南三陸の有機ワカメはいかが? 地元漁師が東北初認証、ブランド化へ 養殖ワカメの一大産地になっている宮城県南三陸町は 21 日から、自然の力で育ったと国が認証した「有機ワカメ」を、ふるさと納税の返礼品に加える。 地元産のワカメをブランド化し、水産業の課題解決につなげたい考えだ。 「有機○○」は農薬や化学物質などに頼らず、自然界で食品を生産していると農林水産省が認証した事業者だけが使える表示だ。 町のワカメ養殖漁師のグループが、飼育記録のついた天然の種苗から育てて、環境に優しい養殖資材を使う基準に合った生産方法を確立。 3 月に藻類としては東北で初めて認証を受け、養殖ワカメを「有機ワカメ」と表示できるようになった。 養殖ワカメ生産量では県は全国一、町は県内トップクラスを誇る。 ただ、生産者の高齢化と次世代の担い手育成が大きな課題となっている。 そこで、町地域おこし協力隊の西城俊行さん (59) が、ワカメをブランド化して収入増につなげるアイデアを思いついた。 西城さんは水産行政に長年携わった元県職員。 「持続可能な産業として孫の代までワカメ養殖を残したい」と、2 年がかりで認証にこぎつけた。 すでに北海道や新潟県などで有機藻類の認証を受けた先行事例はあるが、オーガニック需要の高い国外への輸出向けが大半を占める。 国内に出回る有機ワカメはほとんどなく、希少だという。 返礼品は約 1 万円の寄付で 1 箱(100 グラム入りのワカメ 2 袋)がもらえるようにする予定。 「藻類は CO2 を吸収する海からの贈り物」との思いから玉手箱をイメージした包装にもこだわった。 「海の日」の 21 日の受付分から「有機ワカメ」を返礼品に選べる。 三陸の海では、気候変動の影響で海水温上昇が続いている。 西城さんは「温暖化防止についても考え、応援してもらいたい」と話す。 (福留庸友、asahi = 7-20-25) 能登地震でも活動した災害救助犬 世界大会のがれき捜索部門で優勝
記事コピー (1-1-24〜7-19-25) みちのく記念病院に改善命令検討 八戸市「事実と異なる説明あった」 病院内で起きた患者同士の殺人事件を隠蔽したとして、当時の院長ら 2 人が逮捕・起訴された青森県八戸市の「みちのく記念病院」をめぐり、県は 18 日、医療法に基づく改善措置命令の発出などの検討に入った。 市によると、病院側は市の調査や指導に対し、事実と異なる説明をするなどしていたことが確認されたという。 八戸市の熊谷雄一市長はこの日の会見で、「病院の健全かつ適切な運営及び医療提供体制を確保するため」として、県に対し病院への行政処分を求める通知を同日付で出したことを明らかにした。 事件は 2023 年 3 月に発生。 患者間の殺人事件で、虚偽の死亡診断書を遺族に交付するなどしたとして医師 2 人が逮捕された。 その後、県と市は医療法に基づく立ち入り検査を計 8 回実施した。 その結果、@ 医師の勤務状況について実態と記録に整合性がなく勤務時間を適正に算出できない、A 一部の病室で定員を超えて患者を入院させていた、B 県の許可なく病室を病室以外の目的で使用していた - - ことが判明していた。 県と市は 3 月、条例に基づく改善勧告を行った。 県や市によると、A と B は改善が確認できたが、@ は常勤医や非常勤医が記録するタイムカードなどが存在せず、詳しい勤務実態を把握できていないという。 市は、常勤医の勤務時間(週 32時間以上)を満たしていない医師を常勤と報告していたことが確認されたと明らかにした。 県は今後、立ち入り検査の結果や市の通知を精査し、改善措置命令の発出を決める。 発出後に改善が見られなかった場合には、管理者の変更、病院の開設許可の取り消しなどの処分の必要性を検討する。 さらに、病院の業務停止という極めて重い命令を出すこともできる。 県健康医療福祉部の守川義信部長は「地域の患者が安心できる医療体制を一日も早くつくる。 そのためにも病院の考えを聞く必要がある」と話した。 