外国人技能実習制度 : 成功求め来日 … 「集団就職の国際版」 低賃金労働の温床と批判される外国人技能実習制度だが、貧しい国の若者たちは制度を利用し、将来の成功を夢見て来日する。 ミャンマー人青年 2 人が 8 日深夜、羽田空港の国際線到着ゲートから出てきた。 同国最大の都市ヤンゴン出身のチョーザヤウィンさん (32) とイェトゥウィンさん (28) だ。 実習生として金沢市で 3 年間、社員約 40 人の小さな金属機械塗装会社で働く。 航空会社のミスで、衣類や日本語の教科書を詰めたスーツケースが羽田に届かなかったが、2 人は「ウレシイデス」、「夢ガカナイマシタ」と、たどたどしい日本語で喜びを語った。 出迎えたのは、同国で実習生の送り出しにかかわる社団法人「SBS 国際産業人材育成センター」の渋谷修二理事 (58)。 「まだゼロに近いが、勤勉で向学心が強い。 これから増えます。」と語る。 入管統計によると、昨年末時点の国内の実習生 15 万 5,206 人の約 7 割、10 万 7,174 人が中国人で、14% の 2 万 1,632 人がベトナム人だ。 一方、ミャンマー人受け入れは昨年 5 月からで、来日数は今年 3 月時点で 159 人にすぎない。 だが、急成長した中国では日本での実習の魅力は減少。 ベトナム人も賃金が上がり、失踪などのトラブルが少なくない。 日本の経済界は今、ミャンマーやラオス、カンボジアに注目している。 チョーザヤウィンさんとイェトゥウィンさんの給与は最低賃金レベルで、家賃や水道光熱費を引いた手取りは 8 万円ほど。 2 人とも結婚を考える恋人を国に残してきたが、帰国の旅費は自腹なので 3 年間一度も帰らない覚悟だ。 9 日に東京都内を観光し、夜行バスで 10 日に金沢入りした。 制度の趣旨を理解した企業できちんと実習すれば、若者たちは夢を実現できる。 そう渋谷さんは信じる。 「地方の若者が希望と不安を胸に上京した昔の集団就職の国際版です。 羽田空港が上野駅に見える。」 (井上英介、mainichi = 6-10-14) 少子高齢化や労働力不足でも外国人単純労働者を受け入れられない日本 = 中国メディア 中国メディア・中国新聞網は 7 日、日本国内で外国人労働者の受け入れ問題が大きな話題になっていると紹介するとともに、外国人研修生の緩和だけでは、日本の抱える労働力不足問題を解決するのは難しいとする記事を掲載した。 記事は、日本が外国人労働者の制限を緩和した背景に、少子高齢化が進んでいるだけでなく、被災地復興支援や 2020 年の東京五輪の関連建設における深刻な労働力不足があると紹介。 一方、制限緩和の方法は、政府が長きにわたり用いてきた「技能研修生」という「あいまいな方法」だったとし、「労働力バランスが大きく崩れているにもかかわらず、日本は依然として外国人労働者を正式に受け入れることを躊躇しているようだ」と解説した。 また、日本における外国人労働者数が全労働者数に占める割合がわずか 1.1% と、欧米や韓国を大きく下回っているというデータを挙げ、これまで「単純労働者」を認可したことがないと紹介。 急速に進む少子高齢化のなかで、「労働年限のある研修生や実習生の受け入れを拡大し、労力不足を補おうというのは "対症療法" 感が否めない」と論じた。 記事は、「日本の経済界は外国人労働者の拡大に対して積極的な姿勢を見せる一方、日本社会全体が日本人従業員の収入や産業構造、地方財政、治安などへの影響を強く懸念している」、「安倍政権を支持する保守層も冷ややかな見方をしている」など、外国人労働者拡大に対する日本側の姿勢を分析した。 最後に、外国人と協力して新たな経済大国をつくるのか、「高齢化しても純粋」な旧態を守り続けるのか、「今や議論に費やす時間はそれほど多くは残されていない」とする日本経済研究センター研究顧問・齋藤潤氏のコメントを引用して結んだ。 (Searchina = 4-9-14) 政府は外国人技能労働者の導入をやめよ 建設現場で働く労働者が足りず、これを外国人労働者を流入させることによってまかないたいという業界からの要望があります。 それに対し、政府は、外国人の技能実習生の滞在できる期間を延長することによって対応しようとしています。 「外国人労働者拡大へ 首相、家事支援など活用指示 『女性の活躍推進の観点から』」(産経新聞 2014年4月4日) しかし、このような構図は、戦時中、炭坑現場で働く労働力が足りなくなり(男はみな兵員として招集しており、婦女子も挺身隊として動員していました)、中国から強制的に連行し、強制労働に酷使していた過去の歴史を彷彿させます。 