中国オンライン教育加速、夏休み前集客合戦 K-12 (5 歳児から高校生)を対象とした中国のオンライン教育企業各社は、夏休みシーズンを前に苛烈な広告合戦を繰り広げている。 すでにニューヨーク証券取引所に上場済みの超大手「TAL エデュケーション・グループ(学而思国際教育集団、現在は『好未来』に改名)」と並び、オンライン学習サービス御三家と称される「猿補導」、「作業幇」ではいずれも夏季受講生の募集に数億元(十数億 - 140 億円)の予算が投じられており、1 日当たりの広告費は 1,000 万元(約 1 億 6,000 万円)にも上る。 TAL 傘下のオンラインスクール「学而思網校」は 6 月 27 日、大々的に夏期講習のトライアル受講会を開催した。 創業から 17 年間で、これほど受講生募集に力を入れるのは稀だという。 夏休みシーズンに向けて確保していた 4,000 人の講師に加え、1,000 人の大学生アルバイトを追加募集している。 広告は、公共交通機関から屋外、WeChat (微信)や TikTok、TV ドラマのタイトルスポンサーシップなど、オンライン、オフライン双方であらゆる媒体を網羅している。 この生徒争奪戦には、TAL のほか前出の猿補導、作業幇、また各ユニコーンが手掛ける「掌門 1 対 1」、「一起学」、「作業盒子」、「VIPKID」、「有道精品課」、「企鵝補導」、「跟誰学」が加わった。 これら 10 社が今年の夏休みシーズンに向けて投入したプロモーション費用の総額は 30 - 40 億元(約 470 億 - 630 億円)といわれ、結果的に延べ 100 万人以上の受講生を獲得した企業も複数ある。 とはいえ、全国の 5 歳児と小中高生 (K-12) に占めるオンライン夏期講習の受講者数はようやく 10% に届くレベルだ。 (以下略、nikkei = 7-18-19) 学力偏重の中国、覚悟の改革案 庶民は「かけ声は立派」 2035 年に「教育強国」になるとの目標を掲げる中国の習近平(シーチンピン)指導部が、義務教育の大改革に乗り出した。 大学入試に照準を合わせた学力偏重の傾向を是正し、心技体のバランスがとれた教育を目指す。 庶民からは「かけ声は立派」と皮肉も出るが、今回はアメとムチをちらつかせ、強い覚悟を見せている。 中国各紙によると、共産党と政府が連名で改革案を発表。 教育省は「義務教育改革に焦点をあてた初の重要文書」と位置づけた。 愛国主義や党の指導に従うことも求めているが、これまで弊害が指摘されていた学力偏重の是正に切り込んだのが特徴だ。 中国の都市部では、小学生になる前から補習塾に通わせ、名門校に入るのに有利な「数学五輪」の問題などを勉強させることが常態化。 中学では、入試と関係ない体育や音楽の授業が受験科目に振り替えられるのも当たり前だった。 教師が学生の宿題を親にチェックさせることも問題視されてきた。 すべては人生を決めるとも言われる大学入試のためだ。 改革案は学校が勝手に授業の科目や難度、進度を変えることや、成績やテスト順位を公表することを禁止し、親が子の宿題をチェックすることも根絶すると宣言。 生徒の負担を減らし、十分な睡眠時間を確保するとした。 高校入試では体育の成績も考慮するようにし、中学生にはスポーツと芸術(音楽、美術、書道)をそれぞれ一つか二つ、身につけるよう求めた。 特に、習氏が好きなことで知られるサッカーを発展させるとも述べている。 また、親に対しても家事を手伝わせるよう推奨。 親の責任を強化する家庭教育立法も進めるとし、「無批判にほかの子どもと比べず、学校以外の負担を増やさないように」と求めた。 ただ、中国では上からの政策に現場が従わない例が多く、学生の負担軽減も繰り返し叫ばれてきた。 今回は教師の待遇改善も示し、「方針に従わなければ担当部門、学校、教師の責任も追及する」と厳しい姿勢を見せているが、ネット上では「毎回言うだけで実現できない」、「体育や芸術で逆に子どもの負担を増やすだけ」との不満も出ている。 (北京 = 延与光貞、asahi = 7-13-19) ごちそうがたくさん! でも奇石です「満漢全席」 新疆・ハミ ![]() 中国・新疆ウイグル自治区ハミ市にある新疆賞石文化博物館で 6 月 28 日、奇石でできた「満漢全席」がお披露目された。 旅行シーズンの到来とともに、新疆賞石文化博物館では、硅化木、瑪瑙、玉、火山岩などの象形石の組み合わせでつくられた「満漢全席 - 奇石の宴」が観光スポットとなっている。 新疆のハミ地域は奇石資源が豊富で、この奇石の宴は 1,088 種の象形石からできている。 宴席のテーブルの直径は 16.8 メートル、 面積は 200 平方メートルを超えるという。 (中新社、AFP = 7-13-19) ------------------------------ 北京ビキニ、上半身裸は「非文明的」 規制強化に嘆きも 中年男性が炎天下にシャツから腹を出して暑さをしのぐ - -。 