LINE ヤフーの資本見直し当面断念 韓国・ネイバーの出資継続へ

LINE アプリの利用者情報の流出問題をめぐり、LINE ヤフーの資本関係の早期見直しを、大株主のソフトバンクが断念したことが 16 日わかった。 総務省が求めていたが、韓国国内の世論の反発をうけて、韓国 IT 大手ネイバーと折半での出資を当面継続する。 ソフトバンク関係者が明らかにした。 総務省の行政指導に対し、韓国の野党の一部やネイバーの労働組合が反発。 ネイバーとの協議を続けてきたが、「今は動けない(関係者)」という。 一方で、将来的には LINE ヤフーを「国産のプラットフォーム」にしていくため、株の買い増しを中長期で目指していく方針は変わらないとした。 LINE ヤフーは 1 日、再発防止策の進捗をまとめた 2 度目の報告書を総務省に提出。 2026 年 3 月末までにネイバー側とシステムを完全分離することを盛り込んだ。

ネイバー側への業務委託の終了に向けた具体的な計画が策定され、システムの分離は一部前倒しもできているとして、総務省は「評価できる(松本剛明総務相)」と判断。 「資本的な関係の見直し自体が目的ではない」とし、これ以上は強く要請しない方針を示している。 政府内には、LINE ヤフーをめぐる問題が日韓関係の新たな火だねになることを警戒する声もある。 政府関係者は「岸田政権として、せっかく良好になった日韓関係の悪化を防がなければならない」と語り、見直し議論の沈静化の背景に外交的な配慮が働いたとみる。

LINE ヤフーは昨年、ネットワークでつながる業務委託先のネイバー子会社を介して不正アクセスに遭い、利用者情報など 50 万件超を流出させた。 総務省は、業務委託先が大株主の子会社という「資本的な支配関係」が、不十分な安全管理を生んだと指摘。 資本関係の見直し検討を求めていた。 (奈良部健、asahi = 7-16-24)

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LINE ヤフー、ネイバー側とのシステム分離を前倒し 個情委に報告

LINE アプリの利用者情報などが流出した問題で、LINE ヤフーはシステムを大株主の韓国 IT 大手ネイバー側と完全分離する時期を、予定していた 2026 年 12 月末から 9 カ月前倒しする。  28 日、個人情報保護委員会に報告した。 LINE ヤフーは昨年、ネットワークでつながる業務委託先のネイバー子会社を介して不正アクセスに遭い、LINE の利用者情報や従業員情報など 50 万件超を流出させた。 個情委は今年 3 月、情報管理体制に不備があったとして、同社に是正勧告を出し、報告を求めていた。 不正アクセス発生時、ネイバー子会社が旧 LINE 社の社内ネットワークに広くアクセス可能になっていた。

LINE ヤフーは再発防止策として、システムを 26 年 3 月末までにネイバー側と分離する。  同社広報は「国内外の子会社を別のシステムにそれぞれ移行することにしたため、並行して作業を進めることでスケジュールを前倒しできた」とする。 ネイバー側への業務委託は、国内事業では全て終了するとしているが、時期は未定。 LINE ヤフーは総務省からも 2 度の行政指導を受けており、7 月 1 日に同様の内容を総務省に報告する。 総務省が求める資本関係の見直し検討については、中間持ち株会社に折半出資するソフトバンクとネイバーの間で協議が続く見通し。 (村井七緒子、asahi = 6-28-24)

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LINE ヤフー出資見直し「円満解決期待」 日韓経済人会議で韓国側

日韓の企業関係者らが経済連携の拡大などを話し合う「日韓経済人会議」が 14、15 の両日、東京都内で開かれ、約 220 人が参加した。 日韓関係の改善を評価し、両国にまたがるサプライチェーン(供給網)の構築で協力することなどを盛り込んだ共同声明を採択した。 共同声明では、半導体やディスプレー、水素、DX (デジタル化)、GX X(脱炭素化)といった新産業分野の発展や、スタートアップの育成などについて、日韓が連携して取り組むことを確認した。

閉会後の記者会見では、LINE の利用者情報流出を受け、日本の総務省が運営会社の LINE ヤフーに、大株主の韓国 IT 大手ネイバーとの資本関係の見直しを求めていることについて、金ユン(金へんに允)・韓日経済協会会長(三養ホールディングス会長)は「韓国企業が日本に投資して成功してきたことなので、事態が円満に解決されることを期待したい」と話した。

日韓の首脳が互いの国を訪問する「シャトル外交」が再開するなど関係改善が進んだことについて、佐々木幹夫・日韓経済協会会長(元三菱商事会長)は「日韓の経済人は大いに歓迎している」と評価した。 金氏も「日韓の良い関係が続き、安定した基盤の上で自由な経済活動ができるよう、日韓両政府のさらなる対話を期待したい」と述べた。 日韓経済人会議は 1969 年から毎年、日韓で交互に開かれており、今回で 56 回目。 コロナ下の 3 年間はオンライン開催だったため、東京での対面開催は 6 年ぶりとなった。 (木村裕明、asahi = 5-15-24)

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異例、LINE ヤフー再び行政指導 総務省、再発防止策不十分と判断 情報流出めぐり

