日銀、利上げの公算大 30 年ぶり高水準 0.75% 賃上げに手応え

乱高下の日本円

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投資促進税制を新設、控除率は 7% に 「租特」の見直しには難しさも

政府・与党は、企業に設備投資を促すための減税制度をつくる方向で最終調整に入った。 法人税を特例的に減税する「租税特別措置(租特)」に新たな項目を加える。 高市早苗政権は租特の見直しを掲げるが、その一つとして注目されていた研究開発税制は、限定的な縮小にとどまる見通しだ。 経済界への配慮もうかがえ、削減の難しさが浮き彫りになっている。

新たな減税策「設備投資促進税制」は、投資額の 7% を法人税から差し引くか、生産設備の全額を一括で減価償却できる制度。 投資額は大企業は 35 億円以上、中小企業などは 5 億円以上の大規模なものが条件となる。 トランプ関税の影響をふまえ、国内投資を後押しする狙いがある。 控除率は経済産業省が示した案の 8% から引き下げられた。 減税規模も当初は年 5 千億円を想定していたが、4 千億円となる見込みだ。

法人税の租特は計 96 種類あり、減収は 2.9 兆円(2023 年度)にのぼる。 効果があいまいだとの指摘もあり、高市政権は租特を見直して新たな財源を捻出するとしてきた。 そのさなかで新たに大規模な租特を導入することになる。 見直しが検討されている「研究開発税制」は、企業の研究開発費に応じて法人税を安くするもので、1 兆円近い税収減につながっている。

政府・与党は、通常の研究開発については減税を受ける条件を厳しくする一方で、新たに人工知能 (AI) や半導体などの戦略分野を支援する項目を創設する方向だ。 関係者によると、見直しにより、減税規模はわずかに縮小するという。 租特の見直しをめぐっては、減収規模の大きい「賃上げ促進税制」については、大企業などを対象外にして、大きく縮小する見込みだ。 (田中奏子、多鹿ちなみ、asahi = 12-11-25)


所得 6 億円超に課税強化、「1 億円の壁」是正へ 政府・与党案

富裕層ほど所得税の負担率が下がる「1 億円の壁」問題をめぐり、政府・与党は、所得が 6 億円を超える超富裕層への課税を強化する方向で最終調整に入った。 今年から 30 億円を超える人に追加負担を課しているが、この水準を大幅に引き下げる。

「1 億円の壁」とは、所得税の負担率が、総所得が 1 億円の水準を境に反転して低くなっていく現象のこと。 給与所得の所得税率(地方税含む)が金額に応じて 55% まで上がる一方、株式の売却益や配当といった金融所得の税率は一律 20% のままだ。 富裕層ほど給与よりも金融所得の割合が高く、税負担が軽くなるという不公平な状態になっている。 そのため、追加課税をさらに強化して、所得が高い人に一定の負担を求めることで、問題の解消につなげる。

いまは所得から 3.3 億円を差し引いたうえで 22.5% の税率をかけた金額と、通常の課税額の差額を負担させるしくみ。 この税率を 30% に引き上げ、差し引く額も半減させる。 超富裕層への課税強化は、企業の特例的な減税制度(租税特別措置)とともに、ガソリンや軽油の旧暫定税率の廃止による税収減(1.5 兆円)を補う財源にすることも決まっている。 ただ、今回の措置による増収効果は限定的で、ほかの手立ても必要になる。 (筒井竜平、田中奏子、asahi = 12-10-25)


年率マイナス 2.3% に 7 - 9 月期 GDP 改定値、設備投資引き下げ

2025 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP、季節調整値) の改定値は、物価変動の影響をのぞいた実質で、直前の四半期 (4 - 6 月期) と比べ 0.6% 減った。 内閣府が 8 日、2 次速報値を発表した。 この状態が 1 年続くと仮定した年率換算では 2.3% のマイナスで、11 月 17 日に公表した 1 次速報値 (1.8% 減) から、下方修正された。 1 次速報の発表後に追加・改定された基礎統計のデータを反映した。 さらに今回は 5 年に 1 度の GDP の基準改定の影響も加わっている。

