楽天モバイルが小型軽量な 5G スマホ独自開発、その性能は?

楽天モバイルは、小型軽量な独自開発第 5 世代通信 (5G) 対応スマートフォン「楽天ハンド 5G」を 14 日に発売すると発表した。 組み込み型 SIM 「eSIM」のみに対応する。 1 台の端末で eSIM を二つまで登録し、異なる電話番号や携帯通信会社のプランを利用できる。 製造元は中国のティノモバイル。 消費税込みの価格は 3 万 9.800 円。 楽天モバイル公式サイトや楽天モバイルショップなどで販売する。

横幅が約 63 ミリメートル、本体重量が約 134 グラム。 約 6,400 万画素のメインカメラと約 200 万画素の深度測位カメラ、約 1,600 万画素のフロントカメラを搭載。 背景をぼかす、暗い場所で高精細に撮影する、 自撮りを美しく補正するなどの撮影モードを備える。 5.1 インチの有機 EL ディスプレーを採用した。 最大 20 時間の動画再生、同 50 時間の音楽再生が可能なバッテリーを搭載した。 生体認証は指紋と顔の2通り。カメラで商品バーコードを読み取り、電子商取引 (EC) サイト「楽天市場」で商品検索できる独自機能も付けた。 (NewSwitch = 2-12-22)


楽天、3 年連続の赤字 1 - 9 月、携帯事業で費用膨らむ

楽天グループが 11 日発表した 2021 年 1 - 9 月期連結決算は、純損益が 922 億円の赤字だった。 同期間の赤字は 3 年連続で、赤字幅は前年の 714 億円から拡大した。 主力のインターネット通販事業は好調だったものの、携帯電話事業の通信網の整備で費用が膨らんだことが響いた。 携帯子会社の楽天モバイルは、来年春に自社回線の人口カバー率が 96% に達する見通しだ。 自社回線のエリア拡大に伴い、KDDI から回線を借りる地域を縮小している。 楽天モバイルの山田善久社長はオンラインで開いた記者会見で、来年 4 - 6 月期以降は携帯事業の営業赤字が縮小に転じるとの見通しを示した。 (kyodo = 11-11-21)


楽天ペイ、中小向け手数料を 1 年無料へ ペイペイに対抗

楽天グループは 25 日、スマホ決済「楽天ペイ」について、中小事業者向けの手数料を 10 月 1 日から 1 年間無料にすると発表した。 これまでの手数料は 3.24% だった。 スマホ決済をめぐっては「PayPay (ペイペイ)」が中小向けの手数料の有料化を発表したばかり。 無料を打ち出すことで、加盟店の拡大をめざす狙いだ。 新たに加盟した年商 10 億円以下の事業者が対象。 来年 9 月末まで、楽天ペイの決済について手数料を還元して実質無料とする。 楽天の担当者は 25 日の説明会で「1 年間無料という分かりやすいメッセージで(新規の)受け付けを取っていく」と話した。

一方、ペイペイは 2018 年 10 月から約 3 年間、年商 10 億円以下の事業者の決済手数料を無料にして規模を拡大してきたが、10 月から最低 1.60% を徴収すると今月 19 日に発表。 ただ有料化しても業界では最低水準だったため、楽天ペイを含めたスマホ決済各社の手数料戦略が注目されていた。 スマホ決済の利用は伸びている。 民間調査会社「MMD 研究所」が今年 7 月に 18 - 69 歳の男女 4 万 5 千人に聞いたところ、普段の支払い方法として「スマホ決済」を選択した人は 52.1% で、1 年前の 37.8% から 10 ポイント以上増えた。

7 月には米グーグルが送金・スマホ決済アプリを運営する「pring (プリン、東京)」の買収を明らかにしており、シェア争いはさらに激しくなりそうだ。 (中島嘉克、asahi = 8-25-21)


楽天モバイル、500 万回線突破 3 カ月無料など奏功?

