H2A ロケット、打ち上げ成功 情報収集衛星を搭載

情報収集衛星「レーダー 5 号機」を載せた H2A ロケット 33 号機が 17 日午前 10 時 20 分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。 約 20 分後、衛星を予定通り分離し、打ち上げは成功した。 H2A の成功は 27 回連続。成功率は 97% となった。

レーダー 5 号機は、2011 年 12 月に打ち上げられ、設計寿命の 5 年を過ぎたレーダー 3 号機の後継。 夜間や曇天でも地上を撮影でき、数カ月の調整後に使い始める。 内閣衛星情報センターによると、情報収集衛星は現在、光学衛星 3 機とレーダー衛星 3 機(うち 1 機は予備機)の計 6 機が運用中。 1998 年の北朝鮮によるテポドン発射を受けて導入され、総額 1 兆円以上が投じられた。 将来的にはデータ中継衛星 2 機を含む計 10 機態勢を目指している。 (asahi = 3-17-17)


あのジャストシステムが大変貌を遂げていた

今や収益の柱は「一太郎」、「ATOK」ではない

「漢字苦手だなあ。」 「そこの少年。 そんなことより、勉強で大事なのは書いて覚えること。」 俳優の藤木直人さんと小学生のやり取りが印象的なテレビ CM。 専用タブレット端末を使った小学生対象のクラウド型オンライン通信教育「スマイルゼミ」の広告だ。 このスマイルゼミを 2012 年 11 月から運営しているのが、文書ソフト「一太郎」や日本語表記ソフト「ATOK」などで知られるソフトウエア会社、ジャストシステムだ。

20 年近いノウハウの蓄積が強み

同社は、全国の小学校の 8 割、1 万 7,000 校への導入実績がある学習・授業支援ソフト「ジャストスマイル」も販売している。 最初にこのソフトを発売したのは 1999 年。 パソコン (PC) を利用して授業を行える教師が少なく、環境も整っていなかった当時から学校教育の現場に教育ソフトを提供し続けてきた。 「スマイルゼミ」には、このような教育機関向け学習ソフトのノウハウが反映されている。

2013 年 11 月からは「スマイルゼミ?中学生コース」を開始。 さらに、進学校を目指すコースや英語プレミアムコースなど新コースも順次投入している。 通信教育の正確な会員数や業績については開示していないものの、2013 年 11 月時点では「小学校向け、中学校向けを合わせて 10 万人という数字が見えてきた」と事業担当者が発言している。 足元でも、「コースを拡充している効果もあり、会員数は着実に増えている(関灘恭太郎社長)」という。

一方、同社の創業時からの柱である、「一太郎」、「ATOK」など PC 向けソフトウエア市場を取り巻く環境は厳しい。 電子情報技術産業協会 (JEITA) によると、PC の国内出荷台数(デスクトップ、ノート型の合計)は、2014 年度、2015 年度とも前年比 2 割以上減少。 2016 年度は下げ止まりの傾向にあるとはいえ、前年度比横ばいで推移している。 「一太郎」や「ATOK」も、このような厳しい市場環境の影響を受けている。

しかし、ジャストシステムが「新規事業」と位置づける前述の小中学生向け通信教育事業や企業向けデータ分析ソフトなどが牽引し、同社の業績は好調だ。 2010 年度以降、5 期連続で増収増益。 2010 年度に 13.8% だった営業利益率は、2015 年度に 27.5% まで上昇した。

とはいえ、好業績を謳歌する現在に至るまでは数々の苦難があった。 まず 1990 年代後半には、当時圧倒的なシェアを握っていた「一太郎」が、米マイクロソフト社の文書ソフト「Word」との激しい競争に巻き込まれた。 そして、2000 年代半ば以降は多額の研究開発資金を投入した XML 文書の作成・編集技術「xfy」が普及せず、海外事業が不振に陥ったこともあり、資金繰りに苦しんで財務制限条項に抵触するまでに追い込まれた。

キーエンスが救済出資してから大きく変化

そこに救いの手を差し伸べたのが、FA (ファクトリーオートメーション)センサーなど計測制御機器大手のキーエンスだった。 2009 年 4 月にジャストシステムの約 45 億円の第三者割当増資を引き受け、44% 出資の筆頭株主に浮上。 過半数の取締役を送り込み、不採算事業からの撤退など、抜本的なリストラ策に取り組んだ。

リストラと同時に新規事業の立ち上げも行った。 好調な業績を担う小中学生向け通信教育事業も、キーエンス出資後に立ち上げた新規事業だ。 2010 年度以降に増収増益を続けてきているのは、ジャストシステムが創業時から培ってきた技術力に加えて、このような「キーエンス流改革」があったからにほかならない。 「世の中の定石や固定観念にとらわれることなく、常に変化を意識することが、成長を継続させることに繋がる。」

