京アニ支援、企業の税負担軽減を検討 政府

「京アニ」の惨禍と再建

記事コピー (asahi = 7-19-19 〜 8-22-19)


除草剤で枯れないイネ、原因の遺伝子発見 埼玉大など

国内で使われている主要なイネ用の除草剤が、家畜の飼料用のイネの一部を枯らしてしまう問題があり、埼玉大などの研究チームが、ある遺伝子を働かせることで枯れないようにできることを発見した。 除草剤に強いイネを品種改良でつくりやすくなることが期待される。 論文は米科学誌サイエンスに掲載された。 「トリケトン系」と呼ばれる除草剤は雑草を減らす一方、コシヒカリなど主要な食用のイネを枯らさないことから、国内の稲作で広く用いられている。 田植えをしたばかりの水田にまくことで、米の収量や品質を高められる。 しかし、家畜の飼料用のイネの一部は、この除草剤で苗が枯れてしまうものがあった。

研究チームは、この除草剤で枯れるイネと、コシヒカリのように枯れないイネの遺伝子を比較。 除草剤への抵抗性に関わる遺伝子を探したところ、除草剤で枯れるイネでは「HIS1」という遺伝子が欠けていることを発見した。 この遺伝子を働かせると、除草剤で枯れなくなったという。 埼玉大の戸沢譲教授(分子生物学)は「新しい品種をつくるとき、除草剤で枯れないイネを計画的につくれる」としている。 論文はサイエンスの サイト で読める。 (今直也、asahi = 8-22-19)


犬猫にマイクロチップ義務化 健康被害を懸念する声も

ペットショップなどで売られる犬や猫に、マイクロチップの装着が義務づけられることになった。 義務化を主導した「自民党どうぶつ愛護議員連盟(会長・鴨下一郎衆院議員)」は、迷子になっても飼い主の元に戻れるようにしたり、遺棄を防いだりするためとしている。 体の中に入れても、健康には問題がないのだろうか。 チップは直径約 2 ミリ、長さ 10 ミリ前後。 注射器に似た器具を使って皮膚の下に入れる。 現状では、獣医師だけが装着できる。

6 月に成立した改正動物愛護法で義務づけられたのは、繁殖業者が出荷・販売する子犬・子猫と、繁殖用の犬猫だ。 3 年以内に詳細な仕組みを定めて、実際に導入が始まる。 繁殖、販売、所有の履歴を管理することも可能になる。 だが動物愛護団体からは、義務化が必要かどうかの検討が不十分で、法改正は拙速だとの批判が出ている。 まず懸念するのは健康被害だ。

公益社団法人「日本動物福祉協会」の町屋奈(ない)・獣医師調査員は「皮膚に針を突き刺すので痛みを伴うことはある」と説明する。 挿入後については、「犬猫の皮下組織の多くは脂肪なので、痛みはほとんどないと考えていい。」 義務化を要望した日本獣医師会は取材に、「動物への障害はほとんどない」と説明し、環境省は「副作用はほとんど報告されていない」とする。

だが、NPO 法人「動物実験の廃止を求める会」の和崎聖子事務局長によると、2016 年に犬への装着が義務化された英国などで、健康被害が起きることがあると報告されているという。 英国小動物獣医師会はホームページで、体内でチップが移動する可能性について言及しているほか、「まれにチップに反応して炎症を起こすことがある」と記している。 「MRI 検査に影響が出る」と指摘するのは、日本獣医画像診断学会検定医で新潟動物画像診断センター代表の坂大(ばんだい)智洋獣医師。 MRI は電波と強い磁場を利用して画像を得るため、金属素材が使われているチップの周辺は画像がゆがんでしまうという。

MRI 検査が必要になるのは主に、椎間板(ついかんばん)ヘルニアや脊髄(せきずい)にかかわる疾患だ。 チップは一般的に首の後ろに挿入されるので、装着場所と検査すべき患部が重なるケースが少なくないという。 こうした場合、検査の前にチップを手術で取り出さざるを得なくなる。 通常、手術は十数分程度で終わるが、脂肪の中にチップが埋もれていたり、チップが体内を移動していたりすると、30 分程度かかることがあるという。 坂大氏は「組織をかきわけて探すようなこともあり、動物には負担になる。 画像に影響が出にくいよう、頸部(けいぶ)より胸部寄りの皮下に挿入するのが望ましい。」と話す。

飼い犬を繁殖させすぎて適切に飼育管理ができなくなった栃木県内の男性は昨年秋、動物愛護団体の協力を得て犬 33 匹にチップを入れた。 このうち 3 匹で、チップが体内を移動し、どこにあるかわからなくなったという。 環境省によると、チップはこれまでに犬猫あわせて 200 万匹程度に装着され、登録されている。 これが、義務化によって一気に増える。 昨年 4 月時点で、犬猫の繁殖業者は全国に 1 万 2,235 あり、出荷・販売される子犬・子猫だけで年 50 万匹程度とみられる。 装着の費用は数千 - 1 万円ほどで、チップの情報を管理する日本獣医師会などにも 1 千円程度の登録料を支払うことになる。

