東証 648 円高、円安進行 トランプ氏「FRB 議長解任ない」に好感

23 日の東京株式市場で日経平均株価は 3 営業日ぶりに反発し、前日より 648 円 03 銭 (1.89%) 高い 3 万 4,868 円 63 銭で取引を終えた。 米中の貿易摩擦が和らぐとの観測から、前日の米国市場で主要な指数が上昇した流れが続いた。 トランプ米大統領が、米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長を「解任する考えはない」と明言したことも好感された。

トランプ氏はこれまで、利下げに慎重なパウエル氏に対して「私が追い出したいと望めばすぐに去るだろう」などと述べ、退任を迫るかのような発言を繰り返した。 トランプ氏は景気の下支えにつながる利下げを FRB が早急にすべきだとの持論を持つ。 慎重姿勢のパウエル氏を「遅すぎる男」などとも呼んで非難してきた。 政権高官もトランプ氏らがパウエル氏の解任を検討していると話していた。 だが、トランプ氏は 22 日、記者団にそうした検討をしたことは「一切ない」と語った。

「彼が金利の引き下げについて、もう少し積極的に行動してほしいと考えている」などとも述べ、明らかに言葉を選んだ。自らの発言が金融政策への不安を生み、株価の大幅な下落を招いていることを気にしているとみられる。

「株価の乱高下は続く」との見方

市場には安心感が広がり、23 日の東京市場で日経平均は反発してスタート。 22 日の米ニューヨーク市場で、ダウ工業株平均が前日より 1,000 ドル超上昇した流れも引き継いだ。 日経平均の上げ幅は一時 900 円を超え、取引中として 20 日ぶりに 3 万 5,000 円台に乗せる場面もあった。 トランプ氏の言動で信認低下が意識されていたドルも、買い戻しが進んだ。 東京外国為替市場での円相場は、22 日は一時 1 ドル = 139 円台まで円高が進んだが、23 日は朝方に一時 143 円台まで下落し、輸出関連株の上昇要因ともなった。

大和証券の坪井裕豪氏は「株価は足元で上昇したものの、貿易摩擦に対する警戒感は依然、残っている」と指摘。 「90 日間延期されている追加関税がどうなるかが明らかになるまでは、株価の乱高下は続く。」とみる。 (柴田秀並、ワシントン・榊原謙、asahi = 4-23-25)


日経平均株価、396 円高の 3 万 3,982 円 円相場は荒い値動き

週明け 14 日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前週末より 396 円 78 銭 (1.18%) 高い 3 万 3,982 円 36 銭で取引を終えた。 前週末 11 日の米国株式市場で主要な株価指数が上昇した流れを受け、ハイテク株を中心に幅広い銘柄で買いが広がった。 トランプ米政権の「相互関税」による世界経済への警戒感が米国の株価上昇で和らぎ、14 日の日経平均は反発してスタート。 市場が開いて 10 分ほどで上げ幅は 700 円を超え、一時は 3 万 4,000 円台を回復した。 日経平均が一時 1,900 円超と大きく下落した前週末 11 日に値下がりした半導体関連株などを買い戻す動きが進んだ。

だがその後は、トランプ政権の関税政策が二転三転するなかで、先行きの不透明感がぬぐえず、上値の重しになる展開となった。 一方、東京外国為替市場で円相場は、円を売ってドルを買う動きが強まって円安が進み、14 日朝は一時 1 ドル = 144 円台をつけた。 株価の下支えになったが、その後は一転して 142 円台前半まで円高が進む場面もあり、荒い値動きが続いている。 (堀篭俊材、asahi = 4-14-25)


日経平均株価が一時 2,800 円超上昇 景気減速の懸念、後退

10 日の東京株式市場で日経平均株価は上げ幅が一時 2,800 円を超え、午前の取引は 2,639 円 14 銭高の 3 万 4,353 円 17 銭で終えた。 トランプ米大統領が「相互関税」の一部を 90 日間停止すると表明したことを受け、景気減速に対する懸念が後退。 前日の米国株式市場で主要指数が記録的に上昇した流れを引き継いだ。 日経平均は、このままの水準で取引を終えれば、終値ベースで過去 2 番目の上げ幅となる。 東京外国為替市場では円安ドル高が進み、一時、前日夕より 2 円ほど円安の 1 ドル = 147 円台をつけた。

トランプ氏は 9 日、SNSへの投稿で、75 カ国以上が関税や貿易障壁に関する解決策の交渉を試み、「報復措置をとらなかった」として、税率の一部について「90 日間の一時停止と、期間中の 10% への引き下げを承認した」と表明した。 トランプ氏の SNS 投稿を受け、9 日の米ニューヨーク株式市場では、主要企業でつくるダウ工業株平均が 5 営業日ぶりに反発し、史上最大の上げ幅を記録。 前日終値より 2,962.86 ドル (7.87%) 高い 4 万 0,608.45 ドルで取引を終えた。 米大企業を幅広く網羅する S & P500 指数は 9.52%、ハイテク株中心のナスダック総合指数は 12.16% 上昇して取引を終えた。

半導体大手のエヌビディアが 18.72%、アップルが 15.33% 上昇するなど、ハイテク株などを中心に幅広い銘柄で買いが広がった。 10 日の東京市場もこの流れが続き、日経平均は前日終値より 600 円超高い 3 万 2,321 円 21 銭で取引をスタート。 その後、上昇幅を広げ、半導体製造装置や自動車など、幅広い銘柄で買いが優勢となった。 円安ドル高が進んだことも、輸出関連企業を中心に株価の押し上げに寄与している。

