半導体不足、新車の納期に遅れ 半年待ちのケースも

世界的な半導体不足の影響が、自動車の販売現場にも広がり始めている。 生産が追いつかず、人気の新型車では、注文から納車まで半年以上待たなければいけない例も出ている。 買い替えをあきらめる人もおり、メーカーや販売店などの業績にも影響しそうだ。

「6 月以降、(メーカーから店に)車が届く時期の遅れが目立つようになってきた。」

広島県内で複数メーカーの新車販売店を経営する、40 代男性は明かす。 従来は注文から 1 カ月強で納車できたが、2 - 3 カ月かかる車種も増えた。 この経営者は「買うのをやめるお客さんも出ている」と嘆く。 車検などを機に買い替えを検討する人は多いが、納期が間に合わないと知って断念する人もいるという。 そのため、車検を迎える人に営業を始める時期を前倒しするなど、対応に追われている。

関西のホンダの販売店主は、4 月に全面改良して発売したスポーツ用多目的車 (SUV) 「ヴェゼル」の場合、同店では「納期は早くて半年後で、年明けぐらいになる見込み」と話す。 東京の販売店関係者も「新車の引き合いは強いが、供給が追いついていない。 中古車に切り替えるという声も多い。」という。 日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が 7 月 1 日に発表した、6 月の新車販売台数は計 36 万 6 千台で、新型コロナ禍前の 2019 年 6 月の水準を 2 割弱、下回っている。 緊急事態宣言などの影響もあったが、「半導体不足による生産停止の広がりも一因。 販売の先行きは楽観できない。(全軽自連の広報)」とみる。

半導体は、国内外での寒波や工場火災などで生産が乱れて供給不足が深刻になり、今春ごろから自動車生産ラインの停止が目立ち始めた。 7 月も、マツダ、スバル、ダイハツ工業、スズキは 1 - 10 日間、操業を止める予定だ。 海外メーカー車も「生産が遅れている影響は大きい(独メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長)」といい、同様の状況にあるとみられる。

米コンサルティング会社のアリックスパートナーズは、21 年の自動車の世界生産は半導体不足の影響で約 5% にあたる 390 万台分が失われ、自動車業界に 1,100 億ドル(約 12 兆円)の損失になるとみている。 鈴木智之・マネージングディレクターは「半導体メーカーが、単価が高い家電やゲームなどの『巣ごもり需要』向けに生産を振り向けたこともあり、より自動車に回りにくくなった」とした上で「半導体は 21 年後半には増産が予定されており、供給量は増える見込みだが、22 年前半ごろまでは影響が続く可能性が高い」と指摘する。 (神山純一、asahi = 7-7-21)

前 報 (3-18-21)


日本初、山陽電鉄が AI の「踏切障害物検知システム」を導入 ベビーカーや車椅子など検知

山陽電気鉄道株式会社(以下、山陽電鉄)は、人特化型踏切障害物検知システムの導入を 2021 年 7 月から始める。 歩行者やベビーカー、車椅子など、これまでの障害物認知システムでは検知できなかった「人」を AI で検知し、踏切での接触事故を減らす。

踏切事故の 45% が歩行者と列車の衝突

踏切内の立ち入りや横断中の事故(踏切事故)は、保安設備の整備などで年々減少傾向にあるが、鉄道運転事故の 3 割強を占めている。 『令和 2 年版交通安全白書』によると、2019 年は 208 件の踏切事故が発生し、年間 100 名近くが亡くなっている(92 名、負傷者を含めると年間 208 名が事故に遭った)。 その踏切事故のうち 45.7% が、高齢者の渡り遅れをはじめとする歩行者との衝突事故だった。

山陽電鉄で今回導入されるのは、株式会社オプテージが提供する「踏切 AI 監視カメラソリューション」。 エッジデバイスで踏切映像をリアルタイム解析し、AI が人の立ち入り(異常)を検知したら停止信号を発光させて、運転士に緊急停止を促す。 同時にネットワーク経由で運転司令室に異常発生を知らせ、現地の踏切映像を確認できるようにする。 山陽電鉄は、昨年にオプテージと実施した実証実験の結果、従来のレーザーレーダー方式の障害物検知装置と比較して機能面で遜色がなく、 かつより安価なコストで運用できると判断した。 オプテージのリリースによると、以下の情報も得られたという。

  • 歩行者以外にも、車いす・電動カート・ベビーカー・手押し車などの帯同者を高い精度で検知可能
  • 誤検知による列車運行支障リスクが極めて低い
  • 異常を検知した場合、特殊信号発光機(停止信号)を現示させて運転士へ危険を報知可能。 同時に運転指令室へ直ちに警報発報が可能。 誤検知による列車運行支障リスクが極めて低い。
  • 交通量の多い踏切道でも問題なく動作可能誤検知による列車運行支障リスクが極めて低い
  • 既設の光センサー式障害物検知装置にアドオンし、 レーザーレーダー式障害物検知装置と同等以上の機能を安価に提供可能

