死角に隠れた物体、可視化に成功 デジカメで「影」撮影

壁の向こう側に隠れた物体の「影」をデジタルカメラで撮影し、もとの物体の色や形を再現する技術を米ボストン大の研究チームが開発した。 交差点の死角から飛び出してくる車や人を事前に察知する技術の開発などに役立つと期待される。 自動運転車の安全性の向上などにつながる一方、戦場で隠れた敵を発見するなど軍事目的にも応用できるという。

死角にある物体を可視化する技術はこれまで、高性能なレーザーや検出器が必要だったが、研究チームは市販されているデジカメで再現することに成功した。 ホワイトボードの前に液晶モニターを約 1 メートル離して置き、モニターの画像がうっすらと影のようにボード上に映るようにした。

モニターとボードの間に置いた障害物を動かし、ボードに投影された画像をその都度、デジカメで撮影する。 影が変化する様子から物体の色や形を推測するコンピュータープログラムをつくった。 障害物は、モニターの光が拡散されすぎるのを防ぐように働くという。 (杉本崇、asahi = 2-17-19)

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無口だけど働き者 調剤薬局で作業ロボが効率化

薬剤師の代わりに薬を処方してくれるロボット 9 台が 13 日、ドラッグストアのトモズに登場した。 薬剤師の作業負担が 2 割ほど減ると期待されている。 1 年半ほど試し、効率が高ければ導入店を増やすという。 千葉県松戸市の松戸新田店に機能別のロボット 7 種が試験導入された。 病院が出した処方箋データを入れると、棚から薬を選んだり、複数の薬を一つの袋にまとめたりする。 手足はないが、数分で作業を終える速さと正確さが売りという。

現場の薬剤師は大歓迎だ。 高齢の患者に 10 種類超の薬を処方することもあり、「朝昼晩に種類も量も変えて小分けして、2 カ月分なら 180 包。 1 種類ずつプチプチ出して指を切ることもある。 大変助かる。」と同店の福井陽子さんは喜ぶ。 トモズの親会社、住友商事の小室伊都子さんは「受け持つ処方作業を減らすことで、患者と向き合う時間を増やし、かかりつけ薬局としての機能強化につなげたい」と意気込む。 (鳴澤大、asahi = 2-13-19)


世紀の発明「フラッシュメモリーを作った日本人」の無念と栄光

舛岡富士雄さん

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トヨタとパナ、EV 用電池を共同生産へ 20 年に新会社

トヨタ自動車とパナソニックが、電気自動車 (EV) 向けの車載用電池をつくる新会社を 2020 年に設立することが分かった。 環境規制の高まりで EV 市場は拡大する見通しで、コスト競争力を高めて海外勢に対抗する。

両社は 17 年 12 月に協業検討を発表しており、新会社はその一環。 トヨタが 51%、パナソニックが 49% 出資する方向。 パナソニックの車載用電池工場は、主に米 EV 大手テスラ向け以外の生産拠点を新会社に移す。 EV の技術開発でトヨタと協力関係にあるマツダやスバルにも電池を供給し、生産コストを下げる。 全固体電池など高性能の次世代電池も開発するとみられる。 (竹山栄太郎、asahi = 1-20-19)


日本電産が減収減益予想に下方修正、会長「見たことない落ち込み」

[東京] 日本電産は 17 日、2019 年 3 月期の業績予想を下方修正すると発表した。 米中貿易摩擦による実体経済へのマイナスの影響で、想定を上回る客先の需要減に加え、大規模な在庫調整が進行していることを反映させた。 増収増益予想は一転、減収減益予想となる。 会見した永守重信会長は「長い経営の経験の中で、12 月は見たことがない落ち込みがあった」と説明。 「11 月と 12 月の変化は尋常ではない。 この変化を甘く見てはいけないと考え、(下方修正を)発表した」と語った。

「一番変化の大きかった 12 月を基準にして予想数字をつくった」という。 売上高予想は前年比 2.5% 減の 1 兆 4,500 億円(従来予想は同 7.5% 増の 1 兆 6,000 億円)に下方修正した。 この減収が営業利益を 400 億円押し下げる見通し。 このため、下期に 240 億円の構造改革費用を計上し、工場統廃合による設備の減損や旧式在庫の早期廃却、M & A (合併・買収)費用の計上などを進めることを決めた。

一方、購入品コストの低減や支出の抑制で 140 億円の増益を見込んでいる。 これらの増減要因を加味した結果、営業利益予想は前年比 13.0% 減の 1,450 億円(従来予想は同 16.9% 増の 1,950 億円)に、最終利益予想は同 14.3% 減の 1,120 億円(従来予想は同 12.4% 増の 1,470 億円)に、それぞれ引き下げた。 (Reuters = 1-17-19)