ただ、野村証券の沢田麻希氏は「米国が貿易相手国との交渉過程で(関税上乗せの)再発動をちらつかせながら有利な条件を引き出そうとしてくることは十分に予想される」として、状況を注視する必要性を強調した。 (笹井継夫、ニューヨーク・杉山歩、asahi = 4-10-25)


日経平均、一時 2,900 円超の下落 1 年半ぶり 3 万 1,000 円割れ

週明け 7 日の東京株式市場で、日経平均株価は続落して始まり、一時、前週末の終値より 2,900 円超下落し、3 万 1,000 円を割った。 取引時間中に 3 万 1,000 円を割り込むのは 2023 年 10 月以来、約 1 年半ぶり。 世界経済が悪化するとの懸念を背景に、3 営業日連続の大幅安の展開になっている。 前週末 4 日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業でつくるダウ工業株平均が史上 3 番目の下げ幅となる 2,231 ドル安い 3 万 8,314 ドルになった。 3 日にも 1,679 ドル下げており、世界同時株安の流れが続いている。

米国の「相互関税」で貿易摩擦が再燃するとの見方が広がっており、世界経済悪化への懸念が急速に強まっている。 日経平均は前週の終値より 625 円安い 3 万 3,154 円で取引を開始した。 自動車大手や半導体製造装置メーカーをはじめ、幅広い銘柄が売られ、その後、下げ幅が拡大した。 午前の終値は 2,188 円安い 3 万 1,591 円だった。 外国為替市場で円相場が一時 1 ドル = 144 円台後半まで円高ドル安が進行。 輸出企業を中心に業績が悪化しかねないとの懸念から、輸出関連株の下押し要因になっている。 (asahi = 4-7-25)


世界同時株安の様相 日経平均、大幅続落で 3 万 4,000 円割れ

4 日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日より 955 円 35 銭 (2.75%) 安い 3 万 3,780 円 58 銭で取引を終えた。 前日の海外市場で大幅な株安が進んだ流れを引き継いだ。 トランプ米大統領が発表した「相互関税」を受けた市場の動揺が続いている。 3 日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業でつくるダウ工業株平均は前日より 1,679.39 ドル (3.97%) 安い 4 万 0,545.93 ドルで取引を終えた。 コロナ禍の 2020 年以来、約 5 年ぶりの下げ幅だ。 この日は香港を始めとするアジア市場やドイツなどの欧州市場でも株が売られ、世界同時株安の様相となった。

4 日の東京市場も取引開始から売りが広がり、日経平均の下げ幅は一時 1,400 円を超えた。 終値で 3 万 4,000 円を割るのは、史上最大の下げ幅を記録した昨年 8 月 5 日以来、約 8 カ月ぶりだ。

3 月 26 日以降、4 千円超の下落

トランプ氏は 3 月 26 日、米国に輸入される自動車に関税をかけるよう命じる文書に署名。 それ以降、日経平均は下落傾向が続き、この間の下げ幅は計 4,246 円 (約 11%) に達する。 4 日の外国為替市場では円高ドル安が進んだ。 円相場は一時 1 ドル = 144 円台と昨年 10 月以来、半年ぶりの水準となった。 東京債券市場では、比較的安全な資産とされる国債が買われる流れが続いている。 長期金利の指標となる新発 10 年物国債の利回りは低下(債券価格は上昇)し、一時、前日終値より 0.200% 幅低い 1.160% をつけた。 約 3 カ月ぶりの低水準だ。

SMBC 日興証券の丸山義正氏は「トランプ関税の影響がどの程度になるのか、市場で織り込みきれていない。 リスク回避の動きが続いている」と指摘。 一方、「今の相場は『大底』であるとも考えている。 今後、関税の交渉が進む中で株価は戻していくのではないか。」とする。 (江口英佑、asahi = 4-4-25)


円急騰、金利は急低下 日経平均、8 カ月ぶり 3 万 5,000 円割れ

3 日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日より 989 円 94 銭 (2.77%) 安い 3 万 4,735 円 93 銭で取引を終えた。 昨年 8 月以来、約 8 カ月ぶりに節目の 3 万 5,000 円を割り込み、下げ幅は一時 1,600 円を超えた。 トランプ米大統領による「相互関税」の詳細発表を受け、世界経済の先行きに対する懸念が急速に強まった。

石破首相、トランプ関税「見直し強く求める」 国内事業者には支援策

日経平均はこの日、取引開始から幅広い銘柄で売り注文が広がった。 午後にかけて下げ幅を縮めたものの、主要 33 業種のうち 31 業種で値を下げた。 関税の影響を受ける自動車や半導体メーカーのほか、銀行などでも下落が目立った。 トランプ政権や米経済に対する不安は日に日に強まっており、日経平均はこの 1 週間で計 3,000 円ほども値を下げた。

金融市場全体でリスク回避

投資家がリスクを避ける姿勢は、金融市場全体に広がる。 3 日の東京外国為替市場で円相場は円買いドル売りが進み、一時 1 ドル = 146 円台をつけた。 トランプ氏の発表前よりも 3 円ほど円高ドル安に振れ、3 中旬以来の水準となった。 東京債券市場では、比較的、安全な資産とされる国債が買われた。 長期金利の指標となる新発 10 年物国債の利回りが急低下(債券価格は急上昇)し、一時、前日より 0.140% 幅低い 1.325% をつけた。 景気減速に対する警戒感から、日本銀行が追加利上げするとの観測が後退したことも、金利の押し下げ圧力となった。

トランプ氏は 2 日(日本時間 3 日)、5 日から全ての国や地域に一律 10% の関税をかけ、高い貿易障壁があると判断した相手にはより高い税率を 9 日から適用する、と発表。 日本に適用される税率は「24%」で、3 日は自動車への 25% の追加関税も発動した。 (稲垣千駿、asahi = 4-3-25)


