なぜ LINE は複数スマホで使えないのか Lite 版終了を前に LINE 社に聞いてみた LINE が発展途上国向けに提供している軽量版「LINE Lite (Android)」のサービスが 2 月 28 日に終わる。 本来、日本では使えない同アプリだが、「正直困る」と嘆く日本のユーザーもいる。 LINE Lite を使うと、複数のスマートフォンで 1 個のアカウントを同時に利用できたからだ。 そもそも、LINE はなぜ複数スマホでアカウントを共有できないのか。 LINE 社に聞いてみた。 LINE にはスマホ版以外に iPad 版や Windows 版などがある。 これらには「QR コードログイン」という機能があり、これを使えば複数端末間でアカウントを共有できる。 しかし、スマホ版には同機能が無いため、スマホ同士でのアカウント共有はできない仕様だ。 この仕様が不便だという声はずっとある。 例えば、Twitter や Facebook Messenger、Slack、Discord などは、iOS と Android の垣根もなく、複数台にインストールしての利用が可能だ。 なぜ LINE ではこれができないのか。 同社に尋ねたところ、スマホ間のアカウント共有をさせないのは、不正アクセスのリスクを減らすための設計だという。 同社の最初の回答をまとめるとこうなる。 LINE アカウントは電話番号と 1 対 1 対応でひも付けるのが原則で、ログインにも電話番号と LINE をインストールしたスマホが必要になる。 別の電話番号を持つスマホでは別のアカウントにしかログインできないため、画面ロックを掛けていないスマホを盗まれない限りは、不正アクセスのリスクはほとんど無い。 iPad や Windows でもログインには親となるスマホが必要なため、知らないうちに不正アクセスを許すことも無い、ということだ。 しかし、説明にはおかしな点もある。 SMS 認証自体は確かに本人が SMS で情報を受け取れればいいのだから、別のスマホで SMS を受け取ってもいいはずだ。 それに iPad や Windows からのログインでも安全性を保てているといえるなら、スマホ版にもこれらと同じような QR コードログイン機能を付ければ、スマホ間でのアカウント共有も可能ではないだろうか。 LINE 社にこの旨を追加で聞いてみた。 「PC 版と iPad 版では同一のアカウントを利用できますが、スマホ版では複数の端末から同一アカウントを使うことはできません。 電話番号 1 つにつき 1 台のアプリ認証のみ可能です。 同一の電話番号での認証を別の端末で行うと、以前利用していた端末ではアカウントが自動的に削除されます。(LINE 社)」 言い方を変えて尋ねてみたが、これ以上の情報は得られなかった。 LINE Lite でスマホ間のアカウント共有ができてしまう件については「アカウントの保護観点や悪用防止のため、LINE Lite を使用しての同アカウントへのログイン使用は推奨しておりません(LINE 社)」とのことだった。 確かに、スマホ版に QR コードログインのような仕組みができてしまうとセキュリティ上考えるべきことはある。 例えば、(1) 攻撃者が何らかの方法で持ち主のスマホを使い、攻撃者のスマホからログイン、(2) 設定画面から電話番号を変更、(3) 元のスマホからログアウト - - という手順でアカウントを乗っ取れてしまう問題はありそうだ。 iPad 版や Windows 版では電話番号の変更ができないため、この方法が通用しない。 しかし、スマホ版も同様にすると電話番号を変えた際にアカウント移行ができなくなるかもしれない。 一方、LINE Lite で QR コードログインによりアカウントを共有した場合も電話番号の変更はできない。 LINE 社が情報セキュリティ対策を取った上で公式に LINE Lite のようなアプリを提供してくれればいいのだが、そのような予定はないという。 LINE Lite に関して LINE 社は「LINE Lite は LINE 本体と開発部署が異なるため、詳細な仕様などは聞いてみないと分からない」としていた。 LINE Lite のサービス終了が発表された当日も LINE 社に問い合わせたが、サービス終了についても知らない様子だった。 