米外交官らの脳損傷、130 人以上に 欧州やアジアでも

2016 年から米国の外交官らがキューバや中国で聴覚障害などの体調不良を訴えた問題で、米紙ニューヨーク・タイムズが 12 日、被害者はこれまで判明していた人数の 2 倍にあたる 130 人以上に上ると報じた。 ヨーロッパやアジアでも被害があったという。 同紙によると、これまでキューバや中国で働く約 60 人の外交官や総領事館職員らが脳に損傷を受け、聴覚障害や頭痛、めまいなどを訴えていた。 新たに判明した被害者がヨーロッパやアジアのどの地域で勤務していたかについては言及していない。 被害者には米中央情報局 (CIA) や国務省、国防総省などの職員が含まれるという。

2019 年には国外にいた米軍関係者が車を運転し交差点にさしかかったところ吐き気と頭痛に襲われ、同乗していた 2 歳の息子が泣き出した事例があった。 交差点を過ぎると吐き気は治まり、息子も泣きやんだという。 2020 年の専門家委員会の報告書は、マイクロ波などが原因として「最も妥当」としていた。 ニューヨーク・タイムズによると、バイデン政権は攻撃の主体や目的を断定していない。 米国家安全保障会議 (NSC) が更なる調査を進めている。 (多鹿ちなみ、asahi = 5-14-21)


攻撃の応酬、死者 50 人超 イスラエル・パレスチナ「全面戦争」の懸念

【カイロ = 佐藤貴生】 イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの軍事衝突は 12 日も続き、イスラエル有力紙ハーレツによると、同国軍はガザにあるハマスの拠点など 500 カ所の標的を空爆。 ハマスは衝突発生以降、イスラエルにロケット弾 850 発を発射した。 ガザでは子供 14 人を含むパレスチナ人少なくとも 48 人が死亡、イスラエルでは 6 人が死亡した。

双方の戦闘はガザでパレスチナ人ら 2,100 人が死亡した 2014 年の交戦以来の規模。 イスラエルのネタニヤフ首相が 11 日、ハマスなどに「非常に重い代償を支払わせる」と述べたのに対し、ハマスの指導者ハニヤ氏は「抵抗する用意はできている」と応じた。 国連のベネスランド中東和平特別調整官は「全面戦争」に拡大しつつあるとして両者に自制を求めた。

ガザでは 11 日、空爆を受けた高層ビルが倒壊し、ハマスはこれを受けてイスラエル西部の商都テルアビブなどに攻撃範囲を拡大した。 同国軍は 9 割前後のロケット弾を迎撃したとしているが、家屋などの損害も出ている。 各地でイスラム教徒のアラブ系住民による抗議デモが起き、当局はシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)が放火された中部ロッドに非常事態宣言を出した。 交戦は 10 日、エルサレム旧市街のイスラム教礼拝所「アルアクサ・モスク」周辺でイスラエルの治安部隊と衝突したパレスチナ人 330 人超が負傷し、ハマスが報復にロケット弾を発射して本格化した。 (sankei = 5-13-21)


スコットランド、独立派が過半数 再び住民投票を要求へ

英国、EU を離脱へ

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NY 株、連日の最高値 318 ドル高、米景気期待

【ニューヨーク】 6 日のニューヨーク株式市場のダウ工業株 30 種平均は続伸し、前日比 318.19 ドル高の 3 万 4,548.53 ドルと、過去最高値を 2 日連続で更新して取引を終えた。 米景気回復の加速への期待が高まり、買いが優勢となった。 雇用の指標として注目される新たな失業保険申請件数が前週から大幅に減り、市場の予想以上に改善したことが好感された。 インフレを警戒した売りに押され、マイナス圏に沈む場面もあった。 ハイテク株主体のナスダック総合指数は反発し、50.41 ポイント高の 1 万 3,632.84。 (kyodo = 5-7-21)

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NY 株、史上初の 3 万 4,000 ドル突破 景気回復を確認

米ニューヨーク株式市場で 15 日、主要企業でつくるダウ工業株平均が史上初めて 3 万 4,000 ドルを突破し、最高値を更新した。 小売業の売上高など経済指標が市場の予想を上回ったことや企業の好決算が相次ぎ、米国の景気回復が確認できたとして株式が買われた。 この日の終値は前日より 305.10 ドル (0.90%) 高い 3 万 4,035.99 ドルだった。

米国の 3 月の小売り売上高や先週の失業保険申請の件数が市場予想より良く、値上がりした。 失業保険の申請数は昨年 3 月以来の低水準だった。 ダウは昨年 11 月に初めて 3 万ドルの大台を突破してから、5 カ月間でさらに 4,000 ドル上昇した。 ワクチン接種の拡大のほか、米連邦準備制度理事会 (FRB) が当面は金融緩和を継続するとの見方から、株式市場は値上がりが続いている。 (ニューヨーク = 真海喬生、asahi = 4-16-21)