日経平均、一時 1,500 円超下落 米国の主要株価指数急落受け

31 日午前の東京株式市場で日経平均株価は一時、前週末の終値より 1,500 円超下落し、3 万 6,000 円を割り込んだ。 前週末の米国株式市場で、トランプ政権の関税措置が物価高を招くとの懸念などから主要な株価指数が急落し、その流れを引き継いだ。 米国で前週末 28 日に発表された経済指標などを受け、トランプ政権の関税政策が、景気停滞と物価高が同時に起こる「スタグフレーション」を引き起こすとの懸念が強まっている。 28 日の米ニューヨーク株式市場で、主要企業でつくるダウ工業株平均が前日より 700 ドル超値下がりするなど、主要指数がそろって下落した。

週明けの東京市場でも、取引開始からほぼ全面安の展開となっている。 特に半導体関連株や、関税の対象となる自動車株などが大きく下落している。 また、31 日午前の東京外国為替市場で対ドル円相場は一時 1 ドル = 149 円台前半をつけ、前週末の夕方よりも 1 円程度、円高が進んだ。 自動車産業はじめ、輸出関連株の下押し圧力となっている。 大手証券のアナリストは「トランプ政権の関税政策の全容が見えてくるまでは、自動車株を中心に更に下落する可能性もある」と指摘する。 (東谷晃平、asahi = 3-31-25)


日経平均、一時 800 円超下落 トランプ米政権の自動車関税が重しに

28 日午前の東京株式市場で日経平均株価は一時、前日終値よりも 800 円超下落し、約 2 週間ぶりに 3 万 7 千円台を割った。 トランプ米大統領が輸入自動車への追加関税を発表したことを受け、前日の米ニューヨーク株式市場で主要株価指数がそろって下落した流れを引き継いだ。 トランプ氏は 26 日、米国に輸入される自動車に 4 月 3 日から 25% の関税をかけるよう命じる文書に署名した。 海外に生産拠点を持ったり、部品を輸入したりしている米国の自動車メーカーにもマイナスの影響が出るとの見方から、自動車株が売り優勢となった。

東京市場もこの流れを引き継ぎ、自動車株を中心に売りが広がっている。 この日は配当を受ける権利を取得できる 27 日の翌日だったことも、株価の重しとなっている。 一方、米長期金利の上昇を受け、東京外国為替市場では、金利差を意識した円売りドル買いが進んだ。 28 日の対ドル円相場は円安ドル高が進み、一時 1 ドル = 151 円台をつけた。 (山本恭介、asahi = 3-28-25)


東証一時 3 万 8 千円割れ、底堅かった米景気に影 背景に高関税政策

底堅さを保っていた米景気の先行きに対し、金融市場で不安が広がり始めた。 トランプ米大統領の高関税政策を背景に、消費者の景況感やインフレ(物価高)への懸念を示す経済指標の発表が相次ぐ。 投資家はリスク回避に動き、日米で株安と円高が進んでいる。 26 日の東京株式市場で、日経平均株価は続落し、前日比 95 円 42 銭 (0.25%) 安い 3 万 8,142 円 37 銭で取引を終えた。 半導体関連株などで売りが優勢となり、節目となる 3 万 8,000 台を約 3 カ月ぶりに割り込む場面もあった。

株安の背景には、米経済の先行き不安に伴う、市況の悪化がある。 25 日の米ニューヨーク株式市場は、ハイテク株が中心のナスダック総合指数が 4 営業日連続で下落。 ダウ工業株平均はこの日は小幅に反発したが、先週末に 2 日間で約 1,200 ドルと大きく値下がりした分を取り戻せていない。 外国為替市場では円買いドル売りが進み、一時 1 ドル = 148 円台半ばと約 4 カ月半ぶりの円高水準をつけた。

きっかけは、消費とインフレへの懸念を示す経済指標の発表が相次いだことだ。 25 日に発表された米民間調査会社コンファレンス・ボードの 2 月の消費者信頼感指数は、前月の 105.3 から 98.3 に悪化。 8 カ月ぶりの低水準だった。 先週発表されたミシガン大の同様の指標でも 1 年 3 カ月ぶりの低水準を記録した。 ミシガン大の消費者が考える 5 年先の予想インフレ率も 3.5% と 30 年ぶりの高水準に達した。 いずれも、トランプ氏の政策が背景にあるとみられる。 これまで、トランプ氏の高関税政策にはインフレのリスクがあるものの、規制緩和や法人減税への期待から株価は上昇基調だった。

だが、米国の消費者物価指数 (CPI) が 4 カ月連続して加速する中で、トランプ氏が矢継ぎ早に高関税政策を打ち出したことで、「先に消費者の『気持ち』の部分がインフレや将来の消費への懸念を引き起こしている可能性がある(日系証券のアナリスト)」との見方が浮上している。

投資家はインフレと景気の減速が同時に進む「スタグフレーション」を意識し始め、リスク回避の姿勢を強めている。 資金は株式から比較的安全な資産とされる米国債に移り、株安と金利の低下が進行。 金利の下がったドルが売られ、円高ドル安も進んでいる。 日本銀行が利上げに積極的という見方も、円高に拍車をかけている。 (ニューヨーク・真海喬生、柴田秀並、asahi = 2-26-25)


日経平均株価、一時 600 円超上昇 トランプ氏の高関税延期が影響

4 日の東京株式市場で日経平均株価は一時、前日終値より 600 円超上昇し、3 万 9,000 円台を回復した。 トランプ米大統領が打ち出す高関税政策への警戒感が後退したためで、自動車メーカー関連株を中心に値上がりしている。 トランプ氏は 3 日、メキシコとカナダに課すと表明していた関税について、発動を 1 カ月猶予する方針を示した。 4 日に迫っていた関税の発動は土壇場で回避されることになる。

