昨年 10 月にガザでの戦闘が勃発し、ヒズボラとイスラエルの間でも攻撃の応酬が始まって以降の死者数は 2,119 人に上る。 ネタニヤフ氏はレバノン国民に、「(パレスチナ自治区)ガザのような破壊と苦しみを伴う長期戦争の奈落に落ちる前に救うチャンスがある」とし、「ヒズボラから国を解放し、この戦争を終わらせよう」とヒズボラの排除を訴えた。 シリア攻撃、7 人死亡 ロイター通信によると、ヒズボラのナンバー 2 のカセム師は 8 日、レバノン国会議長による停戦に向けた取り組みを支持するとする一方、「敵(イスラエル)が戦争を続けるなら、戦場で決着がつく」と語った。 シリア国営通信は 8 日、イスラエル軍が同日夜に、シリア首都ダマスカスの住宅街の建物を 3 発のミサイルで攻撃したと報じた。女性や子どもを含む 7 人が死亡し、11 人が負傷したという。 米メディアは、攻撃はシリアからレバノンへの武器密輸に関与したヒズボラ幹部を標的としたと報じている。 一方、米国防総省は 8 日、ワシントンで 9 日に予定されていた、オースティン米国防長官とイスラエルのガラント国防相との会談が延期されたと発表した。 イランによるイスラエルへの弾道ミサイル攻撃への報復が議題になるとみられたが、イスラエルメディア「Ynet」によると、ネタニヤフ氏が自国の閣議で先に対応を決定すべきだと主張した。 ネタニヤフ氏と米バイデン大統領は 9 日に電話で協議する予定だという。(其山史晃、イスタンブール・根本晃、asahi = 10-9-24) イランのミサイル攻撃、イスラエル防衛網を一部圧倒 = 専門家 【ドバイ】 イランが 1 日実施したイスラエルへの弾道ミサイル攻撃は、被害は限定的であったものの、イスラエルの防空網を一部で圧倒したようだ。 新たな衛星画像を調査した独立系研究者らが指摘した。 このことは、イランがイスラエルに対して新たな攻撃を仕掛けた場合、民間のインフラや人口の多い住宅地が標的となれば、はるかに深刻な結果をもたらす可能性があることを意味する。 イスラエルが軍事的対応を考える上で、これは重要な検討事項だ。 イスラエル軍は数日中に報復措置を講じると見込まれている。 一方、イラン政府は領土内が攻撃された場合、イスラエルの発電所や製油所を標的にすると警告している。 イランは 4 月 13 日の攻撃で、イスラエルに向けて低速巡航ミサイルや無人機(ドローン)を大量に発射していた。 だが今回の攻撃では高速の弾道ミサイル約 180 発を打ち込み、史上最大級の規模となった。 アナリストらによると、その大半はイランの最も近代的な弾道ミサイル「ファタハ 1」と「カイバル・シェカン」だった。 (Yaroslav Trofimov、The Wall Street Journal = 5-4-24) イラン、イスラエルに 180 発超の弾道ミサイル 一部は地上に落下か イスラエル軍は 1 日夜、イランがイスラエルに向けて180 発以上の弾道ミサイルを発射したと発表した。 イラン側も攻撃を認め、自国が後ろ盾となっているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師がイスラエルの空爆で殺害されたことなどへの報復だと強調。 一方、イスラエルは「(イランは)代償を払う」と反撃する姿勢も見せており、中東における危機が一層拡大するのは避けられない状況だ。 米 CNN が伝えたイスラエルの商都テルアビブの映像には、高層ビルが立ち並ぶ上空をミサイルとみられるかなりの数の物体が防空システムに撃墜される様子や、地上に落下し、爆発音が響いたり火災が発生したりしている様子が映っていた。 現地の記者が「(飛翔体が)こちらに落ちてきそうだ」と述べ、中継の最中に避難する場面もあった。 イスラエル軍は、安全な場所に避難するよう市民に呼びかけていた。 一方、イラン国営プレス TV は、テルアビブ上空の映像とともに、首都テヘランの街頭の様子を報道。 イラン国旗やナスララ師の写真を掲げ、興奮する人々の姿を映し出した。 イスラエル紙イディオト・アハロノトによると、この攻撃により 1 人が死亡し、2 人が負傷したという。 死亡したのは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人労働者で、落下した破片があたったとみられる。 