格安事業者はもう不要? 大手値下げで消滅危機 契約回線数は 7 年で 7 割減する - -。 格安スマホについてのそんな野村総研の推計が、業界に衝撃を与えた。 競争が激化する中、生き残りの道はあるか。 携帯電話料金値下げに一役買ってきた「格安スマホ」事業者が、消滅の危機に直面している。 NTT ドコモをはじめとする大手キャリアが「格安プラン」の提供を始めたことで、存在意義が宙に浮いてしまったからだ。 実際、足元では通信品質などに優れる大手キャリアへの顧客流出が顕著だ。 そんな中、格安スマホを展開してきた MVNO (仮想移動体通信事業者)の契約回線数が「7 年で 7 割減少する」という推計も飛び出し、業界をざわつかせている。 2021 年 12 月にこの推計を発表したのは、国内大手シンクタンクの野村総合研究所。アンケート調査などを基に、MNO (大手キャリア)と MVNO、それぞれの市場動向について独自試算したものだ。 市場縮小を加速する2要因 MVNO とは、大手キャリアから通信回線を借り受けて格安スマホの通信サービスを提供する事業者のこと。 大手キャリアがカバーしていなかった低容量・低価格帯のプランを充実させ、節約志向が強い消費者を取り込んできた。 ところが野村総研の推計によれば、MVNO の契約回線数(携帯電話端末)は 2019 年度にピークアウトし、2020 年度末は 1,351 万、2021 年度末は 958 万と急減する。 そして 2027 年度末には 456 万と、ピーク時の 3 割程度まで縮小する見立てだ。 大きな要因は 2 つある。1 つは、すでに新規受付を停止した MVNO、楽天モバイルと LINE モバイル(2022 年 3 月 1 日にソフトバンクに吸収合併)が MNO 側に移行している影響だ。 楽天モバイルは「第 4 のキャリア」として 2019 年 10 月に一部の商用サービスを開始。 2020 年 4 月の正式ローンチ以降は、従前から営んでいた MVNO の新規受付は行っていない。 LINE モバイルもソフトバンクの傘下入りを経て、2021 年 3 月以降は同社のオンライン専用プラン「LINEMO (ラインモ)」への転換を進めている。 かつては MVNO にカウントされていたこれらサービスが MNO 側に移ることで、MVNO 側の見かけ上の減りが大きくなるわけだ。 より本質的、かつ MVNO 勢にとって深刻なのは、2 つ目の要因だ。 野村総研の澤田和志主任コンサルタントは、「今後は大手キャリアのサブブランドや、昨春から開始した新料金プランへの顧客流出が急増する」とみる。 なぜなら、MVNO のほぼ唯一にして最大の売りであった「価格優位性」が、消滅しかかっているからだ。 ドコモは 2021 年 3 月、オンライン専用の新料金プラン「ahamo (アハモ)」を投入した。 続いて KDDI は「povo (ポヴォ、2021 年 9 月に povo2.0 にリニューアル)」を、ソフトバンクは LINEMO を投入。 楽天もデータ使用量 1GB (ギガバイト)以下を無料とする新料金プランの提供を開始した。 積極的な広告宣伝の効果もあってか、大手キャリアの「格安プラン」は消費者から広く支持を集めている。 ahamo は「(2022 年 2 月上旬時点で) 200 万台の真ん中くらい(NTT の澤田純社長)」、povo は「(1 月末時点で)百数十万(KDDI の高橋誠社長)」で契約回線数が膨れ上がっており、楽天モバイルは 2 月に 550 万回線を突破した。 いずれも MVNO 最大手・インターネットイニシアティブ (IIJ) が提供する「IIJmio」の約 107 万回線(2021 年 12 月末時点)を大きく上回る規模だ。 料金プランを比べてみると、MVNO と MNO で大きな差はなくなりつつある。 データ使用量が少なければ、むしろ MNO のほうが安いケースすらある。 