制度に「抜け穴」はないのだろうか。 改正法では、繁殖業者の法人名や代表者の名前、住所などの情報登録も義務づけられ、トレーサビリティー(追跡可能性)の確保をはかる。 繁殖能力の衰えた繁殖用の犬猫が捨てられる事態も抑止できると考えられている。 だが、「罰則がないため、正直に情報登録をしない業者も出てくると思う(大手ペットショップチェーン経営者)」との声も。 悪質な繁殖業者が、一度入れたチップを無理やり抜き出してから遺棄するような事態も懸念されている。

チップを巡るトラブルも影を落とす。 今年 1 月、埼玉県内の保護猫カフェが猫 5 匹に装着したチップについて、製造元が書類に記した番号と、読み取り機で読み取った際に表示される番号が異なる事例が見つかった。 製造元は、番号を印刷する過程でミスがあったと説明する。 情報の登録は書類上の番号にひもづけて行うため、番号が違えば、所有者(繁殖業者や飼い主)を正しく照合できない。 日本動物福祉協会の町屋さんは「義務化にどういうメリットと問題があるのか、きちんと調査、検討する必要があったことは間違いない。 環境省は検討会を立ち上げるなどし、精緻に制度設計をする必要がある」と指摘している。 (太田匡彦、asahi = 8-21-19)


タピオカ輸入量 4 倍に 近畿は 21 倍、回転ずしが貢献?

タピオカ入り飲料の流行を受け、タピオカの輸入量が急増している。 大阪税関の 19 日の発表によると、2019 年 1 - 6 月の全国 5 地域(首都圏、近畿圏、中部圏、東北圏、九州圏)の輸入量は 4,471 トンで、前年の 1,038 トンの 4.3 倍に増えた。 とくに近畿は、633 トンと前年の 30 トンの約 21 倍の伸びで、全国トップだった。 タピオカはキャッサバ芋から作ったでんぷんで、粒状にしたものをミルクティーなどに入れて飲むのが流行中。 主な輸入元はタピオカ飲料が盛んな台湾だ。 日本では過去に同様のブームが数度あったが、今回は数年前に東京など首都圏から火が付いた。

大阪税関の担当者は近畿での輸入の急増について「首都圏からのブームが波及して、大阪・神戸にも扱う店舗が増え、神戸港や関西空港経由での輸入が大きく伸び始めた」と説明している。 昨年から、大阪市内の中心部にタピオカを扱う飲食店ができたほか、コンビニやスーパーでの取り扱いも目立つようになった。 さらに今年に入って大阪に本社を置く回転ずしチェーンがメニューに加えるなど本格的に増え始めた。 これに伴って近畿での輸入が急増。 今年 1 - 4 月の輸入量が昨年 1 年分を上回るほどになったという。 (神山純一、asahi = 8-20-19)

前 報 (6-20-19)


山陽新幹線、15 日は運転見合わせ 台風に備え計画運休

大型の台風 10 号の接近に伴い、山陽新幹線は 15 日、新大阪 - 小倉間で始発から終日運転を見合わせる。 JR 西日本が 14 日発表した。 台風に備え、あらかじめ運行中止を決める「計画運休」の取り組み。 小倉 - 博多間は 15 日、1 時間に 1 本程度の運転を行うという。 岡山、広島、山口各県の在来線についても 15 日は終日運転を取りやめる。 関西線(亀山 - 加茂)、湖西線(近江舞子 - 近江塩津)も終日運転を見合わせる可能性があるほか、神戸線や阪和線も 15 日午後から運転が中止になる場合がある。 16 日以降については 15 日午後に発表する予定。

JR 東海によると、東京 - 新大阪間の東海道新幹線も 15 日は 60 本ほど運休する予定だという。 関西の空の便では、14 日は日本航空が伊丹 - 宮崎の全便を含む計 19 便を欠航。 全日空も伊丹 - 宮崎全 14 便の欠航を決めた。 関西空港が拠点のピーチ・アビエーションも宮崎への往復 2 便を欠航にした。 航空会社は欠航便が増える可能性があるとして、最新の運航状況の確認を呼びかけている。 (長谷川健、藤本久格)

15 日の「終戦の日」の催しにも影響が出ている。 宮崎市の宮崎県護国神社では、屋外で予定していた戦没者追悼式典(県遺族連合会など主催)の中止が決まった。 東京の日本武道館で開かれる全国戦没者追悼式への県遺族代表団の参列も取りやめた。 県によると 14 日から 2 泊 3 日で 53 人が参加予定だったが、飛行機が欠航となった。 県遺族連合会の関谷忠会長 (77) は「新天皇を迎えて初めての終戦記念日だったので残念極まりないが、安全を優先し、今回は自宅から追悼の気持ちを表したい」と話した。