オプテージは今後、 通行量調査や駅ホーム上での事故防止、支援が必要な方を見つけるなどといった応用も検討していくとのことだ。

他鉄道会社も AI での異常検知に関心、導入検討進む

山陽電鉄のリリースによると、同様の AI 監視システムを導入する事例は国内初とのことだが、踏切内の AI 異常検知の注目度は高まっている。 昨年から小田急電鉄や富士急行電鉄が実証実験を進めている。 小田急電鉄 1 回目の実証実験については、過去に Ledge.ai で取り上げている。 (Ledge.ai = 7-4-21)


ボーイング 777X 投入さらに遅延か、新たな安全性懸念が浮上

→ FAA は追加の試験飛行を要求、認証は 23 年半ばから後半以降と予想
→ 昨年の試験飛行中に操縦士の入力なしに機体が作動した件を問題視

米ボーイングの最新鋭機 777X はさらなるテストが必要となりそうだ。 昨年 12 月の試験飛行中に操縦士の入力なしに機体が作動した原因とみられる飛行制御ソフトウエアを含む複数の問題について、当局から対応を求められている。 米連邦航空局 (FAA) はボーイングに宛てた 5 月 13 日付の書簡で、問題への対応を要求。 これにより、「回帰テストの水準や変更影響分析が重大な影響を受け、実施が必要な試験飛行の回数が増える可能性があると予測している。」とした。

さらに、現時点で認証時期は 2023 年半ばから後半以降になる見込みで、作業には「追加のリソース」が必要になり、同社の他のプロジェクトが妨げられる可能性があると指摘した。 ボーイングは 1 月、初の 777X 引き渡しは 23 年遅くになる見通しだと発表していた。

FAA は 27 日の声明で、「FAA の安全・認証基準を満たさない限り、いかなる航空機も承認しない」と表明した。 FAA の書簡については、米紙シアトル・タイムズが先に報じていた。 ボーイングの広報担当者は発表資料で、「当社は 777X の開発全体で引き続き安全性を最重要視している」とした上で、「厳格な開発プロセスを通じ、該当する全ての要件を確実に満たせるよう取り組んでいる」と説明した。 (Alan Levin、Julie Johnsson、Layan Odeh、Bloomberg = 6-28-21)


鉄道業界で初! 東京メトロがデプスカメラと AI で列車混雑をリアルタイム計測
デプスカメラ、主要駅に順次設置

東京メトロは、上野グリーンソリューションズ(横浜市)と共にデプスカメラと人工知能 (AI) を用いた列車混雑計測システムの開発に取り組んでいる。 奥行きの情報を取得する深度センサーを内蔵したデプスカメラを用いて列車混雑をリアルタイムで計測するのは、鉄道業界で初めての試みという。 2021 年度中をめどに、東京メトロ各路線の主要駅に順次設置していく計画だ。

号車ごとに算出

これまで列車の混雑状況は、車両の重さや駅ホームでの人による目視で把握するケースが一般的だった。 だが「車両の重さを用いた手法では、相互に乗り入れをしている他社の列車の混雑状況までを把握することは難しかった(吉野秀行運転部輸送課主任)」という。 開発したシステムはデプスカメラをホーム端に設置し、駅を出発する列車内を撮影する。 撮影した映像からエッジサーバーで混雑情報をテキストデータ化し、クラウドサーバーへ送信する。 クラウド上では機械学習をした AI によって分析、解析させることにより、駅を出発してから十数秒で列車の混雑状況を号車ごとに算出する。

一つのホーム当たりデプスカメラ 1 台を設置することで、駅を出発する列車内の混雑状況をすべて計測できる。 このため「新たに開発したシステムでは、相互乗り入れする他社の列車であってもリアルタイムに計測することが可能(同)」という。 解析したデータはアプリなどを通じ、リアルタイムで混雑状況を利用者に提供していく考えだ。

状況を可視化

これまでに丸ノ内線新宿駅でデプスカメラを設置し、測定したところ、車両の重さとデプスカメラで計算した結果の決定係数は 0.97 で予測できることを確認した。「AI を使って混雑状況を可視化でき、さまざまな車両に対応できる」と運転部輸送課の足立茂章課長補佐は期待する。 東京メトロでは全駅改札口の 1 週間平均での時間帯ごとの混雑状況や、全路線全区間の 1 週間平均での時間帯ごとの混雑状況の情報をホームページやアプリで情報提供してきた。 今後はデプスカメラと AI を組み合わせた列車混雑計測システムにより、リアルタイムで車両ごとの混雑状況の把握ができるようになる。

安心な空間

新型コロナウイルスの感染拡大により、鉄道会社においても対策が求められるようになった。 同社では安心な空間、パーソナライズド、デジタルに基づいた施策の一環として列車混雑計測システムを展開していく。 (浅海宏規、NewSwitch = 6-23-21)


八戸と苫小牧、新フェリー就航 ドッグランも?

