中国で停電相次ぐ そのワケは? 浙江省など

新型コロナからの回復をアピールする中国ですが、一部の地域で電力の使用制限を行っているそうです。 これは停電をあえてさせているということなのでしょうか? 北京から濱野記者の報告です。 少なくとも中国南部の浙江省、湖南省、江西省の 3 つの省で、ちょっとした混乱が起きています。 ビルに灯るわずかな明かり。 こちらは浙江省義烏市での停電の様子です。 義烏市は以前、このコーナーで「クリスマスの街」としても紹介されましたが、日用雑貨で世界的な卸売市場があるモノづくりの街でもあります。 電気が止められていることで、こうした商品を作る工場の関係者からは悲痛な声が聞かれます。

「1 万個ぐらいある。 見てみて、1 個ずつちょうど今、終わったばかりだ。 これは全部、今夜作業をしないといけない注文のシールなのに、電気がないんだよ! どうしよう! (義烏市の商店経営者)」

ネットで注文された商品の発送作業ですが、機械が動かず、1 つ 1 つ手作業で梱包しなければならない状態です。 中国メディアによりますと、浙江省では今月 1 日から 17 日まで、去年の同じ時期に比べ、使用量が 12% 以上増え、当局は今月末まで工場の全面停止を求める通知を出しました。 さらに公共施設などは気温が 3 度以下にならないと暖房をつけられず、設定温度も 16 度を超えてはならないとしています。 また、湖南省長沙市のオフィスビルはエレベーターが止まり、10 階にある会社まで毎日階段で行かなければならないと嘆く動画も出ている状況です。

Q. 特にこの年末年始の寒い時期に電気が使えないと、とても大変な状況だと思うんですが、どうして停電させているんですか?

理由について 21 日の記者会見で中国政府は、「工業生産の回復と寒波の影響で電力需要が予想を超えたからだ」としています。 一方で、中国メディアによりますと、浙江省はエネルギー消費量や石炭使用量の削減目標を達成できず、各地で電力を制限しているとも伝えています。 これに中国のウェイボには「こんな形式主義が何の役に立つのか」など地元政府への不満も出ています。

もうひとつ指摘されているのがオーストラリア産の石炭不足による影響です。 今年 4 月にオーストラリアのモリソン首相が「新型コロナの発生源に関して独立調査が必要だ」と表明して以降、急速な関係悪化を背景に、中国はオーストラリア産の石炭の輸入を制限しています。 ただ、中国の年間の使用量は 1 割ほどで、大きな影響はないのではないかとする見方もあります。 いずれにしろ中国政府は新型コロナからの回復をアピールしていますが、そのスピードに水を差す状況もはらんでいます。 (TBS = 12-25-20)


氷雪の世界、中国・長春にオープン

ライトアップされた氷の建物を楽しむ観光客。 中国北東部・吉林省長春で行われている「長春氷雪大世界」で。 (AFPBB = 12-15-20)


中国の 3 都市、世界の都市競争力ランキング・経済分野で上位 20 都市に

【北京】 中国社会科学院財経戦略研究院と国連人間居住計画(ハビタット)はこのほど、中国北京市で「世界の都市競争力報告書 (2020 - 21)」を共同で発表した。 それによると、競争力を示す指標の中で、中国の都市は経済分野で順位を上げ、深セン市(広東省)、香港、上海市がそれぞれ上位 20 都市に入った。 持続可能な競争力ではばらつきが見られ、生活環境、科学技術イノベーションなどの面で改善の余地が見られた。 (毛思倩、新華社 = 12-12-20)


中国で「貧困県ゼロ」が実現 貴州省の 9 県を最後に

11 月 23 日、中国の貴州省人民政府は、省内に残っていた 9 つの貧しい県が全て、貧困脱出したと発表した。 これにより、同省の 66 の貧困県はすべて「貧困リスト」から外されたことになった。 貧困人口が全国で最も多い同省で貧困県が「ゼロ」になったことで、中国国務院の貧困対策室が指定した全国の 832 の貧困県はすべて貧困から脱却したことになった。 2012 年以降、貴州省は合計で 923 万人が貧困から脱却した。 毎年 100 万人以上の貧困人口を減らした計算になり、全国で最も貧困者を減少させた省となった。

貧困との闘いで勝利を確実にするために、同省の共産党委員会と省政府は事前に計画を立て、慎重な準備を行った。 貧困地域の人々を長年悩ませてきた、出稼ぎ、飲用水、電気、学校教育、医療、通信などの困難を真正面から取り組み、おおむね解決した。 義務教育、基本的な医療、および住宅の確保も実現した。 特に今年に入ってから、同省は貧困からの脱却が実現されていなかった 9 つの県と、貧困人口を 1 万人以上抱える 3 つの県(区)に焦点を当て、責任者を明確にし、貧困者を減らすことに力を結集した。