楽天モバイルは 23 日、旧来のサービスを含めた合計の契約数が、500 万回線を突破したと発表した。 昨年 4 月に提供を始めた自社の基地局による携帯キャリアサービスと、すでに新規申し込みを停止した他社の通信設備を借りるサービス (MVNO) の合計で、内訳は明らかにしていない。 今年 4 月時点の契約数は約 450 万回線だった。 楽天モバイルは、毎月の実際のデータ利用量に応じて段階的に料金が変わる、シンプルなプラン設定が売り物。 通信料を 3 カ月間無料にするキャンペーンを実施しているほか、4 月末から米アップルのスマートフォン「iPhone」の取り扱いを始め、契約数を伸ばしている。 首位の NTT ドコモの契約数は約 8,292 万回線となっている。 (杉山歩、asahi = 8-23-21)


楽天、低コスト通信技術を独社に提供 収益改善狙う

楽天グループは 4 日夜、低コストで通信ネットワークを構築する自社技術を、ドイツの通信会社に提供すると発表した。 受注額は明らかにしていないが、国内の携帯電話事業が競合他社の値下げなどで苦戦しているだけに、通信技術の海外展開で収益を改善したい考えだ。 提供するのは、携帯電話の基地局の機能の一部をソフトウェアに置き換える「完全仮想化クラウドモバイルネットワーク」と呼ぶ技術。 基地局の規模を小さくできて建設費用を大幅に減らせるうえ、改修や更新もソフトのアップデートで済み、コストが抑えられるという。

同社が展開する「楽天モバイル」の通信網でも使われているが、今回はドイツで携帯電話事業などを手がける通信企業「1 & 1」に技術提供する。 この技術を含めた 5G ネットワークの構築などで長期的な提携をすることで合意したという。 三木谷浩史会長兼社長は 5 日の記者会見で、「(技術の海外展開は)小規模にとどめるつもりはない。 大きなマーケットシェアを狙っていきたい」などと自信を見せ、国内の競合他社に提供することにも意欲を示した。

仮想化技術にかかわる米子会社の株式をすべて取得して完全子会社にすることも発表した。 新たに立ち上げる事業組織「楽天シンフォニー」に通信事業者向けのサービス提供や研究開発を集約し、世界規模の事業展開をめざすとしている。 (杉山歩、asahi = 8-5-21)


楽天 G の財務基盤を不安視 米会社、格下げ理由を説明

携帯電話事業が赤字の楽天グループの財務基盤を不安視する見方が出始めている。 基地局への投資が重荷になっているなどとして、米格付け会社 S & P グローバル・レーティングが長期発行体格付けを投機的水準に引き下げ、顧客獲得も遅れていると指摘した。 S & P は 7 月 26 日に楽天の格付けを「トリプル B マイナス」から「ダブル B プラス」に 1 段階下げると発表。 今後の見通しについても、引き下げの可能性がある「ネガティブ」とした。

S & P は 8 月 3 日の説明会で、基地局などへの投資が 2022 年 12 月期末までの 2 年間で約 7,500 億円にのぼり、有利子負債が増えると指摘。 通信品質で劣り、競合他社の値下げもあって顧客獲得が遅れているとした。 株式市場も反応している。 格下げ発表翌日の先月 27 日の終値は、前日から約 7% 下げ、売買高も前日の約 5 倍に増えた。 株価はその後も回復していない。

楽天は昨年春、携帯市場に新規参入し、通信料無料キャンペーンなどで、契約数を 1 年間で約 400 万件に伸ばした。 一方、5 月に発表した 21 年 1 - 3 月期決算は携帯事業の赤字が響き、純損益が約 250 億円の赤字だった。 広報担当者は、今回の格下げについて「引き続き財務健全性へ配慮しながら財務運営を行っていく」と話した。 (杉山歩、asahi = 8-3-21)


iPhone 不正購入の疑い 楽天モバイルが被害調査

楽天モバイルが 4 月末に販売を始めた米アップルのスマートフォン「iPhone」について、不正に購入された疑いがある事案が複数起きていることがわかった。 楽天モバイルによると、買った覚えがない端末を何台も購入したことになっていた人もいるといい、詳しい被害状況を調べている。