太平洋戦争末期に出撃した人間魚雷「回天」の基地があった大津島(山口県周南市)の回天記念館での行事も、島への連絡船が欠航し中止に。 鹿児島県鹿屋市では、旧海軍鹿屋航空基地から飛び立った特攻隊員を慰霊する「終戦記念日の集い」が中止。 大分市では、終戦を告げる玉音放送の後に特攻で出撃した大分海軍航空隊員の慰霊祭が中止になった。

台風の接近に伴い、強風や高波も懸念されている。 放火殺人事件で 35 人が犠牲となった京都アニメーションは 14 日、事件が発生した京都市伏見区の第 1 スタジオ近くにある献花台を一時的に撤去する。 同社のホームページで明らかにした。 期間は 14 日午後 3 時から 16 日午前までで、天候により変更することもあるという。 同社は「献花にお越しくださる皆さまの安全を最優先に対応する」と説明。 献花台は事件直後に設置され、国内外からファンらが訪れて花束や折り鶴などが供えられている。

徳島市の阿波踊りも安全確保が困難になったとして、14、15 両日の演舞場やホールでの公演をすべて中止した。 阿波おどり実行委員会によると、中止は 16 年ぶり。 14 日午前 8 時には、市役所前の演舞場で業者がちょうちんや看板広告、電飾を取り外した。 奈良市の高円山(たかまどやま)で 15 日に行う予定だった「奈良大文字送り火」についても、「奈良大文字保存会」は 14 日、中止を発表した。 春日大社(奈良市)も境内の灯籠に火をともす「中元万灯籠」について、14 日は終了時間を 1 時間繰り上げ、15 5日については中止する。

東日本でも、静岡県伊東市で 14 日に予定されていた「やんもの里花火大会」や、15 日に神奈川県三浦市で開催予定だった「第 2 回三崎・城ケ島花火大会」など、各地の花火大会で中止が決まっている。 (asahi = 8-14-19)


ヤマトが 2 割も値上げして赤字転落した最大の理由

ヤマト運輸

記事コピー (8-12-19)


救急隊員の腰守るパワーアシスト機器、導入 負担 4 割減

腰への負担が大きい救急隊員の作業軽減を目指し、神奈川県海老名市消防本部は腰用の装着型パワーアシスト機器 4 台を 7 月から導入した。 救急隊への導入は県内初という。 消防本部によると、傷病者を救急車で運ぶ救急隊の仕事は、階段で人を運んだり、人を乗せたストレッチャーを持ち上げたりして、腰への負担が大きい。 このため、救急隊員 36 人のうち、腰痛経験者や腰への不安を感じる人が半数以上いるという。

導入したパワーアシスト機器は約 3 キロで、30 秒ほどで装着できる。 腰に巻いたベルトで脳から腰を動かす筋肉に伝わる微弱な信号を捉えて腰の動きを補助する。 最大で約 4 割の負担軽減効果があるという。 また、女性隊員も現在の 2 人から将来的に増加が見込まれ、男性との体力差を補う効果も期待されている。 費用はレンタルで月に 1 台 5 万 2 千円。 装着して活動する山本理紗さん (27) は「腰痛持ちなので、より不安なく活動できる」と歓迎する。 一方で、狭い家屋などでは作業中にパワーアシスト機器がぶつかるなどの課題もあり、消防本部は効果の検証を続けるとしている。 (豊平森、asahi = 8-2-19)


保存料なしで長持ち食品なぜ? パッケージに隠し技あり

夏の行楽シーズン、常温で持ち歩ける紙パックの飲み物は、幼い子ども連れにはとても重宝します。 ところで、普通に置いておけばすぐに腐ってしまいそうな果汁や乳飲料なのに、どうして常温で何カ月も保存できるのでしょう?

「無菌」にこだわった紙パック

常温で長期保存できる飲料などは「ロングライフ製法」で作られています。 無菌状態にした食品を、無菌の環境下で無菌のパッケージに充填します。 もとは、食品を冷やして輸送するチルド物流が発達していなかった時代に、牛乳を遠くに届けるため開発された技術だといいます。

森永乳業によれば、同社では 1979 年にこの製法で作った牛乳やジュースの販売を始めたそうです。 当初、牛乳は冷蔵での販売が義務づけられていましたが、省令が改正され、85 年からは常温での流通も可能になりました。

食べ物が劣化する要因には、大きく分けて、@ 微生物による腐敗や汚染、A 酸素や光などによる化学変化、B 熱や乾燥・吸湿といった物理変化の 3 種類があります。 反対に、これらを排除できれば、食べ物は腐らないしカビも生えない。 しけったり酸化したりして、まずくなることもありません。

ロングライフ製法では、食品を 140 度前後の超高温で数秒間殺菌をして、カビや腐敗、食中毒の原因になる微生物を完全に死滅させます。 容器は紙とプラスチックの間にアルミ箔をはさんだ多層構造になっていて、酸素や光、水蒸気を遮断。 菌もいないし光も酸素も通さないので、保存料を使わずに何カ月も保存できるそうです。