炭坑現場での労働力の不足に対し、業界から政府へ中国人らを連行して働かせることを建議しますが、当初、帝国政府は拒みます。 習慣の異なる異人を入れた場合の治安に不安があったためです。 しかし、最後は労働力の不足は如何ともしがたく、帝国政府は中国人らの強制連行に踏み切りました。 4 万人以上が連行され、6,000 人が死亡したという中国人強制連行事件です。 当時と違うのは、強制連行ではなく経済力の差をもって低賃金で誘引するという点でしょうか。 労働力の不足という点で共通項があるようにも見えますが、しかし、大戦時に労働力が不足していたのは全く大儀のない侵略戦争を始めてしまい、兵員や軍需産業で大量の人手が必要になったからにすぎず、本来はそのような人たちこそ貴重な労働力なのですから、労働力が不足していたというのは身から出た錆、本来的に不足しているとはいえません。 また現在日本社会においても大量の失業者がいる状態、ニートの存在からみてもわかるとおり労働力が不足しているなどということがあるのでしょうか。 むしろ働かない人たちばかり、しかもそれを如何ともし難いということであれば、もはや日本の国力が地に落ちたということでしかありません。 以前にも述べましたが、外国人労働者を低賃金で流入させて搾取し、使い捨てるようなやり方が許されようはずもありません。 日弁連は、下記意見書を出しました。 「外国人の非熟練労働者受入れにおいて、外国人技能実習制度を利用することに反対する会長声明」(2014年4月3日) 当たり前のことです。 技能実習生を低賃金でこき使うようなやり方がこの 21 世紀の社会で許されようはずもなく、日本政府や財界かの考えいることは根本的に誤りなのです。 そればかりではありません。 政府は介護や家政婦にも外国人労働者を使おうというのです。 「労働力不足だから外国人実習生を増やす? だったら日本人労働者と同一の労働条件で求めるべき」 上記エントリーで述べたようにマレーシアや中東諸国のようなメイド制度、もっと端的にいえば下女制度を復活させようというのです。 「家事支援」などという言葉のすり替えはまさに政府のお得意とするところです。 技能実習生に対する嫌がらせ事件を克服できていない日本政府です。 「このままではまた起きる実習生による事件」 さらに対象を拡げようというのですから無謀そのものです。 介護の現場はもとより、各家庭での使用ということになれば今以上にトラブルが発生することは目に見えています。 日本の労働力を再生させるためにはどうすべきかという視点に立たず、日本の労働者に対してすら、ただ安く使い捨てる発想でしか使ってこなかった財界。 このような使い方をされれば、もう使われたくないという発想になるのは当然のことです。 またバブルなど拝金主義がはびこってきたことが労働蔑視感が出てきたことの一因でもあります。 要はきつい仕事はしたくない、だけどカネは欲しいにつきます。 日本にはびこる労働蔑視という価値観の中でかかる外国人流入政策が推し進められれば、@ 外国人であること、A 下層労働であるという 2 つの見下し感が相まってトラブルが頻発することは間違いありません。 農村などでの嫁不足を外国人によって対処しようとしていますが、外国人の妻との間でも少なからぬトラブルになっている案件もあり、とてもではありませんが、日本国政府がきちんとフォローできているという状況ではありません。 もっとも政府の発想は外国人家政婦の導入によって女性が働きやすい環境を作ることにあるようですが、公的保育所を作るのではなく、外国人家政婦に子守りをさせるためのものであり本末転倒です。 安上がりにトラブルも含め「自己責任」で対応させようというものでしかありません。 今、子どもを預ける先がなく怪しげなサイトによって身元不明な者に子の保育を委ねざるを得ない状況が社会問題化する中で、その解決策が外国人家政婦とは、本当にひどい話です。 日本政府は直ちにかかる外国人実習生流入政策をやめるべきです。 (猪野 亨 = 弁護士、blogos = 4-6-14)
