富士フイルム、米ゼロックスを買収 コピー機需要減背景

富士フイルムホールディングスは 31 日、米国の事務機器大手ゼロックスを買収すると発表した。 両社が出資する複合機大手の富士ゼロックスは、買収する米ゼロックスの完全子会社にして経営統合する。 ペーパーレス化が進んでコピー機の需要減に苦しむ名門の米ゼロックスを、かつて技術支援を受けた富士フイルムが主導して再建する。

まず富士フイルムが、子会社の富士ゼロックスから 75% の出資を引き揚げ、米ゼロックスが出資比率を 25% から 100% に変更。 続けて富士フイルムは米ゼロックスが発行する新株を約 6,700 億円で買い取って 50.1% 出資する。今年 7 - 9 月に完了させる。 あわせて富士ゼロックスは国内外で従業員の 2 割にあたる 1 万人を削減。 米ゼロックスと重複する開発部隊や生産設備、物流網の解消で、2022 年度までに年 1,800 億円以上の利益の改善効果を見込む。

米ゼロックスは 1906 年に創業。 コピー機で世界をリードしたが、需要が伸び悩んで経営が悪化。 17 年 12 月期までの 3 年間で売上高は 2 割減った。 大株主で米著名投資家カール・アイカーン氏らから立て直しを迫られていた。

一方、富士フイルムにも買収のメリットはある。 グループの売上高の半分近くは富士ゼロックスで稼ぐが、欧米で強い米ゼロックスとすみ分けるため、営業地域を日本やアジアに限定してきた。 日米の統合で、世界で効率的な営業が期待できる。 売上規模は計 2.1 兆円に拡大し、複合機関連メーカーでは世界最大級にもなる。 古森重隆会長兼 CEO (最高経営責任者)は会見で「極めて価値創造的な統合だ」とした。 富士ゼロックスでは昨年、海外の販売会社 2 社で 375 億円の不正会計が発覚。 企業統治の抜本的な見直しも迫られていた。 (川田俊男、asahi = 1-31-18)


白物家電、国内の売り上げ復調 高くても省エネ・時短

エアコンや冷蔵庫、洗濯機といった白物家電の売り上げが復調してきた。 日本電機工業会が 24 日発表した昨年の国内出荷額は前年比 2.0% 増の 2 兆 3,479 億円で、1997 年(2 兆 3,558 億円)以来 20 年ぶりの高水準だった。 環境意識の高まりや共働き世帯の増加で、「省エネ」や「時短」をうたう高価格品がよく売れ、人口減の逆風を跳ね返している。 牽引役は出荷額の 6 割を占める上位 3 品目だ。 昨年はルームエアコンが 6.2% 増の 7,232 億円、電気洗濯機が 2.7% 増の 3,277 億円で、電気冷蔵庫は 0.8% 減の 4,237 億円と微減だった。 10 年ほど前と比べれば、いずれも 2 - 3 割前後増えている。

エアコンは「売れ筋の二極化(三菱電機広報)」が進む。 「1 部屋に 1 台」の傾向が強まって低価格品が売れる一方、省エネ性能に優れた高価格品も好調だ。 ダイキン工業の最高級機種「うるさら 7 (セブン)」は、税別の想定価格が 29 万円(14 畳)ながら「前モデルより売れ行きがよい。(広報)」 冷蔵庫と洗濯機は出荷台数は伸びていないが、売れ筋の大容量化とともに販売価格が上がった。 1 台あたりの平均価格は冷蔵庫が約 11 万円、洗濯機が約 7 万円で、10 年前より 2 - 3 割高い。

「家事の手間と時間を減らしたい消費者が増えている」とビックカメラ有楽町店の家電販売員は話す。 シャープは冷蔵庫の大容量機種に大型冷凍庫「メガフリーザー」をつけ、「まとめ買いで買い物や調理を減らせる」とアピール。 パナソニックはドラム式の洗濯乾燥機「VX シリーズ」で、乾燥や洗濯の効率を高める技術で「時短」をうたう。 日立製作所は、業界最大の 12 キロの容量が売りの洗濯乾燥機を投入している。

ほかの白物家電でも、消費者の志向をうまくとらえたヒット商品が投入され、市場のすそ野を広げた。 ヘアドライヤーは髪を乾かすだけでなく、ヘアケア機能をつけた商品が人気で、出荷額はこの 10 年間で 8 割増。 電動歯ブラシは、ポケットに入るサイズで携帯しやすい商品がヒットした。 空気清浄機は、花粉やウイルス対策などをうたう商品が次々と発売されている。 白物家電の出荷額は消費税やエコポイントなどの政策にも左右されるが、同工業会は「買い替え需要が中心のため、今後も市場規模は安定して推移するだろう(調査統計課)」とみている。 (川田俊男、内藤尚志、asahi = 1-25-18)


NEC あすなろ 2 打ち上げ、海外で撮影サービス

NEC は 18 日、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の小型ロケット「イプシロン」 3 号機に搭載した初の自社所有の小型観測衛星「ASNARO (あすなろ) 2」の打ち上げに成功した。 あすなろ 2 を使って宇宙から石油プラントや災害状況などを撮影し、中東などの外国政府や商社に販売するサービスに乗り出す。 同社の宇宙衛星ビジネスは国内の官需依存だったが、世界市場に打って出る契機となる。