LINE 社のプレスリリース一覧にも LINE Lite の情報は無い 今後も、LINE の Chrome 拡張版と、PC 用 Chrome 拡張を使えるスマホ向け Web ブラウザを使えば裏技的に共有できる可能性もあるが、複数スマホでのアカウント共有は望み薄だ。 (谷井将人,ITmedia = 2-26-22) 行政の LINE 利用、2 割が機密・個人情報 原則禁止へ 対話アプリ「LINE」の利用者の個人情報が中国企業から閲覧できるようになっていた問題にからみ、政府は 30 日、行政サービスでの LINE の利用状況を調べた結果を公表した。 LINE を使った政府機関や地方自治体の業務の約 2 割で、機密性のある情報や個人情報を扱っていた。 これを受けて、行政が LINE などの民間サービスを使う際の指針もまとめた。 調査は内閣官房と総務省が実施。 政府内では、調査対象の 23 機関のうち 18 機関の計 221 業務で LINE が使われ、そのうち 44 業務 (19.9%) では機密性のある情報を扱っていた。 自治体では 1,788 のうち 1,158 自治体の計 3,193 業務で使われ、そのうち 719 業務 (22.5%) で住民の個人情報を扱っていた。 こうした情報を扱う業務には、いじめ・虐待や自殺などの相談が含まれていた。 また、職員同士が個人アカウントで業務連絡をしているケースもあった。 この結果を受けて、内閣官房などは、政府機関や自治体向けの LINE 利用の指針も公表した。 住民の利便性などの観点から、利用自体は選択肢から排除しないとしたうえで、住民の個人情報を含む機密性のある情報を扱うことは原則禁止と明示。 個人アカウントを使った業務連絡については、行政機関がセキュリティー対策に介入できなくなるため、通常は認められないとした。 問題発覚後、省庁や自治体では LINE の業務利用を止める動きが広がった。 内閣官房などは、利用を再開する場合は指針に沿った運用にするよう求めている。 (中島嘉克、江口悟、asahi = 4-30-21) 総務省が LINE に改善指導 安全管理の「不十分」認定 対話アプリ「LINE」の利用者の個人情報が業務委託先の中国企業からアクセスできるようになっていた問題で、総務省は 26 日、電気通信事業法に基づき、運営会社の LINE に改善を指導した。 社内システムの安全管理や利用者への説明に不十分な点があったと認定。 一方、「通信の秘密」の侵害や個人情報の漏洩などの法令違反は確認されなかったとした。 この問題で、総務省は 3 月中旬に同社に報告を求めた。 今月 19 日には報告書の提出を受け、通信の秘密を守る体制が整っていたかなどをさらに調べた。 その結果、委託先企業の技術者が LINE の社内システムに入る際の認証や、アクセス権限の管理が不十分だったと判断。 また、利用者から不適切なメッセージ投稿の通報があった際、LINE 側が見られる投稿の対象範囲を利用者側に正確に示していなかったことも指摘した。 これらの点について改善を指導し、対策の状況を 5 月末までに報告することも求めた。 LINE はこれまで、委託先の中国人技術者 4 人が計 32 回、投稿メッセージなどが保管される日本のサーバーにアクセスしたと説明していたが、今回、解析の対象を広げたところ、新たに計 100 回のアクセスが確認された。 ただ、投稿内容を読めないケースが大半だった。 総務省は、いずれも業務の一環で、通信の秘密の侵害には当たらないと判断した。 今回の指導に対し、LINE は「指摘を真摯に受け止め、適切な改善策と取り組みを実施し、信頼回復に努める」とコメントした。 LINE の問題では、すでに政府の個人情報保護委員会が今月 23 日に、委託先の監督などに不備があったとして、個人情報保護法に基づき指導した。 金融庁も「LINE Pay」などで個人情報の管理に問題がなかったかを調査中だ。 LINE はすでに中国からのアクセスを遮断し、韓国のサーバーに保管していた画像や動画などのデータは 9 月までに国内に移す方針を表明している。 またプライバシーポリシー(個人情報に関する指針)に個人データの移転先の国名などを明記していなかったが、問題発覚を受けて 3 月末に指針を改定した。 (杉山歩、中島嘉克、asahi = 4-26-21) LINE の不具合、原因はメンテナンスの人的ミス 誤って機器をシャットダウン LINE は 4 月 13 日、12 日午後 3 時 15 分ごろから発生しているコミュニケーションアプリ「LINE」の不具合が、メンテナンス作業の不備によるものと明らかにした。 外部の担当者がネットワークやサーバ機器の電源を誤って切っていたという。同日中に大半の障害は復旧したものの、現在も一部で復旧作業を続けている。 LINE によるとアプリの障害は国内でデータセンターを提供する事業者が行ったメンテナンス時に発生。 4 月 12 日午後 3 時 9 分から午後 4 時 1 分まで LINE のトーク機能でメッセージの送受信ができなかったり、通話機能が利用できなかったりする不具合が約 50 分間続いた。 その後、午後 5 時 21 分にはプロフィール更新や既読表示、グループ参加などの障害も復旧した。 現在も一部機能で不具合が残っているため、障害の影響範囲の確認とともに復旧作業を続けている。 こうした事態を受け、LINE はメッセージの送受信に障害が発生していた約 50 分間にメッセージを送信したユーザーに対し「不達の可能性があるため、再度、送信をお願いいたします」と呼び掛けている。 LINE は全ての障害復旧が完了した場合は公式サイトで告知する方針。 同社は「ユーザーの皆さまにご迷惑やご不便をおかけしましたことをおわび申し上げます」と謝罪している。 (ITmedia = 4-13-21) ◇ ◇ ◇ LINE の「トーク」で通信障害 送受信できない不具合 通信アプリ大手「LINE」は、12 日午後 3 時 15 分ごろから、メッセージをやりとりする「トーク」で、送受信ができない不具合が起きていることを明らかにした。 LINE は公式ツイッターで、「原因を調査中で、復旧次第案内する」としている。 (asahi = 4-12-21) LINE の個人情報管理に不備 中国の委託先が接続可能 無料通信アプリ「LINE」が、中国にある関連会社にシステム開発を委託するなどし、中国人技術者らが日本のサーバーにある利用者の個人情報にアクセスできる状態にしていたことがわかった。 LINE はプライバシーポリシーでそうした状況を十分説明しておらず、対応に不備があったと判断。 政府の個人情報保護委員会に報告する一方、近く調査のための第三者委員会を立ち上げ、運用の見直しに着手する。 LINE の親会社 Z ホールディングスの中谷昇常務執行役員は「プライバシーとそれを守るセキュリティーが第一であり、情報の取り扱いについてわかりやすく説明していくことが非常に重要であり、データの国外移転に関わることはより積極的な対策が必要であると認識しております。 皆様に不安や心配をおかけし、誠に申し訳ございません。」とコメントした。 個人情報保護法は、外国への個人情報の移転や外国からのアクセスに制限をつけ、必要な場合は利用者の同意を得るよう定めている。 LINE の規約は「お客様のお住まいの国や地域と同等の個人データ保護法制を持たない第三国にパーソナルデータを移転することがある」などとしているが、昨年 6 月に成立した改正個人情報保護法(2 年以内に施行)に関し、個人情報保護委員会は、原則として移転先の国名などを明記するよう求めている。 急速に普及した LINE は、国や自治体の新型コロナの通知アプリに使われるなど社会インフラとしての性格を強めている。 このため同社は、規約の説明は不十分だったとして「正確、詳細な表現の検討を始める(舛田淳・取締役最高戦略マーケティング責任者)」としている。 (編集委員・峯村健司、大部俊哉、asahi = 3-17-21) 日本の LINE 利用者の画像・動画全データ、韓国で保管 国内の月間利用者が 8,600 万人に上る無料通信アプリを運営する「LINE (ライン、本社・東京都)」が、利用者間でメッセージをやりとりするサービス「トーク」に投稿されたすべての画像と動画を韓国内のサーバーに保管していることがわかった。 同社は、現行のプライバシーポリシー(個人情報に関する指針)ではそのような状況が利用者に十分伝わっていないとして記述を見直す方針で、データも日本国内に移転するとしている。 