中国ではシャツをまくった姿を「北京ビキニ」と呼ぶほど定着しているが、当局が「非文明的」として規制する動きが出始めた。 「規制は公共マナー向上につながる」と歓迎する声がある一方で、なじんだ光景がなくなることを惜しむ声もある。 山東省の済南市政府は 1 日、公園や広場などで上半身裸になることは「非文明的」として、改善に取り組むよう関係機関に通知した。 市の担当者は中国紙の取材に「都市のイメージを高めるため、腹出し行為をなくす必要がある」と答えた。 天津市でも公共の場で上半身を裸にする行為に罰金を科すなど、同様の動きが広がっている。 中国の SNS 上では規制を「良い動き」、「支持する」と評価する声がある一方、「地球にやさしい涼み方なのに」、「歩きたばこを先に取り締まれ」と嘆く声も。 北京の 50 代の共産党関係者は「私も昔は暑い日にシャツを上げて過ごしていたが、今はやっていない。 時代の流れだ。」とこぼした。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 7-7-19) 中国、教科書から「神様」削除 マッチ売りの少女も改変 今年改訂された中国の小学生向けの教科書から、外国文学作品の中の「神様」や「聖書」などの表現が削除され、話題になっている。 共産党政権が進める宗教への締めつけ政策の影響とみられるが、「やり過ぎ」との声が国内からも出ている。 中国政府傘下の「人民教育出版社」が発行する小学 6 年生向けの国語の教科書には、中国古典のほか、外国文学の 4 作品が載っている。 教育省は、外国の作品から多様な文化を理解することを目的に掲げる。 アンデルセン童話の「マッチ売りの少女」では、寒い大みそかの夜、マッチに火をつけた少女が大好きだった亡き祖母の幻影を見る場面が描かれる。 改訂された教科書では、旧版にあった「星が流れ落ちる時、魂が神様のもとへ行くのよ」という祖母のセリフが「星が流れ落ちる時、人がこの世を去るのよ」に変わっていた。 「ロビンソン漂流記」では、主人公が難破船から 3 冊の聖書を持ち出す場面が「数冊の本」に。 ロシアの小説家チェーホフの作品「ワーニカ」でも教会での祈りや「キリスト」が省かれるなど、少なくとも 10 カ所で表現の変更や削除が確認された。 中国の憲法は信教の自由を保障しているが、昨年改正された「宗教事務条例」は宗教活動の場所や条件を厳しく制限した。 こうした動きが教科書の内容にも影響した可能性がある。 ネット上では「文学性が失われる」、「従来の表現でも宗教と結びつかない」との批判もでている。 中国メディアの記者は「有名な作品の内容は、みんな知っている。 あまり意味がないのでは。」と話す。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 7-5-19) 竜巻で 6 人死亡、190 人負傷 中国・遼寧省 中国北部・遼寧省の開原市で 3 日に竜巻が発生し、少なくとも 6 人が死亡、190 人が負傷した。 国営新華社通信が伝えた。 竜巻は 3 日午後 5 時 15 分ごろに発生。 4 日も警察や消防などの 800 人以上が出動して捜索救助活動を続けている。 地元自治体によると、約 210 人が損壊した建物から救出され、1,600 人あまりが避難した。 63 人は病院で手当てを受けた。 救助隊は閉じ込められた人たちの救出や負傷者の手当てに当たるとともに、電力の復旧作業を進めている。 新華社によると、被災者は 9,900 人に上り、地元自治体が 4 カ所の避難所を開設した。 同市西部の工業団地や近隣の住宅地は特に被害が大きく、工場の建物 10 棟以上に被害が出た。 同市によると、竜巻が続いたのは 15 分程度だったが、風速は 23 3メートルに達して民家など数千棟が破壊され、作物にも被害が出た。 (CNN = 7-5-19) 中国捜査員、部屋を間違えたら 警察検察トップが賭博中 犯罪組織関係者の摘発のためホテルに赴いた捜査当局の特別チームが、部屋を間違えて踏み込んだら - -。 中国内陸部・陝西省の漢中市で、警察・検察のトップらが賭博している現場を押さえられ、捕まえられる珍事があった。 地元紙・華商報(電子版)などが 2 日までに伝えた。 習近平(シーチンピン)指導部は、犯罪組織や反社会的勢力と、その後ろ盾となっている地元の高官らを一掃するキャンペーン「掃黒除悪」に取り組んでいる。 報道によると、「掃黒除悪」の指導のため北京から派遣された特別チームが 6 月初めから 1 カ月間、陝西省各地で監査や捜査を実施。 6 月 14 日には市内のホテルへ容疑者の摘発に向かったが、誤って違う部屋に踏み込んだ。 そこでは、同市内に位置する西郷県の警察、検察のトップと政府幹部が 3 万 8 千元(約 60 万円)をつぎ込んだ賭博の真っ最中だったという。 