建設業で外国人受け入れ拡大 実習後も就労認め最大 2 倍 政府は 4 日、人手が不足している建設業界で外国人労働者の受け入れを増やすことを決めた。 技能実習制度で 3 年間日本で働いた人が追加で 2 年間働けるようにするほか、実習を終えて帰国した人に最長 3 年間の再入国を認める。 建設業界の外国人労働者を現在の 1 万 5 千人から最大で約 2 倍にする狙いだ。 技能実習制度は日本の優れた技術を途上国の人に学んでもらうのが本来の狙いだが、建設業だけでなく工場や農業の現場などで実習生が貴重な働き手になっている。 建設業の受け入れ拡大は型枠工、鉄筋工など特別な技術を持つ人に限り、実習直後の 2 年間は、法相が個別に就労を認める「特定活動」の扱いにする。 実習を終えてすぐ帰国した場合、1 年以上たって再入国する人には 3 年間、1 年未満の人には 2 年間の特定活動を認める。 1 人が働ける期間は最大 6 年になる。 来年度から、東京五輪・パラリンピックの施設やインフラの整備で特に人手が不足する 2020 年度までの特例措置にする。 (山下龍一、上栗崇、asahi = 4-4-14) 外国人労働者の受け入れ拡大へ提言 「技能実習」の延長など柱 外国人労働者の実質的な受け入れ拡大に向け、自民党日本経済再生本部の労働力強化・生産性向上グループが 3 月 26 日に提言をまとめた。 外国人の技術習得を名目に、事実上の労働力として受け入れている「技能実習生」を、一時帰国を条件に上限 3 年から 5 年に延長するほか、1 企業が受け入れられる人数を増やすことや、受け入れ可能な職種の拡大などが柱となる。 2020 年東京オリンピックに向けて建設現場の労働力不足が予想されることから、建設分野で実習を終えた外国人に、別枠で在留資格を与え、建設労働に従事することを認めることも検討を求めている。
技能実習生の期間延長は、人手不足に悩む中小企業から要望があがっていた。 朝日新聞デジタルは、岩手県久慈市の縫製工場社長の声を伝えている。
一方で技能実習制度自体の問題も指摘されて久しい。 日本弁護士連合会は、受け入れ先で賃金不払いや最低賃金以下での労働、労災などの問題が横行しているとして、外国人技能実習制度を速やかに廃止し、新たな在留資格の創設を提言している。 専門職でない非熟練外国人労働者の受け入れ拡大は、安倍政権が新たな成長戦略の一環と位置づけてきた。 2020 年の東京オリンピックを見据え、2014 年始めから動き始めてきた。 1 月 24 日に関係閣僚会議を開き、2015 年春からの実施を目指すことを申し合わせた。
(The Huffington Post = 3-28-14) 政府、ベトナムの職業訓練支援 ODA 1 億円供与 政府が、ベトナムで日本の建設会社がつくった職業訓練校に、政府開発援助 (ODA) を供与することが 22 日、分かった。 国際協力機構 (JICA) を通じ 1 億円を支援する。 現地で事前に研修を受けた人材を技能実習生として日本国内に受け入れ、建設現場の人手不足の緩和につなげる。 政府は、3 月末をめどにまとめる人手不足対策の緊急対策に、建設業の外国人技能実習生の拡大を盛り込む方向で検討する。 国際協力機構によると、ODA の対象になったのは中堅建設会社、向井建設(本社東京、社員約 700 人)がベトナム北部で 2012 年に設立した職業訓練校。 (中国新聞 = 3-23-14) 復興加速へ外国人頼み = 人手足りぬ建設現場 - 安倍政権 東日本大震災からの復興を建設業界の人手不足が阻んでいる。 対策として安倍政権が取り組もうとしているのが、外国人技能実習制度の緩和による外国人労働者の受け入れ拡大だ。 ただ、外国人の受け入れにはかねて根強い慎重論があり、政権の狙い通りに進むかは不透明だ。 ◇ ピークの 4 分の 3 「高台移転や災害公営住宅の建設は計画の約 7 割以上で事業が始まった。 いよいよ工事の段階に移っている。」 安倍晋三首相は 2 月 24 日の衆院予算委員会で復興事業を急ぐ決意を強調した。 国内のとび工、左官、型枠工など建設業の技能労働者は、高齢化や長引く不況による離職などで減少。 1997 年のピーク時に 455 万人だった技能労働者は、2012 年末時点で 4 分の 3 の 335 万人に落ち込んだ。 被災地の建設業を対象とした東日本建設業保証の業況調査では、労働者の確保が困難との回答が震災後に増え、賃金水準も上昇。 被災地では、公共工事の落札業者が決まらない「入札不調」が相次いでいる。 政府は、建設業の担い手として外国人に着目し、1 月 24 日に受け入れ拡大策を話し合う関係閣僚会議を発足させた。 菅義偉官房長官は初会合で「建設業は、担い手の急速な高齢化や若年労働者の減少といった構造問題に直面している。 即戦力となり得る外国人の活用の拡大が極めて重要だ。」と強調。 3 月末までに緊急対策を決定し、15 年春の実施を目指している。 