オンワード、2024 年までに 1,300 店を電子商取引 (EC) と連携

オンワードホールディングスは 2024 年までに 1,300 店規模のほぼ全店を電子商取引 (EC) と連携させる。 消費者は EC で扱う大半の商品を店に取り寄せて試着・購入できる。 EC 売上高比率を 3 割から 30 年までに 5 割に高める。 店舗の低コスト運営にもつなげる。 新型コロナウイルス禍で衣料品市場が縮小するなか、アパレルがネットを軸に生き残りを目指す動きが広がってきた。

同社の EC サイトで商品を選び、試着を希望する店舗と日時を入力すると商品を店舗に取り寄せられる。 「23 区」や「組曲」など 10 ブランド超が対象になる見込み。 従来の店舗は 1 ブランドしか扱っていなかった。 すでに在庫を一元管理するシステムなどを整えた。 店舗は極力在庫を持たずショールーム機能を強める。 従来は季節ごとに各店舗へ大量の商品を投入し、売れ残りはセールなどで処分していた。 業界で消費者向け事業の EC 比率を 5 割に高めるのは珍しい。 EC 比率はアダストリアが 3 割程度、ファーストリテイリングの国内ユニクロ事業が 1 割超にとどまる。 (nikkei = 2-19-22)


染色大手の小松マテーレが "無縫製ニット" のラッセル編みメーカーを買収

染色大手の小松マテーレは、ラッセル編みメーカーの吉田産業(福井県鯖江市)を子会社化する。 吉田産業は、椅子や寝具のクッション材などに使用される立体的なラッセル編みなどを開発・生産しており、高い技術を生かしたダブルラッセル編みによる "無縫製ニット" でも知られる。 小松マテーレは合繊への高い加工技術で知られるが、これまでは織物が中心だった。 卓越したラッセルレースの開発力を持つ吉田産業を傘下に収めることで、様々な染色加工技術を組み合わせた新基軸の商品開発に取り組む。

吉田産業の 2021 年 4 月期業績は売上高 12 億 8,500 万円、営業利益 1 億 6,000 万円、純利益 1 億 1,400 万円に対し、純資産は 7 億 6,200 万円、総資産は 11 億 7,200万円。 売上高は半分弱が下着やアパレルなどの衣料向け、半分が産業資材という。 小松マテーレは 2 月 4 日付で株式の 80% を取得した。 取得価額は非公表。

吉田産業は 1963 年創業で、下着やクッション材、スニーカーのアッパー材などにラッセルレースを展開。 旭化成の開発したクッション材「フュージョン」なども生産している。 2000 年には、世界で初めて電子ジャカード式のダブルラッセル機を導入し、無縫製ニットの開発に成功するなど、技術力の高さには定評がある。 同社のダブルラッセルの無縫製ニットは「ソマルタ (SOMARTA)」の廣川玉枝デザイナーなどに使用されている。

同様の "無縫製ニット" はイッセイミヤケがニッケン(三重県)と開発した「エイポック (A-POC)」、染色大手のセーレン、ラッセルカーテンのカズマが展開している。 なお、横編み機大手の島精機製作所の無縫製ニット「ホールガーメント」とは機械の種類が異なる。 (横山泰明、WWD = 2-9-22)


アマゾンが初の衣料品のリアル店舗を出店へ AI で商品提案も

米アマゾンは 20 日、初の衣料品の実店舗「アマゾン・スタイル」を年内に米国で出店すると発表した。 人工知能 (AI) の機械学習を活用して客ごとに商品を提案したり、試着室にいたままタッチパネル画面から服を選べたりする機能など、新たな買い物体験ができるとしている。

1 号店はロサンゼルス郊外に出店する。 同社によると、スマートフォンで商品の QR コードを読み込むと、その商品が試着室や受け取りカウンターに送られる。 試着室のタッチパネルで別の商品を選ぶと、数分で試着室に届けられるという。 アマゾンの物流センターで使われている技術などを活用するとしている。 アマゾンは 2016 年、レジを通さずに買い物ができる「アマゾン・ゴー」の 1 号店をシアトルに出店。 17 年には米高級スーパー「ホールフーズ」を 1 兆円超で買収するなど、顧客と直接の接点となる実店舗の展開を広げている。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 1-21-22)


京友禅が探る海外への活路 ため息交じりの職人、めざすは「あの国」

京友禅の業者でつくる「京都工芸染匠協同組合(京都市中京区)」が 18 日、京都産業会館(下京区)で発表会を開く。 新作を売り込む先は海外。 高級和装で培った職人技で、経済成長著しい「あの国」の民族衣装を作った。 鮮やかな色使いに刺繍や金箔などが施された京友禅は、絢爛豪華な美しさで知られ、17 世紀の絵師・宮崎友禅斎が創始者とされる。

ほとんど手作業で仕上げる京手描友禅ともなると、1 着の着物を作るのにかかわる職人は 15 人以上。 企画や下絵、糊置き、引き染めなどの各工程に特化した職人が分業し、完成に 1 年以上かかるものもある。 高級着物の代名詞的存在だ。 だが、着物を着る機会は減っており、売り上げは低迷している。

