セブンアプリにペイペイ 10 月導入、双方にポイント

セブン-イレブン・ジャパンは 11 日、自社のスマートフォンアプリ「セブン-イレブンアプリ」で、ソフトバンクグループ系のキャッシュレス決済、PayPay (ペイペイ)を使えるようにすると発表した。 10 月中に導入する。 決済のときに、ペイペイとセブン双方のポイントがたまるようにする。

セブンは昨年 7 月、自社アプリに独自のキャッシュレス決済、7Pay (セブンペイ)を導入。 しかし、始めた直後から大規模な不正アクセスを受け、多くの被害が発覚。 9 月末で廃止していた。 ペイペイを導入する理由について、セブンの親会社の広報担当者は「ペイペイはバーコード決済のユーザー数が多い。 キャッシュレス決済を推進していく」と説明する。 独自の決済サービスを改めて導入する計画については「現時点ではない」と話す。 (asahi = 8-12-20)

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セブン&アイ HD 米コンビニ 3 位を 2 兆円余りで買収へ

(流通大手「セブン & アイホールディングス」は、アメリカのコンビニ業界 3 位の「スピードウェイ」を 2 兆円余りで買収すると発表しました。 スピードウェイはアメリカの石油精製会社「マラソン・ペトロリアム」のガソリンスタンド部門で、アメリカのコンビニ業界第 3 位、約 3,900 店舗を展開しています。

セブン & アイの発表によりますと、買収額は 210 億ドル、日本円で約 2 兆 2,176 億円に上ります。 国内のコンビニ市場が成熟するなか、今後、市場の伸びが期待できるアメリカでの事業を強化する狙いがあります。 この買収で、アメリカのセブン-イレブンの店舗数は約 1 万 3,000 に増えるということです。 セブン & アイは「今後、北米の市場で業界リーダーの地位を確立することになる」としています。 (ANN = 8-3-20)


カット野菜の生産 1.7 倍に 工場野菜が人気、背景は?

新型コロナウイルスの影響で家庭での内食(うちしょく)が増えたことから、カット野菜やもやしなどの工場野菜が注目されている。 野菜メーカー「サラダコスモ(岐阜県中津川市)」では、売り上げを 1.7 倍に伸ばした商品もあるという。 電子レンジで簡単に調理できて、食べきりサイズというのが人気の理由らしい。 サラダコスモの本社に併設する観光施設「ちこり村」の直売所。 カット野菜「100% 有機野菜ミックス」、「大豆イソフラボン」、「ブロッコリーの新芽」など、食べきりサイズを中心に工場野菜が冷蔵棚に並ぶ。 冬には鍋用カット野菜を扱うなど、常時、10 種類ほどを販売する。

同社総合企画室の水野由貴さんは「緊急事態宣言のときはスーパーなどからの注文で出荷が追いつかず、直売所に商品が回ってこなかった」と話す。 新型コロナの影響で食のスタイルが内食にシフトした 3 月末ごろから、工場野菜の需要が高まり、もやしは過去最高の生産量になった。 「スルフォラファンスプラウト」は 1.3 倍、お徳用サイズのカット野菜は 1.7 倍に生産量が伸びた。 全国 5 カ所の工場はフル稼働し、「ちこり村」が営業自粛していた 4 月中旬から 1 カ月間は、観光施設のスタッフが近くの工場に応援に行ったという。

工場野菜は、袋のまま電子レンジで調理できるため、包丁やフライパン、鍋などを洗う手間もなく、価格も手ごろ(税込み 1 袋 50 円 - 140 円ほど)で、食べきりサイズ(『100% 有機野菜ミックス』は 140 グラム)なので無駄が出ないことなどが、消費者の支持につながったと分析する。 また、長雨で露地野菜が高騰した時期でも価格が安定していることも支持された。 「小大豆もやしのパックにゴマ油と中華だし、ゴマを入れて電子レンジで調理すれば、ナムルが簡単にできる。 白だしとレモン汁を入れて『もやしレモン』もおすすめ」という。

袋のままのレンジ調理で即席ラーメンや焼きそばに入れて野菜不足を補う商品や、温野菜サラダになる商品もあり、内食が続いても飽きがこないのも特徴だ。 水野さんは「新型コロナの影響が続くなか、お客様が便利で簡単で安心を求めていることがわかった。 工場野菜は、『新しい生活様式』という時代のニーズに合っているのでしょう。」と話している。 (鈴木裕、asahi = 8-10-20)


吉野家・はなまるうどん・京樽 最大計 150 店を閉店へ

吉野家ホールディングス (HD) は 28 日、新型コロナウイルスの影響で売り上げが急減したため、牛丼チェーンの吉野家を中心に国内外で最大 150 店を 2021 年 2 月までに閉店する方針を明らかにした。 21 年 2 月期決算の純損益は、90 億円の赤字(前年は 7 億円の黒字)になりそうだと発表した。 国内では、全国約 2,300 店のうち、不採算の吉野家 40 店ほどや「はなまるうどん」、「京樽」など最大 100 店を閉める。 同じく打撃を受けた海外事業でも、中国の吉野家を中心に最大 50 店を閉める。