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NY 株、また最高値更新 ワクチン接種加速に期待感

米ニューヨーク株式市場で 9 日、主要企業でつくるダウ工業株平均が史上最高値を 4 日ぶりに更新した。 新型コロナワクチンの接種が加速しており、米国の景気回復が早まるとの期待から株式が買われた。 終値は前日より 297.03 ドル (0.89%) 高い 3 万 3,800.60 ドルだった。 ワクチン接種の拡大で景気が回復しても、金融緩和は長期間続くとの見方も株価を押し上げた。 ダウは 3 日連続の値上がりとなった。 米国の大企業を幅広く網羅する S & P 500 株価指数は 3 日連続で過去最高を更新した。 (asahi = 4-10-21)


世界経済、21 年 6.0% 成長 IMF が見通し上方修正

【ワシントン = 大越匡洋】 国際通貨基金 (IMF) は 6 日改定した世界経済見通しで 2021 年の成長率見通しを 6.0% とし、前回 1 月の予測から 0.5 ポイント引き上げた。 一時的な景気過熱を指摘する声も出るなか、世界は急回復する景気の勢いを御しながら、成長の持続力を高める政策へ軸足を移す難しい局面に入った。

米中の成長率突出 IMF予測、財政出動やワクチン普及で

6% 成長が実現すれば現行の IMF 統計で遡れる 1980 年以降で最高となる。 世界銀行の同様の統計でみると 73 年以来の高い伸びだ。 新型コロナウイルス禍で 20 年がマイナス 3.3% 成長に落ち込んだ反動の面はあるものの、ワクチン普及や米国などの積極的な財政出動が押し上げる。 コロナ禍前の 3% 台半ば(15 - 19 年の単純平均)と比べ伸び率が拡大する。 22 年は 4.4% に鈍る見通しだ。 米国の 21 年の成長率は 6.4% と 1.3 ポイント上方修正した。 1 月に発足したバイデン政権が 1.9 兆ドル(約 200 兆円)の経済対策を実現した効果を加味した。 中国とともに世界経済をけん引すると指摘する。

19 年の世界の国内総生産 (GDP) の水準を 100 とすると、21 年は 102 台と危機前の水準に回復する。 コロナ禍の前、IMF は 20 年の世界経済の成長率を 3% 台と予測していた。 それが逆にマイナス 3.3% に落ち込んだ。 危機前の水準を回復するだけではかつて想定した成長軌道には届かない。 一方で世界経済が一時的に過熱する恐れは高まった。 市場の関心は米国の金融政策の動向に移っている。 米連邦準備理事会 (FRB) は 21 年の成長率が IMF 予測とほぼ同じ 6.5% になるとの見通しをまとめつつ、少なくとも 23 年末までゼロ金利を維持する方針を示している。

FRB は一時的な物価上昇を容認する構えで臨む。 景気の過熱をうまく制御できなければインフレを招き、後から急激な利上げを迫られ、新興国からの資金流出など経済の混乱を世界に広げかねない恐れをはらむ。 株式市場などのバブル懸念への対応も重みを増す。 政策主導の需要回復に供給が追いつかないリスクもある。 世界的な半導体不足に自動車は減産を迫られ、米中の対立も深刻だ。 供給の目詰まりから生産の停滞が長引くことで立ち直りつつある雇用情勢に再び悪影響がおよぶ恐れがある。 IMF は世界経済の成長率は中期的に 3.3% に鈍ると予測した。 コロナ禍は完全に終息したわけではなく、先行きの不確実性はなお色濃い。 (nikkei = 4-7-21)


台湾で列車が脱線、50 人死亡 146 人が病院で治療

台湾東部の花蓮県で 2 日午前 9 時半(日本時間同 10 時半)ごろ、台湾鉄道の特急列車「タロコ号(8 両編成)」がトンネル付近で脱線した。 台湾当局の事故対策本部によると、乗客・乗員 50 人が死亡し、日本人 2 人を含む 146 人が病院で治療を受けた。 台湾メディアは「過去 50 年で最悪の事故」としている。 日本外務省によると、列車に 50 代男性と 20 代女性の日本人が乗っていたが、いずれも軽傷だという。 台湾鉄道によると、事故が起きたのは和仁駅と崇徳駅間の清水トンネル付近。 タロコ号は台北郊外の樹林駅から台湾南東部の台東駅に向かっていた。 台湾はこの日、彼岸に当たる清明節の連休初日で、列車はほぼ満席だった。 乗客・乗員計 496 人が乗っていた。

現地の消防当局や台湾メディアによると、タロコ号がトンネルにさしかかった際、何らかの原因で線路に滑り落ちた工事用車両と衝突し、脱線した。 8 両のうち 6 両はトンネルの中に突っ込み、壁にぶつかって車両が変形した。トンネル入り口付近にはぶつかった工事用車両とみられる残骸が散乱していた。 線路のそばの高い場所に止めた工事用車両のサイドブレーキがかかっていなかった可能性があり、運転手が取り調べを受けているという。 タロコ号は日立製作所製。 警察によると、8 - 5 号車は損傷が激しいといい、線路が単線でトンネル内が狭いこともあって、救助作業は難航した。