新たな市場 心に浮かんだのは

京友禅協同組合連合会(中京区)によると、年間生産量は 1971 年度の 1,652 万反をピークに年々減少傾向が続いており、2020 年度は 27 万反だった。 仕上がった布を裁断し、着物に仕立てる和裁士の伴恵美子さん (81) によると、以前は、年末には請け負えないほどの振り袖の注文があったというが、今はほとんどない。 コロナ禍で外出の機会が減っていることが追い打ちをかけている。 京友禅制作のすべての工程を総括する「染匠」で、京都工芸染匠協同組合の理事長でもある竹鼻進さんは「壊滅状態。 職人らは仕事がなくなり疲弊している。」とため息をつく。

新たな市場はないか。悩む竹鼻さんらの心に浮かんだのは、13 億 8 千万人が暮らし、経済成長が注目されるインドだ。 インドの民族衣装サリーは、幅 115 センチ、長さ 5 メートルの布を体に巻き付けて着る。 一方、日本の着物は幅 37 センチ、長さ約 13 メートルの布を裁断して仕立てる。 「サイズに違いはあるが、着物もサリーも、もとは一枚の布。 インドの富裕層にアプローチできないかと思った。」と竹鼻さん。

ただ、サリー作りの経験は乏しい。 詳しい人に助言をもらい、府の伝統産業危機克服緊急応援事業費補助金も受けながら、昨年 4 月から試行錯誤。 ようやく、竹鼻さんを含め 10 人の染匠が 1 着ずつ完成させた。 伊藤若冲が描いたゾウや尾形光琳の紅白梅図屏風をデザインにあしらったものも。 布地は「丹後ちりめん」を使用し、着物よりしわになりにくく柔らかい絹織物を特別にあつらえた。

インド大使も感動

竹鼻さんらは 12 月、東京都千代田区にあるインド大使館を訪問して京友禅サリーを PR した。 面会した大使は「京都の伝統技法を使ってこんなに美しいものが」と強く感動しているようだったという。 いまはインド在住の衣料品バイヤーに商品を託し、現地で増えていると言われる富裕層の反応や販路を調査中だ。 実はインドでも「サリー離れ」が進んでいると言われる。 女性の社会進出にともなって洋装が普及してきたためだ。 ただ、高給取りの女性がパーティーなどに 100 万円以上の超高級サリーを身につけて出席することも珍しくないという。

竹鼻さんは言う。 「マーケットはある。 今回はあえてメイド・イン・ジャパンをアピールしようと、伝統を生かした和柄にしたが、今後は現地のニーズを聞いて作ってみたい。」 (大貫聡子、asahi = 1-12-22)

〈編者注〉 インド人の友人が比較的に多い筆者でも、そうそう絹物のサリーにお目にかかることはありません。 以前のことになりますが、日本に滞在中のインド人ご夫婦を一緒に夕食でもとお誘いしたことがあります。

伺ったお宅に、洋装の外出着で待っておられたお相手の奥様が、同伴した筆者のかみさんの着物姿を見て、ちょっと待ってとすぐに奥に引っ込み、着替えて現れた姿が絹もののサリーでした。 きっと、とっておきのサリーを着るチャンスと期待されていたのかもしれません。 色白のご主人とは違い、肌色は濃いめでしたが、間違いなく超美人、細い身体に纏ったサリー姿は、洋装のドレスにも負けず、どこに出られても恥ずかしくないと感じました。

六本木での夕食、さらには次のクラブでも、一身に注目を浴び、壁ぎわでボソボソと話を続ける旦那二人をしり目に、民族衣装の 2 人は、相手をとっ替えひっ替え、楽しそうに夜遅くまで踊り続けていた光景を懐かしく思い出します。 確か、サージ地のサリーではなかったかと思いますが、色は紺系のモノトーン、柄は、せいぜい縁取りの刺繍くらい、当時から、どうしてこの市場に、京染屋さんは進出しないのかなと頭をよぎったのも確かです。

確かに、更紗柄はグッと身近に受け止めて貰えるかも知れませんし、柄配置も、留袖パターンや付け下げパターンも試してみる価値があるかもしれません。 それに、織屋さんでしたら、唐桟縞(オリジナルは南インド)の逆輸出なども、筆者としては興味深いのですが …。


良品計画の 21 年 9 - 11 月、純利益 36% 減 衣料品苦戦

第二の創業「無印良品」

記事コピー (1-7-22)


米ホリデーシーズン売上高 8.5% 増、消費戻る - 衣料品が急激な伸び

米国のホリデーシーズンの売上高は前年比で 8.5% 増加した。 マスターカード・スペンディングパルスが発表したもので、衣料品や宝飾品、電子機器への支出が特に増えた。 調査対象期間は 11 月 1 日から 12 月 24 日。実店舗、オンラインともに売り上げが伸びた。 消費者は今年、サプライチェーン問題が小売業者に影響を及ぼしていることを意識して例年より早い時期にギフト選びを開始。 店舗側もホリデーシーズンの買い物を活性化させようと販促活動を増やした。