午前 6 時 6 分、まだ薄暗い内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)の空にイプシロン 3 号機が打ち上げられた。 それから約 2 時間の間に「あすなろ 2」は予定軌道に入り、太陽電池やレーダーアンテナを展開させた。 NEC の関係者は「本当に安堵した」と語った。 今後 8 カ月、調整などを経て通常運行に入る。 あすなろ 2 は経済産業省の支援を受けて製造した NEC 初の自社所有人工衛星。 夜でも雲が覆う昼でもレーダー波を使って地表を撮影できる。 9 月からは撮影画像を国内外の政府や企業に発売する方針だ。 人工衛星や電子機器の製造業から、衛星を使ったサービス業に参入する。

都内に衛星運用センターを新設。 投入したのが新開発の地上運用システム「グラウンドネクスター」だ。 衛星の現在位置や動作を 3 次元 (3D) アニメーションで把握できる。 従来は数字データなどから読み取る必要があり、理解には専門知識が必要だった。 価格もオーダーメードのシステムに比べ半額。 NEC は専門家や予算に乏しい新興国でも導入しやすいと見て外販を目指す。

あすなろ 2 も「ネクスター」と呼ばれる標準設計仕様で製造した。 建機のように駆動部分を同一にしつつ、アームやショベルのような作業部分を付け替えて納期や開発製造コストを抑えた。 2 トン級の小型衛星は開発費を含めて通常は 200 億円程度かかるが、ネクスターはその 5 分の 1 の 40 億円程度で開発できる。 地上と宇宙の 2 つのネクスターがそろうと、打ち上げ費用を除く費用はオーダーメードの衛星・システムより 4 分の 1 〜 半減し、100 億円程度にすることが可能だという。

今回の打ち上げで稼働するネクスターは 2 基となる。 受注を目指しているベトナムの地球観測衛星でもネクスターを提案している。運用も含めて安定稼働が増えれば信頼性が高まり、受注活動に追い風となる。NEC は日本の宇宙開発計画に沿って高性能で高価な科学衛星を中心に手掛けてきた。 受注額は大きいが安定的に稼げない。 宇宙事業の売上高は 400 - 500 億円を推移し多くが国内向けだ。 約 7 割が人工衛星の製造、その他を地上システムが占める。 唯一輸出してきた通信機器が占める割合はそう大きくない。

近年は新興国の宇宙開発需要が高まり、欧州エアバスなどが刈り取りに躍起だ。 NEC は衛星の入札機会を増やすため新興国に目を向けてきたが、価格や実績でアピールできず「入札に呼ばれないことすらあった。(同社)」 あすなろ 2 の運用が順調に進めば人工衛星からシステムまで比較的手ごろな価格でのセット輸出が可能となり、さらに運用サービス、画像販売も含めて世界で戦う武器が整う。 宇宙産業は数年がかりの足の長いビジネス。 新参の NEC が海外で受注を獲得するためには、ひとつひとつ実績を積み上げるしかない。 (宮住達朗、nikkei = 1-18-18)

前 報 (12-20-16)


月面探査 HAKUTO、期限内打ち上げ「間に合わない」

世界初の民間による月面探査レースに日本から参加する、チーム HAKUTO (ハクト)は 11 日、探査車の打ち上げが、レース期限の 3 月末までに間に合わなくなったと発表した。 引き続き実現を目指す方針で、レース主催者に期限の延長を求めるという。 月面探査レースは、米国の X プライズ財団が主催。 3 月末までの達成を目指し、世界の 5 チームが競っている。 ハクトは、クラウドファンディングや企業からの支援などで約 11 億円を集め、探査車を開発。 インドのチームの着陸機に相乗りして、インド宇宙研究機関 (ISRO) のロケットで今年初めに打ち上げる計画だった。

ハクトによると、インドチームと ISRO の間で、打ち上げをめぐる交渉が難航し、3 月末までの打ち上げが困難になったという。 資金難や開発の遅れが理由とみられる。 レース期限に間に合わなくても、引き続き打ち上げを目指し、X プライズ財団には、期限の延長を求めるという。 ハクトの袴田武史代表は「あらゆる可能性を模索し、支援者の思いを月に持っていくことにはチャレンジし続ける」と話した。 (小宮山亮磨、asahi = 1-11-18)

前 報 (7-31-17)


スカイツリー上空、金井さんの光跡 … 肉眼で観測

27 日早朝、日本人宇宙飛行士の金井宣茂(のりしげさん、41)らが乗り組んでいる国際宇宙ステーション (ISS) が、日本上空を通過する様子を、肉眼で観測できた。 ISS は、夜明け前の午前 6 時 11 分頃、気温 3 度近くまで冷え込んだ東京スカイツリー(東京都墨田区)付近の上空を、南西から北東へ、明るく、ゆっくりと移動していった。 日本の実験棟「きぼう」が設置されている ISS は、観測条件が良ければ、日本各地で見ることができ、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) のホームページで、通過する時間や方角などの情報が公開されている。 (yomiuri = 12-27-17)