同社によると、日本国内の利用者が「トーク」でやりとりしたデータのうち、画像や動画のすべてを LINE を実質的に傘下に持つ韓国 IT 大手ネイバーのサーバーに保管している。 そうした運用は、2012 年ごろに「トーク」で画像や動画を扱うようになって以来続いているという。 韓国のサーバーにはスマホ決済「LINE Pay」の取引情報も置かれていた。 氏名や住所などは含まれていないとしている。 このサーバーには、韓国にある LINE の子会社「LINE プラス」の社員がアクセスする権限を持っていた。 アクセス権を持つ社員の数や業務内容、アクセス履歴の有無は「調査中」としている。 データは複数のサーバーに分散化する特殊な処理がなされており、アクセス権を持つ社員も具体的な画像内容は見られないという。 こうした運用の経緯について LINE の舛田淳・取締役最高戦略マーケティング責任者は、「サーバー構築や費用の面で(日本と比べ)韓国の方が有利だった」と説明した。 膨大なデータを海外のサーバーで保管する企業は珍しくない。 同社は指針で、国外に個人情報を提供するケースとして、「(インフラの構築・運用など)一部の業務を第三者に委託する場合があり、パーソナルデータの全部または一部を委託先に預託することがある」としている。 この記述について、1 日に LINE と経営統合した Z ホールディングス (HD) の中谷昇常務執行役員は取材に、「(利用者への)説明の仕方として、自分の画像や動画が日本の外にいくとは想像しがたいと思う」と述べ、不備があるとの見解を示した。 その上で、指針を見直し、今年半ば以降にデータを国内移転する計画を進めていることを明らかにした。 ZHD は、すでに明らかになった中国の委託先に日本のサーバーへのアクセス権を付与していた問題などを含め、政府の個人情報保護委員会に報告している。 平井卓也デジタル改革相は 17 日の衆院内閣委員会で、「個人情報保護委員会で十分に調査をし、不適切と判断した場合には訂正していくことが必要だ」と述べた。 菅義偉首相は 17 日、政府内での LINE 利用の見直しについて記者団に問われ、「見直しということではなくて、まず事実関係について確認している状況だ」と述べた。 加藤勝信官房長官は会見で、「関係政府機関において事実関係を確認の上、適切に対応していくことになる」と述べた。 (編集委員・峯村健司、篠健一郎、asahi = 3-17-21)
「必ず殺す」差別的投稿の削除、川崎市が LINE に要請 川崎市は 20 日、インターネット上の掲示板やブログへの投稿に差別的な内容が含まれていたとして、ヘイトスピーチを禁止する市条例にもとづき運営会社などに削除を要請し、概要を公表した。 市によると、削除を求めた投稿は「今すぐに日本から出て行け」、「必ず殺してやる、生き延びたければこの国から出て行け」など、外国にルーツのある市民を対象に、地域社会から排除することや危害を加えることなどをあおる内容。 別の掲示板からの転載も含め、投稿は計 45 あるという。 要請先は、▽ 掲示板「5 ちゃんねる」を運営するロキテクノロジー、▽ 「2 ちゃんねる」のパケットモンスター、▽ 「5 ちゃんねる勢いランキング」の運営者、▽ ライブドアブログを運営する LINE。 これらの投稿については、条例にもとづく差別防止対策等審査会(会長 = 吉戒修一・元東京高裁長官)が、削除要請を「適当」とする答申を、福田紀彦市長に提出していた。 条例にもとづく運営者への削除要請は、10 月に投稿 2 件についてツイッター社に行ったのに続き 2 例目。 ただ、同社は 20 日夕時点で投稿を削除していない。 ☆ 川崎市多摩区と宮前区の公園で、在日コリアンを標的にした差別的な落書きが見つかった。 公園を管理する川崎市は警察に通報した。 今後、器物損壊容疑で被害届を出す方針だ。 市によると、19 日午後、多摩区内の 2 公園のベンチや日よけの支柱に「朝鮮人は犯罪民族」などの差別的な落書きがあるのを確認。 20 日には、多摩区と宮前区の公園でも同様の落書きが見つかった。 市は人権侵犯事案として法務局川崎支局に連絡した。 (大平要、asahi = 11-21-20) 60 代の 5 割強、離れた家族とはスマホで「LINE メッセージ」 通話を超える勢い NTT ドコモは、消費者のモバイルコミュニケーション動向について調査し、その結果を発表した。 それによると、離れて暮らす家族とやり取りする際の通信手段として、60 代の 51% が「LINE」を利用していた。 70 代の LINE 利用は 25% だが、年々増えている。 60 代の利用通信手段は、「携帯電話での通話」がもっとも多く 57%。 通話の利用率は横ばい状態にあるのに対し、2 番目に多い「LINE でのメッセージ」は 2017 年が 23%、2018 年が 28%、2019 年が 42%、2020 年が 51% と利用拡大しており、まもなく通話を超える勢いだ。 「直接会って伝える」、「固定電話での通話」、「携帯電話を用いたメール」は約 35% で拮抗しており、3% と大きく離れて「パソコンを用いたメール」がある。 70 代は、「固定電話での通話」が 50% で最多だが、その利用率は下がってきていて、「携帯電話での通話 (47%)」、「直接会って伝える (42%)」が迫っている。 4 位は「携帯電話を用いたメール (32%)」。 「LINE でのメッセージ」は 25% で 5 位だが、2017 年に 7%、2018 年に 8%、2019 年に 20% と増加傾向。 「パソコンを用いたメール」は 4% だった。 両年代とも LINE 利用率は上がる一方、「直接会って伝える」の割合は下がっていない。 NTT ドコモは、ICT コミュニケーション活用がシニア層の「直接会うコミュニケーション」を減らすことはなかった、としている。 また、スマートフォンで「知人・友人との交流が深まった」かどうかを 60 代スマートフォン利用者に尋ねたところ、5% が「そう思う」、28% が「まあそう思う」と答えた。 これに対し、携帯電話で「知人・友人との交流が深まった」かどうかを 60 代の携帯電話利用者に質問したら、「そう思う」は 0%、「まあそう思う」は 16% にとどまった。 60 代は、スマートフォン利用者の方に交流を深める人が多いようだ。 (佐藤信彦、Cnet = 9-14-20) LINE、「3 密」回避の新サービス次々 拠点は福岡 新型コロナウイルスの感染防止のため「3 密」の回避に役立ててもらおうと、「LINE (ライン)」が福岡市で無料通信アプリを使った新たなサービスを次々と打ち出している。 福岡市には国内第 2 の拠点があり、コミュニケーションツールにとどまらない使い方を全国に先駆けて提案している。 手がけているのは子会社の「LINE Fukuoka (ラインフクオカ)」。 約 1 千人の従業員が通信アプリ関連サービスの企画などを担っている。 福岡市西区の商業施設「木の葉モール橋本」内のフードコートでは、5 月 18 日からアプリを使った新しい注文サービスが導入された。 利用者は店舗前の列に並ばず、席からスマートフォンでメニューを選び、キャッシュレス決済の「LINE (ライン)ペイ」で支払う。 行列を解消し、3 密を避けられるとみる。 昨年 8 月から混雑緩和を目的に商業施設の従業員を対象に実証実験を行っていたが、新型コロナの影響でニーズが高まり、本格導入となった。 3 千人以上が利用者として登録しているという。 フードコートで同様のサービスを提供するのは全国でも初めてで、ほかの施設への導入も検討する。 大手私鉄の西日本鉄道ともタッグを組む。 市内の鉄道と路線バスの区間で朝の通勤時間帯の混雑状況を、西鉄の LINE 公式アカウントを通じて 5 月 21 日から無料で公開している。 車内の密集を防ぐために時差出勤を促す。 西鉄は自社のホームページでも先行してバスの混雑状況を公開したが、普及した LINE を活用すれば、より広く情報を伝えられると考えた。 西鉄によると、サービスの開始時から電車アカウントの登録者が約 7 千人増えたという。 6 月 11 日からは福岡銀行とも連携した。 福岡県内外にある 169 の支店のほぼ全てで、店舗窓口の混雑状況を公開している。 福岡市は若者が多いほか、協業相手となる IT ベンチャー企業も集まっており、LINE にとって新サービスのテスト地になっている。 