午後 4 時、LUSH 新宿店は電気を消した 動き出す企業

若者が中心となり、世界各地で 9 月に「グローバル気候ストライキ」が行われました。 活動には企業の参加もありました。 企業が動くことは、大人も環境問題に目を向けるきっかけになったようです。

「参加してみて、圧倒された。」 日本では 9 月 20 日に、「グローバル気候マーチ」の名称でデモがあった。 この日、東京・JR 新宿駅前にある英国発祥の化粧品ブランド「LUSH (ラッシュ)」新宿店では、午後 4 時から 4 時間、店を閉めた。 4 フロアある店内の電気が徐々に消え、外壁の LED スクリーンに流れていた映像も消えた。 ガラス張りのドアには「『大人たちにも仕事を一旦中断して一緒に行動を起こして欲しい』という彼ら(若者)の呼びかけに応じ、営業を一時停止しています」とのポスターが貼られた。

ラッシュは、展開する世界 48 カ国のうち約 40 カ国が今回の運動に加わった。 オランダの店舗スタッフが声を上げたことをきっかけに、上層部が休業を決定した。 運動への参加は強制ではなかったが、東京では本社や工場、店舗で働く約 300 人がプラカードなどを持ってデモに参加した。 新宿店はアジア最大規模の旗艦店。 そこで働く飯島愛美さん (28) は「参加してみて同じ意見を持つ人の多さに圧倒された」と話す。 「働くからには環境の負荷を考えていかなければいけない時代、企業で参加することには大賛成だし、ブランド愛も強まった。」

スノーボードメーカー「バートン」は、米国本社の CEO がグレタ・トゥンベリさん (16) の演説に感銘を受けて 20 日の営業停止を決定。 日本でも 7 店舗を閉じた。 午前中には地球温暖化についての映画を見る時間も設けたという。

バートンジャパンの須川尚美代表は「日本では危機感が薄いが、運動に関わることで自分の意識も変わる」と話す。 東京店スタッフの大江光さん (24) は五輪経験もあるスノーボーダー。 マーチに参加したことを知った友人からマーチのことを聞かれ、気候危機について説明したという。 「まずは何が起きているかを知らないと、動こうという気にはならない。 企業が動くことで、知るきっかけになる。」と話す。 「いきなり大きなことは出来ないかもしれないけど、気づいたことからやっていかなくては。」

声あげる文化への一歩

ただ、日本では広がりに欠けたのが実情だ。 20 日にラッシュ新宿店が一時閉店する前に買い物をしていた女性 (26) は「マーチのことは知らなかった。」 ただ、「私のような興味がない人も知る機会になるから、良いことだとは思います」と話した。 ポスターをしばらく眺めていた男性会社員 (54) もマーチ開催は知らなかったとしつつ、「社会にインパクトを与える一つのやり方だし、時代の先駆けなのかも。 何年かしたら、私の会社でもこういうことをするようになるのかもしれませんね。」と話した。

NPO 法人「環境経営学会」の後藤敏彦会長は「世界が『気候危機』と捉えて動き出す中、これまで日本だけが台風の目の中にいるように無関心だった」とした上で、今回の企業の動きを「従業員教育にも消費者アピールにもなる」と評価する。 ラッシュは路面店だけでなく、丸井やパルコに入る店舗も一時閉店した。 商業施設の中で 1 店舗だけが閉店することは異例で、パルコは「お客様に迷惑をかけないかという点は心配ではあった」ものの、趣旨に賛同して了承したという。

五野井郁夫・高千穂大教授(政治学)は「企業がエシカル(倫理的)であることを重視し、『1 日の売り上げよりも大事なことがある』と行動することが、世界のファッションやコスメ業界では不可逆的なトレンドになってきている。 丸井やパルコはそれを理解しているから OK を出したのだろう。」と話す。 五野井さんは今回のストライキ調査のため、ロンドンを訪問。 学校帰りや、犬の散歩がてら参加している小中学生や大人がいたのが印象的だったという。

「欧米は個人でデモに行くのが当たり前の社会。 日本では『政治に関わるべきではない』という意識がまだ強いが、声をあげないと社会は変わらない。 そういう文化をどうつくれるのかという点で、今回、勇気ある企業が動き、商業施設側も許容したことは新しい動きだし、評価すべきことだと思う。」

グローバル気候ストライキ : 9 月 20 - 27 日に世界 185 カ国で 760 万人以上が参加(国際環境 NGO まとめ)。 日本では、東京や大阪、名古屋、福岡などでデモがあった。 グローバル気候ストライキのきっかけは、昨年スウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさんが始めた学校ストライキ。 地球温暖化に対する政府の無策に抗議するため、1 人で学校を休んで国会議事堂前に座り込み、気候危機の影響を受けるのは若者だと主張した。 共感した世界各地の若者が「未来のための金曜日」と称し、毎週金曜日に学校ストライキを開始。 グレタさんは今年 9 月に米国で開かれた国連気候行動サミットで演説した。 (山本奈朱香、asahi = 10-23-19)


シャープが 6.5kWh の住宅用蓄電池を新発売、停電時の利便性を強化

シャープが「CEATEC 2019」で、10 月に発表した「住宅用クラウド蓄電池システム(JH-WBPB6150)」を披露。 従来製品より蓄電容量を増やした他、停電時には住宅のどのエリアのコンセントでも電気を利用できるようにするなど、非常時を想定した機能を強化した。

