三菱 UFJ 銀行、8.5% 超の賃上げ 34 年ぶりの水準

三菱 UFJ 銀行は 28 日、行員の給与を 9 月分から 8.5% 超の賃上げをすることで、労働組合と妥結したと発表した。 労組の要求を超えた回答。 合併前の 1990 年以来、34 年ぶりの水準になるという。 基本給を底上げするベースアップを 1 万円以上実施する。 また、新たな中期経営計画策定に伴う特別一時金として、最大 15 万円支給する。 特に若年層の賃上げを手厚くし、大学新卒の初任給は前年比 24.4% 増の 25 万 5 千円になるという。

賃上げとは別に、三菱 UFJ フィナンシャル・グループ内 3 社の管理職約 5,600 人に株式を交付することも決めた。 株数などは非公開。 三井住友銀行とみずほ銀行もすでに約 7% の賃上げを実施するとしており、3 メガいずれも高水準の賃上げ率となった。 (山本恭介、asahi = 3-28-24)


春闘の賃上げ率 5.28%、33 年ぶり高水準 中小に波及するか焦点

労働組合の中央組織・連合は 15 日、今年の春闘で定期昇給(定昇)を含む正社員の賃上げ率は平均 5.28% だったとする初回集計結果を発表した。 過去の最終集計と比較すると、1991 年 (5.66%) 以来、33 年ぶりに 5% を超えた。 高水準の結果は、日本銀行のマイナス金利政策の解除に向けた検討を後押ししそうだ。 初回集計は、15 日午前 10 時までに回答のあった傘下の 771 組合分をまとめた。 物価高や人手不足に加え、物価が下がり続けるデフレからの脱却に向けて労使がともに賃上げを唱えるなか、前年の同じ時期の 3.80% から 1.48 ポイント伸びた。

基本給を底上げするベースアップ(ベア)については、明確にわかる 654 組合の平均で 3.70% となり、前年同期と比べて 1.37 ポイント伸びた。 ベアと定昇を含めた 11 人当たりの賃上げ額は、前年同期比 4,625 円増の 1 万 6,469 円だった。 また、厳しい人手不足を背景にパートや契約社員といった非正規労働者の賃上げ率は、時給ベースで 6.47% で、前年同期を 0.56 ポイント上回った。 連合の芳野友子会長は記者会見で、5% を超える賃上げが実現したことについて「労使の賃上げにむけた考えが一致し、人への投資が不可欠との認識を深めたことが背景にある」と話した。

今後の焦点は、賃上げの機運を、これから春闘が本格化する中小企業の賃上げに波及できるかに移る。 これまでに回答のあった組合員 300 人未満の中小(358 組合)の賃上げ率は 4.42% だが、300 人以上の大手 (413 組合、5.30%) には届かない。 まだ回答を受けていない中小の労組が多く、結果次第では全体の賃上げ率も伸び悩む可能性がある。 22 カ月連続で減少が続く実質賃金がプラスに転じて、経済の好循環につながるか。 日銀も 2013 年に始めた大規模な金融緩和からの転換に向けて、中小企業に賃上げが波及しているかにも注目している。 (片田貴也、asahi = 3-15-24)


京セラなど 10 社、下請けコスト増分を価格転嫁せず 公取委公表

公正取引委員会は 15 日、従業員の賃金を含むコスト上昇分を下請け企業との取引価格に適切に転嫁していなかったとして、京セラやダイハツ工業など 10 社を公表した。 岸田政権は物価高を上回る賃上げの実現には、雇用の 7 割を占める中小企業の賃上げが不可欠との立場で、社名公表により賃上げを後押ししたい狙いがある。

公取委は、物価高が進みコスト上昇が多くの中小企業の経営に影響を与えるなか、立場が弱い下請け企業の人件費など労務費の価格転嫁が十分に進んでいないとみて昨年 12 月、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」の恐れがある 8,175 事業者に注意喚起の文書を送付したと公表。 これらの事業者のうち、下請け企業から多く名前が挙がった事業者を個別に調査し、協議をせずに価格を据え置くなどの事案が相当数認められた 10 社を公表した。

公取委が社名を公表したのは、▽ イオンディライト、▽ SBS フレック、▽ 京セラ、▽ 西濃運輸、▽ ソーシン、▽ ダイハツ工業、▽ 東邦薬品、▽ 日本梱包運輸倉庫、▽ PALTAC、▽ 三菱ふそうトラック・バス - - の 10 社。 (古屋敷尚子、mainichi = 3-15-24)


大阪の中小企業、賃上げ予定 7 割超 人手確保の側面強く

大阪商工会議所と関西経済連合会は「経営・経済動向調査」で、大阪の中小企業の賃上げに関する調査結果を発表した。 中小企業のうち、「業績改善がみられるため、賃上げを実施」が 28.0%、「業績改善はないが、賃上げを実施」が 44.4% で、あわせて 72.4% が賃上げ予定とした。 ただ、賃上げを予定している中小企業のうち、「業績改善はないが、賃上げを実施」する企業が 6 割を占め、人手を確保するための「防衛的な賃上げ」の側面が強い。 賃上げ率で最も多かったのは、「2% 以上 3% 未満」と「3% 以上 4% 未満」でともに 21.2% だった。 以降、「4% 以上 5% 未満」の 13.1%、「1% 以上 2% 未満」の 10.9%、「5% 以上 6% 未満」の 4.4% と続いた。