JAXA と三菱重工、異なる軌道に 2 衛星投入 顧客側メリット大きく

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と三菱重工業は 23 日 10 時 26 分、気候変動観測衛星「しきさい」と超低高度衛星技術試験機「つばめ」を、高度化仕様の国産ロケット「H2A 37 号機」で種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げた。 打ち上げ 16 分後にしきさいを、1 時間 48 分後につばめを予定の軌道に入れ、打ち上げは成功した。

今回、高度が異なる 2 種類の軌道へ H2A から衛星を 1 個ずつ放出することに日本のロケットとして初めて成功した。 JAXA の奥村直樹理事長は「異なる軌道に対しそれぞれ衛星を投入することに成功し、基幹ロケットの高度化を実現できた。 今後、2020 年度の打ち上げを目指す新型基幹ロケット『H3』の開発と打ち上げを行っていきたい。」と強調した。

三菱重工の阿部直彦執行役員は「衛星を相乗りさせてもロケット 1 機の製造や打ち上げのコストは変わらない。 衛星の重量に応じた料金を払えば済むため、ユーザー側から見るとメリットは大きい。 ビジネスの幅が広がっていくだろう。」とコメント。 また打ち上げの執行責任者である同社の二村幸基執行役員フェローは「打ち上げ費用の観点で H2A に乗りづらかった顧客に提案しやすくなる」と期待を寄せる。

しきさいは 19 種類の色を観測できるセンサーを搭載し、地球の雲や大気中のちり(エアロゾル)、植生などを観測、地球の環境を調べる。 地球温暖化の予測に必要なデータの収集が期待できる。 一方、つばめにより超低高度域での衛星運用技術を実証する。 低軌道では光学センサーなどでの地上の観測精度が向上するため、小型で低コストの衛星開発につながると期待される。 しきさいは打ち上げを含む開発費が 322 億円、つばめの開発費は 34 億円。

今回の打ち上げで、H2A は 37 機中 36 機の打ち上げに成功し、成功率は 97.3%。 17 年の H2A の打ち上げは 6 機で過去最多となった。 その要因としてロケットの打ち上げ間隔の短縮が挙げられる。 奥村 JAXA 理事長は「打ち上げ間隔の短縮は地道な努力によるもの。 これに満足することなく創意工夫を重ねていきたい。」と語った。 (日刊工業新聞 = 12-23-17)


割れてもくっつくガラス開発 「自然修復」に道

いったん割れても、常温で数時間押し当てると修復するガラスを、東京大の相田卓三教授らが開発した。 14 日付の米科学誌サイエンスに発表した。 ガラスは通常、割れると材料を構成する分子同士の結びつきが切れてしまうため、高温で溶かさないと再利用は難しい。

相田さんらは、半透明の新素材「ポリエーテルチオ尿素」でガラスを作製。 割れても室温で 1 - 6 時間、割れ目を押し当てると再びくっつき、強度も回復した。 新素材は「水素結合」という結びつきで安定した状態に戻ろうとする分子が多いため、押し当てると自然にくっつくという。 加熱すると割れ目が修復する軟らかい材料はあるが、東京大の柳沢佑・学術支援専門職員は「硬い素材が常温でくっつくことを示せたのは、今後の自然修復するガラスの研究を広げるだろう」と話した。 (杉本崇、asahi = 12-15-17)


はやぶさ 2 打ち上げ 3 年 順調に飛行 残り 600 万キロ

小惑星探査機「はやぶさ 2」が打ち上げられ、3 日で 3 年になった。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) によると、はやぶさ 2 は地球と火星の間の軌道にある小惑星「リュウグウ」を目指して順調に飛行中で、リュウグウ到着まで 600 万キロあまりとなっている。 日本ではやぶさ 2 が持ち帰る予定の試料分析に関する国際会議が開かれるのに合わせ、2 日に相模原市で開かれた講演会で、海外の研究者がはやぶさ 2 への期待を語った。 参加者の一人は「太陽系の歴史を知るために、目的の天体から直接試料を持ち帰るミッションの黄金期を迎えた」と話す。

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の吉川真・はやぶさ 2 ミッションマネジャーによると、はやぶさ 2 は現在、順調な飛行をしているという。 これまでの観測によると、リュウグウは直径約 900 メートルで、炭素や水を含む小惑星と考えられる。 はやぶさ 2 の先輩、探査機「はやぶさ」が訪れた小惑星イトカワは、水などをあまり含まないタイプだったため、はやぶさ 2 の探査によって地球の生命や水の起源に迫る可能性があると期待されている。

講演会には、欧州の彗星(すいせい)探査機「ロゼッタ」に取り組んだパリ天文台のアントネラ・バルッチさん、地球の水の起源に関する研究に取り組む米航空宇宙局ジョンソン宇宙センターのマイケル・ゾレンスキーさん、はやぶさ 2 に搭載されている着陸機「マスコット」の開発に携わった仏コートダジュール天文台のパトリック・ミッシェルさんが出席した。