3 日のニューヨーク株式市場では高関税政策への懸念から、ダウ工業株平均は一時 600 ドル超下落。 しかし、メキシコへの関税導入が 1 カ月延期されることが伝わると急速に買い戻され、上昇に転じる場面もあった。 この流れを受けて 4 日の東京株式市場では、関税の対象となるメキシコやカナダなどに工場がある自動車メーカー関連株を中心に上昇した。 3 日の東京市場は米国の関税発動への懸念から全面安の展開となり、前週末比 1,052 円安で取引を終えていた。 (神山純一、asahi = 2-4-25)

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東証、1,052 円安の 3 万 8,520 円 「トランプ関税」発動を懸念

週明け 3 日の東京株式市場で、日経平均株価は反落し、前週末比 1,052 円 40 銭 (2.66%) 安い 3 万 8,520 円 09 銭で取引を終えた。 トランプ米大統領が打ち出した関税強化に対する懸念が強まり、投資家にリスクを避ける動きが広がっている。 日経平均は、前週末比 639 円 83 銭安い 3 万 8,932 円 66 銭で取引をスタート。 その後、下げ幅を広げ、東証プライム市場の約 9 割の銘柄が下落した。 特に、関税の対象となったメキシコなどに工場がある自動車メーカー関連の下落が目立った。

トランプ米大統領は 1 日、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税をかけ、中国には追加で 10% の関税を上乗せする大統領令に署名した。 関税発動は 4 日とされるが、これを受け、それぞれの国が対抗して報復関税を課すことを表明。 世界経済の先行きに対する懸念が強まっている。 大手証券アナリストは「関税ショック安の様相だ。 今後さらに下げ幅をさらに広げる可能性もある」と話している。 (東谷晃平、asahi = 2-3-25)


日経平均 4 営業日続落、3 万 8,500 円割れ 一時 800 円安

14 日の東京株式市場で日経平均株価は 4 営業日続落し、前週末より 716 円 10 銭 (1.83%) 安い 3 万 8,474 円 30 銭で取引を終えた。 下げ幅は一時 800 円を超え、約 1 カ月半ぶりに 3 万 8,500 円を割り込んだ。 米国で前週末に発表された経済指標が市場予想を上回り、インフレ(物価高)懸念が再燃。 米国の利下げ観測が後退した。 米政府が人工知能 (AI) 向けの先端半導体の輸出について規制する案を公表したこともあり、日経平均は取引開始から売りが優勢となった。 半導体関連株を中心に大きく値下がりした。

また、日本銀行の氷見野良三副総裁が講演で、次回の金融政策決定会合で「利上げを行うかどうか、政策委員の間で議論し、判断したい」などと発言。 景気減速につながる恐れがある追加利上げの観測が強まったことも株安の要因となった。 14 日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発 10 年物国債の利回りは上昇(価格は下落)し一時、前週末よ 理 0.055% 幅高い 1.25% をつけた。 2011 年 4 月以来、13 年 9 カ月ぶりの高い水準となった。

氷見野氏の発言について、大和証券の坪井裕豪氏は「姿勢は従来と変わりはなく円安進行を避けたい一心のように見えるが、市場はタカ派と受け止めた。 米国の金利高が一服するまでは株安は続くだろう。」と話した。 (東谷晃平、asahi - 1-14-25)


大納会の東証、年末では最高値の 3 万 9,894 円 35 年ぶり更新

東京証券取引所は 30 日、年内最後の取引となる「大納会」を迎えた。 日経平均株価は前週末比 386 円 62 銭 (0.96%) 安の 3 万 9,984 円 54 銭で取引を終えた。 4 万円には届かなかったが、年末の株価としては 1989 年以来、35 年ぶりに最高値を更新した。 前年末と比べると 6,430 円 (19%) 上がり、年間ベースでは 2 年連続の上昇となった。 今年はバブル期の最高値を更新して 4 万円台もつけたが、過去最大の暴落を記録するなど激動の 1 年となった。

それでも全体として底堅く動いたのは、1 月から新 NISA (少額投資非課税制度)が拡充され個人投資が促進されたことに加え、生成 AI (人工知能)ブームも後押しした。 米エヌビディアの業績が大きく飛躍し、それに牽引される形で日本の半導体関連株も上昇した。 7 月には史上最高値となる 4 万 2 千円台をつけ、より市場全体の動きを表すとされる東証株価指数 (TOPIX) も高値を更新した。 円安も株高を演出した。 年初に 1 ドル = 140 円台前半だった対ドル円相場は 6 月末には 161 円台まで下落。 当局が、複数回ドル売り円買いの為替介入に踏み切るなど、歴史的な円安水準となった。

ただ 8 月になると株式市場をショックが襲った。 日本銀行の 7 月会合での追加利上げ決定や、米国経済に対する懸念の高まりから急速に円高が進行。 8 月 5 日には過去最大となる前週末比 4,451 円の下落幅を記録し、1987 年のブラックマンデーを超えた。 一転、翌 6 日には過去最大となる前日比 3,217 円高となった。

それ以降、株価はほぼ横ばいが続く。 松井証券の窪田朋一郎氏は「日銀の 8 月の追加利上げがサプライズとなったことで海外投資家が日本株に警戒感を持つようになった」と話す。 来年については「(次期米大統領の)トランプ氏の政策の実現次第では円安が 160 円台で止まらない可能性がある。 円安か、株安かどちらを取るのか日銀の動きが注目される。」と話す。 来年末の日経平均株価は 4 万円を予想している。 (東谷晃平、asahi = 12-30-24)