貧困県の数「ゼロ」が実現したことを受け、同省は、貧困脱却の成果を固めつつ、地方の活性化事業と連携し、貧困の再来を防ぐための監視と支援の仕組みを構築した。 貧困脱却運動の成果が歴史と人民の検証に耐えられるようにしていきたいとしている。 国務院の貧困対策室は 2014 年に全国で 832 の貧困県を認定し、そのリストを公開した。 その範囲は 22 の省、自治区、直轄市に及んだ。 2016 年からリストアップされた貧困県の数は減り続けた。貧困県「ゼロ」の省が続々と現れた。

2019 年 12 月、チベット自治区は「貧困県ゼロ」の実現を発表した。 2020 年 2 月から 3 月にかけて、重慶、黒竜江、陝西、河南、海南、河北、山西、内モンゴル、湖南は貧困県が「ゼロ」になったと発表した。 その後、吉林、青海、江西、安徽、湖北が貧困県ゼロ」に。 今年の 11 月、新疆、雲南、寧夏、四川、広西、甘粛、貴州が相次いで「貧困県ゼロ」と発表した。 (中国・人民網/AFP = 12-11-20)


中国・重慶の炭鉱で 23 人死亡 一酸化炭素中毒か

中国重慶市の炭鉱で 4 日午後 5 時ごろ(日本時間同 6 時ごろ)、作業していた 23 人が死亡した。 一酸化炭素中毒とみられる。 中国の炭鉱では死亡事故が相次いでおり、安全管理が課題になっている。 国営中央テレビなどによると、炭鉱は約 2 カ月前に閉鎖され、事故当時は設備の撤去作業を行っていた。 この炭鉱では 13 年 3 月にも硫化水素の発生により、3 人が死亡する事故が起きていたという。 重慶市内の別の炭鉱では今年 9 月、16 人が死亡する一酸化炭素中毒事故が起きた。 (北京 = 高田正幸、asahi = 12-6-20)


アクセス急増、Alibaba が取り組む "サイトが落ちない" 工夫とは?

世界最大級の EC Platform "Alibaba"

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「独身の日」セールで 7 兆 9,000 億円の売り上げをアリババが記録

中国の「光棍節(独身の日)」に実施された大規模ネット通販セールが現地時間 11 月 12 日 0 時に終了しました。 このセールにおいて、中国のネット通販最大手のアリババグループは 4,982 億人民元(約 7 兆 9,000 億円)の売上を記録しましたが、株価は 10% の急落を見せました。 中国語で独身を意味する数字の「1」が連続して並ぶことから、中国では「11 月 11 日 = 独身の日」が定着。 近年では、毎年ネット通販各社がで年間最大級という大規模なセールを実施するようになっています。

2020 年は「独身の日」だけに取引が集中するのを避けるため、11 月 1 日から前倒しでセールが実施されました。 この 11 月 1 日 - 11 日にかけて、業界最大手のアリババの売上は 4,982 億人民元に達し、2019 年度の 2,684 億人民元(4 兆 3,000 億円)という記録を大きく塗り替えました。 アリババのほかにも、業界第 2 位の JD.com (京東商城)も 2020 年の独身の日のセールの売上が 2,715 億元(4 兆 3,000 億円)を記録したと報告。 こうしたネット通販の需要が大幅に伸びた背景には、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要の増加や渡航制限などによって海外旅行に行けなくなったことで、買物の機会が減少したことがあるとみられています。

アリババの事業は好調である一方、株価は大きく下落しています。 11 月 10 日、中国当局は国内のインターネット業界の独占的慣行の根絶を目指すとして、アリババなどのネット販売やオンライン金融サービス事業の監視を強めると発表。 この監視対象にアリババは含まれたことから、アリババは急きょ上場延期を決定していました。 中国当局の発表によって、アリババの株価は大きく下落。 独身の日の成功にも関わらず、株価は一時 9.8% 下落しました。 (Gigazine = 11-12-20)

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11 日、中国最大通販セール「独身の日」 コロナ下の消費回復焦点

中国で年間最大のネット通販セール「独身の日」が 11 日に開かれる。 最大手のアリババ集団が 2009 年に始め、今年で 12 回目となる。 19 年の取扱高は過去最高の 2,684 億元(約 4 兆 2 千億円)を記録した。 今回は新型コロナウイルス下での開催となるが、中国の経済活動は回復しており、アリババなど各社の取扱高は伸びるもよう。 コロナから立ち直り、中国消費が力強いことを世界に向けてアピールする場ともなりそうだ。 「今年はセールの参加企業数などで最大規模のイベントとなる。」 10 月 20 日にアリババが開いた発表会で、ネット通販部門の責任者はこう強調した。 今年は 25 万以上の企業ブランドが参加し、世界 89 カ国地域の商品を取り扱う予定という。