台湾鉄道では 18 年 10 月にも 18 人が死亡する特急列車の脱線事故があり、地元メディアによるとその前年も 14 件の脱線事故が起きた。 背景には経営難や人員不足があると指摘されている。 (花蓮県 = 石田耕一郎、asahi = 4-2-21)


男女格差、日本は世界 120 位 G7 で最下位

ダボス会議で知られる世界経済フォーラム (WEF) は 31 日、世界 156 カ国の男女格差を比較した最新の報告書を発表した。 日本は世界で 120 位となり、主要 7 カ国 (G7) で最下位だった。 コロナ禍の影響で世界的に男女の格差は開いており、世界全体で解消するのに必要な時間は約 136 年と、従来予想より 36 年延びると試算した。 「男女格差報告書」は、教育・健康・政治・経済の 4 分野を対象に調査。 教育や医療の受けやすさや政治家や閣僚の数、賃金差などをもとに、100% を「完全な男女平等」として達成度を指数化した。

北欧諸国が上位に

その結果、世界でも最も男女平等といえる国はアイスランド (89.2%) で 12 回目の首位。 2 位のフィンランド (86.1%) や 3 位のノルウェー (84.9%)、5 位にスウェーデン (82.3%) など北欧諸国が上位に並んだ。 政治経済の制度や水準が日本と似ている G7 諸国では、11 位ドイツ (79.6%)、16 位フランス (78.4%)、23 位英国 (77.5%)、24 位カナダ (77.2%)、30 位米国 (76.3%)、63 位イタリア (72.1%) で、120 位の日本 (65.6%) は大きく引き離されている。 日本は 2019 年 12 月に発表された前回報告書では 121 位。 今回、教育と医療は健闘したが、政治と経済では閣僚や経営者層の女性の少なさが響き、低順位から抜け出せなかった。

指数の世界平均は 67.7% で前回より 0.6 ポイント後退。 報告書は、女性が働く割合の多い職場がコロナ禍により大きな影響を受け、女性の方が失職率が高いことなどが理由と分析。 コロナ禍で加速する自動化やデジタル化も女性の就業に不利に働く可能性があるとも指摘した。 コロナ禍から回復する中で雇用機会の均等などが求められるとしている。 同報告書は 2006 年から発表され、今回が 15 回目。 WEF は世界の政財界の指導者が参加するダボス会議を主催し、均衡の取れた世界経済の成長を目指すシンクタンクの役割も担っている。 (ロンドン = 和気真也、asahi = 3-31-21)


スエズ運河で座礁のコンテナ船、浮上始まる 現地管理当局

エジプトのスエズ運河で座礁したコンテナ船について、現地の管理当局は 29 日、船体を動かす作業を進めた結果、コンテナ船の浮上が始まったと発表しました。 潮位が高くなる時間帯に向けてさらに作業を行い、運河の通航再開を目指すことにしています。 エジプトのスエズ運河では、23 日、愛媛県の正栄汽船が所有し、台湾の会社が運航する大型のコンテナ船が座礁して運河が塞がれ、ほかの船が通れなくなっています。

運河を管理するスエズ運河庁は、タグボート 10 隻を使って船を動かす作業を行っていたところ、船体が浮上し始めたと、29 日朝、発表しました。 それによりますと、船体の向きは 80% 修正されたとし、4 メートルほどしかなかった船尾から岸までの距離は、102メートルまでに広がったとしています。 スエズ運河庁は、潮位が高くなる現地時間の午前 11 時半ごろ、日本時間の午後 6 時半ごろに向けてコンテナ船を移動させる作業を進め、運河の通航再開を目指すことにしています。 アジアとヨーロッパを結ぶ海上交通の要衝であるスエズ運河が通れない状態となってから丸 6 日がすぎ、周辺に待機する船舶は、360 隻以上にのぼっていて世界の物流に影響が出ています。

座礁の影響は

スエズ運河は、1869 年に開通した全長およそ 190 キロの運河でアジア側の紅海とヨーロッパ側の地中海とを結び、アジアとヨーロッパの間を通航する最も早い海上ルートとなっています。 イギリスの公共放送 BBC によりますと、スエズ運河を通過する船舶は世界の海上輸送の 12% を占めているということです。 スエズ運河を通過できない場合は、アフリカ大陸最南端の喜望峰を回るルートをとることになり、海運業界向けに情報提供などを行っているイギリスの「ロイズ・リスト」によりますと、この場合、距離がおよそ 9,000 キロ長くなり、10 日間ほど余分に時間がかかるということです。

今回、スエズ運河が塞がれた状態となったことで、29 日現在、360 隻が周辺に滞留しているほか、韓国など一部の海運会社は喜望峰を回るルートでの通航を余儀なくされているということで、世界の物流に影響が出ています。 また運河の通航料は、エジプト政府が得る重要な収入源にもなっていて、スエズ運河庁によりますと今回の事態で、1 日当たりおよそ 1,400 万ドル、日本円にして 15 億円余りの損失が出ているということです。