衣料品は前年比 47% 急増。 宝飾品は 32%、電子機器は 16% それぞれ増えた。 この 3 つのカテゴリーはいずれも、新型コロナウイルス禍前の 2019 年水準と比べても 20% 以上伸びたことになる。 百貨店の売上高は前年比 21% 増、2 年前との比較でも 11% 増を記録した。 オンラインでの販売は前年比 11% 増えた。 (Bloomberg = 12-27-21)


「洋服の青山」コロナ禍で大ピンチ …!
大赤字で店舗の「100 円ショップ」化がすすんでいる

「上期の売上高は 671 億円、純利益はマイナス 75 億円。 コロナ禍のなかで 170 億円近い赤字を垂れ流した前年同期よりはだいぶ改善したものの、黒字化まではだいぶ時間がかかりそうです。(財産ネット企業調査部長の藤本誠之氏)」 コロナ禍での外出自粛は、様々な業種にダメージを与えたが、スーツ業界はその最たるものだ。 2020 年のスーツ市場は前年比で 1,000 億円以上減少。 リモートワークの定着により、この流れは止まりそうにない。

「青山は郊外型の大きな店舗に既製品スーツの在庫をたくさん抱えることで安売りを可能にし、百貨店や洋装店からシェアを奪って成長してきた。 ところが、スーツ市場の急激な縮小が止まらない状況下では、広すぎる店舗が逆に足かせになっているのです。(藤本氏)」 いわば「虫の息状態」の青山商事が、ここ 1 年ほどで急ピッチに進めているのが、店舗の「100 円均一ショップ」化だ。 「洋服の青山」を次々と閉店し、空いた店舗を提携先の「ダイソー」へと衣替えしている。

「100 円均一ショップは、巣ごもり需要を追い風にしてコロナ禍のなかでも右肩あがりに成長している優良市場です。 また、キッチン用品から日用品、収納雑貨までありとあらゆる商品を扱うため、大きな売り場面積が必要となり、スーツ売り場の跡地で展開するには最適の業態といえます。(全国紙経済部記者)」 同社が展開するダイソーは 8 月末時点で 111 店舗まで増えており、今後も増加する見込みだ。 「スーツ・フォーマル販売に偏り過ぎず、各事業セグメントにおいても、中長期的見地での成長分野に経営資源を重点的に配分していく方針です。(青山商事広報担当)」 スクラップ・アンド・ビルドは間に合うか。 (週刊現代 = 12-19-21)


アフリカ寄付の衣料廃棄を知って 学生と企業が展示会企画

アフリカに寄付された衣料が現地で大量の破棄物となっている問題を知ってもらおうと、持続可能な開発目標 (SDGs) に取り組む学生や企業が企画する展示会が 7 日、東京都港区で始まった。 ガーナ人の芸術家が古着や廃棄素材から制作したシャツやタペストリー、行き場のない衣類が山積された写真などを紹介する。 アフリカ事業開発企業「スカイヤー(東京)」や、ファッションを通じ環境問題を考える学生が共同で企画。 主催者によると、日本や欧米などからアフリカに届く古着は年間 20 億着と言われるが、カビや破損、気候に合わないなどの理由で捨てられる服も多いという。 (河北新報 = 12-7-21)


古着のリーバイス 501 が再生 バッグや靴、ドレス … 来年 3 月発売

三越伊勢丹など小売り 6 社が、使い古されたリーバイス「501」のデニムを再生して生まれたバッグや靴などを売り出す。 三越伊勢丹が中心になって企画し、50 以上の衣料品ブランドなどが約 150 種類の商品をつくった。 衣料品の廃棄が社会課題になるなか、会社ごとの垣根を越えて取り組む姿勢を打ち出す。

1 日に報道陣向けの内覧会があり、デニムを使ったドレスや雑貨のほか、絵画などのアート作品や女性向けの下着なども披露された。 「デニム de ミライ 〜DENIM PROJECT〜」と題し、伊勢丹新宿店(東京)や阪急うめだ本店(大阪)、岩田屋本店(福岡)などで来年 3 月 23 日に発売する。 商品の素材になったのは、穴が開いたり、ひどく汚れたりして引き取り手が見つからず、海外で眠っていたデニムだ。 ヤマサワプレス(東京)が約 20 トンを買い取り、伊勢丹新宿店のバイヤー神谷将太さん (35) が他の百貨店やアパレルブランドに呼びかけて実現した。 今回は全体の半分にあたる約 10 トン分を使うのが目標だという。 (山下裕志、asahi = 12-1-21)

初 報 (6-19-21)


日本の衣料品企業も「新疆綿花は使用しない」ボイコット相次ぐ

新疆綿へのとばっちり

記事コピー (4-12-21〜11-23-21)


アパレル業界に起こっている「異変」の正体 … 「服屋」でないブランドの「強み」

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた業界のひとつに、アパレルが挙げられる。 外出して、フォーマルな装いをする機会が減り、一方でパジャマやスリッパなど、ルームウェアの需要が高まった。 ライフスタイルメディア「SEVETIE TWO」が上場ファッション・アパレル企業 82 社を対象にした調査によると、今年 9 月末から 10 月末の比較で、株価上昇率ワースト 1 位はパレモ・ホールディングス、ワースト 2 位は高島屋だという。