2016 年 3 月に 38 歳にして経営トップに就任したキーエンス出身の関灘社長は、自社ホームページ上でこのような経営理念を語る。 キーエンスが出資した 2009 年に取締役として送り込まれた関灘社長。 当時、同じタイミングで新社長に就任したジャストシステムの生え抜きである福良伴昭氏の下で、経営改革の一翼を担ってきた。

関灘社長の言葉のとおり、ジャストシステムは文書ソフトやオンライン通信教育にとどまらず、毎年のように既存技術を展開した新製品を積極的に投入している。 2016 年には営業支援のクラウド型サービスを開始。 2017 年秋には、電子カルテや複数の部署のデータを統合し「全文検索」や「データ分析」が可能な、医療機関向けのデータマネジメントシステムを投入する予定だ。 2 月に発売した「ATOK」の新製品でもディープラーニングを取り入れた新変換エンジンを採用するなど、技術革新に余念がない。

しかし、名簿流出問題で因縁のあるベネッセコーポレーションがタブレット型の小学生向け通信教育「チャレンジタッチ」に力を入れてきていることなど、これまでの好調な業績を牽引してきた「スマイルゼミ」を取り巻く競争環境は激化している。 ジャストシステムは、「キーエンス流経営」で高い成長を継続することができるのか。 今後も関灘社長の手腕が問われることになる。 (島 大輔、東洋経済 = 3-5-17)


電線ショートが原因か 世界最小級ロケット打ち上げ失敗

今年 1 月、打ち上げに失敗した衛星用として世界最小クラスのロケット「SS520」 4 号機について、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 13 日、機体の振動などで電線がショートして電源異常が発生し、地上へのデータ送信ができなくなったことが失敗の原因となった可能性が高い、と発表した。 JAXA によると、ロケット内の電気ケーブルが振動や加速で機体本体に接触し、カバーが破損。 中にある電線と機体の金属が触れ、ショートして通信機器に電源供給ができなくなったとみられるという。 軽量化などのため、配線周辺部や電線などの設計を変更したことが、カバーの破損につながったとしている。

ロケットは同月 15 日、小型衛星の安価な打ち上げ技術の実証を目的に、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられた。 だが直後から機体と通信できなくなり、予定していた第 2 段ロケットの点火を中止。 海に落下していた。 機体は全長約 9.5 メートルで重量約 2.6 トン。 打ち上げ費用も含め、開発費は約 5 億円とされる。 (山崎啓介、asahi = 2-13-17)

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ミニロケット失敗、海に落下 飛行中に通信途絶える

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 15 日、超小型衛星を載せたミニロケットの打ち上げに失敗した。 内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から発射したが飛行中に機体からのデータが途絶え、飛行中止を決めた。 残るエンジンの点火はせず、機体と衛星を海に落下させた。 民間への技術移転を目指す超小型衛星専用ロケットの性能を初めて試す機会だっただけに、日本の宇宙産業が停滞しかねない。

ロケットは予定時刻の午前 8 時 33 分に打ち上がった。 3 段ロケットのうち第 1 段は正常に飛んだが、その後、機体の温度や圧力、姿勢の向きなどのデータが地上で受信できなくなった。 JAXA はこのまま第 2 段のエンジンに点火すると思わぬ方向に飛ぶ恐れがあると判断。 被害を防ぐために点火指示を見送った。 残る機体と衛星は海に落ちたとみられる。

ミニロケットは既存の観測ロケットを改良した。 電柱の大きさと同じくらいで、衛星を投入できるロケットとしては世界最小だった。 部品に携帯電話などで使う半導体などの民生品を活用し、コストダウンを目指していた。 民生品でも十分に機能するかどうかを検証する狙いもあった。 民生品に原因があったかどうかは「分からない。(開発責任者の羽生宏人准教授)」 機体のデータを送る機器は、これまでも使ってきた実績のある機器だという。 JAXA は今後、取得できたデータなどから原因を探る。 (nikkei = 1-15-17)

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世界最小! 3 キロの超小型衛星 運ぶロケットも軽量級 今月宇宙へ …

近年、低コストで開発できる超小型衛星の利用が増えるなか、東京大学が開発した重さ 3 キロという世界最小クラスの衛星が今月 11 日、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所からロケットで打ち上げられる。 「TriCom (トリコム)-1」と名付けられたこの衛星は、縦横 11.6 センチ、長さ 34.6 センチ、重さ 3 キロの超小型サイズ。 地球の上空 180 キロから、最も遠くて 1,500 キロの楕円軌道を周回して、2 つのカメラで地球を撮影する。 カメラは、宇宙用ではなく民生品として開発されたコンパクトデジカメとスマートフォンの技術を応用したもの。

さらに、周回しながら地上から送られるデータを収集・蓄積し、管制局上空を通過する際にデータを転送するストア & フォワードという技術を実証する。 この技術によって、携帯電話が圏外になる場所でも利用しやすくなると期待されている。 この小型衛星を打ち上げるのは、SS-520 ロケット 4 号機。 直径 50 センチ、全長 9.5 メートルの固体燃料で飛ぶ 3 段式ロケットだ。 先月 20 日に打ち上げられたイプシロンロケットが直径 2.6 メートル、全長 26 メートルだから、ずいぶん小型だと言えよう。