負傷者 2 人は、いずれもテルアビブで確認されたという。 イランのプレス TV は、精鋭部隊・革命防衛隊の声明として、イスラエル中心部の軍事拠点や諜報機関の拠点を標的に、数十発の弾道ミサイルを発射したと報道。 テルアビブの軍事拠点 3 カ所の攻撃に成功したとしている。 イランのペゼシュキアン大統領は、X (旧ツイッター)に「イランの利益と国民を守るためだった」と投稿。 攻撃が「正当な権利だ」とし「シオニスト政権(イスラエル)の侵略に対して断固とした対応が取られた」と訴えた。 また「イランは争いを望まないが、あらゆる脅威に断固として立ち向かう」とし、今回の攻撃は「実力の一部に過ぎない。 イランと対立してはならない」と牽制した。 革命防衛隊は声明の中で、今回の攻撃がナスララ師や、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの最高幹部ハニヤ政治局長の殺害に対する報復だと主張。 「国連憲章に基づく自衛権の正当な行使」であり、レバノンやガザに対するイスラエルの攻撃への対処とも位置づけた。 その上で、イスラエルが今回の攻撃に対して反撃する場合、「より激しい攻撃を受けるだろう」と牽制した。 イスラエル軍はこれに先立つ 1 日未明、北隣レバノン南部での地上作戦を始めたと発表。 この地上侵攻について、ヒズボラに対する地域と標的を絞った「限定的」なものだと主張しており、ヒズボラを支援するイランの出方が注目されていた。 イランによるミサイル攻撃後、イスラエルのネタニヤフ首相は「イランは今夜、大きな過ちを犯した。 その代償を払うことになる。」と強調。 「イランの政権は、自分たちを守り、敵に報復するという我々の決意を理解していない」とし「我々は、攻撃する者は誰であろうと、やり返す」と述べた。 イスラエル軍のハガリ報道官は「(反撃の)準備は万全だ」と発言。 「(反撃の)計画はある」と説明し、「我々は非常に強力な攻撃準備態勢を整えている。 状況を見極め、我々が決める時間と場所で実行する。」と語った。 一方、イランからさらなる攻撃がある可能性については「現時点で領空に脅威は確認されていない」とした。 イランは今年 4 月、シリアにある自国の大使館が空爆され、革命防衛隊の幹部らが殺害された報復として、イスラエルに 300 以上のミサイルやドローン(無人機)で攻撃した。 イスラエルは米英仏やヨルダンの協力のもと、「99%」の迎撃に成功していた。 イランでは 7 月末、イスラエルと戦闘を続けるハマスのハニヤ氏が首都テヘラン滞在中に殺害されている。 イランはイスラエルによる暗殺だとして即座に報復を宣言したが、攻撃には踏み切らない状態が続いていた。 その後、9 月 27 日にベイルート南郊で、ナスララ師がイスラエル軍の空爆で殺害された。 (根本晃・イスタンブール、今泉奏、asahi = 10-2-24) レバノン侵攻「限定的」主張、イスラエルの狙い ヒズボラ抗戦の構え イスラエル軍が、レバノン南部への地上侵攻に踏み切った。 親イラン組織ヒズボラの軍事拠点を標的にした作戦としているが、イスラエルの狙いは何か。 ヒズボラや支援するイランはどう出るのか。 中東全体の緊張が一気に高まっている。 イスラエルのガラント国防相は 9 月 30 日、対ヒズボラ作戦が次の局面に移ったと述べ、「陸海空すべての力を使うことになるだろう」として、地上侵攻をほのめかしていた。 イスラエル軍は、今回の地上作戦はヒズボラが軍事拠点とするレバノン南部の集落に対する「限定的なもの」と説明している。 イスラエルは 9 月 17 - 18 日、ヒズボラのメンバーらの通信機器の一斉爆破への関与が疑われた。 ヒズボラの報復を受け、23 日以降はレバノン各地で集中的な空爆を繰り返し、27 日にヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害した。 1 日に地上部隊を投入したのは、連日の攻撃でヒズボラの指揮系統が大きな打撃を受けたとみて、回復前に追い打ちをかけようとしたとみられる。 イスラエル軍は 2006 年にも、ヒズボラを掃討する目的でレバノンに侵攻した。 当時の国連安全保障理事会の停戦決議はレバノン国軍や国連レバノン暫定駐留軍 (UNIFIL) 以外の軍事要員や兵器を、レバノンの首都ベイルートとイスラエル国境の間にあるリタニ川以南に配置しないよう呼びかけた。 