ホンダ、リハビリ用の歩行訓練機器「歩行アシスト」 FDA 認証取得 米国で販売可能に

本田技研工業(ホンダ)は、同社の歩行リハビリテーション向け外骨格パワードスーツ「Honda 歩行アシスト」が、米食品医薬品局 (FDA) から市販前届出「Premarket Notification」認証を取得できたと発表した。 Honda 歩行アシストは、脳梗塞などの影響でスムーズな歩行ができない状態の人に装着してもらい、歩く動きを補助してリハビリを支援する歩行訓練機器。 利用者が腰と大腿(だいたい)部に取り付けて歩くと、角度センサが股関節の動きを検出し、モーターで足の動きを助け、効率的で左右のバランスがよい歩行へつなげる。 こうして歩行訓練を実施すると、神経筋の回復が促進されるという。

ホンダは 1999 年に歩行アシストの研究を開始し、日本では 2015 年 11 月より歩行訓練機器として法人向けリース販売をしている。 現在、約 250 の施設で利用されているそうだ。 今回 FDA 認証を取得したことで、米国でも Honda 歩行アシストを医療機器として販売することが可能になった。 なお、欧州では 2018 年 1 月に医療機器指令「Medical Device Directive (MDD)/CE Marking」認定済み。 (佐藤信彦、Cnet = 1-15-19)


「8K はニッチ、あまり意味ない」パナ社長がバッサリ

8K テレビはやりません - -。 パナソニックの津賀一宏社長が 8 日(日本時間 9 日)、米ラスベガスで開催中の家電・技術見本市「CES」会場で朝日新聞などのインタビューに応じ、8K テレビは「ニッチなマーケット(市場)」だとして、発売を否定した。

8K は一般的なテレビ放送であるフルハイビジョン (2K) の 16 倍の画素数があり、臨場感ある画像が特徴だ。 シャープが成長戦略の柱と位置づけ、ソニーが今回の CES で参入を打ち出した。 韓国や中国のメーカーも、会場で 8K の新商品を PR している。 津賀氏は「放送のソース(番組)が非常に限られている。 それだけでは勝負できない。 (テレビを出しても)あまり意味はないでしょ。」と語った。 日本では NHK が昨年 12 月に世界初の 8K 実用放送を始めたが、普及には時間がかかるとみている。 (ラスベガス = 米谷陽一、asahi = 1-9-19)

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新 4K・8K 放送が開始となった 2018 年、薄型テレビは何が売れ筋だった!?

2018 年 12 月 1 日午前 10 時にスタートした、高画質・高音質の新 4K8K 衛星放送(BS/110 度 CS 4K8K 放送)。 開始時点で、BS 右旋が 5 チャンネル、BS 左旋が 4 チャンネル、110 度 CS が 8 チャンネルで、コンテンツの充実は「これから」というところだが、「薄型テレビを買い替えよう」と意識した人は多いのではないだろうか。

では、2018 年に売れた薄型テレビは何か。 全国の家電量販店や EC ショップから POS データを集計する「BCN ランキング」で、18 年 1 月 1 日から 12 月 24 日までのデータを集計して紹介したい。 なお、売れたのは必ずしも新 4K8K 放送に対応しているわけではないが、新規格に対応したチューナーを購入すれば未対応でも視聴が可能ということで、購入する際の参考にしてもらえればと思う。

「BCN ランキング」によれば、機種別販売台数でトップシェアだったのはシャープの「AQUOS LC-32S5」。 17 年 9 月に発売となり、根強い人気を博している。 視聴したい番組や録画したい番組を簡単に検索できるほか、裏番組録画が可能なデジタル 2 チューナーの搭載など、使いやすさにこだわっており、しかも平均単価が 3 万 5,000 円台と手頃であることも購入促進につながったといえる。

なお、シャープは上位 10 機種のうち、2 位と 4 位、7 位、8 位、9 位にも「AQUOS」シリーズがランクインしている。 3 位は、東芝の「REGZA 32V31」。 デジタル放送の中で目立ちやすいブロックノイズやモスキートノイズの低減、前面のスピーカー配置によるパワフルな音質、3 チューナー W 録などが売りだ。

5 位は、Hisense 製の 32 型テレビ「HJ32K3120」だ。 「直下型 LED バックライト」光源の液晶パネルによって、明暗部による色ムラの少ない、発色豊かな映像を実現。 薄型スピーカーの倍音再生と低音域のデータ補完を施す「スーパーバス」機能も搭載している。 平均単価が 2 万 6,000 円台と、3 万円を切っているのもニーズを集めたといえるだろう。 ほかには、6 位にパナソニックの「VIERA TH-32E300」、10 位にソニーの「BRAVIA KJ-32W500E」がランクインしている。