イプシロンは、地球を取り巻く放射線帯や宇宙嵐の発生の謎を解明するための探査衛星「あらせ(350 キロ)」を搭載するため、衛星のサイズに見合ったサイズだった。 しかし 2000 年以降、世界の衛星開発市場は「CubeSat (キューブサット)」と呼ばれる 10 センチ立方の低コストで作れる超小型衛星がしのぎをけずっており、それに伴って打ち上げ費用を低く抑えるべく、超小型衛星用ロケットの開発競争が激化している。 ロケットも衛星も小さけれど、たくさんの人の大きな夢と期待を背負って宇宙へ飛び立つのだ。 (ハザードラボ = 1-3-17)


白物家電、息吹き返す 16 年国内出荷 3 年ぶりプラス

白物家電販売が息を吹き返した。 日本電機工業会 (JEMA) は 24 日、2016 年の白物家電の国内出荷額が前年比 4.5% 増の 2 兆 3,028 億円になったと発表した。 前年を上回るのは 3 年ぶり。 目を引いたのは単身や共働き世帯に的を絞った中小型製品だ。 訪日外国人の「爆買い」は一巡したが、商機は尽きていない。 ヨドバシカメラマルチメディア Akiba (東京・千代田)の炊飯器売り場。 タイガー魔法瓶の 3.5 合炊きのある製品が 10 万 6,720 円で売られていた。 かつて 3 - 3.5 合炊きは 1 万円前後が主流だったが、昨年は内釜の構造や素材にこだわる新製品が相次いだ。

同店の家電製品アドバイザー、勝田泰幸氏は「ライフスタイルが多様化し、こだわる製品にはとことんお金を使う一人暮らしの若者が多い」と指摘する。 これから一人暮らしをする予定の会社員、岡田篤宜さん (25) は「1 食分でも、機能がたくさんついた炊飯器がほしい」と語る。 白物家電の単価上昇現象は JEMA 統計ではっきりしている。 16 年は冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなど主要品目で、軒並み出荷額の伸びが出荷数量の伸びを上回った。 14 年の消費税率引き上げ後に 2 年連続でマイナスとなり、インバウンド特需の効果も薄れていたが、中小型製品でも上位機種並みの技術で単価を引き上げる動きが広がった。

ターゲットは家電各社がボリュームゾーンと位置づけてきた 4 人家族ではない。 「お一人さま」や共働き世代だ。 中小型製品は機能を拡充する余地が大きく、単価を上げやすいのだ。 調査会社 GfK ジャパン(東京・中野)によると、16 年は白物家電の中下位機種の平均単価が上昇し、上がり幅が上位機種を上回っている。 例えば冷蔵庫。大容量機種の平均単価が 2% 上がったのに対し、小容量機種は 5% 上昇した。

シャープが 1 月 19 日に発売したガラスドアを備えた中小型冷蔵庫。 容量 350 リットルのモデルは除菌イオン「プラズマクラスター」技術を盛り込み、省エネ性能も改善した。 店頭想定価格は 16 万円前後と従来比で 1 万円ほど単価を上げた。 狙うのはやはり少人数世帯だ。 シャープはこれまで上質感のあるガラスドアを大容量・高価格帯で採用してきた。 「同様のものを中・低価格帯でも出さないか。」需要を見込んだ家電量販店に強く要望されたという。

中下位機種の単価が上がっている背景には外資の動きもある。 米アイロボットがロボット掃除機を投入してから日本勢も追随。 スウェーデンのエレクトロラックスが一人暮らしに向いたスティック型掃除機で攻勢をかけ、需要を喚起している。 国内需要が飽和しているという指摘はあるものの、これまで見落としがちだった少人数世帯の掘り起こしが市場を活気づけた。 知恵を絞れば成長の余地は十分にある。 (ゼンフ・ミシャ、花田亮輔、池下祐磨、nikkei = 1-25-17)


H2A ロケット打ち上げ成功 防衛省初の通信衛星を搭載

防衛省の通信衛星「きらめき 2 号」を載せた H2A ロケット 32 号機が 24 日午後 4 時 44 分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。 約 30 分後、衛星を正常に分離し、打ち上げは成功した。 H2A の成功は 26 回連続。 成功率は 96.9% になった。

きらめき 2 号は、防衛省が初めて保有・運用する衛星。 これまで使ってきた民間衛星より高速、大容量の通信ができる。 画像送信や陸海空 3 自衛隊の部隊間の直接通信も可能で、一元的な指揮統制に使われる。 防衛省は 2020 年度末までに 3 機を打ち上げる計画。 1 号が発射場のある南米ギアナへの輸送中に損傷し、昨年 7 月の予定だった打ち上げが来年に延期されたため、2 号が先行した。 運用期間は約 15 年間。