「パレモ HD は女性向けファッションブランドを複数抱える企業で知られますが、主力出店先のイオンの店舗急拡大とともに売上を伸ばした 13 年を頭打ちに、徐々に勢いを落としてきています。 子供服チェーンの西松屋が筆頭株主になったことで株価が上昇しましたが、それでも赤字決算が響き、今回のような株価上昇率になったと言えます。 また、高島屋も第二四半期の決算は下方修正となり、緊急事態宣言が明けた後も好材料をなかなか見いだせず、株価は再び下降トレンドに入っています。(株式アナリスト)」

コロナの状況が落ち着き、緊急事態宣言が明ければ … という期待は、業界全体にあったのかもしれない。 だが、もともとコロナ以前から経営不振にあえぐ企業が多かった業界で、人出さえ戻れば経営状況が改善される、というシンプルな話では済まない部分もある。 一方で、前出のアパレル業界の株価上昇率で言えば上位を占めたのが、アウトドア・スポーツブランドである。

「機能性」こそ「オシャレ」な時代に

件の上昇率第一位は、キャンプギアを製造・販売するスノーピークだという。 新潟県三条市に本社を置く同社は、ころな禍におけるキャンプビギナーの需要を受け止め、知名度が急激に上がった。 21 年 12 月期における第 3 四半期までの売上高は、前年同期比で +61%、営業利益は前年同期比で +221% と、業績も絶好調である。 テントや焚き火台だけでなく、アパレル部門も進出に力を入れており、ユニクロ(ファーストリテイリング)のような、ライフスタイルを全面的に支えるブランドのひとつとして定着していきそうな勢いを持っている。

また、件の株価上昇率 2 位はアシックス、3 位はデサントだという。 いずれも老舗スポーツウェアブランドであり、上位三傑をアウトドアブランドが占める結果となった。 「消費者のニーズが『オシャレ』よりも『機能性』に向いてきていることは、ここ 10 数年のユニクロの成長からも言えることですが、コロナを経て『機能』こそ『オシャレ』だという風潮が、より強まったのではないかと言えます。

今後、コロナが『終息』と言えるレベルまで沈静化したとしても、アパレルにおけるこうした傾向は続いていくのではないでしょうか。(前出・株式アナリスト)」 それでは、的中率 80% を誇る『DeepScore 株価予報 AI エンジン (DeepScore 社開発・運営)』は、今週の日本株市場におけるアパレル業界をどう分析しているのだろうか。

「服屋でないアパレル」にどう対抗するか

今週の日本株市場で「下落トレンド」にあるとの予想が導き出されているのが、ユナイテッドアローズである。 紳士・婦人衣料や雑貨セレクトショップを、ショッピングセンターから百貨店まで幅広く展開しているユナイテッドアローズ。 日本を代表するアパレルのひとつと言って差し支えないだろうが、業績はなかなか上向きにならない。 DeepScore 社企業調査部長の藤本誠之氏は次のように解説する。

「11 月 5 日に決算を発表し、22 年 3 月期第 2 四半期の連結経常損益は 21.8 億円の赤字という数字になりました。 前年同期は 57.8 億円の赤字でしたから、幅自体は縮小しました。 ですが 7 - 9 月期 (2Q) の連結経常損益は 14.6 億円の赤字と 6 億円以上赤字幅が拡大しています。 株価に関しては、しばらく上値の重い展開が続きそうです。」

ユナイテッドアローズは「聖域なき見直し」を掲げ、銀座と青山の店舗を相次いで今年閉店した。 キャッシュを食いつぶす前に黒字回復することが至上命題だが、先ほど紹介したように業界構造はコロナ禍でますます様相が変わってきている。 「服屋」ではないアパレルが、消費者のニーズに応えている - -。  こうした変化にどう応えていくのか、ユナイテッドアローズの動向に今後も注目していく必要がありそうだ。 (現代ビジネス = 11-22-21)


宣言解除でアパレル業界の復活なるか 秋冬商戦で問われる企業の力

緊急事態宣言が明けて早 1 カ月が過ぎようとしている。 段階的な規制緩和のおかげかワクチン接種率の向上からか、新規感染者数は日に日に減少し始めた。 いよいよ経済活動の復活による消費活性化を期待したい。

アパレル企業各社の業績を見ると、企業によって明暗が分かれている。 2020 年のはじめから続くコロナ禍で、人流に変化がおきて生活者のライフスタイルも変わった。 生活者のライフスタイルの変化に、いち早く対応できた企業と、できなかった、あるいは出遅れた企業とでは業績に差が生まれたように思う。 そこで今回は、ユニクロと洋服の青山の業績を見ながら、それぞれの企業が抱える現状打破しなければならない課題について考えてみたいと思う。