特別チームの同県での捜査は前日に終わったばかりだった。 3 人はいずれも免職や停職となったという。 ネット上では「部屋は間違っていなかった」などと皮肉る声が出ている。 (北京 = 延与光貞、asahi = 7-3-19) 中国揺さぶるアフリカ豚コレラ、世界農業に影響も [香港] アフリカ豚コレラが中国を揺さぶっている。 過去最悪級の感染拡大が豚肉価格を押し上げており、たとえ経済減速などに伴って全般的なインフレが抑制されるとしても、さらに悪化する見通しだ。 この家畜伝染病が中国におけるシフトを促す可能性もある。 中国で昨年始まったアフリカ豚コレラの大流行は当初、豚肉価格を押し下げたかもしれない。 これは豚肉農家が家畜の処分を急いだためだ。 しかし、現在は価格を押し上げている。 消費者に対するコストは先月、前年比で 18% 上昇。 農業省当局者は 4 月、上昇率が今年下半期に 70% に達する可能性があると指摘した。 今回の大流行は中国人民銀行(中央銀行)にとってまだ懸念にはなっていない。 豚肉は中国の消費者物価インフレバスケットの 3% 前後を占めていると推定されている。 弱気見通しではヘッドライン指数が 1.5 - 2% ポイント上昇し、インフレ率が約 4 - 5% になることが示唆されている。 これは今年の政府目標である 3% 前後を上回るが、金融政策の引き締めが発動されるには十分ではない。 業界内の人々にとっては、価格が上がらないという、さらに悪い結果がある。 これは消費者がタンパク源を他に切り替えていることを示すものだ。 OECD-FAO 農業アウトルックによると、中国の 1 人当たり豚肉消費は 1990 年から 2014 年に 2 倍以上増えているものの、需要はそれ以降横ばいとなっている。 ラボバンクの推計によると、今年の需要は安全性への懸念から約 10 - 15% 減少しており、生産が完全に回復するには 5 年以上かかる可能性があるという。 これは家庭で消費する量が最高水位線を超えた可能性を意味する。 もしそうであるならば、世界の農業に多大な影響を及ぼす大きなシフトだ。 中国は世界の人口のほぼ 5 分の 1 を占めているが、豚肉生産・消費のほぼ半分を占めている。 それにより、大豆やトウモロコシといった投入財のほか、関連する肥料や化学薬品の需要を押し上げている。 HSBC のアナリストの推計によると、中国の豚肉生産が 30% 減少すれば、大豆だけで世界需要が約 2 - 4% 減少するとみられている。 アフリカ豚コレラの東南アジアへの拡大は事態をさらに悪化させる。 ただ、最大の影響は必ずしも国内にとどまらない。 米中貿易摩擦では大豆購入が米国政府をなだめる 1 つの手段だが、中国政府にとって大きな武器にはもはやならないかもしれない。 (Christopher Beddor、Reuters = 6-30-19) ◇ ◇ ◇ 中国、肉の買いあさりに拍車 アフリカ豚コレラ代替で和牛の輸入最大に 中国がブラジルやニュージーランドなどから豚肉、牛肉、鶏肉、羊肉を買いあさっている。 既にマトン(成羊の肉)やラム(仔羊の肉)の世界最大の輸入国だったが、米農務省によると牛肉輸入量も昨年、100 万トンを大きく上回り、米国を抜き世界最大の市場になった。 アフリカ豚コレラ (AFS) 感染拡大の影響で豚肉価格が高騰し、代替需要が拡大しているためだ。 今年の中国の豚肉供給量は ASF の影響で 20 - 30% 減少し、豚肉不足が予測されている。 豪州食肉家畜生産者事業団 (MLA) の市場アナリスト、ティム・ライアン氏(シンガポール在勤)は「10 年とはいわないまでも、この先数年は ASF は世界の食肉市場に何よりも大きな影響を与える。 ASF による減少分を補うだけの肉を、世界が供給できるとは考えられない」と述べた。 中国の英字紙チャイナデイリーによると、中国農業農村省は、欧州連合 (EU)、カナダ、ブラジルからの中国への豚肉輸出量はそれぞれ 2019 年に前年比 40% 増の 170 万トンに、20 年に 210 万トンに達すると予測している。 オランダの金融大手ラボバンクのアナリスト、アドルフォ・フォンテ氏によると、ブラジルから中国への豚肉輸出は今年、61% 増の 25 万トンに達するとみている。 動物用医薬品・栄養剤メーカー、フィブロ・アニマル・ヘルス(米ニュージャージー州)のジャック・C・ベンドハイム会長兼最高経営責任者 (CEO) は「ASF により中国で 2 億頭を超える豚がいなくなった。 これによる世界のタンパク質市場への影響が明るみに出るのはこれからだ。 今年の中国の豚肉供給量は前年比 30% 以上、減少する」と語った。 豪州の畜産関連の業界団体会長などを務めるドン・マッケイ氏によると、中国では輸入豚肉や鶏肉が地場豚肉の代用として好まれているという。 