政府が対応を急ぐのは、20 年の東京五輪に関わるインフラ建設が本格化し始めると、被災地での労働力確保が一段と難しくなる恐れがあるためだ。 緊急対策の柱になるのが外国人技能実習制度の緩和。 同制度に基づく建設業の実習生は中国や東南アジアの出身者を中心に約 1 万 5,000 人。 政府は、最長 3 年の受け入れ期間を最長 5 年に延長することや、2 度目の実習を容認することなどを検討している。 ◇ 治安面を懸念 しかし、法務省や自民党の一部は、制度緩和によって不法滞在者が増えたり、日本人労働者の賃金の抑制につながったりするのではないかと懸念している。 衆院東日本大震災復興特別委員長を務める自民党の秋葉賢也氏(宮城 2 区)は「被災地の労働力不足は深刻」と制度緩和は支持するが、東京五輪までの期間限定を主張。 「建設需要が一段落したときに、日本人労働者が追いやられないようにしないといけない」と話している。 現在の技能実習制度が問題を抱えていることもネックとなりそう。 日本の技術を母国で活用してもらう「国際貢献」が制度の本来の趣旨だが、中小企業が安価な労働力を確保するために活用する傾向があるのが実情で、法務省が制度の見直しを検討している最中だ。 谷垣禎一法相は「労働力が足りないから(技能実習制度を)活用するのは目的と離れている」と指摘する。 ◇ 「単純労働」論議も 今回の政府の対応が、現在は認めていない外国人の単純労働者の受け入れ論議に結び付く可能性も指摘されている。 単純労働者の解禁に安倍政権は否定的だが、急速な少子化による労働力不足は建設現場に限らず、製造業や農業、介護などあらゆる分野で深刻。 自民党内には「外国人労働者に頼らないと社会機能が維持できない(ベテラン)」との声もある。 (jiji = 2-28-14) 日本で深刻な人手不足、外国人に労働市場開放の方針 - 中国メディア 日本華字紙・中文導報の報道によれば、日本は出生率の低下と高齢化により、深刻な人手不足に陥っており、さまざまな方面から外国人に労働市場を開放し、不足を補う方針だ。 中国新聞網が 18 日伝えた。 日本では従来、専門知識や技術を持った外国人労働者のみを受け入れる政策で、多くの分野が外国人に解放されてこなかった。 しかし現在、建築業や飲食業、看護士などの分野を外国人労働者に開放する方針に転じている。 製造業や漁業では外国人技能実習生として日本に滞在できる期間を延長することも検討中だ。 日本政府は 1 月 24 日、建設業の技能労働者不足を補うため、外国人労働者の受け入れ拡大を検討する関係閣僚会議の初会合を開いた。 2020 年の東京五輪開催に向けて建設業の需要が高まる見込みで、外国人向けの技能実習生の受け入れ拡大や滞在期間の延長など、具体策を 3 月までにまとめる。 (中国・新華社 = 2-19-14) 外国人技能実習制度 抜本的見直しより弾力的運用を 外国人技能実習制度の見直し検討が政府・与党で急がれている。 オリンピック東京招致も後押しし、産業界を中心に現行 3 年を上限とされている在留期間を 5 年に延長すべきとの提言が規制改革会議でも出されている。 人手不足の切り札として期待される反面、制度を悪用した事件も絶えず、単純延長には慎重であるべきだ。 外国人技能実習制度は国内で技術を修得し開発途上国へ移転する国際貢献が目的だ。 農業界も中国、東南アジアを中心に実習生は増え続けている。 現在、2 万 2 千人が現場の生産活動に携わっていると推定される。 養豚、養鶏など畜産業界からの強い要望を受け 2002 年に最長 3 年間在留できるこの仕組みが導入されたが、同仕組みに移行した職種の 8 割は施設園芸や畑作・野菜の耕種部門と様変わりした。 日本人が敬遠する仕事を外国人に押しつけているという一部批判は当てはまらなくなった。 気候や作目によっては 3 年でも 3 回しか作業ができない特殊性を持つ農業界として在留期間延長を望む声は根強い。 北海道、東北といった積雪地帯では 1 年間の作業体型が組めず 3 年の延長どころか 1 年以内の帰国を余儀なくされる。 制度の抜本的見直しの前にまずは、現場の実態に合わせた弾力的な運用を行うべきではないか。 積雪地帯では一時帰国の特例を認め、3 年以内であれば再入国を可能とするよう望む。 また、農業の 6 次産業化に対応し、加工・販売も作業の範囲とすべきだ。 そのうえで、適正に事業を実施している受入れ団体で、かつ上位級試験の合格を条件に延長を認めれば賃金不払いなどの不正行為をある程度防げるはずだ。 