感染者出れば関係者全員を隔離へ 五輪合宿で政府方針 東京五輪・パラリンピックの新型コロナウイルス対策について、加藤勝信官房長官は 30 日の記者会見で、外国の選手団を受け入れたホストタウンなどで選手らに感染者が出た場合、選手団の関係者全員を隔離した上で、練習などの活動を停止する方針を明らかにした。 当初の感染者以外について陰性を確認すれば活動の再開を認めるという。 会見で加藤氏は「ホストタウンなどで感染者が出た場合には選手らの全員をいったん個室に入れ、活動を停止し、濃厚接触者でないこと及び再度の検査で陰性を確認してから活動を可能にする」と話した。 ホストタウン向けに作った選手などの受け入れマニュアルを改訂し、こうした方針を盛りこむ。 関係自治体には 30 日午前に説明会を開いて伝えたという。 また、加藤氏は空港検疫で陽性者が判明した場合、空港で濃厚接触の疑いがある同行者を特定し、滞在先まで専用バスで移動させる方針も明らかにした。 政府はこれまで、空港検疫で陽性者が確認された際の対応について「ホストタウンの受け入れ責任者が、責任を持って保健所と連携し、濃厚接触者に関する調査をする(加藤氏)」などと説明。 陽性者が出たウガンダ選手団は、濃厚接触者にあたるかどうかの調査を受けないままホストタウンの大阪府泉佐野市へ移動しており、そうした政府の対応に批判が出ていた。 (asahi = 6-30-21) 入国した五輪関係者、新たな感染判明 4 カ国からの 4 人 東京五輪・パラリンピック関連で入国した関係者のうち、新型コロナウイルスの感染を確認したのは、ウガンダの 2 人のほかに、フランスやエジプトなど、4 人いたことがわかった。 内閣官房が 28 日、野党合同ヒアリングで明らかにした。 4 人は一定期間の隔離後、活動を再開している。 内閣官房によると、4 人のうちの 3 人は空港検疫で感染を確認した。 2 月 12 日にフランス人の大会関係者、4 月 28 日に水泳飛び込みのテストイベントに参加予定だったエジプト人コーチ、6 月 2 日にサッカーの国際親善試合に参加予定だったガーナ人選手の感染がわかったという。 また、空港検疫では判明しなかったが、入国後 4 日目となる 5 月 5 日の検査で、ボートの大会予選に参加予定だったスリランカ人スタッフ 1 人の感染もわかった。 4 人はいずれも無症状だったという。 濃厚接触者は、スリランカ人のケースで 2 人を確認した。 エジプトとガーナは接触者なしとされ、フランスは内閣官房として確認できていないという。 (市野塊、asahi = 6-28-21) 五輪選手にワクチン接種、拒否の動きも 副反応懸念か 7 月 23 日に開幕する東京オリンピック(五輪)で日本に来る各国・地域の選手らの間に、新型コロナウイルスのワクチン接種を拒む動きが一部に出ている。 副反応が出た場合、大会直前の調整に影響が出るのを恐れていることなどが理由とみられる。 国際オリンピック委員会 (IOC) は接種を推奨しているが、義務ではなく、最終的な判断は個人に委ねられている。 英国オリンピック委員会 (BOA) は今月上旬、大会組織委員会の橋本聖子会長あてに、可能な限りの安全対策を尽くすとの文書を出した。 ただ、24 日の英 BBC によると、英国は 1 千人以上とみられる選手団のうち 90% 超が接種を完了する見通しだが、BOA のアンディ・アンソン最高責任者が「接種を拒む人もいる」と明かし、接種するよう説得を続ける方針だと伝えた。 また、25 日付の英デイリー・メールは、ベルギーオリンピック委員会の話として、10 人ほどの選手が 2 回目の接種を受けていないと報じた。 直前の調整などへの影響を懸念する選手がいるという。 最大規模の選手団となる米オリンピック・パラリンピック委員会 (USOPC) のサラ・ハーシュランド最高経営責任者 (CEO) は 21 日、「圧倒的大多数がワクチンを受けていくことに自信がある」と強調した。 一方で、個人情報を理由に、具体的な数字は明らかにしなかった。 IOC は米製薬大手ファイザー社などから各国・地域の選手団向けにワクチンの無償提供を受けており、選手らに接種を推奨している。 バッハ会長は 5 月末、「日本の人々や全参加者の気持ちを和らげるためにも、(選手団の)ワクチン接種がとても重要な項目になる」と述べた。 IOC は、選手村に入る関係者の 8 割以上が最終的に接種を完了すると見通している。 一方で、接種は義務ではなく、未接種でも出場に差し支えはない。 クリストフ・デュビ五輪統括部長は「ワクチンを打てるぎりぎりの時期まで、すべての国内オリンピック委員会、選手に伝わるよう呼びかけていく」と説明している。 インドで確認された変異株(デルタ株)が流行する地域には、選手団全員のワクチン接種を約束する国もある。 