大手 MVNO 幹部は「キャリアは(携帯料金が 0 円でも)自社経済圏に顧客を囲い込んで収益化できるが、資金力に劣るわれわれは同じ土俵で戦えない。 大手キャリアの 0 円プランは公正競争上問題ではないか」と恨み節を吐く。 MNO 系では新プランに加えて、ソフトバンクの「ワイモバイル」、KDDI の「UQ モバイル」といったサブブランドも、足並みをそろえる形の値下げを実施。 こうなると、MVNO の優位性はますます薄くなる。 「解約率は従前の 2 倍近くに」 こうした流れを受け、IIJ が運営する IIJmio のほか、NTT 系の「OCN モバイル ONE」、関西電力傘下のオプテージの「mineo (マイネオ)」などの主要 MVNO 各社も相次ぎ料金プランを引き下げた。 値下げした大手 MVNO の幹部は「顧客をつなぎとめるため、利幅を削るしかない」と説明する。 中堅 MVNO 社員も「やむなく値下げ合戦に加わった結果、赤字を深掘りすることになった」とうなだれる。 IIJ などの MVNO 大手は現状、かろうじて契約回線数を維持できている。 が、業界団体のテレコムサービス協会 MVNO 委員会の佐々木太志主査は、「キャリアとの競争は厳しく、とくにプランの見直しが遅れている各社は苦戦している」と話す。 実際、ある中堅 MVNO 幹部は「昨春から解約率が従前の 2 倍近くにハネ上がり、高止まりしている」と嘆く。 歴史を振り返ると、MVNO の先駆けは日本通信だ。 1996 年に法人向け携帯電話(通話のみ)の MVNO を、2001 年には KDDI ポケット(現ソフトバンク)の PHS 回線を使ってデータ通信も行える MVNO を開始した。 総務省は当時、MVNO に対し「大手の寡占で競争が停滞していた携帯市場に風穴を開けることを期待していた。(総務省関係者)」 そのため、2007 年には MVNO の新規参入促進などを柱とした「モバイル市場活性化プラン」を策定。 側面支援を続けてきた。 2010 年代中盤には、楽天モバイルや mineo などの参入が話題となり、「格安スマホ」という言葉が定着。 複数のキャリア回線で使える「SIM (シム)フリー」のスマホ端末が普及したことも、MVNO 市場の拡大を後押しした。 以降は新規参入事業者が急増。 2021 年末時点で、全国約 1.600 社を数える。 日本通信の福田尚久社長は「MVNO は低容量・低価格のニーズに加え、タブレット端末などの 2 台目、3 台目 SIM のニーズを取り込んできた」と振り返る。 一方、MVNO は舵取りの難しいビジネスでもある。 通信網を自社で整備しなくていいとはいえ、とくにスケールメリットの効きにくい中小の事業者にとって回線の仕入れ費用の負担は重い。 そのうえ、料金は大手キャリアより安くしなければ顧客にアピールできず、利幅は薄くなりがちだ。 中堅の日本通信の営業利益率は 2021 年 4 - 12 月期決算で約 6% だが、これは事業立ち上げ期で営業赤字の続く楽天モバイルを除いたドコモ、KDDI、ソフトバンク(同 20 - 22%)より圧倒的に低い。 ある大手 MVNO の幹部は「赤字の中小事業者も多いのでは」と推測する。 座して死を待つわけじゃない 総務省の調査(2021 年 3 月)では、ニューヨークなど世界主要 6 都市における携帯料金 (20GB) の比較で、東京はロンドンに次いで低い水準となった。 国際的に最も高い水準だった 2020 年から状況は一変しており、「(競争を促進する) MVNO の歴史的使命は終わった(証券アナリスト)」とまで言われている。 だが、MVNO 各社は「座して死を待つ」わけではなさそうだ。 マイネオを展開するオプテージの福留康和モバイル事業戦略部長は、「MVNO は大手キャリアと比べて(回線数が少なく)小回りがきくため、ニッチな顧客ニーズを実現しやすい。 存在意義はこれからもなくならない。」と反論する。 挽回に向けた動きも活発化している。 