シャープは「CEATEC 2019 (2019 年 10 月 15 - 18 日、千葉市・幕張メッセ)」に出展し、2019 年 10 月に発表した「住宅用クラウド蓄電池システム(JH-WBPB6150)」を披露した。 従来製品より停電時の電力供給機能を強化しているのが大きな特徴だ。 代表的なモデルの希望小売価格は蓄電池本体、パワコン、コントローラーなどの周辺機器を合わせて税別 260 万円前後で、発売は 2020 年 1 月を予定している。

新製品はリチウムイオン電池を採用し、蓄電容量は 6.5kWh で、最大 1 台の増設が可能。 外形寸法は 560 x 320 x 575mm、重量は 74kg、屋内外の設置に対応し、動作温度範囲は -10℃ - 40℃。 新製品の蓄電容量は、従来モデルの 4.2kWh から 1.5 倍以上に増えている。 ブース担当者によると、停電時などに備え、余裕のある蓄電容量を求めるユーザーが増えているという。 新製品ではこうした災害による停電時に役立つ機能の強化として、従来は停電時に一部のコンセントへの電力供給しか行えなかた仕様を、分電盤に供給する方法に変更し、停電時に家中のコンセントを利用できるようにした。

それに伴い、停電時の出力電圧を 200V、最大出力電力を 5.5kVA に高めている。 これによりエアコンなどの 200V 機器も利用可能になった。 この他、同時発売の蓄電池連携型パワーコンディショナー(JH-55KF4)は入力回路を 4 つに増やしており、既に太陽光発電を設置済みの住宅でも置き換えをしやすくした。 なお、シャープの HEMS との接続にも対応しており、接続することで生活パターンや住宅に設置した太陽光発電の発電量、天気予報などの予測データに基づいて、自動で自家消費モードや蓄電池の充放電を最適にコントロールする機能なども利用できる。 (スマートジャパン = 10-17-19)


日本の石炭火力発電、再生エネルギーのコスト低下で 7.6 兆円の「座礁資産」リスク

日本では再生可能エネルギーのコスト低下によって、石炭火力発電関連施設には、最大 710 億ドル相当の「座礁資産(市場・社会環境激変により価格が大幅に下落する資産)化リスク」がある - -。 東京大学と英シンクタンクのカーボントラッカー、機関投資家が運営するカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト (CDP) は 6 日、こうした調査報告書を公表した。 報告書は、現在稼働中と計画段階の日本の石炭火力発電施設の経済効率性を、プロジェクトファイナンスのモデルを用いて分析。低稼働率と、陸上風力、洋上風力、太陽光といった再生可能エネルギーのコスト低下が、日本の石炭火力発電能力に打撃を与える可能性があるとの見方を示した。

洋上風力、太陽光、陸上風力のコストはそれぞれ 2022 年、23 年、25 年までに、新規計画中の石炭火力発電よりも安くなり、既存の石炭火力発電と比べても洋上風力と大規模太陽光は 25 年、陸上風力は 27 年に長期の限界コストが安くなるという。 また報告書は、世界の気温上昇を 2 度未満に抑えるという国際的な合意(パリ協定)に基づく取り組みを達成するには、計画中と稼働中の石炭火力発電施設を閉鎖する必要があり、それに伴って 710 億ドルの座礁資産が生じて日本の消費者が電力価格上昇という負担を強いられかねないと警告した上で、もし日本政府が速やかに石炭火力発電施設の計画と建設を中止すれば、290 億ドル分のリスクは回避できると付け加えた。

日本政府は、再生可能エネルギーを主要な発電の手段とすることで 50 年以降の早い時期に発電における温室効果ガス排出をゼロにして、パリ協定を達成できると表明してきた。 ただ 11 年の福島第一原発事故を受け、10 年に 80% だった化石燃料輸入への依存度が 16 年に 95% 近くまで上昇し、発電によって排出される温室効果ガスは 25% 増加したことが、国際エネルギー機関 (IEA) のデータで分かった。 ロイターが調査したところでは、日本では今後 10 年で約 12.6 ギガワット (GW) 相当の発電能力を持つ石炭火力発電施設の建設が予定されている。 (Reuters = 10-7-19)


真岡発電所が運転開始 神戸製鋼所「首都圏へ安定供給」

神戸製鋼所は 1 日、真岡製造所(真岡市鬼怒ケ丘)の隣接地に約 1 千億円かけて建設している「真岡発電所」で、1 号機の営業運転を同日始めたと発表した。 天然ガス火力発電としては国内初の内陸型の大規模発電所で、ガス供給を受ける東京ガスに電力の全量を販売する。 発電設備はガスタービンと蒸気タービンを組み合わせており、1 号機の発電能力は 62 万 4 千キロワット。 来年前半に 2 号機を稼働させた後は、発電能力が計約 125 万キロワットに上昇する。 神鋼の完全子会社のコベルコパワー真岡が運転を行う。 今春から試運転を開始していた。 神鋼は「効率が高い火力発電で、首都圏への電力の安定供給を担う」としている。 (山沢義徳、sankei = 10-2-19)


