日経平均株価、一時 600 円超上昇 米国株高や自動車関税引き下げで
記事コピー (asahi = 4-24-23〜9-5-25) インド進出日系企業、4 年ぶり増 印中接近、有望市場に変化の可能性 インドで事業を展開する日系企業の数が 4 年ぶりに増加に転じた。 IT 企業が開発拠点を構えるなど、業種も多様化している。 だが、トランプ米政権とインドの関係悪化で、有望市場での日本の競争環境が大きく変わる恐れが出てきた。 在インド日本大使館と日本貿易振興機構が 6 月に発表した資料によると、2024 年のインドの日系企業数は 1,434 社。 最多だった 20 年(1,455 社)を境に 3 年続けて減ったが、その水準に再び迫る。 コロナ禍を経て企業数が再び増えた一因は、現地の新車販売で首位に立つスズキなどの製造業に加え、業種や進出目的に幅が出てきたことだ。 その一つが、IT 企業などが進めるサービス開発拠点の開設だ。 家計簿アプリを運営するマネーフォワードは 25 年、南部チェンナイに開発拠点を開いた。 現地で採用した技術者が、日本とベトナムの拠点と連携してアプリなどの開発に当たる。 目的は人材確保だ。 インドには長年、「GAFA」など外資テック企業の業務委託拠点が置かれ、技術者の層が厚い。 中出匠哉 CTO (最高技術責任者)は「インド進出は、日本で年々難しくなる人材獲得競争の解決策になる。」 メルカリも 22 年にベンガルールに拠点を開くなど、南部への進出が目立つ。 モディ政権が脱炭素や大気汚染対策のために都市ガスの普及を進めるなか、大阪ガスは外資企業と提携し、インド南部を中心に、自動車向け圧縮天然ガス燃料 (CNG) の供給・販売事業などを拡大中だ。 静岡ガスも現地企業への出資を通じて 22 年に参入した。 「倍増」目標には遠く 日系企業が拠点を拡充する動きも広がり、工場や販売網の数は 3 年連続で増え、過去最多だった 18 年を上回った。 ただ、日系企業の進出数は爆発的な増加、とまではいえない。 14 年に当時の安倍晋三首相が掲げた、進出企業数を 14 年(1,156 社)から 5 年で倍にする目標は今も未達成だ。 日本と消費者の好みが異なる難しさや低価格志向に加え、税務など事業運営上の手続きが煩雑だと指摘する声も多い。 関係者には「経営資源の限られる中小企業には、進出のハードルは高い」との声もある。 そんな中、日系企業にとって気がかりな動きは、インドと安全保障上の脅威と指摘される中国に関係改善の兆しが見られることだ。 インドが中国からの投資に事実上の規制を設けてきたことで、日系企業は現地市場で中国企業との競合を避けられたが、市場環境が変わる可能性も出てきた。 きっかけは米印の関係悪化 きっかけは、米印の関係悪化だ。 トランプ米政権は、ウクライナ侵攻を続けるロシアから原油を買い続けるインドに、追加の関税を課すことにした。 この米政権の動きが、モディ政権を中国との緊張緩和に駆り立てた。 中国の王毅外相は 8 月中旬に訪印。 モディ氏も8月末に訪中し、習近平国家主席と会談する見通しだ。 印中は国境係争地で軍事衝突を繰り返し、20 年の衝突以降は関係が極度に悪化したが、トランプ政権の強硬姿勢が印中の「雪解け」を後押しした。 今後はインドが事業面の対中規制をどの程度緩和するかが焦点だ。 神戸大学の佐藤隆広教授は、製造業の振興を目指すインドが、製造大国の中国と「関係を完全に断ち切るのは難しい」と話す。 インド政府は安全保障面の影響などを見極めつつ、慎重に規制緩和を進めると見る。 (バンコク・伊藤弘毅、asahi = 8-30-25) 長期金利一時 1.615%、17 年ぶり高水準 利上げ観測が高まる 22 日の東京債券市場で長期金利の指標となる新発 10 年物国債の利回りが上昇(債券価格は下落)し、一時、前日終値より 0.010% 幅高い 1.615% をつけた。 2008 年 10 月以来、約 17 年ぶりの高水準となった。 背景には、日本銀行による利上げが近いとの観測があるとみられる。 長期金利はこのところ上昇傾向にある。 15 発表の 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) が市場予想を上回り、景気減速に対する懸念が後退。 株高の流れもあり、日銀が利上げできる環境が整いつつあるとの見方がある。 りそなアセットマネジメントの藤原貴志氏は GDP が悪くなく、日銀による利上げへの期待を後押ししている」と指摘。 