大手キャリアの値下げで状況が一変したこの 1 年で、MVNO 各社は「契約することで社会貢献ができる」、「キャリア並みの通信品質」などの個性的なプランを相次ぎ投入している。 2021 年 10 月には、ドコモが旗振り役となる異色の MVNO 振興策「エコノミー MVNO」も始まった。 提携する MVNO のプランを全国のドコモショップで販売するというものだ。 ドコモ側にも提携した MVNO を「d ポイント経済圏」に囲い込むどの狙いがあるようだ。 安さを売りに一時代を築いた各社は、新たな存在意義を見いだし復権できるのか。MVNO 事業者は、生き残りをかけた正念場を迎えている。 (高野馨太、東洋経済 = 3-22-22) 総務相、格安スマホが支払う回線料「早期に引き下げ」 武田良太総務相は 22 日の閣議後の記者会見で、格安スマートフォン事業者が大手携帯会社に支払うデータ回線レンタル料について「低廉化をスピード感を持って進める」と表明した。 格安スマホの事業者は、大手の値下げが進むに応じてレンタル料を引き下げなければ競争環境が保てないとみている。 総務省は 2020 年 10 月に公表した携帯会社の競争促進策で、レンタル料を 3 年で半減させる目標を掲げた。 事業者側は 19 日の総務省の有識者会議で目標年限の前倒しや一層の引き下げを要望した。 武田氏は「さっそく有識者会議において水準が適切かを検討してもらっている」と述べた。 (nikkei = 1-22-21) 日本通信が月 2,480 円で、アプリ要らずの電話かけ放題 + 3GB の格安 SIM 日本通信が新 SIM 「合理的かけほプラン」を開始。 アプリ不要で国内通話がかけ放題、さらに月 3GB のデータ通信も付いて、税抜月 2,480 円という料金が話題だ。 国内通話かけ放題が使えて、税抜月 2,480 円。 音声通話をまだまだ使う機会が多い職種の人には注目の SIM?
MVNO の格安 SIM で久々に話題性がある新サービスが開始する。 日本通信が新たに立ち上げた「日本通信 SIM」ブランドで提供されるもので、プラン名は「合理的かけほプラン」。 時間制限なしの国内通話かけ放題と月 3GB のデータ通信がセットで、月額料金は 2,480 円となっている(以下すべて税抜、初期手数料として別途 3,000 円が必要)。 なお、ネットワークはドコモ網を用いている。 しかもこの国内通話かけ放題は、プレフィックス番号を追加する必要がないタイプ。 つまり専用アプリなどは不要で、iPhone などでも着信履歴からそのまま発信しても、定額の対象内となる。 通話品質という意味でも、途中で他の通信会社を中継するタイプと比べて期待しても良さそうだ。 また、定額通話の対象には転送電話が含まれているのもうれしい点。 高速データ通信は月 3GB で、それを超過した場合は低速通信に切り替わる。 そのまま高速で利用したい場合は、通信量の上限を変更する作業が可能。 3GB を超過した場合は 1GB ごとに 250 円の料金が上乗せ。 月 7GB の利用でも、通話定額込みで月 3,480 円と大手キャリアの半額以下であることをアピールする。 (オカモト、ASCII = 7-19-20) 3 キャリアは MVNO に eSIM 開放を 総務省が要請、ガイドラインも改定 総務省が 5 月 15 日、NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンクに対し、MVNO に eSIM サービスの提供を可能とする「リモート SIM プロビジョニング機能」の開放促進を要請した。 リモート SIM プロビジョニングとは、携帯ネットワークにアクセスするための SIM への書き込みを遠隔で行う機能。現在、MVNO が同機能を用いて eSIM サービスを提供するには、自社で加入者管理装置 (HLR/HSS) を持つフル MVNO となる必要があり、eSIM サービスを提供している MVNO は IIJ や NTTコミュニケーションズ などに限られる。 