緊急事態宣言が出た 4 - 5 月は約 1 千店が休業か営業時間短縮を強いられ、吉野家は持ち帰りに力を入れて堅調だったが、商業施設への出店が多い他業態が苦戦した。 6 月以降は営業を再開する飲食店が増え、吉野家の売り上げも落ち込んだ。 21 年 2 月期の業績予想はこれまで「未定」としていた。 売上高は 1,723 億円(前年比 20.3% 減)、営業損益は 87 億円の赤字(前年は 39 億円の黒字)を見込むとした。 同日発表した 20 年 3 - 5 月期決算は純損益が 40 億円の赤字(前年同期は 10 億円の黒字)だった。

吉野家 HD は人件費の高騰などで 19 年 2 月期決算が 6 年ぶりの赤字となったが、新メニューのヒットで 20 年 2 月期に黒字回復したばかりだった。 (若井琢水、asahi = 7-28-20)


野菜生産が危機、重要な外国人実習生入国制限 米国産豚肉、輸入 6 割減で価格高騰

新型コロナウイルスのパンデミックの下、今、日本にひたひたと食糧危機が迫ってきている。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で各国において大規模な移動制限と物流混乱が起こり、食料輸出国において自国の食料確保を優先するために食料の輸出制限措置が広がっている。

その動きは 5 月 1 日現在、小麦ではウクライナ、北マケドニア、ユーラシア経済同盟、米ではベトナム、カンボジアなど 15 カ国に及んでいる。 タイでは国内の供給不足に対応するために鶏卵の輸出を禁止した。 4 月 1 日には FAO (国際連合食糧農業機関)と WHO (世界保健機関)、WTO (世界貿易機関)の事務局長が連名で、「食料品の入手可能性への懸念から輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品不足が起きかねない」と警告の声明を発表した。

また、4 月 21 日には G20 農相臨時会議が開かれ、「国際市場における食料価格の過剰な乱高下につながり、世界人口の大部分、特に食料安全保障が低い環境て゛生活している最も脆弱な人々の食料安全保障と栄養を脅かしかねない、いかなる不当な制限的措置も行われないよう注意する」との声明を採択した。

移動制限で農業労働者が確保できず

他方、各国で行われているコロナ感染防止のための移動制限が、外国人労働者に大きく依存している欧米の農業に脅威を与えている。 米国では、昨年 25 万人以上の外国人労働者が農業に従事していた。 欧州でも旧東欧諸国からの労働者が農業に従事していた。 英国では、東欧からの 7 - 8 万人の労働者が農作物の収穫などに従事していたが、移動制限で不足し、畑の作物が腐ると警告されている。

ドイツでも 10 万人の農業労働者が不足しているとされている。 イタリアでは毎年、東欧諸国などからの約 30 万人の季節労働者が農作業に従事していたが、入国できず、食料生産が危機的となっているとされている。 移動制限によって外国人労働者が農業に従事できなければ、欧米では作付けが、南半球のオーストラリアでは収穫作業が困難になりかねない。 これだけではない。 米国では食肉工場で新型コロナ感染が広がり、食肉工場が相次いで閉鎖され、食肉不足も懸念されている。 現に米国の食肉工場の閉鎖で、日本への米国産豚肉の輸入量は 60% 減少し、米国産豚肉の価格が高騰している。

日本でも 2,400 人もの外国人技能実習生が入国できず

このような動きは日本でも発生している。 現在、日本では農業の年間雇用労働者に占める外国人労働者の割合(2015 年)は、茨城県 34%、長野県 18.8%、香川県 17.8% とかなりの比率になっている。 これらの県では野菜生産が主で、茨城県ではピーマン、白菜、チンゲン菜、長野県ではレタスなどの高原野菜、香川県ではブロッコリーなどの主産地となっており、外国人技能実習生によって生産が支えられていた。 しかし、新型コロナの発生で、2,400 人もの外国人技能実習生が入国できず、産地の野菜生産に深刻な影響を与えている。

現在、コロナ禍で閉鎖していたホテルや旅館、運送関係の従業員が臨時に農業生産に従事することによって最悪の事態は避けられているが、経済が回復するにつれ、こうした方々が本業に戻ることによって、夏以降の野菜生産が立ち行かなくなることが想定されている。

さらに懸念されているのが、今年の秋から冬にかけて猛威を振るうことが恐れられているコロナの第 2 波による影響である。 まだ、ワクチン開発・製造が間に合わないなかで、第 2 波は第 1 波より感染者数も死者数も上回ると想定されている。 当然、世界の食料輸出制限措置は広がるとともに、農業労働者の確保もいっそう困難になり、食料生産は減産することになるであろう。 まさに、食料自給率 37% の日本に食糧危機が迫ってきているといえる。 (小倉正行、Business Journal = 7-26-20)


2020 年、実は日本が「世界最高の国ランキング 3 位」になっていた …!