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パート時給の賃上げ率 6.45%、正社員を上回る UA ゼンセン集計

流通や繊維などの労働組合でつくる産業別組織、UA ゼンセンは 14 日、今年の春闘で傘下労組の平均賃上げ率(1 次集計)を発表した。 基本給を底上げするベースアップ(ベア)や定期昇給を含めて、パート従業員の賃上げ率(時給)は 6.45% だった。 人手不足などを背景に、正社員の月給の賃上げ率 (5.91%) を上回った。 いずれの賃上げ率も 2012 年の結成以来で過去最高だ。 14 日午前 10 時までに妥結した、正社員 127 組合分(約 26 万人)、パート従業員 104 組合分(約 53 万人)を集計した。

パート従業員の賃上げ率は前年同時期と比べて 0.55 ポイント上昇した。 特に人手不足感が強い地方のスーパーなどで高水準の賃上げが相次ぎ、1 次集計時点ではパートが正社員の賃上げ率を 8 年連続で上回った。 正社員については、賃上げ率は前年同時期と比べて 1.35 ポイント上がった。 127 組合のうち 55 組合が満額回答、13 組合が労組の要求を上回る「満額超え」の回答を得た。 賃上げ率のうち物価高への対応で重要なベア分は、明確にわかる 95 組合で 4.05% だった。 UA ゼンセンの松浦昭彦会長は「特に流通・サービス業は人手不足で人材獲得の意識が非常に強く、高水準の賃上げにつながっている」と話した。 (片田貴也、asahi = 3-14-24)


日本製鉄、過去最高のベア 3 万 5 千円回答 労組要求を大幅に上回る

春闘は 13 日、多くの大企業が労働組合の賃上げ要求に答える集中回答日を迎えた。物価高を受け、労組側からは歴史的な賃上げ要求が出され、高水準の回答が相次いだ。昨年の春闘で 30 年ぶりの高さとなった賃上げ率が、今年はどこまで伸びるかが焦点となる。

日本製鉄は、ベア相当分として月 3 万 5 千円を労働組合に回答した。 賃上げ率はベアだけで 11.8%、定期昇給分を含むと 14.2% になる。 労組が要求していた月 3万円を大幅に上回り、これまでで最高だった 1974 年の新日本製鉄時代の回答額 2 万 3 千円(要求は 3 万円)を超える。 引き上げ後の賃金水準は、国内の製造業でトップに近づく見通しだ。 日鉄は「人への投資」を加速させるため、初任給を改定することも発表した。 グローバルグループ大学(4 年制)卒業者で 4 万 1千円を、エリアグループ高校卒業者で 3 万円を、それぞれ増額する計画だ。 (asahi = 3-13-24)


電機大手 12 社、シャープ除く 11 社が満額回答 … いずれも 1998 年以降最高

2024 年春闘を巡り、電機大手 12 社のうち、日立製作所や三菱電機など 11 社が、基本給を底上げするベースアップ(ベア)について、労組側が要求した月額 1 万 3,000 円に対して、満額で回答したことがわかった。 シャープは月額 1 万円と回答した。 いずれも比較できる 1998 年以降の最高額となる。 (yomiuri = 3-13-24)


川崎重工業、IHI が春闘賃上げに満額回答

川崎重工業は 13 日、今春闘で労働組合が要求していた基本給を底上げするベースアップ(ベア)に相当する 1 万 8,000 円について、満額で回答した。 IHI も賃上げに満額回答した。 (kyodo = 3-13-24)


スズキ、春闘で要求超えの回答 定昇含め平均 10% 以上賃上げ

スズキは 8 日、人事制度改革で給与体系を見直し、組合員平均で定昇を含み 10% 以上の賃上げを実施すると労働組合側に回答した。 組合側は定昇込みで 1 人 2 万 1 千円の賃上げを要求していたが、会社側は「要求を超える回答だ(広報)」と説明している。 新卒の初任給は大卒 25 万 1 千円(14.1% 増)、高卒 20 万 1 千円(12.0% 増)と、大幅に引き上げる。 子育て支援にかかわる手当も手厚くし、若年層の賃金水準を引き上げる。

一方、60 歳以上で再雇用された嘱託社員についても、原則として 60 歳時点の業務と賃金を維持するように見直す。 年間一時金(ボーナス)は組合要求通りの 6.2 カ月分を回答(前年は 5.8 カ月分)した。 13 日の集中回答日を待たずに決着した。 鈴木俊宏社長は「組合の要求と人事制度改革について議論を重ね、共通理解にすることができた」とコメント。 「当社だけでなくグループが稼ぐ力を伸ばし、(取引先を含む)サプライチェーン全体で成長できるよう、人的資本投資を促進する」とした。(大平要、asahi = 3-8-24)