中国では「双 11(ダブルイレブン)」と呼ばれる。 10 月初めにある国慶節(建国記念日)の大型連休と、クリスマス商戦の 12 月に挟まれ、11 月は消費活動が停滞しやすい時期とされてきた。 そこで、消費を盛り上げるイベントを 11 月にも展開しようと、アリババの張勇(ダニエル・チャン)会長兼最高経営責任者 (CEO) が発案し、09 年に始まった。 「11 月 11 日」とシングルを意味する「1」が並ぶことから、もともとは独身者が「自分へのご褒美」として買い物をする日だった。 今やネット通販だけでなく小売りや飲食店などのリアル店舗も巻き込み、中国で最も消費が動く一大イベントに成長した。

アリババ傘下で東南アジアでネット通販を運営するラザダ(シンガポール)も独身の日に参加しており、最近は中国以外でも独身の日商戦は広がる。 張氏は「中国だけでなく、グローバルなイベントに育てたい」と強調する。 独身の日はネット通販各社が値下げ競争を繰り広げることで有名だ。 「最も商品が安くなるセール」として、数カ月分の商品を買いだめする消費者も多い。 ネット上では現在、発売したばかりの「iPhone12」がいくら割り引きされるかなどが話題となっている。 今年も各社は売り上げを伸ばそうと、採算を度外視した販促活動を展開している。

セールは 10 月末から既に予約を受け付けており、アリババの越境電子商取引 (EC) サイトの初日の取扱高は前年同期比 9 割増となった。 新型コロナの影響で海外旅行を諦めた消費者が、日本などの商品をまとめ買いしている。 日本商品は例年と同じく化粧品や食料品が人気だが、新型コロナの影響で健康志向の消費者が増えており、医薬品なども売り上げを伸ばしているという。 一方、大規模セールは取扱高が伸びるほど「需要の先食いとなる」との見方も強い。 新型コロナから回復しつつある中国経済だが、個人消費は決して強いとは言いがたい。

全国の主要な大型商業施設 100 カ所を対象にした調査では 9 月の売上高は前年同月比 1.8% 減と水面下のままだ。 セールを利用し、買いだめする節約志向の強い消費者は少なくない。 食品メーカーの幹部は「需要の先食いは分かっているが、値下げしてでもセールの時に売らなければ」と苦しい胸の内を語る。 セールが結果的に企業の首を絞めるという側面もある。 競争環境もさらに激化しそうだ。 アリババや京東集団(JD ドットコム)といった既存のネット通販企業のほか、「TikTok (ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)も独身の日に本格参戦する。

中国ではリアルタイムで映像を配信しながら商品を販売する「ライブコマース」がネット上の新たな販売手法として台頭。 バイトダンスは 6 億人の国内利用者を通じて、ライブコマースによる販売を広げている。 競合が攻勢に出るなか、アリババが取扱高をどこまで伸ばせるかにも注目が集まる。 (上海 = 松田直樹、nikkei = 11-8-20)


中国の医師、違法に臓器摘出し有罪判決 交通事故の被害者など標的に

交通事故の被害者から違法に臓器を摘出していたとして、中国で医師ら 6 人が収監された。地元メディアが伝えた。 報道によると、医師 4 人を含むグループは、亡くなった人々の遺族をだまし、正式な臓器提供をすると思い込ませた。 2017 年から翌年にかけ、中国東部・安徽省の懐遠県人民医院で、11 人から肝臓や腎臓を摘出したという。 中国は移植用の臓器の需要が高く、公的な臓器提供だけでは大幅に不足している。

交通事故の被害者ら狙い

報道によれば、関与した医師らは病院幹部で、臓器の手配を担当していた。 交通事故の被害者や、脳出血に見舞われた患者を狙っていたという。 同医院の集中治療部門を統括していた医師が患者の家族に接近し、臓器提供に同意するか尋ねた。 家族はのちに偽と判明した同意文書に署名していた。 医師らはその後、亡くなった人を真夜中に病院から搬出し、救急車に似せたバン型の車両に移動した。 医師らは車内で臓器を摘出したという。 臓器は、グループのメンバーがひそかに接触した個人や病院に販売されたという。

母親の臓器提供への疑念から

違法な臓器摘出が発覚したのは、ある被害者の息子が疑いをもったためだった。 2018 年に母親を亡くしたその息子は、数カ月後に臓器提供に同意した際の書類を改めて確認したところ、空欄があるなど不自然な点を発見したという。 息子はその後、地元当局にも、北京の臓器提供を統括するセンターにも、母親の記録がないことを発見。 臓器提供をもちかけてきた医師に問いただすと、医師は「口止め」のため、多額の金額を提示してきたという。 「そのとき、何かおかしいことが起きていると確信した」と息子は地元メディアに語った。 息子はすぐに当局に通報したという。

死刑執行後の摘出は中止

臓器売買グループの医師ら 6 人は、7 月に「死体を意図的に破壊した」罪で有罪判決を受けた。 今回、息子がメディアに語ったことで、事件が表面化した。 中国では長年、臓器の需要に応えるため、死刑が執行された囚人から臓器を摘出していた。 この慣行は各国から批判された。 2015 年になって、中国は正式にこうした臓器摘出を中止。 だが当局は当時、現場に徹底させるのは難しいと述べていた。 中国は現在、全国的な臓器バンクへの臓器提供に頼っている。