岩手県八幡市で地熱発電所の建設がスタート、2024 年に稼働を予定

三菱マテリアルらの共同出資会社が岩手県八幡平市でこの夏から地熱発電所の建設工事を開始。 2024 年 4 月の運転開始を目指す計画だ。

安比地熱は 2019 年 9 月、同年 8 月から岩手県八幡平市で「安比地熱発電所」の建設工事を開始したと発表した。 2024 年 4 月の運転開始を目指す。 出力は 1 万 4,900kW、シングルフラッシュ方式の発電所を計画している。 安比地熱は三菱マテリアル、三菱ガス化学および電源開発の共同出資会社で、これら 3 社による地熱発電共同事業は、2019 年 5 月 20 日に営業運転を開始した山葵沢地熱発電所(秋田県湯沢市)に次いで 2 地点目となる。 2019 年 1 月には、石油天然ガス・金属鉱物資源機構と同事業に関する債務保証に係る契約を締結した。

安比地熱は、三菱マテリアルと三菱ガス化学が地熱発電事業を可能と判断したことで 2015 年 10 月に設立された。 その後 2018 年 6 月には電源開発が新たに出資を行っており、3 社により事業化を推進する。 当初は 2018 年の建設工事開始を計画していたが、体制変更に伴って 2019 年の工事開始に変更した。 (スマートジャパン = 9-30-19)


九電が世界最大級の植物工場を検討、再エネを活用したレタスの提供やVPPも検討

九州電力が天候に左右されずに植物を栽培できる植物工場の事業化検討を開始。 レタスなどの野菜栽培だけでなく、バーチャルパワープラント(VPP、仮想発電所)のリソースとしての利用や、再エネ電源との組み合せによる低環境負荷のレタス提供なども検討するという。

九州電力は 2019 年 9 月 25 日、九電工、東京センチュリー、スプレッドの 3 社と、植物工場の事業化に向けた検討を開始することについて合意したと発表した。 同社の豊前発電所遊休地(福岡県豊前市)に建設を予定しており、レタスなどの栽培だけでなく、バーチャルパワープラント(VPP、仮想発電所)のリソースとしての利用など、エネルギー分野での活用も検討するという。

植物工場とは、外部と遮断された建物内で LED と養液を用い、レタスなどの植物を栽培する施設のこと。 年間を通じて天候に左右されずに栽培が可能なため、次世代の栽培システムとして注目されている。 今回九州電力が検討する植物工場では、2006 年から植物工場事業を展開しているスプレッドのノウハウを活用した次世代型農業生産システムを導入し、高度な栽培管理と大幅な栽培自動化を実現できるとしている。 植物はレタスを栽培する計画で、生産能力日産 5 トンを計画。 九州電力によると、これは世界最大級という。

植物工場は大型の空調システムや、各種の照明設備を利用するため、電力需要が大きい。 そのため、九州電力では建設する植物工場を、VPP リソースとして活用する他、再エネ電源との組み合せによる低環境負荷のレタス提供など、付加価値創出についても検討するとしている。 既に計画地の適正性や市場調査などの基礎調査は完了しており、今後は 2020 年 3 月までをめどに事業性評価などの検討を行い、その後事業化判断を行う予定だ。 (スマートジャパン = 9-26-19)


グレタ・トゥーンベリさん、国連で怒りのスピーチ 「あなたたちの裏切りに気づき始めています」

欧州から始まる地球環境保護のうねり

記事コピー (8-10-19〜9-24-19)


ヒトの胎盤内から黒色炭素粒子を検出、大気汚染が影響か 研究

自動車の排ガスや石炭火力発電などから主に排出される黒色炭素(ブラックカーボン)粒子が、胎盤の胎児に面している側である「胎児面」から検出されたとの研究論文が 17 日、発表された。 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された論文によると、日常生活で大気汚染物質に最も多くさらされていた女性の胎盤から検出された黒色炭素粒子濃度が最も高かった。

論文の執筆者らは、「今回の研究は、大気汚染由来の黒色炭素粒子がヒト胎盤内に存在することを示す有力な証拠となった」と述べている。 さらに「幼少期以降の汚染が健康に有害な影響を与えることについての信ぴょう性のある説明」にもなるという。 大気汚染は子どもの健康に破壊的な影響を及ぼす恐れがあることが知られている。 最大のリスクは低出生体重で、これにより糖尿病、ぜんそく、脳卒中、心臓病やその他多数の病気の発症率が高まる。

だが、大気汚染がこのような脅威を新生児に及ぼす仕組みと理由については生物学的な説明がされておらず、医師の間で長年謎となっていた。 ベルギー・ハッセルト大学のティム・ナウロ氏率いる研究チームは「黒色炭素粒子が母親の肺から胎盤に移動できる」と仮定。 高解像度撮像装置で、正期産 23 例と早産 5 例の胎盤を調べた。 その結果、平均濃度 1 立方メートル当たり 2.42 マイクログラムの黒色炭素粒子にさらされていた女性 10 人は、その 4 分の 1 の濃度の黒色炭素粒子にさらされていた女性 10 人に比べて、胎盤内の粒子濃度が著しく高いことが明らかになった。