青森・八戸港と北海道の苫小牧港を結ぶフェリーを運航する川崎近海汽船(東京)は、新フェリー「シルバーブリーズ(約 8,900トン)」を 16 日の八戸発の便から就航する。 トラックの運転手を対象としたドライバーズルームを個室化し、ペット同伴も増やすなど利用者のニーズを取り入れた。

同社は 14 日、シルバーブリーズを報道陣に公開した。 同社によると、シルバーブリーズは老朽化した「べにりあ(6,558 トン)」の代わりの位置づけ。 全長約 150 メートルで、トラック 70 台、乗用車 30 台を積載できる。 定員は 400 人。 トラック運転手向けの客室を全て個室化し、約 80 室を設置。 ペットを同伴できる部屋を増やしたほか、ドッグランのスペースもある。

八戸 - 苫小牧間を片道 8 時間で運航する。 同社八戸支社の尾亦祐太課長代理は「北海道と本州を結ぶ役割を果たしていきたい。 船内はコロナ対策をしっかりしているので、安心して利用してほしい。」と呼びかけた。 (横山蔵利、asahi = 6-16-21)


VW 新型ゴルフ発売 デジタル化と電動化が進んだ 8 代目

独フォルクスワーゲン (VW) 日本法人の VW グループジャパンは 15 日、8 代目となる新型「ゴルフ」を国内発売した。 8 年ぶりの全面改良で、デジタル化と電動化を大きく進展させた。 ゴルフは 1974 年に初代が登場。 それまで VW の主力だったビートルが採用していた空冷エンジン RR レイアウトから一転、現代的な FF ハッチバックとなった。

巨匠ジョルジェット・ジウジアーロのデザインによる清新なスタイリングと高い質感で世界的にヒット。 以来、世界中のメーカーにとって小型ハッチバックのベンチマークとして君臨する。 2012 年発表(翌 13 年に国内投入)の 7 代目は、輸入車として初の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。 新型となる 8 代目は、本国では 2019 年 12 月に発売。 世界的なコロナ禍の影響で、2 年遅れの国内投入となった。

先代で全面刷新した新型プラットフォーム「MQB」を継承する一方で、パワートレーンは大きく変わった。 国内投入される 1 リッター 3 気筒と 1.5 リッター 4 気筒の直噴ターボいずれにも、VW 初となる 48V マイルドハイブリッドシステムが組み込まれている。 また、先代の長いモデルライフの間にライバルに後れを取っていた運転支援システムも、全速度域での車線保持アシストが可能になるなど最新の水準にアップデートされた。

15 日の発表会で VW グループジャパンのティル・シェア社長は「最新のテクノロジーを搭載した、歴代で最良のゴルフ」と PR した。 価格は消費税込み 291 万 6 千 - 375 万 5 千円。 VW グループジャパンによると、すでに 2,500 台超の先行受注があるという。

【短評】 スムーズで静かな 1 リッター 3 気筒

15 日に国内発売された新型ゴルフを、東京・竹芝の発表会場周辺で公道試乗した。 試乗グレードは 1 リッター 3 気筒ターボの「eTSI アクティブ」。 さしあたって国内導入されるグレードは、装備の豪華さに応じて 1 リッター 2 種と 1.5 リッター 2 種の計 4 グレード。 いずれも「eTSI」を名乗る 48V マイルドハイブリッド仕様となる。 高電圧のリチウムイオン電池で最小限のモーターアシストをまかなう。 欧州の各メーカーにまたがる共通規格で、日本車で普及するストロングハイブリッドに比べて低コストなのが利点だ。

VW が先鞭をつけた 2 ペダルのツインクラッチ「DSG」は 7 速まで多段化し、加速のダイレクト感はそのままに変速ショックも小さくなった。 さらにモーターアシストの恩恵で、発進もスムーズ。 1 リッターの加速性能も、街中を走る中低速では十分だ。 アクセルを踏み込まない限り、コンパクトな 3 気筒エンジンは極めて静かに回る。 先代の 7 代目は車格を超えた高い質感の一方、初代以来の質実剛健ぶりが印象的だった。 そういう意味で 8 代目は、先代とはアプローチがやや異なる。

いかつい印象の細長い LED ヘッドライトや、全面デジタルのメーターパネルとセンターのインフォテイメントシステムから連なる鋭利なインパネ造形、センターコンソールに埋没するかのように存在感を極限まで打ち消したシフトレバーなど、未来的テイストをふんだんに取り入れた。

プレーンでオーソドックスなゆえに、時に凡庸で退屈だと指摘されてきた VW のデザインだが、派手さを強調する日欧のライバルに触発されて、同じ路線に舵を切った印象だ。 ゴルフを代々乗り継いできたオーナーが、これをどう受け止めるかは興味深いが、先代までの保守的なイメージを一挙に払拭できたのは間違いない。 本国ではすでに高性能モデル「GTI」も発表されている。 いかつさを増した顔つきには大パワーと野太い排気音が似合う。 素のゴルフは新型の国内投入が大きく遅れたが、こちらはぜひ、早期の発売を望みたい。 (北林慎也、asahi = 6-15-21)