LINE アプリの利用者情報などが流出した問題で、総務省は 16 日、運営する LINE ヤフーに異例となる 2 回目の行政指導をした。 同社が提出していた再発防止策を不十分と判断。 大株主の韓国 IT 大手ネイバーとの資本関係の見直しの検討加速化などが必要として、7 月 1日までの報告を求めた。 今回の指導では、ネイバー側と共通化していたネットワークの分離の明確な計画策定・実施や可能な限りの前倒しのほか、委託関係の縮小・終了に関する具体的な計画策定と報告なども新たに求めた。

LINE ヤフーは、ネットワークでつながるネイバー子会社を介した不正アクセスで、LINE の利用者や従業員の情報など 50 万件超を流出させた。 総務省は先月 5 日、業務委託先であるネイバー子会社が旧 LINE 社の社内ネットワークに広くアクセス可能だったことが流出の要因だとして、LINE ヤフーを行政指導。 ネイバーへの強い依存関係が背景にあると判断し、資本関係の見直しを含む安全管理の強化を求めていた。

これを受けて今月 1 日、LINE ヤフーは大株主のソフトバンクとネイバーに資本関係の見直しを要請したことや、ネットワークの分離などについて報告したが、総務省は不十分と判断。 16 日の閣議後会見で松本剛明総務相は「完全分離が 2 年以上先であり、セキュリティーガバナンスの見直しの具体策が示されていないなどの点が不十分だった」と指摘した。 (黒田健朗、asahi = 4-17-24)

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LINE 新規約、不同意の場合は「12 月にかけて」アプリ利用停止も

10 月に合併した LINE ヤフーは 7 日、新たなプライバシーポリシーへの同意がない場合、LINE アプリの継続利用ができないようにするなどの対応を、12 月までに始める方針を明らかにした。 現在は同意を先送りできる設定だが、出沢剛社長は同日の記者会見で、「11 月後半から 12 月にかけて(新たな対応を)想定している」と説明した。

同社は「10 月中は同意を留保いただくことが可能ですが、11 月以降は順次サービスの利用に当たり、同意が必要となります」と説明してきた。 LINE アプリにポップアップ画面を表示するなどして利用者に同意を求めてきたが、これまでは「後で」を選ぶことも可能だった。 一部の利用者の間では、今月 1 日時点で同意しないと利用継続ができなくなるとの臆測も広がっていた。

LINE と ヤフーは親会社 Z ホールディングスと 10 月 1 日に合併し、プライバシーポリシーも一本化した。 利用者が LINE とヤフーにそれぞれ登録した電話番号やメールアドレス、端末情報などをもとに同一人物と推定し、データをひもづけて利用できるようにする。これまで LINE とヤフーが別々に持っていたデータを連携させることで、興味などに応じた広告を出しやすくして効果を高める狙いだ。

利用者数は LINE が 9,500 万人、ヤフーは 5,498 万人。 新たなポリシーに同意した利用者数は明らかにしていない。 一方、両サービスの情報を利用者が自ら結びつける「アカウント連携」は、1,948 万人が同意したという。 (渡辺淳基、asahi = 11-7-23)

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経営統合 2 年半、「LINE ヤフー」発足 個人情報取り扱いを変更

国内有数のインターネット企業の LINE とヤフーが 10 月 1 日に合併し、新会社「LINE ヤフー」が発足する。 持ち株会社の下で経営統合してから 2 年半。 国内で突出する存在となった「和製プラットフォーマー」は合併でさらなる成長を描けるのか。 新会社「LINE ヤフー」は LINE、ヤフー両社の親会社 Z ホールディングス (ZHD) など 5 社が合併して誕生。 ソフトバンクと韓国 IT 大手ネイバーが折半出資する。 社長は LINE 出身の出沢剛 ZHD 社長が務める。

合併後も、「LINE」アプリや、ニュースやショッピングの「ヤフージャパン」といった各サービスは現状のまま継続する。 1 日から変わるのは、利用者の個人情報の取り扱いだ。 LINE ヤフーは、利用者が LINE とヤフーにそれぞれ登録した電話番号やメールアドレスなどをもとに同一人物と推定し、データをひもづけて利用する。 これまで LINE とヤフーが別々に持っていたデータを連携させることで、興味などに応じた広告を出しやすくして相乗効果を高める狙い。 新しい規約に同意しないと、11 月以降は LINE アプリやヤフーメールなどの利用継続ができなくなるという。

アカウント連携で特典

さらに、両サービスの情報を利用者が自ら結びつける「アカウント連携」に対して特典をつける会員サービスを 11 月から始める。 こうした特典でアカウント連携を促したい考え。 2024 年度中にはさらに PayPay とのアカウント連携も始める予定だ。 将来的には、LINE とヤフーのアカウントを完全に一つにする「ID 統合」も検討している。