早急な検討を望む。 現在の仕組みを基に外国人と共同していく。 外国人技能実習生を「人財」として育成することが農業経営の体質強化にもつながるのではないか。 (全国農業新聞 = 2-7-14) 外国人労働者受け入れ、建設業で拡大へ 担い手不足、「仕方ない」のか … 政府は、東日本大震災の復興事業や 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、建設業の労働者が不足するおそれがあるとして、2015 年春をめどに時限的な措置として技能を持つ外国人労働者の受け入れを拡大する方針で、具体策の検討に入っている。 小泉政権以降の公共事業の縮小で、建設業の就業人口は大幅に減少している。 総務省の労働力調査によると、2012 年は約 503 万人とピーク時の 1997 年に比べて約 3 割も減った。 外国人労働者は「即戦力になり得る」 外国人労働者の受け入れ拡大は、政府が 2014 年 1 月 20 日に開いたアベノミクスの産業競争力会議で、6 月に予定される成長戦略の改定に向けた検討方針の柱に、雇用分野の規制緩和策のひとつとして盛り込まれた。 これを受けて、政府は 24 日、建設業界の人材不足の解消に向けた外国人労働者の受け入れ拡大を検討する閣僚会議を官邸で開いた。 東日本大震災からの復興や施設の老朽化対策などの公共工事に加えて、2020 年の東京五輪開催に伴う工事などの増加が見込まれるためで、3 月末までに緊急対応策を決める。 建設労働者の高齢化など、建設業界の構造的な問題を中長期的に解決するとともに、「即戦力になり得る外国人労働者の活用を広げる(菅義偉官房長官)」ことで、1 日も早く震災からの復興を実現し、日本経済を持続的な成長軌道に乗せるのが狙いだ。 緊急対応策は、発展途上国の人材育成を主な目的とした「外国人技能実習制度」を拡充し、実習生の受け入れ期間を現在の 3 年から 5 年に延長したり、再入国を認めたりして受け入れる案が柱となる見通し。 ただ、この実習制度を建設業の人手不足を補うために活用するのは、本来の趣旨と異なるという指摘もあり、技能を持つ外国人労働者が建設業で働くことができるよう、法務大臣が出入国管理法に基づく「特定活動」に指定して在留資格を認める案も検討するという。 一方、被災地をはじめとした建設労働者の人手不足は深刻さを増している。 1 月 16 日に発表された日本銀行の地域経済報告(さくらレポート)には、「復興関連工事は増加しているが、人員確保が容易でなく入札をあきらめたり、受注を選別したりしている(仙台や福島)」、「人手不足のため、やむを得ず断るケースが増えている(北陸)」、「人手不足で工期の遅延がみられる(札幌、福岡)」といった報告が寄せられている。 原発事故のせいなのか、「賃金も大幅に上昇しているのに、人が集まらない(福島)」。 また、「そもそも(若い人が)力仕事を嫌う傾向にあるのではないか」との見方もある。 外国人労働者が来てくれるとは限らない? とはいえ、外国人労働者の受け入れに反対の声も根強い。 たとえば、外国人労働者が多い地方都市では、小・中学校で日本語の話せない外国人児童が増えたり、学校に通わない不就学児童がいたりする。 地域社会と、生活習慣をめぐる摩擦などもある。 なかでも、外国人労働者を雇用の需給調整に使うと、日本人労働者が働き場を失ったり、景気が悪化した場合には解雇された労働者がそのまま不法に滞在することで、行政コストが上昇したり、治安の悪化につながったりする懸念があるからだ。 ただ、「仮に日本が外国人労働者を受け入れると決めたところで、実際に外国人労働者が来てくれるかどうか、保証はない」と、日本経済研究センター研究顧問の齋藤潤氏は指摘する。 齋藤氏はネットのコラム「経済バーズアイ(13 年 11 月 22 日付)」で、「韓国では 2003 年の外国人労働者雇用法の施行を契機に、外国人との共生や国際結婚で生まれた子供への支援などを目的に法制が整えられ、優秀な人材の受け入れに積極的になっている」という。 日本の場合、主に中国やベトナム、フィリピンなどアジア諸国からの労働者が多いが、アジアの優秀な労働者は引き合いも多く、「国際競争」にさらされており、「外国人労働者に門戸を開けば、彼らは直ちに来てくれるはずだという発想は、現実とは大きく異なっている可能性がある」と指摘する。 (J-cast = 2-1-14) 【外国人労働者】 受け入れ環境を整えねば 2020 年東京五輪などを控え、建設現場の人手不足が懸念される中、政府は外国人労働者の受け入れを拡大する方針を決めた。 