自動車保険料が値下げへ 下げ幅目安は 4% 台の見通し

任意加入の自動車保険料が値下げされる見通しだ。 事故の減少などを受け、保険料の目安「参考純率」が引き下げられるため。 関係者によると、下げ幅は 4% 台が軸になるとみられる。 参考純率は業界団体・損害保険料率算出機構が保険金支払い実績などをもとに出している。 機構は月内にも開く会合で新料率を固め、金融庁の審査後に発表する。 自動車保険での改定は、軽乗用車の料率を型式ごとに 3 段階に分けると決めた 2018 年以来、3 年ぶり。

損保大手各社は自動車保険料を今年にすでに小幅値下げしており、22 年以降も下げる方向。 ただ、値下げ幅は 4% 台より小さくなる可能性もある。 損保大手幹部は「補償を手厚くして対応し、保険料自体はあまり値下げしない会社もあるのでは」と話す。

警察庁の統計によると、交通事故は 00 年代初頭に年 90 万件を超え、近年は減る傾向だ。 19 年は前年より 1 割減の 38 万 1 千件で、コロナの感染拡大後の 20 年はさらに 2 割ほど減って約 30 万 9 千件だった。 事故減少は自動ブレーキ搭載車が増えるなど、車の安全性能向上の影響も大きい。 加入が義務づけられている自動車損害賠償責任保険(自賠責)の保険料は 4 月に平均 6.7% 下げられた。 (山下裕志、asahi = 6-7-21)


北海道新幹線 144 億円赤字 コロナで初の 100 億円超

JR 北海道は 4 日、2020 年度の線区別の収支を発表した。 新型コロナウイルスの影響で旅客需要が激減し、全 22 線区すべてで営業赤字となり、赤字額は前年度(551 億円)より 289 億円悪化し、過去最大の 841 億円だった。 全線区の赤字は、線区別収支の公表を始めた 2014 年度以降、7 期連続。北海道新幹線(新青森 - 新函館北斗)は過去最大の 144 億円の赤字で、赤字額は初めて 100 億円を超えた。

北海道新幹線の利用人数は 1 日 1,500 人(前年度比 65% 減)にとどまり、営業収益は 40 億円(前年度比 55.6% 減)。 営業費用は前年度とほぼ変わらない 185 億円(同 0.1% 減)だった。 過去最悪の営業赤字だった 17 年度の 98 億円より大幅に収支が悪化した。

北海道新幹線は 30 年度末の札幌延伸を前提に車両や設備が整えており、部分開業の現状では構造的な赤字だ。 ただ、コロナ禍で想定以上に赤字が拡大した形となった。 JR 北は 21 年度末は 1 日 2,200 人まで利用人数が増えると見込んでいる。 渡利千春常務は 4 日の会見で「北海道新幹線は、ビジネス需要より観光需要が多く、コロナ禍が収まってくれば(利用客は)戻ってくると思う」と話した。

在来線では、札幌圏の 4 線区が新千歳空港からの観光・ビジネス客の減少などで、営業収益が前年度の 4 割減の 245 億円、営業赤字は 178 億円(前年度は 22 億円の赤字)となった。 「単独では維持困難」として、バス転換の協議を沿線自治体と続けている留萌線(深川 - 留萌)は 6 億 2,700 万円の赤字、根室線の富良野 - 新得は 7 億 3,400 万円の赤字で、それぞれ赤字幅は 1 億円前後改善した。 (佐藤亜季、asahi = 6-4-21)

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JR 北海道、赤字 410 億円 利用客大幅減で過去最大 21 年 3 月期

JR 北海道が 4 月 30 日発表した 2021 年 3 月期の連結決算は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い鉄道利用客が大幅に減るなどして、最終(当期)損益は過去最大の 410 億円の赤字となった。 本業のもうけを示す営業損益も過去最大の 805 億円の赤字で、7 期連続で赤字額を更新した。

売上高は前年同期比 553 億円減の 1,119 億円となった。 鉄道運輸収入は前年度の 706 億円から半減し、354 億円。 このうち在来線は 328 億円(前年同期比 301 億円減)、北海道新幹線は 26 億円(同 50 億円減)となった。 国からの支援金 176 億円などを計上したが、新型コロナの影響に加え、日高線の一部廃線に伴う費用などがかさんだ。 グループ会社の収益も大幅に落ち込んだ。 JR 札幌駅ビルを運営する札幌駅総合開発は 2005 年の合併以降、黒字が続いていたが、初の赤字となった。 また JR 北は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構から 300 億円の出資を 30 日付で受けたと発表した。 車両の新造などに活用する。 (土谷純一、mainichi = 5-1-21)

前 報 (12-25-20)


鉄道はビジネスかボランティアか コロナで露呈した矛盾

持続可能な社会の構築

記事コピー (6-1-21)


エア・ドゥとソラシド、経営統合発表 コロナで業績低迷

北海道が拠点のエア・ドゥ(札幌市)と、九州を中心に路線を持つソラシドエア(宮崎市)は 31 日、共同持ち株会社を来年 10 月をめどに設立すると発表した。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が低迷する中、経営統合に踏み切る。 一方、傘下に入る 2 社の経営の独立性は維持する。