LINE シフトで描く成長 求められるデータの保護と利活用

売上高ではヤフーが LINE を上回る。 一方で、新社名で LINE を先においた点や、LINE 出身の出沢氏を社長に据えた人事からは、「LINE シフト」がうかがえる。 背景には、「LINE の将来性に対する期待がある。(社内関係者)」 無料のサービスを展開する両社の主な収益源は広告だ。 だが、急成長してきたインターネット広告市場の伸びには陰りもみえる。 コロナ禍の巣ごもり需要もあって21 年度に前年度比 20% を超えたインターネット広告市場の伸びは低調となり、22 年度に同 3% を下回った。 ヤフーと LINE を合わせた広告収入も、22 年度は 5,914 億円で前年度比 1.7% 増にとどまった。 そのなかで好調だったのが LINE の「アカウント広告」だ。 企業がメッセージの形で個人とやりとりできるため効果が高く、売上高は前年比 18.3% も増えた。

UBS 証券アナリストの福山健司氏はヤフーとの合併により、LINE の広告収入は更なる伸びが期待できると指摘。 「LINE の広告単価はまだ低い。 ヤフーのデータと連携することで、(個人の興味や関心に応じて効果的な広告を出す)ターゲティングの精度を上げて、単価を引き上げることができる。」と話す。 また、LINE からヤフーショッピングに送客するといった効果も期待できるという。 ただ、そこにはサービスやアカウントの連携が欠かせない。

ZHD の傘下に LINE とヤフーが入る形で経営統合したのが 21 年 3 月。 当時、米中の巨大 IT に対抗する「第三極」を目指した統合だったが、アカウント連携や経営資源の効率化が進まず、期待した相乗効果は得られなかった。 福山氏は今回の合併を「時間がかかりすぎたが、やっとスタートラインに立てた」とみる。 順調とはいえない背景には、統合直後に発覚した LINE の個人情報管理の問題がある。

利用者への説明が不十分なまま、個人情報が中国の関連企業からアクセスできる状態になっていたり、画像などのデータが韓国のサーバーに保管されていたりした。 この問題の発覚でガバナンス体制の強化を迫られ、両社の連携の動きは滞った。 今年 8 月にはヤフーも、利用者情報を韓国のネイバーに提供していたとして、総務省から行政指導を受けている。 生活に欠かせないサービスを提供する企業として社会的な責任が増すなか、利用者のデータの保護と利活用を両立させていくことが今後の課題となる。 (渡辺淳基、村井七緒子、asahi = 9-30-23)


ソフトバンク G、3 期連続の赤字決算 「攻めることできた」

ソフトバンクグループ (SBG) が 13 日発表した 2024 年 3 月期決算(国際会計基準)は、最終的なもうけを示す純損益が 2,276 億円の赤字となった。 2 年前に過去最大となる 1 兆 7,080 億円の赤字となって以降、赤字は 3 期連続。 これまで足を引っ張ってきた投資事業が、世界的な株高を受けて好調で、赤字幅は縮小した。 「守りをしっかり固めつつ、攻めることができた。」 13 日の決算会見で、後藤芳光・最高財務責任者 (CFO) は実績を振り返ってこう述べた。

控えていた新規投資も、昨年から再開。 赤字の元凶だった傘下の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の事業は、7,243 億円の黒字となった。 前年同期の 5 兆 2,794 億円の赤字から大幅に改善した。 ウクライナ侵攻や急激なインフレなどで世界的に株式市況が落ち込んだ 2 年前と比べ、世界的に株価は持ち直してきている。

投資先のスタートアップ企業の株価が上昇したことが業績を押し上げた。 後藤氏は「これまでの厳しい 2 年間を乗り越えてきて、投資先は体力がついてきた。 今後に期待していきたい。」と述べた。 ただ円安の影響は、会計上ではマイナスに出ている。 保有するドル建ての負債が円でみた場合に膨らみ、7,031億円の損失を計上した。

「AI 時代をリードできる会社に」

SBG は、これまで投資先の過半をアリババなど中国に偏重してきたが、足もとでは 6% まで減らした。 代わりに重視するのが、昨年 9 月に米国で上場した傘下の英半導体設計大手「アーム」だ。 生成 AI (人工知能)の普及で先端半導体を設計するアームも注目を集める。 アームは世界の半導体メーカーを顧客にしており、スマホ向けでは市場の約 9 割を握る。 SBG は「世界の AI の発展に最も貢献できる会社」としてグループの中核に位置づけ、AI 関連の事業や投資を強化する「AI シフト」を明らかにしている。

AI を使った自動運転やロボット、工場の自動化などに力を入れており、今後も注力していく方針だ。 後藤氏はアームを中心として「AI 時代をリードできる会社でありたい」と語った。 一部の海外メディアが 2 月、孫氏が AI 向け半導体を手がける新会社の設立を検討していると報道。 この日の会見でも発言が注目されたが、後藤氏は「コメントは差し控えたい」と回答を避けた。 開発が加速する「生成 AI 分野」では、米エヌビディアの半導体が圧倒的なシェアを誇るが、世界で需要の高まりから供給不足が指摘されている。 新会社はエヌビディアの対抗軸となる可能性が指摘されていた。