加藤官房長官「船体の一部はいまだ座礁 動向を注視」

加藤官房長官は午後の記者会見で「きょう、船主が手配した大型タグボートなどによるけん引作業で、船体が運河に沿う方向に、20 度程度回転したということだ。 船体の一部はいまだ座礁した状況で、離礁には至っていないという報告を国土交通省で受けている。 引き続き、こうした動向を注視していきたい。」と述べました。 (NHK = 3-29-21)

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スエズ運河で座礁のコンテナ船、わずかに移動 - 撤去なお困難

→ AP モラー・マースクなどは船舶を迂回させている
→ 開通を待つ船の数も 400 隻超に - ブルームバーグの集計データ

スエズ運河で座礁し船舶の往来を妨げている巨大コンテナ船を浮上させる新たな試みが、28 日に行われる可能性がある。 27 日には、全長 400 メートルの「エバーギブン」をタグボートが 29 メートル動かすことに成功し、しゅんせつ船がプロペラを運河底の砂地から掘り出した。 当局者は浮上させられる時期の見通しについてコメントを控え、作業は依然として「困難だ」と述べている。

スエズ運河遮断で、新型コロナウイルス流行に伴う電子商取引ブームによって既に負荷が高まっている世界のサプライチェーンがさらに打撃を受けた。 AP モラー・マースクなど海運会社は船舶を迂回させている。 通常は世界の海運貨物の 12% がスエズ運河を経由する。 開通を待つ船の数も増え、ブルームバーグがまとめたデータによると、ロンドン時間 27 日午前の段階では 429 隻が待機。座礁直後の 100 隻から増えている。 ムーディーズ・インベスターズ・サービスのダニエル・ハーリッド氏らアナリストは、世界的なコンテナ船の需給逼迫などでサプライチェーンは外的ショックに対して脆弱になっているとして、座礁事故の「タイミングは最悪」だと指摘している。

トイレットペーパーが次の犠牲か、世界に影響与えるコンテナ危機

また、エバーギブンの積み荷にかけられている保険の請求額は数百万ドルに上る可能性がある。 海運業界や商品事業などあらゆる当事者からの請求が見込まれる。 (Salma El Wardany、Mirette Magdy、Jack Wittels、Bloomberg = 3-28-21)

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スエズ運河ふさぐ巨大船、サルベージ会社が作業へ - 座礁から 3 日目

→ タグボートや掘削機を使って離礁させる試みは 24 日には成功せず
→ オランダの SMIT サルベージや日本サルヴェージが引き揚げ試みへ

スエズ運河で座礁した巨大コンテナ船を動かすため、サルベージ(引き揚げ)会社による作業が現地時間 25 日朝から始まる見込みだ。 海運の大動脈の一つである同運河の通行が滞ってから 3 日目になる。 全長 400 メートルのコンテナ船「エバーギブン」をタグボートや掘削機を使って離礁させる試みは 24 日には成功しなかった。 船舶の管理会社によると、水路底の土砂をすくう浚渫船は作業を続けている。

エバーギブンの引き揚げを請け負ったのは、オランダの SMIT サルベージ。 同社の作業員は座礁船にパラシュートで降下し、激しい嵐の中での作業もいとわない、業界内では伝説的な企業だ。 事情に詳しい関係者によると、日本サルヴェージも起用されている。 船は非常に重いため、バラスト水や燃料を取り除くことも必要になり得る。

タフツ大学のフレッチャー・マリタイム・スタディーズ・プログラム担当ディレクター、ロックフォード・ワイツ氏は、「スエズ運河で座礁した超大型コンテナ船を撤去するのは、運河という限られた広さのため困難になる。 サンゴ礁や浅瀬での座礁と比べて問題が増す。」と話した。 スエズ運河庁は作業についてコメントしておらず、復旧時期の見通しも明らかにしていない。 (Salma El Wardany、Mirette Magdy、Jack Wittels、Ann Koh、Bloomberg = 3-25-21)


台湾パイン、中国に輸出できない 「日本に熱い援助を」

輸出の 9 割以上を占める中国から禁輸措置がかかった台湾産パイナップルの PR をしようと、総領事館にあたる台北駐福岡経済文化弁事処の陳忠正処長が 18 日、熊本県庁を訪れた。 木村敬副知事を表敬訪問した後、記者会見を開いた。 台湾はパイナップルの生産量が年約 43 万トン。 9 割が国内消費で、残り 1 割が輸出向けだった。 輸出の 9 割以上を占めていた中国が、害虫を理由に 1 日から禁輸措置を決めた。 陳処長は会見で、「なんの連絡もなく急にストップされて農民は本当に悩んでいます。 悩んだ時、すぐに日本に打診しました。 熱い援助の気持ちをいただいた。」と話した。 (渡辺七海、asahi = 3-23-21)