1 次速報では、設備投資は前期比 1.0% の増加と堅調な動きと見られていたが、改定値では 0.2% 減少とマイナスに修正された。 ソフトウェア投資などが当初の推計値より少なかったためという。 GDP の 5 割超を占める個人消費の改定値は前期比 0.2% 増で、1 次速報値 (0.1% 増) から上方修正された。 7 - 9 月期のマイナス成長の要因になった住宅投資は 8.2% 減で、1 次速報 (9.4% 減) よりマイナス幅がやや縮んだ。 輸出は 2 次速報でも 1 次速報と同じ 1.2% 減だった。

今回の改定で、過去の成長率も修正された。 24 年度の実質成長率は 0.5% で、1 次速報 (0.6%) とほぼ同じだった。 内訳では個人消費が 0.2% 増となり、1 次速報 (0.7% 増)から下方修正された。 食料品などが押し下げに寄与しているという。 設備投資も 1.9% 増から 0.9% 増に引き下げられた。 23 年度は 1 次速報では 0.4% 増のプラス成長だったが、今回の改定で 0.05% 減のマイナス成長になった。

7 - 9 月期の実質 GDP の内訳

実質GDP ▼ 0.4 (▼ 1.8) → ▼ 0.6 (▼ 2.3)
個人消費 0.1 → 0.2
住宅投資 ▼ 9.4 → ▼ 8.2
設備投資 1.0 → ▼ 0.2
政府消費 0.5 → 0.2
公共投資 0.1 → ▼ 1.1
輸  出 ▼ 1.2 → ▼ 1.2
輸  入 ▼ 0.1 → ▼ 0.4
(1 次速報 → 改定値、前期比増減率 %、▼ はマイナス、カッコ内は年率換算)

基準改定で水準は上ぶれ、名目 600 兆円超えは 23 年 1 - 3 月期に

国内総生産 (GDP) の統計は、今回の改定値から、新しい基準が適用された。 ほぼ 5 年おきに作られる「産業連関表」や「国勢統計」を反映した。 過去にさかのぼって見直すので、前期と比べた成長率の動きは大きくは変わらない。 ただ、ソフトウェア投資の把握の範囲がひろがったことなどから、名目 GDP の水準はやや上ぶれした。 新基準では、四半期の名目 GDP (季節調整値)が年換算で 600 兆円を超えたのが、従来の 2024 年 4 - 6 月期から 23 年 1 - 3 月期に早まった。

年度でみると、24 年度の名目 GDP は 642.4 兆円で、従来基準の 615.5 兆円と比べ、26.9 兆円 (4.4%) 増えた。 内訳では設備投資が 119.2 兆円と従来基準 (106.5 兆円) から 12.7 兆円 (11.9%) と大きく伸びた。 住宅投資も 4.8 兆円 (21.1%) 増えた。 内閣府が事前に 2020 年(暦年)の GDP で改定前後の比較を試算したところ、設備投資の増加の多くを占めたのはソフトウェア投資だった。 個人宅やマンションの一室に登記されている事業所が把握できるようになったことなどが理由という。

住宅投資でも、不動産仲介手数料の関連で把握できる範囲が広がったことなどが、水準の押し上げにつながったとの説明だ。 (石川尚文、asahi = 12-8-25)


街角景況感が 7 カ月ぶりに低下 11 月の景気ウォッチャー調査

内閣府が 8 日に発表した 11 月の「景気ウォッチャー調査」で、現状判断を示す指数が 48.7 になり、前月より 0.4 ポイント低下した。 2 - 3 カ月後の先行きも 50.3 と前月より 2.8 ポイント下がった。 いずれも低下は 7 カ月ぶり。 調査期間は 11 月 25 - 30 日。 現状判断では、食品価格の高止まりで「消費者が生活防衛しているためか、販売量が減っている(北関東の食料品製造業)」といった声のほか、インフルエンザの流行や、各地でクマが出没している影響の指摘もあるという。