メーカー別販売台数シェアを見ると、売れ筋の機種が多いということで 1 月 1 日から 12 月 24 日時点で、シャープがトップを獲得、次いでパナソニック、ソニー、東芝、Hisense と続く。 19 年も、メーカーのシェア争いが激しさを増しそうだが、中核製品が上位 10 機種に入ればメーカー別販売台数シェアで上位を獲得できるという構図。 各メーカーがユーザーニーズにマッチした価値ある製品を市場に投入することに期待したい。 (佐相彰彦、BCN+R = 1-6-19)

*「BCN ランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している POS データベースで、日本の店頭市場の約 4 割(パソコンの場合)をカバーしています。


衣類自動たたみロボ「Foldinate」が CES でデモ

約 11 万円で年内発売目指し開発中

われわれ日本人が自動洗濯物たたみロボットと聞いて真っ先に思い出すのは、おそらく日本のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが開発し、発表時にはテレビ報道などもされた「Laundroid」。 しかし 2016 年にはもうひとつ、衣類を自動で折りたたむマシンが開発されていました。 Foldimate と呼ばれるそのロボットは、20 着の衣類を一気に折りたためるというふれこみで一時話題となったことがあります。 ただ、YouTube に公開していた Foldimate のデモンストレーションはフェイクだったとされ、その後ほどなくしてプロジェクトは消え去ってしまったようでした。

しかしその Foldimate が、米ラスベガスで 1 月 8 日に開幕する家電見本市 CES 2019 に再びその姿を現しました。 しかも今度はちゃんと動作するプロトタイプを携えての登場です。 新しい Foldimate をわかりやすく形容するならば "オフィスに設置される大型のプリンター" といったところ。

本体前面には衣類を乗せるトレイがあり、そこから Foldimate に 1 着 1 着衣類が引き込まれては折りたたまれて出てくる仕掛けになっています。 CES のデモ機が折りたためるのはあまり複雑でない形状のトップスおよびボトムスに限られ、シーツなどあまりに大きなものや、靴下といった小さなもの、厚手すぎるものなどはうまく折りたためない模様です。

さて、ライバルに比べると充分に小さいとはいえ、この大きさの機械となると、自宅に置く場合はその場所を用意する必要性は出てきそうです。 具体的には大型の洗濯機を置くのと同等のスペースが必要になりそうです。 一方で、コインランドリーやホテルのランドリールームに設置する分には大きな問題はなさそう。 コインランドリーで回収した衣類を袋やカゴに押し込んで持ち帰っている人は、このロボットがあれば家に着いてからシワを伸ばしてたたみ直す必要もなくなり、その分の時間を他に回せるようになるかもしれません。

実際のところ、Foldimate はそれでも自家用としての販売を想定していると語ります。 毎日洗濯物と格闘し続ける主婦もしくは主夫もしくは共働きのご夫婦にとって、このロボットは力強い味方となるはずです。 しかし、ある企業の広報によれば、この手のロボットはやはりコインランドリー業者などからの問い合わせがあるとのこと。 CES の時点ではあくまでデモ用のプロトタイプですが、Foldimate は 2019 年内の出荷を目指しているとのこと。 概算価格は 980 ドル(約 10 万 6,000 円)前後とのことなので、だいたい大きめの洗濯機を買うぐらいと想定しておけば、今から予算の準備もできそうです。

ちなみに、日本の Laundroid のほうも 2018 年内の発売を目指していたはず。 価格や大きさ的にわれわれ庶民には手が届きにくいロボットではあるものの、そろそろ何らかの動きがあってほしいところです。 (Munenori Taniguchi、Engadget = 1-7-19)


年収 2,000 万円! 謎めいた「キーエンス」の実態

「40 代で墓が建つ」ほど理不尽な激務なのか

平均年齢 35.9 歳、平均年間給与 2,088 万円。 大阪に本社を置くキーエンスの有価証券報告書(2018 年 3 月期)にはほかの企業ではめったに見られない高収入が記されている。 東洋経済オンラインの各種年収ランキングでもつねに上位に位置し、製造業では断トツの高収入だ。 高収入は激務の裏返しではないか - -。 インターネット上などではブラック企業とのうわさも流れる。 同社評の 1 つが、「20 代で 1,000 万円超え、30 代で家が建ち、40 代で墓が建つ。」 平均勤続年数が 12.2 年とそれほど長くないことから、稼ぐだけ稼いで独立するというイメージもある。

こうした見方に対し、キーエンスの経営情報室長の木村圭一取締役は「厳しい働き方を求めているわけではないし、若手の裁量度がとても高い会社だ」と語る。 高収入は会社の成長と高収益を社員に還元している結果だという。

営業利益率は脅威の 50% 超え

経済産業省の企業活動基本調査によれば製造業の売上高営業利益率は 4.7% (2016 年度実績)である。 それに対し、キーエンスの 2018 年 3 月期決算は売上高 5,268 億円、営業利益 2,928 億円と営業利益率にして約 55% という驚異的な水準をたたき出した。 成長も継続中。 2008 年 3 月期決算は売上高 2,006 億円、営業利益 1,023 億円だったので、10 年で 3 倍弱の成長を遂げたことになる。