IOC は 5 月、インドやネパール、パキスタン、バングラデシュ、モルディブ、スリランカのオリンピック委員会から 2 回接種の誓約を受けたと発表している。 8 月 24 日開幕の東京パラリンピックも、五輪と同じような状況だ。 国際パラリンピック委員会 (IPC) は 15 日現在で 8 割以上の選手が 2 回の接種を完了させて来日する見通しを打ち出している。 (ロンドン = 遠田寛生、asahi = 6-28-21) 五輪選手団の濃厚接触者、空港で特定へ 政府、方針一転 東京五輪・パラリンピック選手団の入国について、政府や大会組織委員会は、空港検疫で新型コロナ陽性者が判明した場合、濃厚接触の疑いがある同行者を速やかに空港内で特定する対応をとる方向で調整していることがわかった。 政府はこれまで、空港検疫で陽性者が確認された際の対応について「ホストタウンの受け入れ責任者が、責任を持って保健所と連携し、濃厚接触者に関する調査をする(加藤勝信官房長官)」などと説明していた。 実際、陽性者が出たウガンダ選手団は、濃厚接触者にあたるかどうかの調査を受けないままホストタウンの大阪府泉佐野市へ移動。 そうした政府の対応には批判が集まっていた。 大会関係者によると、今後は空港検疫で陽性者が判明した場合、新たに設置する担当者が搭乗中の機内の座席状況などを確認し、濃厚接触の疑いがある同行者を特定する。 特定された同行者は、新たな感染者や濃厚接触者を増やさぬよう滞在先まで専用バスで移動させる。その後、宿泊施設で隔離され、自治体の保健所が濃厚接触者かどうかを最終判断するという。 このほか、濃厚接触の疑いがある同行者を滞在予定の自治体には移動させず、組織委などが指定した宿泊施設で経過観察する案も検討されている。 7 月中旬には 1 週間で 100 を超える選手団が入国する予定だ。 官邸幹部は「これから各国の選手団がどんどん来日する。 それに合わせて対策を強化していく」と語り、近くこうした改善策を公表するという。 19 日に来日したウガンダ選手団 9 人をめぐっては、コーチ 1 人が成田空港の検疫で陽性と判明したものの、残る 8 人はそのまま合宿先の泉佐野市にバスで移動。 大阪府保健所の調査で、この 8 人のほか、同行した市職員ら 7 人の計 15 人が濃厚接触者と特定され、選手 1 人の陽性が確認された。 この対応に、組織委内からも「今回のケースで、濃厚接触者を空港検疫でどう速やかに判定するかが課題だ」などと、水際対策の改善の必要性を認める声があがっていた。 (小野太郎、野村周平、asahi = 6-26-21) ボランティア全員のワクチン確保 7 万人分、都が協力 - 東京五輪組織委 東京五輪・パラリンピック組織委員会は 26 日、組織委が募集した大会ボランティア約 7 万人全員分の新型コロナウイルスワクチンを確保できたと発表した。 東京都の協力を受け、全員に行き渡るだけの米モデルナ製ワクチンを調達した。 これまでは一部のボランティアに国際オリンピック委員会 (IOC) 提供の米ファイザー製ワクチンを接種する方針だった。 大会ボランティアのうち、日本国内に住民票がある人が接種対象。 組織委は 26 日にボランティア全員に対して接種日時などをメールで通知した。 1 回目の接種は 30 日 - 7 月 3 日、2 回目は 7 月 31 日から開始する予定。 IOC から提供されたワクチンは約 3 万 8,000 人分で、一部ボランティアや職員、国内メディアなどの大会関係者が接種を受ける。 (asahi = 6-26-21) 米紙「東京五輪に天皇から不信任票」 各国で発言報道 天皇陛下が名誉総裁を務める東京五輪・パラリンピックについて、宮内庁の西村泰彦長官が 24 日の定例会見で、陛下が新型コロナウイルスの感染状況を心配しているとし、「開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察している」と述べた。 「拝察」という奥ゆかしい日本語を用いたこの発言を、海外メディアはどう報じたのか。 米ワシントン・ポスト紙は、「東京五輪に日本の天皇から重大な不信任票」との見出しの記事で、「宮内庁長官によると、日本の天皇は東京五輪で新型コロナウイルスの感染が増加することを『懸念』しているようだ」と報道した。 同紙は西村長官が使った「拝察」という言葉には触れずに、「天皇が重大かつ物議を醸すテーマについて発言することはまれで、その意見には重みがある」と指摘する一方、「開催を決定した主催者の心境を変えるには遅すぎた」などと伝えた。 「予想外の介入」受け止めも 英ガーディアンも、「天皇、五輪中の新型コロナウイルス拡散に懸念を表明」との見出しで報道。 