記事コピー (6-5-20)


19 年の出生率 1.36、12 年ぶり低水準 少子化加速

厚生労働省が 5 日発表した 2019 年の人口動態統計によると、1 人の女性が生涯に生む子どもの数にあたる合計特殊出生率は 1.36 となり、前年から 0.06 ポイント下がった。 4 年連続の低下で 07 年以来 12 年ぶりの低水準になった。 生まれた子どもの数(出生数)は過去最少の 86 万 5,234 人に落ち込んだ。 少子化が政府見通しを上回るペースで加速している。 出生率は 05 年に 1.26 まで下がった後、15 年には 1.45 まで上昇していた。 16 年以降は再び低下の道をたどっている。 晩婚化や結婚しない人が増えていることの影響が大きい。 19 年に平均初婚年齢は夫が 0.1 歳、妻が 0.2 歳上がった。

国立社会保障・人口問題研究所が 17 年に示した日本人の将来人口の中位推計は、19 年の出生率を 1.42 としていた。 実績は大幅に下振れした。 出生数も右肩下がりで 19 年に初めて 90 万人を下回った。 90 万人割れは 21 年との見通しより 2 年早まった。 出生数は女性の全年代で減った。 特に 25 - 39 歳の落ち込みが大きい。 団塊ジュニア世代が 40 代後半に入り、出産期の人口自体も減っている。 19 年の死亡者数は 138 万 1,098 人と戦後最多を更新した。 死亡者数から出生数を引いた自然減は 51 万 5,864 人と過去最大になった。 (nikkei = 6-5-20)


コンビニ大手レジ袋、1 枚 3 - 5 円 7 月 1 日から有料化

セブン-イレブン・ジャパンは 4 日、7 月 1 日から全約 2 万 1 千店でレジ袋を有料化し、サイズによって 1 枚税抜き 3 - 〜5 円にすると発表した。 同日からプラスチック製レジ袋の有料化が義務づけられることに伴う対応だ。 ほかの大手のファミリーマートやローソンも 1 枚 3 円とし、マイバッグの利用を呼びかける。 セブンは 5 種類のうち、大中小と弁当用の 4 サイズを 3 円に、特大のみ 5 円にする。 収益金は地域の環境保全活動などに活用するとしている。 ファミリーマートはサイズを 7 種類から 4 種類に減らして一律 3 円にするほか、ローソンは 3 種類を一律 3 円にする。

レジ袋は 7 月 1 日から、プラごみの削減をめざしてすべての小売店を対象に有料が義務化される。 流通大手のイオングループや、ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングスなどは、4 月から前倒しして有料化している。 これ以前にも、すでに大手スーパーなどではレジ袋の有料化が広がっていたが、気軽に立ち寄るコンビニでは有料化はそぐわないなどとして、各社が無料での配布を続けていた。 (中島嘉克、asahi = 6-4-20)


夜空に届け、悪疫退散 全国 200 カ所で花火打ち上がる

全国各地で 1 日午後 8 時、一斉に花火が打ち上げられた。 新型コロナウイルスに負けないように花火で元気や希望を届けたいと、若手職人らが企画した。 観客の密集を避けるため、打ち上げ場所は事前には非公開に。 47 都道府県の約 200 カ所で、160 超の業者が参加した。

名付けて「全国一斉悪疫退散祈願 Cheer up! 花火プロジェクト」。 秋田県では、盛大な花火で有名な「大曲の花火」の会場となる雄物川河畔などで、医療従事者にエールを送る青色の花火や、虹色をイメージした花火が打ち上げられた。 東京都内では調布市の多摩川河川敷などで打ち上げられ、道行く人たちが足を止めて夜空を見上げていた。 打ち上げを手がけた「丸玉屋小勝煙火店」の小勝康平さん (38) は、「小規模だけど、終息へのシンボルになってほしい」と話した。 静岡県では浜名湖上で、大阪市では人工島の舞洲(まいしま)でそれぞれ打ち上げられた。 打ち上げの様子は各業者が撮影し、ツイッターなどにハッシュタグ「#cheeruphanabi」を付けて投稿された。

プロジェクトは、日本煙火協会の青年部に所属する 20 - 40 代の若手花火職人ら 11 人が中心となって企画。 「コロナ禍で暗い話題が多いなか、何か花火でできることはないか」と 4 月上旬からテレビ会議などで議論を重ね、全国の業者も次々と参加を表明していた。 岐阜市の長良川では風物詩の鵜飼(うかい)が行われる中、50 発の花火が夜空を彩った。 長良川では発起人の一人、村瀬煙火の村瀬功専務 (34) が「花火業界のできることを」と企画した。 (小原智恵)

大阪市此花区の人工島・舞洲では、葛城煙火(本社・同市西成区)の花火職人が色とりどりの 50 発を打ち上げた。 玉には「上を向いて歩こう」「心に健やかさと希望を」といったメッセージを記した。 新型コロナの影響で、花火大会の中止が相次ぎ、同社も大きな打撃を受けた。 古賀章広社長 (44) は「花火業者はどこも苦しいが、今回は団結することで大きな力になった。 社会に少しでも元気を届けられたらうれしい。」と話した。 (松浦祥子)