同日、基本合意書を交わした。 調達などの業務を一緒に行うことで、収益の改善をはかる狙いがある。 持ち株会社の経営体制や出資比率などは今後詰めるという。 この日、両社が発表した 2021 年 3 月期決算は、最終的なもうけを示す純損益がエア・ドゥは 121 億円、ソラシドエアが 76 億円の赤字だった。 コロナ後も需要が元に戻るかは不透明で、経営の立て直しが急務になっている。

財務基盤も強化する。 日本政策投資銀行や地元金融機関が優先株を引き受け、エア・ドゥに 70 億円、ソラシドエアに 25 億円の資本支援を実施する。 ただ、路線網や運賃、発着時間など航空事業の柱となる戦略は、それぞれが引き続き独立して判断する。 コスト削減効果が高い分野での協業に踏み込まないのは、ドル箱である羽田空港の発着枠の維持を優先するためだ。路線網を調整するなど事業面でも一体化を進めれば、国土交通省の規定に抵触して、発着枠が減らされる可能性がある。 (asahi = 5-31-21)


近鉄「ひのとり」ブルーリボン賞 「伝統的景観と調和」

全国の鉄道愛好家らでつくる「鉄道友の会」は 26 日、ブルーリボン賞に近畿日本鉄道の特急電車 80000 系「ひのとり」を選んだと発表した。 ひのとりは 2020 年 3 月から大阪難波と近鉄名古屋を結ぶ名阪特急として運行している。 外観はつやのある深い赤色が特徴で、座席にはリクライニングしても後ろに影響しないバックシェルを採用している。 同会は「沿線の伝統的景観とも調和しており、完成度が極めて高く魅力あふれる車両」と評価した。

同賞は前年に営業運転を始めた車両の中から、会員の投票に基づき、最優秀と認められた車両に贈られる。 近鉄の受賞は 14 年の観光特急「しまかぜ」以来 7 年ぶり 9 回目。 名阪特急では 1960 年に 10100 系「2 代目ビスタカー」、78 年に 12400 系「サニーカー」、79 年に 30000 系「3 代目ビスタカー」、89 年に 21000 系「アーバンライナー」、2003 年に 21020 系「アーバンライナー・ネクスト」が受賞している。 同社は「より快適に、より楽しんでいただける車両づくりに努める」とコメントした。 (鈴木智之、asahi = 5-26-21)


初の「災害医療船」運航へ NPO、離島連絡船を改装

東日本大震災や熊本地震など国内外の被災地で救援活動に取り組んできた NPO (非営利組織)が、中古船を改装して「災害医療船」をつくり、出港準備が整った。 NPO によると、医療を主目的とした船は国内初。 陸路が寸断された被災地や離島への医療支援の拠点とし、物資輸送にも活用しようという構想だ。 船を運営するのは NPO 法人「ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、本部 = 広島県神石高原町)」。 国内外に拠点を持ち、人道支援や災害時の緊急支援活動で知られる。

医療船の構想は、東日本大震災を機に生まれた。 広範囲に壊滅的な被害を受けた直後の被災地では、活動に使う車の給油すらままならず、救援チームが活動する拠点を確保するのにも苦労したという。 船は、香川県観音寺市で離島連絡船「いぶき」として使われていたものを昨年 780 万円で購入。 全長 34 メートル、137 トン。 船内を改装し、血液や尿の検査ができる機器を配備し、有事には X 線や超音波を使う可搬型の検査機器も持ち込む。

手術や高度医療を施すまでの設備はないが、「街の診療所レベル」の機器を備え、PWJ の医師らが診察や治療にあたる。 障害者ら「災害弱者」の船内への受け入れも想定している。 新型コロナウイルス感染症の影響で支援活動が制限された昨年 7 月の九州の豪雨災害の経験も踏まえ、災害ボランティアの PCR 検査をする態勢も整えた。

船には物資約 20 トンを積むことができ、常時 10 トンの物資を備蓄している。 災害発生時は、ヤフーと協力して 2017 年に立ち上げた災害支援の仕組み「SEMA」を活用し、必要な物資・サービスを加盟企業や市民団体から港で受け、船に積み込む。 300 人が 7 日間過ごせる食料と水、燃料を運べるという。 船長の杉本陸さん (27) は「車のように道路事情に左右されず、ヘリほど天候の影響も受けない。 自己完結型の支援拠点にもなるので中長期の滞在が可能になる。」と話す。 現在は愛媛県新居浜市で停泊しており、平時には防災教育や啓発の場としての活用も考えているという。

PWJ は過去の災害時には、佐賀市を拠点とする NPO 法人「アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PAD ジャパン)」とともにレスキューチーム「ARROWS」を組織し、佐賀大学医学部付属病院の高度救命救急センターの医療チームや、PWJ のレスキューチームを専用プロペラ機やヘリで国内外の津波や地震、豪雨災害の被災地に運んだ。 船の配備により、今後の災害時には、ARROWS がプロペラ機やヘリに医療団を乗せて被災地に飛び、医療船が後から海路で物資を運びつつ、後方支援と医療の拠点としての機能を担うことを目指すという。