「天皇は『非常に心配している』と述べ、五輪に対する国民の不安感を共有された」とし、パンデミックの最中の五輪開催に関する議論において、「予想外の介入をした」などと報じた。 一方、ロイター通信は「拝察」の言葉をくみ取り、「天皇の懸念は、明確に表明されたものではなく、宮内庁長官の印象として語られた」としつつも、「五輪に関する天皇の考えを知るための貴重な洞察。 ソーシャルメディアで話題となり、多くの人が正式な発言があるのかどうか気にしている。」などと反応を交えて報じた。 「日本はこれまで、他国で壊滅的な被害をもたらしたコロナウイルスの爆発的な流行をほぼ回避してきたが、ワクチンの普及が当初は遅れており、医療システムが危機に瀕しているところもある」と指摘した。 米ブルームバーグ通信は、「宮内庁からのこの種の発言は初めて」と指摘し、「五輪は安全に開催できると繰り返し発言してきた菅首相は9月に党首選を控え、五輪に大きな問題が発生すれば、日本の首相の中で短命な人のリストに加わることになるかもしれない」との見方を伝えた。 一方、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は、西村長官の本来の発言に含まれる「拝察」という言葉は省いたうえで、「陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはない」という発言も合わせて紹介した。 また、宮内庁がこうした発言をすること自体が「珍しい」と評した。 同紙は日本の感染状況について「効果的に抑え込むことができていない」と指摘。 五輪開催に反対する人びとが都内で大会中止を求めるデモ行進を行うなど、日本国内に開催反対論があることを伝えた。 (高島曜介、北京 = 高田正幸、asahi = 6-25-21) ウガンダ選手団、新たに 1 人の陽性判明 ホテルで待機中 東京五輪出場に向け、大阪府泉佐野市で事前合宿をしているウガンダ選手団 8 人について、同市は 23 日、20 代の選手 1 人が PCR 検査の結果、新型コロナウイルスの陽性と判明したと発表した。 来日した選手団のうち、1 人は成田空港の検査で陽性と判明。 残り 8 人は貸し切りバスで同市へ移動したが、大阪府の泉佐野保健所に濃厚接触者と特定され、ホテルで待機していた。 (asahi = 6-23-21) ◇ ◇ ◇ ウガンダ選手団、PCR 検査 1 人陽性 成田空港で判明 東京五輪・パラリンピックに出場する東アフリカ・ウガンダの選手団 9 人が 19 日夕、成田空港に到着。 このうちの 1 人が、空港での新型コロナウイルスの PCR 検査で陽性だったことがわかった。 内閣官房が明らかにした。 来日した海外の五輪選手団で陽性が判明したのは初めて。 来日したのはボクシングや重量挙げ、水泳の選手とコーチら。 内閣官房によると、全員が出国前にアストラゼネカ社製のワクチンを 2 回接種。 出国 96 時間以内に 2 回の PCR 検査を受け、陰性証明書を持っていたという。 選手団は 19 日午後 6 時すぎ、一般客約 80 人が降りた後、マスク姿で 1 列になって到着ゲートに姿を見せた。 その後、空港検疫で唾液(だえき)による抗原検査を受けたが、1 人は結果が出なかったため PCR 検査を受けたところ、陽性だとわかった。 残りの選手らは 20 日未明、事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動を始めた。 選手団の来日は群馬県太田市で合宿中の豪ソフトボールに次いで 2 例目。 (asahi = 6-20-21) 選手村に発熱外来、陽性確定なら病院へ 抜き打ち検査も 東京五輪・パラリンピックで約 200 の国・地域から 1 万人を超える選手らを迎え入れる東京・晴海の選手村が 20 日、全面公開された。 コロナ禍を受けて、新たに発熱外来や検査設備が設けられ、新型コロナウイルス対応の拠点にもなる。 五輪開幕 10 日前の 7 月 13 日に開村し、パラ閉幕から 3 日後の 9 月 8 日までの 2 カ月間運用する。 居住棟は 21 棟あり、3,800 戸が 2 人部屋から 8 人部屋として使われる。 大会後は分譲マンションとなる。 プレハブ施設の「発熱外来」では、来日して空港検疫で陽性判定を受けた選手らが専用車で運ばれたうえ、隔離して PCR 検査を受ける。 選手らは入村後も自室で毎日抗原検査を行う予定で、発熱外来で陽性が確定した時は、大会組織委員会が用意した宿泊療養施設や病院への入院の調整をする。山下聡大会運営局長は「検査の不正防止がポイント。 抜き打ちで組織委が入って検査をチェックすることも考える。」と話した。 2 階建ての大食堂は五輪で 3 千席、パラで 2,400 席規模。 