日経平均一時 700 円超値下がり トランプ氏関税強化の投稿に警戒感

26 日の東京株式市場で、日経平均株価は前日終値より一時、700 円超下落した。 午前の終値は 519 円 76 銭 (1.34%) 安い 3 万 8,260 円 38 銭。 米国のトランプ次期大統領が関税を強化する考えを示したことを受け、投資家がリスクを避ける姿勢を強めている。 トランプ氏は米国時間 25 日、中国からの輸入品に 10%、カナダやメキシコからの輸入品に 25% の追加関税を課すと自身の SNS に投稿。 企業の業績悪化や景気の先行きに対する不透明感が強まった。

これを受け、東京市場は取引開始直後から売り注文が先行。 前日までの 2 日間で 700 円超値上がりした反動もあり、幅広い銘柄で売りが広がった。 半導体関連のアドバンテストや東京エレクトロンなど、日経平均への寄与度が大きい銘柄を中心に値を下げた。

トランプ氏の投稿について、三井住友 DS アセットマネジメントの市川雅浩氏は「相手の譲歩を引き出すいつものやり方で、市場も慣れている」とし、比較的、落ち着いた反応だとの見方を示す。 今後についても「市場は、どうなるか分からない部分について振れ幅が大きくなる。 一度経験していれば免疫と予想はできるので、それほど振れ幅は大きくならないだろう」とした。 (杉山歩、asahi = 11-26-24)


東証、5 日から取引時間 30 分延長 終了午後 3 時半に、活性化狙う

東京証券取引所は 5 日から、70 年ぶりに取引時間を延長し、30 分長い午後 3 時半までとする。 2020 年に発生したシステム障害をきっかけにした対応策という「守り」の側面が強いが、東証は取引量を増やす「攻め」にも期待している。 現在の取引は午前 9 時に始まり、午前 11 時半から 1 時間の昼休みをはさんで再開。 午後3時に終了している。 それを 5 日から 30 分延長する。 1954 年に取引終了が午後 2 時から午後 3 時に変わって以来、延長は 70 年ぶり。

きっかけは 20 年 10 月に起きた大規模なシステム障害だ。 東証は終日、売買停止に追い込まれた。 取引時間を延長すれば、障害が起きても復旧次第でその日のうちに再開できる。 東証を傘下に持つ日本取引所グループ (JPX) の山道裕己最高経営責任者 (CEO) は「障害が起こったとしてもいち早く立ち上がれるような体制を考えている」と語った。 一方で「取引量が増える効果もある」と期待ものぞかせる。

世界の主な株式市場の取引時間と比べると?

ただし、市場が活性化するかは不透明だ。 大和総研の神尾篤史氏は「30 分の延長ではまだまだ売買代金は劇的には増えないだろう」とみる。 松井証券の和里田聡社長も「(取引量が増えることは)まずないだろう」と話す。 慎重な見方が多いのは、日本の取引時間はもともと欧米などと比べると短いからだ。 東証の取引時間は延長しても計 5 時間半なのに対して、ロンドンは 8 時間半、ニューヨークは 6 時間半、シンガポールは 7 時間となっている。

世界の主な株式市場の取引時間

時間延長に合わせ、東証は「クロージング・オークション」という新たな仕組みを導入する。 午後 3 時 25 分 - 30 分の 5 分間は、売りと買いの注文だけを受け付けて、売買は成立させない。 この間株価は動かず、午後 3 時半にまとめて取引を成立させて終値を決める。 これまで終了時間にかけて株価が大きく変動するなど不自然な動きがあった。 新たな仕組みでは、ほかの投資家の動きを見ながら注文を修正したり、取り消したりできるため、透明性が高まるとされる。

取引時間の延長によって、対応が分かれるのが企業の決算発表だ。 東証によると、5 日以降に決算発表を予定する 3 月期決算企業のうち、3 割が取引終了の午後 3 時半以降に発表を遅らせる。 投資家の判断材料になる重要情報について、東証は決まり次第発表することを求めているが、企業は株価が動くことを嫌って取引時間中の発表には及び腰だ。 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券の大西耕平氏は「現在は取引時間中の決算発表は自動車や商社など、一部にとどまっている。 投資家が織り込みやすいように時間を分散するべきだ。」と指摘する。 (東谷晃平、asahi = 11-4-24)


東証 3 万 9,000 円台回復、一時 900 円高 米経済指標と円安好感

7 日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、前週末より 697 円 12 銭 (1.80%) 高い 3 万 9,332 円 74 銭で取引を終えた。 米国経済の底堅さを示す経済統計を市場が好感した。 外国為替市場で一時 1 ドル = 149 円台まで円安ドル高が進んだことも日本株を支えた。 米国で前週末 4 日に発表された雇用統計は、市場予想を上回った。 米ニューヨーク株式市場でダウ工業株平均が上昇し、4 日ぶりに史上最高値を更新した。 週明けの東京株式市場も流れを引き継ぎ、日経平均の上昇幅は一時 900 円を超えた。 特に、日経平均への影響が大きい「値がさ株」の上昇が目立ち、「ユニクロ」のファーストリテイリングの 1 銘柄だけで日経平均を 110 円押し上げた。

7 日早朝の外国為替市場で一時、約 1 カ月半ぶりに 1 ドル = 149 円台前半まで円安ドル高が進行。 輸出関連企業の追い風になった。 雇用統計を受け、米国の利下げペースが遅くなるとの観測から米長期金利が上昇し、金利の低い円を売る動きにつながった。 今後について、りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一氏は「日経平均は 7 月の史上最高値(4 万 2,224 円)近くまで上昇するだろう」と話す。 海外経済の減速懸念が弱まったほか、国内企業の堅調な業績も追い風になるとみる。 一方で、「(直近まで円高方向に推移していたことから)円安の増益効果はなくなり、資金調達のための金利も上昇している」ことが株価の重しになると指摘した。 (山本恭介、asahi = 10-7-24)