防衛省によると、これまでの民間衛星は音声やファクスなどにしか使えず、部隊間通信にも制限があったため、11 年に後継 3 機の導入を決めた。 すべて運用されると、太平洋からインド洋までをカバーするという。 全機の運用終了までの総経費は約 2,300 億円。 (岡村夏樹、asahi = 1-24-17)

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防衛省の通信衛星、24 日夕打ち上げ H2A32 号機

防衛省の通信衛星「きらめき 2 号」を載せた H2A ロケット 32 号機が 24 日午後 4 時 44 分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる。 きらめき 2 号は防衛省が初めて保有・運用する衛星。 これまで自衛隊が使ってきた民間衛星より高速、大容量の通信が可能になり、指揮統制が強化されるという。 防衛省によると、これまでの民間衛星は音声やファクスなどにしか使えず、陸海空 3 自衛隊の部隊間通信にも制限があった。 きらめき 2 号は雨や大気の影響にも強く、画像送信や各部隊間での直接通信が可能になる。 自衛隊の一元的な指揮統制に使われるという。

防衛省は 2011 年、民間通信衛星の後継 3 機を打ち上げる計画を決定。 「きらめき 1 号」が発射場のある南米ギアナへ輸送中に損傷し、昨年 7 月の予定だった打ち上げが来年に延期されたため、「2 号」が最初の打ち上げになった。 運用期間は約 15 年間。 20 年度末までに全 3 機を打ち上げる計画。 運用されると、太平洋からインド洋までの地域をカバーするという。 全機の運用終了までの総経費は約 2,300 億円。 防衛装備庁の担当者は「現場の部隊が入手した画像がリアルタイムで司令部に送れるようになり、的確な指揮命令ができるようになる」と期待する。 (岡村夏樹、asahi = 1-22-17)


官民で日本語認識 AI を開発へ 病院や自動車との対話システムも 総務省が夏までに計画策定

総務省は 8 日、通信事業者や電機・自動車メーカーなどと共同で、日本語の音声を認識する人工知能 (AI) を活用した技術の開発計画を今夏までに策定する方針を固めた。 米インターネット通販大手アマゾン・コムなどは、機器に話しかけるだけで商品の購入や家電の操作などができるサービスを行い、消費者らからのデータを基に新たなビジネス創出を狙っている。 日本の重要なデータが海外企業に流出する可能性があるとして、官民共同でシステム構築を急ぎ、海外勢に対抗する意図がある。

計画策定の対象となる主なサービスは、1 人暮らしの高齢者と病院の対話システムや、あらゆる質問に答えられる自動車との対話システムなどだ。 NTT ドコモや富士通、トヨタ自動車などが参加し、同省所管の国立研究開発法人「情報通信研究機構 (NICT)」が開発した世界最高の日本語処理能力を持つ AI にデータを取り込んでいく。 AI Iが家庭に浸透している米国では、アマゾンのスピーカー型機器「エコー」が品薄状態にあるほか、グーグルが「グーグルホーム」を発売。 8 日閉幕の米家電見本市「CES」では韓国の電機メーカーが声で指示を出せば食材をネットを通じて購入できる AI 搭載の冷蔵庫を公開した。

一方、日本語サービスも国外勢が先行して始めれば「新しい産業の基になる医療や災害などに関する重要なデータまでもが国外勢に握られかねない(同省幹部)」という懸念が指摘されている。 同省は「エコーのような海外の商品が日本の全家庭や乗用車などを『完全制圧』する前に日本語の対話システムのプラットフォームを構築することは、国益を守る上でも喫緊の課題だ(幹部)」としている。 (ZakZak = 1-9-17)


家電市、車・AI が存在感 米 CES、5 日開幕

米ラスベガスで 5 日(日本時間 6 日未明)、世界最大級の家電・技術見本市「CES (セス)」が開幕する。 今回 50 周年となる歴史ある催しだ。 かつては日本勢が新型のテレビやビデオを発表するなど存在感を示していたが、いまでは韓国や中国勢に押されている。 展示内容も家電から自動車関連や人工知能 (AI) などに重点が移っている。 8 日までで、今回はトヨタ自動車、日産自動車、ホンダの日系自動車大手 3 社が初めてそろう。 自動運転の最新技術などを公開する予定だ。 カルロス・ゴーン日産社長が、日本の自動車メーカーのトップとして初めて基調講演をする。

3 日には、電子機器やロボットなどの新商品をアピールする開幕前のイベントがあった。 日本勢では家電ベンチャー「セレボ(東京)」が、話しかけると自動で変形して点灯するロボットデスクライト「ルミジェント」などを出した。 CES は 1967 年にニューヨークで始まり、78 年からラスベガスで開かれている。 主催者が 67 年に会場で配った資料には、いまの東芝とパナソニックがカラーテレビの広告を載せるなど、日本勢は初期から参加していた。 ビデオや CD、ハイビジョンテレビといった新技術も公開され、世界に普及していった。