宣言解除でビジネスウェア市場は回復するのか

緊急事態宣言が解除され、リモートワークを実施してきた都内のビジネスパーソンにも "出勤命令" が出始めている。 慌ててクローゼットの中からスーツを引っ張り出してみたところ、カビが大量に付着していて着られない …。 急いでクリーニング店に駆け込んだり、新たにスーツを購入しようとしたりする動きもあるようだ。 しかし、全体的にみるとそうした動きは少数派のようで、一度カジュアルダウンさせたビジネススタイルをドレスアップさせていくのは、開放的な着用感を味わってしまったが故にそれ相応の理由がないかぎり、なかなか元へは戻らない。

そこで、紳士服最大手「洋服の青山」を展開する青山商事の業績について触れてみたい。 20 年 4 月 - 21 年 3 月期の売上高は 1,614 億円(前年比 25.9% 減)、営業損益 144 億円の赤字(前期は 8 億円の黒字)、純損益は 388 億円の赤字(前期は 169 億円の赤字)という厳しい決算となった。 今期のビジネスウェア事業は、コロナ前の売り上げ(18 年実績売上高 1,821 億円)から、約 37% 減となる 1,150 億円を想定。 その減少分を、DX 戦略と成長分野(オーダー、レディス、フォーマル、制服レンタル、その他)の拡大で補っていく考えだ。 これらを 2 年がかりで成長させ、23 年の売上高を 1,400 億円にする計画。

本業のビジネスウェア事業に関しては、リブランディングを図っていくようだが、これらの施策が現実に起きている客離れの防止策となっているのか。 今まで買い上げてくれていたお客が、どこに移っているのか。もう少し分析を進めていく必要があるのではないかと思う。

ユニクロは巣ごもり需要の獲得も "税込表記" が影響

一方のカジュアルウェアはどうか。 ファーストリテイリングが発表した 20 年 9 月 - 21 年 8 月の国内ユニクロ事業の売上収益は 8,426 億円(前年比 4.4% 増)、営業利益 1,232 億円(同 17.7% 増)の増収増益だった。 上期(20 年 9 月 - 21 年 2 月)は、コロナ禍の巣ごもり需要にマッチしたラウンジウエアやヒートテック毛布などの販売が好調だったが、下期(21 年 3 - 8 月)は、4 月から消費税を本体価格に含めた施策からつまずきが始まり、販売不振による売価変更も影響した。

22 年 8 月期通期の業績予想では減収減益を見込む。 上期は、前年の業績が好調だったことに加え、生産遅延なども含め大幅な減収減益を見込む。 下期は、若干の増収、営業利益は大幅な増益を予想している。 ユニクロのようなベーシック商品指向型企業となると、規模があまりに大きくなってしまっているせいで、動きがどうしても鈍くなっているようだ。

10% の消費税を本体価格に吸収させた上で例年並みの売り上げを出すには、売上数を大幅に増やす必要がある。 また、例年並みに利益を確保するには相応に安く仕入れなければならない。 展開する商品には、2 - 3 年継続して販売する商品も含まれていて、商品の入れ替え自体にも時間を擁していることが影響しているのだと分析する。

気候変動がアパレル業界に与えるリスク

ユニクロも含め、アパレル関連企業は 9 - 2 月の秋冬商戦でしっかりと稼いでいくのが定石。 アパレル企業の倒産が、冷夏よりも暖冬の方が圧倒的に多いのもそのためだ。 気候変動がビジネスリスクに与える影響はますます大きくなっている。 実際に 9 月後半頃まで続いた高気温の中で、長そでを始めとした秋物の商品の売れ行きは鈍かったが、寒気が入り込み気温が低くなった途端に商品が動き出す。 もはやこれは、温暖化とか暖冬といった次元の話ではなく、気象現象が極端に振れる極端現象によるものだ。 この極端現象とは日最高気温が 35 度以上の猛暑日や 1 時間降水量が 50 ミリ以上の強い雨などが特定の指標を超えて頻発することを指す。

今年の冬は、熱帯太平洋の海面水温分布が "ラニーニャ" の特徴を示しつつあるようだ。 ラニーニャとは、南米沖などで水温が低く日本南海上などで高めになる現象。そうすると、上空の風の流れに影響を及ぼし日本付近では寒気が南下しやすくなる事が多くなる。ラニーニャ現象のピークは、21年11月〜22年1月で、今年は20年並みに厳しい冬になる可能性があるとの予想が出ている。

今年の冬にラニーニャ現象が現れれば昨年並みの寒さが期待できるが、中国工場の停電、東南アジア地域のロックダウンによる商品の納期遅れが懸念材料になっている。 そこに原綿、ポリエステル含めた原料高、更に円安傾向と、供給サイドにとっては、悪条件ばかりが目立つ。 緊急事態宣言が解除され、生活者のライフスタイルがまた変わる。 以前起こったようなリベンジ消費は、給付金支給タイミング次第といったところか。 いずれにせよ、ライフスタイルの変化には必ず商機が生まれてくる。 そこを見逃さず俊敏に対応できる企業姿勢を望んで止まない。 (磯部孝、ITmedia = 10-27-21)


