携帯大手 3 社、料金値下げで打撃 格安プランへの乗り換え進む
携帯電話の料金値下げが大手 3 社の業績にも影響している。 菅義偉前首相の意向もあって各社は「格安プラン」を導入した。 13 日に出そろった 2022 年 3 月期決算(国際会計基準)では通信事業が売上高や営業利益を下げる要因になった。 大手が格安料金プランを本格的に導入したのは昨春だ。 利用者が他社や別の料金プランに変更する「乗り換え」が活発になった。 総務省によると、格安スマホなども合わせた新料金プランへの乗り換え件数は 3 月末時点で約 3,710 万件。 携帯電話の契約全体の約 4 分の 1 を占める規模だ。
格安プランは利用者にとってメリットが大きいが、大手にとっては収益を圧迫する。 KDDI は 22 年 3 月期で営業利益が 872 億円押し下げられたという。 ソフトバンクはサブブランドの「ワイモバイル」への移行が進んだことなどで、営業利益が約 770 億円減ったという。 23 年 3 月期では 900 億円の減益につながる見通し。 宮川潤一社長は「スマホは様々なサービスの入り口で、我が社にとっては重要な武器になる。 契約者数の拡大についてはアグレッシブに行きたい。」と話した。
オンライン専用プランの「ahamo (アハモ)」を導入したドコモでは、22 年 3 月期の売上高を 2,700 億円押し下げることになった。 井伊基之社長は「今年と来年はまだ影響が残る。 成長領域のサービスとコスト削減でどうカバーできるかという経営がしばらく続く。」と話した。 通信事業以外の分野では各社の業績は好調だ。 KDDI は家庭向け電気の契約数が前年から 50 万件増え、金融系サービスの取扱高も伸びている。 (杉山歩、asahi = 5-14-22)
「私、やりたくない」泣く店員を説得 「1 円スマホ」復活のからくり
「iPhone」など 10 万円前後のスマートフォンが「1 円」で売られている。 政府の規制強化でしばらく見られなかったが、昨年半ばごろから再び増え始めたという。 その裏側には規制の「抜け穴」を突いた「からくり」があり、通信契約を結ばずにスマホ本体だけを安く買える場合もあるという。 その背景を探っていくと、いびつな業界構造も見えてきた。 総務省も実態把握に乗り出した。
「新型入荷しています。 お早めに検討下さい。」 そんな呼び込みに吸い寄せられ、スマホ売り場に目をやると、飛び込んできたのは「本体一括 1 円(税込み)」のポスターだ。 この日発売された iPhoneSE 第 3 世代 (64GB) の本体価格は、約 7 万円。 それが 1 円になるという。 しかし 2019 年、「2 万 2 千円を超える値引きは禁止」という値引き規制ができ、高額なスマホの「1 円販売」は見られなくなったはず。 それがなぜいま、復活しているのか。
スマホ本体が 7 万円だとすると、まず、他社からの乗り換えや新規の通信契約を結ぶことを条件に、規制の範囲内の 2 万 2 千円の値引きをする。 さらに、「特別値引き」として 4 万 7,999 円も引き去り、客は残る 1 円だけを払う仕組みだ。 これでは「2 万 2 千円まで」という値引きの上限を超え、規制違反になりそうだが、なぜか、そうはならないという。 その「からくり」はこうだ。
じつは規制を免れる「裏技」がある。 それは、スマホ本体だけを売る場合も同じだけの値引きをすることだ。 つまり、この店の場合、スマホ本体だけを買いに来た客にも、「特別値引き」の 4 万 7,999 円を本体価格から引いて、2 万 2,001 円で販売すればいい。 そうすれば、法律上、通信契約とセットで売る際の値引きにも上限がなくなり、規制の範囲内の 2 万 2 千円の割引と「特別値引き」を同時に提供することで、合法的に 1 円販売が可能になるというわけだ。
つまり、1 円販売をうたう携帯ショップでは、高額なスマホが本体だけでも大幅値引きで買えるということにもなる。 しかし、新たな通信契約につながらなければ、値引きをしてもうまみは少ない。 このため、ポスターなどでは、本体のみの値引きについては、1 円販売より小さい文字で記されている。 「本体のみの販売は締め切りました」と断られる例もあるといい、あるショップ関係者は在庫に限りがあれば「できるだけ乗り換えの客に売るように、店員にお願いしている」と打ち明ける。