投資事業を中心に据える SBG の業績は、乱高下してきた。 21 年 3 月期で純利益は、国内企業として過去最高の 4.9 兆円を記録。 しかし、その翌年には 1.7 兆円の過去最大の巨額赤字に転落した。 ただ、孫正義会長兼社長は昨年 6 月の株主総会で、「2 兆(円)、3 兆(円)上がったり下がったりは誤差のうちだ」と述べていた。 「ユニコーン」と呼ばれる、評価額 10 億ドルを超える新興企業を主な対象とするため、業績や株価の変動性が高くなっている。 (奈良部健、黒田健朗、asahi = 5-13-24)


ソフトバンク衛星電話サービスが利用できない状況、16 日午前 1 時 30 分ごろより

ソフトバンクの衛星電話サービスを利用できない状況が 4 月 16 日午前 1 時 30 分ごろより発生している。 同日正午時点の情報によれば、影響エリアは日本を含むアジア・太平洋地域で、アフリカ/ヨーロッパ/中東地域についてはサービスを利用できる。 ソフトバンク衛星電話サービスを利用した音声通話/データ通信/SMS が利用できない状況になっており、緊急帰還接続サービスも利用できないという。 トラブルの原因は、ソフトバンクの衛星電話サービスで利用する端末・衛星通信設備を提供しているスラヤの設備の故障とのこと。 本件についての問い合わせは下記の窓口で受け付けている。 (大塚洋介、MyNavi = 4-16-24)

国内(一般電話・携帯電話)から : 0088-24-0018(無料)
海外(一般電話・携帯電話)から : +81-92-687-0025(ソフトバンク携帯電話からは無料、その他は有料)
ソフトバンク衛星電話から : +81-92-687-0025


ソフトバンク G、サウジ企業と産業用ロボット製造 計 225 億円投資

ソフトバンクグループ (SBG) は 20 日、サウジアラビアの政府系ファンド「PIF」の傘下企業「Alat」と産業用ロボットを製造する合弁会社を立ち上げると発表した。 両社は最大 1 億 5 千万ドル(225 億円)を投資する。 PIF はサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がトップを務め、AI 関連の有望企業に出資する SBG の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」にも出資している。 PIF 傘下の Alat は、1 千億ドルの予算をもとに最先端の製造業に投資している。

SBG によると、新しく設立する合弁会社は SBG や同社の関連企業が開発した知的財産を用い、産業用ロボットを製造する事業を手がける。 拠点はサウジの首都リヤドに置き、最初の工場は 12 月の開業を目指すという。 再生可能エネルギーを使用し、脱炭素の実現を目指すという。 SBG の孫正義会長兼社長は「将来の製造業のあり方において歴史的な節目となる」、Alat の最高経営責任者 (CEO) は「王国で造られるロボットが、製造業を根本的に変革することを目指す」とそれぞれコメントを公表した。 (柴田秀並、asahi = 2-20-24)


ソフトバンク G 買い優勢、1 兆円超相当の T モバイル株無償取得へ

ソフトバンク G は買い優勢。 米通信大手 T モバイル US 株、約 1 兆 1,000 億円相当を無償で取得すると発表している。 旧スプリントが T モバイルに吸収合併された際、T モバイルの株価が 45 日間の加重平均で約 150 ドル以上になると、同社に 4,875 万株の普通株が無償で発行される条項があったもようで、22 日にこの条件が満たされているようだ。 AI 分野などへの戦略投資加速化につながるとの期待が高まる展開に。 (Kabutan = 12-27-23)


アームが中国エンジニア 70 人強レイオフ、一部配置換えも - 関係者

ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社アーム・ホールディングスは、中国でソフトウエアエンジニア 70 人余りを最近レイオフした。 職務の一部は中国以外に異動させる。 事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 グローバル IP で顧客サポートを行ってきたスタッフが対象となる。 非公開情報を理由に関係者の 1 人が匿名を条件に語ったところでは、ポストがなくなる約 15 人のスタッフは、中国関連プロジェクトで別の仕事がオファーされる。

半導体業界は電子機器向け需要が盛り上がりを欠き、米スマートフォン向けプロセッサーメーカー、クアルコムも今年に入りグローバルのスタッフレベルの削減に動いた。 今回のアームのレイオフは、主要半導体関連企業の動向を反映したものといえる。 アームが 11 月に公表した 10 - 12 月(第 3 四半期)の売上高見通しは、スマホ販売の落ち込みを背景に失望を誘う数字となった。

米政府が課す中国企業向けの技術輸出規制も影響を与えており、ジェーソン・チャイルド最高財務責任者 (CFO) は、グローバル売上高に占める中国の割合が 25% から約 20% に低下したと 11 月のアナリスト会見で語った。 アームは「現地の開発者への直接サポートに力を注ぐ方向で、中国のソフトウエア・エンジニアリング・リソースの再編を進めている」とコメントした。 (Jane Lanhee Lee、Ian King、Bloomberg = 12-18-23)

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ソフトバンク G 傘下の Arm、IPO で約 25% 急騰、評価額は 650 億ドル(9.6 兆円)に