缶詰みたいな「アルミパウチ」 はじまりはあのカレー

食品を長持ちさせることを考えたとき、最強の容器は金属製の缶詰です。 外部からの酸素や光を完全に遮断、加熱殺菌が可能で、水も通しません。 歴史をひもとくと、缶詰が誕生したのは 1,800 年代のはじめ。ナポレオンが賞金をかけて技術を募集し、まず瓶に食品をつめて煮沸する方法が考案されました。 その後、割れやすいビンに代わってブリキ缶に食品をつめる方法が、1810 年にイギリス人によって考案されたのだといいます。

さびて劣化しなければ、缶詰は 50 年、100 年もつとも言われています。 日本でも、約 70 年前の赤飯の缶詰が、腐敗せずに見つかって話題になりました。 一方で、重いし形に自由度がない、といった弱点もあり、戦後に台頭したのがプラスチック(合成樹脂)の技術。 合成樹脂はもともと、金属と比べると酸素や水蒸気などを通しやすいなどの弱点がありましたが、技術が進み、ガラスや金属にひけをとらない容器も誕生してきています。

食品を殺菌する方法には、加熱の他に薬品を使う方法もあります。 また、食品を長持ちさせるために、水素イオン濃度 (pH) や水分の含有量、温度を調整したり、合成保存料を使うこともありますが、日本食品包装協会の石谷孝佑理事長は「日本人は添加物を嫌う傾向がある。 化学的ではなく物理的な方法を中心に食品の保存技術が発展してきました。」と言います。

温めるだけで食べられて常温で保存できるレトルト食品のカレー「ボンカレー(大塚食品)」が発売されたのは 1968 年のこと。 レトルトとは、高温高圧で殺菌をする技術のことで、ロングライフ製法と同様に中身が無菌になるので長持ちします。 発売当初は半透明のパウチだったので、光や酸素の影響を受けてしまい賞味期限は 2 - 3 カ月だったそうですが、翌年、酸素や光を遮断するアルミを間に挟んだアルミパウチが登場。 賞味期限は 2 年に延びました。

容器が脱酸素剤に? 進化するプラスチック

食品をできるだけ日持ちさせるためには、脱酸素剤や乾燥剤を同封したり、パッケージ内に窒素ガスを充填したりする方法もありますが、容器そのものの工夫も続いています。 1970 年代には、酸素を通しにくい合成樹脂素材が開発されて、マヨネーズの容器などに使われはじめます。 そして 90 年代になると、容器そのものが脱酸素剤の働きをするものまで登場します。

パッケージメーカーの東洋製缶は 94 年、外部からの酸素を遮断するだけでなく、内部の酸素を吸収する容器「オキシガードカップ」を開発しました。 脱酸素剤を入れなくてもよく、容器のまま電子レンジにかけられることから、「玄関開けたら 2 分でごはん」のテレビ CM でおなじみの「サトウのごはん(佐藤食品工業)」や、ベビーフードの容器などに採用されています。 同様の「酸素を吸う」技術は、マヨネーズの容器や切り餅の個包装用のフィルムにも採用されているそうです。

実は、ペットボトルも進化しています。 内側にガラスのような薄膜をコーティングして酸素の遮断性を上げたボトルも登場。 ガラス瓶に近い機能があり、ワインボトルなどに採用されてきているそうです。 ただ、たとえ腐敗しなくても、風味や色も食品にとっては大切。 おいしく食べられる期限を表す「賞味期限」は、これらも勘案して決められています。 また、ロングライフ製品といえども、一度開封すると、劣化が始まります。 森永乳業の担当者は「開封後は賞味期限にかかわらず早めにお召し上がりください」と話していました。

常温保存のニーズ、脈々と

森永乳業は今年、常温で約 7 カ月保存できる、ロングライフ製法のとうふを発売しました(宅配専用)。 東日本大震災をきっかけに、冷蔵ではなく常温販売を可能にしようと国にはたらきかけ、実現したといいます。 災害備蓄や共働き・高齢世帯の買い置き需要など、常温保存食品へのニーズは脈々と続いているのだそうです。 (鈴木彩子、asahi = 8-1-19)


毎日「1 クラス分」が消える県 統計分析では見えぬ災禍

「もう選挙にならない。 人がいないんだから。 選挙カーで走ったってね、呼びかけようがない。」 秋田県のほぼ中央に位置する上小阿仁(かみこあに)村で、中田吉穂(よしお)村長 (68) はそう語り始めた。 僅差で当選した今春の選挙について話を振ったら、人が減った話が返ってきた。 確かに、村内をレンタカーで走って話を聞こうとしても、なかなか人に出会わない。 昭和の頃は、村内至る所で子どもが遊んでいた、と村長は言う。 高齢化率が 50% を超えた令和のいま、小中学校が 1 校、保育園も一つ。 日用品を売る商店は 2 店、コンビニは 1 店。 村で生まれた赤ちゃんは昨年 6 人。人口 2,100 人余の村は、1 桁の話題ばかりだ。