値引き規制はもともと、値引きの原資を回収するため、各社の通信料金が高止まりしているとして、総務省が導入したものだった。 このため、通信契約とセットでの大幅値引きを防ぐことに主眼があり、原資を回収できないスマホ本体のみの大幅値引きが横行することは想定外だった。
「どこかがやり出したらやらないと …」
では、値引きの原資はどこから出ているのか。 それは、携帯大手各社がショップに配る奨励金と、携帯ショップからの持ち出しだという。 奨励金は、端末の種類やそのときの在庫の状況によって増減し、あるショップ関係者によると、iPhoneSE 第 3 世代を 1 円にするには、奨励金では全く足りず、ショップから 3 万円程度の持ち出しが必要になるという。 関東のある au ショップでは、他社のショップが「1 円スマホ」を再開させたのを見て、半年ほど前から iPhone の 1 円販売を復活させた。 20 年に発売された「iPhone12」であれば、携帯会社からの奨励金を使い、1 万円ほどをショップ自らが持ち出して 1 円にするという。
過度な値引きで利用者を引き寄せる手法を防ぎ、適正な競争を促すという法律の趣旨に照らせば、「1 円スマホ」には、合法ではあっても脱法的との批判が出かねない。 このため、これまでまじめに販売してきたショップには「『グレー』で抵抗感がある(ショップ関係者)」という。 しかし、1 円販売をしなければ他店に見劣りし、客を呼び込めない。 「どこかがやり出したらやらないといけない」と、ある携帯ショップを営む男性は本音を打ち明ける。 罪悪感を感じる店員もいて、別のショップの関係者は「『私、やりたくない、無理です』と店員に泣きながら言われたけれど、やるしかないと説得した。」と振り返る。
評価のために「楽天ばさみ」も
そこまでしても 1 円販売をせざるを得ない背景には、携帯ショップ間の激しい競争と、それを促す業界の仕組みがある。 ショップの多くは、大手商社のグループ企業や地方の企業が、NTT ドコモなどの携帯大手と代理店契約を結んで運営している。 販売実績に応じて携帯大手が出す支援金や、契約した顧客の月々の利用料の一部などが収入になる仕組みだ。 支援金の額は大手各社が定めた基準に基づく「ランク付け」で決まる。 一度でも最低ランクを取ると、強制閉店になることもある。 評価項目は新規契約数や端末の販売台数など様々だが、とくに重視されるのは、ドコモ → ソフトバンクといった他社からの乗り換えの件数だ。
この件数を稼ぐため、各ショップは買い物客が集まる休日のショッピングモールへの出張販売に力を入れている。 1 カ月の新規と乗り換えの件数の半分ほどを出張販売で稼ぐショップもあり、「近くにイオンがないところは地獄(関係者)」との声も出るほどだ。 だが、出張販売には 1 回のイベントで費用が 100 万円程度かかることもあるという難点もある。 そこで、ここでも「グレー」な販売手法が出始めていると明かすのは、あるドコモショップの関係者だ。 それは通称「楽天ばさみ」と呼ばれているという。
楽天モバイルは 1GB まで利用料が 0 円のため、ドコモの顧客を一度楽天に移行させた後、もう一度ドコモに戻すというものだ。 こうすると、契約上は楽天モバイルからドコモに乗り換えたことになるため、ショップは乗り換え件数が稼げるというわけだ。 「悪徳な手法が蔓延している。 ただ、それを助長する仕組みを作っているのは、キャリアだ。」 そんな業界の実情を、この関係者はそういって自嘲気味に語る。
業界「ルールの範囲内」 当局は
こうした状況を受け、所管官庁の総務省も対応に動き出した。 4 月 11 日には、大幅な値引きについて携帯大手各社に聞き取り調査を行った。 「極端な安値販売は、市場をゆがめるものであって、望ましいとは考えていない(ソフトバンク)」といった声は各社から上がった。 しかし一方で、競争があまりに激しく、「(他社が値引けば)防衛的にやらざるを得ないと認識している (KDDI)」との本音も聞かれた。
各社とも値引きはルールの範囲内で実施しているとの認識を示したが、スマホの転売にも利用されているといった問題も指摘されている。 同省幹部は朝日新聞の取材に対し、「ルール上は問題なくても、ゆがみや強要がないか、現場を調査していく必要はある」と話し、今後、なんらかの対応をする可能性を示唆した。 携帯電話販売をめぐる問題に詳しい野村総研の北俊一パートナーは「端末が安くなるのは消費者にとって一見よいことに思えるが、値引き分は通信料金から充当されている」と指摘。 「体力のあるキャリアばかりで利用者を取り合い、将来的に再び通信料金の高止まりを招くのではないか」と話し、いまのいびつな競争のあり方に警鐘を鳴らしている。 (杉山歩、asahi = 4-27-22)