楽天モバイルの端末は、通販サイト「楽天市場」などで使える楽天 ID とパスワードを登録し、クレジットカード情報を入力すればオンラインで買える。 端末購入だけなら本人確認は必要なく、何者かが不正に入手した ID やパスワードかカード情報を使って他人になりすまし、転売目的で購入した可能性があるという。 同社は楽天グループのサービスからの ID などの情報流出は確認されていないとしている。 同社は被害件数は確認中としているが、複数の端末を買った利用者への出荷を一時停止し、電話などで確認を進めている。 覚えのない購入に気づいたら、カード会社や警察に相談するよう呼びかけている。 (asahi = 5-10-21)


日本郵政が楽天に 1,500 億円出資「最高のパートナー」

日本郵政と楽天は 12 日、資本業務提携すると発表した。 日本郵政が楽天に約 1,500 億円を出資し、約 8% の株式を握る第 4 位の株主となる。 物流や楽天の携帯電話事業の拡大に向けた協業に加え、金融事業などでの連携も視野に入れる。 両社は昨年 12 月に物流分野の提携に向けて協議することで合意しており、今回資本面などにも協力関係を広げた。

国が 57% の株式を握る日本郵政は、傘下の日本郵便で郵便事業の成長が望みにくい状況から宅配事業に力を入れるが、ヤマト運輸などに差を付けられている。 国内のネット通販で米アマゾンと並ぶ「2 強」の楽天と組むことで、宅配事業の強化につなげる。 楽天のもつデータを活用し、効率のいい配送システムの構築や利便性の高い受け取りサービスの実現に取り組む。 楽天の幹部人材を受け入れ、各事業のデジタル化も進める。

一方、楽天グループが提供する携帯電話サービスについて、郵政グループの郵便局で申し込みを受け付け、配達網を活用した販売促進なども実施する。 両グループがそれぞれ展開する決済や保険など金融分野での将来的な協業も今後検討する。 都内で会見した日本郵政の増田寛也社長は「楽天は最高のパートナー。 デジタルとリアルの双方の特徴を掛け合わせ、相乗効果を最大限に引き出したい。」 楽天の三木谷浩史会長兼社長も「歴史が長い日本郵政とベンチャー企業との提携は、世界で類をみない。」

楽天は今回の第三者割当増資で、日本郵政からの約 1,500 億円を含め、中国 IT 大手テンセントの子会社や米小売り大手ウォルマートなどからも出資を受け、総額で約 2,423 億円を調達。 昨年本格参入した携帯電話事業に投じる。 (益田暢子、井上亮、asahi = 3-12-21)

資本業務提携の主な内容

  • 共同の物流拠点や効率的な配送システムの構築
  • 日本郵便と楽天が保有する物流データの共有
  • 楽天モバイルの申し込みを郵便局内で受け付け
  • 日本郵便の配達網を生かした楽天モバイルの販売促進
  • 楽天から日本郵政に対し、デジタル技術に詳しい幹部人材の派遣
  • キャッシュレス決済などの金融事業やネット通販での協業の検討

楽天「モバイル」が重荷、最終赤字 1,141 億円に … ネット通販は「巣ごもり需要」で好調

楽天が 12 日発表した 2020 年 12 月期連結決算(国際会計基準)は、最終利益が 1,141 億円の赤字(前期は 318 億円の赤字)となった。 2 期連続の最終赤字で、赤字額は 2,000 年の上場以来、最大。 基地局整備など携帯電話事業の先行投資が重荷となった。 本業のもうけを示す営業利益は、938 億円の赤字(同 727 億円の黒字)だった。 なかでも、携帯電話を含む「モバイル事業」の営業赤字が 2,269 億円に膨らんだ。 NTT ドコモなど大手 3 社に比べて脆弱ぜいじゃくな利用エリアを拡大させるため、基地局整備を加速させているのが要因だ。