感染対策として、座席を間引き、アクリルの仕切り板を置いた。選手が料理に触れることなく、スタッフが給仕する。メニューは700超あり、1 日最大 4 万 5 千食を提供する。 組織委はこの日、選手村への酒の持ち込みを認める方針を公表した。 ただし、自室で一人で飲むことを求め、宴会などは禁止する。 過去大会で村内で配っていたコンドームは、帰国時に選手団を通じて約 15 万個提供する。 (前田大輔、斉藤佑介、asahi = 6-20-21) 五輪観客「最大 1 万人」で調整 政府、週明けにも判断へ 政府は東京五輪・パラリンピックの観客について、「最大で 1 万人」を入れる案で最終調整に入ることが分かった。 今後の新型コロナウイルスの感染状況次第で、「最大 5 千人」とするなどより厳しい制限とする方向。 専門家らの意見を踏まえ、週明けにも開く東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会 (IOC) などとの協議で決めたい考えだ。 複数の政府関係者が明らかにした。 政府は 17 日の対策本部で、緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」などが解除された場合の大規模なイベントの制限について対応を確認した。 これまで重点措置から外れた地域は「5 千人か収容人数の 50% の多い方」としていたが、解除から 1 カ月程度はこれに「1 万人」を上限とする経過措置を新たに加えた。 五輪の観客も、これに準じた対応とする。 東京の重点措置が一定時期までに解除されれば上限を「1 万人」とし、重点措置が適用されていれば「収容人数の 50% を上限に最大 5 千人まで」とする方向。 感染状況が悪化して緊急事態が再宣言となれば「無観客」で調整する。 これまでは大規模イベントについて、宣言の解除後は 1 カ月程度は上限を 1 万人としてきたが、重点措置は解除後の上限が定められていなかった。 このため、重点措置から外れた場合、例えば五輪の開会式会場となる新国立競技場(6 万 8 千人収容)に「50%」にあたる 3 万 4 千人の観客を入れられる計算だった。 ただ、五輪で観客を入れることに、専門家から厳しい見方も出ている。 17 日にあった政府の「基本的対処方針分科会」メンバーの釜萢(かまやち)敏・日本医師会常任理事は「プロ野球や J リーグの規模とはまったく違う。 大きな会場が東京の中でもいくつも同時に開催されて、それに対する国民の関心も非常に高い。 どういうふうに考えるか議論をしっかりすべきだ。」と述べた。 五輪の観客をめぐっては、3 月に海外からの一般観客の受け入れを断念。 組織委の橋本聖子会長は 4 月、「無観客という覚悟は持っている」と発言したが、ワクチン接種の広がりなどを背景に、政権や大会関係者に「有観客」を求める声が強まっていた。 (小野太郎、asahi = 6-17-21) 重大な違反で罰金、資格の剥奪も 五輪選手のルール公表 東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの新型コロナウイルス対策で、国際オリンピック委員会 (IOC) と大会組織委員会は 15 日、参加選手の行動ルールをまとめた「プレーブック」の第 3 版を公表した。 7 月 1 日から適用する。 重大な違反者に国外退去などの厳しい制裁を科すことや、監督者の同行やスマートフォンの全地球測位システム (GPS) による行動管理を明記した。 ただし、実効性を疑問視する声もある。 制裁は第 3 版で初めて具体的に明文化した。 重大な違反があった場合、日本の関係当局や IOC、組織委などが協議した上で、罰金、参加資格の剥奪、日本の当局による国外退去措置などを科すとしている。 それぞれの制裁対象となる違反の具体的な内容については、今後検討する。 選手らの行動については、4 月下旬に公表した第 2 版同様、範囲を宿泊施設や練習会場、試合会場に限定。 公共交通機関を使ったり、観光地や飲食店に出かけたりするのを禁じた。 そのうえで、第 2 版より行動管理策を強化。 監督者が同行するほか、スマートフォンの GPS などで立ち回り先を把握する。 また、選手村外のホテルなどを独自で手配する場合は、組織委の感染症対策のガイドラインに適合する必要があり、満たさない場合は宿泊先の変更を求める。 毎日実施する唾液の抗原定量検査は 12 時間で判定し、陽性の場合に受ける鼻の奥をぬぐう PCR 検査は 3 - 5 時間で結果が出るなどの具体的な流れを明記。 違反を防ぐため、抜き打ちでも行うことを検討する。 陽性判定や濃厚接触者の最終決定は、組織委の感染症対策センターが専門家の助言を得ながら行う。 