発信されない「通行不能」 雪の立ち往生こうして起きた

大雪による幹線道路の立ち往生が相次いでいる。 7 日からの豪雪では福井、富山両県のほか、新潟県内でも上越市の国道 8 号で多数の車が動けなくなった。 約 2,100 台が雪に閉じ込められた先月の関越道での立ち往生の原因を探ると、十分とはいえない情報発信と関係機関の連携不足が見えてきた。 (丸数字は時系列表に対応)

直接の引き金は、1 台の大型トラックだった

前日からの大雪が続いていた先月 16 日午後 5 時 52 分、関越道塩沢石打インターチェンジ(IC、南魚沼市)近くでトラックが 2 車線をふさぐ形で動けなくなり、上り線は通行不能になった 《B》。 チェーンは着けていなかった。 ここから実に 52 時間にわたる立ち往生が始まる。 それは、その前後に周辺で起きた三つの交通障害も影響していた。 4 時間あまり前の午後 1 時半、28 キロほど新潟寄りの小出 IC (魚沼市)付近で事故があり、関越道は六日町 IC (南魚沼市)までの上り線が通行止めになった 《@》。 並行する国道 17 号でも、同じ頃に南魚沼と湯沢の市町境近くで車 3 台が動けず渋滞が発生 《A》、午後 8 時半には六日町駅(南魚沼市)近くで故障車による通行止めもあった 《C》。

関越道と国道 17 号。 それぞれを管理する NEXCO 東日本新潟支社と長岡国道事務所(長国)は、当時の交通障害をツイッターなどで発信した。 しかし、その量と内容に問題があった。 NEXCO は、通行止め情報やその解除はツイッターで告知しながら、通行不能情報は全く発信しなかった。 高速道路の情報板でも「通行止めを優先的に表示し、その先の通行不能は表示しなかった。(新潟支社広報課)」 国道 17 号の通行止めや渋滞を避けるため、多くの車が B の通行不能を知らずに関越道に入り、立ち往生に巻き込まれたとみられる。 実際に「国道 17 号も通行止め、高速も動き出したから乗ったのに、乗った瞬間から動きません」というツイートが残っている。 同社の情報発信量も多いとはいえず、この日午後の関越道に関するツイッター投稿はわずか 6 件だった。

関越自動車道と国道 17 号の車両立ち往生
12月16日午後1時半《関越》 小出 IC (上り)付近で事故
小出 IC - 六日町 IC (同)通行止め
@
《17号》 湯沢堀切で 3 台が走行不能にA
同5時52分《関越》 塩沢石打 IC (上り)付近で大型車立ち往生B
同6時40分《関越》 小出 IC - 六日町 IC 通行止め解除
同8時半《17号》 六日町駅前で故障車による通行止めC

ツイッターで情報収集、NEXCO 「発想も態勢もなかった」

一方、長国の国道 17 号に関する投稿は NEXCO より多く、地元 FM も用いて発信した。 この情報量の差も、国道 17 号から関越道への車の流入を促し、立ち往生の車列をさらに延ばしたとみられる。 「情報が全くない」、「渋滞じゃない。立ち往生だ」、「飲まず食わずで先が見えないのは辛過ぎます」。 深夜、こうした関越道の窮状を訴える投稿が増え始めていたが、NEXCO は即応しなかった。 「ツイッターで情報を収集するという発想も態勢もなかった。(同)」 「車の周りに雪が積もってます。 2 次立ち往生も発生するよ。」 心配する投稿の予想通り、B の現場では午後 11 時にトラックは撤去されたが、その後方に伸びた車列はすでに積雪で動けず、立ち往生の規模は拡大していった。

NEXCO の発表では、日付が変わった直後の 17 日午前 0 時 10 分、「国(長国)と協議。 関越道の通行止めは見送る。」とあるが、「通行止めをするかしないかの協議をしたわけではなく、国道 17 号の状況を伝えただけ」と長国。 NEXCO も取材に対し、C の通行止めが続く国道 17 号の状況を考慮して関越道通行止めを自社の判断で見送ったと説明した。 直後に NEXCO はツイートしたが、「異常降雪により大渋滞が発生」としただけで、B の通行不能に触れていない。 「通行不能を伝えていれば、一般道から関越道に乗る人は減っただろうし、そもそも車利用を控える人も増えたはずだ。 今後の広報に生かしたい。(新潟支社広報課)」 関越道への車の流入は止まらなかった。

通行止め解除の情報見落とし、事態さらに悪化

17 日午前 1 時半、C の国道 17 号の通行止めが解除され、関越道上り線を通行止めにしない理由はなくなった。 しかし、湯沢 IC 以北が通行止めになったのは約 9 時間後の午前 10 時 20 分。 この間も関越道への車の流入が続き、事態は悪化した。 NEXCO と長国はネット上で互いの交通情報を共有しているが、この情報共有サイトに長国が入力した通行止め解除の情報を NEXCO が見落としたためだ。 なぜ、このミスは防げなかったのか。