18 年に PWJ に入り医療船プロジェクトに携わってきた船長の杉本さんは「いち船乗りとして被災地のために何かしたい」と考えてきたという。 富山高専商船学科(富山市)在学中に東日本大震災を経験し、貨物船員を経て PWJ に転じた後は、アフリカで活動する NGO の病院船で船員として働いた経験もあり、揺れる船上で医療行為をサポートする方法やボランティアのチーム作りなど、医療船に生かすノウハウを学んだという。 杉本さんは「社会として次に起こりうる大災害と向き合わないといけない。 『いぶき』は小さいが、災害時には必ず役に立つ。」と話す。

PWJ では、医療船の医療資機材の充実や検査試薬などの購入、運航渡航費に充てるため 300 万円を目標に「Yahoo! ネット募金」で寄付を募っている。 (平塚学、asahi = 5-17-21)

ピースウィンズ・ジャパン (PWJ) : 1996 年に設立。 アジアやアフリカなど海外に事業所を置くほか、広島の本部に加えて東京に事業所、佐賀に事務所を置く。 国内外の人道支援や災害時の緊急支援で知られる。 独自で東ティモール産のコーヒー豆のフェアトレードの事業を展開。 企業や個人からの寄付、ふるさと納税や国連などからの補助金も受ける。 公開している会計報告では、2019 年度(19 年 2 月 - 20 年 1 月)の収益は約 46 億円。 国内の災害 NPO 関係者からも「PWJ は別格」と評される。


首都高速道路、都心環状線の呉服橋・江戸橋出入口を廃止

首都高速道路は、都心環状線の呉服橋・江戸橋出入口を、5 月 10 日午前 0 時をもって廃止した。 神田橋ジャンクション (JCT) - 江戸橋 JCT 間の約 1.8 キロを地下ルートで整備する、首都高速道路日本橋区間地下化事業の実施に伴うもの。 2040 年の開通を目指す。 日本橋川上空の首都高速道路は、都心部の渋滞解消のために建設され、東京オリンピックの開催前の 1963 年に開通。

現在この区間は、1 日あたり 10 万台が走行することから、鋼橋の接続部や支承部に披露亀裂が見受けられるなど、構造物の損傷が激しく、更新が必要な状態となっている。 日本橋川周辺は、国家戦略特区の都市再生プロジェクトに位置づけられており、立体道路制度を活用し、建物の地下にトンネルを整備することで、構造物の更新を図る。 これに伴い、一部のバス会社では、運行経路を変更することを発表している。 首都高速道路では、近隣の出入り口を使用するよう求めている。 (Traicy = 5-10-21)


JAL 機内食で有名温泉宿の味堪能 米沢牛や比内地鶏も

日本航空の国内線ファーストクラスで提供されている 5 月の機内食(夕食)に、山形県南陽市赤湯の温泉宿「山形座 瀧波」監修のメニューが登場する。 山形と秋田の旬の食材を取り入れた 3 パターンがこのほど報道公開された。 日航は、羽田発着の札幌(新千歳)、大阪(伊丹)、福岡、沖縄(那覇)便にファーストクラスを設定。 夕食には、有名店から監修を受けた都道府県ごとのメニューを月替わりで出している。 今年 4 - 5 月は東日本大震災から 10 年ということで、東北地方の応援を特集。 4 月が岩手・宮城・福島、5 月が山形・秋田と、異例の広域メニューとなった。

メニューを考えたのは瀧波の大前拓也料理長だ。 メインディッシュは、@ 米沢牛内もも肉のローストビーフ、A 山形県魚のサクラマス、B 秋田名物の比内地鶏の 3 パターンで、いも煮や冷や汁、サクランボ、青菜、秘伝豆、舟形マッシュルームといった山形県産と、いぶりがっこにきりたんぽ、ハタハタ、ジュンサイ、根曲がりなど秋田県産の旬の食材を組み合わせた。 ご飯には南陽市の農業生産法人・黒澤ファームの有機栽培米「夢ごこち」が選ばれた。

大前料理長は「羽田 - 伊丹間は飛行時間が短いため温めるには時間が足りず、冷たいまま出しても楽しめる内容が前提となる。 山形・秋田は食材が豊富なだけに、料理の組み合わせには苦労した」と話す。 試作も 20 回はしたという。 「気圧の変化で食べる人の味覚も変わる。 経験のない大きなチャレンジだった。」 (鵜沼照都、asahi = 4-30-21)


JR 東海が一時帰休再延長 6 月末まで 1 日 300 人規模

JR 東海は 30 日、4 月末までとしていた従業員の一時帰休の実施期間を 6 月末まで延長すると発表した。 駅や車両所などに勤務する社員が対象で、1 日あたり 300 人規模。同日、労働組合に提案した。 同社は新型コロナウイルスの影響で業務が減っていることなどから 1 月 25 日から 1 日 400 人規模の一時帰休を実施し、4 月 1 日からは新幹線乗務員らを中心に、1 日 300 人規模で続けてきた。 一時帰休中の給与は、通常と同じ額を支払う。 同社広報は「7 月以降の対応は社会情勢を見極めながら必要に応じて検討していく」としている。 コロナ禍で新幹線の利用が低迷しており、4 月の利用者数はコロナ前の 2018 年の同月と比べて、4 割程度にとどまっている。 (今泉奏、asahi = 4-30-21)