キャリアの MVNO への eSIM 開放については、「モバイル市場の競争環境に関する研究会」でも議論されており、MVNO が eSIM サービスを提供することは、「MNO(キャリア)とMVNOとの公正競争環境の整備、ユーザーの利便性向上の観点から極めて重要」とされていた。 そこで総務省は、同日に改正した「MVNO に係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」に、リモート SIM プロビジョニング機能を「開放を促進すべき機能」に位置付けた。 スマートフォン、タブレット、IoT 機器などに向けた eSIM サービスを、MVNO も提供できるよう、同機能が解放されることが望ましいとしている。 一方、キャリア各社は、MVNO ガイドライン改正案の意見として「機密情報であるプロファイルを取り扱うため、セキュリティ面での懸念が生じないよう慎重に検討すべき」とする旨のコメントを出している。 総務省はこうした点も含めて「具体的な機能開放の在り方についてキャリアと MVNO が協議を進めることが妥当」としている。 総務省は 3 キャリアに対し、MVNO からの要望や協議の状況について、2020 年 6 月末までに報告を行い、同年 7 月 1 日から 2022 年 3 月末まで、毎四半期末時点の状況を報告するよう求めている。 (田中聡、ITmedia = 5-15-20) スマホユーザーの MVNO 利用率は 18.1%、30 代以上は約 2 割が利用 ドコモ「モバイル社会研究所」調べ NTT ドコモの企業内研究所であるモバイル社会研究所は 9 月 25 日、スマートフォン利用者の MVNO 利用率に関する調査結果を発表した。 この調査は全国の 15 - 79 歳の男女を対象に抽出し、6,926 サンプルを回収。 NTT ドコモ、au、ソフトバンク、Y!mobile を「MNO」、それ以外を「MVNO(UQ コミュニケーションズ、LINE モバイル、楽天モバイルなどを含む)」としている。 スマホ利用者の MVNO 利用率をみると、2015 年は 3.7%、2016 年は 13.2%、2017 年は 14.2%、2018 年は 14.5%、2019 年は 18.1% と年々増加傾向にある。 年代ごとに調査すると 30 代 (20.2%)、40 代 (20.7%)、50 代 (19.6%)、60 代 (19.6%)、70 代 (20.6%) が平均利用率の 18.1% を超えていることが分かった。 2018 年の調査と比較すると、どの年代でも利用率は伸びている。 (ITmedia = 9-25-19) 勢い鈍る格安スマホ 大手との価格差も縮小 通信速度はやや遅いが、月額の利用料金が格段に安い「格安スマホ」。 そのシェアは伸び続けているが、ここに来て伸びの勢いが鈍化してきた。 大手からの乗り換えが爆発的に広がらないのはなぜか。 格安スマホは、NTT ドコモなど大手 3 社から回線を借りる事業者のサービス。 ドコモや au の 6 月からの料金は通信量 3 - 4 ギガの基本的なプランで月 4 千円台だが、格安スマホの同等プランは 2 千円程度と安い。 MM 総研(東京)による 3 月末時点の推計で、格安スマホの契約数は 1,312 万回線。 携帯電話全体に占めるシェアは 7,4% になったが、1 年前からの伸び幅は 1 ポイントとそれまでの 3 年よりも小さくなっている。 伸びが鈍っている理由について、格安スマホ「マイネオ」を展開するオプテージは「IT に詳しく、低料金を求める人たちはすでにある程度移ってしまった」とみる。 格安スマホの利用者は、通信に必要な「SIM カード」をスマホに差し込むところから、初期設定を自分でやるのが基本。 設定作業に不安がある人には手を出しにくいイメージがあるという。 