こんな風に、じわじわと日本をさいなんでいる。 「静かな災害」だという人もいる。 それが、少子高齢化であり、人口減少である。 最近話題の「老後 2 千万円不足問題」も、突き詰めれば高齢者を支える現役世代のやせ細りが最大の原因だ。 今の日本が直面する最も解決が難しい問題であるにもかかわらず、政治に切迫感はない。 最初に足を向けた秋田県は昨年比で 1.46%、人口が減った。 この人口減少率も含め、千人当たり出生率、高齢化率、平均年齢など数々の指標において 47 都道府県でワースト 1 だ。 最多で 135 万人だった人口は現在 97 万人を切り、県庁のあきた未来戦略課によると、今も 1 日で小学校一クラス分が消えている計算になる。

負の影響は計り知れない。 税収も地価も下がり、商店が消える。 祭事は先細りになり、男鹿名物のナマハゲは担い手と同時に驚かす相手の子どもも減っている。 出生数を短期に増やす妙策はなく、頼みは移住や U ターンだ。 「しかし人間に IC タグを付けるわけにもいかず、実際にどれだけ戻ってきているのかは分かりません」と久米寿(ひとし)・同課課長は言う。 「他の地方と移住者を引っ張り合ってもゼロサムゲームですし。」

「老いる」前提の政策

県内でも特に人口減少に悩む自治体の一つが上小阿仁村だ。 第 2 子以降が生まれた世帯に 50 万円を配布したが効果は薄かった。 毎年約 50 人ずつ、村民が消えている。 いま中田村長が計画するのは、買い物弱者向けの移動販売所だという。 村では、高齢ドライバーが銀行の玄関やコンビニのゴミ箱に突っ込む事故が相次いだ。 人口が減り、住人が老いることを前提に政策を練るしかない。 それは、これからの日本の縮図である。 村で最も住民が少ない集落を訪ね、車のすれ違えないような山道を 30 分走った。 庭に殺虫剤をまいている 92 歳の独居男性がいた。

「年とって、もう町さ出てもどうにもならん。 日本中で子どもはいねぐなって、年寄りだけ残って。消えていくしかないのかね。」 日本の隅々に、この男性のように地に根を生やして生きる人々がいる。 人口を統計で分析するだけでは、決して見えない。 少子高齢化と人口減少を考える時の難しさはおそらく、ここにある。 音を立てず、目にも見えにくい。 そんな災禍の現場を歩く。 (編集委員・真鍋弘樹、asahi = 7-27-19)

◇ ◇ ◇

人口 43 万人減、過去最大 少子化進み 10 年連続

総務省が 10 日発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、今年 1 月 1 日時点の国内の日本人は 1 億 2,477 万 6,364 人で、前年から過去最大の 43 万 3,239 人減少した。 マイナスは 10 年連続。 昨年 1 年間の出生数が最少だったのが大きく影響した。 都道府県別で伸びたのは東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)と沖縄のみ。 外国人は 16 万 9,543 人増の 266 万 7,199 人だった。 人口が減る中、居住地が東京圏に偏る構図で、少子化対策と一極集中の是正が求められる。 名古屋圏(岐阜、愛知、三重)と関西圏(京都、大阪、兵庫、奈良)の落ち込みが大きかった。 (kyodo = 7-10-19)


スプレーから直塗りへ 制汗剤、変わる勢力図

まもなく夏本番。 薄着になる機会も増え、気になるのが汗による染みや臭いだ。 汗への対策は、これまで「制汗スプレー」を一吹きするのが定番だったが、最近は「直(じか)塗り」の商品に人気がシフトしているという。 その理由とは。 調査会社のインテージによると、制汗剤の市場はその年の天候に左右されるものの、毎年 400 億円前後と安定している。 ただ、シェアの内訳は大きく変わってきており、制汗成分を染み込ませた布で汗を拭き取るシートタイプが 2018 年度、長らく首位だったパウダースプレーを上回った。

円筒状の容器にピンポン球のようなボールを取り付け、これに制汗成分の液体を含ませて塗る「ロールオン」というタイプも年々伸びており、固形のスティックタイプもあわせた「直塗り」タイプは 09 年度には 4 割だったが、18 年度には 6 割を占めるまでになった。 直塗りが増えている理由を同社に聞くと、「容器が小型で持ち運びしやすく、いつでもどこでも使えるのが受けている(担当者)」とのこと。 臭いで周囲を不快にさせる「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉が定着するなど自分の臭いを気にする人が増え、気になった時にすぐ使える携帯性が重視されているというのだ。

実際、大手のマンダムが制汗剤を使う男性約 1,400 人に聞いた調査では、7 割が持ち歩いて使うことがあると回答。 結果、粉をガスで飛ばすため、容器が大きくなりがちなスプレータイプはシェアを落としたということらしい。 制汗剤以外に、汗を直接吸い取るパッドや下着も売れている。 小林製薬の「Riff あせワキパット」は衣類のわきの部分に貼って使う。 グンゼの汗染みを防ぐ T シャツ専用の下着も欠品が出るほどの人気だ。 (米谷陽一、asahi = 7-22-19)