山口県下関市の関門海峡沿いでは、感染者が相次いでいる対岸の北九州市にエールを送るかのように、75 発が夜空を彩った。 紺箭(こんや)銃砲火薬(下関市)の紺箭素彦会長 (67) は「少しは癒やしになったのでは」と顔をほころばせた。 (貞松慎二郎、asahi = 6-1-20)


有事のスーパー、格差のコンビニ コロナ禍で明暗

新型コロナウイルスの感染拡大で、消費のあり方はネットの拡大と深化という「早送り」と同時に「巻き戻し」も加速したようだ。 成長が鈍化していたスーパーが有事で復権し、強いはずのコンビニエンスストアが失速。 とりわけ 4 月のコンビニの業績格差は戦略転換が欠かせないことを突きつけている。

食品スーパーは近年、成長が鈍化していた業種だ。 全国スーパーマーケット協会の統計によると既存店売上高は2020 年 1 月まで 15 カ月連続のマイナス。 食品が消費税の軽減税率の対象になっても業況は最近まで悪化していた。 だが新型コロナの感染拡大で状況は一変。 2 月は前年同月比 5.5% 増とプラスに転じ、3 月は同 7.4% 増、緊急事態宣言が出た 4 月になると 2 桁増のスーパーが目立つ。

なぜスーパーは停滞していたのか。 家族 4 - 5 人を主な対象としたビジネスモデルで、ニーズをつかみ切れていなかったからだ。 単身世帯が増える中、日常の買い物はコンビニやドラッグストアにシフト。 このため再編待ったなしとみられていたわけだ。 それが回復したのは言うまでもなく「価格」と「まとめ買い」に尽きる。

外出自粛と節約を両立するため、消費者がスーパーに戻るのは当然の流れだ。 日本のスーパーは国内 2 万 2,200 店(全国スーパーマーケット協会調べ)と「密」に立地している。 理由は売上高の 30% 強を占めている生鮮品だ。 米アマゾンが生鮮品に進出しても豊富な品をそろえるスーパーの牙城は崩せない。 地域スーパーが全国スーパーの進出を跳ね返すのも、地域密着で仕入れる生鮮品の強さに背景がある。 その力が改めて見直された。

一方のコンビニ。 外出自粛でそれなりに健闘するとみられていたが、東日本大震災以降の有事に強いというイメージは崩れた。 「近くて便利」、「あなたとコンビに」のキャッチフレーズが虚しく響いた。 苦戦した最大の理由はオフィス街での需要縮小。 東京の従業者数だけで 900 万人強で、ここでのランチ需要は計り知れない。 このため大手 3 社の 4 月の既存店売上高は軒並みマイナスを記録した。

もっとも今回の新型コロナに伴う行動変化を反映し、差が思った以上に開いた。 ファミリーマートが 14.8% 減、ローソンが 11.5% 減で、セブン-イレブン・ジャパンは 5% 減と大きくばらついたのだ。 理由は立地条件。 オフィスや駅周辺など都心部に強いファミマが最も影響を受け、首都圏の住宅地に強いセブンイレブンのダメージが少なかった。

同じく住宅地に強い北海道地盤のセイコーマートは 1% 減で踏みとどまった。 また、低価格業態も強く、100 円均一のローソンストア 100 も前年実績を超えた。 ローソンとファミマはこの結果について「セブンは品ぞろえが豊富で、スーパーの代替機能を果たしている」とみる。 セイコーマートも品ぞろえをみると同じくスーパー的な性格が強い。

さて今後だ。 「ネット」を含めて絶対的な業態は存在しないことが今回わかった。 岐阜を地盤とする大手スーパーのバローによると「今は追い風だが、それでも優れた店舗とそうでない店舗の差も広がっている」という。 スーパーでの購買頻度が増える中で顧客の視線も厳しくなり、淘汰が進む可能性がある。 しかもスーパーが得意とする生鮮でもコロナ以降は SNS (交流サイト)での生鮮品の流通が盛んになるなど、新しい変化も起きている。 移動スーパーも人気だ。 目先の需要だけをみていると再び顧客離れを起こしかねない。

コンビニも同じだ。商品力や立地戦略を見直さないと、既存店売上高はさらに減少する。 セブン & アイ・ホールディングスはセブンイレブン以外に関し、首都圏の食品小売り戦略を強化しようとグループ内の再編に踏み切った。もはやセブン頼みでは心もとないというわけだ。 新型コロナは成功パターンを疑う機会を与えてくれた。 テレワークやオンライン飲み会などライフスタイルはさらに変化するだろう。 経済活動の再開とともに消費のニューノーマルを探ることが欠かせない。 (編集委員・中村直文、nikkei = 5-17-20)


NHK、大河と朝ドラの放送休止へ 4 月から撮影できず

NHK は 15 日、現在放送中の大河ドラマ「麒麟がくる(日曜午後 8 時)」と連続テレビ小説(朝ドラ)「エール(月 - 金曜午前 8 時、土曜日は振り返り)」について、それぞれ放送を休止すると発表した。 「麒麟 …」は 6 月 14 日放送分、「エール」は同 29 日放送分からそれぞれ休止する。 NHK によると、両番組は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4 月 1 日から撮影を休止している。 3 月までに、「麒麟 …」は 6 月 7 日放送予定の第 21 話まで、「エール」は 6 月下旬の第 13 週分まで収録を終えている。 休止期間中の放送については、「現在検討中(NHK広報部)」だが、総集編や特別編、また、再放送などの番組が考えられそうだ。