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スズキ労組、過去最高水準 2 万 1千円賃上げ方針

スズキ労働組合は中央委員会を開き、定昇を含む賃金引き上げについて、組合員 1 人あたり月 2 万 1 千円を要求することを決めた。 前年の 1 万 2,200 円(満額回答)を大幅に上回る過去最高水準。 一時金も年 6.2 カ月分(前年は 5.8 カ月分要求に満額回答)と、過去最高の要求となった。 武藤憲司・中央執行委員長は「急成長を描く経営計画の達成や、2 年連続の急激な物価上昇を考えた。 能登半島地震からの復旧、復興のためにも、経済を回していく必要がある。」と交渉に向けた意気込みを語った。 要求書は 14 日に経営側に提出する。 (asahi = 2-11-24)


春闘賃上げ要求の平均 5.85% 連合集計、30 年ぶりの 5% 超え

労働組合の中央組織・連合は 7 日、傘下組織による春闘での賃上げ要求の平均(初回集計)が 5.85% だったと発表した。 物価高が続いていることなどを受け、前年から 1.36 ポイント増えた。 5% を超えるのは 1994 年(最終集計)の 5.40% 以来 30 年ぶり。 4 日正午までに要求した 3,102 組合分を集計した。 賃上げ率は年齢や勤続年数に応じた定期昇給なども含まれる。 物価高への対応として重要なベースアップ(ベア)分は、明確に分かる 2,479 組合の平均で 4.30% で前年から 1.47 ポイント上がった。

要求水準を組合員数別にみると、300 人未満の中小組合は 5.97% (前年比 1.30 ポイント増)で、300 人以上の 5.84% (同 1.37 ポイント増)を上回った。 格差是正の動きが背景にある。 パートや契約社員など非正規労働者についての要求額も、時給で 75.39 円と前年から 9.25 円増えた。 芳野友子会長はこの日の会見で、要求が高水準となった背景に物価高や人手不足をあげ、「企業業績がよくなり、今春闘は(ステージ転換をはかる)正念場という意気込みもあり、かなり良い水準の要求になった」と話した。

連合集計によると、昨年の春闘の賃上げ率は平均 3.58%。 組合員 300 人未満の組合に限っても 3.23% で、いずれも 30 年ぶりの高水準だった。 ただ、物価上昇の影響で、厚生労働省が今月 7 日に発表した 1 月分の毎月勤労統計調査(速報)では実質賃金が前年同月より 0.6% 減と22カ月連続のマイナスとなった。 大手企業からの回答は 3 月半ばに集中し、連合は初回の回答集計を 15 日に公表する予定。 日本経済研究センターの集計で、民間エコノミストの賃上げ予測の平均は 3.88% で、うちベアが 2.22% となっている。 (片田貴也、asahi = 3-7-24)


サントリー満額回答、7% 賃上げ 過去 20 年で最高

サントリーホールディングスは 4 月分の給与から、月 1 万 3 千円のベースアップ(賃金改善)をすると発表した。 この日の初回交渉で、組合からの要求に満額で妥結した。 直近 20 年間で最も高いという。 定期昇給分と合わせると、平均で約 7% の賃上げになる。 新浪剛史社長は「物価上昇が続き不確実な経営環境が続くなかでも、社員に安心してイキイキと働いてほしいという願い、生産性のさらなる向上や新たな価値創造に一層挑戦してもらいたい、との期待を込めた。」との談話を出した。 対象は同社員約5,200 人。 傘下のサントリー食品インターナショナルも同水準の賃上げを見込んでいて、2 社合計で約 7,200 人規模のベアになる。

いすゞ自動車が満額回答 賃上げ月平均 1 万 9 千円は過去最高

いすゞ自動車は、今春闘の 2 回目の労使交渉で、労働組合が求めていた賃上げと年間一時金(ボーナス)に満額回答したと発表した。 賃上げは、ベアと定期昇給をあわせて月平均 1 万 9 千円で過去最高。 賃上げ率は 6% 超になるという。 いすゞが、3 月の回答指定日より前に、回答を出すのは初めて。 理由について「若手を中心とした次世代の人財の確保や物価上昇への対応、社会的な賃上げのモメンタムに応えるため」と説明する。 年間一時金も組合の要求通り、6 カ月で満額回答した。 (asahi = 2-28-24)


モスフードサービス、約 650 人対象に初のベア実施

モスバーガーを運営するモスフードサービスは、4 月分の給与から、月 1 万円のベースアップ(賃金改善)をすると発表した。 同社がベアを実施するのは初めて。 定期昇給分と組み合わせると、平均で 8% の賃上げになるという。 グループ会社でも同水準の賃上げを予定している。 対象は、同社の正社員や嘱託社員の計約 650 人。 賃上げの理由について同社は「人材流出を防止し、物価上昇による生活への不安軽減を図る」としている。 (asahi = 2-27-24)


全医労、賃上げ交渉で「指名ストライキ」計画

国立病院機構の医師や看護師ら職員でつくる「全日本国立医療労働組合(全医労、約 1 万 8 千人)」は 3 月 1 日にストライキを計画していると発表した。 賃上げなど処遇改善を求めて機構側と交渉しており、交渉が決裂すれば特定の組合員を指定する「指名ストライキ」を行う。 2023 年度の賃金改定要求では常勤職員の月額基本給 4 万円アップのほか、非常勤職員については時給 250 円引き上げや経験加算制度の創設を求めている。 昨年 11 月以降に機構側と交渉してきた。