今回の立ち往生が起きた「魚沼圏域」と呼ばれる地域の北、長岡市を中心とした「長岡圏域」では、大雪警報発令中に高速道路の通行止めが長引きそうな場合、NEXCObや長国、市、県、県警などが「情報連絡本部」を設けるルールがある。 2016 年 1 月の大雪で起きた「中越大渋滞」を教訓にしたもので、各担当者が集まって情報を共有し、通行止め区間や除雪区間の優先度などを決める。

この時、他の地域でも同様の事態を防ごうとそれぞれ対策を決め、魚沼圏域でも、対策として先述の共有サイトを立ち上げた。 しかし、「関越道の代替は国道 17 号だけ。 NEXCO と 2 者で調整すれば良いという判断(長国の木村一幸副所長)」で、有事の協議態勢などはあやふや。 そのため対応は遅れ、リエゾンと呼ばれる連絡員を長国が NEXCO に派遣したのは、関越道上り線の通行止めから約 6 時間後のこと。県が自衛隊に災害派遣要請をするほど事態が悪化した後だった。

道路情報の発信についても、長岡圏域では長岡市が情報を取りまとめ、地域全体の交通障害を緩和するための情報として広報する。 魚沼圏域でも共有サイト情報の相互利用を決めていた。 しかし、今回、NEXCO が長国の情報をツイッターでリツイート(転載)したり、長国がラジオ放送で関越道の状況を伝えたりすることはなかった。 長岡市の磯田達伸市長は 8 日、「中越大渋滞の教訓が生かされず、残念だ」と述べた。

今回の事態を受け、NEXCO は「早急に行う対応」を発表。 再び大雪となった先月 31 日には、"対応" にあった「予防的通行止めと集中除雪」を行った。 長国は取材に、「大雪が続いており、目の前の事態への対応を優先せざるを得ない。 連絡員派遣の基準や情報発信方法の改善などは、一段落してから、関係団体で検討したい」と答えた。 (伊丹和弘、asahi = 1-17-21)

中越大渋滞〉 2016 年 1 月 24 - 25 日に新潟県を含む北陸地方に大雪が降り、特に長岡市や見附市で豪雪となった。 北陸道や関越道は 24 日昼過ぎから通行止めとなり、一部で 26日早朝まで続いた。 その影響で近くの国道 8 号で大型車の立ち往生が相次ぎ、25 日未明から大渋滞。長岡市街にも車があふれ、交通マヒ状態に。 完全に解消したのは 27 日明け方だった。


広がる「産業のコメ」騒動 自動車に半導体不足の逆風

「自動車メーカーのラインを止める原因となるな - -。」 新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に加速した 2020 年末も、自動車部品大手の調達担当は息つく暇がなかった。 理由はクルマをつくる上で欠かせない半導体の不足だ。 すでに、独フォルクスワーゲンが半導体の供給不足を理由に生産調整を発表するなど問題は顕在化していた。 ある部品大手の幹部は「市場を走り回ってかき集めているが状況は厳しい」と悲壮な表情を浮かべる。

クルマのサプライチェーン(供給網)でキモとなる半導体が、なぜ足りない事態となったのか。自動車産業にとって想定外だったのはまず、新車需要の急速な回復だ。 工場の稼働停止が相次ぎ、販売店の多くが営業休止を余儀なくされた 20 年春、新車の販売は落ち込んだ。 中国では 2 月に前年同月比 8 割減、米国でも 4 月に同 5 割減となった。 ところが、4 月から中国で前年比プラスに転じ、その後 2 桁成長が続いた。 助成金や規制緩和など国が主導する形で需要創出が進んだためだ。 米国でも夏から活気が戻り、9 月に前年同月を上回った。 コロナ対策で市場にあふれたマネーの受け皿となった。

だが、増産に欠かせない半導体への備えは万全ではなかった。 まず足りなくなったのが、クルマの「走る、曲がる、止まる」を制御するなど指令を出す「マイコン」だ。 半導体会社は一般的に、微細加工が必要な半導体を台湾積体電路製造 (TSMC) など半導体受託生産(ファウンドリー)に発注する。 自動車の生産が止まった 20 年春から夏、ファウンドリーには巣ごもりで需要が高まったパソコンなど消費者向け機器で使う半導体の注文が新規で舞い込んだ。

自動車の機能の複雑化に伴い、独コンチネンタルなど部品大手は汎用チップの活用を増やしている。 つまり、これまでクルマ向けだったラインを民生品向けにシフトするのに支障はない。 これと前後して「ファブレス(工場なし)企業などがファウンドリーのキャパシティーや材料の買い占めに走った。(取引関係者)」 自動車会社が調達を元に戻そうにも、そこにはもう「余裕」がなかったというわけだ。 もう 1 つ、不足が顕著になっているのが、電力を効率的に使うのに必須のパワー半導体だ。 この背景には、SDGs (持続可能な開発目標)をベースとした新たな市場づくりがある。 コロナ禍を受け、欧州各国などの産業支援は、気候変動に関連する分野への傾倒が強まった。 この「官製需要」が今、新たな産業の創生を強力に後押ししている。

例えば、欧州連合は官民で 100 兆円規模の資金を投じて洋上風力の発電能力を 50 年に 3 億キロワットと現在(1,200 万キロワット)の 25 倍に高める計画を持つ。 先端の発電機においてカギとなるのがパワーデバイス。 重機械産業もコロナを機に、半導体の調達を加速した。