同社が手掛けるのは、FA (ファクトリーオートメーション)にかかわるセンサーや画像処理システムである。 FA とは工場の生産工程を自動化するために導入するシステムのことだ。 生産ラインにおいて正確な製造作業や不良品の排除を行うために、物の位置を精密に測定するセンサーや画像処理技術は FA にとって重要となる。 国内の労働人口減少や新興国の人件費高騰などによって省人化が求められ、FA を必要とする企業は年々増している。 同社の業績が近年目立って好調なのは、良好な外部環境によるところが大きいことは確かだ。

売上高のうち 5 割強が海外。 その内訳は詳細には開示されていないが、「アジア向けが約 4 割、北中南米向けが約 3 割、欧州向けが 2 割(関係者)」という。 国内、海外を問わず、各地域で満遍なく売り上げが立っており、販売地域が分散されていることが同社の安定感につながっている。 とはいえ、これだけで利益率 50% 超は達成できない。 脅威の利益率にはいくつかの要因がある。 自前の工場を持たないファブレス経営を徹底していること。 製品の研究開発と営業に集中して、実際の生産は他社に委託しており、低原価、低コストを実現している。

製品の研究開発力が競争力の源泉との見方も強い。 同社の新製品は 7 割以上が「世界初」か「業界初」。 木村氏は「外部の人から営業力が強さだと指摘されるが、研究開発力が何よりの強み」と話す。

営業は結果ではなくプロセス重視

ただ外部の声として圧倒的に多いのは、「営業ノウハウがすごい(国内証券アナリスト)」という指摘だ。 キーエンスに約 20 年在籍し、現在も機械業界で活躍する OB の A 氏は、「キーエンスの本当の強みは製品開発とその製品を売るときの戦術にある」と明かす。 「『世界最速』など製品のコンセプトがしっかりしているので、製品を説明しやすい。 営業マン個人のメリットも、相手先の導入メリットも開発に組み込まれているので、販売戦略を立てやすい。(A 氏)」新製品の営業のしやすさと商品としての魅力が、営業力の強さにつながる。

営業においても絶えず合理性が問われるという。 A 氏によれば、重要となるのが「施策」という営業計画だ。 「施策」では売上目標を達成するための細かなストーリー作りが求められる。 たとえば製品パンフレットを何冊発注し、誰に対しどのように配布するのかなどを事細かに決めるのだ。

「しっかりと市場の先を読み、正しい戦略・戦術を組み立てられるかが問われる。(A 氏)」 キーエンスではこの「施策」を入社して間もないころから実践し、営業を学んでいくという。 「棚からぼた餅式でたまたま営業成績がよくなっても、計画が甘すぎると評価されない。 なぜ結果がよくなったか説明を求められる。(A 氏)」 結果よりもプロセスをしっかり踏めているかが重視されるという。

そのため「若い人のなかには途方もない空振りをしていると思う人がいるかもしれない」と A 氏は言う。 実際、「営業成績ではなく、チラシの配布枚数や営業先の件数の達成度など細かなものばかり指摘されて意味がわからず辛かった」と明かす元社員もいる。 ただし「施策」を重視するのは、営業も戦略を組み、先読みする力を身につけるため。 キーエンスで長年海外事業に携わった OB の B 氏は、「いかに合理的な営業を常に行えるかを普遍化したような会社」と振り返る。

合理性の追求は営業に限らず、会社組織として浸透しているようだ。 キーエンスは現名誉会長の滝崎武光氏が 1972 年に設立した。 滝崎氏は同社株の 7.7% を持つ大株主だが、オーナー色は思った以上に薄い。 同社の採用サイトには社員の親類縁者は応募できないと明記されている。 実際、役員名簿には滝崎氏の親類縁者は見当たらない。

合理性の塊ともいえる組織で、その点では「フェアな会社(B 氏)」なのだ。 B 氏はかつて、転職が盛んな海外で人材のつなぎ止めができていないと指摘されたことがあった。 この時、B 氏は海外の転職市場のデータを示して反論。 転職が前提の海外に合わせた社員教育や人事制度の確立を提案し、本社を納得させたという。

「上司や役員などの誰が言ったのかではなく、何を言ったのかが重視される。(B 氏)」 根拠に基づいて論理的に説明できれば、新卒 1 年目の社員にも耳を傾ける社風という。 「上司におもねることや派閥を形成するようなことはなく、経営陣を含め上司に対しても基本的にはさん付けで呼び合っていた。(同)」

元社員は転職市場で高い評価

業務の合理性を追求する社員が育つため、転職市場でもキーエンス社員は人気の的だ。 6 年で退社し、現在は自動車メーカーに勤める元社員は「キーエンスに在籍したというだけで、大手製造業数社から誘いをもらった」と転職時を振り返る。 海外でもアメリカを中心に「キーエンスユニバーシティ(大学)」とも評され、人材輩出企業として一目置かれている。