先行きについては「春節における中国人観光客の入り込みが落ち込むとみられる(北海道の観光型ホテル)」といった声など、日本への渡航自粛呼びかけの影響への懸念も出ている。 ただ、現状、先行きともに、直近 3 カ月の指数を平均した値は上昇傾向を保っており、内閣府は前月同様、景気ウォッチャーの見方を「景気は持ち直している」とまとめた。 (石川尚文、asahi = 12-8-25)

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街角景況感「持ち直し」に引き上げ、冬物衣料や旅行が好調 内閣府

街角の景況感が持ち直しているようすが、10 月の「景気ウォッチャー調査」で示された。 現状判断を示す指数は前月より 2.0 ポイント高い 49.1、2 - 3 カ月後の先行きも 53.1 と前月を 4.6 ポイント上回った。 ともに 6 カ月続けての上昇になった。 内閣府が11日に発表した。 調査時点は 10 月 25 - 31 日。 内閣府は景気ウォッチャーの見方を「景気は持ち直している」とまとめ、前月の「持ち直しの動きがみられる」から引き上げた。

現状については、「急に気温が下がり冬物衣料の動きが良くなっている(甲信越の百貨店)」、「旅行や商戦需要も増えている(九州の衣料品専門店)」といった声があり、インバウンド需要なども好調という。 企業関連でも、主要取引先が増産態勢になり「停滞から抜け出した印象(東海の窯業・土石製品製造業)」といった見方も出ている。 先行きについては、株高が富裕層の購買意欲を引き上げるといった予想に加え、年末商戦や新政権の政策への期待を示す声もあるという。 (石川尚文、asahi = 11-11-25)


中小企業向け特例利用で消費税節税? 「4 年で 22 億円」検査院推計

中小企業向けの特例が利用され、本来なら国が得られる消費税が納められていない - -。 会計検査院がこんな指摘を財務省にしている。 検査院は、延べ 105 社の納税額が 4 年間で計 22 億 9 千万円少なくなったと推計し、「より適切な制度となるよう検討を」と求めている。 問題を指摘された特例は、消費税の「簡易課税制度」だ。 検査院は 11 月に公表した 2024 年度の決算検査報告で検査結果をまとめた。 12 年度にも同様の指摘をしていた。 消費税を納める際、事業者は原則、商品などの仕入れでかかった消費税額を控除し、納税額を算出する。

ただ、2 年前の課税売上高が年間 5 千万円以下であれば、特例として簡易課税制度の適用を受けられる。 仕入れ分を計算しなくても、事業別に 40 - 90% と定められた「みなし仕入れ率」を使い、納税額を算出できる制度だ。 中小事業者の事務負担を減らす目的だ。 仕組み上、販売と仕入れの価格差が大きければ、制度の適用を受けた方が納税額を少なくできることになる。 制度を使うには事前の届け出が必要だ。 自社の事業に当てはまるみなし仕入れ率と仕入れの実態を比べ、有利になりそうな方法を選ぶことができる。

制度の利用、なぜ問題? 検査院の分析は

検査院が問題視しているのは、中小企業が、別の企業が分割した事業を受け継いだり、合併したりして事業規模が大きくなっても、2 年前の売上高を基準に制度を利用できる点だ。 検査院は今回、21、22 年度に制度の適用を受けた延べ 99 万 4,687 法人のうち、この期間で年間の課税売上高が 1 億円を超えた延べ 4,796 法人について、国税庁のデータを調べた。 その結果、合併や、分割による事業の引き継ぎをしていたのは延べ 172 法人。 20 - 23 年度の納税額を調べると、少なくとも延べ 105 法人で、実態よりも推計で計 22 億 9 千万円少なくなっていた。 このうち 3 法人は、差額が 1 億円を超えていた。