さらに改定の可能性も プレーブックは 2 月に第 1 版を作成し、4 月に第 2 版に更新。 選手の検査の頻度を「少なくとも 4 日に 1 回」から第 2 版で「毎日」に強化するなどの改定を重ねてきた。 IOC によると、選手らは最終的に 8 割以上がワクチンを接種したうえで参加する見通し。 接種者と非接種者で扱いを分けることも検討したが、「国内での議論が追いついていない」などの理由で明文化を見送った。 ワクチン接種について組織委は「放送関係者やプレス関係者も、7 - 8 割が接種して参加する見込みだと IOC から伝えられている」としている。 組織委は当初、第 3 版を最終版とする方針だったが、変異株などの状況次第で、さらに改定する可能性があるとしている。 (前田大輔、asahi = 6-15-21) 「五輪で沈黙は責任逃れ」 英医学誌、WHO など批判 医学界で権威のある英医学雑誌ランセットが 11 日、東京五輪・パラリンピック開催の是非について、世界保健機関 (WHO) などが沈黙していることは「責任逃れ」だとする 論説 を発表した。 新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、開催のリスクや、リスクを管理する方法は、広く精査して承認を得る必要があるとし、今すぐ世界的な議論を始めるよう呼びかけた。 前回 2016 年のリオデジャネイロ五輪では、ジカウイルス感染症(ジカ熱)が問題となり、WHO が緊急委員会を開いてリスクを評価。 米疾病対策センター (CDC) も当時の長官が「大会を中止または延期する公衆衛生上の理由はない」と表明した。 だが、東京のオリパラではこうした動きは出ていない。 同誌は「五輪に向けて世界的な話し合いが必要」という題の論説で、「WHO は開催するべきか言及を避けている」と指摘。 CDC には、同誌が大会への態度を明らかにするよう何度か求めたが、応じていないことを明らかにした。 論説では、海外の参加者が帰国後に新たな流行を生み出したり、日本国内の感染状況に悪影響を及ぼしたりする可能性を挙げ、「すべての国が新型コロナのパンデミック(世界的大流行)と、大会の安全性に関心を持っている」と指摘。 だが、「国際オリンピック委員会 (IOC) と日本政府の間の議論が中心だ」と問題視した。 そして、世界的な保健機関が、開催の是非に対して沈黙しているとし、「沈黙は責任逃れ」と批判した。 (阿部彰芳、asahi = 6-12-21) 埼玉県、五輪・パラの PV を中止 「感動共有したいが」 埼玉県の大野元裕知事は 7 日の記者会見で、東京五輪・パラリンピック期間中に同県内のソニックシティ(さいたま市大宮区)と朝霞市立総合体育館で予定していたパブリックビューイング (PV) を中止すると発表した。 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ観点から判断したとしている。 大野氏は会見で、「PV で五輪の興奮と感動を共有していただきたいと考えていたが、意義と感染症のリスクを総合的に勘案し中止を決定した。 大変残念だが、主催者としての判断だ。」と述べた。 県によると、PV は 7 月 31 日 - 8 月 8 日に大宮で、8 月 28 日 - 9 月 5 日に朝霞でそれぞれ実施。 2 カ所で延べ約 1 万 1 千人の来場を想定していた。 (川野由起、asahi = 6-7-21) 米、日本への渡航「中止勧告」 警戒レベル最高に 【ワシントン = 鳳山太成】 米国務省は 24 日、日本の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国民に日本への渡航を中止するよう勧告した。 東京五輪・パラリンピックの開催予定日が 2 カ月後に迫るなか、渡航の警戒レベルを 4 段階のうち最高に引き上げた。 米疾病対策センター (CDC) が日本の感染状況を 4 段階のうち最高の「非常に高い」としたことを踏まえて判断した。 CDC は「コロナワクチンの接種を終えた旅行者でも変異株に感染し、広めるリスクがある」と指摘し、あらゆる渡航をやめるべきだと警告した。 国務省は東京五輪に言及していない。 米ブルームバーグ通信は国務省の決定に関して「五輪を開催できると国内外を納得させようと苦労している国にとって新たな打撃だ」と伝えた。 米国オリンピック・パラリンピック委員会は 24 日「(東京五輪に)安全に参加できると確信している」との声明を出した。 渡航中止勧告に法的拘束力はなく、米国から日本への渡航自体は引き続き可能だ。 CDCは、日本を訪れなければいけない場合は「渡航前にワクチン接種を完了する」よう求めた。 国務省は 2020 年 8 月、新型コロナの感染拡大で全世界一律で出していた渡航中止勧告を改め、国・地域別に渡航の警戒レベルを 4 段階で示した。 