ネット上などでは、キーエンスを辞めた後に起業する例が多いとされるが、「300 人くらいの OB 会で起業者数は指で数えるほどしかいなかった。(A 氏)」 あえて起業するよりも、自らが働きたい会社でキーエンスの経験を生かす人が多いようだ。 ただ、こうした実態はなかなか表に出てこない。 情報開示が極端に少ないからだ。 ノウハウ流出の防止や B to B 事業からくる制約などが理由とされるが、その姿勢が秘密めいた企業イメージにつながっている。 また、同社はこれまで頻繁に決算期変更を行っているが、それも上場企業としては異例の措置といえる。

「もう少し会社の状況や働き方を公開してもいいのに。(OB の 1 人)」 平均年収 2,000 万円超、営業利益率 50% 超は徹底的な合理性の追求の証しだろう。 が、その異様とも言える数字に対する説明がもっとあれば、ひどい噂も立たないはずだ。 (劉彦甫、東洋経済 = 12-28-18)


鴻海・シャープ、中国政府と半導体工場 総額 1 兆円規模

シャープ経営危機

記事コピー (6-22-12 〜 12-21-18)


日本の生産性低下を招いた、2 つの根本的な原因

<特に製造業の生産性が低いのは、高付加価値産業へのシフトに失敗したこと、生産拠点だけでなく研究開発機能も国外に出してしまったことが大きな原因>

ここ数年、日本の生産性を示す統計が出るたびに「G7 の中で最低」だとか、先進国中で「20 位」、長期バカンスを取る「ラテン系」のスペインやイタリアより低い、そんな「自虐的な報道」が恒例になっています。 今年も 12 月 19 日に日本生産性本部が統計を公表しましたが、同じようなニュアンスの報道が多かったようです。

今回は 2017 年のデータが発表されたのですが、日本の「時間あたり生産性」は OECD 加盟国中 20 位、「就業者 1 人当たりの生産性」は 21 位と、確かに惨憺たる状態が続いています。 その原因として対面型コミュニケーションにこだわり、原本主義や捺印などによる膨大な文書の管理をし、会議や行事あるいは謝罪なども含めた「セレモニー過多」といった日本型の事務仕事というカルチャーがある、そんな理解も広まってきました。

また、年功で昇進した管理職の専門スキル不足のために組織にスピード感がないとか、「おもてなし」と言われる過剰サービスが安く買い叩かれている、そんな議論も多くなってきました。 いずれも正しい指摘だと思います。 こうした問題の改革は待ったなしですが、それ以前の問題として、どうして日本の生産性、特に製造業の生産性が低いのかという根本的な 2 つの原因については、誤解が多いようです。

1 つ目の誤解は、80 年代までは高付加価値産業だったエレクトロニクスなどが、価格破壊という時代の波にさらわれて、アジア諸国と比較して価格競争力が下がったというストーリーです。 まるでアジア各国に世界の工場の地位を奪われ、同時に価格破壊でデフレ体質になったのだから日本経済は被害者というような解説ですが、これはおかしな話です。 戦後の日本経済は、自転車や玩具などの軽工業からオートバイ、そして造船や繊維へと産業構造を転換していきました。

そして家電や自動車が主要産業になるにつれて、造船や軽工業といった産業は他のアジア諸国に譲っていったのですが。同じように、80 年代から 90 年代にかけて、自動車や家電が競争力のあるうちに、より高付加価値の宇宙航空、金融、ソフト、バイオ、製薬、エネルギーなどの産業へのシフトを開始すべきでした。

ですが、そうした産業構造のシフトは遅れてしまいました。 資金不足ということもありますが、教育や人事制度などが中進国型であったことが、大きく足を引っ張ったのです。 その結果として、日本経済全体としては競争力を喪失していったのです。 アジア諸国の価格破壊に敗北したのではなく、より高付加価値な経済への脱皮に失敗したのです。 バブル崩壊はその結果であり、原因ではありません。

2 つ目の誤解は、現在、日本の多国籍企業の多くは史上空前の利益を上げている。 それにもかかわらずそのカネが日本国内に還流しないのは、各企業が「ケチ」であり、賃上げや設備投資を怠っているからだという批判的な解説です。

多国籍企業の多くが空前の利益を上げているのは事実ですが、ではその利益はどこから来るのかというと海外市場からです。 例えば、自動車産業の場合は、北米が稼ぎ頭ですが、昔のように大量の完成車輸出はしていません。 商品企画や技術開発、デザインなども海外、生産はもちろん海外、部品も多くは海外となっており、売り上げも利益も海外で発生します。