今月 29 日の団体交渉で決裂した場合、47 都道府県の 137 病院で始業時から 1 時間、組合員 2 人ずつが参加する予定だ。 実施されれば昨年に続き 2 年連続となる。 会見で前園むつみ委員長は「黙っていたら何も変わらない。 賃金が上がらないことで人が辞めていけば、(人手不足の)大変な状況がますますひどくなる。」と主張した。 (asahi = 2-26-24)


すかいらーく HD、ベア 1 万 7,400 円 初回交渉で妥結は初めて

ファミリーレストラン大手のすかいらーくホールディングスは、今春闘の初回の労使交渉で、労働組合からの月 1 万 7,400 円のベースアップ(賃金改善)要求に満額回答した、と発表した。 初回交渉で妥結したのは初めてという。 定期昇給分を含めた賃上げ総額は平均で 2 万 1,333 円 (6.22%)。 賃上げ率は過去最高だった去年の 4.38% を上回った。 対象は、同社や中核子会社の「すかいらーくレストランツ」の正社員計約 4,200 人。 賃上げの理由について同社は、物価高騰のなかでの従業員の、▽ 生活水準の向上、▽ 賃上げによる経済の好循環、▽人的資本投資を積極化する - - としている。 (asahi = 2-26-24)


イオンリテール、パート賃上げ 7% 超で妥結 7 万人対象

繊維や流通、外食などの労働組合でつくる産業別組織の「UA ゼンセン」は、流通大手イオンの中核子会社で、総合スーパーを運営するイオンリテールが、パート従業員の時給を 7.02% (実額 76 円 66 銭)引き上げることで妥結した、と発表した。 引き上げの対象は約 7 万人。 前年実績の 7.00% (同 71 円 90 銭)を超え、2 年連続で 7% 以上の賃上げとなった。 労組の要求に沿った満額の回答となり、前年より 1 週間ほど早い決着だ。

正社員についても、定期昇給を含む賃上げ総額が平均 6.39% (同 1 万 9,751 円)で妥結した。 前年実績の平均 5.03% (同 1 万 5,061 円)を上回った。 基本給を底上げするベースアップは 3.24% (同 1 万円)だった。 UA ゼンセンによると、同社のほかにイオン九州やイオン北海道などグループ 5 社も同日、組合要求に対して満額回答で妥結したという。 (asahi = 2-21-24)


ヤマハ発動機、初回交渉で「満額」 前倒しは初めて

ヤマハ発動機は、今春闘の初回の労使交渉で、労働組合からの月 1 万 1 千円のベースアップ(賃金改善)要求に満額回答したと発表した。 定期昇給分を含む賃上げ総額は 1 万 7,400 円。 一時金(ボーナス)も要求通り、年 6.5 カ月分を回答した。 同社が、春闘で集中回答日(3 月半ば)を待たずに回答するのは初めて。 「昨今の物価上昇や経済の好循環へ貢献するという社会的要請を踏まえて、満額で回答することを決定した」とコメントした。 残り 3 回予定している労使交渉では、「職場や働き方の課題について議論する」という。 (asahi = 2-21-24)

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ヤマハ労組、単身赴任手当の期限撤廃も要求

楽器メーカー、ヤマハの労働組合は、今春闘で月 1 万 3 千円の賃金改善(ベア)を要求することを決めた。 前年は 7 千円を求め、要求を上回る 8 千円の回答だった。 一時金(ボーナス)は年 5.2 カ月分(前年は 5.9 カ月分に満額回答)を要求する。 このほか、現在 4 年までとなっている単身赴任手当の期限撤廃も求める。 伊佐地豪文(かつふみ)・中央執行委員長は「共働きが増えている中、単身赴任の解消がどうしても難しい場合には、手当で報いて欲しい」と話した。 要求書は 16 日に提出し、経営側は 3 月 13 日に回答する予定だ。 ヤマハの山畑聡取締役は「業績は厳しいが、賃上げはするだろう。 組合要求に応えるというよりは、業界を超えた人材確保の競争だ。」と話す。 (asahi = 2-15-24)

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ヤマハ発動機労組、ベア 1 万 1 千円要求決め

二輪大手のヤマハ発動機(静岡県磐田市)の労働組合は中央委員会で今春闘で 1 万 1 千円のベースアップ(ベア)を含む、1 万 7,400 円の賃金改善を求めることを決めたと明らかにした。 物価上昇率を上回る 5% 以上の賃上げ率になるという。 前年はベアで 7 千円を求め、要求を上回る 9 千円の回答を得た。 その後も物価上昇が進んだため、前年を上回る要求とした。 年間一時金(ボーナス)は 6.5 カ月分。 前年は 6.6 カ月分を求め、6.5 カ月分の回答だった。 賃上げにより、今年の要求は金額では前年を上回る。 平野雅紀・中央執行委員長は「自動車産業全体で人材不足が深刻化している。 よりよい人材を獲得するためには魅力を高める必要があり、賃金も継続的に上げていかなければならない。」と話した。 (asahi = 2-9-24)