売上高 60 億円超で適用例 識者「確信犯の恐れも」

ある企業は 21 年 12 月に 100% 子会社を設立。 22 年 4 月に親会社の事業の一部を分割し、子会社に引き継いだ。 その結果、子会社の22、23 年度の課税売上高はそれぞれ 60 億円超になった。 だが 2 年前で見ると、20 年度は子会社が設立前、21 年度は課税売上高が6万円で、22、23 年度はいずれも簡易課税制度が適用された。 仕入れの実態に基づいて算出するよりも、納税額が計 1 億 8 千万円抑えられていたという。

制度利用、繰り返しも

関係者によると、事業を別の法人に移して制度の適用を 2 年間受けた後、さらに別法人に事業を移す分割を繰り返し、制度を使い続けていた例もあった。 また現行法では、会社設立と同時に事業を分割した場合には、新会社は元の会社の 2 年前の課税売上高を基準に、制度の適用の可否を決めることになるが、会社設立の翌日以降に事業を引き継いでいれば、元の会社を基準にする必要はない。

検査院はこの点に着目し、設立翌日以降に事業分割を受けた法人について、事業を承継した時期を調べた。 その結果、検査院が調べた 61 法人のうち 47.5% は、設立翌日から半年以内に事業を引き継いでいたという。

財務省、制度改正には慎重論

検査院幹部は「租税回避のために事業を分割している可能性がある。 税制改正による対策を検討するべきではないか。」と話す。 現行法で違法性はなく、法令違反の指摘などはしていないが、検査院内部には、制度が悪用されているのではという懸念がある。

財務省の担当者は「租税回避に多く使われているかは分からない」と反論する。 検査院の調べでも、制度適用で多くの企業で納税額が低くなった一方で、11 法人は計 2,685 万円多くなっていたことを指摘。 担当者は「租税回避には使いにくい面があるのではないか」と言う。 悪用していない中小企業の負担増につながる可能性があるとして、制度改正には慎重な構えだ。

税理士「節税手段として勧める可能性」

大原大学院大学教授の熊王征秀税理士は「みなし仕入れ率の事業区分は 6 種類しかない粗いもので、簡易課税制度を使った方が得になるかどうか判断しやすい」と説明。 検査院が指摘した問題について、「広く知られているスキームだとは言えないと思うが、節税手段として勧める税理士がいてもおかしくない。 確信犯的に事業の分割などをやっている企業がいる可能性もある。」と話す。 (根津弥、asahi = 12-7-25)


住宅ローン固定金利、過去最高水準に 「高市財政」懸念が生活に波及

大手 5 銀行が 12 月から住宅ローンの固定型金利を一斉に引き上げた。 三菱 UFJ 銀行など 3 メガバンクの平均は、10 年固定の基準金利で 4.83% (最優遇金利 2.30%) となり、さかのぼれる 2006 年 4 月以降で最も高い。 要因は金利設定の目安となる長期金利で、高市早苗政権の積極財政への懸念などから、上昇傾向が止まらない。 「変動と固定のどちらを選べばいいか」、「金利はどれぐらい上がるか。」

住宅購入の相談にのる「おうちの買い方相談室パークプレイス大分店(大分市)」には、11 月下旬の 3 連休中、20 代の夫婦らが訪れた。 不動産価格が高騰し、今の年収で家を買えるのか不安に思う世帯も目立つという。 久保徹弥店長は「いまは 9 割ぐらいが住宅ローンの相談。 以前の半分ぐらいから急増した。 金利が上がり、心配で借り換えの相談に来る方もいる。」と話す。

日銀の利上げと財政懸念、変動金利も変化の兆し

12 月からは固定金利がさらに上がった。 各行が 11 月 28 日に発表した。 新たな借り入れを対象に、10 年固定の基準金利は三菱 UFJ 銀が前月より 0.09% 幅高い5.04%とした。 借り手の支払い能力に応じて「優遇幅」を差し引いた適用金利は、最優遇で 2.26% となる。 再編して同行が発足した 06 年 1 月以降で最高水準だ。 三井住友銀行は 0.15% 幅、みずほ銀行が 0.2% 幅引き上げ、それぞれ 01 年と 02 年の発足以降で最高水準だ。 三井住友信託銀行とりそな銀行も引き上げた。