もちろん日本企業の場合は決算をすると、そうした海外子会社の利益も全部連結されますし、アベノミクスの円安のおかげで円建てでは膨張して見えます。 史上空前の利益というのは、そういうことです。 では、海外で稼いだカネはどこへ行くのかというと、日本の本社が貯め込んでいるのではなく、海外に再投資されるのです。 普通、産業の空洞化と言うと、生産コストを下げるために、途上国などに生産拠点を出していくわけです。 ところが日本の多国籍企業の場合は、生産を市場に近接したところへ出していくだけでなく、多くの場合は先端的な研究開発の機能まで他の先進国に出してしまっています。

結果として、日本国内にはそれこそ非効率な日本語による事務機能や、サービスの安売りしか残らないということになります。 多国籍企業は別にケチなのではありません。 売上利益は史上空前でも、その半分以上は海外で発生して海外で再投資され、従って国内の生産性の基本となる GDP にも入らないのです。 日本経済の生産性を問題にするのであれば、この 2 点の誤解を解き、日本経済の置かれた問題をキチンと認識することがまず必要と考えます。 (冷泉彰彦、NewsWeek = 12-20-18)


次世代加速器 ILC 誘致見送りなら国際的信用失墜も

次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を岩手・宮城両県の北上山地に建設する構想について、日本学術会議の検討委員会は 19 日、「誘致を支持するには至らない」とする否定的な回答を決定した。 日本の科学者の代表機関が示した見解は重く、日本への誘致実現は崖っぷちに立たされた。

検討委が懸念を示した最大の理由は、巨額費用が他分野の科学研究予算を圧迫するのではないかという不安とみられる。 検討委は加速器を使う素粒子物理学の専門家がほとんどいない。 「圧迫される側」の目に脅威と映るのは当然で、審議の過程では委員から「科学は物理学だけではない」との意見も出されていた。 推進側からは「始めから否定ありきで議論が進んできた」と批判の声も上がる。

学術会議の主張に沿って誘致が見送られた場合、科学研究予算への圧迫は回避される。 だが、世界的な科学者組織の合意によって進んできた構想を実現できなければ国際的信用を失い、今後は日本での大型国際研究プロジェクトが困難になる可能性もある。 また、複数のノーベル賞受賞者を輩出し、日本のお家芸である素粒子物理学は近年、中国の台頭が著しく、大型加速器の建設計画も進んでいる。 推進側の研究者は「日本に ILC ができなければ、中国は欧州やアジア諸国と手を組み日本を追い越すだろう」と話す。

学術会議の指摘通り、ILC には巨額費用という大きな課題がある。 だが実現すれば、日本が得る知見や経済効果も大きい。政府は学術会議の回答を重く受け止めなければならないが、慎重な見極めが求められる。 (伊藤壽一郎、sankei = 12-19-18)


スマート電球やスマートプラグの STYLED、米 Tuya と提携

IoT 家電のスピーディーな製造を目指す

「Tuya Smart」は、すでに 30,000 以上の製品に採用され、200 以上の国と地域で利用されている、IoT ソリューション。 Wi-Fi のほか、Bluetooth、5G などの通信機能を備えたモジュールと、スマートフォンアプリとそのプラットフォーム、データ処理を行なうクラウドからなる。 家電等に組み込むことで IoT 化でき、スマートフォンやスマートスピーカーでの操作が行なえるようになるという。

STYLED は、Tuya と提携することで、スマートフォン連携部分をアウトソース可能になり、これまで以上のスピードで IoT 製品を市場に投入できるようになるとしている。 STYLED の既存 IoT 製品は、調色が可能なスマート電球と、スマートプラグがある。 今後はスマートフォンと連携操作が可能な各種製品を製造・販売していくとし、ロードマップを公開した。

ロードマップによれば、2019 年第 1 四半期には、ハブ等を使わずに調色および調光が可能なスマート電球、調光の可能なシーリングライト、学習リモコン、壁面スイッチを、第 2 四半期には、扇風機、フィラメント LED 電球、車載型のスマートスピーカーを、第 3 四半期には、ロボット掃除機、プラグを、第 4 四半期には加湿器の発売を予定しているという。 発表の場では、いくつかの製品の製品のデモンストレーションと、ロードマップ外製品を含めた、製品展示が行なわれた。 (岩崎 綾、家電 Watch = 12-10-18)


パナソニック AWS 活用の衝撃 もう「モノ売り」には頼らない

パナソニックの再生

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消えた「爆買い」、それでも家電量販店の売り上げが伸びている

主役は国内消費、訪日外国人インパクトは為替次第

経済産業省の統計によると、家電大型専門店の販売額は消費税引き上げ(2014 年 4 月)前の駆け込み需要と、そこからの反動減が落ち着いた、同年下期 - 2017 年上期までの約 3 年間、横ばいで推移していたが、2017 年下期からは緩やかな上昇に転じている。 家電大型専門店と近しい関係にある機械器具小売業の販売額前年比を、数量要因と価格要因に分解してみると、数量要因によって上昇していることが分かっており、家電製品の販売量は確実に増えてきていたようだ。