バルッチさんが取り組んだ探査機「ロゼッタ」によるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星探査では、詳細な対象天体の観測や、着陸機「フィラエ」の運用など、はやぶさ 2 と共通するものも多い。 バルッチさんはロゼッタを振り返り、「はやぶさ 2 は目的の天体(小惑星リュウグウ)の試料を地球へ持ち帰るという点で、ロゼッタよりも優れた探査計画だ。 はやぶさ 2 が帰還する予定の 2020 年を、地球や生命の起源につながる貴重な情報を持ち帰る時期として、世界中の研究者が待っている」と話した。

地球に存在する水の由来を研究するゾレンスキーさんは、これまでの隕石(いんせき)や宇宙で採取した物質の分析結果を踏まえ、「隕石からも太陽系天体の歴史に関する興味深い結果が得られているが、それだけでは分からないことも多い。 私は、はやぶさ 2 が行くリュウグウに水や有機物を多く含む物質があると確信しており、小惑星などの天体から試料を持ち帰るミッションはいよいよ黄金期を迎えると思う。」と話した。

はやぶさ 2 に搭載されている小惑星への着陸機「マスコット」の開発に携わったミッシェルさんは、マスコットが重力が非常に少ないリュウグウへ着地する難しさや、はやぶさ 2 が挑む小惑星表面に穴を作るために爆薬を打ち込むミッションについて、「宇宙空間での衝突の実態を知ることは、太陽系形成初期の状況を知るために大きな意味がある。 さらに、はやぶさ 2 計画の魅力は、太陽系ができたばかりのころの物質を持ち帰れる可能性があることだ。」と話した。

はやぶさ 2 は 2014 年 12 月に打ち上げられ、これまでは大きなトラブルはなく、順調な飛行を続けている。 15 年にリュウグウへの軌道に乗るため地球スイングバイを実施し、18 年 6 - 7 月には小惑星リュウグウへ到着する予定だ。 (永山悦子、mainichi = 12-3-17)

前 報 (12-14-15)
前 報 (12-3-14)


「日本最安値」めざした 4K テレビ 国内メーカーの半額

九州を中心にディスカウントストアを展開するミスターマックス(福岡市)は、「日本最安値」をめざしたプライベートブランド (PB) の液晶テレビを発売する。 49V 型の 4K 対応で、価格は税抜き 4 万 8,800 円。 30 日から予約を受け付ける。 同社が店舗に並べる国内メーカーの同型商品に比べ、半分以下の値段を実現した。

国内外のメーカー(非公表)と協力して開発した。 全国の店舗で 30 日の開店時から、オンラインストアでは同日午前 10 時から、計 1,500 台限定で予約を受け付ける。 引き渡しは、12 月末 - 翌年 1 月下旬の予定。 同業のドン・キホーテも 6 月、PB で 50V 型の 4K 液晶テレビ(税抜き 5 万 4,800 円)を展開。 1 週間で 3 千台が完売する人気ぶりで、10 月にも性能を改善したテレビを発売した。 (山下裕志、asahi = 11-30-17)


スマホで遠隔設定できるお掃除ロボ ドンキが自主企画

ドン・キホーテは 29 日、自主企画ブランドの「スマホとつながる Wi-Fi 対応ロボットクリーナー」を発売した。 専用のアプリをスマートフォンやタブレットにダウンロードして、外出先から清掃モードの変更やタイマーの設定が操作できる。 約 2 時間の充電で、連続 1 時間使える。参考価格は税抜き 1 万 4,800 円。 (asahi = 11-30-17)


宇宙ごみ観測衛星、自身が行方不明 ロケットが落下か

ロシアの宇宙機関ロスコスモスは 28 日、極東のボストーチヌイ宇宙基地からソユーズロケットを打ち上げたものの、気象衛星を計画の軌道に投入できず、最初の通信に失敗したと発表した。 エンジンの制御に失敗し、大西洋に落下した可能性があるという。 今回のソユーズロケットには、東京都墨田区に拠点を持つ宇宙ベンチャー「アストロスケール(本社・シンガポール)」が開発した、微細な「宇宙ごみ」を観測する世界初の超小型衛星「IDEA (イデア) OSG1」も載せられていた。 同社の担当者は「どの軌道にあるか不明だが、宇宙空間を監視する米国の機関などと連絡をとって行方を探す」としている。

宇宙ごみは地球の周りを高速で飛び続け、宇宙ステーションなどにぶつかると被害につながる恐れがある。 直径 10 センチ未満 1 センチ以上のものは約 50 万個確認されているが、数ミリサイズのものは地上から観測が難しかった。 同衛星は、この数ミリ程度の宇宙ごみを約 2 年間にわたって観測する狙いだった。 (中川仁樹 = モスクワ、田中誠士、asahi = 11-28-17)


国産量子コンピューター試作機、無償公開へ 改良目指す

スーパーコンピューターをはるかに超える高速計算を実現する「量子コンピューター」の試作機を、国立情報学研究所などが開発し、27 日から無償の利用サービスを始める。 世界的な開発競争が進むなか、試作段階で公開して改良につなげ、2019 年度末までに国産での実用化を目指す。