ソフトバンクグループ傘下の英 Arm は 9 月 14 日(米国時間)、米 Nasdaq 市場でティッカーシンボル「ARM」で新規株式公開 (IPO) した。 1 株当たり 51 ドルの設定で、取引初日に 25% 近く急騰し、2023 年最大の IPO となった。 初値は公開価格 10% 上回る 56.10 ドルで、終値は 63.59 ドルまで上昇した。 評価額は約 650 億ドル(約 9.6 兆円)になった。 ソフトバンク G は発行済み株式の約90%を保有している。 レネ・ハース CEO は発表文で、「Arm テクノロジーが世界人口の 70% に採用される中、私たちはあらゆるデバイスで AI を進化させることができる独自の立場にある」と語った。 (ITmedia = 9-15-23)

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アーム上場、最大 7.7 兆円を想定 調達額は 50 億ドル前後に

ソフトバンクグループ (SBG) は 5 日、傘下の英半導体設計大手アームが月内に予定する株式新規公開 (IPO) について、米預託証券 (ADR) の公開価格の仮条件を、47 - 51 ドルに設定していることを公表した。 時価総額は、最大約 520 億ドル(約 7 兆 7 千億円)になる。 SBG によると、IPO 後も株式の 90.6% は SBG が保有する。 仮条件をもとに計算すると、調達額は約 50 億ドル。 今後、需要をみて実際の価格や売り出し数を決める。 投資事業が苦戦し、2 期連続の大幅赤字を計上した SBG にとって、アームの上場は「頼みの綱」ともいえる。 新たな資金調達により、半導体関連などへの投資拡大につなげる方針だ。 (渡辺淳基、asahi = 9-5-23)

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ソフトバンク G 傘下アーム、9 月にナスダック上場へ 今年最大規模か

ソフトバンクグループ (SBG) 傘下の半導体設計大手、英アームが 9 月に米ナスダック市場に上場する見通しになった。 米当局に申請し、21 日にも発表すると米欧の複数のメディアが報じた。 SBG は新たな資金調達を、半導体や人工知能 (AI) 関連への投資拡大の足がかりにする方針だ。 上場時の時価総額は 600 億ドル(約 8.7 兆円)超になるとの見方もあり、今年最大規模の株式新規公開 (IPO) になる可能性がある。

ロイター通信などによると、SBG は上場後もアーム株式の大半を保有し続ける方向だ。 さらに、米アップルや韓国サムスン電子など複数の企業から、アームへの出資を受けることも協議しているという。 各社はアームと資本関係を持つことで、事業への影響力を持つ狙いがあるとみられる。 アーム側も主要メーカーを株主に迎えることで株価の安定につなげたい考えだ。 アームは英国ケンブリッジに本拠を置き、半導体の回路設計を手がける。 半導体メーカーは設計図をもとに製品をつくり、アームはライセンス料などを得る。 アームによると、スマートフォンに使われる半導体の 9 割超に同社の設計技術が使われているという。

SBG は 2016 年にアームを総額約 240 億ポンド(当時の価格で約 3 兆 3 千億円)で買収。 上場廃止し、完全子会社にした。 研究開発の人員を増やすなどてこ入れし、売上高も大きく伸びている。 同社が設計した半導体の出荷数は累計で 2,500 億個を超えた。 生成 AI 関連など需要の拡大が見こまれるなか、SBG の孫正義会長兼社長は 6 月の株主総会で「(出荷は) 1 兆個までいく。 勢いはむしろ早まっている。」と今後の事業拡大に自信を示した。 米ブルームバーグは今年 8 月、アームが上場時の時価総額について 600 億 - 700 億ドルをめざしていると報じた。 (寺西和男 = ベルリン、渡辺淳基、asahi = 8-21-23)


ソフトバンク、アイルランドの EV プラットフォーム会社に約 750 億円出資

[東京] ソフトバンクは 5 日、電気自動車 (EV) のコネクテッドソフトウエアの開発を手掛けるアイルランドのキュービック・テレコムに約 4 億 7,300 万ユーロ(約 747 億円)を出資すると発表した。 第三社割当増資による新株発行と既存株主からの株式取得により、発行済み株式の約 51% を取得する。 ソフトバンクは、人工知能 (AI) 分野への投資を積極化している。 今後成長が期待されるコネクテッドカーやソフトウエアにより機能や特徴が決まるソフトウエア定義車両 (SDV) などの領域に強い会社への投資で、同分野でトップシェアを狙いたい考え。

キュービック・テレコムには、フォルクスワーゲンも子会社を通じて出資する。 2016 年には、コネクテッドカー向け IOT プラットフォームの提供を開始した。 このプラットフォームにより自動車メーカーは、モバイルネットワークを通じて車両や機器をグローバル規模でリアルタイムに管理したり、機能をアップデートしたりすることができる。

ソフトバンクによると、キュービックは現在 90 以上の移動体通信事業者 (MNO) と契約し、累計 1,700 万台以上の車両でプラットフォームが利用される。 自動車メーカーにとってはデータ通信料などのコストが負担となっていたが、欧州では、同社のプラットフォームを通じて直接自動車ごとに課金できるサービスを提供するなどしている。 自動車のほか運輸、農業、建設機械などの業界へも拡大が見込まれるという。 (Miho Uranaka、Reuters = 12-5-23)