家電大型専門店の販売額前年比を商品別に要因分解してみると、上昇寄与が大きいのは、販売額に占めるウェイトが大きい生活家電と情報家電だが、流れが転じた 2017 年下期以降に特徴的という意味では、通信家電と AV 家電も目を引く。 2018 年上期の最終月である 6 月の前年比は特に大幅なプラスだった(前年比 7.6%)。 主役は、生活家電と AV 家電。 生活家電は、酷暑におけるエアコン需要、AV 家電は、4K または 8K 対応テレビの売上によるものではないかと考えられる。

さて、昨今は家電大型専門店を訪れると、中国語などの外国語での案内や、外国人観光客向けの各種決済サービスが利用できるレジを目にすることも多いかと思う。 昨年からの家電大型専門店の好調な販売額に、インバウンド需要はどれほどの貢献をしているのだろうか。 2016 年第 2 四半期からは比較的落ち着いた推移になっており、2018 年第 2 四半期はむしろ少し低下したことが分かる。 これには、同時期にアジアからの訪日外客数が低下した影響が出ているものと思われる。

さらに、家電大型専門店の販売額に対する訪日外国人の関連製品買物額の比率を見てみよう。 2018 年第 2 四半期の訪日外国人の「電気製品(デジタルカメラ、PC、家電等)・時計・フィルムカメラ」の買物額は、家電大型専門店の販売額の規模と比較すると、約 4% 程度に過ぎない。 しかし、過去を振り返ると 1 割近くに達した時期もあった(2015 年第 2 - 第 3 四半期)。

それはどういう時期かというと、訪日外国人消費額の多い国・地域の自国の為替レートが円に対して強い時である。 2015 年頃には、「爆買」という言葉を頻繁に耳にされたと思うが、訪日外国人の電気製品の買物額も急伸し、家電大型専門店の販売額の 1 割に相当する額になっていた。 翻って、為替レートは過去 2 年程比較的安定的に推移しており、2018 年上期については、特に訪日外国人の自国通貨に有利になったというわけではない。 そのせいか、同時期の訪日外国人の「電気製品(デジタルカメラ、PC、家電等)・時計・フィルムカメラ」の買物額も安定的に推移しており、2018 年上期に限ればむしろ低下している。 (NewSwitch = 12-1-18)


村田製作所、売上高 2 兆円へ 自動運転などの需要狙う

村田製作所は 29 日、東京都内で事業説明会を開き、平成 33 (2021) 年度の連結売上高を 2 兆円(平成 29 年度は 1 兆 3,718 億円)とする中期構想を発表した。 32 年度に予定される次世代通信規格「5G」の実用化や、自動運転化など自動車の電装化の進展をにらみ、旺盛な電子部品需要の取り込みを図る。

主力製品の「積層セラミックコンデンサー (MLCC)」は年間 10% の割合で増産を続ける。 MLCC は電圧安定やノイズ除去に使われる部品で、同社は年間 1 兆個超を生産し、世界シェア(金額ベース)は 40% でトップ。 MLCC は世界的に品薄が続いており、同社は来年 1 月から 4 月にかけて値上げすることも明らかにした。 同社は高性能な新製品を国内で生産しているが、労働力不足が課題だ。 村田恒夫社長は「工場の機械化、省人化を進めて対応する。 海外での生産比率も上げていきたい。」と話した。 (sankei = 11-29-18)


政府が事実上の空母導入を検討 護衛艦「いずも」を改修

政府が年末に改定する防衛計画の大綱(防衛大綱)に、事実上の「空母」の導入を盛り込む方向で検討していることがわかった。 海上自衛隊の護衛艦「いずも」の改修が念頭にある。 岩屋毅防衛相は 27 日午前の閣議後の記者会見で、いずもについて「できるだけ多用途に使っていけることが望ましい」と述べた。

防衛省は基地が少ない太平洋地域の島嶼(とうしょ)防衛を理由に、基地が破壊された際の代替滑走路としての運用を想定する。 いずもを事実上の「空母」とし、垂直着艦できる米国製の戦闘機 F35B を運用する方針。 岩屋氏は会見で、F35B について「短い滑走路で離陸をすることができる性能をもった航空機」と説明した。 (藤原慎一、asahi = 11-27-18)


危機が生んだ純和製スピーカー 廃業寸前からの逆転劇

スマートな白い円筒から流れてくる虫の鳴き声や風の音に耳をすますと、本当に自然の中にいるような気分になる。 イタリア語でシラサギを意味する「Egretta (エグレッタ)」と名付けられたスピーカーは、広島県で作られている「純日本製」。 リーマン・ショック後、廃業寸前の苦境にあった中小企業が生み出した。 エグレッタを製造・販売するオオアサ電子の長田克司社長 (62) の話を聞くために、広島市から車を走らせること 1 時間。 山あいの小さな町に、本社と工場、ショールームがある。