音響機器を得意とする日本の家電大手は、次世代 DVD でソニー陣営と東芝陣営が米ハリウッドの映画会社などを巻き込み、CES で数年間、規格争いを繰り広げた。 液晶やプラズマの薄型テレビ競争でも松下やシャープなどが韓国勢などとしのぎを削った。 ソニーが 2007 年に有機 EL テレビを発表し、同年 11 月に世界で初めて販売したこともある。 (新田哲史 = ラスベガス、伊沢友之、asahi = 1-5-17)

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タマゴ形ロボット、AIで対話 パナソニックが試作

パナソニックが、タマゴの形をしたコミュニケーションロボットを試作した。 「殻」が開閉して滑らかに動き、ユーモラスで親しみやすくしたという。 人工知能 (AI) が人間の話の文脈を理解し、対話も楽しめる。 同社がコミュニケーションロボットを発表するのは初めてという。 米ラスベガスで 5 日(日本時間 6 日未明)に開幕する世界最大級の家電・技術見本市「CES (セス)」で発表する。

大きさは直径 29 センチ、高さ 35 - 48.5 センチ、重さ 3.7 キロ。 卓上などで使うことを想定している。 タマゴの下部にはモーターで動く車輪があって、回転することなどで人の注意を引くこともできる。 話しかけたり、身ぶり手ぶりで指示したりすると、殻が上下や前後に動いて返事をしてくれる。 いまのところ英語だけに対応しているが、言語を増やすことも可能だという。 スマートフォンの専用アプリなどでも制御できる。 プロジェクターやカメラを内蔵し、インターネットにも接続できる。 見本市での評価を踏まえて開発を進める。 一般への発売も検討しているが、時期などは決まっていないという。(伊沢友之、asahi = 1-5-17)

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ソニー、有機 EL テレビ『BRAVIA A1E』シリーズ発表

画面から直接音声を出力する機能搭載
海外発表モデルでは 55 インチ、65 インチ、77 インチを用意

ソニーは 1 月 5 日、米国で開催中の「CES 2017」において、2017 年に発売を予定している新製品群について発表しました。 このうちテレビや音響機器に関する「ホームエンタテインメント & サウンド」の中で、4K HDR (ハイダイナミックレンジ)に対応した有機 EL (OLED) テレビ「BRAVIA A1E」シリーズを発表しています。

本製品群について明らかになっていることはまだ多くありませんが、パネルの振動によって音声を出力する「アコースティックサーフェス」と呼ばれる機能を搭載することでスピーカーを非搭載とし、既存の BRAVIA シリーズにも装備している 4K HDR プロセッサ「X1 Extreme」を内蔵することで「自発光デバイスである有機 EL パネルの特長を最大限に引き出」し、「現実世界により近い深い黒や明るさの表現が可能」になったとしています。

画面を振動させて音声を出力する機能は、CES 2017 で LG が発表した「Crystal Sound」に近いものと見られますが、ソニーはアコースティックサーフェスを独自の機能と主張していることから、また別の技術も併用されている可能性があります。 Crystal Sound は、映像の後ろから音声が聞こえることで、より臨場感のある視聴体験が得られることを謳う技術。

このほか米国発表では、55 インチ、65 インチ、77 インチの 3 モデルが発売されることが明らかになっています。 また液晶テレビにおいては、薄型バックライト技術「Slim Backlight Drive+」を新たに発表。 コントラストの向上を図っています。 ちなみ「CES 2017」ではパナソニックも有機 EL パネルを発表しており、こちらにも LG の有機 EL パネルが用いられている可能性があります。

ソニーが 10 年ほど前に製品化していた世界初の有機 EL テレビ「XEL-1」は、当時の液晶ディスプレイの水準を遥かに超える高コントラストと最薄部 3mm の薄さを特徴としており、11 型で 960 x 540 ピクセルというタブレット並みの画面サイズ・解像度ながら、非常に高い画質が購入者たちの好評を得ていました。 A1E シリーズの詳細なスペックをはじめ、価格や発売時期も不明であり、動向には今後も注視する必要はありますが、家庭用の大型有機 EL テレビが本格的に普及する日は近いのかもしれません。 なお本件を含むソニーの発表会の模様は、同社の特設サイトで確認できます。 (関根慎一、Engadget = 1-5-17)


報酬 1億円超が 23 人 「かたつむり」三菱電機の復活劇

三菱電機の復活劇

記事コピー (12-26-16)


イプシロン 2 号機打ち上げ成功 エルグを軌道投入

宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 20 日午後 8 時、固体燃料ロケット「イプシロン」 2 号機を鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。 約 13 分後、搭載した探査衛星「エルグ」を分離し、予定の軌道に投入。打ち上げは成功した。