さらに深刻なのは、微量の黒色炭素が胎盤面で見つかったことだ。 だが、胎児の体内には汚染粒子の痕跡はなく、胎盤が毒性物質を防ぐ役割を果たしている可能性があることを示唆している。 「だが、黒色炭素により胎盤が損傷している可能性がある」と、ニュージーランド・オークランド大学環境学部のジェニファー・サモンド准教授は、今回の研究結果の解説記事で述べている。 「胎盤機能の低下が、他の研究で大気汚染との関連が指摘されている低出生体重を説明する可能性もある」という。

胎児は、発達過程において特に空気の質の悪さの影響を受けやすい。 この期間に大気汚染にさらされると、生涯にわたる発達の変化や肺組織への恒久的な損傷などを引き起こす可能性がある。 「今回の研究では、世界保健機関 (WHO) の基準で特に汚染度が高いとはされていない大気に由来する黒色炭素粒子も胎盤内に蓄積しているという点を最も憂慮すべきだ」とサモンド准教授は指摘している。 (AFP/時事通信 = 9-18-19)


台風 15 号で水上メガソーラーが破損、発火 住宅用太陽光パネルも「危ない 10 万棟」

台風 15 号の影響により、千葉県市原市の山倉ダムで水上に浮かぶ太陽光発電用のパネルが大きく破損し、発火する被害が出た。 再生可能エネルギーとして太陽光パネルの普及が進み、住宅の屋根に設置されているのも珍しくなくなったが、火災の恐れがある住宅が全国で「10 万 7,000 棟」にのぼるとされ、専門家は「定期的な保守管理が必要だ」と警鐘を鳴らす。 出火したのは、「千葉・山倉水上メガソーラー発電所」のパネル。 工業用水用のダム水面に約 5 万枚を設置し、水上設置型として日本最大級とされる。 出火原因は調査中で、台風後は送電を止めているが、パネルに日光が当たると自動発電するため、再び火災が起きる恐れがあるとして警戒を続けるという。

住宅用の太陽光パネルでも台風などで事故につながる恐れがあると指摘するのは、産業技術総合研究所太陽光発電研究センター・システムチーム研究チーム長の大関崇氏だ。 「強風による飛来物に当たって太陽電池パネルが割れたり、ひっくり返って配線が切れたり、ショートしたりというリスクがある。 太陽電池パネルや架台(パネルをのせる台)など構造物が飛散して車や建物に当たったり、発電した電気が集まる接続箱が水没、水素が発生して破損したケースもある。」という。

一部の住宅用の太陽光発電をめぐっては、自然災害以外にも火災の危険性があるという。 消費者庁の消費者安全調査委員会が 1 月に出した報告書によると、2008 年 3 月から 17 年 11 月の間、住宅用太陽光パネルから発生した火災、発火、発煙、過熱などの事例は 127 件にのぼる。 大関氏は、「メーカーや型式にもよるが、劣化などで部分的に高熱になり太陽電池から発火したり、ケーブルなどが漏電に近い形で発火するケースがある。 延焼しやすい構造の場合、屋根裏の下まで燃えた事例もあり、家の火災に広がる恐れもある、」と語る。

報告書でも、太陽光モジュールと屋根の下地となる木材「野地板」の間に鋼板などの不燃材料が設置されていなかった場合、延焼する危険性があるとしている。 そして住宅用太陽光発電システムの累積設置棟数全体(約 237 万棟)のうち、鋼板などが設置されていないのは約 4.5%、実に約 10 万 7,000 棟にも及ぶと警告している。 前出の大関氏は「きちんと設計、施工されているかがまずは重要で、その上で保守点検することが重要だ。 今回の台風のような災害の後には、特に注意して見ておくべきだろう。」と話した。 (ZakZak = 9-16-19)

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ダム水面の太陽光パネルが数十枚燃える 千葉・市原

9 日午後 1 時ごろ、千葉県市原市で「ソーラーパネルが燃えている」と 119 番通報があった。 県警市原署や市原市消防局によると、山倉ダムの水面に浮かべられた太陽光パネルが風に流され、折り重なるようにして、少なくとも約 50 枚が燃えているという。 けが人の情報は入ってきていないという。 同ダムの水面には太陽光パネル約 5 万 1 千枚を浮かべた水上型の太陽光発電設備「山倉水上メガソーラー発電所」があり、県によると「水上の発電設備としては日本最大」という。 (asahi = 9-9-19)


再エネ導入可能量に「東電ショック」!

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次世代太陽電池、「鉛の毒性」の壁超える研究活発

「ペロブスカイト太陽電池」で材料刷新

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米、メタン規制を緩和へ 環境保護からエネ開発へ転換

【ワシントン = 鳳山太成】 トランプ米政権は 29 日、原油やガスの掘削で漏れるメタンガスの排出規制を緩和すると発表した。 環境保護より経済成長を重視する現政権の規制緩和の一環で、漏洩対策にかかるコストを減らしてエネルギー開発を促す。 ただメタンは温室効果が高く、地球温暖化につながる可能性がある。 野党・民主党や環境団体が反発を強めそうだ。 米環境保護局 (EPA) は規制見直し案を発表した。 深刻な大気汚染を引き起こす恐れがないとの理由で、メタンの漏洩対策を施す必要がある対象から、石油・ガス掘削に使う貯蔵装置などを外す。 産業界など一般から 2 カ月間意見を募ったうえで正式に決める。