卸値引き下げ、ノルマ緩和 … 携帯大手 3 社、公取委に改善報告
公正取引委員会は 13 日、携帯大手 3 社に求めていたスマートフォンの販売ルールなどをめぐる制度の改善について、各社の取り組みの結果を公表した。 NTT ドコモが販売代理店への携帯端末の卸値を安くするなど、各社とも端末の販売だけでは代理店の利益が出ない仕組みを改めたという。 ドコモではこれまで、オンラインで消費者に直接売る「直販価格」と代理店への卸値が同じだったが、5 月末以降の新機種から直販価格より卸値を安くし、もうけが出やすくした。 KDDI とソフトバンクも、通信契約のない端末だけの販売に対しても「奨励金」を出したり、増やしたりして実質的に卸値を下げた。
代理店が端末を販売する値段を自由に決めることを妨げる「販売価格の拘束」については、3 社ともそうした要請をしてはいないと主張していたが、公取委の要請を受けて価格を自由に決められることを改めて周知したという。 このほか、「利用者が望まない高額なプランを勧める要因になる」との指摘もあった代理店の評価制度をめぐっては、KDDI とソフトバンクが評価項目の中から大容量プランの契約数を削り、代理店に「ノルマ」と受け止められないようにした。 また、評価制度を改める際は一定の周知期間を設け、代理店から意見を聞く仕組みを3社とも整えたという。
代理店が端末以外に販売する商材の範囲についても、ドコモが衛生管理を条件に食品販売を 5 月から認めるなど、各社とも独自の商材を扱うルールの緩和を進めている。 また、消費者に直接関わる部分では、一定期間後の返却を前提に端末代金を割り引く「購入サポートプログラム」について、3 社とも自社の回線契約がなくても利用できることをウェブ上や店頭でわかりやすく表示するようにしたという。 KDDI とソフトバンクでは、自社での端末再購入を割引適用の条件としていたが、条件を撤廃した。
公取委は 6 月にまとめた調査報告書で、こうした販売ルールや代理店の評価制度などについて、優越的地位の乱用などの独占禁止法上の問題がないかを自主点検し、改善を報告するよう 3 社に求めていた。 菅久修一事務総長は「3 社とも改善が進んだ」と評価する一方、「対応が形式的でなく、実質的なものになるか見ていきたい。 新たな問題が出てくれば必要な対応をしていく。」と話した。 (山本知弘、asahi = 10-13-21)
ドコモの「ahamo」 180 万件突破、ただ収益面は …
NTT ドコモが 3 月から始めたオンライン専用プラン「ahamo (アハモ)」の契約が 180 万件を突破した。 親会社 NTT の澤田純社長が 6 日、明らかにした。 今のところ、同時期に始まった KDDI の「povo (ポヴォ、100 万件)」、ソフトバンクの「LINEMO (ラインモ、50 万件未満)」を上回る人気となっている。 3 社の新プランはいずれも 20 ギガバイトで月額 3 千円を切る料金の手ごろさが売り。 携帯値下げを看板施策に掲げる菅政権に呼応するように各社がプランを打ち出し、どこが主導権を握るかが注目されていた。
澤田社長はアハモの契約の伸びについて、これまでドコモに低価格のサブブランドがなかったことを一因にあげ、「タイミングとニーズがあった」と分析。 今後も「さらに伸びが見込まれる」とした。 一方、既存のドコモ利用者からの移行が多いことも明らかにし、今期は既存プランの値下げも含めて全体で約 2,500 億円の収益への影響が出るとした。 NTT の 2021 年 4 - 6 月期決算は、ドコモを完全子会社にした効果などから、純利益は前年同期より 24.7% 多い 3,399 億円と過去最高だった。 (山本知弘、asahi = 8-6-21)
LINEMO に 3 ギガ 990 円の新プラン ソフトバンク
ソフトバンクは 15 日、携帯電話のオンライン専用ブランド「LINEMO (ラインモ)」に、データ容量 3 ギガバイトで月額 990 円(税込み)の「ミニプラン」を追加すると発表した。 従来プランと同じく対話アプリ「LINE」はデータ容量を消費せずに通話やトークの機能を使える。