イプシロンの打ち上げは 2013 年 9 月の初号機以来、3 年 3 カ月ぶり。 H2A のような液体燃料ではなく、扱いやすく短時間で発射できる固体燃料を用いた新型ロケットで、全長は H2A の半分ほど。 コンピューターによる自動点検の導入などでコストを削減し、打ち上げ費用は 50 億円と H2A の半分程度に抑えた。 2 号機は初号機を改良し、打ち上げ能力を 3 割向上させた。 国内外で増加が見込まれる小型衛星の打ち上げ市場への参入をめざす。 探査衛星エルグは重さ約 350 キロ。 高度約 300 - 3 万キロの楕円(だえん)軌道を回り、地球周辺の宇宙空間に広がる放射線帯の電磁波などを観測する。 (小林舞子、asahi = 12-20-16)

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能力 3 割増し、イプシロンお披露目 20 日打ち上げへ

20 日に打ち上げ予定の固体燃料ロケット「イプシロン」 2 号機が 14 日、鹿児島県肝付町にある宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の内之浦宇宙空間観測所で公開された。 全長 26 メートル、重さ 95 トンの機体には、地元の伝統行事、流鏑馬(やぶさめ)の弓矢もイメージした赤い二重の矢が描かれた。 イプシロンの打ち上げは 2013 年 9 月以来約 3 年ぶり。 地球周辺の放射線帯を観測する探査衛星「エルグ」を搭載する。

イプシロンは H2A のような液体燃料ではなく、扱いやすく短時間で発射できる固体燃料を使う新型ロケット。 全長は H2A の半分ほど。 コンピューターによる自動点検の導入などでコストを削減し、打ち上げ費用は 50 億円と H2A の半分程度に抑えた。 2 号機は初号機より衛星搭載スペースを拡張。 燃料も約 1.5 倍に増やし、打ち上げ能力を 3 割増しにした。 開発費は 3 号機とあわせて 60 億円。 (小林舞子、asahi = 12-14-16)


塗装不要な「バイオプラスチック」、ロードスターも採用

三菱化学が手がける植物由来の原料を使った樹脂「バイオプラスチック」を自動車部品に採用する動きが広がっている。 石油由来の樹脂より高額だが、環境にやさしく、塗装が不要になるなどコスト面のメリットも注目されている。

マツダは、22 日に発売する小型スポーツカー「ロードスター RF」の後方の窓枠部分などの外装パネルに、バイオプラスチック「デュラビオ」を採用した。 トウモロコシの粒から抽出した糖分で化学合成し、耐熱性や透明性などが高い高機能樹脂だ。 これまで使ってきた石油由来の樹脂では両立できなかった「強度」と「色落ちしにくさ」の特性をあわせ持つという。 着色剤を混ぜて部品を成型できるので、塗装工程を省けるのが売りだ。

2014 年にスズキの軽自動車「ハスラー」の内装カラーパネルに採用されたのを皮切りに、今年 6 月には仏ルノーの新車のメーターカバーに採用。 シャープ製のスマートフォンの前面パネルにも使われた。 三菱化学の石塚博昭社長は「電子機器など他の産業にも広げていく」と話す。 年 5 千トンの生産体制を、20 年までに 2 万トンに高める計画だ。 (宮崎健、asahi = 12-17-16)


コンビニのレジ、ロボが会計 ローソンとパナソニック

ローソンとパナソニックは 12 日、コンビニエンスストアで商品の会計や袋詰めを自動化する無人レジの実用化に乗り出すと発表した。 コンビニ店員の仕事量を約 1 割減らし、来店客も会計の時間を短縮できる。 小売業で人手不足感が強まる中、両社は同様の機器の採用をほかの小売企業に幅広く呼びかける。 いち早く実用化に取り組んで実績を積み競争力も高める。

来年度、十数店舗で導入

商品が入った買い物カゴをレジに置くとすぐ合計金額が計算され、機械に現金を投入するかクレジットカードを差し込んで支払いをする。 会計が済むとカゴの下部が開き、下にセットされた買い物袋に商品が詰められる - -。 12 日、大阪府守口市の「ローソンパナソニック前店」でローソンとパナソニックが始めた無人レジ「レジロボ」の実証実験の様子を公開した。 ローソンの竹増貞信社長は「次世代型コンビニの実現に向けた取り組みの一つになる」と説明する。 2017 年度後半にまず十数店舗に導入する方向だ。 その最大のポイントは電子タグを活用する点にある。

12 日に始めた実験では、一つ一つの商品に付いているバーコードを、カゴに取り付けた読み取り機に来店客がかざす仕組みだ。 実験の最後の月となる 17 年 2 月は、縦約 2 センチメートル・横 7 センチメートルの薄い電子タグを使う。 店内の延べ 7 万点の商品に貼り付けた電子タグをレジロボ内で読み取り、素早く精算する。 バーコードのように来店客が読み取る必要がない。 おでんや鶏の空揚げなどタグを貼れない商品だけ、売り場のバーコードを手作業で読み込む。

機器の開発でパナソニックは工場の自動化技術を活用。 形や材質が異なるそれぞれの製品をまとめて袋詰めできるよう金属や樹脂の部品を細かく調整し、卵を割らない、ケーキを倒さないといったローソン側の要求に応えた。 電子タグの読み取りでは携帯電話などで培った高周波電波の制御技術を生かした。 実証実験で使い勝手を高め、ローソンは人手不足の解消と来店客の利便性向上の両方を狙う。