EV で使う半導体はガソリン車の約 2 倍に

公的機関を相手にする産業は、自動車産業にとって強敵だ。「半導体メーカーからすると、長期的に安定した受注が計算できる上、チップ販売における利益率も高く取れる。(英調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクター)」 製品メーカーとして、サプライヤーにより良いチップを安く求めるという方程式は成り立ちにくくなる。 そもそも、自動車産業の成長も SDGs ありきで進んでいる。 欧州、中国から排ガス規制が広がり、日本政府も 30 年代半ばまでに新車販売の全てを電動車とすることを検討する。 電気自動車 (EV) 専業の米テスラの 20 年の新車販売は約 50 万台と前年から 4 割増え、直近の株式時価総額は ,7000 億ドル超と過去 1 年で 8 倍ほどになった。

「機械」というより「電機」に近い EV は当然、既存のガソリン車よりも半導体を多く搭載する。 英オムディアによると、ガソリン車 1 台あたりの半導体価格 220 ドルに対し、EV は 450 ドルと約 2 倍。 ハイブリッド車 (HV) はさらに多く、500 ドル近くになるという。 不足しているなら生産量を増やせばいいのでは、という単純なものでもない。 まず、マイコンをつくるラインは、ファウンドリーにとって最先端ではなく、その多くがスマホやゲームに使う高性能チップ向けの「お古」だ。 そのため、マイコンは直接的な投資の対象になりにくい。

一方、パワー半導体は微細加工を必要としないものの、生産している会社の規模が小さく、投資を伴う増産は簡単ではない。 仮に増産投資を始めたとしても、装置を購入してラインをつくるには一般的に 9 - 12 カ月が必要で、設計者が少ないという人材面での足かせもある。 前出の部品大手幹部は「通常より高い金額で買わざるを得ない」と話す。 一部の半導体メーカーやファウンドリーからすると「人気者」となった今はめったとない価格交渉の好機。 高速通信規格「5G」など新たな規格に伴い、通信領域でも半導体需要は高まっている。 製品メーカーに堂々と吹っ掛けることはないとしても、その立場は強くなっている。

一橋ビジネススクールの楠木建教授は「(大正時代の)米騒動とは食糧危機ではなく、人間の本性がつくった騒動だった」と指摘する。 20 年はマスクの需給バランスが崩れて価格が上がる「マスク騒動」があったが、人の口は数が限られていた。 今回の事態から見えるのは、新産業の勃興と投機の側面。 産業のコメ不足は今後、騒動の色合いを深めて長引くかもしれない。 (北西厚一、日経ビジネス = 1-15-21)

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ホンダ・日産が国内で減産、半導体不足で 他社に波及も

ホンダと日産自動車が車の国内生産を 1 月に減らすことが 8 日分かった。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界的に半導体が不足しているためだ。 「巣ごもり」でパソコンやスマートフォン向けの需要が伸び、車向けの供給が滞っている。 影響の広がりや長期化を懸念する声もある。

ホンダ関係者によると、カーブを曲がる際の横滑り防止装置に使う半導体が不足し、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)でつくる小型車「フィット」を中心に 4 千台近く生産を絞る。 減産規模は昨年 1 月の国内生産の 6% ほどだが、2 月以降も影響が続く可能性があるという。 ホンダ関係者は「いまはなんとかしのいでいる」と話す。 日産は追浜工場(神奈川県横須賀市)で昨年 12 月に発売した小型車「ノート」の生産を減らす。 規模は明らかにしていない。

昨年 10 月に、宮崎県延岡市にある旭化成の半導体工場で起きた火災によって音響機器向けの製品が品薄とされる。 これについては、ホンダも日産も 8 日時点で在庫を確保しており、今回の生産調整とは関係ないという。 半導体の不足で独フォルクスワーゲンも昨年 12 月に中国や北米、欧州で生産調整すると発表。 自動車部品大手の独コンチネンタルや独ボッシュにも影響が及んでおり、国内でも減産がさらに広がる可能性がある。 自動車大手関係者は「(減産は)年始早々ではないだろうが、いまも厳しい状況だ」と話す。

背景には、半導体の需要の急拡大に生産が追いついていない状況がある。 自動車大手の世界生産は昨年 5 月ごろを底に回復傾向にあり、国内大手 8 社の合計も昨年 9 月に前年の同じ月を上回った。 一方、外出自粛でパソコンやスマホ向けの需要も高まっていた。 半導体は生産に数カ月かかり、世界的な品不足につながった。 東海東京調査センターの杉浦誠司氏は「半導体の生産量が追いつくか、スマホ向けなどの需要が落ち着くまでは、だましだましやるしかない。 4 - 5 月ぐらいまで影響が続くのではないか」とみる。 (稲垣千駿、asahi = 1-9-21)


分かりにくい「進路変更禁止」 東京の道路で新表示試行

交差点手前での車の進路変更禁止を示す黄色の実線(車線境界線)の交通規制について、事前に注意喚起する路面表示が東京都内 2 カ所で試行される。 期間は 16 日から 3 月 13 日まで。警察庁が 14 日発表した。