LINEMO は 3 月、データ容量 20GB、月額 2,728 円(税込み)のプランのみでサービスを始めた。 利用者の 7 割近くが 30 代以下で、低容量プランの選択肢を増やすことで契約増をめざす。 5 分以内の国内通話がかけ放題になるオプション(月額 550 円)を 1 年間無料にするキャンペーンもある。 低容量プランは 3 月からの開始は見送っていた。 新プランを発表した 15 日の会見で、同社の寺尾洋幸常務は「月額の支払額を安くしたい方は広くいる」と話した。 (杉山歩、asahi = 7-15-21)
ドコモ、アハモ契約 100 万件突破 30 代以下が過半数
NTT ドコモは 12 日、オンライン専用をうたって 3 月下旬から始めた割安プラン「ahamo (アハモ)」の契約件数が 100 万件に達したと発表した。 30 代以下の顧客が過半数を占めるという。 政府が求めた携帯電話料金の値下げの象徴的な存在で、契約数の伸びが注目されていた。 3 月 26 日の提供開始から 4 月末まで 1カ月あまりの累計で、携帯大手各社が導入した新プランの契約件数が公表されるのは初めて。 提供開始までに受け付けた事前登録は 250 万件に上っていたという。
アハモはデータ通信容量 20 ギガバイトで月額 2,970 円(税込み)。 契約手続きも契約後のサポートもオンラインで完結するのが特徴で、ネットを使い慣れた世代をねらった。 ただ、店に来店して契約を求める中高年層も多く、ドコモは 4 月 22 日から店頭で有料の契約サポートも始めている。 井伊基之社長は会見で、「既存の契約者からの移行の方が多いが、新規や他社からの流入がないわけではない」と説明した。
この日は NTT グループ各社の 2021 年 3 月期決算も発表された。 新型コロナウイルスに対応するための IT 投資の拡大などもあり、ドコモを含む NTT 全体の売上高は前年より 0.4% 多い 11 兆 9,439 億円に増えた。 昨年 12 月にドコモを完全子会社化した影響もあり、純利益は 7.1% 多い 9,161 億円と、過去最高を更新した。 また、持ち株会社の澤田純社長は記者会見で、総務省幹部への接待問題について改めて謝罪し、「経営層の認識の甘さが原因で発生した。 範を示すべき経営層がこうした事態を招いたことを深く反省し、信頼を取り戻すため、再発防止に向けた取り組みを徹底していく。」と述べた。 (山本知弘、江口悟、asahi = 5-12-21)
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ドコモのアハモ、乗り換え当面停止に 申し込み殺到
NTT ドコモは 29 日、オンライン手続き専用の新プラン「アハモ」に、番号持ち運び制度 (MNP) で他社から乗り換える手続きを当面の間停止すると発表した。 想定を上回る申し込みがあり、SIM カードの配送が追いつかないという。 再開のめどは立っていない。 アハモは、データ容量 20 ギガバイトで税抜き 2,700 円。26 日に申し込みを受け付け始めたが、27 日にシステム障害が起き、約 3 時間にわたり申し込みなどができなくなるトラブルがあったばかり。 ドコモは混雑緩和のため、先行エントリー済みの人が 4 月 15 日以降の手続きに回ってくれた場合は、ポイントを追加で付与する。 (asahi = 3-29-21)
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大手で月額 2 千円台が続々 携帯、乗り換えの注意点とは
この春の携帯商戦で最大の目玉は、大手 3 社が始める月額 2 千円台(税別)の新料金プランだ。 ソフトバンクの「LINEMO (ラインモ)」は 17 日、KDDI (au) の「povo (ポヴォ)」は 23 日、NTT ドコモの「ahamo (アハモ)」は 26 日からそれぞれ提供が始まる。 アハモは、1 回 5 分以内の通話がかけ放題で月 2,700 円。 au とソフトバンクの 2 社は月 2,980 円で、通話料金を別にして 500 円安くすることもできる。 3 社ともデータ通信容量の上限は 20 ギガバイト (GB) で、大手ならではの安定した通信環境が見込める。 あまりデータを使わないとしても価格の安さは魅力だ。
大手の利用者で今のスマホをそのまま使うなら、同じ会社の新プランが有力候補だ。 他社の回線利用を制限する「SIM ロック」を解除する手間や費用が不要になる。 ただ、古いスマホは非対応の場合があり、チェックが必要だ。 2019 年 9 月以前の 2 年縛りの契約で 9,500 円かかる違約金も不要になる。 3 社の新プランに共通するのは、申し込みなどの手続きを原則ネット上で完結させる「オンライン専用」となっていることだ。 店頭での煩雑な手続きがなくなる半面、手続きや操作で困ったときに窓口で相談できるサポートは受けられない。 ネットが苦手な人には不向きかもしれない。