イスラエル軍とヒズボラ双方をこの地域から退かせ、双方にとっての緩衝地帯とする狙いがあった。 ところが、ヒズボラはその後もリタニ川以南で活動を続けた。 昨年 10 月のパレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘開始後は、ハマスとの共闘を掲げてイスラエルへの攻撃を繰り返し、イスラエル北部の住民約 6 ?万人が避難を余儀なくされた。 国内で事態を打開できないネタニヤフ政権の責任を問う声が高まるなか、リタニ川以南からイスラエル国境までの地域に多数あるとされるヒズボラのロケット弾発射装置などを地上作戦で一掃する狙いがあるとみられる。 レバノンやヒズボラの歴史に詳しい末近浩太・立命館大教授(中東地域研究)は、イスラエルが地上作戦について、ヒズボラが国連決議に従っていないことや、自国の自衛権を理由に正当化しているとみる。 その上で、「民間人を巻き添えにするような他国への侵攻は国際法上、問題がある」と指摘する。 06 年の侵攻は約 1 カ月続き、イスラエル側で約 160 人、レバノン側で約 1 千人以上が死亡し、イスラエル国内でも政権批判の声があがった。 今回の地上戦でも大きな犠牲が出るリスクを抱えている。 レバノンの避難民 100 万人に イスラエル軍がレバノン領で地上侵攻を開始した直後も、ヒズボラはイスラエル領への砲撃やロケット攻撃を続けている。 ヒズボラナンバー 2 のカセム師は 9 月 30 日の演説で、「イスラエル軍が地上戦でくるなら、迎え撃つ準備はできている」と話した。 ヒズボラは予備要員も含めると 5 万人の戦闘員がいるとされる。 イスラエル軍が侵攻したレバノン南部は岩場がちの丘陵地帯で、ヒズボラは長年をかけて地下トンネルや防空壕を整備している。 2006 年にイスラエルがレバノンに侵攻した際、ヒズボラの戦闘員は地形を利用したゲリラ的な戦術でイスラエル軍を苦しめた。 ヒズボラはイスラエル軍の 1 カ月にわたる猛攻をしのぎ、イスラム世界で称賛された。 アサド政権側に立ったシリア内戦で豊富な実戦経験を積んだともされている。 レバノン南部はイスラム教シーア派の貧困層が多く、ヒズボラが社会福祉や行政サービスなどを通じて強い支持基盤を持つ地域でもある。 銀行員ハサブ・アビディーンさん (45) は 1 日、朝日新聞の取材に「イスラエルは 06 年の失敗をまた繰り返したいようだ。 地上戦になれば、強い思想と地の利があるヒズボラは勝てる」と話した。 ヒズボラは最近のイスラエル軍の空爆で、最高指導者のナスララ師のほか、多数の指導者層を失った。 組織の今後について、明治学院大の溝渕正季准教授(中東政治)は、「40 年にわたって活動してきたヒズボラは、個人のカリスマに頼るのではなく、上意下達の組織運営を確立しており、上層部が消えても、下に後継の人材がいる。 イスラエルへの抵抗運動というのはヒズボラの存在意義に関わる。 時間は必要だろうが、抑止力を回復するためにもイスラエルへの攻撃を激化させていくのではないか。」と分析する。 ヒズボラが今後に取り得る選択肢について、溝渕氏は、「テルアビブなどの人口密集地にミサイルを撃ち込むことが考えられる。 一方で、イスラエル側の大規模反撃でレバノンが焦土になるようなことになれば、ヒズボラへの支持も失われる。 指導部は難しい判断を迫られている。」とみる。 レバノンのミカティ暫定首相は 1 日、国連機関などとの会合で、避難民が約 100 万人にのぼることを明らかにし、「歴史上、もっとも困難な局面の一つに直面している」と述べた。 ヒズボラを支援してきたイランのカナニ外務省報道官は 9 月 30 日の記者会見で、「レバノンを含む地域の国々には、侵攻に対処する能力がある。 イランから戦力を送る必要はない」と述べたが、地上侵攻を受けた対応が注目されている。 (其山史晃、asahi = 10-1-24) イスラエル軍「ヒズボラのナスララ師を殺害」 ベイルートへの空爆で イスラエル軍は 28 日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者ナスララ師を殺害したと発表した。 軍は前日にレバノンの首都ベイルート南部のヒズボラ本部を空爆し、ナスララ師が標的だったと報じられていた。 