ライアン氏は「豪州産高級牛肉の価格は豚肉価格の 5 - 6 倍もするため、中国での消費には限りがある」とみている。 それでも豪州産牛肉の中国での売り上げは 4 月末までの 4 カ月で 66% 増の 7 万 2,460 トンと急増した。 ブラジル産牛肉は 14% 増の 9 万 5,700 トンだった。 中国の牛肉総輸入量は 09 年以降、平均で毎年 90% 近い増加が続いている。 中産階級による需要が伸びたことに加え、昨年 8 月に ASF の被害が報じられたことで需要に拍車がかかった。 中国政府当局によると、昨年の鶏肉の平均小売価格は、1 キログラム当たり 19.19 元(約 300 円)、豚肉は 22.47 元、羊肉は 62.34 元。 これに対し牛肉は 65.14 元だった。 豪州南部サウスオーストラリア州で 3,050 ヘクタールの牧場を営み、純血種和牛 8,500 頭を育てているスコット・デブルイン氏は 5 月、前年比で 50% 増の高級和牛の注文を受け付けた。 中でも中国からの注文が多いという。 高級霜降り肉を注文する中国の顧客には、上海の旧市街、浦西地区やパークハイアット北京のレストラン、ザ・ネストなどが含まれる。 筋肉内脂肪を非常に多く含むことで知られる和牛は日本の品種だが 01 年に狂牛病が確認されて以降、中国は日本からの輸入を禁止している。 これまで中国は豪州産牛肉でも低級部位の大量購入を行ってきた。 豪州ビクトリア州で和牛を生産し、世界の高級レストランに供給するデビット・ブラックモア氏は「低級部位の価格を 2 倍にしたが、それでも需要に追いつけない。 豪州の畜産供給量が直ちに増えることはない。」と話した。 こうした要因で、豪州産牛肉価格の指標である東部地区若齢牛指標 (EYCI) を構成する価格は、3 月につけた最低価格から 20% 以上、上昇した。 (Jason Gale、Bloomberg = 6-9-19) 社会信用システムで壮大な実験進める中国、暗黒社会到来の前触れか 記事コピー (6-20-19) 中国・四川で地震相次ぐ 11 人死亡、救援活動続く 中国国営新華社通信によると、17 日夜から 18 日朝にかけ、内陸部の四川省宜賓でマグニチュード (M) 5 - 6 前後の地震が相次いで発生した。 18 日朝までに住民ら 11 人が死亡、122 人が負傷した。 地元当局が倒壊した建物内に取り残された被災者の救援活動にあたっている。 中国のニュースサイトには、地震直後に建物が大きく揺れ、物が激しく落下する動画などが投稿されている。 (香港 = 益満雄一郎、asahi = 6-18-19) ファーウェイに制裁の影 家電ショーにみる中国の最先端 家電見本市「CES アジア」が 11 日から上海市で開かれている。 米中両政府が追加関税の応酬などで対決姿勢を強めるなか、米が制裁する通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)はスマートフォン販売見通しの引き下げを表明。 一方、米企業からも摩擦の早期解決を求める声が上がった。 人工知能 (AI) や次世代通信規格「5G」、スマート化が進む自動車など、家電の枠を超えた多様な企業約 550 社が出展した。 最大の注目を集めたのは、米国から輸出制限の制裁を受けている通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)。 邵洋・消費者業務首席戦略官が 11 日の基調講演で「不測の事態がなければ、(スマホ販売で) 10 - 12 月期に世界首位になると思っていたが、先になりそうだ」とスマホの販売見通しの引き下げを表明。 制裁の影響が出ていることをうかがわせた。 一方で、開発がうわさされるテレビについては「スマートフォンと連動させたりすれば、家庭の中心に戻れる」と力説し、新製品の研究開発を続けていることを印象づけた。 自社の 5G 対応半導体を搭載した無線ルーターも展示し、通信機器の世界展開を続ける意思を示した。 中国企業との取引が規制されるリスクが高まる中、米企業も出展していた。 スマートフォン部品などを展示した米ダウの広報担当者は「米企業であり、米国の法律は破れない」としながらも、「両国政府はできるだけ早く通商協議を妥結させて欲しい」と話した。 多くの企業が展示したのは AI を搭載した製品だ。 会場の入り口付近に陣取った華為の隣には、音声認識の AI で、中国を代表するハイテク企業に育った科大訊飛(アイフライテック)がブースを構えた。 英語や日本語などから中国の少数民族言語まで対応した翻訳機を展示し、市場担当幹部の林怡氏は「翻訳は社会インフラになる」と強調した。 同社は米国が輸出規制を検討中と報じられたが、林氏は「我々の技術は基本的に国内で自主開発したものだ」と述べた。 AI を画像認識に活用する企業も多い。 