近年、中国のドナー率は上昇し、100 万人あたり 4.4 人になっている。 ただ、スペインは 100 万人あたり 49 人となっているなど、国際的にはまだかなり低い。 BBC は 2015 年、オンラインで臓器売買の「商談」がなされる中国の闇市場について報告した。 (BBC = 11-27-20)


「植物で覆った結果、蚊が大量発生」中国のマンションとは? 「#クソ物件オブザイヤー」で再び脚光

ベランダに緑を敷き詰めるという前衛的な発想の結果、蚊が大量に発生してしまったマンションがネットで話題になっている。 話題になった不動産プロジェクトを集める Twitterのハッシュタグ「#クソ物件オブザイヤー(全宅ツイ主催)」で紹介されたためだ。 話題になったこのマンションは、一体どんな物件なのか?

建設当初から微妙な反応

注目されているのは、四川省・成都にある 30 階建ての「七一城市森林花園」。 成都市の発表によると、市のプロジェクトの一環として 2018 年に建設された。 「垂直森林」と銘打たれ、各部屋のベランダでブーゲンビリアや桜など計 20 種類以上の植物を栽培することで、自然環境の整った住まいを実現するという。 マンションの写真を見ると、ベランダから溢れんばかりの緑がのぞいていて印象的だ。 一方で、建設当初からネットでは「部屋の日当たりが悪そう」、「横を通ったけど暗い森のようだ」などとあまり評判は良くなかったようだ。

ネットユーザーの悪い予感は的中したようだ。 AFP 通信によると、ベランダから蚊が大量に発生したため、9 月時点でおよそ 10 世帯を残して住民が引っ越してしまったという。 現在はどんな状況なのか。現地の不動産サイトを見てみると、部屋は売り切れとなっている。 価格は 1 平方メートルあたり 1 万元(約 15 万 5,000 円)から。46 平方メートルのベランダがついた部屋(115 平方メートル)の場合、単純計算で約 1,780 万円程度だ。

この物件は、日本でもニュースで紹介されるなどして度々話題になっている。 今回は Twitter のハッシュタグ、「#クソ物件オブザイヤー」で「ほとんどラピュタ」とネットユーザーに取り上げられ再燃。 「ぶっ飛んでる」、「発想自体はいい」などと反響が相次いだ。 ちなみに、ビルと自然を融合させるアイデアはこの成都市のケースだけではない。 AFP や CNN などによると、イタリアの建築家ステファノ・ボエリがミラノなどで実現している。 (Huffpost = 11-16-20)


中国、動物用ワクチン工場から菌流出 住民ら 6,000 人以上感染発覚

中国内陸部の甘粛省で去年、「ブルセラ症」の動物用のワクチンを製造する工場から菌が漏れ出し、住民など 6,000 人以上が感染していたことが分かりました。 地元当局は当初、感染者はおよそ 200 人と発表していましたが、ことしになって報道をきっかけにより多くの感染者を把握していたことを認め、当局の隠蔽体質に批判が高まっています。 中国甘粛省の蘭州市当局は、5 日、記者会見し、去年 7 月から 8 月にかけて、「ブルセラ症」の動物用のワクチンを製造する地元の製薬工場から菌が漏れ出し、周辺住民など 6,620 人が感染したことを明らかにしました。

ブルセラ症は、主に犬や牛、豚、ヤギなどが細菌に感染して引き起こされる病気で、人が感染すると発熱や関節の痛みなどの症状が出ます。 当局は去年 12 月、工場の近くにある獣医学研究所の職員や学生らおよそ 200 人がブルセラ症を引き起こす菌に感染したと発表していましたが、住民の感染は明らかにしていませんでした。 しかし、ことし 9 月、中国の雑誌「財新週刊」が、感染が周辺住民にも広がり、その数は 3,000 人以上に上ると伝えたことをきっかけに、当局は、当時判明していただけで 3,245 人の感染者がいたことを認めました。 そして今回の会見で、感染者がさらに増えて 6,000 人以上に上っていることを明らかにしましたが、当局の隠蔽体質に批判が高まっています。 (NHK = 11-6-20)

前 報 (9-16-20)


中国 20 都市の家賃、10 月は約 1 年ぶりの大幅な値下がり = 民間調査

[北京] 中国の不動産関連データを提供する Zhuge House Hunter によると、中国主要 20 都市の 10 月の平均家賃は前年比 2.48% 下落し、少なくとも過去 1 年で最も速いペースで値下がりした。 9 月は 1.30% 下落していた。 10 月の下落率はデータ集計を開始した 2019 年 11 月以来の低水準だった。

Zhuge House Hunter のバイスプレジデント、Yuan Chengjian 氏はロイターに対して「新型コロナウイルスの打撃を受けた経済は、まだ完全には回復しておらず、賃貸不動産の需要減少や家賃の継続的な値下がりにつながっている」と説明した。 調査対象となった 20 都市中、家賃が値下がりした都市は 12 都市で、9 月から変わらずだった。 深セン市の家賃は前年比 9.72% 下落。北京市は 3.40% 下落した。 北京市の家賃は 9 月、今年に入って初めて値下がりしていた。 (Reuters = 11-6-20)