ウィーラー EPA 長官は声明で「不要で重複する規制を石油・ガス産業から取り除く」と強調した。 EPA によると、業界全体で年 1,700 万 - 1,900 万ドル(約 18 億 - 20 億円)のコスト節約になるという。 他の汚染物質の排出規制により、同時にメタン排出の増加も抑えられるとしている。 世界銀行などによると、2012 年のメタンの排出量は中国が最大で、米国はインド、ロシアに次いで 4 番目に多い。 環境保護団体などが提訴する可能性があり、規制が実際に見直されるまでには曲折も予想される。

米エクソンモービルや英 BP など大手エネルギー会社は環境保護を重視してメタンの漏洩対策を進めており、連邦政府の排出規制も支持してきた。 一方、中小のエネルギー会社は対策コストの負担が大きいとして規制緩和を求めていた。 トランプ米大統領はシェール革命で増える米国の原油・ガス生産を後押ししている。 地球温暖化問題に懐疑的で、環境保護を優先課題に掲げたオバマ前政権下の規制を次々と撤廃したり緩和したりしてきた。 (nikkei = 8-30-19)


竹富島が入島料 300 円、9 月から環境保全に

沖縄県竹富町は環境保全を目的として 9 月 1 日から、同町の竹富島を訪れる観光客を対象に任意で 1 人当たり 300 円の「入域料(入島料)」を徴収する。 集めた資金は環境維持のほか、自然を損なう恐れがある開発用地の購入などに使う。 2015 年に施行された「地域自然資産法」に基づく取り組みで、環境省によると全国初のケースという。 石垣市の石垣港離島ターミナルと竹富町の竹富港ターミナルにそれぞれ券売機を設置する。 支払うかどうかは任意とし、券の確認などはしない。 竹富島への入域は年 50 万人に上るとされ、すべての人が支払った場合、1 億 5 千万円になるが、40% 程度(年約 6 千万円)の徴収を見込んでいる。

地域自然資産法は公的資金だけでなく、民間資金を用いて環境保全を推進する目的で施行された。 資金は外来生物の駆除や植生再生など自然環境保全に役立てる。 また、乱開発を防ぐための土地購入にも使用する。 土地購入費は全国から寄付金を集めて大半を賄う一方、入域料で集めた資金も一部充当する。 県内では環境保全を目的に地域を訪れる観光客に負担金を求める動きが広がっている。 伊是名、伊平屋、渡嘉敷、座間味の 4 村は「法定外目的税」として船舶運賃に上乗せ。 地元住民も含めて一律徴収している。 竹富町は「観光客の協力金の意味合いを明確にするため(政策推進課)」、住民は対象外とし、一律徴収とは異なる方法を選んだ。

竹富町は当初、4 月からのスタートを目指していたが、徴収方法を巡り、関係者間の調整に時間がかかった。 (nikkei = 8-27-19)


アマゾン SOS ブラジルのトランプ、森林保護骨抜きに

南米ブラジルでアマゾンの熱帯雨林が、今年に入り急速に失われている。 農地拡大のための火災や違法伐採が原因とされる。 環境保護より開発を優先するボルソナーロ政権になり、監視が弱まった影響も指摘される。 地球規模の気候変動への影響を指摘する声もある。 南米最大の都市ブラジル・サンパウロで 19 日午後 3 時ごろ、上空一面を黒い雲が覆い、夜のように真っ暗になった。 国立気象観測所によると、2 千キロメートル近く離れたアマゾンや隣国ボリビアなどの森林火災の煙が流れ、寒冷前線とぶつかって生じた現象だという。

米航空宇宙局 (NASA) は 21 日、アマゾンでの火災の衛星写真を公開。 「ブラジルでは森林火災の季節だが、記録的な数字だ」とツイートした。 衛星で監視するブラジル国立宇宙研究所 (INPE) によると、今年 1 月以降のアマゾンでの森林火災件数は 3 万 9 千件を超え、昨年の同時期よりも 78% 増えた。 焼失面積も前年同期より 79% 増えて 1 万 8,629 平方キロメートルに上る。 福岡、佐賀、長崎、熊本各県の合計面積とほぼ同じ広さが焼けた。

監視役の権限を縮小

ブラジルでは例年、7 - 10 月上旬は乾期で森林火災が増える。 雷などで自然発火することもあるが、今年は別の要因が指摘されている。 農場や牧場などの造成目的に火をつけるケースだ。 また、違法伐採も横行しているとされ、INPE によると、今年 1 - 7 月に伐採で失われたアマゾンの森林面積は計約 4,698 平方キロ。 昨年 1 年間で伐採された面積の 95% に相当する。 乱開発を助長していると指摘されるのが、奔放な発言などで「ブラジルのトランプ」とも呼ばれるボルソナーロ大統領の姿勢だ。 以前から「何の役にも立っていないアマゾンは外国に売り払えばいい」などと発言。 今年 1 月の大統領就任後は、自然環境や先住民のために保護されてきたアマゾンの開発に道を開く姿勢を示した。