さらに、償還までの期間が 10 年を超える超長期国債が、買い手不足や財政悪化への懸念を背景に上がっているため、「悪い意味で 10 年物の金利もつられて上昇している」とみる。 22 日の東京株式市場で日経平均は前日終値より 19 円高い 4 万 2,629 円 81 銭で取引を始めた。 その後は下落に転じる場面もあり、売り買いが交錯している。 (伊沢健司、asahi = 8-22-25) 7 月の消費者物価、3.1% 上昇 エネルギーは 1 年 4 カ月ぶりに下落 総務省が 22 日発表した 7 月の全国消費者物価指数(2020 年 = 100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が 111.6 と、前年同月比 3.1% 上昇した。 プラスは 47 カ月連続。 食料品の値上がりが続いているものの、エネルギーが 1 年 4 カ月ぶりに下落に転じたことで、全体の伸び率は 2 カ月連続で縮小した。 エネルギーは 0.3% のマイナス。 燃料価格の下落により、電気代は 0.7%、都市ガス代は 0.9%、それぞれ下落した。 前年に政府補助金の終了で価格が大きく上昇した反動も出た。 生鮮食品を除く食料は 8.3% 上昇。 前月の伸び (8.2%) をわずかに上回った。 米類は 90.7% のプラスで高止まりしている。 (asahi = 8-22-25) セブン銀と伊藤忠、資本業務提携の協議開始 コンビニ ATM が念頭か
記事コピー (asahi = 4-10-24〜8-18-25) 24 年度の住宅ローン残高、過去最高 227 兆円 15 年連続増 住宅金融支援機構は 15 日、2024 年度の個人向け住宅ローンの貸出残高は 227 兆 1,743 億円で、過去最高を更新したと発表した。 増加は 15 年連続。 同機構は日本銀行や金融機関の業界団体などのデータをもとに、1989 年から調査している。 住宅ローン残高は 176 兆円となった 2010 年度から増え続け、23 年度(221 兆 3,085 億円)よりも約 5.8 兆円増えた。 金融緩和政策によって低金利が続いたことなどから、住宅ローンを組む需要があり、不動産価格の上昇もあいまって残高が増えたとみられる。 24 年度は新規の貸出額も 21 兆 9,436 億円で、23 年度(20 兆 8,753 億円)よりも約 1 兆円増え、2 年連続で増加した。 日本銀行は 24 年 3 月にマイナス金利政策を解除し、17 年ぶりの利上げに踏み切った。 それに伴い、住宅ローン利用者の 7 割以上が使う「変動型金利」の金利を上げる金融機関が相次いだが、借り手のニーズは冷え込まなかったようだ。 同機構は、新設住宅の着工が増えたことや、住宅価格が高騰していることが要因として考えられるとしている。 (吉田貴司、asahi = 8-16-25) 4 - 6 月期の実質 GDP、年 1.0% 増 5 四半期連続でプラス成長 内閣府が 15 日発表した 2025 年 4 - 6 月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比 0.3% 増、この成長ペースが 1 年続いた場合の年率換算で 1.0% 増だった。 プラス成長は 5 四半期連続。 トランプ米政権による高関税政策の発動後も自動車などは販売台数を維持し、輸出が伸びたほか、堅調な設備投資も GDP を押し上げた。 内需の柱である個人消費は前期比 0.2% 増。 自動車や夏物衣料の販売が伸びたものの、値上げのあった飲料品など食品は低調だった。 輸出は 2.0% 増と 2 期ぶりのプラス。 米政権は 4 月以降、自動車・同部品への追加関税や相互関税を発動したが、自動車メーカーが輸出価格を引き下げ、販売台数の落ち込みを回避したことがプラスに寄与した。 電子部品・デバイスも伸びた。 (asahi = 8-15-25) ◇ ◇ ◇ 政府、成長率見通し 0.7% に引き下げ 基礎収支 26 年度黒字化は維持 政府は 7 日、今年度の実質経済成長率が 0.7% になるとの試算を公表した。 物価高や米国の関税による影響を踏まえ、今年1 月の見通し (1.2%) から引き下げた。 また、財政健全化目標について、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス = PB) が 2026 年度に黒字化するとの見通しを維持した。 