専用半導体や監視カメラを手がける地平線(ホライズンロボティクス)は、巨大なスクリーンを設置し、カメラで撮影した来場者の外見から年齢や性別を次々と認識していった。 「来店客の識別から、街中のけんかの監視まで活用の幅は広い(説明員)」という。 アイフライテックと同様に米国が輸出規制を検討中と報じられた、監視カメラを手がける杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)は、傘下企業が出展。 家庭向け防犯カメラやカメラが付いたドアノブ、自動掃除機など、監視技術を生かした商品を展示していた。 カナダ企業のニューラロジックスは顔を撮影するだけで、心身の状態や血圧、呼吸、病気のリスクなどを計測できる技術を開発したとうたう。 自分の顔を撮影して判断してもらおうと、来場者が列をつくった。 5G も関心を集めた。 中国当局はすでに国内の通信大手に 5G に関する業務許可を与えており、年内に商用サービスが始まる見通しだ。 人口 14 億人の大市場で高速通信を生かした新たな需要が見込まれる。 日産自動車は 5G の高速通信により、カーブの先など視野に入らないものを運転手の視野に映し出す技術を展示。 講演した同社の内田誠専務は「テクノロジーという観点から見ると、中国は世界でも最も刺激的な市場だ」と語った。 機器をインターネットにつなげる「IoT」部品の専門業者、上海移動通信技術は、遠隔医療などでの活用を想定した 5G 対応の通信機器の部品を紹介した。 杭州気味王国科技は、肩に載せて、映画の場面に応じて匂いを発生させる機器を来場者に体験させていた。 お店で商品を開封せずに匂いを確認したり、運転手の疲労を画像認識の AI で把握し、疲労を和らげる匂いを発したりする使い道があるという。 (上海 = 福田直之、asahi = 6-13-19) 習氏「ごみ分別は文明水準現す」 市民に習慣づけ指示 中国の習近平(シーチンピン)国家主席はこのほど、ごみ分別に関して意識を高め、習慣づけるよう市民に求める重要指示を出した。 大都市部ではごみの分別制度が始まっているが、浸透度はいま一つ。 生活環境分野に強い関心を持つトップ自ら、エコ社会に旗を振った形だ。 国営新華社通信によると、習氏は「ごみの分別は生活環境や資源の節約に関わる問題であり、社会の文明水準も現す」と強調。 政府などによる指導や教育を強化し、根気よく取り組むよう訴えた。 習氏は 2016 年 12 月に開かれた党の会議でも、ごみ分別の制度づくりを進め意識の徹底を図るよう指示している。 背景には経済成長に伴うごみの増加にリサイクルが追いつかない中国の現状がある。 政府は 17 年末には廃プラスチックや未選別の古紙の海外からの輸入を禁止した。 中国では 17 年からごみの分別制度を導入する都市が増えはじめ、現在、46 都市が実施している。 北京の街中にも分類を表示したごみ箱が設置されているが、浸透しているとは言いがたく、表示に従わずにごみを捨てる市民の姿も多い。 政府は 25 年までに全国の都市部でごみ分別システムを導入させる目標だ。 習氏は以前もトイレ衛生の向上を掲げた「トイレ革命」を提唱するなど、生活環境の改善に関心が強い。 今回の重要指示でも「社会全体で取り組み、エコで持続可能な発展に貢献しなければならない」と指摘した。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 6-11-19) スペイン警察、振り込め詐欺容疑者 94 人を中国に送還 【マドリード】 振り込め詐欺容疑で逮捕された容疑者 94 人を乗せた飛行機が 6 日、スペインの首都マドリードのマドリード・バラハス空港から北京に向け飛び立った。 中国とスペインの警察当局が連携して展開した「長城行動」により、容疑者ほぼ全員が中国に送還された。 中国公安部刑事偵査局の劉忠義局長は 4 日、マドリードでスペイン国家警察総局のエロイ・ケイロス公安調査局長と会談した。 双方は「長城行動」による大きな成果を高く評価し、台湾地区の容疑者 94 人を中国大陸へ引き渡すと宣言した。 (郭求達、新華社通信 = 6-8-19)