日経平均、一時 1,100 円超下落 米国の景気悪化懸念再燃で

週明け 9 日午前の東京株式市場で日経平均株価は一時、前週末終値より 1,100 円超下落し、約 1 カ月ぶりに 3 万 6 千円台を割り込んだ。 前週末 6 日、米国で公表された 8 月の雇用統計が市場予想を下回り、米景気が減速する懸念が強まった。 米ニューヨーク株式市場でダウ工業株平均が下落し、週明けの東京株式市場もこの流れが続いている。 また、外国為替市場で一時 1 ドル= 141 円台まで円高ドル安が進んだことも嫌気され、全面安の展開となっている。 (神山純一、asahi = 9-9-24)


日経平均、一時 1,500 円超下げる NY 株下落の流れ受け全面安

4 日午前の東京株式市場で、日経平均株価は一時、前日終値より 1,500 円超下落した。 前日 3 日に米国市場で公表された製造業の景況感を示す指数が市場予想を下回り、景気が減速する懸念が強まった。 ニューヨーク株式市場で、主要 3 指数がそろって下落した流れを受け、東京市場も全面安の展開となっている。 午前の終値は前日終値より 1,280 円 72 銭 (3.31%) 安い 3 万 7,405 円 59 銭。 3 日の米国市場では、主要企業でつくるダウ工業株平均の終値が、前週末より 626.15 ドル (1.51%) 下落。 ハイテク株が中心のナスダック総合指数は 3.26% と大幅に値下がりした。

また、中国の景気減速への懸念から、ニューヨーク商業取引所では原油価格が大きく値下がりした。 指標となる「米国産 WTI 原油」の先物価格は前週末より 4% 超下落し、1 バレル = 7,0.34 ドルと約 8 カ月半ぶりの安値で取引を終えた。 東京市場では、米国市場で下落幅の大きかった、半導体関連株を中心に売り注文が先行。 外国為替市場で、一時 1 ドル= 144 円台まで円高ドル安が進んだことを受けて、輸出関連株の売りも目立っている。 (ニューヨーク・真海喬生、神山純一、asahi = 9-4-24)


東証続伸、3 万 8 千円台回復 円安・米経済減速回避を好感

16 日の東京株式市場で、日経平均株価は 5 営業日続伸となり、前日より 1,336 円 03 銭 (3.64%) 高い 3 万 8,062 円 67 銭で取引を終えた。 3 万 8 千円台を回復するのは、8 月 1 日以来約 2 週間ぶり。 米国経済が減速する懸念が和らいだほか、外国為替市場で 1 ドル = 149 円台まで円安ドル高が進んだことが好感され、全面高となった。 15 日の米国市場では、7 月の小売業の売上高が市場予想を上回るなど、景気の底堅さを示す経済統計の発表が相次いだ。 主要企業でつくるダウ工業株平均は 554 ドル値上がりした。

米国の中央銀行、連邦準備制度理事会 (FRB) による利下げが緩やかになるとの見方が強まり、外国為替市場では、2 円ほど円安ドル高が進んだ。 16 日午後 5 時時点の円相場は、前日同時刻より 1 円 82 銭円安ドル高の 1 ドル = 149 円 03 - 05 銭。 16 日の東京株式市場は買い注文が先行し、東証プライム市場の 93% の銘柄が値上がりした。 円安で採算が改善する輸出関連株に加えて、日経平均への寄与度が大きいファーストリテイリングや東京エレクトロンなどの「値がさ株」が買われた。 一時、1,400 円超値上がりする場面もあった。

日経平均は 8 月 5 日、過去最大の下げ幅となる 4,451 円安を記録し、3 万 1 千円台まで下落。 その後、米経済の減速懸念が緩和されて、上昇の流れが続いている。 この 5 営業日の上昇幅は 3,231 円に達した。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は「上昇幅が大きく、反動が出やすい局面にある。 米景気後退の懸念も拭い切れたとはいえず、さらなる上昇は見込みにくいのではないか」と話す。 (神山純一、asahi = 8-16-24)


日経平均 1,200 円超上昇 今年 2 番目の上げ幅 円安などが後押し

13 日の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、先週末の終値より 1,207 円 51 銭 (3.45%) 高い 3 万 6,232 円 51 銭で終えた。 前日の米国株式市場でハイテク株が上昇した流れが波及した。 上昇幅は今年 2 番目の大きさで、荒い値動きが続いている。 前日 12 日の米ニューヨーク株式市場では、米国の利下げ観測が強まり、米長期金利が低下。 金利が低下すると値上がりしやすい半導体関連銘柄が幅広く買われた。

この流れを受け、13 日の東京市場でも半導体製造装置大手の東京エレクトロンと同検査装置のアドバンテストの株価が上昇。 2 社で日経平均を計 250 円以上押し上げた。 円高ドル安が一服したことも株価を下支えした。 外国為替市場では、対ドル円相場が 5 日に 1 ドル = 141 円台まで円高が進んだ後、円安傾向に変わり、13 日の東京市場では 147 円台で推移。 円安が追い風となる輸出関連銘柄の株価が上昇した。 日経平均は 8 月に入り、乱高下が続く。 5 日には 4,451 円安と過去最大の下げ幅、翌 6 日は一転して 3,217 円高と過去最大の上昇幅を記録している。 (山本恭介、asahi = 8-13-24)