携帯大手が提供する「○×△@docomo.ne.jp」といった携帯メールアドレスは利用できなくなる。 割引制度の適用もないため、家族構成や利用実態によっては、ほかの料金プランのほうが適している場合もある。 (藤田知也)
まだ多い、スマホ最大 2 万円引きキャンペーン
スマホを値引きする制度も一時期から変わっている。 以前は他社からの乗り換えで大幅に値引くのが慣例だったが、今は値引き幅の上限が 2 万円に規制されている。 大手 3 社はそれでも割安感を出そうと、買ったスマホを 2 年後に返すことを条件に、端末代が最大で半額程度になるサービスを始めた。 ただし、KDDI (u) とソフトバンクでは 2 年後に同じ会社で買い替えることが割引の条件だ。 他社からの乗り換えで、端末代が最大 2 万円安くなるキャンペーンはまだ多い。 iPhone などの最新機種にも適用される場合があるほか、単価の安い携帯が「1 円」や「0 円」となるケースも。 ただし、指定の料金プランへの加入などが条件の場合がある。
大手 3 社で買ったスマホには、他社の通信回線を使えなくする「SIM ロック」がかかることも覚えておきたい。 いまのスマホのまま他社に乗り換える人は、多くはロックを外す必要がある。 一括払いやクレジットカードでの分割払いで購入しているなら、いつでも解除できるし、それ以外でも購入後 100 日たてば解除できる。 解除の手続きは、店舗にスマホを持ち込む場合は原則 3 千円かかり、オンライン手続きなら無料だ。 オンライン手続きは各社サイトで端末情報などを入力するだけ。 乗り換え先で発行される SIM カードを差し込めば使える。
気ままに携帯会社を変えやすくするなら、ロックのない「SIM フリー」スマホの購入も選択肢の一つ。 メーカーの直販店やネット通販、家電量販店の格安スマホコーナーでも買える。 (井上亮、asahi = 3-13-21)
大手 3 社の新プランの料金と特徴
- NTT ドコモ「アハモ」 26 日〜
・ 月 2,700 円(税別)で 5 分以内の通話かけ放題
- ソフトバンク「ラインモ」 17 日〜
- KDDI (au) 「ポヴォ」 23 日〜
・ 月 2,480 円で通話は従量制
・ プラス 500 円で 5 分以内の通話かけ放題
・ ラインモは 5 分以内通話が 1 年間無料
【3 社共通の特徴】
・ データ容量の利用上限は 20GB
・ 手続きやサポートは原則オンラインのみ
・ 携帯メールアドレスは利用不可
・ 割引制度の適用なし
スマホ端末代金などの割引制度と注意点
【大手 3 社の「最大半額」割引サービス】
・ 最新スマホが最大半額になるが、2年後の返却が条件
・ 2 年後に同じ会社で買わないと値引き幅が圧縮される場合も
【乗り換え時の割引キャンペーン】
・ 値引き幅の上限は 2 万円。最新スマホの適用も。特定プランの加入が条件の場合もある
【SIM ロック】
・ 大手で分割払いで買うスマホは、原則他社の通信回線では使えないロックがかかる。 店頭での解除は有料。
・ ロックのない SIM フリースマホはネット通販などで購入可
7 社のスマホの月額料金を瞬時に比較できる料金シミュレーター
スマートフォンや PC 関連のデジタルガジェット、アニメ、ゲームの情報発信やレビューを手掛けるブログ「デジアニゲー日記」が、通信業者 7 社の月額料金を簡単に比較できる「スマホ料金簡単シミュレーター」を開発、公開しました。 ドコモの ahamo、au の povo、ソフトバンクの LINEMO にも対応しています。
月額料金と 1 年間および 2 年間の支払総額を簡単に比較
スマホ料金簡単シミュレーターでは、3 大キャリア(NTT ドコモ、au、ソフトバンク)と楽天モバイルに、格安 SIM (MVNO) の Y! mobile、UQ モバイル、ONE モバイル ONE の 3 社を合わせた 7 社、そして 3 大キャリアが最近開始したばかりの ahamo、povo、LINEMO の、月額料金と 1 1年間および 2 年間の支払総額を一気にシミュレーションすることができます。 使い方は至って簡単で、表示される質問に順に答えていくだけです。 1 分程度で結果が表示されます。