試行されるのは、国道 4 号南行き「入谷交差点(東京都台東区入谷 1 丁目)」と、外苑西通り南行き「西麻布交差点(東京都港区西麻布 1 丁目)」の手前。 表示は車線境界線と同じ黄色の「矢羽根型」と「ドット型」の 2 パターンあり、その先が進路変更禁止であることを注意喚起する。 警察庁は、運転手から「進路変更禁止の標示が分かりにくい」との声があることから、2 パターンの表示を試行して効果が確認できたら、違反が多い場所などへの全国的な導入を検討する。 担当者は「規制されていることが分かりやすくなることで、違反や事故をなくしていきたい」としている。 (田内康介、asahi = 1-15-21)


JR 九州「新型高速船」、国内運航阻む規制のわな 日韓航路に就航できず活用模索も波高し

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新型高速船クイーンビートル、国内観光用に暫定就航

JR 九州高速船(福岡市)は 24 日、博多 - 韓国・釜山に導入を予定する新型高速船クイーンビートルを、暫定的に国内観光用に就航させる考えを明らかにした。 外国船籍(パナマ船籍)のため原則として国内での営業運航はできないが、国土交通省は特例措置を認める方針という。

新型ビートルは 10 月中旬にオーストラリアの造船所から博多港に到着したが、新型コロナウイルスの影響で日韓航路は運休が続いている。 船舶法は日本籍の船しか「国内の港と港の間の物品や旅客の輸送はできない」としているが、国交相の許可を得た場合などは「この限りではない」と規定。 同社は国交省と調整を重ねており、今週中にも許可を申請するという。

計画では今年の大みそかの博多湾周遊のチャーター便から始め、世界遺産の沖ノ島(福岡県宗像市)を海上から見学するコースなどを運航する。 日韓航路が再開された場合は終了する予定。 JR 九州高速船の水野正幸社長は「国内運航が実現すれば、乗組員のモチベーションが上がるし、収入にもつながる」と話した。 この日は、クイーンビートルの船内が報道陣に初公開され、博多湾内を航行した。 従来のビートルよりひとまわり大きくなり、「高速船」とは思えない静かで安定した走りをみせた。

大型化に伴いシートベルトが不要になり、船内を自由に歩き回ることができる。 3 階のデッキは開放され、テーブル席が並ぶラウンジやキッズルーム、免税店などもある。 博多 - 釜山間の所要時間は、従来の 3 時間 5 分から 3 時間 40 分に増える。 (原篤司、asahi = 11-24-20)

初 報 (8-28-18)


年末年始の JR 利用、過去最低 新幹線、前年の 25% も

JR 旅客 6 社は 6 日、年末年始(昨年 12 月 25 日 - 今年 1 月 5 日)の利用状況を発表した。 主要 46 区間の新幹線や在来線特急の利用者数は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前年同期比 32% の約 488 万人にとどまり、記録のある 1991 年度以降で最低だった。 JR 各社によると、東海道新幹線の利用者数は前年比 32% の 152 万人。 下りのピークは 29 日、上りは 3 日だったが、全体として目立った混雑は見られなかった。 山形新幹線は大雪の影響も重なり 25% と特に低調だった。 北海道、東北、秋田、上越、北陸、山陽、九州の各新幹線も 28 - 40% にとどまった。

初詣客の利用も低調で、今月 1 - 3 日に明治神宮(東京都渋谷区)に近い原宿、代々木の両駅で降車した人数は約 12 万人(前年の 38%)、鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)に近い鎌倉駅は約 9 万人(同 40%)。 東京都交通局も 31 日 - 3 日の都営地下鉄の利用状況(定期外)を発表。 全 4 路線の利用者数は前年の 48% の約 226 万人、浅草寺近くの浅草駅の降車人数は 27% の約 5 万人だった。 (一條優太、asahi = 1-6-21)

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国内線は 57% 減、高速 35% 減 帰省控えた年末年始

航空各社は 4 日、年末年始(12 月 25 日 - 1 月 3 日)の輸送実績を発表した。 国内線の搭乗者は前年より約 57% 減の約 146 万 8 千人、国際線は約 95% 減の約 3 万 2 千人とともに激減。 搭乗率も国内線が約 43% (前年比約 38 ポイント減)、国際線が約 21% (同約 63 ポイント減)と大幅減となった。 新型コロナウイルスの感染拡大に加え、政府の観光支援策「Go To トラベル」の全国一斉停止で帰省や旅行を控える動きが相次いだことが影響した。

東日本高速道路(NEXCO 東日本)などの高速道路各社も 4 日、年末年始(12 月 26 日 - 1 月 3 日)の交通実績を発表した。 全国の主要区間(40 カ所)の 1 日あたりの平均交通量は 2 万 4,500 台で、前年と比べて 35% 減った。 渋滞も大幅に減り、10 キロ以上の渋滞は 52 回(前年比 73% 減)。 昨年は 7回あった 30 キロ以上の渋滞は今年はなかった。 (asahi = 1-4-21)


離陸直前の空飛ぶクルマ 昇る中国、追う日本

EV はまだまだ発展途上

記事コピー (1-1-21)