3 メガの基準金利は平均 4.83% で、この 2 年ほどで1%幅を超えて上昇した。 今年 2 月に 4% を上回り、4 月には比較できる 06 年 4 月以降で最も高い状況に。 8 月以降、過去最高を更新し続けている。

長期金利が 17 年半ぶり高水準

背景には、銀行が固定金利を決める目安とする長期金利の上昇がある。 日銀が 24 年 3 月に「異次元」の金融緩和を転換し、債券市場では、長期金利の指標となる新発 10 年物国債の利回りが上昇(債券価格は下落)してきた。 日銀が追加利上げを進める中、国債が売られやすい環境にある。 加えて、10 月に発足した高市政権の大規模な経済対策を受け、市場では財政悪化への懸念から、国債を売る動きが強まった。 12 月 2 日には 10 年物の利回りが一時 1.880% と約 17 年半ぶりの高水準をつけた。

一方で 5 行は、契約者の 8 割が選ぶ変動型金利の基準金利を 2.875% で据え置いた。 ただ、三菱 UFJ 銀は最優遇金利を 0.075% 幅上げて0.67%とした。 変動金利は長期金利ではなく、日銀の政策金利を目安とする。 24 年 3 月以降の利上げを受け、大手行は基準金利を計 2 回引き上げた。 日銀は今月にも追加利上げする可能性があり、その場合は来春にも変動金利が上がるとみられる。

「金利差 0.8% で固定金利にうまみ」

住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営する MFS の塩沢崇氏は、27 年までに変動金利は現状より 1% 幅、固定金利もさらなる上昇を見込む。 それでもなお低い変動金利の人気は変わらないが、現在は 1.1% 幅ほどの金利差が 0.8% 幅を割り込むと固定金利にもうまみが出てくる、とみる。 固定金利のニーズを取り込もうとする動きも出てきた。

au じぶん銀行は 10 月から 10 年固定の基準金利を 4.17% (最優遇金利 1.30%)とし、12 月も据え置いた。 広報担当者は「競争力のある金利を提供したいと考えた。 将来の安心を感じて頂ける水準を目指して頑張った。」と説明する。 塩沢氏は「au じぶん銀のように、固定金利の人気が高まればそれに合わせて良い商品を出す動きが年明けに出てきてもおかしくない」と話す。

預金金利も上昇 「冬のボーナスキャンペーン」で年 1%

金利上昇のメリットもある。 例えば、各行は定期預金の金利を、市場金利の上昇に応じて引き上げており、現在の 3 メガの 1 年物の金利は年 0.275% で約 16 年ぶりの高水準だ。 「金利のある世界」になり、各行は貸出金利と預金金利の差(利ざや)で稼げるようになった。 預金の獲得競争が激しく、実店舗を持たないネット銀行を中心に高い金利の設定も目立つ。

楽天銀行は冬のボーナス時期にあわせ、来年 1 月末までの預け入れを対象に、6 カ月物で年 0.8%、1 年物で年 1% の特別金利を打ち出した。 住信 SBI ネット銀行は来年 2 月 8 日までの預け入れを対象に、1 年物で年 0.8% の金利を設定。 au じぶん銀も金利を上乗せするキャンペーンを発表している。 (稲垣千駿、asahi = 12-2-25)


ビットコイン売却益への課税「一律 20%」へ 政府・与党検討

仮想通貨取引

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ウエルシアとツルハが経営統合、売上高 2 兆円超 ドラッグストア首位