12 日には現行の主流規格「4G」の屋外基地局数を従来計画から 60% 増やすことも表明した。 申込数が想定を上回るペースで伸びているため、通信網を強化する必要があるという。 三木谷浩史会長兼社長は 12 日のオンライン記者会見で、「ユーザー数の伸びはうれしい悲鳴だ。 (23 年度の)黒字化目標を前倒しできるのではないか」と述べたが、今期は投資が先行して赤字が続く可能性がある。 一方、20 年 12 月期の売上高にあたる売上収益は前期比 15.2% 増の 1 兆 4,555 億円で過去最高だった。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり需要」が旺盛で、主力のネット通販「楽天市場」の年間流通総額が初めて 3 兆円を超えた。 クレジットカードや銀行といった金融事業も堅調だった。 楽天は、金融や携帯など子会社の機動力を高めるため、4 月から社名を「楽天グループ」に変更する。 三木谷氏は「事業の特性に応じて外部資本が入ることも考え得る」と述べ、子会社の株式上場にも含みを持たせた。 (yomiuri = 2-12-21)


楽天モバイル、20GB で月 1,980 円 携帯大手に対抗

楽天モバイルは 4 月から、スマホの料金についてデータ容量 20 ギガバイト (GB) までは税抜き月 1,980 円に値下げする方針を固めた。 これまではデータ無制限で 2,980 円だったが、携帯大手 3 社が導入する楽天と同水準の新プランに対抗し、さらに引き下げる。

29 日午後に正式発表する。 関係者によると、データを使った分に応じて料金が 3 段階で増える体系に刷新する。 1GB まで無料、1 - 3GB は 980 円、3 - 20GB は 1,980 円。 20GB 超だとこれまで通りの 2,980 円とする。 楽天は昨年 4 月、当時としては破格のデータ無制限で 2,980 円の料金で本格参入した。 だが、大手 3 社が菅義偉政権の要請を受け、20GB で 2,980 円(1 回 5 分以内の通話を含む)の割安な料金プランを 3 月に始めると相次いで発表。 低料金の魅力が薄れていた。 (asahi = 1-29-21)



楽天、9 年ぶり最終赤字 携帯電話の基地局建設費が重荷

楽天が 11 日発表した 2020 年 6 月中間決算は、純損益が 274 億円の赤字(前年同期は 1,002 億円の黒字)で、中間決算では 11 年以来、9 年ぶりに赤字に転落した。 営業損益も 207 億円の赤字(同 1,118 億円の黒字)だった。 本業のネット通販は堅調だったが、4 月に本格参入した携帯電話事業の費用がかさんだ。 コロナ禍に伴う「巣ごもり消費」の影響で、売上高は前年同期比 15.7% 増の 6,787 億円と過去最高になった。 楽天市場など物販のネット通販の流通総額は 48.1% 増、楽天カードなど金融事業の売上高も 19.5% 増と好調だった。 一方で楽天トラベルやスポーツ事業は落ち込んだ。

携帯電話事業の契約申し込み数は 6 月末に 100 万を突破したが、基地局建設などの投資がかさんでいる。 同社は今後も基地局建設を加速し、26 年 3 月までに人口カバー率を 96% にする計画について、5 年前倒しをめざすとした。 オンラインで会見した三木谷浩史会長兼社長は「当初、建設が遅れているとご心配をおかけしたが、爆発的なスピードで進んでいる」と述べた。 (栗林史子、asahi = 8-11-20)


楽天、スマホ周波数問題で対応公表 総務省は処分検討

楽天モバイルが一部のスマートフォンの対応周波数を正式な手続きを経ずに変更した問題で、同社は 26 日、ソフトウェアを更新すると発表した。 詳しい経緯や再発防止策などを総務省に同日報告する。 総務省は行政指導などの処分を検討する方針だ。

問題となったのは、今年 1 月に発売した独自開発の小型スマホ「楽天ミニ」。 同社によると、販売時期によって対応する周波数が異なる 3 つのタイプがある。 そのうち 2 つのタイプで周波数を変更したにもかかわらず、必要な手続きを踏んでいなかった。 スマホなど電波を発する機器は混信などを防ぐため、国の技術的な認証を得ることになっている。 総務省は今月 12 日、周波数を変更したのに追加で認証を得ていなかった恐れがあると指摘。 電波法違反の疑いもあるとして、楽天に変更の経緯などを報告するよう求めていた。 (井上亮、asahi = 6-26-20)


苦境の楽天モバイル 捨て身の「1 円スマホ」は本当に買いなのか?