JR 2 社財政支援へ 北海道 1,300 億円、四国 1 千億円

経営難に陥っている JR 北海道と JR 四国への支援策を、国土交通省が 25 日発表した。 JR 北海道には 2021 年度からの 3 年間で 1,302 億円、JR 四国には 5 年間で 1,025 億円をそれぞれ財政支援する。 赤羽一嘉国土交通相が閣議後の会見で明らかにした。 必要な関連法改正案を来年の通常国会に出す。 具体的には、2 社のすべての株式を持つ独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が追加で出資する。 2 社が抱える債務を新たに発行する株式と交換する「債務の株式化」や、2 社が金融機関に支払う利子の補助も行う。

また、JR 北海道の青函トンネル、JR 四国の本四連絡橋の今後の更新費用については、鉄道機構が負担する。 2 社は人口の減少に加えてコロナ禍も響き、業績が悪化している。 国交省は財政支援を続けて経営再建をはかる必要があると判断した。 このほか JR 貨物には 21 年度からの 3 年間で 138 億円を無利子で融資する。 (木村聡史、asahi = 12-25-20)


ANA、12 月 28 日 - 来年 1 月 31 日の国内線 888 便を減便

全日本空輸 (ANA) は 12 月 24 日、12 月 28 日から 2021 年 1 月 31 日までの国内線で減便を実施すると発表した。 新型コロナウイルスの影響に伴う需要減退等を鑑みたもので、12 月 28 日から 31 日までの 26 路線 95 便、1 月 1 日から 31 日までの 55 路線 793 便が減便となる。 これにより、12 月と 1 月の減便率は 23% となる。

対象となるのは、東京/羽田 - 札幌/千歳・函館・大館能代・庄内・富山・小松・能登・八丈島・大阪/伊丹・岡山・鳥取・米子・萩石見・広島・岩国・山口宇部・徳島・高松・高知・松山・福岡・大分・熊本・佐賀・宮崎・鹿児島線、大阪/伊丹 - 札幌/千歳・青森・仙台・松山・高知・熊本・長崎・鹿児島線、名古屋/中部 - 札幌/千歳・秋田・仙台・福岡・長崎・宮崎・鹿児島線、札幌/千歳 - 稚内・女満別・中標津・釧路・函館・青森・仙台・神戸線、沖縄/那覇 - 岩国・福岡・宮古・石垣線。 (Traicy = 12-24-20)


ピーチ、国内線の定額乗り放題制を検討

格安航空会社 (LCC) のピーチ・アビエーションが、国内の全路線が定額で乗り放題になるサービスを来年 2 月に試験的に実施する検討をしていることが分かった。 1 月に顧客への販売を始める予定。 購入者は 1 カ月間、国内全路線を自由に乗れる。 価格は月 2 万円程度からで、サービスの水準によって異なる見通し。 同社は新型コロナウイルスの感染拡大による利用者の減少に苦しんでおり、定額制の導入で国内線の利用を増やす狙いがある。 (asahi = 12-23-20)


アップルが乗用車投入か 2024 年視野、ロイター報道

ロイター通信は 21 日、米アップルが画期的な電池を搭載する乗用車を 2024 年から生産することを視野に開発中だ、と報じた。 アップルは自動運転技術を開発していることがすでに明らかになっているが、アップルブランドの乗用車自体を投入することになれば、既存の自動車産業には大きな衝撃になりそうだ。 同通信によると、同社は 14 年から「プロジェクト・タイタン」との事業名で、自動車技術の研究を続けており、現在は乗用車自体の開発を目指せるところまで進んでいるという。

開発中の技術の中心にあるのは電池技術で、既存技術よりも「画期的に」コストを削減し、同時に車の航続距離を伸ばすことを目指しているという。 電気自動車 (EV) の開発を目指しているものとみられる。 自動車の組み立ては、外部の自動車メーカーに委託することが想定されているという。 ただ、計画を縮小して、アップルは自動運転技術だけを開発し、既存の自動車メーカーの乗用車と組み合わせることになる可能性も残っているという。 アップルは 21 日、朝日新聞の問い合わせに回答しなかった。 アップルは 18 年 8 月、自動運転の公道実験中に、実験車が後ろの車に追突されたことで、自動運転技術の開発を進めていることが明らかになっていた。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 12-22-20)


「太公望列車」の再来? West Express 銀河「京都 - 新宮」に鉄道ファンが注目する理由、教えます

JR 西日本の観光列車「West Express 銀河」の 2021 年の運行予定が 12 月 16 日に発表された。 2021 年は春に京都 - 出雲市間の夜行便として、夏から秋にかけては京都 - 新宮間での運行がなされる予定だが、京都 - 新宮間は新宮行きが夜行、京都行きが昼行の計画である。 新宮方面への運転計画が発表されると、鉄道ファンがざわついた理由は、この区間に 20 年前まで珍しい夜行普通列車が走っていたためだ。

「新宮夜行」の客層は …

West Express 銀河は 117 系電車を改造し、簡易寝台を装備して昼夜兼用の運転に対応、実際に 2020 年は 9 月から京都 - 出雲市間を山陽線・伯備線経由の夜行便で運転、12 月からは京都 - 下関間の昼行便として運転中だ。 深青色の車体と夜行に対応した車内設備で、かつての夜行寝台列車「ブルートレイン」を意識したようなコンセプトが鉄道ファンから歓迎された。 117 系電車は直流なので、山陰・山陽方面の他に運行可能な JR 西日本エリアは紀勢線エリアになる。 10 月 8 日には和歌山県と県下 7 市町村が列車の和歌山方面への運行を求める要望書を提出していた。

この区間には 2000 年まで通称「新宮夜行」という夜行普通列車が走っていた。 もとは天王寺駅から紀勢線方面に走っていた客車夜行列車の流れをくむもので、1986 年からは 165 系電車に車両が変わり、1990 年からは新大阪始発として新宮に向かっていた。

「太公望列車」のあだ名の由来は?