政権は INPE とともにアマゾンを監視してきた国立再生可能資源環境院 (IBAMA) の権限を縮小。 また、INPE の統計を疑問視し、反論した INPE の所長を更迭している。 INPE と IBAMA は、ノルウェーとドイツが資金を出す「アマゾン基金」を保護活動に使ってきた。 ボルソナーロ政権は、この基金の改変も計画した。 基金の管理委員会のメンバーや仕組みを変え、政府の影響力を強めようとした。 また、開発が規制されている保護区内の地主に、開発できないことへの補償や土地の買い取り費用として、基金を使うことを狙った。 こうした動きを受け、ドイツ、ノルウェー両政府は今月、基金への支払いを止めると表明した。

根拠なく NGO に責任転嫁も

国際社会が心配するのは、アマゾンが「地球の肺」とも呼ばれる、世界最大の熱帯雨林だからだ。 大量の二酸化炭素を吸収する一方、地球上の酸素の 20% を作るとされる。 破壊が進めば、地球温暖化に影響を与える恐れがある。 だが、ボルソナーロ氏は聞く耳を持っていない。 7 月 29 日には環境問題などについて話し合うためにブラジルを訪れた仏外相との面会を、ボルソナーロ氏は突然キャンセル。 フェイスブックで「仏外務省を驚かしてやった」とのコメントとともに、理髪店で散髪する様子を投稿して挑発した。

また、ボルソナーロ氏は「環境汚染を減らすために、大便の回数を減らせばいい」などと述べ、「アマゾンはブラジルのものだ」などとも主張。 21 日には「予算がほしい NGO が、森に火をつけている」などと根拠もなく発言し、地元メディアや環境保護団体などから批判されている。 ブラジルも加盟する南米南部共同市場(メルコスール)は今年 6 月、欧州連合 (EU) と自由貿易協定 (FTA) を結ぶことで合意した。 この合意には森林保護が条件に含まれている。 ボルソナーロ政権がアマゾンの破壊を放置すれば、貿易などにも影響が出る可能性を指摘する専門家もいる。 22 日にはマクロン仏大統領や有名歌手マドンナさんらがアマゾンの保護を訴えるコメントを発表した。 (サンパウロ = 岡田玄、asahi = 8-24-19)


香川県のため池に 9,400 枚の太陽光パネル、年間 330 万 kWh を発電

三井住友建設は 8 月 1 日、自社開発した水上太陽光発電用フロートシステム「PuKaTTo (プカット)」を使用した太陽光発電所「女井間(めいま)池水上太陽光発電所(香川県木田郡三木町)」の建設に着手したと発表した。

今回の事業は、同所の「平木尾池水上太陽光発電所(2017 年 11 月完成)」に続く、2 件目の水上太陽光発電所運営事業となる。 新発電所は、農業用ため池を利用し、水上太陽光発電用フロート約 9,400 枚(パネル設置面積約 2 万 8,600m2)を設置する。 その発電出力は 2,822kW (パネル出力)で、年間発電量は約 330 万キロワット時を見込んでおり、固定価格買取制度 (FIT) を活用して全量を売電する。 完成および運転開始は 2019 年 12 月を予定している(事業期間 20 年間)。

同社の水上太陽光発電への取り組みは、2014 年に香川県農政水産部農村整備課より委託されたフロートを用いたため池での太陽光発電の実証実験から始まった。 その後、2015 年に水上太陽光発電用フロートシステム「PuKaTTo」を自社開発して販売を開始。 2017 年に海外でのフロートシステムの販売強化に向け、台湾に現地法人「SMCC Taiwan」を設立した。 これまでに国内 5 件(施工中 1 件を含む)、海外 3 件(うち台湾 2 件)の採用実績がある。 (スマートジャパン = 8-19-19)

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広がる、ため池太陽光発電 水冷効果で効率アップ

水面にパネルを浮かべる太陽光発電所が、2010 年代半ばから全国有数のため池密集地の播磨を中心に兵庫県内で広がっている。 発電効率の良さや山林開発の必要がないなど地上に設けるよりメリットは大きい。 電力の買い取り価格低迷や、景観への懸念など課題はあるが、発電事業者は「水上設置型こそ可能性はある」と今後も推進を目指す。 (兵庫)県内のため池の太陽光発電を巡っては、北播磨県民局が 2013 年、小野市内で全国初の実証実験を始めた。 太陽光パネルは高温になると発電効率が落ちるが、実験では水冷効果で発電量が陸地より年 14% 上回った。 実験以降、播磨や淡路などで民間事業者による普及が進んだ。

加古川市の二川工業製作所は今年 3 月までにグループ会社を含め姫路市や稲美町など県内計 15 カ所に設けた。 出力合計は 26 メガワット。 年間発電量は 7,300 世帯分に相当する。 全量売電し、同社の担当者は「収入の柱」と語る。 経済性だけではない。 パネルが水面を覆って光合成を防ぐため、水質悪化の要因となるアオコの発生抑制が見込める。 水質を調べると、パネル付近はほかの地点より改善されていたという。