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全日空、大型連休に追加減便 緊急事態宣言受け

全日本空輸は 27 日、春の大型連休期間を含む 5 月 1 - 12 日に国内線 776 便の運航を追加で取りやめると発表した。 新型コロナウイルス感染拡大を受けた 3 度目の緊急事態宣言の発令で旅客需要が低迷しているため。 連休期間の 4 月 29 日 - 5 月 5 日の運航率は 2020 年度の事業計画比で 81% から 77% に、5 月全体では 63% から 60% にそれぞれ下がる。 (jiji = 4-27-21)

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GW 中の平日、JR 東が 101 本減便 山手線など 7 路線

緊急事態宣言を受け、R 東日本は 27 日、大型連休の合間の 30 日、5 月 6、7 日の平日の列車を 1 日あたり 101 本減便すると発表した。 山手線など 7 路線を対象に通勤時間帯(主に午前 6 - 8 時)に限定して運休する。 各路線とも通常の 8 割程度となる。 国や都からの要請を受けての対応だという。 朝の通勤時間帯では、▽ 山手線が 22、▽ 京浜東北・根岸線 18、▽ 中央線快速 14、▽ 中央・総武線各駅停車 19、▽ 青梅線 4、▽ 常磐線快速 1、▽ 京葉線 10 本。 夕方は、▽ 山手線 9、▽ 京浜東北・根岸線 2、▽ 中央・総武線各駅停車 2 の計 13 本で、通常の 9 割以上は確保したという。

JR 担当者は「終電繰り上げや回送運転などはせず、要請から短い範囲で対応した」と説明する。 東京メトロも同日、連休の合間での一部列車運休を発表した。 平日の朝の通勤時間帯で銀座線、丸ノ内線、東西線、南北線の 4 路線。 1 日あたり計 28 本を運休する。 他社との乗り入れが無い路線などに限定。 朝のラッシュ時に運転本数が減るが、「もともと混雑率はそこまで高くなかったので、許容できると考えている」と担当者は話している。 (asahi = 4-27-21)

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航空・鉄道各社、減便検討始める GW の予約、鈍い伸び

航空会社や鉄道会社は緊急事態宣言の決定を受け、減便などの検討を始めた。 すでに GW 期間中の予約が入っており、各社は対応を協議していくという。 JR 東日本や首都圏の大手私鉄は今年 1 月、2 回目の緊急事態宣言を受け、最大 30 分程度、終電時間を繰り上げた。 宣言期間が続いていた 3 月に、もともと予定していたダイヤ改定を実施し、通常時の終電時刻も早めたばかりだった。 東京メトロは「(国や東京都などの)要請に応じて検討する」、東急電鉄も「要請にそって終電繰り上げも含め、色々な選択肢を検討している」とする。 私鉄関係者は「新ダイヤで終電が繰り上げられたばかり。 これ以上繰り上げれば医療従事者などエッセンシャルワーカーに迷惑がかからないか。」と気をもむ。

航空各社も需要への影響を見極めたうえで対応を検討する構えだ。 日本航空によると、同社グループのゴールデンウィーク(4 月 29 日 - 5 月 5 日)の予約数は 23 日時点で国内線が約 32.6 万人で予約率 49.5%。 予約数はコロナ禍前の一昨年と比べて約 4 割の規模だ。 同社では 21 日にも国内線 8 便の減便を発表したばかり。 最近は予約の伸びが鈍い傾向があったという。 担当者は「需要によっては減便を検討する可能性があり、動向に注目したい」と話す。

全日空もグループの予約は国内線で約 44 万 4 千人で前々年の約 4 割。 国際線は 4.2% の規模だ。 「発令を受けての減便は検討していないが、予約状況をみて対応を判断する」という。 一方、ジェットスター・ジャパンはすでに減便の検討を始めている。 4 月の重点防止措置の適用後に徐々に移動を控える傾向が出てきていたという。 担当者は「宣言が出ればさらに移動を控える可能性がある」とみている。 (小川崇、磯部征紀、asahi = 4-23-21)


地方都市の鉄道も「上下分離」 支援なしでは厳しい経営

消滅可能性国家 - 日本

記事コピー (4-18-21)


ANA がドローン配送 22 年度から離島や山間部で

ANA ホールディングス (HD) が 2022 年度から、ドローン(小型無人機)による医薬品や日用品の配送事業を行う方針であることが 14 日、分かった。 全国の離島や山間地域で物流サービスを提供する。 新型コロナウイルス流行で業績が悪化する中、事業の多角化で新たな収益源を確保したい考え。 (jiji = 4-14-21)

前 報 (11-21-20)


佐川急便、中国製小型 EV を導入 ガソリン車下回る廉価か

記事の主体を製造元にするのか、それとも納入先に焦点を当てるのかで、読み取るニュアンスがこんなに違ってくるものである。 宅配便大手の佐川急便が、宅配事業で使用する全ての軽自動車 7,200 台を電気自動車 (EV) に切り替えると発表した。 世界で加速する脱炭素に向けた取り組みで、2022 年 9 月から導入を開始、2030 年度までに段階的に切り替える計画だという。