質問内容は、スマートフォンに詳しくない人でも分かりやすい内容となっており、また、質問の用語の詳細な解説を見ることもできるので、自分の望む条件を選択しやすくなっています。 大手キャリア (MNO) か MVNO のどちらを選ぶか、5G 通信の利用の有無、1 カ月間に使いたい通信容量、通話オプション、家族で使う人数、テザリングをよく使うか、などに答えていきます。 MVNO では、データの繰り越しの有無や、通信速度の切り替えの有無などの選択肢もあります。
またスマホ料金簡単シミュレーターは、1 年目の月額料金、1 年間の総額、2 年目の月額料金、2 年間の総額を算出してくれるので、短期間だけでなく、長期間の契約で安い会社も分かりやすくなっています。 (iPhoneMania = 4-9-21)
ドコモの新スマホが欲しいなら『ahamo 契約前に機種変更を』 - 同社呼びかけ
NTT ドコモは、新料金プラン「ahamo」を契約予定のユーザーに対して、機種変更を伴う場合の注意点を告知しています。 同社によると、ドコモオンラインショップでは「ahamo」の申込みはできません。 このため、ドコモオンラインショップで販売する、最新の iPhone 12 シリーズなどのドコモスマートフォンに機種変更したい場合は、ahamo を契約する前に購入するよう呼びかけています。
具体的な購入方法としては、ドコモオンラインショップで端末を購入する際に、料金プランは「5G ギガライト」または「ギガライト 2」を選択します。 端末が到着したらそのまま利用開始の手続きをします。 その後、オンライン手続きで ahamo へプラン変更することで、ahamo 契約で利用できます。 ahamo へのプラン変更は 3 月 26 日より受け付けます。 すでに ahamo を契約済みで、ドコモオンラインショップで取り扱うドコモスマートフォンへの機種変更を希望する場合は、購入手続き時に一旦 ahamo から「5G ギガライト」に変更のうえ、端末が届いた際に、再度 ahamo へプラン変更することで、ahamo 契約で利用できます。 2021 年 6 月(予定)以降は、ahamo 契約のまま機種変更できるようになります。
ahamo とギガプラン間のプラン変更は、3 回目以降はプラン変更当月は ahamo とギガプランの両方の料金が発生するため注意が必要です。 ドコモオンラインショップでは回線契約を選択しなくても端末を購入できますが、その場合は価格などの購入条件が通常と異なるため、ドコモは上記のやり方を推奨しています。
ahamo のまま機種変更できる機種も
なお「ahamo おすすめスマホ」として「iPhone 11」、「Galaxy A20 5G」、「Xperia 1 II 5G」を用意しており、こちらはドコモオンラインショップを経ずに、ahamo サイトで契約と同時に端末を購入できます。 価格は下記の通りです。
iPhone 11 (64GB/128GB/256GB) : 新規 4 万 9,390 円〜(税込、以下同)/機種変更 6 万 2,590 円
Galaxy S20 5G : 新規 6 万 2,700 円/機種変更 7 万 400 円
Xperia 1 II 5G : 新規 7 万 1,500 円/機種変更 7 万 9,200 円
ahamo は手持ちスマホのままでも OK
ahamo は iPhone 6 以降の 21 機種 (iOS) と、Galaxy/Xperia/AQUOS/arrows シリーズなどの72機種(Android)に対応しており、多くのユーザーの場合、手持ちの端末でそのまま使えます。 SIM フリースマートフォンも利用でき、動作確認のとれた機種は公式サイトにて順次掲載します。 (小口貴宏、Engadget = 3-5-21)
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ドコモのアハモ、逆張り戦略 無料通話あえて残し値下げ
NTT ドコモは 1 日、26 日に始めるオンライン専用の新プラン「アハモ」の料金を発表時から 280 円値下げし、データ通信の容量 20 ギガバイトで税抜き月 2,700 円とすると発表した。 1 回 5 分以内の無料通話を含む仕組みはそのままにする。 ライバル 2 社は無料通話を切り離して 2,480 円とし割安感を出す戦略を取ったが、ドコモはわかりやすさを重視した。 この日はアハモに対応するスマートフォンも発表。 ドコモで買ったスマホなら、ほぼ全て使える。 他社で買ったスマホがそのまま使えるかは検証中だ。