放送の休止期間についても未定。 平成 23 年の東日本大震災の際には、当時放送されていた朝ドラ「てっぱん」が震災翌日の 3 月 12 日から 18 日まで放送を休止した例や、大河ドラマも選挙や災害報道などで休止された例はこれまでにもあるが、仮に長期にわたる放送休止となれば史上初とみられる。 両番組の撮影再開時期については「今後、検討を進めていく(同)」という。 今月末にも解除の見通しが出ている緊急事態宣言の状況なども踏まえつつ、模索が続くことになる。

「麒麟 …」はもともと全 44 話の放送予定でスタートした。 出演予定俳優の不祥事による降板と、代役による再撮影でスタートが 2 週間遅れたことに加え、今夏に開催予定だった東京五輪・パラリンピックの放送時期には、大河の放送がない予定だったことから、例年より少ない話数での放送となっていた。 五輪・パラ期間中で 5 週分の放送がないことが当初から予定され、その分の余裕はあるものの、コロナ禍による撮影休止、一時放送休止により、44 話全ての放送を年内に終えるのは難しい状況だ。 年内で放送を終えるのか、越年しても予定の 44 話を放送するのか、なども今後の検討課題となる。

「エール」についても同様に今後の放送分や話数への影響が懸念される。 9 月下旬に開始予定の連続テレビ小説「おちょやん」も撮影を休止しており、その開始時期と合わせて考慮されることになりそうだ。 ただ、緊急事態宣言が解除されたとしても、撮影現場の状況は厳しい。

感染拡大のリスクが高まる "3 3密" を避け、「新しい生活様式」の浸透が求められる中、多くの出演者やスタッフが一堂に会して撮影を行うため、スタジオ収録では密集や密閉といった要素を避けがたいからだ。 屋外ロケでも同様に多くの人員が必要となるため、NHK 関係者は、「緊急事態宣言の解除の行方を見つつ、感染拡大の方策について、どのような形が見いだせるか」と厳しい表情で話す。 安全な撮影にはどのような対策が必要となってくるか、番組をまたいだ指針が必要とされる。 その内容と関連して、放送の休止期間や放送再開時期が見えてくることになりそうだ。 (sankei = 5-15-20)


東京五輪の追加費用、IOC が 700 億円負担の意向 … バッハ会長「責任を果たす」

【ジュネーブ = 杉野謙太郎】 国際オリンピック委員会 (IOC) のトーマス・バッハ会長は 14 日、新型コロナウイルスの感染拡大で 1 年延期された東京五輪に、追加で 6 億 5,000 万ドル(約 700 億円)を負担することをテレビ会議による理事会で決めたと明らかにした。 このほか、1 億 5,000 万ドルを国際競技連盟や各国・地域のオリンピック委員会の支援に充てるとし、感染拡大への対策で計 8 億ドル(約 860 億円)の支援になると説明している。

バッハ氏は記者会見で、新型コロナウイルスによる五輪運動への経済的な影響は未確定だとしつつ、「IOC 側の責任を果たす」と述べた。 五輪開催に向けたワクチンの必要性については、「大会までまだ 1 年 2 か月あり、いかなる結論を出すにも早すぎる」と話した。 IOC と東京大会組織委は、大会延期で生じる数千億円規模の追加費用の負担について協議しており、組織委は開閉会式の簡素化などの経費節減策を検討している。 新型コロナウイルスの感染拡大という前例のない事態を受け、組織委は IOC 側に応分の負担を求めている。 (yomiuri = 5-15-20)

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延期の東京五輪、来年 7 月 23 日開幕へ 当初の日程維持

来年に延期になった東京オリンピック(五輪)が、来年 7 月 23 日開幕で決定する見通しとなった。 大会関係者への取材でわかった。 「7 月第 4 週の金曜日から 17 日間」という当初の競技日程がそのまま維持されることになる。

国際オリンピック委員会 (IOC) と組織委は今月 24 日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、今年 7 月 24 日に開幕予定だった東京五輪を延期し、「2021 年夏までに開く」との声明を発表。 IOC のバッハ会長は 25 日の電話記者会見で、開催時期は「夏に限定していない。 (21 年ならば)全ての選択肢が交渉のテーブルの上にある。 幅広い視点で検討できる。」と春開幕も選択肢にあることを明かした。 一方、組織委内には、準備期間が確保できることなどから夏開催を望む声が多かった。 (asahi = 3-30-20)

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「蚊帳の外」回避 安倍首相から IOC に延期提案

「完全な形」の東京オリンピック(五輪)が、1 年後に延期された。 安倍晋三首相は 24 日夜、延期検討に入った国際オリンピック委員会 (IOC) のトーマス・バッハ会長と電話で会談。 新型コロナウイルス感染拡大で年内開催を見送り、来年夏までの実施を目指すことを決めた。 五輪が延期されるのは 124 年の歴史で初めて。 26 日にスタートを予定していた聖火リレーも中止となるが、大会名「TOKYO 2020」は変更せず、大会規模や参加人数、チケット、ボランティアなど大枠を変えないで開催を目指す。 (日刊スポーツ = 3-25-20)