世界最大の iPhone 工場もつ中国都市に景気後退の波 記事コピー (6-3-19) 中国当局の公害取締りで苦境の「汚染地域」 規制対策と景気後退で W パンチ 記事コピー (5-31-19) ファン・ビンビンさん、地味に活動再開か 巨額脱税俳優 昨年、巨額の脱税が発覚して芸能活動を休止していた中国の人気俳優の范冰冰(ファン・ビンビン)さんが今春以降、再び公の場に姿を現し始めている。 当面は活動の軸足を慈善活動に置いて派手な言動を避け、映画やテレビへの本格復帰のタイミングを探っているようだ。 今月 8 日に更新された本人のインスタグラムによると、范さんは、貧困世帯が多いチベット自治区を訪問。 先天性の心臓病を患っている子供たちを慰問した。 その際に高山病にかかり、医師はすぐに北京に戻るように勧めたが、范さんは断った、という「美談」もネット上では伝えられている。 范さんの SNS の更新は以前ほど頻繁ではないが、今年 2 月には、国際派として活躍した当時と比べると薄化粧になった顔写真を公表。 トップ俳優のオーラを封印し、身近な印象をアピールしている。 范さん側が世論を刺激しないようにする背景には、范さんに対する税務当局の処分が甘いとの不満が残っていることがある。 関連企業を含め脱税額は約 1 億 4 千万元(約 22 億円)という巨額だったにもかかわらず、処分は追徴課税と罰金で済まされ、刑事事件として起訴されなかった。 (広州 = 益満雄一郎、asahi = 5-29-19) 前 報 (10-18-18) 1 億人が熱中する中国 「共産党アプリ」の正体 記事コピー (5-25-19) 風刺の笑いに「国を侮辱」の声 中国漫才、ネットで炎上 中国の伝統話芸「相声(シアンション、中国漫才)」に逆風が吹いている。 軽妙な掛け合いと風刺を織り交ぜた内容が売りだが、地震の被災地や抗日戦争に触れた内容がネット上で「国を侮辱している」などと炎上。 「道徳を学べ」と批判にさらされている。 炎上のきっかけは、今月 12 日、ネット上に投稿された人気の若手、張雲雷さんの漫才動画だった。 相方とテンポ良く自己紹介をする中で、張さんが「3 人の姉はそれぞれ唐山、●川、玉樹に嫁いだ」と語ると、会場から笑いが起きた。 唐山(河北省)、●川(四川省)、玉樹(青海省)は、いずれも過去に多くの犠牲者を出した地震の被災地で、漫才では「幸いにも生き残った」と語る場面でも会場が沸いた。 漫才自体は 2018 年 12 月に上演したものだったが、5 月 12 日は●川を震源地とする 08 年の四川大地震から 11 年となる日で、ネット上で一気に拡散。 「死者に失礼だ」などの批判が相次ぎ、張さんは 13 日、中国版ツイッター・微博で「●川を取り上げた内容は同胞の死に対して考慮を欠いていた。 社会の皆さまにおわびしたい。」と謝罪した。 この騒動を機に、批判はベテランたちの漫才にも飛び火。 日本公演の経験もあり、中国で最も人気があるとも言われる郭徳綱さんも、抗日戦争を戦った兵士らを登場させた漫才が「英雄を嘲笑している」、「祖国への敬意がない」などと批判された。 中国では、愛国心を育てる思想教育を強化する習近平(シーチンピン)指導部の下、文化・芸術の分野でも「道徳」を重視する風潮が強まっている。 中国共産党機関紙・人民日報は 13 日、微博の公式アカウントで「国難をネタにする相声は喝采に値しない。 芸の前に道徳を学べ。」とする文章を掲載した。 (● = さんずいに文、上海 = 宮嶋加菜子、asahi = 5-20-19) 中国の GW 連休で中国人観光客、日本のコンビニとドラッグストアで QR 決済しまくる 中国のゴールデンウィークは、5 月 1 日の労働節(メーデー)から 4 日までの 4 連休となり(5 月 5 日は勤務日)、この機会を利用して国外に出かけた中国人は少なくない。 中国人観光客の決済手段として定着した「QR コード決済」は、中国人観光客を受け入れる観光地での導入も急速に進んでいる。 年間 800 万人以上の中国人観光客を受け入れいる日本も例外ではない。 中国の QR コード決済の最大手であるアリペイ(支付宝)を提供するアントフィナンシャルグループは 9 日、今年 5 月 1 日 - 3 日までの中国人観光客のアリペイ消費統計データを発表した。 それによると、この GW 期間中の取引件数で、日本は香港、タイ、韓国に次ぐ第 4 位の取引件数を獲得した。 1 人当たり消費額では前年比 25% 増と目立って伸び、第 1 位のアラブ首長国連邦や第 2 位韓国を急追する 3 位になったそうだ。 特に、日本ではコンビニとドラッグストアでアリペイを使う人が急増しているという。 今年の GW 期間中のアリペイの利用状況の特徴は、2000 年代生まれの若者ユーザーと、1940 年代、50 年代生まれのシニア世代のユーザーが積極的にアリペイを利用し始めたことだという。 2000 年代生まれのユーザー数は昨年比 8 倍に伸び、シニア世代の 1 人あたり平均消費額は、アリペイの主要ユーザー層である 1990 年代生まれと同程度にまで伸びた。 一方、観光消費という観点で今年の特徴は、従来の北京、杭州、上海などの 1 級都市に加え、地方の 2 級都市、3 級都市に暮らす人たちの観光消費が急増していること。 1 人当たり平均消費額が倍増したのは、南昌(江西省)、西寧(青海省)、ウルムチ(新疆ウイグル自治区)、南寧(広西チワン族自治区)、貴陽(貴州省)などの都市だった。 