最大の壁は高額の電子タグ

ただ実用化にはハードルもある。 最大の壁は電子タグの価格だ。 現状では 1 枚 10 - 15 円程度とされる。 1 個 100 円のおにぎりが並ぶコンビニでは採算が合わない。 このためローソンは競合コンビニも含む小売企業に対し、同じ仕組みの採用を働きかける。 業界全体で普及させることでコストを引き下げたい考え。 企業向け事業の拡大を図るパナソニックは流通業界への販売拡大につなげる。

米アマゾン・ドット・コムは今月上旬、センサーやカメラ、人工知能 (AI) を駆使した「無人コンビニ」に参入する方針を発表、まず米国で数年内に数百店舗開く計画だ。 ローソンの竹増社長は「日本でもスマートフォン決済などが普及すれば可能性はある。 ただフレンドリーな接客も必要だ。」と無人コンビニには否定的だ。 日本にコンビニが誕生してから 40 年超。 新しいコンビニ像を模索する動きはこれからも本格化しそうだ。 (nikkei = 12-12-16)


三菱電機のエレベーター「世界最速」認定 ギネス記録

三菱電機は 9 日、中国・上海市の「上海中心大厦」(地上 632 メートル)に納入したエレベーターが、「世界最速」としてギネス世界記録に認定されたと発表した。 分速 1,230 メートル(時速 73.8 キロ)で、今年 7 月から運転を始めていた。 上海中心はオフィスや会議場、レストランなどが入る中国一高いビルで、三菱電機が 114 台のエレベーターを納入。 今回、地下 2 階から地上 119 階の展望台までの 565 メートルを 53 秒で移動するエレベーターが世界最速に認定された。 ほぼ中間の地点で 2 秒間、最高速度に達するという。

エレベーターの世界最速をめぐっては日本勢がしのぎを削っており、ギネス世界記録上のこれまでの最速は台湾・台北市にある分速 1,010 メートル(時速 60.6 キロ)のもので、東芝が 2004 年に取得。 その後、日立製作所も今年 5 月に中国・広州市で分速 1,200 メートル(時速 72 キロ)を達成したと発表していた。 上海中心にある三菱電機製のエレベーターでは今回、ほかの 2 種もギネス世界記録に認定された。 非常用エレベーター(578 メートル)が「世界最長」、2 階建ての「ダブルデッキエレベーター(分速 600 メートル)」も同種のものとして「世界最速」となった。 (清井聡、asahi = 12-9-16)


H2B ロケット打ち上げ成功、「こうのとり」搭載

国際宇宙ステーション (ISS) に物資を運ぶ無人補給船「こうのとり (HTV)」を載せた H2B ロケット6号機が 9 日午後 10 時 26 分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。 約 15 分後、HTV を高度約 290 キロで予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。 分離された HTV は 14 日未明に高度約 400 キロで ISS とドッキングする計画。

H2B の打ち上げ成功は 2009 年の初飛行から 6 回連続。 H2A とあわせると 05 年の 7 号機から 31 回連続になる。 HTV は約 5.9 トンの物資を搭載。 ISS に滞在する宇宙飛行士のための飲料水 600 リットルや食品、衣料などのほか、今回初めて、日本製のリチウムイオン電池を使った新型バッテリー 6 台が積み込まれた。 老朽化したニッケル水素電池のバッテリーと交換して ISS への電力供給を担う。 大学や企業が開発した超小型衛星 7 機と、衛星を日本実験棟「きぼう」から宇宙に放出する専用装置なども運ばれる。 (小林舞子、asahi = 12-9-16)

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H2B、9 日夜に打ち上げ こうのとり搭載

三菱重工業と宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 7 日、国際宇宙ステーションに物資を運ぶ無人補給船「こうのとり (HTV)」を搭載した H2B ロケット 6 号機の打ち上げ時刻を 9 日午後 10 時 26 分 47 秒に決めた、と発表した。 鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げる。 HTV には、ISS に滞在する宇宙飛行士のための飲料水や食品のほか、日本製のリチウムイオン電池を使った ISS 用の新型バッテリーや大学や企業が開発した超小型衛星 7 機などが積み込まれる。 (asahi = 12-7-16)


スマホも充電できる自転車用 USB 発電機がサンコーから

ペダルを漕ぐだけで発電、出力は 5V/500mA
これで自転車ナビ用スマホの電池切れも心配無用

「チェーン式自転車 USB ダイナモチャージャー」は、チェーンに取り付けて、ペダルを漕ぐだけで発電できる自転車用発電機です。 発電した電力は USB 出力でき、スマートフォンやモバイルバッテリーなどを充電可能。 走りながらスマートフォンを充電できるため、ナビ代わりのマップアプリなども電池の減りを気にすることなく、思う存分に使うことができます。