現在、大半の欧州諸国など約 150 カ国・地域を対象にレベル 4 の渡航中止を勧告している。 レベル 2 (注意)は韓国など 16 カ国、レベル 3 (渡航再検討)は英国や中国、イスラエル、オーストラリアなど約 40 カ国。 これまで日本はレベル 3 だった。 日本政府はコロナの感染が広がるなか、東京都などに出している緊急事態宣言の延長を検討している。 日本はワクチンの接種が他の先進国と比べても大幅に遅れており、感染状況や医療体制の改善が進んでいない。 バイデン政権は日本の五輪開催を支持してきた。 4 月に開いた日米首脳会談の共同声明では「開催するための首相の努力を支持する」と明記した。 (nikkei = 5-25-21) 五輪実現のため「犠牲払わなければ」 バッハ会長が発言 【ジュネーブ】 新型コロナウイルスへの懸念で中止論が高まっている東京五輪を巡り、国際オリンピック委員会 (IOC) のバッハ会長が、五輪開催を実現するために「われわれは犠牲を払わなければならない」と述べたと、インドの PTI 通信が 23 日までに報じた。 「われわれ」に日本人を含める意図があるのかは不明だが、国民感情に配慮を欠く発言として反発を招きそうだ。 22 日に開かれた国際ホッケー連盟のオンライン総会であいさつした際の発言という。 IOC は 21 日、コーツ調整委員長が緊急事態宣言下でも開催するとの意向を示し波紋を広げたばかり。 バッハ氏は、海外からの一般観客受け入れ断念を決定した 3 月にも、声明で「誰もが犠牲を払わないといけない」と強調し、日本側の判断を尊重するとしていた。 (kyodo = 5-24-21) 東京五輪の組織委、ボランティアの医師 200 人を募集 東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会が、大会期間中の競技会場で体調不良を訴えた観客らに対応する医師約 200 人を募集していたことが 3 日、分かった。 対象は日本スポーツ協会公認のスポーツドクターで、ボランティアでの活動になるため交通費分などを除いた謝礼は支払われない。 対象者に送られた要項によると、活動内容は新型コロナウイルス感染の疑いがある患者や熱中症の患者、体調不良者、負傷者への対応が想定されている。 3 日程度、もしくは 5 日以上の参加が条件で、拘束は 1 日 9 時間程度になるという。 応募の締め切りは今月 14 日となっている。 日本スポーツ協会公認のスポーツドクターになるには、医師免許取得後 4 年が経過し、スポーツ医学や栄養学などの講習・審査を受ける必要がある。 同協会のホームページによると、昨年 10 月 1 日現在でスポーツドクターの資格を持つのは 6,420 人。 要項を受けとったスポーツドクターの一人は「この時期に医師を派遣させる余裕のある病院がどれだけあるのか。 拘束期間も長いし、(200 人の募集は)厳しいのではないか。」と話す。 大会組織委員会は、日本看護協会に対し看護師 500 人の派遣も要請している。 SNS などでは、新型コロナウイルスの感染拡大で医療が逼迫する中、「募集するのが遅過ぎる」、「ボランティアで責任の重い "医療" をやらせるのはいかがなものか」などと批判の声があがっている。 (asahi = 5-3-21) ◇ ◇ ◇ 五輪への看護師派遣は可能 菅首相「医療に支障来さず」 菅義偉首相は 30 日、東京五輪・パラリンピック組織委員会が日本看護協会に依頼している大会期間中の看護師 500 人派遣について、「現在休まれている方もたくさんいると聞いている。 そうしたことは可能だ。」と述べた。 首相官邸で記者団の質問に答えた。 看護師派遣をめぐっては、新型コロナウイルス感染拡大への対応を優先すべきだとしてツイッター上などで反対論が広がっている。 首相は「そうした声があることは承知している。 支障がないように全力を尽くしていきたい。」と語り、医療提供体制に影響が出ないよう努める考えを示した。 (jiji = 4-30-21) 五輪開催のための 4 条件 「だめなら中止しかない」 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、3 回目の緊急事態宣言が東京都など 4 都府県に出る見通しになった。 世界でも変異株が猛威を振るう中で、7 月に東京五輪を開催することはできるのか。 渡航医学が専門の浜田篤郎・東京医大病院渡航者医療センター特任教授に聞いた。 (聞き手・枝松佑樹、asahi = 4-23-21) - - 単刀直入にうかがいます。 このままで東京五輪は開催できるでしょうか。
- - 2 つ目は何ですか。
- - 3 つ目は?