「専業主婦にならないで」 校長発言に中国で賛否大論争

「生徒たちが専業主婦になるのは反対です。」 中国雲南省にある女子高の校長の発言を巡り、中国の SNS 上で大論争が起きている。 「専業主婦への偏見だ」と批判的な意見の一方で、「やむなく専業主婦になる女性が多い中国の現実を指摘している」と校長を支持する声も目立つ。 背景には、多様な生き方を模索する中国の女性たちの意識の変化がありそうだ。 「私は、貧しさゆえに人生の選択肢が限られている女性の運命を変えたいとの思いで教育に打ち込んできた。 生徒には専業主婦にはなってほしくない。」 10 月下旬、雲南省麗江にある高校の張桂梅校長 (63) がメディアの取材に語ったこの発言が「専業主婦論争」のきっかけだ。

学校は貧困地域にある。 満足な教育を受けられず、義務教育を終えると結婚して家庭に入る女性が多い。 長年教師をしてきた張校長は「女性の自立」を掲げて地元政府に教育の重要性を訴え続け、2008 年、全国初となる学費無料の公立女子校の設立に尽力。 これまでに多くの卒業生を大学に合格させ、中国の教育界では有名な人物だ。 張校長の発言は SNS を通じてたちまち大きな話題となった。 当初は「専業主婦も立派な職業だ」、「何になるかは生徒の自由だ」と批判の声が多数だったが、徐々に張校長を支持する投稿が増えていった。

中国も都市では晩婚化、価値観の多様化進む

張校長は女性の自立した生き方について話しており、単に専業主婦批判しているのではない - -。 出産後、仕事をあきらめて家庭に入るのは女性ばかり。 張校長の発言は女性へのエールだ - -。 いつになったらこの社会は男女平等になるのか - -。 中国では、男女とも適齢期に結婚すべきだとの考えが根強く、子育ては女性が担うケースが多い。 一方で、都市部ではここ数年晩婚化が進み、結婚・出産にとらわれない女性の生き方を支持する動きが広がっている。 今年、既婚者や未婚者、シングルマザーら、様々な背景を持つ 30 歳以上の女性芸能人が自らの経験や人生観を語るテレビ番組「乗風破浪的姐姐」が社会的ブームにもなった。

今回の大論争の背景には、女性の生き方をめぐる価値観の多様化があるとの指摘がネット上でも出ている。 (上海 = 宮嶋加菜子、asahi = 11-3-20)


中国の高齢者 5 年以内に 3 億人突破
「一人っ子政策」廃止 5 年も出生数伸びず

【北京 = 三塚聖平】 14 億の人口を抱える中国で、少子高齢化が顕著になっている。 中国政府は今後 5 年以内に高齢者人口が 3 億人を突破するとの試算を発表、開催中の中国共産党の重要会議、第 19 期中央委員会第 5 回総会(5 中総会)でも検討課題に上るとみられる。 「一人っ子政策」廃止から 5 年を迎えるが思うように出生数が伸びず、経済力低下に直結する人口減少が迫っていると指摘される。

「中度の高齢化社会へ入る。」 民政省の幹部は 23 日の記者会見で、29 日までの 5 中総会で検討している中期経済目標「第 14 次 5 カ年計画」の期間(2021 - 25 年)中に、高齢者人口が 3 億人を超すとの見通しを示した。 中国では 60 歳以上が「高齢者」に分類され、19 年には約 2 億 5,000 万人だったという。 中国は人口増加を抑制するため 1979 年に一人っ子政策を導入。 段階的に緩和した後、2015 年 10 月の 5 中総会で廃止を決め、16 年 1 月から夫婦が第 2 子を持つことを認めた。 廃止された 16 年の年間出生数は 1,786 万人と前年比で 131 万人増えたが、その後は 3 年連続で減少。 19 年に生まれた子供は 1,465 万人で、大躍進政策の下で多くの餓死者が出た 1961 年以来の低水準だった。

子育て費用の高騰などから 2 人目を持つことを望む夫婦が増えていないとみられる。 一人っ子の女児を持つ北京市内の 40 代の自営業男性は「資金的な余裕を考えると 1 人を育てるだけでやっとだ」と打ち明ける。 中国の総人口は 19 年に初めて 14 億人を超えたが、少子化の影響で今後 5 年以内に減少に転じると予測する中国人エコノミストもいる。 策定中の次期 5 カ年計画では中長期的に内需シフトを進めて経済的な自立を図る経済モデル「双循環 = 2 つの循環)」が注目されているが、人口減少が進めば計画に狂いが生じる。 30 年前後に米中の経済規模が逆転する可能性が取り沙汰されているが、中国在住の日本人エコノミストは「中国で人口減少と高齢化が進めば、長期的に米国が再逆転することもある」と分析している。 (sankei = 10-29-20)