発電機本体は、後輪のチェーンを挟む形でタイヤとチェーンステーの間に取り付けることができ、チェーンの回る力を使って発電する仕組み。発電機から伸びる1.45mのケーブルの先端には、出力用のUSB タイプAコネクタが付いており、自身のスマートフォンに合わせた手持ちの充電ケーブルを接続して充電を行えます。 なお、自転車用スマホホルダーは別売となるため、ハンドルにスマートフォンを固定しながら充電したいときは、別途スマホホルダーを用意する必要があります。

本体は IPX4 の防水に対応しており、多少の雨が降っていても問題なく使えるのがポイント。 ただし、コネクタ部は「キャップを付けることで防塵・防水となる」仕様。 コネクタ部の水濡れは厳禁です。 また、本体には 1,000mAh のバッテリーを内蔵しており、発電した電力は一旦、内蔵バッテリーに保存されてから出力される仕組み。 そのため、5V/500mA という安定した出力での充電が可能となっています。

ちなみに、発電量は時速 5 - 15km の場合 100 - 300mA、時速 20 - 30km の場合 400 - 600mA、時速 30km 以上の場合 700 - 900mA になるとのこと。 一般的な自転車の平均速度が時速 15km 程度といわれているため、ゆっくり目で走っていても出力に見合った発電は十分可能です。 本体サイズは幅 97 x 高さ 135 - 190 x 奥行 60mm、重量は 250g。 なお設置スペースとして、後輪のタイヤとチェーンステーの間に縦 50 x 横 120 x 高さ 65mm 程度が必要としているため、購入前に調査しておきましょう。 (Tokoro Kei、Engadget = 12-2-16)


水使わず再生紙 = 世界初、環境に配慮 - エプソン

セイコーエプソンは 30 日、使用済みの紙を原料に、水を使わず再生紙を作る製紙機「ペーパーラボ」を 12 月から発売すると発表した。 大量の紙を使う企業や自治体にとって、紙の購入量を削減できる上、製紙工程で使う水は不要で、環境に配慮した。 水を使わない製紙機は世界初という。

エプソンは、使用済みの紙を綿状の繊維に粉砕し、水を使用せずに成形する独自技術を開発。 これにより、機密文書の内容も完全に抹消でき、情報漏れを防げる。 不要の書類を再処理工場にトラックなどで輸送する手間も省け、二酸化炭素の排出も抑制できる。 1 時間で A4 用紙を約 720 枚作れ、名刺などに使う厚紙や色付きの紙もできる。 使用済みの紙 10 枚で 7 - 8 枚の再生紙が作れる。 価格は 2,000 万円台前半を想定し、3 年後に累計で 100 億円の販売を目指す。 (jiji = 11-30-16)


新元素名は提案通り「ニホニウム」 国際機関が正式決定

新しい元素を認定する国際純正・応用化学連合 (IUPAC) は 30 日、森田浩介・九州大教授ら理化学研究所のチームが発見した 113 番元素について、チームが提案した通りの「ニホニウム」で正式決定した。 元素記号も「Nh」で確定した。

113 番元素は日本で見つけたことが認定された初めての元素で、森田教授らが提案したニホニウムという名前は「日本」にちなんだもの。 IUPAC が今年 6 月に公表し、11 月上旬まで 5 カ月間、パブリックコメントで意見を募集していた。 正式決定を受けて、森田教授は「提案したニホニウムが正式決定して大変うれしい。 基礎科学は、日々の生活や産業に直接的な恩恵を与えることはまれ。 長期的で地道な基礎科学研究への支援にあらためて感謝します。」とコメントした。 (竹石涼子、asahi = 11-30-16)


パナソニック、コントラスト 100 万 : 1 以上の産業向け IPS 液晶パネルを開発

パナソニック液晶ディスプレイは、放送機器や医療機器、車載用途などに向けて、コントラスト 100 万対 1 以上を実現する新たな IPS 液晶パネルを開発したと発表した。 従来の液晶パネルは、輝度を高めるためにバックライト光量を増やすと暗部で黒浮きが発生し、暗部を見えやすくするためにバックライトを減光すると明所の煌めきが損なわれるといった課題があった。 同開発品では、液晶の動作原理を活用した新開発の調光セルを表示セルに内蔵することで、バックライトから表示セルに入射する光の量を画素単位で制御することを可能とし、この結果、従来液晶パネル比 600 倍のコントラスト 100 万対 1 を実現した。

調光セルには、表示セルで使用される液晶材料とは光透過特性が異なる液晶材料を使用し、表示セルと調光セルはそれぞれ独立制御する構造としたことで、光漏れの抑制が実現され、細かな階調表現が可能になったとする。 また、表示セルならびに調光セルの透過率を高めつつ、高輝度バックライトを採用することで最大輝度1000cd/m2 を実現したという。 なお、同開発品は既存の第 8.5 世代 (G8.5) ラインで製造が可能だとのことで、放送、映像制作、医療、車載といった産業用途に向けて 2017 年 1 月よりサンプル出荷を開始する予定だという。 (小林行雄、MyNavi = 11-29-16)