200 兆円消えた日本株暴落、元凶は過剰な持ち高整理 - 買い好機の声も

8 月最初のわずか 3 営業日で、200 兆円近い時価総額を失なう大暴落を演じた日本株市場。 その後も荒い値動きが続くものの、投資家の買い意欲は必ずしも弱まっておらず、市場関係者の間ではこれまでの上昇局面で過剰に積み上がった持ち高の整理が進み、かえって買いやすくなったとの声が聞かれている。 7 月 30 - 31 日の金融政策決定会合で日本銀行は政策金利を 0.25% に引き上げ、植田和男総裁は会見で継続的な利上げの可能性を示唆。 このタカ派姿勢は多くの投資家を驚かせたが、金融市場の動揺を受け内田真一副総裁はすぐさま火消しに動いたため、急激に進んだ円高は止まり、株価も持ち直してきている。

植田日銀総裁が利上げに前傾姿勢、タカ派発信で年内追加観測も浮上
市場不安定な状況で利上げしない、当面現行緩和を継続 - 内田日銀副総裁

米国では 8 日に発表された新規失業保険申請件数が大きく低下し、直近で高まっていた景気の減速懸念が後退した。 加えて、大手テクノロジー企業は人工知能 (AI) 関連投資の手を緩める気配はなく、7 月後半から調整色を強めていた米テクノロジー株も底打ち反転の兆しを見せ始めた。 コモンズ投信の伊井哲朗社長は「経済危機や金融危機があったわけではなく、需給で壊れた市場だ」と分析。 株価調整の値幅が大きかったため、至る所で相場にゆがみが生じたものの、2 - 3 カ月で平常に戻ると予想する。 東証株価指数 (TOPIX) は 7 月以降、12% 下落しており、下げが大きくなっているのは今年前半に好調だった銀行や商社、半導体株などだ。 規模別では同じく前半の主役だった大型株の弱さが目立つ。

大和アセットマネジメントの山本徹チーフストラテジストは「バブルとまでは言わないが、市場は調子に乗り過ぎた」と指摘。 投資家がいったんポジションを減らす必要性に迫られた場合、対象となるのが最も多く保有している資産で、「一つは AI・半導体関連であり、もう一つは円安ポジションだ」と述べた。 日本経済が長年にわたるデフレから脱却し、インフレが定着するとの見方に加え、東京証券取引所が企業に対し資本効率やコーポレートガバナンス(企業統治)の改善を求めており、株主還元が強化されるとの期待で今年前半の日本株は世界の主要国でも良好なパフォーマンスを残した。

今回の暴落は、日本株のボラティリティーの高さを世界に対し印象付けたが、同時にバリュエーションは急低下し、長期投資家にとって買いやすくなったことは確かだ。 TOPIX の予想株価収益率 (PER) は 14 倍割れと、過去 10 年の平均を下回った。 つい 1 カ月前は、コロナ禍で異常にバリュエーションが切り上がった時期を除く過去 10 年のレンジ上限に近く、割安感が顕著となっている。 住友生命保険の村田正行バランスファンド運用部長は、市場関係者の多くは日経平均株価が 7 月に史上最高値となる 4 万 2,000 円台に上昇した際、想定以上に上がったとの印象を持っていたのではないかと推察。 PER が大きく低下した現在、「買いゾーンと言えば、買いゾーンだ」と語った。

一方、市場が落ち着けば日銀は追加利上げに動く可能性がある半面、米国は利下げ方向にあり、日米金利差の縮小で今後も為替市場で円高が進み、企業業績の先行き懸念が浮上するリスクはある。 テクノロジー株の重しになっている米国と中国の半導体を巡る摩擦も、11 月に米大統領選を控え今後もくすぶる公算は大きい。 相場のボラティリティーが依然高い点も気がかりだ。 恐怖指数と呼ばれ、オプション取引の動向から算出される日経平均ボラティリティー・インデックス (日経 VI) は 08 年のリーマンショック後の最高である 85 からは低下したが、9 日時点では 45 と過去の平均である 22 を大きく上回る。 これは、今後も相場の変動率が通常の 2 倍程度と荒い値動きが続くと予測している証左だ。

リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメントのストラテジスト、ベン・ベネット氏は今回の暴落を経ても日本株にはまだ多くの買いポジションがたまっているとみており、弱気スタンスを変えるつもりはない。 ベネット氏は「たった数日間激しい相場展開になっただけで、ポジションがニュートラルになるとは考えにくい」とし、「それどころか、下がった局面でさらに買い増しているのではないか」と述べた。 もっとも、オプション市場では日経平均コール(買う権利)の建玉の伸びがプット(売る権利)を上回り、プットの売買代金をコールの代金で割ったプット・コールレシオは 8 月に入り 6 年半ぶりの低水準を付けた。 これらはいずれも、今後相場が上昇すると読む強気派の多さを表している。

CLSA 証券ストラテジストのニコラス・スミス氏は、市場の一部にある日銀の金融引き締め姿勢が株安要因との懸念は「杞憂だ」と一蹴。 低金利が円安を生み、消費者の生活防衛につながっていたため、「日銀は正しいことをした」とみる。 利上げは日本経済が何十年も続いたデフレのトンネルから抜けようとしている自信の表れで、「歓迎すべきことだ」という。 (佐野日出之、我妻綾、Bloomberg = 8-11-24)