宮下宗一郎知事は「通知の内容を精査し、必要に応じ、改善措置命令などの措置を速やかに講じる予定」とのコメントを出した。 (江湖良二、鵜沼照都、asahi = 7-18-25) 「リファ」発信拠点 27 年開業、隈研吾氏設計 名古屋に MTG 新本社 ![]() 「ReFa (リファ)」などのブランドを手がける美容・健康機器の MTG (名古屋市)は 14 日、同市熱田区に移転する新本社に、地元の人や観光客が利用できる複合施設を一体で建てると発表した。 建築家の隈研吾氏が施設をデザインし、リファ製品のミュージアムやカフェなどを計画。 2027 年 1 月にオープンする予定だ。 新しい施設は JR 東海道線の熱田駅、名古屋鉄道の神宮前駅の東側で建設が始まっており、敷地面積は 1 万 4 千平方メートルを超える。 総工費は 107 億円で、名称は未定。 芝生の広場を始め、社屋内外に開放施設を設ける。 ツバキの酵母を使ったパン屋や、地元の陶磁器を展示、販売する工房も併設する。 熱田神宮周辺整備の一環 MTG はリファのドライヤーやシャワーヘッド、美容ローラーのほか、トレーニング機器「シックスパッド」なども手がけ、今年度で創業 30 年を迎える。 新本社には研究開発力の向上だけでなく、ブランドの発信を強める狙いがある。 MTG は地元の企業や店舗とともに、近隣にある熱田神宮の参拝者を呼び込めるまちづくりをめざすとし、新本社もその一環となる。 14 日に開いた記者会見で創業者の松下剛社長は「近代的な高層ビルを作るのではなく、地域に開かれた場所にしたい」と述べた。 同席した隈氏は「本社というとどうしても閉じたイメージがあったが、ここでは庭園や緑、環境と一緒になった新しい形のビルができる。 今までのオフィスビルという概念を超える」と話した。 (高橋豪、asahi = 7-14-25) 「10 年で消滅」から変化 小学校再開の「奇跡の島」が育んだ包容力
記事コピー (4-1-16 〜 7-13-25) 北海道初「熱中症警戒アラート」 21 年以来最速の発表、猛暑日各地で 気象庁と環境省は 7 日、網走、北見、紋別、十勝地方に「熱中症警戒アラート」を発表した。 北海道内では今年初。 2021 年に道内で同アラートの発信を始めて以来、最も早い発表という。 札幌管区気象台によると、この暑さはチベット高気圧の影響であたたまった空気が、偏西風の蛇行により道内に流れ込んでいることが原因だという。 7 日午後 5 時時点、道内 174 の観測地点のうち 18 地点で 35 度以上の猛暑日を記録。 最高気温は帯広で 36.8 度、置戸町境野で 36.4 度、池田町池田で 36.4 度などだった。 暑さは 1 カ月以上続く見込みで、気象台は「特に冷房のない場所では換気や水分補給などの対策を」と熱中症への警戒を呼びかけている。 札幌市中央区の幌見峠にあるラベンダー畑ではこの日、薄着姿の観光客でにぎわっていた。 暑気払いに来たという坂本富士子さん (92) は、娘に差してもらった日傘の下で笑顔。 「風が涼しくて、暑い日でも心がさわやか。」 (太田悠斗、asahi = 7-7-25) 悪石島で震度 5 強 2 度、気象庁「地震が休みなく続いている」 … 一連の地震 1,500 回に
記事コピー (6-11-25 〜 7-6-25) 乳製品大手、北海道で工場建設ラッシュ 過剰気味なのに、なぜ今? 北海道内で乳製品工場の「建設ラッシュ」が始まった。 メーカー各社が工場の新設や増強に乗り出している。 相次ぐ投資は大手 4 社で総額 1 千億円を超えた。 背景に何があるのか。 放し飼いの牛がたたずむ牧場のそばに、地上 6 階の巨大な建屋が姿を見せ始めている。 酪農地帯が広がる中標津町計根別(けねべつ)で、乳業大手・明治ホールディングス傘下の明治が建設する新工場だ。 半世紀ほど前に建てた近隣の工場に代わって、2027 年春にも生産を始める。 「この先 50 年は私たちがしぼった生乳(せいにゅう)を使ってくれるということだ」と計根別農協(JAけねべつ)の北村篤組合長は?を緩ませる。 