4 月より第 4 のキャリアとして参入した楽天モバイル。 テレビ CM では「世界初の完全仮想化技術により、1 年間無料を実現」とアピール。 実際、キャンペーンで先着 300 万名までは 1 年間、基本料金が無料となる。 その基本料金は月額 2,980 円でデータ通信、音声通話が使い放題だ。 「コロナ禍で景気の先行きも不安。 スマホ代を安くしたい。」という人であれば、楽天モバイルが気になるのではないか。 そんな中、楽天モバイルは新たなキャンペーンを打ち出してきた。

同社が手がけるオリジナルスマホの新商品「Rakuten Mini」を 1 円で販売するというのだ。 Rakuten Mini は世界最小・最軽量を謳うコンパクトスマホだ。 画面サイズは 3.6 インチ。 手のひらにもすっぽりとおさまるサイズ感で、ワイシャツの胸ポケットに入れても違和感がない。 非接触 IC である「FeliCa」に対応し、JR 東日本の「モバイル Suica」も利用可能だ。 これだけで、電車に乗って、コンビニで買い物もできてしまうのだ。 カメラは 1,600 万画素。 本体サイズが小さいため、バッテリー容量は小さく、アクティブに使うと電池消耗が気になる。 ただ、最近のスマホは大画面なものばかりであり、Rakuten Mini はコンパクトさで周辺から目を引くのは間違いなさそうだ。

なぜ「1 円スマホ」は実現したのか?

楽天モバイルでは、新規契約やすでに楽天モバイルの MVNO を契約しているユーザーが、キャリアサービスである「Rakuten UN-LIMIT」に乗り換える場合に販売価格「1 円」が適用される。 実はここ最近、スマホの割引販売に対して規制が強化されている。 これまで横行していた、スマホの販売における「一括ゼロ円」や高額なキャッシュバックを、総務省が問題視したのだ。 菅官房長官が 2018 年 8 月に行った「日本のスマホにおける料金は世界に比べても高すぎる。 4 割値下げできる余地がある。」という発言を実現させるため、総務省では、キャリアに対して端末の割引きを止めさせ、その原資を通信料金の値下げに充てさせるという施策を展開したのだった。

そのため、総務省では契約を伴う端末販売に関しては、割引の上限を 2 万円とする法改正を行なった。 楽天モバイルが上手いのは、Rakuten Mini の値段を販売当初、1 万 9,819 円(現在は 1 万 7,000 円)に設定してきた点にある。 値段が 2 万円以下であれば、上限いっぱい割引して「1 円」という価格を設定できてしまうのだ。 これが、他社も扱っていたり、世界的に流通しているスマホとなれば、楽天モバイルが単独で値段を極端に安価に設定するのは難しい。 しかし、Rakuten Mini は自社のオリジナル端末であり、自由に価格設定することができる。 結果として、今ではあまり見ることのない「1 円スマホ」が誕生したことになる。

ただ、大手 3 キャリアは、これまで一括ゼロ円や高額なキャッシュバックを手掛けていたことにより、端末割引に対する経営のダメージが大きく、「正直言って、やめたかった(キャリア幹部)」というのが実情だ。 NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンクとしてみれば、不毛な顧客獲得合戦を展開し、これ以上、端末割引で経営的に痛手を負いたくないと思っていた。 そんな中、総務省が旗振り役となり、「端末の割引はしなくていいよ」という政策を展開。 結果として、キャリアとしては「渡りに船」で割引地獄という泥沼から脱することができつつある。