ツルハホールディングス(HD、札幌市)とイオン子会社のウエルシア HD (東京都)が 1 日、経営を統合し、売上高 2 兆円超の巨大なドラッグストアチェーンが誕生した。規模拡大による競争力を生かし、日本だけでなくアジア地域への展開を強化する。ただ、日中関係の悪化が戦略に影を落としかねない。 ウエルシア HD は 1 日付でツルハ HD の完全子会社となった。 来年 1 月までにイオンがツルハ HD に対し株式公開買い付け (TOB) を実施して子会社にする。 ツルハ HD の社長は鶴羽順社長が務め、ウエルシアから取締役を受け入れる。

グループビジョンは「人生に寄り添うライフストアへ。」 都内で会見した鶴羽社長は「47 都道府県を網羅する。 薬を買う場所としてだけでなく、日々の買い物、健康支援などを一つにつなげて暮らしに寄り添っていきたい。」と語った。 2 社合わせて国内店舗数は約 5,600 店。 売上高は 2 兆円を超え、2032 年 2 月期までに 3 兆円を目指す。 2 位につくマツキヨココカラ & カンパニー(1 兆 0,616 億円)を大きく引き離す。 統合によるシナジー効果は 28 年までの 3 年で約 500 億円を見込む。

近隣店舗の統廃合は検討するが、ウエルシアとツルハの店舗ブランドは維持していく。 一方、商品については新たなプライベートブランド「+1 (プラスワン)」を立ち上げて 26 年春までに販売を始めるという。 2 社でのべ 1 億人に上る顧客情報やシステムを一元化するほか、薬剤師や管理栄養士など 5 万人を超える専門人材を生かし、健康関連のコンサルタント(相談)を強化する。 イオンとも商品調達や物流面で協業する。

海外展開、日中関係の行方が影

規模の拡大を生かして海外展開も加速する。 2 社とも海外に店舗を持つが、国内のドラッグストアは訪日外国人客に人気が高いことから、海外で「日本流」でさらなる商機を見いだす考えだ。 ただ、日中関係の行方が戦略に影を落としかねない状況にある。 高市早苗首相の国会答弁に端を発した日中関係の緊張により、訪日ツアーのキャンセルや商談の中止など日中間のビジネスに影響が出始めているためだ。

鶴羽社長は「まずは ASEAN (東南アジア諸国連合)の中から進出国を模索し、(中国は)イオンとも相談しながら考えていきたい」と慎重に言葉を選んだ。 イオンの吉田昭夫社長は「中国は政治の話とは切り離して、地域の方にどういうものを提供できるかをツルハやウエルシアと協議して考えたい」と語った。 (山口博敬、asahi = 12-1-25)


「5 万円相場」は定着するのか 強気と弱気が交錯、好調 AI にも懸念

東京証券取引市場

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経済対策での国債追加発行、昨年の倍近い 11 兆円台に 政府方針

政府が総合経済対策の裏付けとなる補正予算案で、11 兆円台にのぼる国債を追加で発行する方針であることが 26 日、わかった。 昨年度の補正予算での追加発行額 6.6 兆円を大きく上回る。 経済対策の多くを国債(借金)でまかなうことになる。 高市早苗首相は 21 日、減税も含めて総額 21.3 兆円の総合経済対策を発表した。 うち一般会計からの歳出額は 17.7 兆円と、昨年度の 13.9 兆円を大きく上回りコロナ禍後で最大だ。 政府は補正予算案を 28 日に閣議決定したうえで国会に提出し、12 月の可決をめざす。

今年度の税収は企業業績が好調なことなどから、当初見込んでいた 77.8 兆円よりも伸び、初めて 80 兆円を超える見通し。 こうした税収の上ぶれなども補正予算の財源となるが、それでも歳出が大きいため、多額の国債を追加発行してまかなう。

補正予算での国債発行額について、高市氏は 21 日、記者団に対し「(今年度の)当初予算と補正予算を合わせた国債発行額は昨年度を下回る見込み」と述べ、財政への配慮を強調していた。 政府は予算ベースで、今年度当初では 28.6 兆円、24 年度通年では 42.1 兆円を発行する計画だった。 財政への懸念から日本国債の金利は上昇傾向にあり、発行額には金融市場も注目している。 (asahi = 11-26-25)