アパレルビジネス一変! 「コストダウン」から「調達コスト無料化」へ進む衝撃の近未来とは

これまで、商社とアパレル企業の南下政策、つまり、人件費の安い場所をさまよい 5 年ごとに産地移転を繰り返し、国内産業の空洞化を招いてきた歴史を解説した。 かくいう私自身が商社で「南下政策」を推進してきた張本人の一人であるが、この政策は一時的にはアパレル、商社に利益を生み出したものの、中長期的な産業戦略としては、世界でも有数の実力を持つ生産工場や化合繊メーカの競争力を弱体化させ、国内生産は総投入量のわずか 2% という壊滅的状態に陥れた。

こうした状況下においても、なお、アパレル・リテーラーは「バングラで作ればもっと安くなりますね」と、商社に、コストダウンを聞いている。 日本人の産業界は商品を高く売ることは苦手だ。 この動きは止められない。 今回は、この南下政策の次に起きる「仕入れコストゼロ」の衝撃、そして、それを実現した企業が圧倒的なコスパ勝負で市場を席巻する近未来予想を描いてみたい。

コスト競争の次は、「調達コストの無料化」

ミツフジという企業がある (https://www.mitsufuji.co.jp)。 ミツフジは日本の繊維メーカーで世界にその技術が注目されている。 ミツフジの技術とは、銀を繊維に均等に塗す加工技術にあるようだ。

繊維(ファイバー)に「銀」などを入れたり穴を開ける技術は 30 年前からあった。 だが、このミツフジは、その「まぶし方」が均等である点が技術優位性の原点のようだ。 勘の良い方ならお分かりかと思うが、この繊維で作られた衣料品には銀が混ざっているため、スポーツ衣料、あるいは、アンダーウエアなどをこの繊維で作れば、人体サイズどころか、その動きさえも正確に把握することが可能だ。 実際、すでに某社のボディースーツ計測機器に、この技術が使われている。

おそらく、ミツフジ繊維を使った体にフィットした形状の衣料品からダイナミックデータ(動的データ)を吸い上げ、理想サイズとのギャップという初期的なものから、正しいカラダの使い方、例えば、ランニング中の姿勢や数ヶ月後のシェイプの変化なをウエアラブルデバイスで計測することが可能だ。

例えば、Appleのウエアラブルデバイスなどと組めば驚くようなことが可能だ。 今、Apple watch は手首からしかデータを吸い上げることができないが、着ているウエアから、体の動的データを入手すれば、それだけで人間の静態的データから、動態的データまでをパーソナル・ベースで保管、分析することが可能となる。 体の動的変化の可能性を計測したビジネスの可能性は無限であり、世界最高のパーソナルドクターが個人ベースでそばにいる時代になる。

これからのビジネスは、サービスは無料でコストは他社から奪う Google モデルになる

GAFAMと呼ばれる米国 5 大プラットフォーマーの 1 つ Google は、類まれなるソフトウエアを我々に惜しみなく無料で提供してくれていることに疑問を持った人はいないだろうか。 Google のポータルページを見ても、質素な検索窓があるだけで、広告やサブスクリプションへの誘導も見られない。 その一方で Google は、我々の気づかないところで我々を囲い込み、広告収入を得ながら世界のプラットフォーマーとなっている。

今、ほとんどの企業においてビジネスソフトウエアは、Microsoft の Office がデフォルトだが、Google ドキュメント、スプレッドシートやプレゼンソフトを使うスタートアップは多いし、私も最近はもっぱら Google の Office ソフトを使っていてなんの不便もない。 Google がうまいのは、こうしたツールにあからさまに広告を掲載したり、有料化を迫ったりしていないことだ。 だから Google のサービスはどんどん広がってゆく。

この、Google モデルは、圧倒的コスパ、つまり、世界最高のサービスは無料でありながら収入は他社から得るというものだ。 これを、コスト競争が激しいアパレル業界に当てはめると、すでに限界まで達した南下政策は、Google モデルに移行するというのが私の視点だ。 例えば、今後、EC が拡大すれば CPA (顧客獲得費用)が発生するが、例えば、ZOZO スーツのように膨大な開発費用をかけたスーツを無料で配るのなら、ミツフジの繊維を使った服を有料で販売すれば良い。

CPA の C、つまり、Cost はゼロとなる。 銀の加工技術を化合繊維に組み込むことができれば、そして、それを体にフィットするユニフォームや下着だけでなく、一般衣料品に組み込むことができ、また、その計測精度が高まれば、世界のアパレル産業はひっくり返るだろう。 こうなれば、調達コストは有料の Acquisition cost となり、消費者はお金を払って企業に人体データを提供するということになり、実質的な調達コストはゼロになるどころか、マイナス(利益がでるという意味)にさえなり得る。

もはや調達コストという概念すら消失する

こうした初期仮説から、私は過去、プロジェクトで「データ・ビジネス」をやってはどうかと提案したことがある。 テクノロジーがかほど進化した時代、そして、これ以上成長が望めない時代では、顧客の囲い込みと LTV (Life time value = 顧客が生涯に落とすお金の総量)が勝負を決める。 例えば、通販企業を買収するとき、デューデリジェンスのポイントは顧客基盤だ。 極論を言えば、欲しいのはそれだけ。