ただし、与野党で議論している今後の物価高対策や、減税の影響は織り込んでいない。 この日の経済財政諮問会議で、内閣府が「年央試算」と「中長期の経済財政に関する試算」を報告した。 個人消費、設備投資、外需の寄与のいずれも、年初より下方に修正。 それでも成長率は民間予測の平均値 (0.5%) より、やや高めの見通しだ。 消費者物価指数(総合)の上昇率の見通しは、2.0% から 2.4% に引き上げた。 賃金上昇率は 3.0% を見込む。 また、26 年度の実質成長率は 0.9% と試算。 23 年度以降 4 年続けて 1% に届かない見通しになっている。 政府は「成長移行ケース」として、数年後に実質成長率が 1% 台半ばになる姿を想定しているが、距離は開いたままだ。 PB は、24 年度の決算を受けて、基調的な税収が 1.6 兆円増えると想定。 その他の要因も含めて年初の試算よりやや改善し、25 年度は 3.2 兆円の赤字、26 年度は 3.6 兆円の黒字を見込む。 25 年の赤字幅は国内総生産 (GDP) 比で0.5% で、PB 黒字化目標を掲げた 01 年度以降で最小になる見通しという。 ただ、近年大規模化が恒例になっている秋の補正予算や、今後の経済対策や減税論議の行方次第で、赤字幅が増える可能性がある。 赤字幅の縮小や黒字化が実現するかどうかは不透明だ。 諮問会議では、民間議員 4 人が連名で、試算を踏まえた今後の経済財政運営についての提言を出した。 トランプ関税の影響などに加え、今後、物価高がさらに進めば、賃上げが追いつかず、消費を下押しする懸念を表明。 日本銀行に対しても、物価安定のミッション(使命)を果たすよう求めた。 民間議員の一人である新浪剛史氏(経済同友会代表幹事)は、7 月 29 日の同友会の会見で「政策金利の引き上げがもっと遅れて結果的に(経済・物価が)悪くなれば、(日銀)総裁の責任だ」と述べている。 一方、日銀の植田和男総裁はその後の会見で、「物価高のかなりの部分は供給サイドが要因」として、後手に回るリスクは高いと考えていないと説明していた。 (石川尚文、asahi = 8-7-25) 街角景気「持ち直しの動き」 7 月の調査、関税や物価高は見方が交錯 街角の景況感がやや上向いているようすが、内閣府の 7 月の「景気ウォッチャー調査」で示された。 現状判断指数は前月より 0.2 ポイント高い 45.2 で、3 カ月連続で上昇。 2 - 3 カ月後の先行きは 47.3 で、今年 1 月以来の水準に戻した。 調査時点は 7 月 25 - 31 日。 23 日の日米関税合意の後にあたる。 合意を受け「若干ではあるが先行きの見通しが立つようになっている(北陸の一般機械器具製造業)」など不透明感が薄れたとの見方が出ているという。 ただ、「将来的には減収要因(南関東の輸送用機械器具製造業)」といった声もあり、見方が交錯している。 物価高の影響では「食品の値上げが止まらず節約を通り越して買えない状況になっている(中国地方のスーパー)」といった懸念の一方、「客は物価高になれてきている様子(北陸のコンビニ)」との見方もある。 また、猛暑を受けて、飲料や冷菓、衣料の冷感素材、エアコンなどは売れ行きが好調との声が多い。 半面、商店街などでは、暑さによる外出控えで客足が鈍ったとの訴えも出ている。 内閣府は 7 月の景気ウォッチャーの景気の見方を「持ち直しの動きがみられる」とまとめ、前月までの「回復に弱さがみられる」から引き上げた。 (石川尚文、asahi = 8-8-25) 大企業の国内設備投資、2025 年度 14.3% 増 米関税で脱中国も 日本政策投資銀行は 4 日、大企業の 2025 年度の国内における設備投資計画が、前年度実績より 14.3% 増の約 22 兆 7 千億円になる見込みと発表した。 脱炭素やデジタル化の投資を背景に、5 年連続で 2 桁増となった。 トランプ関税の影響を注視する姿勢も強く、今後、下ぶれする恐れがある。 この調査は 1956 年に始まり、今回は資本金 10 億円以上の大企業 1,607 社が答えた。 6 月に実施し、日米関税合意は織り込まれていない。 調査によると、製造業は前年度比 21.0% の増加。 電動車向けが伸びる自動車(29.1% 増)に加え、脱炭素関連で鉄鋼(35.7% 増)や石油(35.0% 増)が寄与している。 