また、1 人当たり平均消費額の伸び率ランキングでも、トップ 5 は、前年比 48% 増だったウルムチをトップに、第 2 位は太原(山西省)(47% 増)、第 3 位・4 位は貴陽と南寧(28% 増)、5 位はラサ(チベット自治区、27% 増)と、全て地方都市が占めた。 (SearChina = 5-9-19) 「明るい記事」だけ求める中国 不正暴いた記者は去った 記事コピー (5-6-19) 米大学の不正入学、中国富豪 7 億円支払い 娘は退学処分 米国で発覚した大規模な大学不正入学事件をめぐり、中国人富豪が娘の進学のため、主犯とされる進路指導業者側に 650 万ドル(約 7 億 2 千万円)を支払っていたと米メディアが報じた。 桁違いの高額で驚きをもって伝えられているが、母親は「貧しい学生の奨学金などに当てる正当な寄付と考えていた」と訴えているという。 支払ったとされるのは、中国の製薬会社「歩長制薬」の会長を務める趙濤氏の一家。 娘の進学に当たり、カリフォルニア州で進学指導会社を経営し、不正を主導したとして起訴されたシンガー被告に支援を依頼。 被告はスポーツ推薦枠を悪用するために娘をセーリング選手と偽る書類を用意し、娘は 2017 年に難関のスタンフォード大に合格していた。 母親が香港の弁護士を通じて出したとされる声明によると、娘の合格決定後、シンガー被告から同被告の基金会を通じて大学に献金するよう打診があり、奨学金などと考えて 650 万ドルを支払ったという。 「事件の報道を見て利用されたことに気がついた」とし、娘も被害者だとしている。 趙氏一家は現時点では罪に問われていない。 娘は結局、スポーツ推薦枠ではなくスタンフォード大に入ったが、「提出書類に不正があった」との理由で 3 月の事件発覚後に退学処分となった。 大学側は「シンガー被告や家族側から 650 万ドルを受け取っていない。 被告の基金会を通じて 3 人からセーリング部に 77 万ドルの寄付があった。」としている。 寄付は合否判定に影響していないという。 一連の事件では、俳優のフェリシティ・ハフマン、ロリ・ロックリン両被告ら関与した親 33 人を含む 50 人が起訴されている。 シンガー被告が手がけた手口のうち、試験の不正では 1 万 5 千 - 5 万ドル、スポーツ推薦枠の不正では 25 万ドルが「相場」で、趙氏の支払額は図抜けている。 ほかに 120 万ドル払った中国人一家もあり、シンガー被告が中国の富裕層を食い物にしていた可能性もありそうだ。 (ニューヨーク = 鵜飼啓、asahi = 5-4-19) 「習氏の記事はトップに」自由だったネットに当局の威嚇 記事コピー (5-3-19) 北京新空港、9 月末までの開港めざす 世界最大級の規模 中国・北京市で建設が進む市内 2 つ目の国際空港「北京大興国際空港」が 4 月下旬、国内外のメディアに公開された。 6 月 30 日の完成、9 月 30 日までの開港をめざす。 将来的には滑走路 7 本を備え、世界最大級の年 1 億人の旅客数を見込む。 工事は、佳境に入っていた。 自然光をとりいれた明るいターミナルの中に白いほこりが立ちこめていた。 外観、内装ともに目立つのは曲線だ。 「曲線の女王」として知られた英建築家、故ザハ・ハディド氏が設計に関わった。 ハディド氏が手がけた日本の新国立競技場の設計案は高額な費用などが問題になり撤回されたが、中国ではハディド氏による建築が各地にできている。 大興空港の最大の特徴は上空から見たターミナルの形だ。 中心部から六つの方向に建物が伸び、「*」型をしている。 北側の一つを除く、5 つの建物の外側に飛行機が駐機する。 *型の中心部に空港の出入り口がある。 それぞれの建屋の先端まではいずれも 600 メートルで、歩いても 8 分足らずで着く。 ターミナルは 2 層に分かれており、それぞれから出発可能だ。 駐機数も多く、空港建設指揮部によると、同じ規模のほかの空港より効率がいいという。 北京市の中心部から南に 46 キロほどの所にあり、高速道路と高速鉄道、アクセス鉄道がつながる。 空港の下に駅ができ、乗り換えが便利だ。 高速鉄道なら北京西駅まで 20 分。 北京市だけでなく、周辺の天津市や新都市・雄安新区とのアクセスも重視する。 建設に投じられる金額は 800 億元(約 1 兆 3 千億円)にのぼる。 当面の滑走路は 4 本で、うち南北方向に 3 本、東西方向に 1 本。 2025 年の年間の旅客数 7,200 万人、貨物取扱量 200 万トン、発着数 62 万回をめざす。 空港は開港後も拡張される。 40 年がめどとみられる将来計画では、滑走路は 7 本に増え、年間の旅客数は 1 億人以上、貨物取扱量 400 万トン、発着数 88 万回を描く。 このうち旅客数の 1 億人は世界首位と並ぶ数字。 米ジョージア州にあるアトランタ空港の足元の実績に匹敵する。 北京市内で現在唯一の国際空港は、東北部にある「北京首都国際空港」。 飛行機の発着が過密で、離陸の遅れは日常茶飯事。 