楽天は、三木谷浩史社長が「モバイルネットワークの民主化を目指す」と新風を巻き起こそうとしていたが、結局は「スマホ 1 円販売」という 3 キャリアが卒業しようとしている旧態依然とした端末割引販売をはじめてしまったのだ。

au、ソフトバンクの「楽天包囲網」

4 月からサービスを開始した楽天モバイル。 楽天の三木谷社長は、700 万契約が損益分岐点だと語り、年内には無料キャンペーンの対象人数である 300 万人を突破したいと意気込む。 現状のユーザー数について、三木谷社長は口をつぐむが、業界内では「20 万 - 30 万程度なのではないか」と囁かれている。 年内までに 300 万契約を獲得するには、少々、スタートでつまずいた感がある。 新型コロナウイルスの影響があり、楽天モバイルのショップは休業を余儀なくされたのが痛かった。 ただ、楽天は、ネット通販が本業ということもあり、ネットでの契約が好調のようだ。 4 月中はリアル店舗での契約は 3.5% に過ぎず、実に 96.5% はオンラインからの契約だったという。 今後は緊急事態宣言が解除されたことで、リアル店舗での契約に弾みがつきそうだ。

気になるのは、現在、無料のキャンペーンを展開する楽天モバイルに対して、着実に包囲網が敷かれつつあることだ。 KDDI の格安スマホ MVNO である UQ モバイルは楽天モバイル対抗の新料金プランを新設。 月額 2,980 円という楽天モバイルと同じ値付けでありながら、月間 10GB のデータ容量が使え、容量を使い切っても 1Mbps での通信が可能だ。

楽天モバイルの場合、「データ容量が使い放題」と言っても、楽天モバイルが自ら敷設した基地局で通信した場合のみであり、郊外や地下街、地下鉄などではパートナーである KDDI のネットワークに繋がるようになっている。 KDDI に繋がった際には月間 5GB までは無料だが、それ以上、使う場合は 1Mbps に速度が落ちる。 あるいは 1GB 500 円の追加料金を支払う必要があるのだ。 UQ モバイルとしては「うちは全国で 10GB 使える」とアピールすることで楽天モバイルに対抗する構えだ。

さらに、ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルも UQ モバイルと楽天モバイル対抗のプランを 7 月より始める。 こちらも月額 2,980 円で月間 10GB、超過時は 1Mbps の速度となる。 KDDI とソフトバンクは、本丸である au やソフトバンクブランドでは楽天モバイルに対抗せず、格安スマホブランドである UQ モバイルやワイモバイルで戦わせるつもりだ。

楽天の未来は 9 月に決まる?

今回、料金改定を行った UQ モバイルとワイモバイルには「iPhone」という武器が存在する。 「iPhone を格安スマホで使う」となれば、自ずと UQ モバイルかワイモバイルが選ばれる傾向が強い。 楽天モバイルには Rakuten Mini があるものの、さすがの iPhone には全く歯が立たない。 例年、アップルは 9 月に iPhone の新製品を発表する。 このタイミングで楽天モバイルが iPhone を扱うことが、年内 300 万契約の獲得、さらには損益分岐点の 700 万契約突破の必須条件となるだろう。 (文春オンライン = 6-6-20)


MNO としての楽天モバイルが本格スタート
au 回線での利用を月 5GB に増量で、使い勝手が大幅向上

楽天モバイルが、MNO としての自社回線による本格サービスを先週 8 日についに開始した(これにともない MVNO としての楽天モバイルのサービスは新規受付を終了)。

表内のピンクの部分が今回変更された点 4月22日から、au 網の接続分も月 5GB まで利用可能に

MNO としての楽天モバイルは税抜月 2,980 円の料金(しかも現在は 1 年無料)で、「データ通信に制限無し、国内通話もかけ放題」が目玉。 ただし、制限無しのデータ通信が利用できるのは、現状で東名阪を中心した楽天の自社エリアに限定される。 それ以外の地域、また東名阪でも地下街や地下鉄では au 網(楽天モバイルは「パートナー回線」と表現)に接続するが、その場合は月 2GB が上限で、すぐに使い切ってしまうのでは? という意見が多く見られた。