3 月末までに具体的な対応策をまとめる予定で、外国人技能実習制度を利用して 15 年度をめどに建設業の従事者をさらに増やすという。 東京五輪のほか東日本大震災の復興事業でも人手不足は深刻だ。 少子高齢化が進めば、将来的に海外からの労働力導入は避けて通れないだろう。 ただ、この実習制度をめぐっては長時間労働や賃金未払いなどのトラブルが後を絶たない。 言葉や生活習慣が違うために実習生が精神的に孤立し、事件へと発展したケースもある。 人手不足の解消につながると安易に考えて外国人を増やせば、そうしたトラブルの拡大を招く恐れがある。 受け入れを増やすのなら、外国人の生活や労働環境の改善に政府として真剣に取り組む必要がある。 実習制度は、発展途上国への技術移転や人材育成を目的に 20 年ほど前に始まった。 期間は最長 3 年で人材を育てる意味から単純労働は除外される。 法務省によると、中国人を中心に約 15 万人が働いている。 そのうち約 1 万 - 1 万 5 千人が建設業に携わり、鉄筋組み立てや配管、内装、機械操作など熟練を要する技術の習得が行われている。 政府は、実習期間の延長や帰国した外国人の再実習、従業員の 5% 程度までとされる企業の受け入れ枠拡大などを検討している。 ところが政府内などにも増えた外国人が雇用調整的に使われることを心配する声があり、労働環境や条件の適切な監視が重要になる。 実習生の賃金未払いなどが各地で相次いだため、10 年 7 月には労働基準法の適用対象とした。 にもかかわらず、長時間労働など働く環境が改善されていないケースがある。 こんな状態で外国人が急に増えれば雇用調整はもとより単純労働に使われかねないとの懸念も出ている。 日本の高い技術や技能を習得しようと来日した労働者が「使い捨て」のように扱われるのは許されない。 国内でも非正規労働者が全体の 4 割近くまで増える中、雇用環境の改善が問題になっている。 日本人、外国人の区別なく働く者を大事にする社会でありたい。 (高知新聞 = 1-27-14) 外国人労働者受け入れ拡大へ 建設業の労働者が不足 政府は、東日本大震災の復興事業に加え、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、建設業の労働者が不足するおそれがあるとして、関係閣僚会議を開き、来年の春をメドに、外国人労働者の受け入れを拡大する時限的な措置を取る方針を確認しました。 総理大臣官邸で開かれた関係閣僚会議には、菅官房長官や太田国土交通大臣、田村厚生労働大臣らが出席しました。 この中で菅官房長官は、「東日本大震災の復興事業を加速させ、東京オリンピック・パラリンピックの関連施設の整備を遅れることなくやり遂げなければならない。 即戦力となりうる外国人の活用を拡大していくことが極めて重要だ。」と述べました。 そして会議では、太田大臣が、急速な高齢化や若者の労働者の減少で、建設業の労働者はピーク時から 110 万人減っており、2020 年の東京大会に伴う建設需要の高まりで、労働者が不足するおそれがあると報告しました。 これを受けて会議では、東日本大震災の復興事業に加え、東京大会の関連施設の整備に支障を来さないようにするため、来年の春をメドに、外国人労働者の受け入れを拡大する時限的な措置を取る方針を確認しました。 政府は、今後、時限的な措置の期間などについて検討を進め、ことし3月までに案をまとめることにしています。 (NHK = 1-24-14) 大いなる矛盾 - 「技能実習生」の活用 東京オリンピックに伴う建設需要等に対応するため、「技能実習生」を活用する方向で政府が検討に入ったという報道がありました。 技能実習生については、何度かこのブログでも書きましたが、制度自体はこういう感じ です。 これ、とても矛盾があるのです。 上記のリンクの表現を使いながら、もう一度書いてみると「東京オリンピックに伴う建設需要等に対応するため、(途上国の)技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を行います。」と言っているのです。 全く意味が通じません。 単刀直入に言えば、恐らく求めているのは単純労働者でしょう。 そして、日本は単純労働者の受け入れをやりませんから、裏技として「技能実習生」という肩書でやっているだけです。 いつまでこんな欺瞞に満ちた制度を維持しているのかと思います。 この技能実習生制度は、以下の 2 タイプがあります。