LINE は 2018 年に福岡市と包括連携協定を結び、アプリ上での粗大ゴミの収集申し込みや LINE ペイでの納税、災害時の避難所検索など、新しい行政サービスを全国に先駆けて提供。 コロナ関連でも 1 人 10 万円の特別定額給付金の申請に関する情報を市のアカウントで発信しており、登録者数は市の人口を上回る約 168 万人に上る。 コミュニケーションツールとして普及した LINE だが、こうした関連機能を拡充することで魅力を高める狙いがある。 広報担当者は「コロナ対策においても福岡の皆さまとともに『生活インフラ』として取り組みを進めたい」と話す。 (女屋泰之、asahi = 6-18-20) LINE で被災情報を共有、スマホ活用した 1.17 訓練 阪神・淡路大震災の発生から 25 年となる 17 日、神戸市は無料通話アプリ「LINE」を活用した市民対象の防災訓練を実施する。 投稿された現場写真や位置情報を、人工知能 (AI) が整理し、地図上で共有できる。 被害の全容把握が難しかった震災当時の課題に向き合い、迅速な救助につなげる狙いがある。 これまで市民ら約 7,500 人が事前登録した。 この情報共有システムでは LINE の機能を使い、AI が自動応答する「防災チャットボット」を導入。 対話形式で情報収集する。 訓練当日に阪神大震災クラスの地震が発生したと想定。事前登録した参加者に被害状況を尋ねるメッセージが届く。 参加者は LINE で被災状況を示す写真や文章、位置情報を送信する。 「○○町で火災が起きた」、「○○町で負傷した住民がいる」などと投稿された情報は、AI が「火災」、「負傷」など項目ごとに分類。 件数ごとに地図上で一覧表示される。 投稿する訓練用の写真には震災当時の写真を選ぶ。 画像は市オープンデータ「1.17 の記録」からダウンロードできる。 末若雅之・市危機管理室総務担当課長は「被害情報を市民に共有できれば、迅速な避難や救助につなげられる」と期待する。 市外に住む人も参加可能。 KOBE 防災ポータルサイト や QR コードから、LINE アカウント「SIP-KOBE 実証訓練」を友達登録する。 神戸市、産官学で防災に力 神戸市は昨年 6 月、産学官で防災に取り組む「AI 防災協議会」に参加。 SNS を活用した防災に力を入れている。 神戸市が SNS を使った災害時の情報共有に期待するのは、阪神大震災当時の苦い経験があるためだ。 震災で火災や家屋倒壊など被害は同時多発した。 スマートフォンはなく、携帯電話も普及していなかった時代。 市消防本部の管制室では 119 番通報が鳴り続け、受信件数は当日 6,922 件に上った。 オペレーターの人数も限られ、ほとんど対応できない状況だった。 電話がつながらず、各消防署へ直接駆け込む市民も多かったという。 当時、消防本部に勤めていた馬場栄二・危機管理室長は「本庁が実質的にパンクしている状況で、市全体の被害を把握するのは困難だった」と振り返る。 LINE を活用した情報共有システムについて「最も現場に近い市民から送られた画像は、状況をつかむ上で非常に有効だ。 人員の投入先など対策を立てやすくなる。」と話す。 「当時もしスマホがあれば …」 「もし当時スマホがあれば、写真や映像でもっと早く現状を伝えられたかもしれない。」 震災当時、人工島ポートアイランドにある市立中央市民病院の事務職員だった柏尾政和さん (76) は振り返る。 現在は神戸市北区の大原・桂木防災福祉コミュニティ会長を務め、17 日の訓練に向けて事前登録を済ませた。 震災当日、屋上の水槽タンクはつぶれて流水。 水道や電気は止まり、患者たちは取り残された。 窮状を伝えようと市役所へ電話したが、つながらなかった。 走って市役所に報告に向かった。 水や物資供給の手配を進めてもらったという。 柏尾さんは「病院の外観は無事でも、中はぐちゃぐちゃ。 それを市は知らない。 走って伝えにいくしかなかった。」と語る。 LINE の担当者「膨大な投稿生かせるかが課題」 LINE の福島直央・公共政策室長は「市民が参加する LINE を活用した大規模な訓練は初めて。 膨大な投稿を整理し、うまく情報提供に生かせるかが課題。」と話す。 