約 180 万人の顧客を持つ最大手の楽天モバイルや KDDI の子会社が運営する UQ モバイルのように、格安スマホ事業者の中でも設定などのサポートを対面でできるよう店舗を増やす動きは出ている。 しかし、こうした出店はコストがかさむため、どこでもできるわけではない。 その他の事業者は今もネットでの販売、サポートが中心だ。 政府からの要請を受け、大手が相次いで値下げし、格安スマホとの料金の差が縮んできていることも乗り換えの勢いをそぐ要因になっている。 MM 総研は「伸びは今後さらに鈍化する」と予測している。 (生田大介、asahi = 7-9-19) 格安スマホ伸び鈍化、18 年度 2 割増 MM 総研調べ 調査会社の MM 総研(東京・港)は 13 日、ソフトバンク系の「ワイモバイル」を除く格安スマートフォンの市場動向を発表した。 2019 年 3 月末の契約件数は 1,312 万件で、前年比 21.2% 増加した。 昨年度は前年比 3 割増、その前は 5 - 6 割のペースで増えてきたが、成長率が鈍化。 シェアでは KDDI 系の UQ コミュニケーションズが 2 位に浮上。 大手キャリアの値下げもあり、競争は今後さらに激化しそうだ。 19 年 3 月末時点の携帯電話全体の契約件数は 1 億 7,615 万件だった。 ワイモバイルを除く格安スマホが占める割合は前年度の 6.4% から 7.4% に拡大した。 19 年 3 月末の事業者別のシェアは楽天が前年度から 0.7 ポイント増の 15.7% で首位。 前年度 4 位の UQ コミュニケーションズは 3.6 ポイント増で 2 位に入った。 インターネットイニシアティブ (12.6%)、NTTコミュニケーションズ (10.3%) と続いた。 調査は NTT ドコモや KDDI など携帯電話大手から回線を借り、格安スマホのサービスを提供する事業者の契約件数をまとめた。 ワイモバイルはソフトバンク内のブランドの一つという位置づけで、回線を借りているわけではないため調査に含まれていない。 (nikkei = 6-13-19) 格安スマホ、SIM 設定の死角 不正アカウントに悪用 スマートフォンの格安データ通信サービスで、メルカリや LINE などの匿名のアカウントが不正に大量に作られ、迷惑メールや偽ブランド品売買に使われる被害が相次いでいる。 通信用 SIM カードの設定の「死角」を悪用されたとして、格安スマホ事業者 (MVNO) の一部は SIM 回収などの対策を講じた。 総務省も販売方法の見直しを事業者団体に求めた。 「SIM カード」初期設定に問題 SIM カードは家電量販店などで購入できる。 購入後に MVNO と契約を結び、スマホに差し込むとネットにつながる。 ところが一部の SIM カードは、電話番号で短文のやりとりができる「SMS (ショートメッセージサービス)機能」だけは未契約でも使える状態で出荷されていた。 メルカリや LINE などは、スマホの持ち主が作ったアカウントかどうかの確|認に SMS を使う。 登録した電話番号あてに「認証コード」という番号を送り、それを所有者が入力すればサービスを使えるようにする。 そこで未契約で SMS が使えることに目を付け、匿名アカウントを大量に作る不正行為が相次いだ。 契約者が存在しない電話番号から作られるアカウントなので、悪用しても追跡されない。 メルカリのようなフリーマーケット(フリマ)サイトに偽ブランド品が大量に出品されたり、企業がキャンペーンなどで付与するポイントやクーポンを大量に取得されたりといった被害が朝日新聞の取材で確認された。 出会い系サイトなどに誘導する迷惑メールにも使われた。 メルカリも不正を把握し、対策を講じているという。 小泉文明社長は「利用者が増え、新たな手口が次々と出てくる」と話す。 不正アカウント作成が摘発されたケースも。 