私は (1) は良いと思うのです。 正に技能実習生です。 しかし、(2) については怪しいものがたくさんあります。 やり方は比較的簡単でして、協同組合や中小企業団体を作ればいいのです。 そして、その協同組合等が一旦受け入れるかたちを取れば技能実習生を受け入れることが出来ます。 そういう団体の中には、「労働者コスト削減のためにうちの協同組合に入りませんか」と堂々と宣伝しているところもあります。 そもそも、制度の本義は労働者コスト削減のはずもありませんが、それが黙認されているのが現状です。(本当に技術の移転が主であれば、むしろコスト増要因のはずです。) しかも、制度が複雑なため、それを仕切る JITCO という組織に賛助金を払ってコンサルをしてもらわないと、実質的には研修生を受け入れることが出来ないようになっています。 その実は単純労働者的な雇用をしているところが非常に多いのです。 ちょっと前に、広島のカキ打ち現場で研修生が社長を惨殺する事件がありました。 知り合いの漁業関係者に聞いてみると、「本国(中国)に帰ってから、カキ打ちをすることは到底想定されない。」ということでした。 私もそう思います。 私は、この技能実習制度は (1) の企業単独型に限定して、それ以外の実質的な単純労働者については、現実を真正面から受け止めて「単純労働者の受け入れ」という制度に変えていくべきだと思います。 それによって、現実が大きく何か変わるわけではないでしょうが、研修生という美辞麗句に糊塗された制度にはとても無理があります。 2011 年までは、(労働者ではない)研修生ということで労働法制すら適用されておらず、現代版蟹工船みたいな世界が問題になっていました。 「単純労働者の受け入れ」という大きなステップを踏み出すことには勇気が要ります。 しかし、人口減少社会ですし、人手が足らない分野が出てくるのであれば、そういう選択をすべき時に来ているのではないかと思います。 (緒方林太郎、BLOGOS = 1-8-14) 建設業界、外国人雇用を積極化 人手不足・五輪需要で新たな動き 東京五輪の施設工事が本格化するのを前に、建設業界で「外国人技能実習制度」などを活用し、これまで消極的だった外国人の雇用へとかじを切る動きが広がっている。 技能労働者(熟練工)が高齢化し、建設現場に入ってくる若者の減少にも歯止めがかからないためだ。 専門技術も担わせる ゼネコンや下請けの建設業者の多くはこれまで、外国人の雇用に消極的だった。 「言葉の壁もあり、技能習得は簡単でない(大手建設会社の現場所長)」というのが理由だ。 東京都内の下請け会社は「難しい作業でけがや失敗をされたら困る。 海外からの実習生には安全で簡単な作業を割り当てることが多い。」と話す。 最近は建設現場の人手不足が深刻になり、「実習生を雇い入れたいと希望する業者が急増している(準大手ゼネコン幹部)」という。 技能実習の本来の目的である専門技術を外国人に担わせる会社も増えている。 ベトナムからの実習生を受け入れている向井建設(東京)は、2012 年から現地で職業訓練校を開いている。 倍率 3 - 4 倍の試験で選ばれた合格者に、高所作業、鉄筋、型枠の 3 職種を日本の熟練工が実地で指導する。 日本語や数学の授業もあり、約 4 カ月間訓練し、日本に技能実習生として送り込んでいる。 向井建設の向井●(= 矢の大が母、右に攵)雄会長は「きちんと訓練を受けた実習生はゼネコンも安心して採用してくれる」と語る。 向井建設が訓練した実習生は、大手ゼネコンが東京・銀座で手掛ける 13 階建ての商業ビルの建設工事に参加する。 帰国後は、現場の作業員の指導や監督をする立場になる予定だ。 実習生を受け入れる場合、企業は給料や渡航費などを含めた実習費や宿泊費の一部を負担する。 建設関連団体によると、実習費は 1 人当たり 3 年間で 700 万円余りとされる。 政府内に強い慎重論 法務省によると、01 年度から 12 年度までに建設分野の技能実習を申請した外国人は累計 4 万 2,557 人。 繊維業や機械・金属業が 12 年度に受け入れた技能実習生は、それぞれ 1 万人を超えたが、建設業では 4,500 人程度にとどまった。 ベトナムと日本政府は 13 年 3 月、建設分野の人材育成で協力することを申し合わせた。 国土交通省は、外国人実習生の受け入れ拡大が決まれば、「ベトナムから多くの若者が実習に来るだろう」とみている。 ただ、外国人の雇用を歯止めなく増やすことには、政府内で慎重論が強い。 08 年秋のリーマン・ショック後の不況で、ブラジルなどから来日していた外国人労働者が大量に職を失い、集住地域は混乱した。 帰国支援や失業保険給付などの財政負担も生じた。 外国人労働の範囲を広げれば、外国人は雇用の調整弁になる可能性があり、「単純労働の解禁などに踏み込むのはハードルが高い(内閣府幹部)」とみられる。 (Sankei Express = 1-5-14)