顧客データさえあれば無限の販売手法を駆使し、顧客満足度を最大化することができ、また、その CS (顧客満足)は多大な利益を企業に落とすことになる。 Googleモデルだ。 さらに、保管された人間の年齢別、性別、嗜好別動的データを活用すれば、工場とダイレクトにつなぎ Shein のようなモンスター D2C を生み出すことも可能だし、VR (仮想現実)技術と組み合わせれば、店頭での試着も不要になるばかりでなく、健康管理やスポーツ医療にも応用ができる。 繊維を使った商品の調達コストそのものの販売が、他のサービスから利益を生み出すのだから単なる無料以上の可能性があるわけだ。

自社人体データを保管し、自社プライベートブランドに組み込めば、そうした繊維で作られた衣料品を販売すればするほどデータ精度は高まる。 例えば、健康管理、パーソナルドクター、パーソナルトレーナー、ファッションコーディネートなどさらりと思いつくだけでも、その可能性は無限だ。

つまり、これからのアパレルビジネスは、カラダにまといつくという特性上、調達コストという概念は消滅するばかりでなく、販売も無料になる可能性さえある。 こうした発想を経営用語で「ゲームのルールチェンジャー」というのだが、競合が必死にコスト競争をしており、世界のグローバル SPA が規模の経済を生かしたコストメリットを出す場合、全く異なる視点から逆転を狙うことも可能だ。 これが、コストゼロの可能性である。 昨今は、SDGs の観点から再生可能繊維の需要が高まっているため、必ずしも天然繊維でなくとも良い風潮が高まり、こうした技術開発は追い風になっている。

ZOZOSUITS 戦略が惜しいな、と感じたのは、人体データの計測を実際の衣料品購買の前にやらねばならないことだった。 データとは footprint (足跡)と言って、動的な活動の中から自然にストアされる仕組みを作らねば絶対に広がらない。

本来、あの技術は、春・夏ならコットン(ポリエステルはコットンの合成繊維)、シルク(レーヨンなど半再生繊維はシルクの代替繊維)、ウール(アクリルはウールの代替繊維だが原材料が化石化原料を使っているため、今後使用は難しくなるかもしれない)の三大化合繊維に組み込み、ウエアラブルデバイスと結合させることだった。 見れば、同社のホームページには似たようなことが書かれているが、なぜか日本のアパレル産業でこうした動きが起きているという話を聞かなくなった。

いかがだろう。私の好きな言葉に、「技術に不可能なことはない、大事なことはビジョンである」、というものがある。 こうした技術戦略をデジタル企業に頼むクライアントが多く、結果、さしたるビジョンもなく、技術優先で話が的外れな方向に流れてゆく様を幾度も見てきた。 今、時代の変わり目に戦略と類いまれなる産業知見がもつ意味が高まっている。 (河合拓、Diamond = 10-19-21)


エディー・バウアー閉店へ 12 月、米衣料大手

米カジュアル衣料大手「エディー・バウアー」を日本国内で展開するエディー・バウアー・ジャパン(東京)が 12 月までに、店舗を閉店しオンラインサイトの販売も終了することが分かった。 同社が 18 日までに公式サイトで告知した。 エディー・バウアーは 1920 年に米シアトルで創業し、その後日本に進出した。 アウトドア用品などが人気だった。 同社は顧客に対し「今まで誠にありがとうございました」とコメント。 閉店セールを実施している。 (kyodo = 10-18-21)


伊勢丹新宿店に買い取り窓口 衣料など、5 - 10 分で査定

三越伊勢丹は伊勢丹新宿店(東京・新宿)に衣料品や時計など不用品の買い取り相談窓口「アイムグリーン」を設けた。 客が窓口に持ち込む品物を査定し、買い取りや無料引き取りをする。 査定は 1 品あたり 5 - 10 分ほどで、買い取った後はリサイクルや売却をする。

利用は事前予約制。 対象は衣料品と時計のほか、バッグ、宝石、美術品などで、同社の商品かどうかは問わない。 買い取り金額はその場で現金で渡す。 傷みが激しい場合などは引き取りとなる。 配送でも対応する。 資源循環などに関心の高い顧客の取り込みを目指す。 窓口設置は 2020 年 10 月の日本橋三越本店(同・中央)に続いて 2 店目となる。 同店では 1 年間に約 2 千件の利用があった。 客層の異なる新宿店での運用状況も見ながら、今後の他店での展開を検討する。 (nikkei = 10-7-21)


「アマゾン百貨店」、開業の狙いはアパレル販売強化
カリフォルニア州など米国で 22 年にオープンか

米アマゾン・ドット・コムは計画中の百貨店でアパレル商品の販売に力を入れると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