中国で巨大砂嵐 市民に「外出しないで」呼びかけ

中国で巨大な砂嵐が発生。 当局は外出しないよう呼び掛けました。 中国北部・内モンゴル自治区では、直線道路を走る車のフロントグラスからは数 10 メートル先もよく見えない様子です。 20 日午後、北に隣接するモンゴルからの強風に巻き上げられた砂嵐が街を直撃しました。 地元気象局は急きょ警報を発表し、市民に外出を避けるよう呼び掛けました。 さらに、外出する場合も自転車には乗らず、車の場合は地下駐車場などに避難するよう指示しました。 この砂嵐は1時間近く続いたということです。 (テレ朝 = 10-23-20)


中国「ネットユーザー数」が 9 億 4,000 万人に迫る
コロナ禍でオンライン教育が爆発的に普及

中国のネットユーザー数は総人口の 7 割に近づいている。 中国インターネット情報センター (CNNIC) は 9 月 29 日、第 46 回「中国インターネット発展状況統計報告」を発表した。 それによれば、中国のネットユーザー数は 2020 年 6 月末時点で 9 億 3,984 万人に達し、3 月末に比べて約 4% 増加した。 6 月末のネット普及率は 67.0% と 3 月末より 2.5 ポイント上昇し、総人口の 7 割に近づきつつある。

CNNIC は中国政府の国家インターネット情報弁公室直属の公的機関であり、1997 年 11 月から半年ごとにインターネットの発展状況に関する権威あるデータを発表している。 カテゴリー別では、2020 年 4 - 6 月期に成長が目立ったのはオンライン教育、オンライン医療、テレワークなどだった。 2020 年 6 月末のユーザー数はオンライン教育が 3 億 8,100 万人、オンライン医療が 2 億 7,600 万人、テレワークが 1 億 9,900 万人に達した。

ライブコマースのユーザーが 3 億人突破

その直前の 1 - 3 月期は新型コロナウイルス流行の影響を受け、オンライン教育のユーザー数が爆発的に増加した。 ピークの 2020 年 3 月末時点ではユーザー数が 4 億 2,300 万人を記録。 背景には全国の大学、高校、中学校、小学校が春節(中国の旧正月)の休暇明けの授業を予定どおり再開できず、2 億 6,500 万人の学生・生徒がオンライン授業にシフトしたことがある。

一方、2020 年 1 - 6 月期に最も急成長した個人向けのネットサービスはライブコマース(訳注 : 生中継のネット動画による実演販売)だった。 6 月末のユーザー数は 3 億 900 万人と、3 月末に比べて 16.7% 増加。 ライブコマースの大流行はモバイル決済の成長の追い風となり、6 月末のインターネット決済のユーザー数は 8 億 500 万人に達した。

ショート動画を含むネット動画のユーザー数は、6 月末時点で 8 億 8,800 万人だった。 CNNIC の報告書は、ショート動画アプリが今やニュース配信の新たなメディアとなり、電子商取引 (EC) の分野でも欠かせない機能になったと分析している。 さらに対話アプリもコロナ禍の中で成長を続け、6 月末のユーザー数は 9 億 3,100 万人に上っている。 (劉沛林、財新/東洋経済 = 10-19-20)


三峡ダムの水位が上昇続け地表面の高さに近づく 重慶市

中国の人災・天災

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「中国に好意持っていない」 70% 超 好感度、軒並み悪化 日米欧 14 カ国調査

米調査機関ピュー・リサーチ・センターは 10 日までに、日米欧など 14 カ国で 6 - 8 月に実施した世論調査で、中国に好意を持っていないと答えた人が 70% を超え、大半の国で好感度が大幅に下がったと発表した。 新型コロナウイルス対応への不満が影響。 習近平国家主席に対する評価も軒並み悪化した。 オーストラリア、英国、ドイツ、オランダ、スウェーデン、米国、韓国、スペイン、カナダでは、中国への否定的な回答が 10 年以上前に調査を始めて以降、最も多かったという。 コロナ感染拡大を巡る海外の批判を強硬な態度で受け付けない外交姿勢がイメージ悪化につながった可能性がある。 (kyodo = 10-10-20)


中国の「まずくて高い」老舗肉まん屋が大炎上! 国慶節でも一人負けのワケ

中国・老舗店の浮沈

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中国の大型連休、4 億人超が国内旅行に - ポストコロナ経済の試金石

→ 連休最初の 4 日間で 4 億 2,500 万人が国内旅行 - 前年同期間の 8 割程度
→ 旅行客の財布のひもは固く - 観光収入が 3,120 億元と 31% 減少