ヤマハ発動機社長「インフレ率以上の回答したい」

ヤマハ発動機の日高祥博社長は、2023 年 12 月期の決算発表会見で「昨年末以降、インフレ率以上の賃上げはしなきゃいけないと発言してきた。 そのスタンスに沿って回答していきたい。」と述べた。 同社の労働組合は午前、昨年要求を 4 千円上回る、月 1 万 1 千円のベースアップを経営側に要求した。 (asahi = 2-14-24)


ホンダが満額回答 賃上げ総額 2 万 1,500 円、過去最高

ホンダは今春闘で、労働組合が要求していた賃上げと一時金(ボーナス)に満額回答したと発表した。 昨年に続くスピード決着となった。 ベア相当分の回答は月平均 1 万 5 千円。 要求額に 1,500 円上乗せした形だが、これは 22 年春闘で妥結した「人への投資」分としている。 定期昇給まで含めた賃上げ総額は 2 万 1,500 円で賃上げ率は 5.6% になる。 ボーナス 7.1 カ月分も満額回答で、いずれも過去最高となった。

また、大卒初任給は 1 万 1,300 円引き上げて 26 万 2,300 円(現在は 25 万 1 千円)になる。 非正規従業員についても平均 5.3% の賃上げを実施する。 ホンダの青山真二副社長は「労使双方の課題認識が大枠で一致したため、早期に満額回答した。 経営としてこれまでの職場のがんばりに報い、より一層のがんばりに期待するという強い意志の表れだ。」とコメントした。 (asahi = 2-21-24)

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ホンダ労組、月 1 万 3,500 円要求 31 年ぶり高水準

ホンダの労働組合「本田技研労働組合」は、ベア相当額で月 1 万 3,500 円を要求した。 平均賃金の 3% 超にあたり、1993 年以来 31 年ぶりの高水準だ。 年齢や勤続年数などに応じた定期昇給(定昇)を含めた合計額は 2 万円で、全体では 5% 超の賃上げになるという。 一時金は過去最高の 7.1 カ月分(昨年は 6.4 カ月分)とした。 交渉に臨んだホンダの青山真二副社長は「経営としての強い意志を示しながら『意志を持って行動し、成果を出す従業員を増やすことで、それぞれの職場における変革につなげていくこと』を達成するため、スピード感を持って労使議論をしていく」とコメントした。 (asahi = 2-14-24)


マツダが賃上げ 1 万 6 千円の満額回答、一時金含めた引き上げ率 6.8%

マツダは今春闘で、労働組合が要求した賃上げや一時金に満額回答したと発表した。 ベアと定期昇給などを合わせた賃上げは月 1 万 6 千円で、総額要求になった 2019 年以降で最高。 年間一時金(ボーナス)は 5.6 カ月で、こちらも満額回答。 賃上げと年間一時金を合わせた、賃金全体の引き上げ率は 6.8% という。 14 日に労組が申し入れて以降、初となる労使協議会で会社側は満額回答を示した。 指定回答日は 3 月 13 日だったが、前倒し回答は、2 回目の労使協議会で回答した 05 年以来という。

人事担当の竹内都美子(とみこ)執行役員は大幅な処遇改善について「経営への財務的影響などを考慮した」としたうえで、「人の力を引き出せる環境をつくることが、会社の持続的成長と地域との共存共栄への貢献につながると考えた」と語った。 (asahi = 2-21-24)

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マツダ労組、月 1 万 6 千円要求 03 年以降で最高

マツダ労働組合は、現在の人事制度になった 2003 年以降で最高となる 1 人あたり月 1 万 6 千円の賃上げを要求した。 この額には賃金改善分と定期昇給分を含む。 賃上げ率は 4.9%。 年間一時金は 5.6 カ月分(前年は 5.3 カ月)を求めた。 昨年は 1 人あたり月 1 万 3 千円の賃上げを要求し、満額回答を得た。 (asahi = 2-14-24)


九州 FG 傘下銀、5% 以上賃上げへ 初任給「メガバンク並みに」

南九州を地盤とする九州フィナンシャルグループ (FG) は、今春から傘下銀行で 5% 以上賃上げする方針を決めた。 肥後銀行(熊本県)ではベースアップ 3.8% と定期昇給 2.0% を合わせ、約 5.8% の賃上げ。 鹿児島銀と九州 FG 本体は、いずれもベアと定期昇給を合わせ 5% 以上引き上げる。 肥後銀と鹿児島銀の大卒の初任給も、2 年かけて引き上げる。 いずれも今春は 2 万円引き上げた 24 万円、来春は「メガバンク並み」の 26 万円とする。 (asahi 2-20-24)


シャープ労組、ベア 1 万 3 千円要求 初任給は 9 千円増

シャープ労働組合は、月 1 万 3 千円のベアを要求した。 上部団体である電機連合の統一要求に足並みをそろえた。 初任給は 9 千円の引き上げを求める。 シャープは 2024 年 3 月期の純損益が 100 億円の赤字になる見通し。 労組幹部は取材に「実質賃金は下がっている。 業績が厳しい中でも組合員のモチベーションを上げていかないと、持続的成長につながらない」と話した。 また、「電機連合の統一要求に今ついていかないと、人材の確保・定着が難しくなるのではないかという危機感もあり、しっかり要求しようと判断した」という。