島根県警は昨年 6 月、メルカリや課金ゲームなど約 11 万アカウントを不正に作成して売り、3 千万円近い利益を得たとして私電磁的記録不正作出・同供用容疑で男 2 人を逮捕した。 2 人はネット通販で SIM カードを大量に購入、1 アカウント 800 - 900 円で販売していた。 MVNO 大手の NTTコミュニケーションズは未販売の SIM カード 6 千枚以上を回収。 店頭販売をやめ、契約後にカードを発送する方法に切り替えた。 インターネットイニシアティブ (IIJ) は昨年、未契約ではショートメッセージ機能が使えないようシステムを改修した。 両社とも「不正利用は全くの想定外。 事態を深刻に受け止めでいる。」としている。 総務省は「不正利用の広がりを防止する必要がある(消費者行政第二課)」としている。 ただ MVNO は 700 社近くあり、対策が行き届いたかどうかは確認できていないという。 (内田快、編集委員・須藤龍也、asahi = 4-8-18) LINE 携帯事業にソフトバンク出資 株式の 51% 取得 ソフトバンクは 31 日、LINE 子会社の格安 SIM 業者「LINE モバイル」の株式の 51% を取得すると発表した。 残る 49% は引き続き LINE が持つ。 LINE モバイルのブランド名やサービスはそのまま残す一方、現在は NTT ドコモから借りている回線をソフトバンクに切り替える。 LINE は 2016 年に格安 SIM 事業に参入し、LINE やフェイスブックの利用に通信費がかからないサービスを打ち出した。 契約者数は公表していないが、関係者によるとシェアは 1 - 2% にとどまっているという。 LINE モバイルは、ソフトバンク傘下に入ることで iPhone などの人気機種を調達しやすくなる。 ソフトバンクにとっては回線の貸し出しが新たな収益になる。 ただ、回線が変わると、ドコモが販売した端末の一部が使えなくなるおそれがある。 ソフトバンクは「お客様に迷惑がかからない方策を検討する」としており、一部の利用者には引き続きドコモ回線を提供するとみられる。 格安 SIM 業界はドコモなど大手の値下げで新規契約の獲得が伸び悩んでおり、昨年 9 月には業界 6 位だったフリーテルの運営会社が楽天に事業を売却した。 (上栗崇、asahi = 1-31-18) 格安スマホ踊り場に 「フリーテル」運営会社破綻 格安スマートフォン(スマホ)「フリーテル」ブランドの端末を製造・販売するプラスワン・マーケティング(東京・港)が経営破綻した。 4 日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。 負債総額は約 26 億円。 格安通信サービスと端末の両方を手がけ、注目を集めたものの、業績が振るわず 11 月に通信サービスを売却。 端末事業のみで存続を目指したが、資金繰りが悪化した。 急成長してきた格安スマホが踊り場に立たされている。 「営業中にこんな対応することは初めてだ。」 東京都内の家電量販店で、スマホ売り場の店員がつぶやいた。 同店では 4 日午前から、フリーテルの端末や看板を撤去。 ヨドバシカメラでも全店で、「フリーテル」のスマホ売り場が姿を消した。 プラスワンは 4 日、民事再生法の申請について「資金繰りの悪化により、債権者の皆様に対して従前どおり支払いを継続することが困難になった」と説明した。 プラスワンは、デルで携帯電話事業を立ち上げた経験のある増田薫社長が 2012 年に設立した。 増田社長はかねて「25 年までに出荷台数で世界一を目指す」と語り、ヨドバシに加え総務省の官民ファンドから計 30 億円の出資を受けた。 日本人技術者が設計した端末を中国で生産。 自社で取り扱う格安の通信サービスと組み合わせることで、月額 299 円からと割安なプランで人気を集めていた。 だが、拙速な経営がプラスワンにひずみを起こした。 17 年 4 月に「業界最速」とうたった広告が事実と異なるとして消費者庁が指摘し、信用が失墜。 