ここまで読めば、佐川急便に軽の EV を納入するのは一体どこのメーカーなのかが気になるものだが、読売などの記事によればベンチャーの ASF (東京・港)が手を挙げ、20 年 6 月から共同で企画開発。 実際の車両は広西汽車集団が供給するという。 また、きょうの日経は「中国小型 EV 日本上陸」との大きなタイトルで「中国の自動車・部品メーカー、広西汽車集団が小型商用の EV を日本企業に供給する」などと、1 面で取り上げている。 それによると、SGホールディングス傘下の佐川急便が国内での配送用トラックとして 7200 台採用することを決めたとも報じており、佐川の発表と合致する。

ただ、日経は生産を担当する広西のグループ企業を取材し「量産に向けた準備を進めている」とコメント。 「日本の自動車メーカーが手薄な小型商用分野を市場開拓の足がかりにする。」 さらに、車両価格について、佐川は明らかにしていないが「現状のガソリン車の軽ミニバンの 130 万 - 150 万円を下回る水準とみられる」とも伝えている。 もっとも、車両価格の部分は早刷りの 12 版まで掲載。 最終版には削除されているのが不可解だ。 (Response = 4-14-21)


パスポートなし「顔パス」で国際線に 成田・羽田で実験

成田空港と羽田空港で、顔認証システムを利用した「顔パス搭乗」の実証実験が始まった。 国際線に乗る際、パスポートや搭乗券を提示しなくても搭乗ゲートなどを通過できるようにするための実験で、混雑緩和や定時運航、非対面手続きによる新型コロナウイルス感染拡大防止などの効果が期待される。 両空港では、一般客向けには 7 月から一部で運用が始まる予定だ。 成田空港で 13 日、搭乗客役のスタッフらによる実証実験の様子が報道陣に公開された。 まず、自動チェックイン機で顔認証を使うか使わないかを選択。 顔認証を選ぶと顔写真が撮影され、パスポートに埋め込まれている IC チップの顔写真のデータとの照合で本人かどうか確認される。

その後は、パスポートや搭乗券を提示しなくても、カメラに顔を向けるだけで自動手荷物預け機を使えたり、保安検査場入り口や、飛行機に乗り込む搭乗ゲートを通過できたりする。 ただ、マスクは外す必要がある。 また、出国審査のシステムは、この顔認証とは連動していない。 成田空港では全日空と日本航空の各 1 カ所のチェックインカウンターから、羽田空港では両社を中心に 9 カ所のチェックインカウンターから導入され、順次、この手続きが使える場所を増やしていく方針だ。 (上沢博之、asahi = 4-13-21)


新東名 - 中央道が直結 10 日にバイパス開通、渋滞解消に期待

富士北麓地域と静岡県御殿場地域を結ぶ国道 138 号バイパスと新東名高速の一部区間が 10 日午後 4 時、同時に開通する。 東富士五湖道路を経て新東名と中央道が接続することになり、交通渋滞が常態化している同 138 号を経ずに日本の大動脈が直結される。 山梨県東部地域の産業、観光への波及効果は大きいとみられ、コロナ禍で経済の落ち込みに悩む富士北麓地域は大きな期待を寄せている。

国土交通省などによると、開通するのは、国道 138 号バイパス須走口南インターチェンジ (IC) - 新東名新御殿場 IC の約 5.2 キロと、新御殿場 IC - 新東名御殿場ジャンクション (JCT) の約 7.1 キロ。 中央道に接続する東富士五湖道路は須走口南 IC まですでに開通しており、通常は 138 号を経由して約 72 分の富士吉田市 - 静岡県沼津市が約 10 分短縮される。 地元からは、観光シーズンには国道が混雑し、富士吉田市 - 御殿場市は渋滞時、通常(約 40 分)の 2 倍の時間を要するとの指摘もあり、渋滞の解消にも役立つ。

また新東名は、東名高速と接続する御殿場 JCT から、終点の豊田東 JCT (愛知県豊田市)が開通済み。 新東名は 2023 年度までに東京方面まで開通する見通しで、東名高速や名神高速を経て、富士北麓地域から首都圏や東海、阪神地域へのアクセスも向上する。 この結果、富士吉田市によると、これまで静岡県までにとどまっていた関東、関西地区の企業進出が、富士北麓地域まで広がる可能性がある。 観光面でも北麓地域と縁が薄かった近畿地方からの観光客の流入が期待できる。 また防災面でも、富士山噴火の場合は、中央道などによる甲府、東京方面への避難のほか、伊豆、箱根、関西方面など複数の避難路が確保できる。

山中湖を除く富士 4 湖の観光協会でつくる富士河口湖町観光連盟によると、コロナ禍で富士北麓の観光施設の売り上げは 6 割減少したとされ、山下茂理事長は「大いに期待している。 富士北麓が通過点にならないためにも、(開通を)県内を回遊する観光誘客のチャンスととらえ、県内観光の新たな玄関口として山梨県の魅力を発信したい」と話した。 (山本悟、mainichi = 4-9-21)