10月1日の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休に突入した中国では、国内宿泊料金が跳ね上がり、配車アプリは機能停止に追い込まれ、万里の長城で入場券が完売した。 新型コロナウイルス感染拡大が始まって自宅にこもることを余儀なくされてから 9 カ月が経ち、4 億人余りが遠出した。 中国ではコロナ感染がおおむね抑えられており、この大型連休は中国経済の回復ぶりと衛生対策への自信を示す場となっている。 文化観光省によれば、1 日に始まった連休最初の 4 日間の国内観光客は約 4 億 2,500 万人に達した。 前年の同じ期間の 8 割近い水準だ。

中国以外の状況はこれとは全く対照的だ。 世界の観光業は 2020 年に少なくとも 1 兆 2,000 億ドル(約 127 兆円)を失う見通しで、中国経済持ち直しの力強さが浮き彫りとなっている。 経済協力開発機構 (OECD) は 9 月時点で今年の中国経済をプラス 1.8% 成長と予測しており、20 カ国・地域 (G20) の中で唯一拡大が見込まれている。

大型連休迎える中国、国内航空便の利用活発に−コロナ禍の国外尻目に

香港城市大学でヘルスセキュリティーを教えるニコラス・トーマス准教授は、「一般観光の再開を認めることには間違いなくリスクがある。 ある意味では、世界規模で観光を来年再開する際、各国が経験しなければならないことを事前に中国で試しているとも言える。」と話す。 中国では 8 月 15 日以降、国外からの流入を除く感染症例は報告されていないが、先月下旬に 2 件の無症状感染が見つかった。 政府はピーク時に導入した移動制限のほぼ全てを緩和しており、団体旅行の禁止は 7 月半ばに解除され、各都市のいずれの地区も「低リスク」と認定されている。 省をまたぐ移動もコロナ検査の陰性証明はもはや求められていない。

中国疾病予防コントロールセンターの疫学首席専門家、呉尊友氏は北京で先週開いた記者会見で、「6 週間以上にわたり国内で 1 件も確認症例が報告されておらず、一般市民がアクセスできる環境にウイルスはいないということを意味する」と主張。 「無症状感染者に偶然出くわす可能性も相当低く、ごくわずかだ」と語った。 観光客も安心しているようだ。 今年初めての旅行で子供 2 人と両親を連れて北京から空路で広西チワン族自治区に向かう 35 歳のツォラ・リさんは「コロナは心配していない」と話す。

香港城市大のトーマス准教授は「大型連休後 2 - 3 週間にどの程度の新規感染者が出るかで、うまくいったかどうかがようやく分かる」と指摘。 「感染の急増を避けることができれば、中国が本当にコロナ後の局面に移りつつあることを示す証拠になる」とコメントした。 だが、コロナ感染の不安と脆弱な景気回復がなお打撃だ。 旅行者も連休中に財布のひもを緩めているわけではない。 文化観光省によると、連休開始後 4 日間の観光収入は 3,120 億元(約 4 兆 8,600 億円)と前年の同期間に比べて 31% 減った。 (Bloomberg = 10-6-20)

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中国で大型連休 旅行客 6 億人の予想、政府復興アピール

中国で、建国記念日にあたる「国慶節」の 8 連休が 1 日、始まった。 新型コロナウイルスの「震源地」となった中国だが、連休中の旅行客数は前年比 8 割弱に迫る 6 億人にのぼるとの予測もある。 政府は打撃を受けた経済の回復に向け、観光業を後押ししている。 北京の代表的観光地、故宮博物院の周辺は 1 日午前から旅行客でにぎわっていた。 旗を持ったガイドに引率される団体客も多く、付近の道路では観光バスが行き交った。 ガイドの男性 (36) は「客足はかなり戻ってきた。 中国でウイルスを怖がる人はもうほとんどいないだろう。」と話す。

中国中央テレビも 1 日、新型コロナ流行が始まった湖北省武漢市や大雨被害のあった重慶市を多くの観光客が訪れている様子などを繰り返し伝え、復興ぶりを強調した。 中国のオンライン旅行大手、携程旅行網は 8 連休中の旅行客がのべ 6 億人に達するとの試算を発表した。 約 7 億 8 千万人だった昨年比で 8 割弱に達する。 旅行客数の回復見通しの背景には、国内の感染状況の落ち着きがある。 中国は 1 日約 500 万件の PCR 検査能力があり、感染者があった都市では早期の検査と隔離を行って感染拡大を防いできた。 政府発表によると海外からの渡航者を除き、症状を伴う感染者は 50 日近く出ていない。

新型コロナによる移動制限や旅行自粛の影響で、今年上半期の旅行客数は前年比で約 4 割、旅行収入は約 2 割まで減少した。 政府は、観光地の最大収容人数の制限を 50% から 75% に緩和し、1,500 カ所以上の観光地の入場料の無料化や割引措置で観光業を後押ししている。 政府系シンクタンクの中国社会科学院財経戦略研究院の魏翔副教授は「中国の主要産業は製造業からサービス業に移りつつあり、政府は経済復興に向け、旅行業の役割に期待している」と語る。 (北京 = 高田正幸、asahi = 10-1-20)