人手不足で注目集まる外国人実習制度、拡充に賛否両論 [東京] 建設現場などでの人手不足の対応策として、外国人技能実習制度が政府内で注目されつつある。 3 年間を上限と定めている期間の延長などが規制改革会議などで提言されているが、政府・与党内に慎重論も根強く本格的な検討に入るには曲折を経ることになりそうだ。 外国人技能実習制度とは、日本の技術を途上国に移転し人材育成を支援するため 1993 年に開始された。 財団法人国際研修協力機構 (JITCO) が制度を運営。 中小企業が集まり日本側の窓口となる協同組合を設立し、一定期間の研修後に企業に派遣することが多い。 この制度による国内在留外国人は現在約 15 万人。 この制度の趣旨は、日本企業が海外進出する際に現地で採用する労働力の確保を主眼とした制度だったが、ここに来て注目されているのは、産業界で人手不足の対策として同制度を活用した外国人労働力を確保したい意向が高まってきているからだ。 政府の規制改革会議は今年 10 月、創業・IT 分野の作業部会で、制度の受け入れ期間を 5 年程度まで延ばすことで大筋一致。 これを受けて首相官邸が設置した農林水産業・地域の活力創造本部がまとめた答申にも 5 年への延長が盛り込まれ、法務大臣に私的懇談会である「第 6 次出入国管理政策懇談会」で議論し、2014 年内に結論を得ることとなっている。 しかし、政府内で制度延長に対する合意が形成されてはおらず、議論の先行きは不透明だ。 政府内の主張を単純化すると、「官邸が前向き、厚生労働省が慎重、法務省は中立(政府関係者)」との構図だ。 慎重派は、国内で職に就かず学校にも通わないニートが多数いるにもかかわらず、外国人労働力を求めるのは拙速であるうえ、制度が賃金不払いなど不正の温床になっているなどの理由を上げる。 3 月に広島県で中国人実習生がカキ養殖業の経営者らを殺害する事件が発生したことから、治安上の懸念を指摘する声も多い。 日本労働組合総連合会は 9 3月、不正・違法行為のあった受け入れ機関が制度を利用できないように制度厳格化を求めた。 日本弁護士連合会は 6 月、人権上問題があるため制度廃止を求める意見書を出している。 これに対し、積極派は産業界だ。 日本経済団体連合会が 3 月、全国中小企業連合会が 8 月、それぞれ制度拡充の方向で見直しを行うべきとの意見書を出している。 農林水産加工業が集まる農村や漁村などでも高齢化が進み、加工業の労働力確保が難しくなっているため、実習を受ける外国人が実質的な労働力としての重要性を増している。 背景にあるのは深刻さが増す人手不足の問題だ。 2012 年度の国内総生産 (GDP) は、公共投資の伸びが推計値の前年度比 14.9% 増から確報値は 1.3% に大幅に下方修正された。 人手不足で公共工事の進捗が大幅に遅れた結果だ。 「体力が必要な建設現場は、ニートでは対応が難しい(別の政府関係者)」として、外国人労働力に期待が集まる背景となっている。 制度の廃止を求めている日弁連も、外国人の人権にも配慮したうえで非熟練労働者の受け入れを前提とした在留資格の創設を国会などで検討するよう提言している。 政府関係者の間でも、東南アジアの国々などとの就労ビザの拡充などを検討したいとの声も聞かれる。 日系ブラジル人と地域社会との間の摩擦などを参考に、外国人が日本社会に溶け込みやすい体制づくりについて、検討の余地があるとの声も浮上している。 JP モルガン証券・シニアエコノミストの足立正道氏は「日本社会最大の問題が人口減少。 農業や漁業の現場では、すでに外国人が必要とされている。 今すぐ必要な労働力については、研修制度の活用などが有効。」とみる。 安倍晋三政権は今月 26 日で発足から 2 年目に入り、ここから先の経済政策に注目が集まっている。 株式市場関係者の間では、1) 法人税引き下げ、2) 移民など外国人労働者の導入を求める声 - - などが多く、政府が外国人労働者について早期の本格的検討を始めれば注目されそうだ。 (竹本能文、Reuters = 12-24-13) |