アハモの先行申し込みは 2 月 28 日時点で 160 万人を超えたという。 3 月に始める KDDI (au) の新プラン「ポヴォ」やソフトバンク「ラインモ」と比べても、申込数は最も多いとみられる。 足元ではアハモ効果で顧客流出が約 12 年ぶりに止まった。 サービス開始までに「200 万は行きそうだ(ドコモの井伊基之社長)」というほど好調な中で、あえて値下げに踏み切ったのは、他社から利用者をさらに奪いたいとの思惑がある。 アハモの申し込みは現状では、ドコモの利用者が中心だ。
ライバル2 社は無料通話を切り離したが、ドコモは 20 代でも約 9 割は音声通話を使うというデータをもとに、「逆張り」で無料通話を残した。 通話込みの料金での比較では、ライバルの 2 社より 280 円安く、税込みでも 3 千円を切る水準に設定した。 1 日の説明会で鳥塚滋人常務は「アハモはひとつのプランでわかりやすい。 料金面でもお得感があり、十分戦える」と意気込んだ。 値下げは収益にマイナスに働くが、顧客を奪えれば「(収益減は)吸収できる」とそろばんをはじく。
利用者はどう選べばいいのか。 対応するスマホでは、3 社に大きな差はなさそうだ。 対応が分かれたのは無料通話を含むかどうか。 そのため、LINE などの通信アプリで事足りるのであれば、通話を切り離せる KDDI とソフトバンクが選択肢になる。 固定電話などにかける用事が多い人にはドコモがよさそうだ。 (井上亮、asahi = 3-1-21)
ソフトバンクが携帯新料金プラン 月額 2,480 円から KDDI に対抗
携帯電話大手のソフトバンクは、データ使用量が 20 ギガバイトで新たな料金プランの詳しい内容を発表しました。 国内通話を除いて、月額の料金を 2,480 円からに改め、KDDI に対抗するねらいです。 ソフトバンクは、データ使用量が 20 ギガバイトの新たな料金プラン「LINEMO (らいんも)」について、18 日、詳しい内容を発表しました。 料金は月額 2,480 円からとして、国内通話のサービスを利用者の希望に応じて追加する形に改めました。
去年 12 月の時点では、5 分以内の国内通話の料金を含め月額 2,980 円としていましたが、その後 KDDI が 2,480 円のプランを打ち出したため、これに対抗するねらいがあります。 新たな通信規格 5G にも対応したほか、グループになる予定の SNS アプリ・LINE の音声やビデオ通話の機能などが無制限で使えるようし、手続きの受け付けやサポートは LINE でするとしています。
3 月 17 日から提供を始めるということで、ソフトバンクの寺尾洋幸常務は記者会見で「LINE とのシナジーを最大化し、8,600 万人のユーザーに最適な体験を届けたい」と述べました。 政府の値下げ要請を受けて NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手 3 社が打ち出した 20 ギガバイトのプランは、1 回 5 分以内の国内通話の料金を含めた場合、月額 2,980 円で横並びとなる形です。 (NHK = 2-18-21)
携帯値下げ、ネット弱者に厳しい現実 店頭手続きだと …
携帯大手 3 社が春の料金改定に向け、月額 2 千円台の新プランを打ち出して注目されている。 ただ、いずれも「オンライン専用」で、ネットに不慣れな人にはハードルが高い。 スマホの利用データが少ない人向けのプランは値下げされず、恩恵は一部の利用者にとどまる恐れがある。 大手 3 社は 3 月から、データ容量 20 ギガバイト (GB) で月額 2,980 円(税抜き、1 回 5 分以内の通話料を含む)のプランを提供する。 携帯会社が提供するメールは使えない。 契約やスマホの購入はネットで完結させ、人件費や店の費用を省く。 店頭での手続きには対応しない方針だという。
新プランのターゲットは IT に親しんで育った 20 - 30 代の「デジタルネイティブ」。 SNS や動画をたくさん見る世代だ。 今は 20GB の利用で月 7 千 - 8 千円がざらだが、新プランに切り替えれば 5 千円前後もの節約になる。昨秋から携帯料金の値下げを求めてきた菅義偉政権の要望にもかなう。 ただ、ネットが苦手で店頭での手続きを必要とする人には、メリットが小さそうだ。