中国、反腐敗担当の元幹部を調査 習氏の政策支えた一人

中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は、全国の官僚の不正を取り締まる特捜チーム「中央巡視組」元幹部の董宏氏 (66) を重大な規律違反の疑いで調査していると 2 日、発表した。 具体的な容疑は明らかにしていない。 董氏は、習近平(シーチンピン)国家主席の看板政策である「反腐敗キャンペーン」を率いた王岐山(ワンチーシャン)国家副主席が広東省や北京市で勤務した時代から部下として支えた。 その後、王氏がトップを務めた党中央規律検査委員会に入り、次官級幹部として国営企業や大学の調査などを担った。 習氏の「鋭い剣」とも呼ばれる中央巡視組は、地方の党・政府機関や軍などの不正をただすのを目的に組織され、「反腐敗」の最前線に立ってきた。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 10-5-20)


中国の農村版スマートシティーの取り組み

中国では、さまざまな形でスマートシティーの整備が進められている。 スマートシティー向けのシステムでは、阿里巴巴(アリババ)の「城市大脳」が知られている。 華為技術(ファーウェイ)や百度(バイドゥ)などもシステム開発に乗り出している。 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生したとき、各都市は感染の恐れのある人々を把握、隔離、治療するためにスマートシティーの仕組みを活用した。 そうしたことから、各都市が何かしらのスマートシティーパッケージを導入していたといえる。

農村部でも実験的にスマートシティーの導入が開始されている。 厳密には "スマートヴィレッジ" と呼ぶべきかもしれないが、今回は便宜的にスマートシティーと呼ぶ。 中国のスマートシティーというと、ネットワークカメラ(防犯カメラ、監視カメラ)を多数配備して、人々の動線把握や治安維持などに使われていて、コントロールセンターで映像を監視している様子をイメージすると思うが、それを農村向けにアレンジしたものになる。 中国では、農村向けソリューションという意味で「数智郷村一張図」と呼ばれている。

浙江省の湖州市徳清県で、アリババの城市大脳をベースとした数智郷村一張図が導入され、杭州城市大数据運営公司(杭州都市ビッグデータ運営企業)によって活用されている。 大きく「農村計画」、「農村経営」、「農村サービス」、「農村環境」、「農村防犯」の 5 つの機能があり、リアルタイムで農村の状況や生産活動を知ることができるとしている。 言い換えれば、村のさまざまな問題を早期発見し、速やかに問題を解決するシステムだ。

その詳細が全て明かされているわけではないが、例えば、信号機やゴミ箱をはじめとしたものが IoT でつながり、路上のゴミ箱にゴミがある程度たまるとセンターに通知が飛ぶ。 ゴミ箱が満杯になる前に回収することで、無分別に捨てられるリスクを減らし、ゴミの分別率を高めたとしている。 道路に障害物が落ちていたり、電線に物が引っかかっていたり、信号機が故障したりしたときにも自動でセンターに通知され、作業員が派遣されて問題に対処する。 監視が強化されるという側面もあるが、これまで平均 5 日かかっていた障害対応が 3 時間にまで大幅に短縮されたそうだ。

新型コロナウイルス感染症の対策としては、都市部ではマンションやビルごとの感染状況に応じて QR コード(緑色は安全、赤色は危険)を表示する「健康コード」を運用した。 農村部は戸建てばかりであり徳清県も例外ではないが、都市部と同様に村の全戸を城市大脳に登録し、どこで誰が感染したかを確認できるようになったという。 また農村版城市大脳では、産業インターネットもサポートするようだ。 約 30 カ所の工場によるピアノ(部品)の生産が盛んだが、それぞれの工場を城市大脳に登録し、各工場の需要と供給を把握し、適切な生産量を指示することによって農村の産業を振興させるとしている。

問題の発見や状況の把握だけでなく、ビッグデータによる分析もある。 村の運営データがたまっていくことで、さまざまな効率化に役立てられる可能性がある。 他にも政府のデジタル化により、役所に出向く手続きをスマートフォンでできるようにした。

また農村部では住民による土地のトラブルが多い。 公開されている情報が少なく、自治体の政策も十分に理解されていない。 役所では外来人口も含め、住民の実態を把握できていないといった問題がある。 2019 年 5 月には中国政府(国務院)が「数字郷村発展戦略概要」において、農村部の振興にはデジタル化が重要だと発表している。 農村のさまざまな問題の解決に向けて、数智郷村一張図はやがて活用されるだろうし、あるいは既に活用されているかもしれない。

まだまだ農村版スマートシティーは出来たばかりだが、これまでの都市向けスマートシティーがそうだったように、徳清県での導入で改善を重ね、中国全土に行きわたっていくのではないだろうか。 (山谷剛史、ZDnet = 9-30-20)

〈編者注〉 中国のスマートシティ・スマートビレッジと言えば、やはりトップダウン、負の効果を併せて考えてしまいます。 それにしても、デジタル化では中国に比べ日本は大きく遅れています。 でも、日本では地元住民の積極参加型の手法を探って欲しいと願っています。