メモ : ロート製薬の「デオコ 薬用デオドラントロールオン(想定価格税込み 972 円)」は、女性をターゲットにした直塗りタイプの制汗剤。 加齢臭を抑える成分や、年齢と共に減るという「甘い香り」が補えるといい、男性にもよく売れているという。


「無添加問題」パン業界に衝撃 不誠実か、企業努力か

「乳化剤不使用」と表示されたパンに、実は乳化剤と同じ成分が入っている - -。 業界大手の山崎製パンによる他社製品の分析結果が、議論を呼んでいます。 添加物表示を見直すための政府の検討会でも、「無添加」、「不使用」を強調する表示の是非が論点の一つに。 表示はどうあるべきか、検討会の委員でもある識者 2 人に聞きました。

誤認与える恐れも 消費生活コンサルタントの森田満樹さん

乳化剤と同じ成分が入っているのに「乳化剤不使用」と書くのはおかしい、とする今回の山崎製パンの主張は、よく理解できます。 消費者は、「不使用」と強調されているのに、まさか同じ成分が入っているとは思わないでしょう。 誤認を与えるキャッチコピーで商品を売ろうとするのは不誠実に見えます。 裏面の法定表示を見れば添加物使用の有無は分かるのだから、こうした表示は不要だと思います。

それに、「不使用」を強調すると、逆に、その添加物に安全面で問題があるかのようなイメージを広げることになりかねません。 乳化剤以外の添加物は使っているのに、そこから消費者の目を背けさせることにもなるのではないでしょうか。 そもそも、その場で食べるパンならともかく、工場で作って小売店に流通させ、消費者が購入して食べるまで、何らかの方法で日持ちさせなければなりません。 添加物を完全に否定すると現代の食生活は成り立たなくなりますし、それは業者自身の首を絞めることになると気づいてほしいです。

また、今回はパンの例でしたが、そもそも保存料が不要な冷凍食品に「保存料不使用」などと強調する表示も見かけます。 食品全体の不使用・無添加などの強調表示について、見直す機会にするべきではないでしょうか。

知る権利に応える 主婦連合会会長の有田芳子さん

今回の「乳化剤不使用」表示については、添加物をなるべくとりたくないという消費者の思いに応える、企業努力の一つだと思います。 「安全が認められている物質なのに、『不使用』を強調することで逆に乳化剤が不安視される」というのが山崎製パンの主張ですが、私も乳化剤の安全性を問題としているわけではありません。 食品に使われている物質ですから、安全であることは大前提です。 むしろ、消費者の「知る権利」の問題だと思っています。 自分が食べるものに何が含まれていて、何が含まれていないのかを知りたいと考えるのは自然なことです。

表示は、消費者の主体的な商品選択を助けるもの。裏面の法定表示を見れば食品添加物としての乳化剤を使っていないことは分かります。 今回の場合でいうなら、本来は「『食品添加物』としての乳化剤は使用していませんが、加工過程で同様の成分を生成しています」というのが正確ですよね。 であれば、添加物扱いでなくても、添加物の役割をもたせるなら「卵黄油脂(乳化用途)」など用途まで書くよう定めるべきではないかと思いますし、そういう主張なら理解できます。 法定表示以外の「不使用」の強調表示に目くじらを立てるよりも、法定表示のなかで用途や物質名まで分かる表示にしてほしいです。

添加物、根強い消費者の不安 国は「安全性は十分確保」

加工食品には原則、使用したすべての食品添加物を表示しなければならないと、食品表示法は定めている。 一方、添加物について「使っていない」と強調する表示に規制はない。 添加物の使用は、食品衛生法で規制され、法律で認められたものしか使えない。 主に「指定添加物」と「既存添加物」があり、今年 3 月時点で 820 品目が認められている。 長年使われてきた「既存添加物」は、厚生労働省が安全を確認。 「指定添加物」については、現在、食品安全委員会が一つ一つ安全性評価をし、人が毎日一生食べ続けても健康に影響がない量 (ADI) を定めている。 このほか、天然香料なども広義では添加物にあたる。

さらに、厚労省は実際に市場から仕入れた食品中の添加物の種類と量を分析。 これに実際に食べている量を掛け合わせて推計したところ、実際の摂取量も ADI を大きく下回っていた。 複数の添加物を摂取することで、相互に作用して健康に影響を及ぼさないのか。 2006 年度に食品安全委が調査し、「複合的な影響が出ている事例は見いだされず、安全性が十分に確保されている」としている。

ただ、添加物への消費者の不安は根強い。 消費者庁による 18 年のアンケートで、「『無添加』の表示がある食品を購入している」と答えた人が半数を超え、うち 7 割以上が「安全で健康によさそうなため」を理由にした。 添加物に「発がん性があるから」、「体によくないイメージがあるから」と答えた人もいた。 (小林未来、asahi = 7-8-19)

山崎製パンの分析結果〉 「乳化剤不使用」と表示された他社 3 社の 3 製品について山崎製パンが分析したところ、乳化剤と同様の成分が検出されたと 3 月に公表した。 乳化剤は、水と油を混ぜ、パンを長く柔らかく保つなどの役割がある。 乳化剤をそのまま添加する代わりに、食品扱いとなる卵黄油などを使って乳化剤と同様の成分を製品中に生成する製法があり、山崎製パンは、3 製品についてこうした代替製法を使っていると推測。 「表示義務を回避する製法」と指摘し、「乳化剤不使用を強調するのは、乳化剤が安全面や健康面で不安があると誤認させる恐れのある不適切な表示で、直ちに取りやめるべきだ」と主張している。


ヘビーユーザーが多くてブランド力が高いのはセブン? ファミマ? ローソン?