非製造業は 11.3% 増え、駅周辺開発が旺盛な運輸(18.7% 増)が堅調だ。 米国の関税強化については、製造業の 46.4% が「影響精査中」とした。 関税強化を受けて生産・輸出拠点を「縮小する」とした 113 社にその地域を聞いたところ、中国が 42.6% で最多だった。 「拡大する」とした 165 社では日本が 35.7% で最も高く、米国が 25.6% と続いた。 ただ、米国は縮小とした企業も 18.3% に上った。 政投銀の担当者は「国内では高い投資水準を維持しているが、米国や中国の景気減速次第では下振れする可能性がある」と指摘している。 (西尾邦明、asahi = 8-4-25) 上半期の農産物輸出 15.5% 増 最高更新も年間目標は厳しいペース 農林水産省が 4 日にまとめた今年上半期(1 - 6 月)の農林水産物・食品の輸出額は、前年同期比 15.5% 増の 8,097 億円だった。 上半期としては、同省が集計を始めた 2002 年分以降での最高額を更新した。 とはいえ、今年 1 年間の目標の「2 兆円」達成は厳しいペースだ。 財務省の貿易統計をもとに農水省が集計した。 上半期の輸出額が増えるのは 2 年ぶりだ。 輸出先別では、米国向けが 22.0% 増の 1,410 億円で、2 年続けてトップ。 ホタテ貝や緑茶、ブリが伸びた。 ただ、4 月に発表された「トランプ関税」による税率アップの影響を懸念し、一部の業者で米国への輸出を控える動きもあったという。 7 月の日米関税交渉の合意を受け、米国向けの輸出品の多くは関税が 15% に上がる見込みだ。 下半期で悪影響が拡大するおそれもある。 米国に次ぐ輸出額があったのは香港向けで、3.4% 増の 1,068 億円。 3 位は中国向けで、15.0% 増の 902 億円だった。 丸太や日本酒の輸出が伸びたという。 (内藤尚志、asahi = 8-4-25) 円安進み4カ月ぶり一時150円台 日米の金利差縮まらないとの見方
記事コピー (asahi = 9-1-22〜7-31-25) 来年度予算の概算要求、物価高対応などは 20% 増額も容認へ 2026 年度予算案の編成に向けた「概算要求基準」の方針が 22 日、明らかになった。 物価高対応などの重要政策について、25 年度の予算額から 20% の増額を認める方向で調整している。 基準がゆるくなることで、要求額が膨らむ可能性がある。 前年までの基準では、重要政策について既存経費の 10% 削減を求める一方で、削減額の 3 倍までの要求を認めていた。 しかし、物価高で人件費などが上昇している状況を踏まえ、今回はこのルールを外す方針だ。 財務省はこうした基準を 8 月上旬をめどにとりまとめ、閣議了解することを目指している。 それをふまえ、各省庁が必要な予算額をはじき、8 月末までに「概算要求」として財務省に提出する。 その後、予算をめぐる議論が本格化する。 昨年の概算要求の総額は 117 兆円を超えて過去最大だった。 (真海喬生、asahi = 7-22-25) 対米自動車輸出、減少幅広がる トランプ関税の影響か 6 月貿易統計 財務省が 17 日発表した 6 月の貿易統計(速報)によると、米国への自動車輸出額が前年同月より 26.7% 少ない 4,193 億円だった。 春から減少幅が広がり続けており、トランプ関税の影響が深まっているとみられる。 米国向けの自動車輸出額は、5 月は前年同月より 24.7% 減り、6 月は減少幅が拡大した。 一方、6 月の輸出台数は約 12 万 4 千台で 3.4% 増え、1 台あたりの輸出価格が 29.1% 下がった。 メーカー側が、関税の影響の小さい安価な車の輸出に軸足を移したり、米国での販売価格を据え置くために、関税分のコストを吸収して本体価格を下げたりする傾向が続いている可能性がある。 5 月から 25% の関税が課されている自動車部品についても、対米輸出額が 15.5% 減少した。 日本政府はトランプ米政権に対し、自動車関税の見直しを強く求めてきたが、合意の見通しはついていない。 交渉が長引けば、産業への影響も大きくなりそうだ。 全品目の対米輸出額は前年同月より 11.4% 少ない 1 兆 7,071 億円で、3 カ月連続で減少した。 輸入額は 2.0% 減の 1 兆 379 億円で、6,693 億円の貿易黒字だった。 (田中奏子、asahi = 7-17-25) 景気動向指数 5 月は「悪化」に判断引き下げ ただし低下幅はわずか 内閣府が 7 日発表した 5 月の景気動向指数 (2020 年 = 100) の速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月より 0.1 ポイント低い 115.9 だった。 当月までの 3 カ月間の平均値も 3 カ月続けて低下したため、内閣府は基調判断を「悪化」に引き下げた。 航空機エンジンなど鉱工業用生産財の出荷や商業販売額の動向、有効求人倍率の低下などがマイナスに働いた。 「悪化」の判断は、コロナ禍の影響が続いていた 20 年 7 月以来。 基調判断は、事前に決められた基準で機械的に決まり、「悪化」は「景気後退の可能性が高いことを示す」とされる。 ただ今回の指数の低下はごく小幅で、コロナ禍のころとは状況が異なるという。 内閣府景気統計部は「今後の指数の動きをより慎重にみていくべきだというサインと受け止めている」としている。 (石川尚文、asahi = 7-7-25) GPIF 公的年金の運用益、24 年度は 1 兆 7 千億円 5 年の連続黒字 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) は 4 日、昨年度の運用益が 1 兆 7,334 億円だったと発表した。 収益率は、過去最高の運用益だった 2023 年度の 22.67% から 0.71% に下がったが、5 年連続の黒字となった。 資産別では、外国債券が 1 兆 0,857 億円、外国株式が 4 兆 3,103 億円の黒字。 一方、国内債券は 2 兆 8,426 億円、国内株式は 8,200 億円の赤字となった。 運用資産は 249 兆 7,821 億円となり、過去最高だった。 厚生労働省が所管する GPIF は、これまで納められた保険料のうち、年金の支給に充てられなかった分を運用している。 年金の支払いにはこの積立金と保険料収入、国庫が使われている。 (高絢実、asahi = 7-4-25) 路線価、35 都道府県で上昇 日本の不動産が外資に売れまくる理由は 国税庁が 1 日公表した路線価が、4 年連続で上昇した。 先行きの見えない世界経済のなか、日本の不動産市場はなぜ活況なのか。
外国人に不動産を紹介する「wagaya Japan」には、英語圏を中心に問い合わせが多い。 近年は、賃貸よりも購入を求める外国人が目立つ。 購入理由の半数が投資用や別荘用という。 運営会社の乃万春樹社長 (45) は「医療・教育環境や治安の良さが魅力のようだ。 移住希望も多く、一時的な日本ブームとは思えない。」 今期の売り上げは、前期比で倍増の見通しだ。 昨年 12 月には米投資ファンドが、赤坂プリンスホテル跡地の複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」(千代田区)を約 4 千億円で西武ホールディングスから購入することがわかり、目黒雅叙園(目黒区)や東急プラザ銀座(中央区)も外資系が取得するという。 不動産専門シンクタンクの「都市未来総合研究所」によると、外資系法人による国内不動産への投資は 1 兆 3,607 億円(2024 年度)で、前年度(6,093 億円)から倍増。 不動産サービス「ジョーンズラングラサール(JLL)」による世界都市別の投資額(25 年 1 - 3 月)では、東京がニューヨークを抜いて世界 1 位だった。 世界都市別の投資額で東京が首位になった 世界経済に先行きの不透明感が強まるなか、日本に海外マネーが集まっています。 今後もこの状況が続くのか。 記事後半では識者の見方を紹介します。 国内経済はコロナ禍で広がったリモートワークの反動もあり、都心のオフィス需要は強い。 JLL によると、4 - 5% 程度が需給均衡の目安とされるオフィス空室率(1 - 3 月)は東京が 2.5% で、ニューヨーク (15.8%) や北京 (12.4%)、ロンドン (8.9%) より低い。 東京の賃料は上昇傾向だが、世界的には低く、海外企業が進出しやすい状況だ。 上昇率 1 位は長野・白馬 海外マネーは、リゾート地にも及ぶ。 長野県白馬村は、税務署ごとの最高路線価が前年比 32.4% 増で、昨年に続き上昇率が全国 1 位。 同村と野沢温泉村などで不動産取引をする投資家らの税務申告に携わる税理士によると、約 10 年前から廃業した旅館を外国人が安値で買う例が多い。 