大手 3 社は今春、データをたくさん使う大容量プランは小幅に値下げし、7GB 程度より少ない小容量プランの値下げは見送る方向だ。 ネット専用プランとの値下げ幅の差は大きい。 総務省によると、日本の携帯利用者の約 7 割は、実際のデータ利用量が 5GB 未満だ。 小容量で済む人が店頭での手続きを望む場合、大手 3 社の主力ブランドのままでは大幅な値下げは見込めないことになる。
高齢者の IT 活用に取り組む「老テク研究会」の近藤則子事務局長は、「店舗で対応が必要なプランはあまり安くできないというメッセージだと受け取った」と言う。 高齢者にスマホの使い方を教える活動にも携わる経験から、「携帯の知識がないから支払いが高くなる面もある。 プランの選択肢は増えているので、携帯会社は利用者にわかりやすく伝えてほしい。」と指摘する。
ネットに不慣れな利用者には、さらに「追い打ち」が予想される。 これまでは無料だったサービスを有料に切り替える動きが徐々に加速しそうだ。 すでに NTT ドコモは昨年、店舗でのアプリ設定などを有料にした。 ある大手関係者は「長時間の接客は、店の人件費負担がとても大きい。 新たな収益源を育てなければ店舗網の維持も難しくなる。」と話す。 (豊岡亮、井上亮、asahi = 1-27-21)
KDDI も携帯料金値下げへ 20G 月 2,480 円プラン
KDDI (aau) は、データ容量が月 20 ギガバイト (GB)、税抜き 2,480 円の新プランを 3 月に始める方針を固めた。 NTT ドコモとソフトバンクが 3 月に始めるプランより 500 円安くなる。 両社と同様、オンライン専用とすることで割安にする。 菅政権は携帯大手に対し料金の引き下げを迫ってきたが、大手 3 社の対応が出そろうことになる。
13 日に発表する。 メインブランドの「au」からオンライン専用の新プランを提供する。 au と同じ通信回線で、現行の 4G に加え、高速の 5G も使えるようにする。 KDDI は昨年から、IT に慣れた若者向けの携帯サービスを提供する準備を進めてきた。 月 2,480 円を基本としつつ、その月の利用状況に合わせて課金する体系にするとみられる。 KDDI は大容量プランの値下げも 13 日に発表する方針。 ドコモとソフトバンクはすでに大容量での値下げを表明している。 5G のデータ無制限のプランではドコモが月 6,650 円、ソフトバンクは月 6,580 円としている。 楽天は、月 2,980 円で無制限プランを提供している。 大手 3 社が同額やさらに安いプランを出すことで、対応を迫られる。 (asahi = 1-12-21)
携帯料金値引きプラン「誤認招く」 大手 4 社に改善促す
携帯電話料金の値下げを促す一環で、料金プランなど広告表示の総点検を実施していた消費者庁は 25 日、点検結果を発表した。 一部の契約者だけが該当する最安プランのみを強調して表示するなど、消費者の誤認を招きかねない表示があるとし、携帯電話大手 4 社(NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)に改善を促した。 点検は、消費者にとって分かりやすい表示になっているか、各社のウェブサイトや店頭のパンフレットの記載内容を調査した。
まず指摘したのは、基本料金に対し、様々な条件で割引が適用されるプランの表示。 全ての割引が適用される契約者は一部なのに「最安料金だけが強調して書かれており、どのような条件を満たせばいくら割引になるのか分かりにくい」と指摘。 条件ごとの値下げ額を一覧にするなど、明確化を求めている。 また、割引が一切適用されていない他社の基本料金と比較して自社の価格をアピールする社もあり「消費者に誤認を与えるおそれがある」とした。
携帯と、自社の固定インターネット回線サービスを一緒に契約することで携帯料金を割り引くプランでは、固定ネットの契約費用や期間の縛り、違約金などを明瞭に表示していない社もあった。 通信速度が速い 5G サービスでは、周波数ごとに性能の違いがあり、社によっては提供エリアが極めて限定的な場合がある。 そうした点を消費者へ丁寧に説明することも求めた。 井上信治・消費者担当相は 25 日の閣議後会見で「現段階で誤解を招く表示になっているとしたら、消費者はお困りですから、なるべく早く是正をしてもらいたい」と話した。 (前田朱莉亜、asahi = 12-25-20)
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