従来のコンピューターは、多数の組み合わせから最適な答えを探す際に一つずつ計算するが、量子コンピューターは極小の物質の世界の現象を応用し、一度に計算する。  現時点では一度に計算できる組み合わせは、スパコンの数千分の 1 〜数十分の 1 程度だが、理論上は 1 千年かかる計算も一瞬で済むとされ、人工知能や新薬の開発、交通渋滞の解消などに役立つことが期待されている。

基礎研究は 1980 年代に始まり、日本の業績も世界的に評価されている。 だが、実用化では米 IBM やグーグルなどが先行。 カナダの D-Wave システムズは 11 年に一部実用化し、米航空宇宙局 (NASA) や自動車部品大手「デンソー」、東北大などが活用している。 (杉本崇、asahi = 11-20-17)


船井電機、3 年連続赤字へ 北米のテレビ販売不振

船井電機は 6 日、2018 年 3 月期の業績を下方修正し、黒字から赤字に転落する見通しだと発表した。 営業損益が 84 億円の赤字(当初予想は 6 億円の黒字)に、純損益が 174 億円の赤字(2 億円の黒字)になりそうで、赤字は 3 年連続。 回復を期す北米のテレビ販売が不振のためだ。 北米では量販店の価格競争が激化していて、今後も販売量の落ち込みが予測されるという。 工場設備なども減損処理し、特別損失 100 億円を計上する。 船井は同様に 17 年 9 月中間決算も下方修正し、黒字予想が赤字になる。 (asahi = 11-6-17)


富士通、PC 事業をレノボに売却 FMV ブランドは維持

国内でパソコン (PC) 2 位の富士通は 2 日、PC 事業を世界最大手の中国レノボ・グループに売却すると正式に発表した。 来年 4 月にも富士通の PC 子会社にレノボが過半を出資する。 レノボは国内首位の NEC の事業も傘下に入れており、計 4 割超のシェアとなる。 各社のブランドは残して攻勢を強める。

富士通の子会社、富士通クライアントコンピューティング(川崎市)が、レノボからの 255 億円に加え、日本政策投資銀行からも 25 億円の出資を受け入れる。 出資比率はそれぞれ 51% と 5% で、44% は富士通が持つ。 「FMV」のブランドは残し、同子会社の経営陣は代えない。 島根県の工場や約 1,800 人の従業員は維持する。 製造の一部は、富士通の福島県の工場に委託する。 (西尾邦明、内藤尚志、asahi = 11-2-17)


村田製作所、ソニーから石川の工場買収 スマホ部品製造

村田製作所は 16 日、ソニーから同社の旧根上工場(石川県能美市)を買い取ったと発表した。 2018 年春以降、スマートフォン用の電子部品を製造する。 買収と生産設備の導入で、300 億 - 400 億円を投じる見込みだ。 村田が取得したのは土地約 12 万平方メートルと、建屋 3 棟。 ソニーが 14 年 3 月まで、半導体の関連部品をつくっていた。 その後は、半導体製造のジェイデバイス(大分県臼杵市)が土地と建物を借りていたが、同社も 17 年 8 月までに撤退していた。 この工場で生産する製品は、すでに国内外の工場でもつくっているが、生産能力を増やすため、投資を決めたという。 (岩沢志気、asahi = 10-16-17)


居留守が使えるインターホン? セールスマンが押すと …

宅配便では鳴るのにセールスマンが来ると鳴らないインターホン、冷蔵庫のボタン一つで外出中の家族のスマホに買って欲しい食材が通知されるシステム - -。 6 日まで千葉市の幕張メッセで開かれた国内最大の IT 見本市「シーテックジャパン 2017」で、様々な企業の若手有志らが、各社の技術を組み合わせた新サービスを提案した。 提案したのは、パナソニックや NTT、朝日新聞など 45 社の若手社員 1 千人以上が参加する有志団体「One JAPAN (ワンジャパン)」。 2016 年 9 月に活動を始め、企業の枠を超えた新たな事業の連携や、働き方改革の提言などをしている。 今回はその一環として、メンバーらが考えた新サービスを披露した。

富士ゼロックス関連会社の浜野義丈さん (37) ら既婚の男性 6 人が開発したのは、妻とのすれ違いをなくす冷蔵庫の通知ボタンだ。 発案は、浜野さんが自宅で卵焼きを作ろうと冷蔵庫を開けた際、卵が切れていることがきっかけだ。 妻が卵を使い切っても、浜野さんにメールする余裕がなく買い忘れが起きていた。 「それならボタン一つでスマホに届くシステムを作ろう」と、通知ボタンを 3 週間で開発した。

冷蔵庫の扉などに付けるボタンを押すだけで、卵を使い切ったことがスマホに通知される仕組みだ。 試しに使ったところ、妻から勤務中に通知が届くようになり、近くのスーパーで買ってから帰宅するようになったという。 妻から「ありがとう」と言われることが増えたといい、浜野さんは「買い忘れがなくなり、夫婦も円満です」と笑う。