日独「情報保護協定」発効 インド太平洋協力を後押し

日独両政府は 22 日、安全保障上重要な情報を共有し、漏洩を防ぐための「情報保護協定」に署名した。 防衛装備や部隊運用などの情報を共有し、装備品輸出や共同訓練などをしやすくする狙いがある。 台頭する中国をにらみ、日欧がインド太平洋での安保協力を強める中での締結となった。 茂木敏充外相とドイツのイナ・レーペル駐日大使が同日、協定に署名して発効した。 情報保護協定は安保協力の「インフラ(外務省関係者)」と位置づけられる。 日本は米、英、フランスなどと同種協定を結んでおり、G7 (主要 7 カ国)で未締結なのはカナダとドイツだけだった。

フリゲート派遣、共同訓練も

日独両政府は 2013 年に交渉を始め、19 年に当時の安倍晋三首相とメルケル首相の間で大筋合意に至っていた。 日本外務省関係者は「コロナ禍で締結が遅れたが、結果的に良いタイミングになった」と話す。

厳しい対中姿勢を取り始めた欧州諸国が、中国の海洋進出を牽制しようと、インド太平洋への関与を強めているからだ。 ドイツは 20 年にインド太平洋指針を策定。 今年はフリゲート艦派遣を計画し、自衛隊との共同訓練も検討している。 外務省の発表によると、茂木氏も署名後の会談で、ドイツの指針策定やフリゲート艦派遣を歓迎する意向を伝達した。 日本政府関係者は「日欧協力を進めるうえで欠けていたピースがやっと埋まった」として協力の進展に期待感を示す。 (佐藤達弥、asahi = 3-22-21)


コロナ禍、「小さな政府」終わりの予感 守るべきは公益
欧州季評 ブレイディみかこ

英国では、ウェブサイトやテレビのニュース番組で示される「本日のコロナ情報」が 1 月から少し変わった。 新規感染者や死者の数に、「ワクチン接種者数」が加わったのだ。 わが家でも、がんを患ったことのある配偶者は「基礎疾患を有する者」のカテゴリーに入っているので、2 月に 1 度目のワクチン接種を受けてきた。 通知は配偶者のスマホに SMS メッセージで来た。 メッセージには自分で日時を予約するためのリンクが貼られていて、NHS (国民保健サービス)の予約サイトに飛ぶようになっていた。

息子が通う中学校では PCR 検査が始まった。 3 月 8 日からの学校での授業再開に向け、その前週に生徒たちが定められた時間に学校へ行って、仮設の施設で検査を受けた。 息子が検査を受けることに対する保護者のコンセント・フォーム(同意書)も、NHS のサイトに行ってオンラインで提出した。 全 3 回の検査を受けた後、生徒たちは毎回、渡された QR コードを自分のスマホで読み取り、やはり NHS のサイトに飛んで住所や氏名やメールアドレスを登録する。 結果もメールで送られてくる。

「これ、家に WiFi がない生徒はどうやって NHS のサイトにアクセスするんだろうね。 スマホを持ってない人とか …。」 素朴な疑問を漏らすと息子が答えた。 「さあ、どうするんだろうね。」 とはいえ、息子の学校では、ロックダウンでオンライン授業に切り替わるときに、学校が地元の慈善団体と協力し、パソコンやネット環境のない生徒たちが一人もいないように都合をつけた。 だから、今回の検査でも困っている生徒はいないだろう。 だが、英国の全ての公立校がそうだとは限らない。

1 月には、貧困家庭の子どもたちへの WiFi 無料バウチャー配給を政府が取りやめた、と BBC が報じていた。 英通信大手ブリティッシュ・テレコムがその提供をオファーしていたのに、政府が効率的な配給に手間取ったことが理由だったという。 この同社側の主張に対し、英国教育省のスポークスパーソンは、同社提供のインターネット接続は「安定せず、確実でない」から配給しなかったと述べている。

思えば、2019 年 12 月に行われた総選挙で、コービン党首率いる労働党は、ブリティッシュ・テレコムの一部を国有化し、全ての国民に高速のブロードバンドを無料提供する政策を打ち出した。 財政支出拡大の「大きな政府」路線を打ち出したコービン労働党の政策は、過去 10 年におよぶ緊縮財政に慣れてしまった有権者の間で、「財源はどこから出てくるんだ」と不人気で、特にこのブロードバンド無料化計画は「税金の無駄遣い」、「そんなものまでいらない」と言う人が周囲にも多かった。

だが、コロナ禍のいまになってみると、これほど必要な政策はなかったのではと思える。 コロナ禍中のデジタルディバイドは「リモートワークができる人と、できない人」、「オンライン授業に参加できる子どもと、できない子ども」の格差だけにとどまらない。 いまやワクチン接種から PCR 検査といった健康にかかわる公共サービスでさえ、ネットがなければ迅速に受けられない。

ところで、英国で広域なワクチン接種が始まってから珍しく通貨ポンドが上昇している。 年内の本格的な経済再開への投資家の期待が高まっているからだという。 14 年に米大手製薬会社ファイザーが英国のアストラゼネカ社を買収しようとしたことがあった。 英国の労働組合や科学者たちは、国内の雇用や科学研究の削減につながると警鐘を鳴らした。 バイオテクノロジーで科学界を支える立場にある同社が米企業に買収されたら国にとってダメージになると懸念する声もあった。