ただ、当時の列車は普通列車扱いで、日本旅行からツアー商品扱いで発売される West Express 銀河とは性格が大きく異なる。 関西在住の鉄道ライター・新田浩之さんによれば、「紀伊方面への最終列車を兼ねていたので終電代わりに利用する人と、紀勢線沿線の釣り場に向かう釣り人が愛用していたようです。 旅行者向きの列車ではなかったですね。」ということだ。 釣り人がよく乗るため「太公望列車」ともあだ名された。

運行時刻は新田さんによると 1987 年時点では天王寺発が 23 時、深夜でもこまめに停車して新宮着が翌朝 5 時 1 分なので、全く観光には向かない時間帯だ。 West Express 銀河であれば特急「はるか」、「くろしお」と同じルートで京都・新大阪・天王寺を経て阪和線・紀勢線に入ると予想されるが、白浜や新宮にちょうどよい時間帯に着くよう、途中駅で大幅な時間調整がなされるだろう。 なお新宮からの京都行きは昼行のみの運転だ。

昼行・夜行 ニーズはどちらに

既に運行済みの山陰方面・山陽方面の客層はというと、列車を見た新田さんは、「ファミリー層と、鉄道ユーチューバーのような人が目立っていました。 山陰への夜行便の方が利用率が高かった印象ですが、大阪から下関まで日中約 12 時間かかる昼行便より、出雲の観光地に向かいたいニーズの方が多く、時間も有効に使えるためでしょうか」と話した。 117 系自体が重厚な国鉄型で、デザインや車内設備からノスタルジックな夜行列車気分も味わえる。 あえて夜行便を設定したのは旅行者層に加えて「新宮夜行」を知る鉄道ファン層の取り込みも意図しているだろうか。 一方で新宮からの京都行きは昼行のみだが山陽線ほど運行距離は長くなく、上下便ともダイヤと乗車率に注目したいところだ。 (大宮高史、J-cast = 12-19-20)


ラッシュ避ければ 1 回 20 円 JR 西がポイント還元発表

JR 西日本は 16 日、IC カード「ICOCA (イコカ)」の定期券の利用客が朝のラッシュ時を避けて乗車すれば、ポイントを付与する試みを始めると正式に発表した。 大阪中心部の駅で降りる人が対象で、期間は来年 4 月 1 日から 1 年間。新型コロナウイルス対策で密を避けるためにも、駅や電車の混雑緩和をめざす。

関西圏の約 380 駅から乗車し、午前 9 時半 - 10 時半に JR 大阪環状線や東西線の各駅や新大阪駅、尼崎駅など計 33 駅の自動改札機を出ると、1 回につき 20 ポイント(1 ポイント = 1 円換算)を与える。 ポイントは自動券売機でイコカの残高に振り替えることができ、運賃の支払いや買い物に使える。 対象となる到着駅はいずれも午前 7、8 時台の混雑が激しく、大阪駅と天王寺駅は 2019 年の平日平均で約 8 万 - 11 万人が利用している。 約 6 割が通勤客で、そのうち 9 割がイコカ定期券の利用者という。 通学定期券の利用者は、時間の変更が難しいとみて今回の対象からは外した。

混雑の緩和ができれば、ラッシュ時に数を増やしている車両や駅員を減らすことができる。 JR 西はコロナの影響を受けた利用客の減少で経営が悪化しており、コスト削減を進める狙いもある。 今回の試みの効果を分析し、将来的には時間帯別に運賃に差をつける制度の導入も検討する。 (神山純一、asahi = 12-16-20)


トヨタとコンビニ 3 社、水素トラック配送実験 来春から

トヨタ自動車は 8 日、セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンのコンビニ大手 3 社と、水素で走る燃料電池 (FC) 小型トラックの配送実験を 2021 年春から始めると発表した。 新開発の FC トラックを 1 台ずつ提供し、水素ステーションの配置や燃料の価格などを検証する。 稼働の多い商用の燃料電池車 (FCV) の普及を進め、水素の需要の拡大につなげるねらいだ。 FC トラックは日野自動車のトラックをベースにし、積載量は 3 トンで航続距離は約 260 キロ。 今月発売される FCV 乗用車の新型「ミライ」と同じ燃料電池を搭載。 22 年にはさらに台数を増やす予定。 将来は航続距離約 400 キロをめざす。