日経平均株価、大幅反発し一時 800 円高 米株高と円安が後押し

9 日の東京株式市場で、日経平均株価は前日終値より 193 円 85 銭 (0.56%) 値上がりし、3 万 5,025 円 00 銭で取引を終えた。 前日に米国で発表された雇用関連の統計が改善し、景気減速への懸念が後退。 米ニューヨーク株式市場で主要指数がそろって大幅に反発した。 東京市場もこの流れが続き、一時は 800 円超上昇する場面もあった。 前日 8 日に米労働省が発表した先週分の新規失業保険申請件数は 23.3 万件で、前週より 1.7 万件改善。 市場予想の 24 万件を下回った。 米国の雇用情勢に対する不安が和らぎ、世界的な株安の要因となった米景気の減速懸念がひとまず後退した。

8 日の米国株式市場では、主要企業でつくるダウ工業株平均が、前日より 683.04 ドル (1.76%) 高い 3 万 9,446.49 ドルとなった。 ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は 2.86% 上昇、米大企業を幅広く網羅する S & P 500 も 2.30% 上昇した。 米国の利下げ見通しもやや後退し、米長期金利が上昇。 日米の金利差拡大の思惑から外国為替市場では円安ドル高が進んだ。 米東部時間 8 日午後 5 時(日本時間 9 日午前 6 時)時点では、前日の同時刻より 59 銭円安ドル高の 1 ドル = 147 円 21 - 31 銭で取引された。

東京市場も流れを引き継ぎ、日経平均は前日より 441 円 19 銭高い 3 万 5,272 円 34 銭で取引を始めた。 業績見通しを上方修正した東京エレクトロンなどの半導体関連株や、円安が好感される輸出企業など、幅広い銘柄で買いが優勢となった。 午後に入り、下落に転じる場面もあったが、その後再び上昇した。 (杉山歩、ニューヨーク・真海喬生、asahi = 8-9-24)


株価暴落の翌日に歴史的急騰 さらに待ち受ける懸念材料は

株価暴落の翌日に待っていたのは、歴史的な急騰だった。 日経平均株価は 3 万 4,000 円台を回復し、前日の下げ幅の 7 割を 1 日で取り返した。 過度な株安との見方に加え、円安の進行が歯止めをかけた形だ。 だが、懸念の根源である米経済にはなお不透明感が漂う。 6 日午後、東京駅近くにある大和証券のディーリングルームで、ディーラーたちが鳴り響く注文の電話を慌ただしくさばいていた。 その多くが買い注文だった。 歴史的な暴落から一夜明けた 6 日の日経平均株価は、一転して全面高となった。 午前 10 時過ぎ、上げ幅は 3,400 円を超えた。 プライム市場の 98% が下落した前日から一転、95% が値上がりした。

大きな材料となったのが、円高進行の一服感だ。 外国為替市場の対ドル円相場は先月中旬、1 ドル = 161 円の歴史的な円安水準だった。 だが以降は円高が進み、5 日には 141 円台まで急伸。 円高は輸出企業の収益を押し下げ、株安の要因となる。 これが 6 日の東京市場では、前日に米国で発表された経済指標の堅調さなどを手がかりに円安に転じ、一時 146 円台をつけた。

みずほ証券の菊地正俊氏は「急な円高もいったん止まったので、警戒感が和らいだ。 機関投資家も個人も買いやすくなった。」と話す。 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券の植野大作氏も「スピード違反的に円高が進んでいた」と指摘。 今後も円高方向に進むとみるものの、「非常に緩やかだろう」とした。

「一本調子で戻ると言い切れず」 米経済の強まる不透明感

ただ、今後には不安ものぞく。 大和証券の林健太郎氏は「一本調子で株価が戻るとは言い切れない。 投資家の不安心理もまだ高く、(株安のきっかけとなった)米景気後退の不安感を払拭するには 1 カ月くらいかかるのではないか」とみる。

株式市場の乱高下を受け、財務省と金融庁、日本銀行は 6 日午後、財務省内で 3 者会合を開いた。 市場の動向を見極めるとしつつ、日本経済が緩やかに回復していく見通しに変わりないとの認識を確認したという。 三村淳財務官は会合後、「日銀とも連携し、経済財政運営に引き続き万全を期していきたい」と述べた。 市場が注目するのは、7 日にある日本銀行の内田真一副総裁の講演だ。 日銀は先月末に追加利上げに動き、植田和男総裁はさらなる利上げに意欲を示した。 金融市場の変動を受け、こうした見方を修正するかが焦点だ。(東谷晃平、岡林佐和)

「恐怖指数」 4 年ぶり高水準

5 日まで 3 営業日連続で下落した米株式市場では、米経済に対する不透明感が強まっている。 米株投資家の不安心理を示す「恐怖指数」は 5 日、38.57 まで上昇した。 不安が高まっているとされる状態の「20」を超え、約 4 年ぶりの高水準だ。 米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長が 9 月の利下げを示唆した 7 月 31 日は 16.36 で、短期間に急騰した。 懸念材料は多い。 長引くインフレ(物価高)で、低所得層を中心に消費が落ち込む恐れが強まっている。 先週後半には、失業率上昇や賃金上昇率の鈍化など雇用情勢の悪化も明らかになった。 直近では、中東情勢の悪化という地政学リスクも高まっている。

景気が大きく低迷せずインフレが落ち着く「ソフトランディング(軟着陸)」への自信を深めていたはずの米投資家は、急速に自信を無くしている。 景気の悪化を防ぐため、FRB に利下げを催促する声は 日に日に大きくなっている。 米シムコープのメリッサ・ブラウン氏は「投資家心理は悪化しており、悪いニュースに過剰に、良いニュースに過小に反応する傾向がある」という。 今週も企業の 4 - 6 月期決算の発表が続き、14 日には 7 月の米消費者物価指数 (CPI) の発表が控える。 市場予想を下回る結果が続けば、懸念が増幅し、相場が崩れる恐れがある。 (ニューヨーク・真海喬生、杉山歩、asahi = 8-6-24)