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五輪チケット、規約上払い戻しは不可 コロナで中止なら

新型コロナウイルスの感染拡大を理由に東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが中止となった場合、大会組織委員会が定める観戦チケットの購入・利用規約上、払い戻しはできない見通しになっていることが 18 日、大会関係者への取材でわかった。 組織委は規約で「当法人が東京 2020 チケット規約に定められた義務を履行できなかった場合に、その原因が不可抗力による場合には、当法人はその不履行について責任を負いません」と明記している。

そして、「不可抗力」について、「天災、戦争、暴動、反乱、内乱、テロ、火災、爆発、洪水、盗難、害意による損害、ストライキ、立入制限、天候、第三者による差止行為、国防、公衆衛生に関わる緊急事態、国または地方公共団体の行為または規制など、当法人のコントロールの及ばないあらゆる原因をいいます」と定めている。 大会関係者によると、新型コロナウイルスが原因で中止となった場合、この規約の「公衆衛生に関わる緊急事態」にあてはまるという。

組織委はこれまでに五輪は合計 508 万枚(学校連携観戦チケットの 60 万枚を含む)、パラリンピックは合計 165 万枚(同 68 万枚を含む)のチケットを販売している。 五輪は開会式 A 席の 30 万円が最高金額で、競技の最高額は陸上競技 A 席の 13 万円。 最新の予算では、チケット収入は約 900 億円を見込んでいる。 チケットの購入・利用規約 は組織委サイトから確認できる。 (前田大輔、asahi = 3-18-20)

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東京五輪「延期するのがいい」 63% 朝日新聞世論調査

朝日新聞社は 14、15 日に全国世論調査(電話)を実施した。 東京五輪・パラリンピックをどうするのがよいかを 3 択で聞くと、「延期する」が最も多く 63% で、「予定通り開催する」 23%、「中止する」 9% の順だった。 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京五輪の延期論が国内外で広がっている。 東京都民も 67% が「延期」と答え、「予定通り」は 21% だった。 安倍内閣の支持率は 41% (前回 2 月調査は 39%)、不支持率は 38% (同 40%)だった。 新型コロナウイルスをめぐるこれまでの政府対応については、「評価する」、「評価しない」ともに 41% と割れた。 「評価する」は前回 2 月調査の 34% と比べると高くなった。

安倍晋三首相が全国の小中高校などの休校を要請したことは 60% が「評価する」と答え、「評価しない」は 30% だった。一方、マスク不足に対する政府の取り組みは「十分ではない」が 67% で、「十分だ」は 21% にとどまった。 政府が 3 月に入って中国と韓国両国全域からの入国制限を始めたタイミングについては「適切ではない」 64% が、「適切だ」 26% を大きく上回った。

感染拡大による家計への不安も聞いた。 自分の生活が苦しくなる不安を「感じる」は 46%、「感じない」は 52% だった。 不安を感じているのは、男性の 42% に対し、女性が 49% と高め。年代別では、30 代の 54%、40 代の 49%、50代の 51% と中堅層で高めだった。 職業別では自営業者層の 55%、製造・サービス従事者層の 53% が、生活苦の不安を「感じる」と答えた。

選抜高校野球の中止など、スポーツイベントの中止や延期の対応は、78% が「適切だ」と答えた。 「適切ではない」は 15% だった。 外出の自粛やイベントの中止などで「ストレスを感じる」は 33%。 「それほどでもない」の 65% の方が多かった。 東京、大阪では、ともに「感じる」が 41% と高く、人口が密集する大都市部の方がよりストレスを感じているようだ。 (asahi = 3-16-20)


「通勤続く限り、8 割減無理」 専門家会議がデータ公開

政府の専門家会議が 1 日にまとめた提言では、厚労省のクラスター対策班が分析している「接触頻度」のデータが示された。 政府目標の「接触機会の 8 割削減」の達成度がわかる指標として位置づけられた。 クラスター対策班で分析の中心となる西浦博・北大教授は会見で「80% の達成はできた所とできなかった所がまだらだった」と述べた。 政府はこれまで、NTT ドコモなどから提供された携帯電話端末の位置情報の集計を活用し、駅周辺などでの人出の減少率を公表してきた。 今回新たに、同時刻に同じ区域にいた端末の数をもとにした接触の度合いを加味し、計算式に基づいて接触頻度を算出した。

接触頻度を感染拡大前の 1 月 17 日と 4 月 24 日(ともに金曜日)を比べると、東京・丸の内周辺では、昼間は 69% と政府目標に満たなかったが、夕方から夜間にかけては 81% で達成していた。 渋谷駅周辺では昼間は 49%、夕刻から夜間にかけては 62% と、丸の内に比べて減少幅は小さかった。 渋谷駅を年齢別にみると、10 歳代と 20 歳代は 80% を超えたが 30 歳代以上では満たなかった。 大阪市の難波駅周辺でも同様の傾向が見られた。提言は、若者の減少は休校、30 歳代以上はリモートワーク(遠隔勤務)の進み方の影響を受けたものとしている。