国際線の拡大には限界があり、国際ハブ空港と呼べる状況にない。 そこで二つの空港に路線を分散させる。 中国東方航空などが所属するスカイチーム陣営と、中国南方航空が首都空港から大興空港に移る。 全日空が所属するスターアライアンス陣営は首都空港に残ることが決まっている。 工事現場で取材に応じた空港建設指揮部党群工作部の張茹部長は「首都空港は大変な飽和状態だ。 時代に合わせて国際線の運航能力を高めるため、大興空港は計画された」と話した。 (北京 = 福田直之、asahi = 5-1-19) QR 決済に潜むリスク、中国で偽コード使う詐欺 飲食店の支払いや飛行機の搭乗手続きなどで使われるようになってきた QR コード。 消費者にとって便利な決済手段になりつつあるが、一方で安全性をどう確保していくのか課題もみえてきた。 QR コード先進国と言われる中国では偽造コードを使った詐欺が起きている。 日本でも急速にサービスが普及するなか、対岸の火事とは言えない。 ■ 車に偽の違反切符 「既に振り込んだのに、なぜもう一度払わなければいけないんだ。」 上海市内の男性会社員は怒りが収まらない。 男性は駐車禁止エリアに車を止め、仕事を終えて車に戻ると違反切符が貼られていた。 「支払いはこちらをスキャンしてください」と書かれた QR コードが印刷されていた。 男性はスマートフォン(スマホ)で QR コード決済「微信支付(ウィーチャットペイ)」を使ってコードを読み取り、200 元(約 3,300 円)を支払った。 しかし、その数日後、警察から「まだ罰金が支払われていないので早急に払うように」という催促の通知が送られてきた。 男性の車に貼られていた違反切符は偽物だった。 QR コードは偽物の切符を作った個人のウィーチャットペイのアカウントで、プロフィルには警察官の衣装を着た男性の写真が掲載。 パッと見ただけでは気付かなかったそうだ。 中国では QR コードを使った偽物の違反切符を利用した詐欺が多発。 警察が「QR コード付きの違反切符は必ず警察官が違反者に手渡す。 車に貼るのは QR コードが付いていない違反切符だけ。」と注意を呼びかける事態となった。 ウィーチャットペイや「支付宝(アリペイ)」といった QR コード決済が普及する中国では、こうした詐欺が少なくない。 街中の青果店や屋台でも店先にウィーチャットペイなどの QR コードを掲示している。 偽物のコードにすり替えられるなどして、知らぬ間に店の売り上げをだまし取られるケースもある。 ■ 見た目で正否判別しにくく なぜこのような手口が横行するのか。神戸大学の森井昌克教授(情報通信工学)は「QR コードはパッと見ただけでは正しいものなのか判別しにくいから」という。 一般の人には単なる白黒の斑点にしかみえない。 偽物の QR コードが貼られていることに気付かなければ、決済処理してしまうのも無理はない。 ただ偽物の QR コードが重ねて貼られたりしていないかをチェックすれば、未然に詐欺を防げる場合もある。 問題になりそうなのは QR コードの特長を逆手に取った「抜け穴」だ。 QR コードはスマホの画面で四角形の白黒の模様を読み取る。 模様に少しの汚れがあったり、わずかな欠損があったりしても、自動補正できるレベルなら、QR コードを読み取ることができる。 森井氏は 18 年、QR コードの白黒の斑点のある部分を灰色に変えることで、不正なウエブサイトに誘導できる恐れがあると指摘した。 現在は QR コードを構成する正方形の粒をわずかにゆがめるだけでも誘導できるという。 記者は、森井氏が独自に作った QR コードをスマホのアプリで読み取ってみた。 スマホをかざす角度を変えて何度か読み取ると、神戸大のホームページに移動する場合もあれば、別のホームページに移動することもあった。 ■ 日本で広がる可能性も QR コードを使った詐欺などの不正が日本でも増える可能性は否定できない。 TriForce コンサルティング(東京・港)はデジタル署名を組み込み、改ざん不可能な QR コードを利用した本人認証システムを開発し、年内に提供する。 利用者が電子商取引 (EC) サイトなどで買い物をする際、その都度発行される QR コードを専用のスマホアプリで読み取ると、ID などを入力しなくても本人認証できる。 メディアシークは QR コードの不正検知システムを開発した。 スマホ決済でコードを読み取る時に不審な URL 表示が出た場合、アプリ上の通報ボタンを押すと同社のサーバーに不正情報として記憶される。 その後は読み取り時に注意喚起してくれる仕組みだ。 野村総合研究所傘下の NRI セキュアテクノロジーズ(東京・千代田)も QR コード事業のリスクを検証するサービスを始めており、不正対策ビジネスは広がりつつある。 (吉田楓、上海 = 松田直樹、nikkei = 4-29-19) |