富士通の北山翼さん (34) たちが提案したのは、自宅のインターホンのボタンを押した人物を画像で判別し、必要な時だけ音を鳴らすシステムだ。 「休日にくつろいでいるとき、宅配便は受け取りたいが、セールスはお断りしたい。 そんな話を仲間としている時に生まれたアイデアを実現した。」と話す。 数万枚の人物画像や宅配会社の配達員の画像を AI に学習させ、3 週間で完成させたという。 富士通研究所の角岡幹篤さん (36) は「1 社だけで考えると自社の技術や既存事業のなかで考えがちになる。 多くの知恵を集めればもっと新しいアイデアが生まれる」と話した。(杉本崇、asahi = 10-10-17)


製造コスト 3 - 4 割減 : 有機 EL メーカー JOLED、量産に向け約 1,000 億円増資か

ジャパンディスプレイ (JDI) グループの JOLED (東京都千代田区)が、有機 EL を低コストで量産する技術に開発のめどが立ったため、実用化に向けて資金調達をする方針を固めたと一部報道機関が 10 月 4 日報じた。 同日付の日本経済新聞によると、2019 年の量産開始に向け、約 1,000 億円の獲得を目指しているという。 既にソニー、キヤノン、富士フイルムなど国内大手数十社を対象に、1 社当たり 50 - 100 億円の出資を打診しているという。

同紙によると、開発のめどが立ったのは「印刷方式」と呼ぶ手法で、発光材料をパネル上に塗布し、印刷するように有機 EL パネルを生産できる点が特徴。 実用化すれば、競合の韓国 Samsung よりも製造コストを 3 - 4 割程度削減できるという。 報道に対し、JDI は「JOLED の資金調達に関する報道内容は、当社が発表したものではない」とコメント。 ただし、「JOLED と当社は製品量産に向け、当社の能美工場(石川県能美郡)の活用を含めた検討を進めている。 決定事項が生じた場合は、速やかに開示する。」とした。 JDI は現在経営難に苦しんでおり、業績立て直しに向けた構造改革の一環で能美工場を 12 月に閉鎖する旨を 8 月に発表している。 (ITmedia = 10-4-17)

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液晶パネル大手 JDI が 4,000 人削減検討

経営難が続く中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ (JDI) がグループ従業員の約 3 割に当たる 4 千人弱の人員削減を検討していることが 8 日、分かった。 対象の大半が海外で、中国やフィリピンの工場を統廃合し 3,500 人程度を減らす見込みだ。 国内は 250 人程度の希望退職者の募集で対応する。

国内の生産再編は、石川県内にある三工場の見直しが柱となる。 スマートフォン向け液晶パネルを手掛ける能美工場(能美市)は年内をめどに休止し、従業員は最先端設備がある近隣の白山工場(白山市)に配置転換する。 石川工場(川北町)も受け入れる可能性がある。 生産拠点の整理などに伴って 1,500 億円程度の損失が発生するため、2018 年 3 月期の純損益は 4 年連続の赤字が避けられない情勢となった。

JDI は 17 年 3 月末で約 13,000 人いる人員の適正化などで 500 億円程度の固定費を削減し黒字化を急ぐ。 意思決定の迅速化や採算管理の厳格化を狙って、10 月からモバイルや車載など事業ごとの社内カンパニー制を導入する。 9 日に経営再建策として公表する。 石川工場は需要拡大が見込める車載向け液晶パネルの生産に振り向ける。 能美工場は将来、次世代の有機 EL パネルの事業が軌道に乗った場合などに活用する可能性がある。

再建策では、財務体質を抜本的に改善するため外部資本の導入を検討する方針も盛り込む。 中国の液晶パネルメーカーや投資ファンドなどが関心を示していると言われている。 みずほ銀行など主力銀行三行は資金繰りの支援として 1,100 億円の融資枠を設定する。 JDI の筆頭株主で政府系ファンドの産業革新機構は融資の返済を保証する。 (東京新聞 = 8-8-17)

<ジャパンディスプレイ (JDI)> 日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合し 2012 年 4 月に発足した。 筆頭株主は政府系ファンドの産業革新機構。 14 年 3 3月に東京証券取引所第 1 部に上場した。 主要取引先の米アップルがスマートフォンの画面を液晶から有機 EL に切り替える見通しとなっており、事業環境の悪化に拍車が掛かっている。

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J ディスプレイ、再建計画を撤回へ 他社と資本提携も

液晶パネル大手のジャパンディスプレイ (JDI) は今夏をメドに抜本的な経営再建案を策定する。 事業の構造改革を進める中期経営計画を撤回し、国内工場の再編に加えて他社との資本提携も視野に検討する。 17 年 3 月期に 3 期連続で最終赤字となった JDI は足元で資金繰り問題が再燃している。 抜本的な改革案が必要だと判断した。 新たな中計は 6 月 21 日の定時株主総会後に発足する新経営陣のもとで協議して 8 月をメドに発表する。 国内工場の再編や人員配置の見直しなど、赤字体質脱却に向けた抜本的な対策を盛り込む見通し。