また、端末所有者の居住地域別では、神奈川・千葉・埼玉の 3 県と、東京都との間の接触頻度の減少率は昼間、35 - 41% と小さかった。 大阪を中心とする関西圏でも同様の傾向がみられた。 これは東京と大阪のオフィス街への他府県からの移動を反映しているとみられ、提言は「都心等への通勤を続ける限り、生産年齢人口の接触頻度の減少度合いは少ない」と結論した。 西浦教授は会見で、「都心との通勤を続ける限りは、(強制ではなく)自粛要請のレベルでは限界があることがデータからわかった」などと述べた。

専門家会議では今後、こうしたデータをもとに緊急事態宣言の地域ごとの扱いについて議論するという。 携帯電話やスマホなど、携帯端末の位置情報を利用した大規模な疫学調査は、新しい手法だ。 保健所の職員が質問によって情報を集める従来のやり方を補う手法といえ、新型コロナ感染でも中国・武漢での都市ロックダウンの効果の分析に活用した事例などが論文で公表されている。

ただし、今回分析に使った位置情報の精度は 500 メートルと粗いうえ、通勤などの移動者だけでなくそこに住み外出を自粛している人の端末もカウントしてしまうといった課題がある。 西浦教授によると、別途インターネットを通じたアンケートによる接触率調査も進行中で、近く結果をまとめるという。 今回の専門家会議の分析結果の詳細は ウェブサイト で公開されている。 (嘉幡久敬、asahi = 5-1-20)

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オフィス街の人出、5 - 6 割減 政府の目標に届かず

平日の 13 - 17 日の昼間に東京や大阪のオフィス街にいた人の数が、新型コロナウイルスの感染拡大前の 2 月前半と比べ、5 - 6 割減ったことが NTT ドコモのデータでわかった。 政府は 11 日、東京など 7 都府県で出勤者を最低 7 割減らすよう要請したが、減少が 2 割台にとどまる地域もあり、目標達成のハードルは高い。 携帯電話の位置情報をもとに特定の範囲内にいる人の数を推計するドコモのデータを、朝日新聞が取材のために提供を受けて集計した。 最初に緊急事態宣言が出た 7 都府県を対象に、出勤 7 割減の要請後の都市部 20 地区の人出の減り具合を調べた。

大企業のオフィスが多い東京・銀座や丸の内周辺では減少率が高く、中小企業よりテレワークを積極的に導入していることなどが関係しているとみられる。 官公庁が集中する霞が関周辺では 56.3% 減。 各省庁もテレワークに取り組むが、コロナ対策や国会対応などで出勤を避けられない事情もありそうだ。 一方、埼玉や千葉など近郊では減少率が低い傾向となった。 関西や福岡でも地域によって濃淡がみられるが、総じて東京よりも減少率は低かった。 実際に出勤して働く人が都心より多いとみられ、地域ごとに企業の対応にはばらつきがありそうだ。 (井上亮、asahi = 4-18-20)

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「活動止めない限り …」 出社 7 割減の要請に苦しむ企業

「職場への出勤者を最低 7 割削減してほしい。」 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、11 日に安倍晋三首相が打ち出した要請に対し、緊急事態宣言の対象となった 7 都府県の企業からは戸惑いの声が上がっている。 すでにテレワーク(在宅勤務)を導入している大企業は多いが、実効性を高めるには課題も多い。 資金力のない中小企業は、さらに難しい状況だ。 ゲーム大手のカプコンは 13 日、約 2,800 人の社員のうちの 7 割以上を占める開発部門のほぼ全ての社員を在宅勤務にした。 「初めてのことで手探りだが、状況は予断を許さない。 できる範囲で仕事を進めていくしかない。(広報)」

産業機械大手の安川電機も 13 日から在宅勤務を強化した。 オフィス出勤者の在宅勤務の割合をこれまでの約 2 割から約 5 割に引き上げた。 東京や大阪など営業職が中心の拠点では 8 割以上が在宅になるという。 今夏の予定だった東京五輪・パラリンピック期間中の混雑緩和を目的に、国はテレワーク推進の旗を振ってきた。 国内約 8 万人のうち約 6 万人が在宅勤務できる NEC のように、3 年ほど前から準備した五輪向け対策が奏功したケースもある。 酒類大手のキリンホールディングス (HD) では本社勤務の社員らを「出社禁止」にするなど、一歩踏み込んだ対応を取る企業も増えている。 (asahi = 4-13-20)

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<新型コロナ> 在宅勤務は 12% 環境整備できず 実施の 72% 「資料確認、連絡に問題」