最近は同じ物件が倍以上の価格で取引される。 「外国人がインバウンド向け宿泊施設に変えている」という。 大阪市内では、中国マネーの存在感が際立つ。 「特区民泊」中国から熱視線 マンションの空き室などに営業日数の制限なく旅行客を泊められる、国家戦略特区法に基づく「特区民泊」。 大阪市には、国内にある特区民泊の 9 割が集中しており、このうち中国人や中国系法人らが運営する施設は約 4 割に上る。 阪南大の松村嘉久教授(観光地理学)の調査によると、大阪市にある特区民泊の施設 5,587 件(昨年末時点)のうち、2,305 件が中国系の施設だった。 中古マンション一棟を買い取ったり、老朽化した住宅を建て直したりして、民泊施設にするケースが多い。 投資規模は、数千万円から数億円。 北京や上海など大都市圏の居住者が投資しているという。 特区民泊の施設が 1,036 件(今年 3 月末時点)と多い市南部の浪速区では、路線価が前年比で 17.9% 上昇した。 特区民泊に転用できるマンションなどの売買が活発化したことが、路線価上昇の主な要因になったとみられる。 日本は「安全資産」? 都道府県別の路線価は 35 都道府県で上がった。 前年からの上昇幅は、東京 8.1% 増、沖縄 6.3% 増、福岡 6.0% 増。 神奈川、大阪、宮城が 4.4% 増で続く。 千葉(4.3% 増)や兵庫(2.0% 増)のようなベッドタウンを抱える県も、現在の算出法になった 2010 年以降の最大の上昇幅で、都市部の地価上昇が郊外に広がった形だ。 全国で最も高い路線価は東京都中央区銀座5丁目(銀座中央通り)。 1 平方メートルあたり 4,808 万円で過去最高額。 はがき 1 枚分が約 71 万円だ。 都市未来総合研究所の湯目健一郎常務執行役員は、低金利により不動産投資や住宅取得の需要が押し上げられ、円安が海外投資を呼び込んでいるとみる。 「トランプ関税や中東情勢などで世界経済に先行きの不透明感が強まるなか、景気と不動産市場が安定している日本は相対的に『安全資産』と見られており、海外マネーが集まりやすい状況は続くだろう」と話す。 (花野雄太、市田隆、asahi = 7-1-25)
トランプ関税の影響読み切れず 日銀短観、先行きの景況感は悪化 日本銀行が 1 日に発表した 6 月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、代表的な指標となる大企業・製造業の業況判断指数 (DI) が 2 期ぶりに改善した。 ただ、トランプ米政権の関税政策の影響は織り込み切れておらず、先行きを含めて不透明感は強い。 大企業・非製造業は長引く物価高などが響き、2 期ぶりに悪化した。 自動車に米関税じわり 個人消費に物価高ずしり 景況感にみえた変調 業況判断 DI は景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」とした割合を引いた指数で、全国約 9 千社が回答した。 今回は、4 月以降に米政権が追加関税を発動して初の調査となった。 大企業・製造業は 3 月の前回調査から 1 ポイント改善してプラス 13。 業種別では鉄鋼や紙・パルプなどの素材業種の景況感が大きく改善し、全体を押し上げた。 仕入れ価格の低下や価格転嫁の進展が業績に寄与したという。 一方、25% の追加関税を課された自動車は 5 ポイント悪化してプラス 8。 汎用(はんよう)機械、生産用機械も関税の影響を受けて景況感が悪化した。 大企業・製造業の 3 カ月先の景況感は 6 月から 1 ポイント悪化してプラス 12 を見込む。 今年度の経常利益の計画も前年度比 8.4% 減とする。 日米の関税交渉が長引いていることもあり、先行きの不透明感が強まっている。 物価高で節約志向高まる 大企業・非製造業は 1 ポイント悪化してプラス 34 だった。 高水準を維持したが、インバウンド(訪日外国人客)の消費の弱まりや、物価高による節約志向の高まりを懸念する企業が出ている。 先行きも 7 ポイント悪化してプラス 27 とみている。 SMBC 日興証券の丸山義正氏は「想定より悪くなかったが、関税政策の影響が明確ではなく、各社そこまで(景況感を)引き下げなかった可能性がある」と指摘する。 先行きは関税交渉の行方が重要で、「現段階では楽観とも悲観とも言いがたい状況だ」と話す。 (稲垣千駿、asahi = 7-1-25) |