新規顧客を集めることができず、収益が悪化した。 プラスワンは「日本品質」をうたい、一時はヨドバシカメラでも目立つ場所に売り場を構えていた。 だが最近は購入に訪れる客の数もまばらで、「フリーテルはお薦めできません」と説明する店員もいた。 市場環境が厳しくなるなか、中国での端末の開発費用もかさみ、プラスワンの 2017 年 3 月期の最終損益は 55 億円の赤字と、3 期連続のマイナス。 そこで手をさしのべたのが顧客数の獲得を求めた楽天だった。 11 月、楽天はフリーテルの通信サービス事業を負債を含め 36 億円で買収。 36 億円は負債の返済などに充てられたが、再建の道筋は立てられなかった。 フリーテルの通信サービスの契約者は既に楽天へ移行しており、「契約者には安心してサービスを使ってもらえる(楽天)」としている。 18 年 1 月にはフリーテルと楽天ブランドを統合する。 人材派遣・ IT サービス会社の MAYA SYSTEM (東京・新宿)がプラスワンのスポンサー候補に名乗りを上げるという。 ただ、今後の顧客のサポート体制などは不透明だ。 (nikkei = 12-4-17) ◇ ◇ ◇ 格安スマホ、大手が包囲網 楽天のフリーテル買収 成長著しい格安スマートフォン(スマホ)市場に、早くも再編の波が押し寄せている。 シェア 4 位の楽天は 26 日、6 位の「フリーテル」を買収すると正式に発表した。 格安の旗手と目されたフリーテルも実情は赤字続きで、最後は楽天が「買いたたいた(関係者)」格好だ。 背景には格安市場でも通信大手の攻勢が強まり、独立系を追い込んでいる実態がある。 「まだ引き下げる余地があるだろう。」 25 日夜、都内の楽天本社。 臨時取締役会を翌朝に控えながら、モバイル事業の担当幹部が最後の折衝を続けていた。 フリーテルを展開するプラスワン・マーケティング(東京・港)は同日昼までにフリーテル事業の売却を決議していた。 にもかかわらず楽天ではギリギリまで値引き可能と見ていたのだ。 決着した譲渡額は 5 億円強。 楽天が引き継ぐ負債を含めた買収総額も約 36 億円だ。 「業界最速」の広告表示が消費者庁から処置命令を受ける失策もあったが、フリーテルはかつての格安スマホの代名詞的な存在。 東海東京調査センターの石野雅彦氏は「買収額の小ささは格安スマホの事業環境が全般に厳しい実態を示している」と指摘する。 買収手続きは 11 月 1 日に完了する予定。 4 位の楽天のシェアは、ソフトバンク系と NTT 系に次ぐ 3 位に浮上する。 主要な格安スマホ事業者を巡る M & A (合併・買収)は今回が初めてだ。 ただ、今の格安スマホ市場は規模の拡大が競争力に直結するとは限らない。 楽天やフリーテルといった独立系の事業者は NTT ドコモなどの通信大手から携帯回線を借りてサービスを提供している。 高額過ぎた回線料金が劇的に下がったことが普及を後押しし、格安スマホのシェアはスマホ全体の 1 割を超えた。 だがここに来て市場は曲がり角を迎えている。 理由は大きく 2 つある。 1 つ目は顧客流出に危機感を募らせる通信大手の反撃だ。 ソフトバンク系のワイモバイルや KDDI 系の UQ モバイルなど大手系列が資金力にモノをいわせて大々的に広告を打ち始めた。 ワイモバイルはすでに全国 1,000 店舗を持ち、サービスが行き届きにくい独立系の弱点を突く形で勢力を広げている。 足元の新規契約者数はこれら大手系が 5 割を超え、通信大手 3 社による市場の寡占が進んでいる。 もう一つは格安スマホの普及を促した回線料金の下げ止まりだ。 ドコモの場合、2013 年度までの 5 年間で回線料が 10 分の 1 に急低下したが、その後の 3 年間は平均 10% 台の下げにとどまっている。 総務省が定めた回線料の算定式には「適正な利潤と原価」の項目があり、何が適正かは最終的に総務省が承認する。 