労働党は、この買収に「公益性審査基準」を適用すべきだと求めたが、政府は、株主にかかわる「商業的な問題」として介入しなかった。 結局、買収は成立しなかったが、オックスフォード大学が昨年 4 月に新型コロナワクチン開発のパートナーに選んだのがアストラゼネカで、有効性が確立する前から英政府はワクチンを 1 億回分確保できた。 ワクチン接種も順調に進んでいる。

今年に入ってから、EU (欧州連合)はアストラゼネカに英工場製のワクチンを要求したり、ワクチンの域外輸出規制を打ち出したりしているが、英国には国内での供給がすでに十分にあった。 株主の利益だけを追求し、アストラゼネカが米国企業の傘下に入っていたとしてもこれは可能だっただろうか? それはわからない。 だが、あの時、買収の公益性を問う意見が出たのは、今になると興味深い。

1990 年代、クリントン米大統領は「大きな政府の時代は終わった」と宣言した。 代わって、市場への介入も最小限にする「小さな政府」がこれからの道と言われた。 しかし、コロナ禍は小さな政府の時代も終わらせそうだ。 たぶんこれからは、きちんと自らの仕事をする政府の時代だ。 その仕事とは公益を守り、公助を行うことである。 (ブレイディみかこ、asahi = 3-14-21)

ブレイディみかこ 1965 年生まれ。 保育士・ライター。 英国在住。 著書に「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」、「ブロークン・ブリテンに聞け」など。


NY 株最高値、初の 3 万 2 千ドル インフレ警戒感が後退

10 日の米ニューヨーク株式市場は、インフレ懸念が和らいだことなどから、主要企業で構成するダウ工業株平均が続伸して過去最高値を更新した。 前日比 464.28 ドル (1.46%) 高い 3 万 2,297.02 ドルで引け、終値として史上初めて 3 万 2,000 ドルの大台に乗せた。 米労働省が朝方発表した 2 月の消費者物価指数は前月より 0.4% 上昇と市場予想の範囲内に収まった。 市場で強まっていた急速なインフレへの警戒感が後退し、米長期金利も年 1.5% 台前半で落ち着いた動きとなった。

また、米下院はこの日、家計への直接給付を含む総額 1.9 兆ドル(約 200 兆円)の追加経済対策を可決。 バイデン大統領が 12 日に署名して成立する見込みで、個人消費拡大への期待も高まった。 景気回復の恩恵を強く受けるエネルギーや小売り、金融などの銘柄が大きく買われた。 一方、長期金利の上昇懸念から下落基調となっていたハイテク株中心のナスダック市場では、総合指数がわずかに下落。 前日比 4.99 ポイント (0.04%) 低い 1 万 3,068.83 で取引を終えた。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 3-11-21)

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NY ダウ最高値、一時 3 万 2 千ドル 経済正常化に期待感

24 日の米ニューヨーク株式市場は、主要企業で構成するダウ工業株平均が続伸し、一時、史上初となる 3 万 2,000 ドルの大台に乗せた。 終値は前日比424.51ドル (1.35%) 高い 3 万 1,961.86ドルで、史上最高値を 1 週間ぶりに更新した。 朝方に米長期金利の指標となる 10 年物米国債の利回りが一時、年 1.43% と 1 年ぶりの高水準に達した。 市場では最近、金利上昇への警戒感が強まっており、ダウ平均は反落で取引が始まった。

しかし、米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長は米議会下院公聴会で、目標とするインフレ率 2% に届くのに「3 年以上かかるかもしれない」などと述べ、金融緩和を長く続ける姿勢を強調。 長期金利は 1.37% 程度まで下がり、ダウ平均も上昇に転じた。 長期金利の影響を強く受けるハイテク株が多いナスダック市場でも、総合指数が朝方の大幅下落から上昇に転じた。 終値は前日比 132.77 ポイント (0.99%) 高い 1 万 3,597.97。

この日は、米食品医薬品局 (FDA) が、米ジョンソン・エンド・ジョンソン (J & J) の新型コロナウイルス向けワクチンについて、1 回の接種でも有効だとの見解を発表。 米経済の正常化が早まるとの期待も広がった。 25 日の東京市場も、取引開始から日経平均株価が大幅に上昇した。 午前の終値は、前日比 484 円 78 銭高い 3 万 0,156 円 48 銭。 前日に 7 営業日ぶりに終値が 3 万円を下回ったが、再び 3 万円台に戻して取引されている。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 2-25-21)

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NY 株、3 万ドル割れ 投機過熱の警戒感で 620 ドル安

週末29日の米ニューヨーク株式市場は、個人投資家による投機的な取引が過熱していることへの警戒感から、主要企業でつくるダウ工業株平均が大きく反落した。 前日比 620.74 ドル (2.03%) 安い 2 万 9,982.62 ドルで終え、昨年 12 月 14 日以来、1 カ月半ぶりに 3 万ドルの大台を割り込んだ。 ハイテク株が多いナスダック市場の総合指数も大幅下落。 同 266.47 ポイント (2.00%) 低い 1 万 3,070.69 で引けた。