3 メガ銀の純利益 2.9 兆円、利上げ追い風 預金獲得で勝ったのは …

3 メガバンクグループは 14 日、2025 年 9 月中間決算を発表した。 最終的なもうけを示す純利益は全社が過去最高で、合計は前年同期比 14.4% 増の 2 兆 9,164 億円となった。 3 社は、最高益を見込む通期の業績見通しをさらに上方修正。 金利上昇に加え、トランプ米政権の関税政策の影響が想定より小さかったことが、業績を押し上げた。

関税影響、想定より小さく

「本業が力強く伸びた決算だった。」 三井住友フィナンシャルグループ (FG) の中島達社長は、中間期で 4 年連続の最高益となった決算をこう評した。 日本銀行が昨年 3 月以降に利上げを進めたことで、銀行の収益の柱である「利ざや(預金金利と貸出金利の差)」が拡大。 活発な企業活動が加わり、貸出金を順調に伸ばした。 関税の悪影響も、日米交渉の進展で想定より小さかった。 当初は通期の純利益を 1 千億円下押しすると見込んだが、200 億円に修正。 純利益は当初予想より 2 千億円多い 1 兆 5 千億円に上方修正した。

中島氏は「世界的な景気後退のリスクは小さくなっている。 高市早苗政権の景気刺激策、成長投資の政策も出てきて、我々のビジネスを支えてくれるのではないか」とみる。 三菱 UFJ G は 3 年連続で中間決算の過去最高を更新し、通期の純利益は 1 千億円上方修正して 2 兆 1 千億円とした。 出資先の米金融大手モルガン・スタンレーの業績が好調だ。 亀沢宏規社長は「足元実績が顧客部門を中心に堅調に推移している」とした。

みずほ FG は、国内外の M & A (企業合併・買収)が好調だったほか、日銀の利上げの影響が純利益を 850 億円押し上げた。 通期の純利益を当初から 1,900 億円増やし、初の 1 兆円超えを見込む。 ただ、木原正裕社長は「(トランプ関税の)不透明感が払拭されてコーポレートアクション(企業活動)が戻ってきたが、鉄鋼・アルミ関税の影響などは予断を許さない」とし、警戒感をにじませた。 3 行は取引先と関係を保つための政策保有株の売却も進めており、これも業績を後押しする。

個人預金集めは「一人勝ち」

日銀の利上げで「金利のある世界」が再来し、3 メガは預金集めでも競い合う。 利ざやで稼ぎやすくなり、貸し出しの原資となる預金の重要性が増しているためだ。 個人客でみると、上半期は三井住友 FG の一人勝ちだ。 決算資料によると、三井住友銀行は 9 月までの半年間で 4,287 億円 (0.7%) 増だったのに対し、三菱 UFJ 銀行は 1,956 億円 (0.22%) 減、みずほ銀行は 562 億円 (0.12%) 減となった。

三井住友 FG は 23 年に始めた個人向け総合金融サービス「Olive (オリーブ)」が好調で、預金集めの中核を担っている。 個人預金総額 61 兆円のうち、2.1 兆円はオリーブからの申し込みだった。 中島氏は「オリーブを軸にいろんな提携が進んでいる。 (今後さらに)しっかりと成果が出てくるんじゃないか」と手応えを口にする。

一方、ほかの 2 メガも新施策で追う。 三菱 UFJ FG は6月に個人向け総合金融サービス「エムット」を開始。 最初の 3 カ月で口座開設数は前年同期比 2 割増えた。 クレジットカードの発行数は同 2 倍に伸びた。 みずほ FG も昨年 12 月に楽天カードと組み、「みずほ楽天カード」を発行し、新たな口座と預金の獲得を目指している。 今年 9 月までに、みずほの従来のクレジットカードと比べて 9 倍のペースで伸びている。 (稲垣千駿、伊沢健司、柴田秀並、asahi = 11-15-25)