だが通信大手の言い分が反映される余地もあり不透明との批判が絶えない。 KDDI とソフトバンクはドコモよりさらに割高な料金を課しており独立系の選択肢は限られる。 独立系は販売最前線で大手系の猛攻を受け、生命線となる回線料金でも締め付けにあう。 通信インフラを握る大手が繰り出す正攻法と兵糧攻めの二段作戦を前に、今後も生き残りをかけた消耗戦が続きそうだ。 (大西綾、杉本貴司、nikkei = 9-26-17) 格安 SIM 利用者シェアトップは楽天モバイル! PR 戦略が背景か 市場調査会社の ICT 総研は、「MVNO 格安 SIM に関する市場動向調査」を発表しました。 今回のアンケートでは、Web アンケート回答者 10,703 人のうち、格安 SIM を利用している 1,024 人の回答結果を元に、利用者シェアや顧客満足度等の調査を行っています。 利用者シェアトップは「楽天モバイル」 格安 SIM ユーザーが利用しているサービス別ランキングでは、1 位が楽天モバイル (20.9%) となっており、約 5 人に 1 人が楽天モバイルユーザーであることが分かります。 また、2 位は「OCN モバイル ONE (13.1%)」、3 位は「mineo (12.8%)」、以下「IIIJ mio (11.2%)」、「UQ モバイル (7.6%)」と続いており、上位 5 社で全体の 3 分の 2 を占めていることが分かります。 1 年前と比べて、もともとネットワーク運営に強みを持っていた OCN や BIGLOBE などはシェアを落とし、後発事業者である楽天モバイル、mineo、UQ モバイルなどが積極的なプロモーション施策を背景にシェアを大きく伸ばしました。 料金面に関する満足度は「mineo」がトップ ICT 総研は、格安 SIM ユーザーを対象に、料金、通信速度、顧客対応などに関する全 10 項目の満足度調査を行い、満足度ポイントを 100 点満点で換算しました。 その結果、「コストパフォーマンスの高さ(平均 78.1 ポイント)、「最適な料金プランの有無(平均 76.4 ポイント)」など、料金面に対する項目満足度が 1 年前の調査結果と同様に高くなっており、今回は 2 項目とも「mineo」がトップとなっています。 >b>データ通信速度に関する満足度は「UQ モバイル」がダントツ 一方で、MVNO 事業者の弱点とも言える「データ通信の品質・安定性」、「データ通信速度」、「コールセンターのつながりやすさ」といった項目に関してのユーザー満足度は、1 年前より低下していることが分かりました。 その中でも「データ通信の品質・安定性」は BIGLOBE SIM が、「データ通信速度」は UQ モバイルが、「コールセンターのつながりやすさ」は mineo が 2 年連続トップとなっています。 特に、UQ モバイルのデータ通信速度に関する満足度は突出して高くなっていることがうかがえます。 MVNO 比率は政府目標の 10% 間近に MVNO サービスの契約者数に関しては、2015 年末が 1,163 万契約だったのに対し、2016 年末は 1,485 万契約となり、1 年間で約 28% の伸びを記録しています。 また 2017 年末には、さらに 16.2% 増の 1,725 万契約に拡大すると見られています。 現在のモバイル契約数全体に占める MVNO サービス契約の比率は約 9% で、1 年前と比べて約 2% 増加しました。 総務省は MVNO 比率を 10% 程度にしたいという意向を以前から示していたため、この水準は達成間近とみることができます。 今後、格安 SIM 比率をさらに伸ばしていくには、満足度ポイントが低かった「通信品質」や「コールセンターの対応」を改善し、女性やシニア層ユーザーを獲得すると同時に、法人向けの IoT や M2M に適した SIM 提供を行っていく必要があるようです。 (iPhoneMania = 6-3-17) |