中東の緊張がさらに高まることは避けられない情勢だ。 軍は 28 日の声明で、「特別の情報」に基づき、戦闘機がベイルート南部の居住用建物の地下にあるヒズボラ本部を標的に空爆したと説明。 ヒズボラ幹部らの作戦会議中だったとした。 ナスララ師については「ヒズボラの中心的な意思決定者で、戦略的な指導者だった」と述べた。 ヒズボラ側はナスララ師の安否について明らかにしていない。 イスラエル軍のハガリ報道官は 27 日、レバノンの首都ベイルートの住宅地における「精密攻撃」の実施を発表していた。 「意図的にレバノン市民を人間の盾として使っていた」と主張し、攻撃は「イスラエル国民を守るために必要な措置だった」と述べていた。 英公共放送 BBC によると、ナスララ師は 1992 年に最高指導者に就任。 ヒズボラを支援するイランの最高指導者ハメネイ師とは緊密な関係にあるとされる。 イスラエルにとっては長年の標的で、近年は暗殺を避けるために、公の場所には姿を見せていなかった。 ヒズボラは昨年 10 月のイスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの戦闘直後、「ガザへの連帯」を掲げ、イスラエル北部への攻撃を始めた。 国境を挟んだ交戦は激化の一途をたどっており、イスラエル軍は 23 日、レバノン南部にも大規模な空爆に踏み切った。 レバノン国内の死者は 27 日までに 700 人を超えた。 イスラエルとヒズボラの応酬が激化するなか、主要 7 カ国 (G7) やサウジアラビア、アラブ首長国連邦 (UAE) やカタールは 26 日、「誰のためにもならない」として、21 日間の停戦を求める共同声明を発表。 事態の沈静化を求めていた。 しかし、ヒズボラは停戦に応じる姿勢を見せなかった。 イスラエルのネタニヤフ首相も 27 日、攻撃の直前にニューヨークの国連本部で演説し、「ヒズボラの弱体化を続ける」と強調していた。 (高久潤・エルサレム、今泉奏、asahi = 9-28-24) イスラエル軍がレバノン首都空爆、31 人死亡 ヒズボラ幹部らを殺害 イスラエル軍は 20 日、対立するイスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点を置くレバノンの首都ベイルートへの空爆で、ヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」のトップ、イブラヒム・アキル幹部らを殺害したと発表した。 地元メディアによると、レバノン当局は空爆で 31 人が死亡、68 人が負傷したと明らかにした。 ヒズボラは、死者の中にアキル幹部ら司令官級などのメンバー 16 人が含まれていると認めた。 イスラエル軍のハガリ報道官によると、幹部らは住宅街にあるビルの地下で会合を開いていたという。 ハガリ氏はアキル幹部について「ヒズボラの対戦車、爆発物、防空作戦を含むさまざまな活動の責任者で、昨年 10 月以来、イスラエルへの日々の攻撃を立案していた」と指摘した。 米大使館爆破でも手配中 アキル幹部は 1983 年にベイルートの米大使館や米海兵隊兵舎が爆破され、300 人以上が死亡した事件に関与したとして米当局からも手配されていた。 レバノンでは 17、18 の両日、ヒズボラのメンバーらが使用しているポケットベル型通信端末とトランシーバーが連続爆発し、民間人を含む 37 人が死亡、約 3 千人が負傷した。 関与が指摘されているイスラエルでは、ガラント国防相がヒズボラとの対決を念頭に「戦争の新たな段階の始まり」を宣言していた。 レバノンの首都空爆にも踏み切ったことで、戦火の拡大につながる懸念が強まっている。 爆発したトランシーバーには「ICOM」、「日本製」と表示がついていたことが明らかになっていたが、これについて ICOM の製造元の通信機器メーカー「アイコム」(本社・大阪市)は 20 日、「爆発した無線機が当社製のものである可能性は限りなく低い」とする声明を出した。 レバノンの通信相が「他国から(爆発したものと)同型番の無線機の模倣品が持ち込まれていることを確実に把握している」と語っていることなどを踏まえたという。(ヨハネスブルク・今泉奏、イスタンブール・武石英史郎、asahi = 9-21-24) |