パナソニックグループ労連、傘下組合がベア 1 万 3 千円要求

パナソニックグループ労働組合連合会は、傘下の主要 10 組合が月 1 万 3 千円のベアを要求したと発表した。 定期昇給分を含めた賃上げ率は 6 - 7% 程度としている。 福沢邦治・中央執行委員長は「人材確保が非常に難しくなっている。 これをクリアさせていくことと、デフレ環境を完全に払拭させるという意味で、1 万 3 千円という水準に至った」と述べた。 同労連では昨年に続き、傘下の 122 労組が、それぞれの事業会社と労使交渉を行っている。 今回はグループ全体の統一要求として、ベア 1 万 3 千円以上、年間一時金 5 カ月分を掲げた。

日立製作所「期待の声は承知している」 労組、ベア 1 万 3 千円要求

日立製作所労働組合は、昨年を 6 千円上回る、ベア 1 万 3 千円を要求した。 一時金は 6.4 カ月分とした。 日立製作所の人事担当の田中憲一常務は「昨年を上回るような賃金引き上げを期待する声があることは承知している」と話し、業績や国内外の経済の動向などを踏まえて検討していく考えを示した。 (asahi = 2-15-24)


JR 東労組、ベア 1 万 2 千円要求 2 年連続 1 万円超

JR 東日本労働組合は、今春闘で月 1 万 2 千円のベアを要求する方針を決めた。 要求額は加盟する JR 総連の方針に合わせた。 1 万円超えは 2 年連続となった。 前年は 1 万円の要求に対し 5,957 円の回答だった。 旅客需要が想定を上回る堅調ぶりで、会社は 1 月末に 2024 年 3 月期の純利益見通しを 1,650 億円になるとし、従来予想から 280 億円上方修正した。 労組は現場への還元を求めている。

自動車総連会長「勇気づけられるスタート」

自動車関連の労組でつくる自動車総連の金子晃浩会長は会見で、高水準の要求が相次いでいることについて「額も含めて大きな勢いのある要求をしていただいたので、勇気づけられるようなスタートではないか」と評価した。 春闘を通じて強い需要が引っ張る日本経済への転換を説き、「そのためには賃上げが必要だ。 30年間上がらなかった賃金を動かす大きな年になる」と話した。

ダイハツ労組、ベア要求見送り

ダイハツ労働組合は今春闘で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の要求を見送った。 昨年はベアと定期昇給を合わせて月 1 万 1,200 円の賃上げを要求し、2006 年以来の満額回答を得ていた。 ダイハツ工業によると、労組側からは「会社の状況を鑑みた結果」との説明があったという。 同社は昨年 12 月に大規模な車両認証不正を行っていたことを発表。 国内四つの完成車工場が稼働を止め、現在も二つの工場で稼働再開の見通しが立っていない。 稼働停止期間分の仕入れ先企業への補償に資金も必要となる中、労組はベアを見送る判断に至ったとみられる。 ただ、ベアは要求しないが、労組側は年間一時金については 5.0 カ月分(前年は 5.5 カ月分)を求めた。 定期昇給分の賃上げについては別途協議するとしているという。

全トヨタ労連 持続的な賃上げ「日本全体に問われている」

トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会が開いた記者会見で、吉清一博事務局長は「働く者の生活や、労働の価値を守るという観点で、物価上昇に負けない賃上げを持続的にできるかが、日本全体に問われている」と語った。

三井金属、ベア月 2 万円で合意 要求を 5 千円上回る

三井金属は、ベア月 2 万円で労働組合と合意した、と発表した。 労組が要求していた 1 万 5 千円を上回り、バブル後の最高額だという。 4 月から実施し、定期昇給を含めた平均賃上げ率は 7.7% となる。 今回の合意は、管理職をのぞく一般社員が対象。 管理職についてもベアをする方針で検討中だという。 ベアは前年の月 4 千円増に続く賃金改定となる。 若手人材の獲得につなげるため、初任給も卒業の区分によって 2 万 - 4 万 5 千円増額する。 大学の学部卒で入社すると 2 万円増となり、現行の 23 万 4 千円から 25 万 4 千円にアップする。

中小企業、賃上げ予定は 61.3%

日本商工会議所が発表した中小企業の賃上げ動向の調査によると、2024 年度に賃上げを予定する企業は 61.3% で前年より 3.1 ポイント上昇した。 ただし、その 6 割は、業績が改善したわけではないものの人手の確保につなげる「防衛的賃上げ」だという。 調査は 1 月、全国 6 千社あまりを対象に実施し、約半数から回答を得た。

日産労組、月 1 万 8 千円要求 過去最高

日産自動車労働組合は、現在の賃金体系になった 2005 年以降で最高となる 1 人あたり月 1 万 8 千円の賃上げを要求した。 前年より 6 千円高く、賃上げ率は 5% を超える。 年間一時金は 5.8 カ月分(前年は 5.5 カ月分)を求めた。 昨年は 1 人あたり月 1 万 2 千円の賃上げを要求し、満額回答を得た。