ただ、課題もある。 政府による固定買い取り価格が見直され、今年 4 月以降の申請は 1 キロワット時当たり 18 円から 14 円にまで引き下げられた。 制度自体の抜本的な見直しも進められ、同社は収益が見込めないとして新規申請を見合わせている。 また、景観の悪化やパネルの反射も懸念材料。 兵庫県は 17 年度、5 千平方メートル以上の太陽光パネル設置は届け出制とし、ため池は水面の 5 割以下とする基準を設けた。 ため池が多い稲美町では 8 事業者が 15 カ所で稼働させているが、同町産業課は「水面に浮いている人工物を嫌がる声はある。 地元の了解を得られた適地は残っていないのでは。」とする。

取り巻く状況は厳しいが「ため池ソーラー社」の名称で県内 18 カ所に設置する環境資源開発コンサルタント(大阪市)の金城義栄社長は「買い取り価格が低いからこそ効率が良い水上設置型のニーズは高い」と強気だ。 金城社長は「5 年で設置費は半額以下になった。 コスト削減を進めるとともに、地元住民らの理解を深めたい。」としている。 (若林幹夫、神戸新聞 = 7-17-19)


蓄電池を併設する 35MW 級の風力発電所、青森県で年間 2.4 万世帯分を発電

世界は洋上風力発電へ! はたして日本は?

記事コピー (5-6-19〜8-16-19)


日本の再エネ発電システム市場、2030 年度に 1 兆円を突破か

富士経済は、国内の再生可能エネルギー発電システム市場の調査結果を発表した。 2030 年度の再生可能エネルギー発電システム市場は、1 兆 521 億円と予測している。

富士経済は 7 月 29 日、国内の再生可能エネルギー発電システム市場の調査結果を発表した。 同社では 2018 年 11 月 - 2019 年 4 月にかけて、太陽光発電や風力発電、水力発電、バイオマス発電、地熱発電など再生可能エネルギー発電システム市場を対象として調査を実施した。 同調査によると、2030 年度の再生可能エネルギー発電システム市場は 1 兆 521 億円が予測される。 2018 年度見込で 80% 超を占める太陽光発電市場は、FIT 買取価格の引き下げや入札制度の範囲拡大を受けて、2030 年度には 2018 年度比で 3 割以下に縮小するとみられる。 一方で風力発電や水力発電は市場の拡大が予測される。

再生可能エネルギー発電システムの累計導入容量は、2030 年度末時点で 1 億 2,687 万kw が予測される。 うち太陽光発電が 70% 超を占めるとみられる。 特に市場成長が期待されるのは風力発電システムで、2025 年度にかけて陸上大型の導入加速、洋上風力発電システムの導入拡大が予想されている。 富士経済は、今回の調査結果の詳細をまとめた「FIT・再生可能エネルギー発電関連システム・サービス市場/参入企業実態調査 2019」を発刊している。 (陰山遼将、スマートジャパン = 8-14-19)


イケア、環境配慮の新商品 650 種類を投入

モデルハウスも展示、横浜市・アキュラホームと

家具小売り大手のイケア・ジャパン(千葉県船橋市)は 1 日、8 月から順次投入する 650 種類の新商品を発表した。 植物由来のプラスチックやリサイクル素材を積極活用する。 横浜市などと組み、間伐材を使ったモデルハウスの公開も始めた。 商品は世界のイケア店舗でも同時展開し、地球環境に配慮する姿勢を前面に押し出して訴求する。

1 日、横浜市内の「イケア港北」で商品発表会を開いた。 鉛筆を模したデザイン照明「PELARBOJ (ペーラルボイ、2,999 円)」や、再生可能な植物性の PLA 樹脂を採用した食器類「TALRIKA (タルリカ)」シリーズを紹介。 PLA 樹脂は原油など化石資源の樹脂に比べて環境に優しく、頑丈で軽い特長がある。 イケアは 2030 年まで、再生可能な素材かリサイクル材を全ての商品に採用する目標を掲げる。 世界では環境活動に積極的な企業を支持する動きが欧米を中心に広がっている。 発表会では、地中海の漁師が回収した海洋のプラゴミを再利用した試作品も公開した。 海洋プラスチックの問題にも焦点を当てることで、消費者の関心を高めようとする。

「働き方改革が進み、自宅で過ごす時間が増えている(マーケティングマネジャーのアンナ・オーリン氏)」ことから、背もたれを 3 段階で調整できるリクライニングチェア(3 万 4,990 円)などの販促にも力を入れる。 壁に掛けるだけで家の周囲の雑音を吸収する吸音パネル(3,999 円)も生活の質の向上に役立ててもらう。 合わせて店内で食べられるフードにも新メニューを加えた。 イケア本社があるスウェーデンで、金曜日の夜にタコスやチップスを食べながら過ごす習慣があることから、関連メニューを金曜夜限定で販売する。 280 人の子供たちから募ったアイデアから商品化したキッズプレートも国内全 9 店舗に限って提供する。

また横浜市、木造住宅メーカーのアキュラホームと協力し、モデルハウス「SDGs ハウス」を設置。 イケア港北から徒歩 5 分の展示場にある。住宅は間伐材を有効利用し、分解も簡単にできる構造だ。屋内にはイケアの家具を並べている。 「持続可能な社会を目指す SDGs がどういうものか、具体的に見て身近に感じてほしい。(イケア港北の野山和美ストアマネジャー)」 モデルハウスは 2 日から 9 月末まで公開し、環境に配慮したライフスタイルを体感できる場として紹介する。 (nikkei = 8-1-19)