コンビニ業界はセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンの 3 強体制が確立した。 それでは、ヘビーユーザーが多くて、ブランド力の高いチェーンはどこなのか? 調査会社のニールセンが 6 月 14 日に発表した調査結果から分析してみよう。

2019 年版「ニールセン ショッパートレンド調査」は、小売りチェーンのブランド力を「ストア・エクイティ・インデックス (SEI)」という指標で捉え、競合チェーン間の比較を行ったものだ。 大手 3 社の SEI を比較すると、セブンが 4.5、ローソンは 2.2、ファミマは 1.9 という結果になった。 ニールセンは SEI が 3 以上あると「ブランド力が高い」としている。 ローソンとファミマの SEI は「普通〜やや強い」にとどまった。

セブンには際立って多くのヘビーユーザーがいることも明らかになった。 ヘビーユーザーを表す「推奨」、「好意 1 番目」、「最頻来店者」の割合が、セブンはファミマとローソンの倍以上という結果となった。 これは、何度も来店したり、「セブンの●●の商品がおいしかったよ」と周囲に推奨する客がセブンには多いことを示している。 セブンの PB (プライベート・ブランド)である「セブンプレミアム」の商品力の高さには定評がある。 例えば、カップ麺の「蒙古タンメン中本」や冷凍カップチャーハン「炒め油香るチャーハン」などは大きな話題となった。 本調査は、こういったセブンの強さを改めて裏付けたといえよう。

では、ブランド力に貢献するのはどのような要素なのだろうか。 ニールセンの調査では、貢献度が高い順に「お弁当や飲み物の品質が高い」、「取り扱っている食料品や日用雑貨商品が価格の割に品質が良い」、「高品質の商品/プレミアムブランドを取り扱っている」、「お買い物をするのが楽しい/売り場を回るのが楽しい」という項目が並んだ。 一方、あまりブランド力に貢献しない要素としては「駐車しやすい」、「レジで並んだり待ったりしなくてよい」、「売り場が清潔で衛生的である」、「商品陳列がうまい」などが挙げられた。

最もブランド力に貢献しない要素は「営業時間が長い(早朝や深夜に営業している)」だった。 調査に関わった流通サービス事業部の桂幸一郎事業部長は「逆に言えば営業時間を短くしてもブランド力には特に影響がないということです」とコメントした。 この調査は 2018 年 11 月 27 日 - 12 月 13 日にかけて、18 - 65 歳の男女を対象に行われた。 インターネット上で、5,253 人が回答した。 (昆清徳、ITmedia =7-6-19)


政権批判「干される」 2 社参加断った映画「新聞記者」

内閣官房と女性記者の攻防をハードに描いた映画「新聞記者」が 143 館で公開され、「アラジン」や「スパイダーマン」とともに興行収入ランキングでトップ 10 入りした。 現実の政治問題を想起させる内容だ。 製作過程と、日本では久しく本格的な政治エンターテインメント映画が作られなかった背景を取材した。 配給会社によると、「新聞記者」は先月 28 日の公開から 3 日間で約 4 万 9,800 人を集め、興行収入 6,232 万円を上げた。 都市部では満席の館もあったという。

映画の粗筋はこうだ。 東都新聞に「大学の新設」に関する秘密文書が匿名で届き、吉岡(シム・ウンギョン)が取材を始める。 もう 1 人の主人公、内閣情報調査室の杉原(松坂桃李)は反政府的な人物のスキャンダル作りをしている。 ある日、杉原が慕う先輩官僚が自殺。 彼は「大学の新設」に関わっていた。

「民主主義は形だけ」脚本に足した

企画から手がけた河村光庸プロデューサーは「かぞくのくに」、「あゝ、荒野」などの話題作を送り出してきた。 2017 年、東京新聞の望月衣塑子記者の新書『新聞記者』を読み、映画製作を決意した。 河村さんは言う。 「政治に無関心な若い人が増えている。 民主主義の放棄だ。 多くの人に見てもらうため、政治をエンターテインメントにした。 原案の望月さんの本から政権と記者の関係などの主題を得たが、物語はオリジナル。」 前川喜平・元文部科学事務次官の「出会い系バー」報道や伊藤詩織さんの性被害告発、そして加計学園問題を思わせる事件が次々登場する。