周辺の酪農家 112 戸が年 9 万トン超の生乳を出荷している。 「意欲にあふれた後継者を育て、メーカーの期待に応えていきたい」と前向きだ。 明治は 480 億円を投じる。 脱脂濃縮乳や脱脂粉乳、乳たんぱく質、クリーム、バターを中心に、栄養価や機能性を高めた新たな乳製品を生産。 イスラム文化圏への輸出もできるよう「ハラル認証」の取得にも取り組むという。 さらに SDGs も意識して、二酸化炭素排出量、地下水のくみ上げ量を、既存の工場よりも半減させる。 同社は、道東にある西春別工場(別海町、1968 年操業)と本別工場(本別町、1972 年操業)の老朽化が進んでいるため、新工場への集約に踏み切った。 乳製品の安定供給を維持するために、生産拠点の再編が必要と判断したという。 西春別と本別の両工場は新工場が操業後に順次、生産を中止する予定。 明治と競うように、同じ町内で、雪印メグミルクも今春、大型投資を打ち出した。 「なかしべつ工場」で約 460 億円かけて生産設備を増強し、チーズを増産する。 26 年に着工し、28 年度上期から順次動かす。 完成すれば、生乳の最大処理能力は 1.5 倍の年 30 万トンまで増える。「これまでにない新規の技術を導入する」と表明し、最新設備で付加価値が高いチーズをめざす。 雪印メグは数年前から、「さけるチーズ」など家庭用商品をつくる大樹町の工場も増強してきた。 生産態勢を強め、「チーズの新しい需要を掘り起こす(幹部)」と意気込む。 一方、森永乳業は恵庭市で今年 4 月、新工場の建設を始めた。 27 年春の操業予定で、年間生産量は 5 万トンを見込む。 投資額は 147 億円。 道内に新たな拠点を設けて生乳を確保し、安定して効率的な生産につなげたいとしている。 賞味期限が長いロングライフ (LL) 牛乳も生産し、北海道ブランドでの輸出やインターネット販売に乗りだす。 ふつうの牛乳の賞味期限が 20 日ほどなのに対して、森永の LL 牛乳は常温でも 120 日で、販売エリアが広がる。 建設地は 2013 年まで操業していた旧札幌工場の跡地で、工場建屋は延べ床面積 1 万 3 千平方メートル。 現在、同社の北海道内の製造拠点は関連会社も含めて、佐呂間工場(バター・脱脂粉乳など)、別海工場(チーズなど)、北海道保証牛乳(牛乳・飲料など)、十勝浦幌森永乳業(牛乳・クリームなど)の 4 カ所。 牛乳を生産するのは、北海道えにわ工場で 3 カ所目となる。 道内に基盤を置く「よつ葉乳業」も 6 月、音更町の十勝主管工場内に、新たな工場をつくる計画を明らかにした。 約 150 億円を投じ、老朽化した設備と置き換える。 今年末からの 2 年あまりの間、道内で「新設ラッシュ」が続く見込みだ。 各社が道内に投資を集中する背景には、生乳の道産比率の上昇がある。 全国の生乳生産は年々減り、2024 年度は 1990 年度の 10% 減となった。 これは道外(都府県)分が減っているためで、道内分は逆に 40% 近く増えている。 かつて 4 割に満たなかった道産比率は、約 6 割にまでなった。 どこも酪農経営は厳しさを増しているが、地域ごとに違いもある。 道外では、牛 1 頭あたりの牧草地が狭い酪農家が多い。飼料を輸入に頼らざるをえず、輸入価格高騰の打撃の度合いも大きい。 地球温暖化で乳牛の飼育条件も悪化し、高齢化もあいまって離農する人が後を絶たない。 このため、乳業各社は今後も、経営基盤が強い道内産の比率が伸びるとみている。 6 月の株主総会後に会見した雪印メグの佐藤雅俊社長は「道内の生乳拡大が非常に重要だ」と指摘。 なかしべつ工場の増強によって「(酪農家の)将来展望が明確にできる」と強調した。 大手各社の投資が実を結べば、道内の酪農家も売り上げ増が期待できる。 一方、業界全体でみると工場数は過剰気味で、老朽化も進んでいる。 各社とも今回の投資を機に、道内外の生産拠点の再編を進めるものとみられる。 酪農学園大の日向貴久教授(酪農・畜産経営論)も「道内では広大な牧草地を生かして生産拡大が進む一方、都府県では縮小傾向に向かうだろう。 