ハイテク試着室を導入

同社はこれまで書店やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどの実店舗を展開してきた。 アパレル商品は自社のプライベートブランド (PB) を立ち上げるなどして販売強化を図ってきたが、新展開の百貨店ではネット通販の衣料品購入に関する不便な点を補う。 ブランド認知度向上が可能かどうかを調査する狙いもあるという。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンは 2022 年にも米国内で、アパレルの自社 PB 商品を中心に販売する百貨店をオープンする可能性がある。 売り場にはハイテクを駆使した試着室を用意。 顧客がスマートフォンアプリで商品タグの QR コードをスキャンすると、店員が試着室に届ける。 試着室内の大型画面には、顧客が選んだ商品に基づき他の商品を推奨する機能などが設けられると、事情に詳しい関係者は話している。 ゆくゆくはロボットなどのオートメーション技術も導入する可能性があるという。

これに先立つ 21 年 8 月、ウォール・ストリート・ジャーナルは、アマゾンが米国で百貨店のような運営形態の大規模小売店を複数出店する計画だと報じた。 場所は、米オハイオ州や米カリフォルニア州。 店舗面積は約 2,800 平方メートルで、一般的な百貨店の 3 分の 1 ほどだが、アマゾンが現在運営する他の実店舗よりも広いという。

米最大の衣料品小売業者

こうした中、同社は衣料品分野で業績を伸ばしている。 米銀大手のウェルズ・ファーゴによると、アマゾンは今年、米ウォルマートを抜き米国最大の衣料品小売業者になった。 20 年の衣料品と靴を合わせた販売総額は前年比 15% 増の 410 億ドル(約 4 兆 5,400 億円)だった。 21 年は同約 10% 増の 450 億ドル(約 4 兆 9,800 億円)超になるとウェルズ・ファーゴはみている(米マーケットウォッチの記事)。

100 以上のアパレル PB 展開、高級ブランドも販売

アマゾンが、アパレルの PB 商品を初めて立ち上げたのは 16 年。 今では「Goodthreads (グッドスレッズ)」や「Lark & Ro (ラーク & ロー)」など合計 100 以上の PB を展開している。 最近では、高級ブランドの販売にも力を入れている。 20 年には米国で高級ファッションデザイナーの商品に特化したアプリ内ストア「ラグジュアリー・ストア」を開設。 第 1 弾としてオスカー・デ・ラ・レンタの既製服やハンドバッグ、宝飾品、香水などを販売した。

だがアマゾンの販売手法は、高質なショッピング体験や厳選したデザイン、ブランド力を駆使して消費者に訴求するファッション業界のカルチャーと逆行するという。 アマゾンは自社に足りないものを補うため、サブスクリプション(継続課金)方式のパーソナルスタイリストサービス「Personal Shopper (パーソナル・ショッパー)」を提供するなどして対抗してきた。 だがそれでも衣料品のネット通販に抵抗感がある顧客は少なくないという。

アマゾンの百貨店開業計画は、新型コロナによる外出規制が緩和され、顧客が店舗に戻ってきたことも背景にあるとウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。 米百貨店大手メーシーズが先ごろ発表した 21 年 5 - 7 月期決算は、売上高が前年同期比 58.7% 増の 56 億 4,700 万ドル(約 6,245 億円)だった。 同業のコールズの 21 年 5 - 7 月期決算は、売上高が同 30.5% 増の 44 億 4,700 万ドル(約 4,920 億円)。 ロックダウンや外出禁止令で衣料品の購入を控えていた顧客が、経済活動の制限緩和に伴い実店舗で買い物するようになっている。 (小久保重信、JDIR = 9-28-21)


大妻女子大、衣料ブランド 女子大生向けに学生が企画

大妻女子大学は衣料品のブランドを立ち上げた。 吉井健准教授のゼミ生が「女子大学生が欲しいもの」をテーマに企画した。 現在、国内で流通する繊維製品の多くは海外製が占めるなか、東京都内の縫製会社の協力を得ながら、学生のアイデアを取り入れた製造・販売の仕組みづくりに挑戦している。

ブランド名は「マール トウキョウ」で、商標登録した。 売れ残った商品を廃棄しないように受注生産方式を採用。 見込み生産より納期は長くなるが、SDGs (持続可能な開発目標)の理念に合うと考えた。 2021 年秋冬コレクションでの価格はジャケットが 1 万 7,820 円、スカートは 1 万 450 円、T シャツは 4,950 円だ。

現在の 4 年生が 3 年次だった 20 年秋から企画づくりをスタート。 ゼミ生が対象顧客や商品コンセプトを設定し、デザインを立案した。 生地を選ぶ際には生地問屋に足を運んだ。 縫製はエイ・アイプランニング(東京・江東)と谷繊維(東京・江戸川)が担当し、学生がサンプルを試着し意見を出した。

エイ・アイプランニングのサイトで販売しているが、課題のひとつはプロモーションだ。 同社の新井仁士専務は「学生には SNS (交流サイト)での情報発信に期待したい」と強調する。 21 年秋冬の企画に携わった 4 年生の上村珠貴さんは「イメージしたものを形にしていくのはとても難しかった」と話す。 初めての経験で、多くの学びがあった様子だ。 来季に向けて 1 年目の成果と課題を後輩に引き継いでいく。 (nikkei = 9-22-21)