トヨタ労組、1999 年以降で過去最高水準の賃上げ要求

トヨタ自動車労働組合は、経営側に「比較可能な 1999 年以降では過去最高の水準」の賃上げを求めた。 賃上げには、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給分を含む。 組合員平均として賃上げを求めるのではなく、職種や階級別に 17 種類の要求額を示しており、いずれも昨年を大幅に上回る額を求めた。 ボーナスについても過去最高となる、基準内賃金の 7.6 カ月分を要求している。 (asahi = 2-14-24)


重工大手 1 万 8 千円を要求

川崎重工業の川崎重工労働組合は、今春闘の要求として月 1 万 8 千円の賃上げ(賃上げ率は 5.3%)を求める要求書を同社の山本克也副社長に手渡した。 労組の浜田圭・中央執行委員長は「私たちの労使の責務はデフレマインドから真の意味で脱却をし、日本経済を好循環に転換させることにある」と述べた。 昨年の春闘では月 1 万 4 千円の賃上げを要求したのに対して、1974 年以来、49 年ぶりの満額回答だった。 今年は前年実績を上回る要求だが、浜田委員長は「物価の上昇は続いている。 このままでは生活の質と量を維持することは不可能だ」と訴えた。 経営側は「社会的な責務も意識しつつ、様々な考慮要素を踏まえ、検討していきたい」とするコメントを出した。

ほかの重工大手の三菱重工業、IHI の労働組合も要求書を提出し、月 1 万 8 千円の賃上げを要求した.

オリエンタルランドが平均 6% 賃上げへ

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは従業員の賃金を 4 月から平均で約 6% 上げる方針を明らかにした。 従業員が働きがいを感じられるようにするためといい、平均で約 7% を引き上げた前年に続いて、高い賃上げ率となる。 対象は社員や準社員(パート・アルバイト)ら約 2 万 4,400 人。 時給は一律で 70 円引き上げ、改定後は 1,210 - 1,600 円になる。 2024 年度の新入社員の初任給は一律 1 万 7 千円引き上げる。 改定後は大卒・大学院卒の初任給が 25 万 5 千円となる。 労働組合からの要望を受けて協議していた。

JR 東海労組、ベア 1 万円要求 1995 年以来の水準

JR 東海の最大の労働組合「JR 東海ユニオン」は 9 日、月 1 万円(約 3%)の基本給ベースアップ(ベア)を軸とする今春闘の要求書を経営側に出した。 1 万円以上のベア要求は、1995 年に 1 万 200 円を求めて以来だという。 昨年はベア 3 千円を要求し、1 千円で妥結した。 今年はコロナ禍の影響がやわらいで東海道新幹線の乗客数が回復し、業績が上向いていることを踏まえた。 一時金の夏季手当については月給 3 カ月分を要求。 勤務地による手当額の格差も問題視し、高いほうにそろえて解消するよう求めた。

日鉄労連、50 年ぶり高水準 3 万円賃上げ要求

日本製鉄労働組合連合会は 9 日午前、「基本賃金の 1 人あたり 3 万円改善」を柱とする今春闘の要求書を経営側へ提出した。 賃上げの要求額としては、過去最高だった新日本製鉄時代の 1975 年の 3 万 2 千円(回答は 2 万 3 千円)に次ぐもので、3 万円(回答は 1 万 5,500 円)を求めた 74 年以来の水準。 当時はいずれも毎年の交渉で、98 年から 2 年に 1 回となったが、経営環境をふまえ今春闘は単年度での賃金交渉に切りかえた。

労連の幸野直通会長は東京都千代田区の日鉄本社で「厳しい事業環境においても高収益を確保できる企業基盤を構築できたことは、組合員のたゆまぬ協力・努力があったからこそである」などと要求書を読み上げ、日鉄の十河英史常務執行役員へ手渡した。 経営側は交渉に向けて「要求を真摯に受け止める。 会社の思いや期待をできうる限りわかりやすく説明するとともに、人材確保・活躍推進の実現に向け、理解を深めたい。」とコメントした。

JFE スチールの労働組合が要求書提出

鉄鋼大手 JFE スチールの労働組合は 9 日、月額 3 万円の賃上げなどを求める春闘の要求書を同社の上田洋輔専務に提出した。 労組は要求について「組合員の総意である今次要求に対して会社の誠意ある対応を求める」とコメントした。 鉄鋼業界の労働組合は2年に1度、2年分の賃金改善を要求する方式を長年とってきた。 このため昨年分は一昨年にすでに妥結済みだったため、要求しなかった。 今年は物価高に対応するため、単年度分のみを要求している。 (asahi = 2-9-24)


トヨタ労組、今春闘でもベア要求 引き上げ額「過去最高水準」求める

トヨタ自動車労働組合は 29 日、春闘の要求の執行部案を公表した。 昨年に続き、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を求める。 平均賃金の引き上げ額は明らかにしないが、比較可能な 1999 年以降では、過去最高の水準という。 年間一時金(ボーナス)については、過去最高となる、基準内賃金の 7.6 カ月分を要求する。 正社員の賃金については、職種や階級別に要求額を示しており、いずれも昨年を大幅に上回る額を求める。