ソフトバンク G、投資の不振で赤字 1.4 兆円 中間決算では過去最大

ソフトバンクグループ (SBG) が 9 日発表した2023 年 9 月中間決算(国際会計基準)は、最終的なもうけを示す純損益が 1 兆 4,087 億円の赤字だった。 前年同期の 1,290 億円の赤字から大幅に増え、中間期としては過去最大。 投資先の AI (人工知能)関連企業の株価低迷や評価額の下落が響いた。 SBG は、AI 関連の有望企業に出資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド (SVF) 」などの投資事業が、株式市況の悪化を受けて苦戦が続いている。

投資先では、出資する米シェアオフィス大手ウィーワークが今月 6 日に経営破綻した。 その影響で 4 - 9 月期は 2,343 億円の損失を計上し、同社への累計損失は 143 億ドル(2 兆 1,450 億円)となった。 この案件は孫正義会長兼社長の肝いりで、SBG と SVF は 17 年以降、出資や社債の取得などを進め、役員も送り込んできた。 9 日の決算説明会で、孫氏の経営責任について問われた後藤芳光・最高財務責任者 (CFO) は、「彼が意思決定に加わっているが、組織として認識すべきテーマだ。 この経験を生かして、今後のビジョンファンドの成功に向けて全力を尽くしていくことが重要だ。」と話した。

9 月には、傘下の英半導体設計大手アームが米ナスダック市場に新規上場した。 株式 10% の売却により 6,744 億円相当の売却益を得たが、アームは連結子会社のため会計上、連結損益に反映されなかった。 一方で、上場に伴って SVF 自体の業績に好影響を与えたことで、外部投資家に支払う分配金などが 2,263 億円に膨らんだ。 さらに円安によりドル建ての負債が円で見た場合に重しになり、6,481 億円の為替差損を計上した。

不振が続く SBG だが、アーム上場などで手元資金は 5 兆 1 千億円と手厚くなっている。 これまで新規投資を抑える「守りの姿勢」を貫いてきたが、後藤 CFO は「まだ慎重にやっていくが、優良案件の発掘に注力していく」と語った。 (柴田秀並、asahi = 11-9-23)


ソフトバンク G、4 - 6 月期も赤字 4,776 億円 投資事業は黒字転換

ソフトバンクグループ (SBG) が 8 日発表した 2023 年 4 - 6 月期決算(国際会計基準)は、最終的なもうけを示す純損益が 4,776 億円の赤字だった。 赤字幅が 3 兆円を超えた前年同期から大きく縮んだが、円安が進んだ影響などで赤字からの脱却はできなかった。 四半期ごとの純損益は 3 四半期連続の赤字だった。 前年度まで赤字の元凶になっていた投資事業「ソフトバンク・ビジョン・ファンド (SVF)」は、世界的な株高を背景に 6 四半期ぶりに黒字転換し、610 億円の利益を計上した。 ただ、円安でドル建ての負債が重しになり、為替差損が 4,646 億円に膨らんだ。

後藤芳光・最高財務責任者 (CFO) は会見で、グループの投資額が 4 - 6 月期に前期比で 3 倍超に増えたと明かし、「厳しい経験をへて今は反転している」と述べた。 一方、年内に米国で上場させる方針の傘下の英半導体設計大手アームについて、後藤氏は「上場の準備は順調に進んでいる」とし、「みなさんに情報が入るのはそう遠くない先だろう」と予告した。 (藤田知也、asahi = 8-8-23)


ソフトバンク、和製チャット GPT 立ち上げで新会社 - 1,000 人選別

国内通信大手のソフトバンクの宮川潤一社長は 10 日、和製のチャット GPT の立ち上げを目指し 3 月に新会社を発足したことを明らかにした。 人工知能 (AI) に関わる 1,000 人を選別したという。 決算説明会で宮川社長は、チャット GPT については「死ぬほどポジティブ。 人間が想像しなかった答えを出し始めてる。 ついにシンギュラリティが始まったと肌で感じている。」と述べた。

宮川社長は機密情報の扱いや法令順守を徹底した上でチャット GPT を使い倒すよう社内に通達、ソフトバンクグループの孫正義社長も社内のエンジニアを対象に使い方について講演したことを明らかにした。 宮川社長は生成 AI (人工知能)の取り組みについて、「何をやるとオープン AI に追いつけるのか」を研究中だとし、「米国、中国に勝てる勝てないではなく、やらなければ今後の参加権がなくなる」とし、一日の会議のほとんどはチャット GPT に関わるものだと明かした。

今期は減益計画

同社は 10 日、今期(2024 年 3 月期)の営業利益が前期比 26% 減の 7,800 億円になるとの予想を発表した。 スマートフォン料金値下げの影響が続く中、前期に一時利益を計上したことが影響する見通しだ。 発表によると、今期の売上高の見通しは前期比 1.5% 増の 6 兆円で、純利益は前期比 21% 減の 4,200 億円。 同社はまた、発行済み株式総数の 1.19%、金額にして 1,000 億円を上限とした自社株買いを発表した。 26 年 3 月期に純利益過去最高を目指すことも明らかにした。