米株式市場では、ネット掲示板で情報交換する個人投資家らが、ゲーム販売店「ゲームストップ」など一部の銘柄を買い進む投機的な取引がヒートアップし、これらの株価が連日乱高下している。 株取引に使われるアプリ「ロビンフッド」などは一部銘柄の取引をいったん制限したものの、29 日に制限を再び緩和し、市場の混乱が長引くことへの懸念が強まった。

ヘッジファンドが株価下落を見越して空売りを仕掛けていた銘柄が狙われており、それらの株価急騰で損失を被ったヘッジファンドが保有株を換金売りするとの観測も、市場の不安につながっている。 いまのところ投機の対象は限られた銘柄にとどまっているものの、今回の混乱が市場全体に広がるおそれも指摘されている。 投資家の不安心理を示す「恐怖指数」とも呼ばれる米国株の変動指数 (VIX) はこの日、33.09 と前日から 10% 近く上昇。 不安感が高まっているとされる「20」を大きく上回った。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 1-30-21)


6 回接種の特殊注射器で脚光 きっかけは 25 年前の依頼

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、韓国にある従業員 120 人の中小企業に突然、スポットライトが当たった。 米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを 1 瓶で 6 回接種できる特殊な注射器の生産を手がけ、確保が遅れる日本を含めた各国の業者から問い合わせが殺到している。 この会社は、韓国中部・公州市にある 1987 年創業の注射器メーカー「新亜洋行」。 昨年の売り上げ約 156 億ウォン(約 15 億円)という中小企業が脚光を浴びたのは、米国向けに輸出する「LDS = Low Dead Space (最小残留型)」と呼ばれる特殊な注射器が、貴重な新型コロナワクチンを無駄にせず、有効に活用できるからだった。

社長の房相●(= 火偏に横に赤を二つ)さん (48) によると、LDS 注射器は約 25 年前、米国の業者から、腎臓病患者への高価な薬剤を無駄なく接種できる注射器を作ってほしいと頼まれて開発した。 一般的な注射器は注射後に薬液が 0.07 - 0.08 ミリリットル程度残るが、針とピストンの間の空間が生じないように設計し、約 20 分の 1 の 0.004 ミリリットルに抑えた。 1 本の卸値は、一般的な注射器の約 2 倍で 200 ウォン(約 20 円)弱。 毎月約 150 万個を米国に輸出する。 今では韓国政府が把握する限り、韓国国内で同社を含めて 3 社が LDS 注射器を製造する。

ファイザー製ワクチンは、瓶に入った原液を生理食塩水で希釈した後、瓶に注射器を差して定量を吸い上げて接種する。 1 瓶当たりの接種は一般的な注射器を使うと 5 回だが、同社の LDS 注射器なら 6 回接種できる。 房さんは「熟練の医療従事者なら 7 回も可能」と話す。 韓国政府はワクチン接種開始前の 1 月末に、LDS 注射器について、同社の 1,250 万個を含め、計 4 千万個の納品契約を完了した。 韓国メディアは、英語の国名コリアの頭文字を冠して「K 注射器」と呼び、確保が遅れる日本の現状と比較して報道。 文在寅(ムンジェイン)大統領は「韓国の中小企業が誇らしい。 (PCR) 診断キットに続いて、K 防疫の優秀性をまた示した。」と絶賛する。

房さんによると、同社の生産能力は月 500 万個だが、6 月以降は生産ラインを増設し、月 1 千万個の生産が可能になる見通し。 輸出先を欧米のほか、中東や東南アジアにも広げる方向で商談を進めている。房さんは「私たちが作った注射器で、少しでも多くの方がワクチンを接種できるようになるならうれしい」と話す。 日本の業者からも 2 月下旬に、5 千万個以上の納品を打診されたという。 ただ、輸入には医薬品医療機器等法に基づき、厚生労働省の認可が必要だ。 同省によると、申請に問題がなければ、認証審査は 2 週間程度で終わるというが、「注射器の確保に向けて、国内外のメーカーの製品や生産能力を調査している段階」という。 (ソウル = 鈴木拓也、asahi = 3-6-21)


韓国出生率 0.84 の衝撃 結婚どころじゃない若者たち

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今の時期でも留学おいで 感染者ゼロの島に日本人が続々

新型コロナウイルスの流行が各国で収まらず、留学が難しい状況が続くなか、日本からの留学生の受け入れを再開した国がある。 太平洋のフィジーだ。 昨年 4 月以来、明らかになった市中感染はゼロ。 英語が公用語の島国で、1 月から日本の若者たち計 76 人が学び始めた。 小さめの木の机が並ぶ教室で、水色のシャツに男子生徒も民族衣装の巻きスカート姿。 フィジー西部ラウトカの高校で学ぶのは、日本から来た生徒たちだ。 1 月 18 日の新学年の開始から、この学校に通う。