構造改革費用を捻出するために外部資金も活用する。 筆頭株主の産業革新機構のほか、外部の投資ファンドなどに支援を要請している。 国内外の事業会社との資本業務提携なども視野に検討を始めている。 資金繰りに窮していた JDI は 16 年末に有機 EL 事業を強化する「成長戦略」を打ち出し、革新機構から 750 億円の資金支援を得ていた。 ただ年明け以降も液晶パネルの受注は回復せず手元資金が流出。 受注が低調な 4 - 6 月期を迎え、再び資金繰りが悪化している。

JDI は 12 年に事業を開始。 スマートフォン(スマホ)などの中小型液晶パネルで世界首位ながら 3 期連続の最終赤字に苦しむ。 母体企業の日立製作所と東芝、ソニーの高コスト体質を引きずっており固定費削減を断行する。 16 年末に発表した中計では 19 年 3 月期に売上高を 1 兆 1 千億円(17 年 3 月期は 8,844 億円)、営業利益を 880 億円(同 185 億円)に伸ばすとしていた。 しかし売上高の 4 割程度を依存する米アップルが今秋発売の「iPhone」の一部モデルに有機 EL パネルを採用することで JDI の売上高は大幅減少する。

中計の前提条件が大きく揺らいだために目標数字を取り下げることを決めた。 固定費削減などの構造改革を優先し、17 年中に予定していた有機 EL の JOLED (ジェイオーレッド)の子会社化も先送りする。 JDI は 3 月に革新機構と同社を所管する経済産業省主導で経営陣の刷新を発表していた。 JOLED 社長の東入来信博氏が会長兼最高経営責任者 (CEO) として JDI の経営のカジ取りを担う。 新体制は発足時から難局に直面する。 (nikkei = 6-7-17)

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ジャパンディスプレイ赤字見通し 黒字化の自信から一転

中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ (JDI) は 1 日、2017 年 3 月期決算の純損益が 317 億円の赤字(前年同期は 318 億円の赤字)になるという業績予想を発表した。 これまで 3 年ぶりの黒字化に自信を見せていたが、一転して 3 年連続の赤字となる見通しだ。

JDI によると、有機 EL パネルの普及が早まって液晶の売り上げが当面落ち込む見通しとなり、将来に一定の利益が出ることを前提に税金の前払い分を資産に計上する「繰り延べ税金資産」を 209 億円取り崩す。 円高が進んだことによる外貨建て資産の評価損などでも、112 億円の損失を計上する。 本間充会長は 2 月の決算説明会で、17 年 3 月期の純損益について「何としても黒字化にもっていきたい。 手応えはある。」と明言していた。 売上高は前年同期比 11% 減の 8,844 億円、営業損益は 44 億円の赤字(前年同期は 167 億円の黒字)となる見通しだ。 (asahi = 5-1-17)


パナ、姫路で車用電池生産へ 液晶生産ラインの跡地活用

パナソニックは 29 日、液晶パネルをつくる姫路工場(兵庫県姫路市)で、自動車用のリチウムイオン電池の生産を始めると発表した。 2019 年度の稼働をめざす。 世界で加速する自動車の電動化に対応する。 パナソニックは 2010 年、姫路市に液晶パネル工場を新設し、主にテレビ向けに液晶パネルを生産してきた。 だが、韓国や中国勢の台頭で 16 年にテレビ向けの生産から撤退。 その後は、医療や車用の液晶パネルをつくっていた。 今回の電池生産は、液晶パネルの生産ラインの跡地を使う。 投資額は非公表。 電気自動車 (EV) や、エンジンも使うプラグインハイブリッド車 (PHV) 向けに生産する計画だ。

パナソニックは、成長性が期待できる車関連事業に力を入れており、この事業の売上高を 21 年度に 2.5 兆円に伸ばすのが目標だ。 すでに米国の EV 大手テスラと組み、電池生産工場を共同で運営。 EV 市場拡大の起爆剤として注目される新型車「モデル 3」の電池の出荷が 6 月に始まった。 (岩沢志気、asahi = 9-29-17)


BOSE、Google アシスタントを搭載した初のヘッドフォン「QuietComfort 35 II」発表、350 ドルで発売中

従来通り、Siri も利用できます

先週、BOSE の Quiet Comfort 35 次期モデルに Google アシスタントが搭載されるとの情報が出ていましたが、その製品、QuietComfort 35 II (QC35II) が発表されました。 Google アシスタントを搭載する初めてヘッドフォンとなります。 価格は前モデルと同じ 349.95 ドル(約 3 万 9,000 円)。 米国では即日販売を開始しています。 基本的な仕様は人気モデルとなった QC35 から変更はなく、ノイズキャンセリング機能やオーディオ性能、20 時間持続するバッテリーなど QC35 をそのまま継承しています。

大きな違いは左側イヤーカップの後ろに搭載された「アクションボタン」です。 このボタンを操作することで、スマートフォンのロックを解除することなく、マイクを通じて Google アシスタントの操作が可能になります。 着信したメッセージの読み上げや予定の確認、音楽再生、ハンズフリーで電話をするなど Google アシスタントの一通りの機能が利用可能です。