同社の業績予想が減益となった背景には、前年度に決済アプリ子会社ペイペイを子会社化、企業価値の再測定益約 3,000 億円を計上し一時的に利益が膨らんだことがある。 一方で、主軸であるスマホなどのコンシューマ事業では競争激化による料金値下げが響くほか、法人事業でもコロナ感染拡大がやみデジタル化の推進需要が落ち着くなど、新たな収益基盤の構築が求められている。

セグメント別の営業利益計画は、コンシューマ事業が 1.6% の増益、法人事業が 13% 増益となる見込み。 ソフトバンク傘下でヤフーと LINE を運営する Z ホールディングスは、24 年 3 月期の売上高予想を前期比 14% 増の 1 兆 9,000 億円としている。 (日向貴彦、Bloomberg = 5-10-23)


Z HD、合併後の新社名は「LINE ヤフー」 ID 連携も 10 月から

Z ホールディングス (HD) は 28日、傘下のヤフーや LINE と 10 月 1 日に合併した後の新会社の社名を「LINE ヤフー」とすると発表した。 ヤフーと LINE が 2021 年 3 月に経営統合した後も、グループ内のサービスの連携は進んでいなかった。 経営資源を集中して事業を効率化するため、3 社が合併することを今年 2 月に発表していた。

合併にあわせて 10 月には ID の連携も始める。 LINE (約 9,500 万人)とヤフー(約 5,500 万人)の基盤を生かし、ネット通販サイトへの送客などで相乗効果を狙う。 ヤフーのプレミアム会員が LINE で特典を受けられるようにもする。 23 年度中に事業の選択と集中を進め、中途採用の凍結や役員報酬の減額など固定費の削減にも取り組む。 Z HD の出沢剛社長はこの日の会見で「コスト削減で投資原資を捻出し、再成長に向けた基盤作りをする」と話し、広告などのメディア事業と検索事業を再強化する方針を示した。

この日発表された 23 年 3 月期決算(国際会計基準)は、売上高にあたる「売上収益」が前年比 6.7% 増の 1 兆 6,723 億円で過去最高となった。 PayPay 社の連結子会社化などが貢献した。 純利益は 131.3% 増の 1,788 億円だった。 (鈴木康朗、asahi = 4-28-23)

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ヤフーと LINE の経営を統合、GAFA に対抗できるか

ヤフーを傘下に持つ Z ホールディングス (HD) と LINE が 1 日、経営統合した。 国内の利用者は 1 億人規模になるとみられ、直近の売上高は単純合算で楽天(約 1.4 兆円)に迫る。 ポータルサイト「ヤフー」や通信アプリ「LINE」を軸に複合サービスを提供する「国産」プラットフォーマー (PF) が、「GAFA」など世界大手に対抗していけるかが焦点になる。

ソフトバンク (SB) と韓国 IT 大手ネイバーが折半出資する中間持ち株会社が ZHD 株の 65.3% を握り、ヤフーと LINE は ZHD の完全子会社になる。 ZHD は上場を続ける。 中間持ち株会社の社長には SB の宮内謙社長、会長にはネイバー創業者の李海珍(イ・ヘジン)氏が就く。 取締役 5 人のうち 3 人が SB 側から出ており、経営の主導権は SB が握ることになる。 ヤフーの国内の年間利用者は約 8 千万人。 LINE の月間利用者は約 8,600 万人。 LINE の利用者をヤフーのネット通販に誘導するといった相互送客で、それぞれの事業での相乗効果を狙う。

ZHD は、LINE がもつ海外拠点を足がかりに、日本で展開するネット通販や金融などのサービスをアジアでも広げていく方針だ。 グーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる米 IT 大手や、中国 IT 大手のバイドゥ、アリババ、テンセントを指す「BAT」に対抗しうる「第 3 極」を目指す。 ただ、PF の市場支配力に対し、各国政府は監視を強めている。 日本でも今年 2 月、ネット通販やアプリストアを展開する PF を対象にした「デジタルプラットフォーム取引透明化法」が施行。 優位な立場にある PF が、取引業者に不当な要求をしないようチェックする体制を整えた。

経営統合をめぐって公正取引委員会は昨年、統合後の ZHD が市場支配力を強めないかを審査。 スマートフォンを使った QR コード決済で、ヤフーの「PayPay」と LINE の「LINE ペイ」が計約 6 割のシェアを持つようになることから、QR コード決済事業について 3 年間の定期報告を条件に統合を認めた経緯がある。 統合は当初、昨年 10 月の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって公取委の審査が長引き、5 カ月遅れた。 (益田暢子、asahi = 3-1-21)

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ヤフーと LINE 「補完関係にある」 統合へ両首脳会見

ソフトバンクグループ (SGB) でポータルサイト「ヤフー」を展開する Z ホールディングス (HD) と通信アプリの LINE (ライン)は 18 日、経営統合することで基本合意した。 12 月に統合契約を締結し、来年 10 月の統合実現を目指す。 18 日夕方から、ZHD の川辺健太郎社長と LINE の出沢剛社長が都内で記者会見した。 両氏は相手のコーポレートカラー(ヤフー = 赤、LINE = 緑)のネクタイをそれぞれが身につける形で登壇。 川辺氏は「最強のワンチーム、AI (人工知能)テックカンパニーを目指す」とし、「生産性が落ち効率が落ちていく中、IT はもっと活躍できる。 防災減災にも役立つ。 日本固有の社会課題を解決したい。」と語った。