燃料を補給する水素ステーションは全国で約 140 カ所にとどまる。 コンビニ店への配送など決まったルートを頻繁に走る商用車のほうが水素ステーションの設置が進めやすくなるとされる。 トヨタは 19 年にセブンと FC トラックによる配送を始めており、大手 3 社に広げる。 トヨタは FC 大型トラックの開発も進めており、ヤマト運輸など 5 社と 22 年春ごろから実証実験をする。 FC バス「ソラ」も 18 年に発売。 商用でも FCV の開発を進めている。 (三浦惇平、asahi = 12-8-20)


ボーイング 787 来年減産 需要低迷、日本にも打撃

【ニューヨーク】 米航空機大手ボーイングが、中型旅客機「787」の生産を来年半ばに月 5 機に減らすことが 4 日、分かった。 新型コロナウイルスの感染拡大で需要低迷が続いているため、従来の月 6 機の計画を見直す。 米メディアが、グレッグ・スミス最高財務責任者 (CFO) が話した内容として報じた。 787 は今年 9 月に製造上の問題も発覚。 検査の強化などから航空会社への納入が遅れているという。 787 は三菱重工業が複合材主翼と呼ばれる主要構造部を担うなど、日本メーカーの部品や材料が多く採用されている。 減産による打撃が避けられない状況だ。 (kyodo = 12-5-20)


"脱ガソリン" 2030 年代半ばに新車販売すべて「電動車」へ

経済産業省が 2030 年代半ばに国内の新車からガソリン車をなくし、すべてをハイブリッド車や電気自動車などにする目標を設ける方向で調整していることがわかりました。 日本として明確な目標を掲げることで、世界で進む脱ガソリンの動きをリードしたい考えです。 菅総理大臣が 2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする考えを示したことを受けて、経済産業省は新車販売における「脱ガソリン」の目標を検討しています。

関係者によりますと、この目標について経済産業省は「2030 年代半ばに、電動化を 100% にする」とする方向で調整していることがわかりました。 これは、およそ 15 年後には新車の販売ではガソリンエンジンだけの車をゼロにし、すべてをいわゆる「電動車」にすることを目指すものです。 電動車には、エンジンとモーターの両方を使うハイブリッド車、充電もできるプラグインハイブリッド車、電気自動車、それに、水素で発電しながら走行する燃料電池車が含まれます。

日本としては国内メーカーが得意とするハイブリッド車も含めて脱ガソリンを目指す方針で、明確な目標を掲げることで世界で進む脱ガソリンの動きをリードしたい考えです。 経済産業省は今後、有識者でつくる検討会での議論を踏まえて、年内にも正式に目標をまとめる方針です。 脱ガソリン・電動化の目標をめぐっては、イギリスが 2030 年までにガソリン車やディーゼル車の新車販売を、2035 年にはハイブリッド車も禁止するとしているほか、アメリカのカリフォルニア州が 2035 年までに、フランスは 2040 年までにガソリン車などの新車販売を禁止するとしています。 (NHK = 12-3-20)


ありがとう阿佐鉄ディーゼル車 最終運行で輝いた雄姿

阿佐海岸鉄道(本社・徳島県海陽町)の阿佐東線で 30 日夜、ディーゼル車両の最終運行を迎え、住民や鉄道ファンらが見送った。 線路と道路の両方を走る DMV (デュアル・モード・ビークル)の今年度中の導入を目指しており、切り替え工事を進めるため、少し早いラストランとなった。 阿佐鉄のディーゼル車は、1992 年の開業時から走り続けた「しおかぜ」と、廃止された高千穂鉄道(宮崎県)から譲り受けて 2009 年から走る「たかちほ」の 2 両。 海部(海陽町) - 甲浦(高知県東洋町)間の 8.5 キロを往復してきた。 最後の一日は、沿線やホームで雄姿を撮影する人、別れを惜しみながら乗車する人たちでにぎわった。

東京から訪れた斉藤幹雄さん (51) は、好きだった高千穂鉄道から「たかちほ」が譲渡され、阿佐鉄に乗るようになったという。 午前中に最終運行された「たかちほ」に乗ってエンジン音に耳を澄まし、「阿佐鉄は、良い線路をものすごい勢いでとばしていく。 長い間、よく走ったなと思う。 ただ、10 年くらい前と比べてお客さんが少なくなった。」と話した。 コロナ対策で各 80 枚に限定した最後の上下 2 便の乗車券は完売。 海部駅では最終列車の「しおかぜ」の入線を前に、社長の三浦茂貴海陽町長が「長きにわたって住民の笑顔を乗せてきた。 車両を思い浮かべながら見送ってもらえれば」とあいさつ。 午後 8 時 31 分、列車が甲浦駅へ出発すると、ホームに詰めかけた人たちが車両イラストをあしらったタオルを掲げ、見送った。

線路と道路を走る未来は間近

阿佐東線は、大正期の四国循環鉄道構想から紆余曲折を経て現在に至る。 阿波(徳島県)と土佐(高知県)を結ぶ「阿佐線」は、牟岐から室戸を経由して後免(高知県南国市)までの区間(約 125 キロ)をつなぐ予定で、1965 年に着工した。 73 年に牟岐 - 海部間(11.6 キロ)が国鉄牟岐線の延長路線として開業。 しかし、80 年に国鉄再建法が施行されると、阿佐線の工事は中断した。 87 年に国鉄が分割・民営化し、88 年に第三セクターの阿佐海岸鉄道が設立された。 海部 - 甲浦(かんのうら、高知県東洋町)間(8.5 キロ)の工事を完了させ、92 年 3 月、阿佐東線として開業した。