原発は減らす、火力も減らす ドイツの進め方を聞いた

ドイツ経済研究所エネルギー交通環境部長のクラウディア・ケンフェルト氏

- - ドイツでは環境政党・緑の党が支持率でトップを争い、有権者が求める政策でも環境保護が上位です。 なぜこれほど注目されるのですか。

「地球温暖化対策を訴えたスウェーデンの若者グレタ・トゥンベリさんの影響がドイツでも広がった。 ドイツは 1990 年比で 2020 年に温暖化ガス排出 40% 減という目標を達成できない状況だ。 若者が毎週末、抗議活動を繰り返すことで世論の関心が高まった。 緑の党はこうした声を背景に政府批判をすることで支持を得ている。」

- - 政府は 9 月、温暖化問題の具体策を発表する予定です。 何が焦点でしょうか。

「温暖化ガスの排出が多い石炭火力発電所を廃止するための具体的な計画が一つだ。 電気自動車への乗り換えや運輸部門の電化を促す政策のほか、建築部門などの産業分野での省エネ策もポイントだ。」

- - ドイツは 18 年時点で全電源の約 12% を占める原発を、22 年末に廃止する方針です。 約 35% を占める石炭火力まで廃止できますか。

「実行できる。 温暖化対策のパリ協定に基づき、電力部門が今後出せる温暖化ガスの上限は想定できる。 それに応じて段階的に石炭火力を閉めればいい。」 「ドイツは電力が余っている状態にある。 最新の効率的な発電所を動かし、古い発電所を閉めるかたちで調整できる。 ただ、石炭火力に固執する企業もあり、構造転換のための政府の支援は必要だ。」

- - それでも石炭火力に代わる電源は要りますね。

「太陽光や風力などの再生可能エネルギーが答えだ。 全電源に占める再生エネの割合は、90 年の 3.6% から約 40% に増えた。 政府は 30 年までに 65% にする目標だ。 50 年には 80% を視野に入れている。 石炭火力を段階的に廃止しても十分に電力を賄える。」

- - 再生エネの伸びにも限界がありそうですが。

「未知のものに対して、これ以上は無理なのでは、と感じる固定観念が我々にはある。 20 年前、専門家ですら、ドイツで再生エネをさらに 4% 増やすのは難しいと言っていた。 それがいま 40% だ。」 「例えば、陸上での風力発電は、新たな建設に地元の反対運動が起きているが、洋上風力はコストが下がってきた。 太陽光やバイオマス、水力もまだ増やせる。 再生エネはチームプレー。 それぞれを増やす努力が大事だ。」 (聞き手・野島淳、asahi = 7-23-19)

Claudia Kemfert (クラウディア・ケンフェルト) : 1968 年、独デルメンホルスト生まれ。 経済学博士。 独フンボルト大教授などを経て、政府に環境政策を提言する評議会の理事などを務める。 2004 年から現職。

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風力発電、曲がり角に = 建設激減、関連企業破綻も - ドイツ

【ベルリン】 ドイツの総電力の 2 割を占め、再生可能エネルギー普及の主役を担ってきた風力発電が曲がり角を迎えている。 補助制度の変更や、地元住民の反対運動で、発電設備の新規建設が激減。 関連企業の破綻も相次ぐ。 政府の温室効果ガス削減目標達成にも黄信号がともっている。

「事態を過小評価していた。」 独、風力タービンメーカー「センビオン」のラヌー社長は破産申請をした 4 月、地元紙にこう語った。 東芝とも業務提携するセンビオンの昨年 1 - 9 月期の売上高は、2 年前から 4 割超減少した。 このほかにも、今年 2 月に鉄塔メーカーの「アムバウ」が破綻するなど、業界全体が苦境に陥っている。 その主因は、昨年以来、陸上風力発電設備の新規建設が激減していることだ。 公益法人「FA ウィント」によると、今年 1 - 3 月期の新規導入容量は前年同期比約 9 割減の 13 万 4,100 キロワットと、同期としては 2000 年以来の低水準となった。

独、風力エネルギー連盟のアクテルム会長は「制度変更と、建設認可の遅れが大きい」と話す。 ドイツでは 17 年、電力会社が再生エネ電力を発電業者から調達する際、固定価格で買い取る方式から、安い価格を示した業者順に落札する入札方式に本格移行した。 「利益が見込めない」と、発電事業者の参加が滞り、募集容量分の入札が集まらない「札割れ」が頻発するようになった。

自然が破壊されるとして、発電設備建設反対を求める訴訟も各地で起こされている。 当局も認可に慎重になり、「3 年前は申請から平均 200 - 300 日だった認可までの期間が、今は 700 - 800 日になった。(アクテルム氏)」 政治的背景もある。 右派ポピュリズム(大衆迎合主義)政党「ドイツのための選択肢 (AfD)」は、環境政党の緑の党を「最大の敵」と位置付け、各地で発電設備への反対運動を支援している。 普及の遅れは再生エネ全体の停滞につながる。 政府は既に、20 年までに温室ガスを 1990 年比で 40% 削減する目標の達成を断念した。 アクテルム氏は「このままでは、20 年以降の目標も達成できない」と危機感を強めている。 (jiji = 6-22-19)