- - 最後の条件は何でしょう。
- - すでに海外客を入れないことは決まりました。 日本人客はどうでしょう。
- - 海外選手と日本人客の間で、しっかり距離を確保してもだめですか。
- - 他に課題はありますか。
- - 難題ばかりですが、開催は厳しいですか。
五輪海外客の受け入れを断念 小池知事「安全を最優先」 今夏の東京オリンピック・パラリンピックをめぐる政府、東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会 (IOC)、国際パラリンピック委員会 (IPC) の 5 者の代表者協議が 20 日、東京都内であり、海外在住の一般観客の受け入れ断念で最終合意した。 日本側が「安全最優先」として見送りの結論を出し、IOC、IPC が了承した。 新型コロナウイルスの感染収束が見通せず、今夏に自由な入国を保証するのは難しいと判断した。 1 年前、安倍晋三前首相が大会延期を決める際に表明した「完全な形での開催」は実現しなかった。 全体の観客数の上限は 4 月中に基本方針を出す。 複数の大会関係者によると、「50%」を軸に検討を進めるという。 5 者協議には丸川珠代五輪相、組織委の橋本聖子会長が出席し、東京都の小池百合子知事、IOC のトーマス・バッハ、IPC のアンドリュー・パーソンズの両会長はオンラインで参加した。 丸川五輪相は「国民の理解を得るために、アスリート以外の関係者縮減が不可欠」と会議で述べたと報道陣に明かした。 小池知事は終了後、「安全安心を最優先することで、大会を成功させる流れを確実にしていきたい。 やむを得ない判断だ。」と述べた。 橋本会長は来日できない観客に向け、「今の時代にふさわしい方法で人々をつなぐことができるよう具体的な仕掛けの検討も進める」と話した。 菅義偉政権は当初、海外からの観客を受け入れ、新型コロナで激減したインバウンド(訪日外国客)回復のきっかけにする考えだった。 しかし、現在は外国人の新規入国を原則認めておらず、変異株も広がるなど世論の不安も大きいことから、行動を管理できない海外の一般客を受け入れるのは水際対策として難しいとの判断に傾いた。 海外の一般客を受け入れないのは、近代五輪では初めて。 東京五輪は、世界中から集った人々が相互理解を深めて平和な社会の推進をめざす、五輪の根本思想「オリンピズム」が十分に体現されない大会となる。 また、五輪の経済効果が減ることは避けられず、菅政権はインバウンド戦略の見直しを迫られる。 全体の観客数の上限はプロ野球などスポーツイベントでの上限を参考に、政府主導で決める。 「50%」を軸に検討するが、「感染が広がれば、無観客の可能性もある」と指摘する大会関係者もいる。 組織委によると、五輪・パラリンピックの海外在住者向け一般チケットは 63 万枚で、今後、払い戻しなどの手続きに入る。 スポンサーの招待客は関係者として入国を認める可能性がある。 (asahi = 3-20-21) 東京五輪、海外一般客の受け入れ断念へ 日本側が方針 東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで、海外在住の一般客について、政府、東京都、大会組織委員会が受け入れを見送る方針を固めたことが、複数の大会関係者への取材でわかった。 一方、国際オリンピック委員会 (IOC) はスポンサー関連の招待客らが入国、観戦できるよう要望しており、日本側が検討を続けているという。 海外在住の一般客受け入れ断念については、政府、都、組織委、IOC と国際パラリンピック委員会 (IPC) を交えた 5 者の代表者協議を経て、聖火リレーが福島で始まる 25 日より前に正式表明する方向で調整している。 大会関係者によると、海外在住者向けの一般チケットは 100 万枚程度を確保済み。 菅義偉政権は東京大会で海外観客を受け入れ、新型コロナウイルスで激減したインバウンド(訪日外国客)回復のきっかけにする考えだった。 だが、現在は外国人の新規入国を原則認めておらず、変異株も広がるなど、世論の不安も大きいことなどから、断念へと傾いたという。 一方、関係者によると、IOC はスポンサー関連の招待客らについては、入国を認めるよう要望している。 日本側は IOC に、招待客らの規模などを問い合わせるなどして、対応を検討している。 IOC のマーク・アダムス広報部長は 8 日の理事会後の記者会見で「IOC が定義する『海外の観客』とは何か」との質問に、「何も決定事項はないので質問に答えるのは控えたい。 対策は幅広く、どのグループの人々には何をして何をしないのかも検討されている。」と答えた。 東京大会で観客数に上限を設けるかや、海外からの観客を受け入れるかについて、日本側は昨年末に「国主体で 2021 年春に決める」と整理。 今月 3 日の 5 者の代表者協議で、聖火リレーが始まる 3 月末までに海外観客を受け入れるかの判断を行い、4 月に観客上限を決めることを確認していた。 