待ちわびた鉄道だったが、その後、過疎化や少子化が進み、沿線の高校も統合されるなど地元の利用も伸び悩んだ。 開業から続く赤字は、徳島、高知両県や沿線自治体が積み立てた経営安定基金で補っている。 徳島県は DMV 導入で車両自体が観光資源となり、経営改善と地域活性化につながると期待している。 DMV は線路と道路の両方を走る。 阿波海南と甲浦を鉄道モードとバスモードの切り替え駅にする工事が現在進んでいる。

鉄道モードは、阿波海南 - 甲浦間(10 キロ)。 阿波海南と海部間(1.5 キロ)は JR 牟岐線の一部だったが、今年 11 月 1 日に DMV の専用路線として阿佐東線に編入された。 バスモードは阿波海南文化村 - 阿波海南駅間(約 1 キロ)と、甲浦駅から「海の駅東洋町」を経由して「道の駅宍喰温泉(徳島県海陽町)」を結ぶ区間(約 4 キロ)。 土日祝に限り、海の駅東洋町から「海の駅とろむ」(高知県室戸市)までの区間(約 38 キロ)を 1 往復し、かつて「阿佐線」が予定していた室戸へ直通運行する。 (斉藤智子、asahi = 12-1-20)

阿佐海岸鉄道のあゆみ
1922年鉄道敷設法により徳島県南部から後免(高知県)に至る路線が敷設予定線に
59年牟岐 - 後免間が工事線となる
65年徳島側と高知側で着工
73年牟岐 - 海部間が国鉄牟岐線の延長として開業
80年国鉄再建法により徳島側の工事中断、翌 81 年には高知側も
87年国鉄の分割・民営化
88年第三セクター「阿佐海岸鉄道」設立
92年海部 - 甲浦間が阿佐海岸鉄道阿佐東線として開業
2009年廃止の高千穂鉄道(宮崎県)から譲渡された「たかちほ」運行開始
20年DMV 運行に向け、阿佐東線に JR 牟岐線の阿波海南 - 海部間を編入


JR 北海道への政府支援、継続へ 「年 200 億円台」軸

JR 北海道への国の支援が 2021 年度以降も継続される見通しとなった。 JR 北は北海道新幹線の札幌延伸後の 31 年度以降の経営自立をめざし、それまでは国や自治体の支援で乗り切る計画だが、新型コロナウイルスの影響で利用客は想定以上に急減。 赤字路線を巡る関係者の協議も難航しており、再建の行方はなお不透明だ。 国は 18 年 7 月、JR 北に経営改善を求める異例の監督命令を出し、19 - 20 年度の 2 年間を第 1 期集中改革期間として計約 400 億円の財政支援を決めた。 今回の支援継続は、来年度からの第 2 期集中改革期間(21 - 23 年度)に向けたものだ。 その根拠となる関連法の改正案を来年 1 月開会予定の通常国会に提出する。

具体的な支援額や期間はまだ決まっていない。 JR 北は年約 200 億円の水準を上積みし、複数年の支援を得たい考え。 コロナ禍で経営が一段と悪化していることが背景にある。 JR 北の 20 年 9 月中間決算では、売上高が前年同期比 39.2% 減の 519 億円、純損益は過去最悪の 149 億円の赤字(前期は 3 億円の赤字)だった。 鉄道事業中心の単体では売上高 239 億円、営業赤字は 371 億円にのぼる。

ただ、コロナ禍で他の鉄道会社や航空会社も軒並み業績が悪化している。 JR を所管する国土交通省は「JR 北海道にだけ大幅な支援上積みはできない(幹部)」としており、支援額は従来の「年 200 億円台」を軸に調整している。 予算編成にあたる財務省からは、「経営改善の進み具合をこまめに点検するべきだ(幹部)」との指摘も出ている。 複数年分の支援を一度に決めず、単年ごとに経営状況をチェックし、その都度支援するという考え方だ。 政府は JR 北のコスト削減策などの自助努力を見極めたうえで、年内にも支援の詳細を決める。

JR 北は赤字路線の見直しを進め、北海道新幹線の札幌延伸後の 31 年度以降は国の支援を受けずに経営を自立させる計画だ。 16 年 11 月に、全路線の営業距離のほぼ半分にあたる 10 路線 13 区間を「単独では維持困難」と公表。 このうち 5 区間は廃止する方針で、石勝線夕張支線(19 年 4 月)、札沼線の北海道医療大学 - 新十津川間(20 年 5 月)に続き、日高線の鵡川(むかわ) - 様似(さまに)間の来年 4 月のバス転換が 10 月に決まった。

一方、残る 8 区間は、国や自治体の負担を前提に存続させる方針。 計 120 億円規模の赤字の 3 分の 2 を国や自治体に肩代わりしてもらう形だが、支援を巡る国と北海道の協議は難航している。 こちらの支援の枠組みが年内にまとまるかはまだ見通せない。 (長崎潤一郎、asahi = 11-23-20)