AI が登録者に近くの避難所を案内したり、避難後の生活再建に役立つ情報を提供したりするなど、現在のシステムに機能を追加することも検討するという。 (小池寛木、asahi = 1-16-20) 利用者の「信用」数値化、LINE が開始 ローン事業も LINE は 27 日、利用データをもとに利用者の信用度を点数付けする「LINE スコア」の提供を始めた。 LINE 上のコンテンツや金融などの各サービスの利用状況から一次的なスコアが算出される。 さらに「住んでいる住居の種類」など 15 の質問に回答すると、1 千点満点で加点される仕組み。 LINE の主要機能である通信アプリでのメッセージや通話の内容はスコアに反映しない。 スコアに応じて、提携企業による特典やキャンペーンを受けることができる。 スコアによって融資額や金利が変動する個人向け無担保ローンも今夏に始める。 出沢剛・最高経営責任者 (CEO) は「今までにない信用評価によって新しいサービスをつくっていく」と話した。 スコアは、利用者本人が規約に同意して手順を踏むことで初めて作成される。 提携企業へのスコア提供も、その都度本人の同意をとるという。 スコアが高いほど、LINE ペイの還元率が上がったり、提携企業の特典を受けたりすることができる。 カーシェアの「エニカ」や宅配サービスの「オイシックス」のほか、家具や高級バッグのレンタルサービスなど 11 社との提携がすでに決まっており、協業先をさらに募るという。 ヤフーも 7 月から、サイトの利用者の信用度を点数化する「Yahoo! (ヤフー)スコア」を始める。 ヤフージャパン ID を持つ約 4,800 万人を対象に、ヤフーショッピングの支払い状況、飲食店の予約キャンセル率、ヤフーのクレジットカードの利用金額などをもとに、「信用行動」、「消費行動」、「本人確認」、「ヤフージャパンサービス利用」の 4 分野と総合スコア(900 点満点)で採点。 特典の付与や広告配信などに活用する。 「どのニュースを見たか、どんなキーワードで検索したか、何を購入したかといった情報はスコア算定に利用していない」とする。 ただ、ユーザーが設定を変更しないと、スコアの作成に同意したとみなされる「オプトアウト」と呼ばれる仕組みが問題となった。 6 月 3 日にヤフーがサービスの提供開始を発表すると、専門家が懸念の声を上げ、ツイッターなどでは「自分の情報が勝手に外部に提供される」という誤った内容も拡散。 ヤフーは 21 日、個人ユーザーに向けてサービスを説明するページを新たに公開し、説明不足を謝罪した。 (村井七緒子、asahi = 6-27-19) 「街の傷み」 LINE で教えて スルーせず修理 福岡市 福岡市は 25 日、無料通信アプリ「LINE (ライン)」を使って、道路や公園といった公共施設の破損、ごみの投棄などを見つけた市民から通報を受けるサービスを始めた。 早期の修復や職員の負担軽減につなげる狙いもある。 通報には LINE の市の公式アカウントへの登録が必要。 通報画面で「道路」、「河川」、「公園・緑地」などを選び、発見した日時と場所、撮影した写真を送る。 市が管理する施設やインフラの場合は修復するなどし、状況をホームページに掲載する。 国や福岡県が管理する場合は内容を伝える。 市によると、道路や公園の不具合などに関する通報は年間約 1 万 9 千件あり、電話や窓口で受けてきた。 政令指定市では初めての取り組みで、通報内容が自動で担当部署にメールで振り分けられるため、職員の負担軽減にもつながると期待する。 この日はサービスの体験会があり、市民が破損物に見立てたベンチや植え込みを撮影して通報。 福岡市早良区の自営業、和田恵さん (37) は「どこに連絡すればいいのか分からなかったり、連絡するのをためらったりしたこともあったが、気軽に使え、すごくいい機能だと思う」と話した。 福岡市はまた、LINE で粗大ごみ収集の申し込みができる現行のサービスに加え、処理手数料の支払いまでできる実証実験を 7 月から中央区で始める。 処理券を購入する手間が省け、受付番号など必要事項を書いた紙をごみに貼るだけでよくなる。 支払いは LINE のキャッシュレス決済サービスを活用。 実験結果を踏まえ、2020 年度から市全域での導入を目指す。 (横山翼、asahi = 6-25-19) |