統合の経緯について出沢氏は、「ここ数年、川辺氏らと年 1 度情報交換していた。 川辺氏からは『大きいことを一緒にしよう』と言ってもらっていた」と明かし、「今回は思うところがあり、一緒に議論してきた」と語った。 さらに出沢氏は、米国のグーグルなど「GAFA (ガーファ)」や中国のアリババなど「BAT」と呼ばれる IT 企業の巨大化への危機感も挙げ、「優秀な人材、データが強いところに集約してしまう。 (我々) 2 社が一緒になっても(GAFA などとは)桁違いの差がついている。 強い危機感があった。」と述べた。

両社の利用者数は、LINE が約 8 千万人、ヤフーなど ZHD のサービスは約 5 千万人。重複も多いとみられるが、統合により 1 億人規模の利用者を持つ IT サービス企業が誕生する。 国内の IT 大手では楽天を抜いて売上高首位にもなる。 川辺氏は「重複するユーザーはいるが、ヤフーは PC 時代からのシニアユーザーが多く、LINE (のユーザーは)はスマートフォンアプリが前提で若い。 補完関係にある」と語った。

統合は、ZHD を傘下に持つ SBG と LINE を傘下に持つ韓国の IT 大手ネイバーが主導する形となる。 すでに発表された統合計画案によると、SBG の子会社で ZHD の親会社の携帯電話大手ソフトバンク (SB) が、ネイバーと折半出資で新会社を設立。 同社の経営の主導権は SB 側が握る見通し。 新会社は SB に代わり ZHD の筆頭株主となり、65% 程度の株式を保有する見通し。 ZHD は SB の連結対象となる。 ZHD の下には完全子会社として事業会社ヤフーと LINE がぶら下がる。

ZHD は現在東証 1 部上場で、一連の統合後も上場を維持する。 ZHD の共同 CEO (最高経営責任者)には川辺氏と出沢氏が就任する。 2 人はともに代表権を持つが、川辺氏が引き続き社長を務める。 (栗林史子、asahi = 11-18-19)

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ヤフーと LINE、経営統合へ交渉 海外サービスに対抗

インターネット検索サービス「ヤフー」を展開する Z (ゼット)ホールディングス (HD) と、無料通信アプリ大手の LINE (ライン)が経営統合に向けて交渉していることがわかった。 LINE の利用者は約 8 千万人、ZHD のサービスの利用者は約 5 千万人に上る。 統合が実現すれば、SNS や検索、ニュースメディア、ネット通販 (EC)、金融などを手がける 1 億人規模の国内トップの IT サービスが誕生する。 国際的にも米グーグルやアマゾンなどの「GAFA (ガーファ)」や中国勢などに国内勢として対抗する形になる。

関係者によると、ZHDの親会社の携帯電話大手ソフトバンク(SB)と、LINEの筆頭株主のネイバー(韓国)が 50% ずつを出資して新会社を設立し、新会社が ZHD (東証 1 部上場)に出資して筆頭株主となる。 ZHD の下に、事業会社のヤフーと LINE がぶら下がる形の統合案が浮上している。 ZHD は上場を続ける。 新会社は SB とネイバーの折半出資だが SB 側の連結対象となり、その影響力がより強くなる形になるとみられている。

ZHD は検索・メディア事業を基盤とし、LINE は通信アプリが中核事業。 最近はいずれも金融関連への進出が目立ち、ZHD がグループ内のスマホ決済「PayPay (ペイペイ)」と連携を強化。 LINE もスマホ決済の「LINE Pay (ペイ)」などを行っている。

統合が実現すれば、ネットでの幅広いサービスでの連携が見込める。 ZHD は孫正義会長兼社長が率いるソフトバンクグループ (SBG) 傘下にある。 SBG は携帯電話の SB やファンドなど様々な事業を抱えるが、携帯電話事業でかつてのような成長は見込めず、直近の 2019 年 9 月中間決算ではファンド事業で巨額の損失を計上したばかり。 今回の統合で、SBG として改めてネット事業を新たな成長基盤にする狙いもありそうだ。 (asahi = 11-13-19)

Z ホールディングス (旧ヤフー)〉 インターネット検索サービス「ヤフー」を展開する、ソフトバンクグループ傘下の IT 大手。 1996 年設立。 10 月から持ち株会社体制に移行し、ヤフーから社名変更した。 2019 年 3 月期の連結売上高は 9,547 億円、純利益は 786 億円。 通販取扱高は約 2 兆 3 千億円。 単体の従業員 3 月末時点で約 6,500 人。

LINE〉 韓国 IT 大手ネイバー傘下の無料通信アプリ大手。 提供するスマホアプリ「LINE (ライン)」は若年層から中高年へと利用が広がり、月間のユーザー数は 8 千万人以上。 キャッシュレス決済サービス「LINE Pay」や飲食宅配代行の「LINE デリマ」などオンラインサービスの事業を拡大している。 社員数は 4 月末時点で 2,269 人。