国内での需要の実態に合わせて、乳業メーカーは道内への集中を視野に、加工・物流体制を再編することが予想される。」と指摘する。 雪印メグは「国内拠点の約 30% で再編または(他社との)協業を検討する」という方針を打ち出し、各社へ働きかけていく考えだ。 工場の再編や効率化は、周辺の酪農家への影響が大きく、生産者の注目も集まる。 (松田昌也、丸石伸一、asahi = 7-6-25) 新燃岳、灰色の柱 5 千メートル 産総研撮影、鹿児島欠航相次ぐ 産業技術総合研究所の地質調査総合センターは 4 日、宮崎、鹿児島県境に位置する霧島連山・新燃岳で火口から立ち上る噴煙の写真を公開した。撮影は 3 日午後 2 時ごろ、火山ガス観測用のドローンを使用した。 高さ 5 千メートル付近まで届く灰色の柱を鮮明に捉えた。 新燃岳は 4 日も噴煙が高さ約 3,300 メートルまで上がり、鹿児島空港を発着する 50 便以上が欠航した。 新燃岳では 6 月 22 日、約 7 年ぶりに噴火が発生。 地震の回数や火山ガス放出量が多く、活発な状態が続いていると同センターは分析した。 鹿児島地方気象台によると、7 月 3 日には鹿児島県霧島市で道路の白線が見えなくなるほどの降灰が確認された。 (kyodo = 7-5-25) ◇ ◇ ◇ 宮崎・鹿児島県境の新燃岳、7 年ぶり噴火 警戒レベル 2 を継続 福岡管区気象台は 22 日、宮崎・鹿児島県境にある霧島連山・新燃岳(1,421 メートル)が同日午後 4 時 37 分ごろに噴火した、と発表した。 噴煙は火口縁から 500 メートル以上に上がり、東に流れた。 噴石の飛散は確認されていないという。 噴火は 2018 年 6 月 27 日以来。 噴火警戒レベルは 2 (火口周辺規制)を継続。火口から2キロ圏で大きな噴石への警戒を呼びかけている。 (西田慎介、asahi = 6-22-25) 東海で梅雨明け、平年より 15 日早く … 関東甲信も近く梅雨明け見通し 気象庁は 4 日、東海地方で梅雨明けしたとみられると発表した。 平年より 15 日、昨年より 14 日それぞれ早く、1951 年の統計開始以降、3 番目の早さとなる。 同庁によると、太平洋高気圧が張り出し、今後晴れが続く見込みとなったことから判断した。 関東甲信地方も近く梅雨明けする見通しという。 (yomiuri = 7-4-25) ニシキゴイの輸出好調 「48 時間」の壁越えるための研究進む 新潟 新潟県は、県内からの農林水産物の輸出額について、2024 年度は 62 億円で過去最高になったと発表した。 ニシキゴイとコメの需要が伸び、円安も追い風になった。 品目別でみると、ニシキゴイが 62.9%、コメが 36.3% で、合計で全体の 99.2% を占めた。 水産庁によると、ニシキゴイの生産は新潟県が約半数を占め、全国で最も多い。 ニシキゴイの輸出額は前年比 18.2% 増の 39 億円。 中国側が必要な手続きを進めず輸出できない状態が続いていたが、昨年 11 月に再開。 ベトナムなどからも引き合いがあった。 輸出先の約半数が東・東南アジアだった。 元気な状態で運ぶには最大で 48 時間程度が限度といわれており、遠方への輸出が難しい事情があるためだ。 県は技術開発で輸送時間を延ばす研究を進めており、担当者は「輸出先を広げていきたい」と話す。 コメの輸出額は 22.5 億円で、前年度比 30.1% 増。 輸出量は 9,660 トンだった。 輸出先は米国が 17.5% とトップで、香港 (16.3%)、シンガポール (15.6%) が続いた。 日本食のレストランチェーンやおにぎり店で取扱量が増えたことが背景にあるという。 県は生産者の所得向上を目的に、輸出額を 32 年度に 100 億円にする目標を掲げている。 ニシキゴイとコメで計 96 億円を見込み、「チャレンジ品目」と位置付けたナシやル・レクチェ、えのきなどで 4 億円を目指す。 (西村奈緒美、asahi = 7-3-25) |