アクションボタンは、Google アシスタントが利用できない国ではノイズキャンセリングの設定ボタンとして機能します。 QC35 は発売当初、Bluetooth 接続の際には常にノイズキャンセリングが ON の状態でしたが、アップデートによりアプリから、「High」、「Low」、「Off」 3 段階の切替が可能になりました。 QC35II ではアクションボタンの操作でもこの切り替えが可能になっています。 ただし、Google アシスタントとノイズキャンセリング設定の同時利用はできず、どちらかの機能に専用アプリから割り当てる必要があります。

なお、従来通り、右側イヤーカップの後ろにある「マルチファンクションボタン」を使い、Siri の操作を行うことも可能です。 カラーはブラックとシルバーの 2 色。 すでに米国、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フランス、英国で販売を開始しています。 同時に発表された SoundSport Free 同様、公開されているマニュアルには日本語の記載があるものの、日本では未発表。 QC35 の際には、日本では少し遅れての発売となったため、今回も近いうちに発表があるものと思います。 (山本竜也、Engadget = 9-22-17)


洋服に貼れる太陽電池を開発 洗濯しても作動、理研など

伸縮性があり洗濯もできる超薄型の太陽電池を開発したと、理化学研究所と東京大の研究チームが 18 日付英科学誌ネイチャー・エナジー(電子版)に発表した。 衣服に貼り付け、ウェアラブル(身につけられる)機器の電源として応用できるという。 理研の福田憲二郎研究員と東大の染谷隆夫教授らが、半導体の性質を持った有機化合物を極薄の高分子膜上に塗りつけて、太陽電池を作製した。 厚さがわずか 3 マイクロメートルで、曲げたり押しつぶしたりしても正常に作動するという。

ペンで染みを付けた後、洗剤液中でかき回して汚れを落としても、電池の性能は低下しなかった。 太陽光を電力に変換する効率も、従来の薄型太陽電池の約 2 倍だという。 2 枚の透明ゴムで挟めば、伸縮性と耐水性をさらに強化できる。 福田研究員は「シャツなどに貼り付け、血圧や体温を常に測定して病気を早期発見する医療器具や、衣服と一体化した薄型スマートフォンなどの電源に使えるかもしれない」と話す。 (伊藤隆太郎、asahi = 9-19-17)


美容家電でエステ無料体験 パナソニックが銀座にサロン

美容家電を使ったエステを無料で体験できるサロンを、パナソニックが 15 日、東京・銀座に開く。 専門スタッフのカウンセリングによって肌や髪の状態にあった機器を試すことができる。 流行に敏感な女性が集う銀座を起点にブランド力の向上を図るねらいだ。

サロンは銀座のみゆき通り沿いにあり、美容スタッフ 10 人程度が常駐。 主力製品約 20 種類が並び、ヘアドライヤーを使って髪につやを出すブロー(約 10 分)や、顔に蒸気をあてるスチーマーによるエステ(同)のほか、高価格のプレミアムシリーズを使った個室でのエステ(要予約、約 60 分)をいずれも無料で受けられる。 同シリーズの製品は、その場で購入できる。 自身で機器を使うセルフ体験コーナーもある。 40 代以上の女性を中心に、年間 10 万人の来店をめざす。 大阪駅前にある同社のショールームなどでも製品を試せるが、カウンセリングを受けられるのは初めてという。

家電の販売が伸び悩む中、同社は美容家電を「高成長事業」と位置づけ、2018 年の売上高は 08 年より 5 割増えると見込んでいる。 河野明執行役員は「家電の多くは買い替え需要がほとんどだが、美容には様々な可能性があり需要の伸びを期待できる」と話した。 (村井七緒子、asahi = 9-14-17)


誤差 160 億年に 1 秒 桁違いに正確な光格子時計が受賞

ナノテクノロジー分野で世界的な業績を上げた研究者に贈られる「江崎玲於奈賞」の第 14 回受賞者に 7 日、香取秀俊・東京大学教授 (52) が選ばれた。 160 億年で 1 秒しかずれないという極めて高精度の原子時計「光格子時計」を発明した業績が高く評価された。 江崎玲於奈さんと白川英樹さん、野依良治さん、小林誠さん、天野浩さんのノーベル賞受賞者 5 人を含む賞の審査委員が 7 日、茨城県つくば市で記者会見して発表した。 2001 年にノーベル化学賞を受けた野依さんは「サイエンスの根幹にかかわる成果で、日本から出たことが誇らしい」と話した。 (小堀龍之、asahi = 9-7-17)


パナソニック、滋賀工場閉鎖へ 太陽電池の需要落ち込み

パナソニックが、太陽電池を生産している滋賀工場(大津市)を今年度中に閉鎖する方針を固めたことがわかった。 部品の生産は他の国内拠点で続けるが、組み立ての工程は海外に移し、国内から事実上撤退する。 太陽光発電の買い取り価格の引き下げなどで国内需要が落ち込み、生産体制の再編を迫られた。 滋賀工場は、パナソニックの太陽電池事業で島根(島根県雲南市)、二色浜(大阪府貝塚市)と並ぶ国内 3 大拠点の一つ。 島根、二色浜の両工場でつくったセルと呼ばれる部品を、太陽光パネルに組み立てる作業を担っていた。 国内需要の落ち込みを受け、この作業を労賃の安いマレーシア工場に移す。 (asahi = 9-7-17)