そんな声に押されてか、サービス開始日の 8 日にプラン変更を発表。 au 網接続時の通信量を月 5GB に増量するとともに、使い切った後の通信速度も最大 1Mbps に高速化した(従来は 128kbps)。 月 5GB は格安 SIM の主要プランよりも多く、それが終わっても、1Mbps の速度があれば SNS の利用はもちろん、画質を落とせば動画も楽しめそうで、見た目の数字以上に使い勝手は大幅にアップしそうだ。

利用する周波数の関係から、建物内のカバーの問題があり、特に自社ネットワークを構築する東名阪ではメイン回線としての契約にはやや不安がともなうが、有料化した後でも 3 大キャリア/格安 SIM に対して、高い価格競争力を持つようになったのは事実。 今後のエリア拡大も含めて、注目と言える。 (ASCII = 4-12-20)


楽天携帯、大手 3 社の半額以下に 月 2,980 円で調整

楽天が 4 月に始める携帯電話サービスの料金について、大容量のデータ通信ができるプランを大手 3 社の半額以下とする方向で検討していることがわかった。 税抜きで月額 2,980 円を軸に調整している。 割安な料金を打ち出し、携帯市場の 9 割を占める大手 3 社のシェアを奪いたい考えだ。 大手 3 社は対抗策を検討するとみられ、値下げ競争が起きる可能性がある。

動画アプリや SNS の普及でスマートフォンのデータ通信量は増加しており、各社は通信量を気にせずに動画をみられる大容量プランを強化している。 NTTドコモは上限 60 ギガバイトで 6,980 円、KDDI (au) は無制限で 7,480 円、ソフトバンクは 50 ギガで 7,480 円(いずれも税抜き)のプランをそろえる。 楽天は料金プランを 3 日に正式に発表する。 大容量プランで使える通信量についても公表する。

楽天は、2014 年に他社の通信網を借りてサービスを提供する格安スマホ事業に参入した。 昨年 10 月には、自前の通信網を整備する携帯事業者として本格参入する予定だったが、基地局の建設が遅れ延期した。 いまは試験的に無料サービスを提供している。 課題は通信の品質だ。 無料サービスでは東京や大阪、名古屋などに住む人を対象に、2 万 5 千人に限定している。 今後、利用者が増えれば通信網に負荷がかかることになる。 無料サービスを提供中の昨年 12 月と今年 2 月には、データ通信や通話がしにくくなる通信障害を起こしている。 (井上亮、asahi = 3-2-20)


楽天の携帯サービス「4 月に始める」 三木谷社長が明言

楽天の三木谷浩史会長兼社長は 6 日、自社の通信網を使った本格的な携帯電話のサービスを「4 月から始める」と明言した。 これまでは「春までのできるだけ早い時期」と述べるにとどめていた。 昨年末までに、計画の 9 割弱に当たる 3 千局の基地局の整備が進んだ。 今後は、利用者が増えても通信できる安定性の確認を急ぐ。東京都内で記者団の取材に答えた三木谷氏は「2 重 3 重の手立てを打って、安定的なサービスを提供できるように頑張りたい」と話した。

楽天は当初、昨年 10 月のサービス開始をめざしたが、基地局の建設が遅れて間に合わず、5 千人限定で無料サービスを始めた。 誰でも申し込める有料サービスは今春まで先送りしていた。 しかし、利用者を絞った無料サービスの段階でもトラブルが続出。 開始当初に「利用できない」との指摘が相次いだほか、昨年 12 月には通話やデータ通信が利用しにくくなる通信障害が起き、総務省から行政指導を受けた。 また、楽天はこの日、携帯電話事業を手がける子会社、楽天モバイルの新しい人事を発表。 同社会長を務める三木谷氏が最高経営責任者 (CEO) を兼ね、意思決定を速めるという。 (asahi = 1-6-20)

前 報 (10-22-19)