隣の都市ナンディの英語学校では同 11 日から、日本の若者たちが学んでいる。 ほとんどがホームステイをしていて、親しみやすい人柄で知られるフィジー人の家庭での生活も楽しんでいる。 フィジーは昨年 3 月以降、感染防止対策で外国人の入国を規制している。 その結果、これまでの感染者 59 人の大半が帰国者で、昨年 4 月 19 日から市中感染は出ていない。

現地の日系企業「フリーバードインスティテュート」が運営する英語学校や高校では、コロナ禍前は日本人約 300 人が学んでいたが、大半が帰国した。 同社が昨年 10 月、留学生受け入れ再開を要望すると、政府は「経済的な価値がある」として、事前の PCR 検査や入国後の 14 日間の隔離を条件に特例で入国を認めた。 今回の留学のために、同社は日本からのチャーター機や隔離用のホテルを確保した。 留学先が限られる現状で「コロナ禍が明けた後に、フィジーで学んだ英語を生かして、隣の豪州でワーキングホリデーや英語留学を、と考えている学生もいる(同社の谷口浩最高経営責任者)」という。

同社は 4 月 17 日に再びチャーター機を飛ばす予定で、2 月 21 日までに 89 人の搭乗が確定。 最大 120 人の受け入れが可能という。 英語学校の場合、留学費用(12 週間)は食事付きのホームステイ込みで 40 万円ほどで、欧米やオーストラリアなどと比べて 3 分の 1 から 2 分の 1 程度という。 太平洋の島国はフィジー以外でも、ほとんどの国が感染を低いレベルに抑えている。 世界保健機関 (WHO) によると、トンガやパラオなど 8 カ国が、今でも「感染者ゼロ」だ。 (シドニー = 小暮哲夫、asahi = 2-27-21)


ロシア反体制派ナワリヌイ氏に実刑 米独など非難声明

ロシア、真の民主化に向けて

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ユーロ圏の GDP、6.8% 減 2 度のロックダウンが影

欧州連合 (EU) 統計局が 2 日発表したユーロ圏 19 カ国の 2020 年の実質域内総生産(GDP、速報値)は、前年比 6.8% 減で、1995 年に現行の統計を始めて以来、最大の落ち込みとなった。 新型コロナウイルス対策で各国が度重なるロックダウン(都市封鎖)に踏み切ったことが響いており、主要経済圏の中でも景気の悪化ぶりが際立っている。 通年の GDP をすでに発表した国では、経済規模で域内最大のドイツが 5.0% 減。 犠牲者数が多いスペインが 11.0% 減となったほか、欧州では英国も 2 ケタのマイナス成長が見込まれる。

同日発表されたユーロ圏の 20 年 10 - 12 月期の GDP は、前期比 0.7% 減、年率換算で同 2.8% 減だった。 7 - 9 月期にプラス成長に回復したが、再びマイナス成長に転じた。10 - 12 月期は米国や中国はプラス成長を維持しており、欧州は回復が遅れている。 ユーロ圏は昨年、春と秋以降の 2 度の感染の波に揺れた。 昨春の感染拡大時に各国が厳しいロックダウンで対処。 いったん感染が減った夏場、経済の再活性化のため飲食や観光業を後押しした。

だが、その反動で秋に第 2 波が襲来。 ドイツやフランス、イタリアなど主要国は年末までに再びロックダウンに追い込まれ、経済も再び沈んだ。 英国からの変異株の猛威もあり、第 2 波はまだ収まっておらず、外出などの制限は年明けも続いている。 EU は共同のワクチン調達に手間取っており、市場は景気が回復するのは 4 - 6 月期からとみている。 (ロンドン = 和気真也、asahi = 2-2-21)


新 START、5 年延長で合意 米ロ首脳が電話協議

米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領は 26 日、電話協議し、2 月 5 日に期限が切れる米ロ間の新戦略兵器削減条約(新 START)を 5 年間延長することで合意した。 ロシア政府は、両国が合意に関する外交文書を交わしたと発表し、条約延長のための国内手続きに入ったことを明らかにした。 米ロ両首脳の電話協議は、バイデン政権発足後初めて。 米ホワイトハウスは、両首脳が新 START の 5 年延長について協議し、「2 月 5 日までに延長を完了するよう早急に取り組むことで合意した」と発表した。 新 START についてロシアは無条件での 5 年延長を希望し、バイデン米政権も 21 日、5 年の延長をめざすと表明していた。

ロシア下院によると、プーチン氏は 26 日、議会に条約の 5 年延長を承認するよう求める議案を提出した。 コサチョフ上院国際問題委員長はバイデン新政権との延長合意について「非常に困難な両国関係に前進の可能性を与えるものだ」とし、27 日にも承認に必要な手続きを終える考えを示した。 米ロ間で射程の長い核兵器を制限する新 START はオバマ政権下の 2011 年に発効。 しかし、核兵器の役割拡大を目指したトランプ前政権とロシアとの延長交渉は難航していた。 ホワイトハウスによると、両首脳は、ロシアの反政権活動家ナバリヌイ氏の毒殺未遂事件や米政府機関へのサイバー攻撃疑惑などについても協議した。 (モスクワ = 喜田尚、ワシントン = 渡辺丘、asahi = 1-27-21)