IOC のアダムス広報部長も記者会見で、海外からの観客について、「3 月末までには判断すると思う」と述べた。 (asahi = 3-9-21) 五輪中止の可能性に言及 「主力国の参加無理なら」 - 下村自民政調会長 自民党の下村博文政調会長は 4 日の BS11 番組で、東京五輪・パラリンピックの開催の可否について「主力国の選手が大量に来られない場合は国際オリンピック委員会 (IOC) も考えざるを得ないだろう」と述べ、中止の可能性に言及した。 下村氏はまた、政府が海外からの観客受け入れの見送りを検討していることに関し、「選択肢としてはあり得る」と指摘。 首都圏の新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえ、1 カ月程度で結論が出るとの見通しも示した。 (jiji = 3-4-21) 東京五輪、海外観客受け入れ見送り 政府調整、月内にも決定 政府は今夏の東京五輪・パラリンピックについて、海外からの観客受け入れを見送る方向で調整に入った。 国際オリンピック委員会 (IOC) などと協議の上、月内にも正式決定する。 関係者が 3 日、明らかにした。 国内の新型コロナウイルス感染拡大が続く中、海外からの観客受け入れに慎重な国内世論を考慮。 五輪を確実に開催するため、水際対策を徹底する必要性も重視した。 国内の観客受け入れについては、規模を含め引き続き検討する。 政府関係者は「現時点で無観客は想定していない」と強調した。 政府は昨年 12 月、東京五輪の新型コロナ対策に関する中間整理を公表し、海外からの観客受け入れについて、今春にも決定する方針を示していた。 これに関し、菅義偉首相は 3 日夜、記者団に「IOC、東京都、組織委員会と連携しながら、政府として手伝いたい」と述べた。 (jiji = 3-3-21) 東京五輪「中止すべき時が来た」 英紙タイムズがコラム 今夏の東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開催について、英紙タイムズは 3 日、東京支局長の写真と名前入りのコラムを掲載し、「今年の東京五輪を中止すべき時が来た」と報じた。 感染拡大を引き起こす可能性を指摘し、日本はおろか世界へと広がるリスクが大きすぎるとしている。 理由として、200 を超える国から 1 万 5 千人以上の選手や、関係者、審判らに加えて多くの観客が来日することを指摘した。 厳しい規制などでリスクを抑え込み、大会を開催できる国があるとすれば「それは日本」と認めつつも、「確証はない」としている。 タイムズの同支局長は 1 月 21 日、匿名の「連立与党幹部」の話として「日本政府は非公式ながら(東京大会を)中止せざるを得ないと結論づけた」と報じている。 日本政府は同 22 日にこの報道を否定。 IOC も「中止せざるを得ないという報道は断固として真実ではない」と声明を出した。 (ロンドン = 遠田寛生、asahi = 3-3-21) 東京五輪「日本政府、中止必要と結論」 英紙タイムズ報道、官邸は否定 【ロンドン】 英紙タイムズ(電子版)は 21 日、新型コロナウイルスの感染拡大により開催を危ぶむ声が出ている今夏の東京五輪について、日本政府は非公式ながら中止せざるを得ないと結論付け、2032 年開催を目指す方向で動いていると報じた。 夏季五輪は 24 年がパリ28 年は米ロサンゼルスに決まっている。 報道によると、与党の幹部は「誰も最初に言い出すことを望んでいないが、総意は(開催が)難し過ぎるということ。 個人的には開催されないと思う。」と述べた。 坂井学官房副長官は 22 日の記者会見で、報道について「そのような事実はない。 きっちり否定したい。」と反論。 政府高官は「大誤報だ」と批判した。 (jiji = 1-22-21) 東京五輪中止の可能性、米紙が報道 IOC でも「安全な大会開催は不可能」との声も 【ニューヨーク】 米有力紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は 15 日、新型コロナウイルスの影響で今夏の東京五輪の開催見通しが日々厳しさを増しており、第 2 次大戦後、初の五輪開催中止に追い込まれる可能性があると伝えた。 同紙は、日本と米国、欧州主要国で感染拡大が続き、国際オリンピック委員会 (IOC) らの間で、安全な五輪開催は不可能との声が出始めたと指摘。 ディック・パウンド IOC 委員(カナダ)が開催に「確信が持てない」と述べたことなどを挙げた。 現状の開催計画でも約 1 万人の選手らは、競技終了直後に選手村を離れることを求められるなど日本での行動は厳しく制限され、取材記者も東京都内での自由な移動は禁じられるだろうと指摘。 開催される場合、選手や関係者らが従来にない不自由さを強いられるとの見通しを示した。 (kyodo = 1-16-21) 前 報 (5-15-20) |