監督には 1986 年生まれの藤井道人を起用した。 「若い人と同じ目線で撮った方がいい。 彼自身、新聞を読まない政治無関心層で最初は躊躇していたが、とても勉強してくれた。」 河村さんの発案で、ある官僚役に脚本にはなかった「この国の民主主義は形だけでいいんだ」というセリフを付け足した。 「今の日本の最大の問題がこの言葉に凝縮されていると思った。」 この映画、「政治の話題を嫌うテレビは、なかなか紹介してくれない」と嘆く。 「(政権に批判的な映画に関わると)『干される』と、二つのプロダクションに断られた」とも明かした。

政治扱う映画、少ない事情

現在の日本では、「客が来ない」との理由で政治を扱った劇映画はめったに作られない。 一方、米国ではスティーブン・スピルバーグ、ロブ・ライナーら商業映画のヒットメーカーが政治的な映画で、毎年アカデミー賞をにぎわせる。 俳優の石田純一さんは「米国には(チェイニー元副大統領を批判的に描いた)『バイス』のような現実の政治家を扱った映画があるが、今の日本には政治を語る風土がない」と憂う。 「政治的な色がつくことをよしとしない芸能人仲間からも攻撃される。 そんななか、内閣情報調査室の不気味さを描いた『新聞記者』が作られ、人気俳優が出演しているのはうれしい。」

韓国でも「タクシー運転手」や「1987、ある闘いの真実」など実際の事件を描いた映画が多い。 在韓の映画プロデューサー土田真樹さんは「90 年代までの韓国国民の望みは南北統一ではなく民主化だった」と話す。 「民主化をテーマにした映画も多く、政治 = 闘争、政治家 = 悪だった。 この構造は現在も変わらない。 政治を扱う映画はエンターテインメントとしてヒットしている。」という。

黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る」、山本薩夫監督の「金環蝕(きんかんしょく)」、「不毛地帯」など、日本でも 70 年代までは政治を扱った娯楽作を大手が配給した。 映画監督で評論家の樋口尚文さんは「高度成長期まで勢いのあった左翼の勢力が衰え、社会派娯楽映画も消えた」と分析する。 樋口さんは言う。 「山本作品ではマスコミが政権と対峙する構図が勧善懲悪な娯楽色につながり、大衆の支持を得た。 しかし、マスコミの政権への忖度が取りざたされ、往年のヒロイックな権力批判の物語はうそっぽくなった。 『新聞記者』も痛快さでなく、閉塞感が全編に漂っていた。」

若者の政治的関心が薄いから、政治エンターテインメントが作られないのか。 あるいは因果関係が逆なのか。 いずれにせよ、「新聞記者」のヒットが、日本映画の変化の第一歩になるに違いない。 (編集委員・石飛徳樹、asahi = 7-3-19)


スーツ着なくても OK 三井住友銀、本店の営業部門以外

三井住友銀行は 7 月から、スーツ着用を原則としていた服装規定をなくす試みを始める。 本店の営業部門以外の行員約 3,500 人が対象で、8 月末まで行う。 反応を見極めた上で、営業部門や各支店なども含めた通年での導入を検討する。 固定概念にとらわれず、柔軟なアイデアを生みやすい職場づくりを進めたい考えだ。

対象は、人事や企画など顧客と直接対面しない本店の行員で、従業員全体の約 10% 程度という。 経営陣や管理職には積極的な取り組みを奨励する。 夏季の試行後、9 月以降に行内でアンケートなどを実施し、本格的に導入するかどうかを決める。 メガバンクでは三菱 UFJ フィナンシャル・グループが 5 月から、通年でノーネクタイを認めるようになっている。 (鈴木友里子、asahi = 6-26-19)


食べた皿、カメラで自動計算 スシローが人手不足対策

回転ずしチェーンあきんどスシローが、店員が皿を数えなくても自動的に勘定を計算するしくみを導入する。 アルバイト不足への対応のため、新しい技術を採り入れて省力化を図る。 26 日にリニューアルオープンする伊丹荒牧店(兵庫県伊丹市)。 すしが回るレーンの上部に取り付けたカメラで客が取った皿を識別し、会計を自動計算する。 食事後は、レジに直行できる。 これまでは、金額の異なる皿の数を数えて金額をはじく店員を待たなければならなかった。

この店には、集合住宅の宅配ボックスに似たロッカーも設置された。 あらかじめインターネットで注文したテイクアウト商品を、メールで送られてきた QR コードをかざせば受け取ることができるしくみだ。 支払いは、注文時にカード決済する。 人手不足が深刻で、飲食業界では、アルバイトの確保が難しくなっている。 外国人を雇う企業も増えているが、仕事を教える負担もある。 あきんどスシローは、こうしたシステムの導入によって、業務量を、のべ労働時間ベースで 2 割ほど減らす狙いがある。

スシローは今後、店員の負担がどの程度軽減されるかをみながら、ほかの店舗にも広げていく考えだ。 親会社、スシローグローバルホールディングスの新居耕平取締役は、「待ち時間の短縮で客のストレスも軽減される。 他店で試験導入したロッカーは、若者に人気だ。」と話す。 (橋本拓樹、asahi = 6-25-19)