新型コロナウイルス感染防止策として 2 - 3 月上旬、通勤せず自宅で仕事した人は 12.6% にとどまったことが国土交通省の抽出調査で分かった。

企業側の規則づくりや環境整備が追いついていないとみられる。 在宅勤務した人の 72.2% は資料の確認、取引先や同僚らとの連絡などに問題があったと答えた。 在宅勤務を含むテレワークは働き方改革、東京五輪・パラリンピックの混雑対策にも有効とされる。 3 月下旬以降の相次ぐ外出自粛要請を受け、テレワークを始めた企業もある。 高市早苗総務相は 3 日の記者会見で「多様な人材の確保、山間部や離島での雇用機会の創出」をメリットに挙げ、企業や自治体への支援を強化する方針を示した。

調査は 3 月 9 - 10 日、ウェブ上で過去 1 カ月の在宅勤務の有無を尋ね、企業や官公庁で働く社員、パート、アルバイトら 4,532 人が回答。 90.0% は新型コロナに対応した政府のテレワーク呼び掛けを知っていた。 実際に在宅勤務した人のうち「元々実施していた」は 2.9%、「コロナ対策の一環であらためて実施」は 4.5%、「対策の一環で初めて実施」は 5.2% だった。 全体の 15.6% は「したかったができなかった」、71.9% は「するつもりがなかった」とした。

国交省は、勤務時間の計算や通信費の負担など、テレワークのルールがない企業ではやりにくいと分析。 家庭の通信環境ではデータ流出の恐れもあり、二の足を踏む企業が多いとみられる。 一方、在宅勤務した人が挙げた問題点は「閲覧・参照できない資料があった (26.8%)」が最多。 同僚・上司、営業・取引先との連絡・意思疎通に苦労した人もいた。 国交省担当者は「企業はペーパーレス化など社外で働ける環境整備を進めてほしい」としている。 (東京新聞 = 4-6-20)


コロナで相次ぐホテルの休業 軽症者への部屋提供も拡大

新型コロナウイルスの感染拡大で政府が緊急事態宣言を出し、対象となった東京などでは営業の休止を要請する対象施設を公表した。 東京の場合、基本的に休業を求める施設として、バーやカラオケなどの遊興施設やボウリング場などの運動・遊技施設を挙げている。 ホテルはこれには含まれないが、一時休業の動きが相次ぐ。 なぜなのか。

東急ホテルズは、渋谷エクセルホテル東急など東京や大阪などにある計 15 施設を臨時休業した。 営業再開は 5 月以降の予定で、それまでは周辺の営業中のホテルの利用を促す。 従業員の一部は休業扱いになる見通しで、雇用調整助成金を申請する。 JR 新浦安駅に直結する浦安ブライトンホテル東京ベイ(千葉県浦安市)は 5 月中旬まで休業する。 緊急事態宣言で千葉県が外出の自粛要請を出したためで、従業員は「出社せず自宅待機になる。(同社)」

プリンスホテルは東京、神奈川などの 6 施設を 3 月末から順次休業しており、同じ地域にあるホテルに営業を集約した。 ドーミーインは札幌や東京、大阪などの 8 施設を 4 月 3 日から 6 月末まで休業。 休業したホテルで働いていた従業員は「休業していない事業所で勤務している」という(同)。 各社がホテルを一時休業するのは、従業員への感染を防ぐ意味もある。 東京などで感染者が急増するなか、通勤時の感染リスクは無視できない。 加えて利用者が急減し、コストをかけて営業の継続することが難しくなっていることも大きい。

ホテル業界は今夏の東京五輪に伴う訪日客の一段の増加を見越して新設や改装ラッシュが続いていた。 不動産サービスの CBRE によると、東京のホテルの客室数は 2016 年に約 9.6 万室だったが、18 年には約 11.9 万室に増え、21 年は 15 万室近くまで増える見通しだ。 CBRE は「休業が増えているのは、明確にコロナの影響による需要の急激な減少によるもの。 この状況が解消されれば、需要は早いタイミングで戻る(ホテル部門責任者の土屋潔氏)」とみる。

ただ、コロナ問題の収束はまだ見えず、収束後の景気低迷も懸念される。 ビジネスホテルなどが加盟する全日本シティホテル連盟は「影響は一時的だとしても、問題が収束してから需要が回復するまで時間がかかる。 長引けば長引くほど(業況は)悪くなる。」と警戒する。 ホテルの空き部屋を感染対策に活用する例も出ている。 政府や自治体の要請を受け、アパホテルや東横インは軽症の感染者の受け入れを表明。 アパグループによると、首都圏、大阪、名古屋で計 5 千部屋ほどを提供できる見込みだという。 東横インは東京や千葉などの 5 施設を受け入れ施設として提供し、今後も「条件が整えば可能なかぎり対応する(広報)」という。

感染者の入院が急増して病床が足りなくなる「医療崩壊」を防ぐため、自治体は軽症者を受け入れる施設の確保を急いでいる。 こうした状況に対応し、楽天トラベルは登録する宿泊施設に軽症者の受け入れについての意向を聴いたところ、10 日昼時点で全国 800 施設、10 万室超が協力の意向を示したという。 同社は行政担当者への宿泊施設の紹介も始めた。 「今は旅行商品の販売促進は我慢している。 感染者を減らす協力をしたい。(担当者)」という。 (南日慶子、高橋尚之、asahi = 4-13-20)