トヨタの業績は半導体不足が解消し、世界生産、販売が復調したため好調だ。 物価上昇や、人材確保へ向けて魅力向上を目指し、若手を中心に待遇改善に力を入れる。 記者会見した鬼頭圭介委員長は「組合員の努力は、決算として出ている」とし、「要求を掲げたからには(満額回答を)勝ち取るべく会社と議論したい」と話した。 トヨタは昨年、労組からの賃上げと一時金(ボーナス)の要求に初回の労使協議で満額回答で応じている。 (江口英佑、asahi = 1-29-24)


連合・経団連どちらも「賃上げを」 物価上昇を上回るか 春闘幕開け

経済界と労働組合の代表が賃上げなどについて話す経団連主催の「労使フォーラム」が 24 日、東京都内で開かれた。 物価が下がり続けるデフレを脱却して、賃金や物価が安定して上がる社会に向け、労使がともに賃上げを唱える異例の春闘が事実上始まった。

労働組合の中央組織・連合の芳野友子会長はこの日、「今春闘は、経済も賃金も物価も、安定的に上昇する経済社会へとステージ転換を確実に進める正念場だ」と強調した。 連合は今年の春闘に向けた統一要求の賃上げ目標を「5% 以上を目安」と設定。 昨年の「5% 程度」より表現を強め、傘下の産業別労働組合も要求額を過去最高とする方針が相次ぐ。 一方、中国訪問中でビデオメッセージとなった経団連の十倉雅和会長は「物価動向を重視し、ベースアップを念頭に置きながら、できる限りの賃金引き上げの検討、実施を」と呼びかけた。

経団連会長と連合会長、共にデフレ脱却に言及

労使がそろって賃上げに積極的なのは、デフレ脱却に向けて賃金と物価がともに上がる社会を実現したいという考えで一致しているからだ。 十倉会長は「今回のインフレはデフレから完全脱却できる千載一遇のチャンス」と指摘。連合の芳野会長も「日本で長く続いたデフレから脱却できるか否かのカギを春闘が握っている」とした。 日本経済は、1990 年代のバブル崩壊や金融危機を経てデフレに突入。 連合の集計によると、年齢などに応じて上がる定期昇給(定昇)を含めた賃上げ率は 2000 年代に 2% を割り込んでいった。 中でも、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)がほとんどない時期もあった。

昨年は歴史的な物価高を受けて、賃上げ率が 3.58% となり、30 年ぶりの高い水準となった。 ただ、物価高への対応として重要なベアは 2.12% にとどまった。 22 年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率 3.0% に届かず、物価の影響を考慮した実質賃金は昨年 11 月分まで 20 カ月連続で前年割れが続く。 今春闘で物価上昇を上回るベアが実現するかも大きな焦点になる。 各労組の賃上げ要求は 2 月以降に本格化し、大企業の回答は 3 月中旬に集中する見通しだ。 (片田貴也、北川慧一、asahi = 1-24-24)



金属労協のベア要求「月 1 万円以上」へ 来春闘、現在の方式で最高額

自動車や電機などの産業別労働組合(産別)でつくる金属労協は 27 日、2024 年春闘で基本給を底上げするベースアップ(ベア)の統一要求額を「月額 1 万円以上」とすることで最終調整に入った。 今春闘の「6 千円以上」から大幅に引き上げ、現在の要求方式で過去最高だった 1998 年(7 千円)を上回る。 金属労協の関係者への取材で分かった。 12 月 6 日に開く協議委員会で正式に決める。 年齢や勤続年数に応じた定期昇給を前提に、ベアの要求を検討してきた。

22 年まで 7 年連続で「3 千円以上」としてきた。 今年は物価上昇や、企業の業績がコロナ禍前の水準に回復していることを踏まえ、前年の 2 倍に引き上げた。 その後も物価上昇は続き、働き手の購買力を示す実質賃金のマイナスが続いていることなどから、来年はさらなる賃上げをめざす。 来年の春闘の賃上げをめぐっては、労働組合の中央組織・連合が 10 月、統一要求の賃上げ目標を「5% 以上」とする方針を発表。 今春闘の「5% 程度」より表現を強め、定期昇給分の 2% 確保を前提に、ベア目標を 3% 以上としている。

金属労協は自動車や電機、鉄鋼・造船・重機、中小製造業などの産別で構成し、組合員数は約 200 万人にのぼる。 傘下にはトヨタ自動車や日立製作所、日本製鉄など日本を代表する企業の労組も多い。 金属労協の要求方針を参考に産別が方針を決め、各単組も要求を出すことから、波及効果は大きい。 金属労協傘下の産別で中小製造業の労働組合でつくる「JAM」は今月 21 日、ベアを「月額 1 万 2 千円」とする方針案を発表した。 1999 年の JAM 結成以来、過去最高の水準となる。 組合員の所定内賃金の平均額を基に換算したベアは 4% 程度となるという。 (片田貴也、asahi = 11-27-23)