ショール―ムの試聴室で、クラシック音楽などを聴いた。 長田社長は「(高音質な)ハイレゾ音源に対応し、全方位に音が広がっていくのが特徴です。 部屋に調和するようデザインにもこだわっています。」 シラサギを思い浮かべさせる形状はカッコイイだけではない。 音をスムーズに拡散させるための工夫も施されている。 オオアサ電子は、ある大手メーカーの下請けとして液晶パネルを製造するのがメインの仕事だった。 だが 2008 年のリーマン・ショックを機に、メーカーからの発注がゼロになった。 生産を中国の工場に移されたのだ。 大半の仕事を失い、長田社長は廃業を覚悟した。

どん底のなかで思いついたのが、音響機器市場に自ら挑むことだ。 実はオオアサ電子は長年、音響機器の OEM (相手先ブランドによる生産)も手がけてきた。 技術はある。 「下請け・受託に頼るのではなく、自社ブランド、メイド・イン・ジャパンでやってやろう。」 いちかばちかの勝負に踏み切った。 11 年に発売すると、中高年層を中心によく売れ、「エグレッタ」ブランドもじわじわと浸透していった。 今では、「本業」の液晶関連も復調し、仕事が追いつかないほどだという。 (近藤郷平、asahi = 11-22-18)


スペース X の ISS 向け有人宇宙船、1 月 7 日に初の打ち上げ試験

[オーランド(米フロリダ州)] 米航空宇宙局 (NASA) は 21 日、民間宇宙開発ベンチャーのスペース X のロケットで国際宇宙ステーション (ISS) に宇宙飛行士を運ぶ計画について、来年 1 月 7 日に初の打ち上げ試験を行う予定だと発表した。 スペース X の大型ロケット「ファルコン 9」に宇宙船「クルー・ドラゴン」を搭載し、ケネディ宇宙センターから 3 人の飛行士を送り込むという。

NASA は 2011 年にスペースシャトル計画を打ち切って以降、ISS 向けの飛行士や物資の輸送をロシアに頼ってきたが、商業有人宇宙輸送プログラム (CCP) に基づいて早ければ来年にも米民間企業のロケットをそうした用途に利用できる態勢を整えることを目指している。 この CCP の事業を請け負うのがスペース X のクルー・ドラゴンとボーイングの有人宇宙船「CST-100」となる。 スペース X は、1 月 7 日の打ち上げ試験が成功すれば、6 月中に第 1 回のミッションを開始する方針を明らかにした。 (Reuters = 11-22-18)


「空調の巨人」ダイキンに挑む、三菱電機とパナソニックに勝ち目はあるのか

単品売りに代わる事業形態を模索、総合力に活路

三菱電機とパナソニックが空調事業の拡大に向け、総合力を生かして単品売りに代わる事業形態を模索している。 空調を成長事業と位置付ける両社の意識の先には世界最大手、ダイキン工業がある。 ダイキンは専業ならではの迅速な経営判断の下、人員などを需要が拡大するアジアなどに集中している。 総合電機 2 社は、縦割りだった昇降機や換気扇など他事業と連携し相乗効果を狙う。 撤退した携帯電話など情報家電技術にも活路を見いだす。

三菱電機は空調の海外展開で、ダイキンに対抗する力を秘めている。 だが、「(ダイキンのような)専業ほどの人員資源はない」と、松本匡常務執行役は認める。 一方、「換気扇やエレベーターを含めた人員規模は遜色ない」ことから、総合力でダイキンに挑む構えだ。 対抗のカギは、「ほとんどの地域で保守が義務付けられている(松本常務執行役)」というエレベーター事業。 エレベーターの保守を突破口に空調をはじめ、照明や換気扇などビル設備全体の保守を狙う。 ダイキンが経営課題とする、販売後も顧客と関わりを持つ事業形態を、三菱電機は東南アジアなどの新興国で実現する。

パナソニックは空調設備と換気扇を組み合わせ、室内環境を総合的に高めるシステムを東南アジアと中国で展開し始めた。 売上高 8 兆円規模の同社も、空調単体ではダイキンの 4 分の 1 程度しかない。 そこで、都市部の大気汚染が深刻化する中国の顧客に、快適で生産性の高い「空気の価値」を提案するなど新規ユーザー開拓を進める。

一方のダイキンは、高い成長が見込めるインドや東南アジア各国に 1,000 - 2,000 店舗と、全土を網羅する販売網を構築中だ。 峯野義博常務執行役員が自社の取り組みを「ここまでやるか」と表現するように、総合電機が音を上げるほどの徹底ぶりだ。

その中で、総合電機がダイキンと差別化を図れる材料の一つが IT だ。 パナソニックは 2010 年代半ば、エアコンなどの白物に対し "黒物" と呼ばれる薄型テレビや携帯電話などの家電を縮小。 IT の技術者を白物などに移したが、現在の空調事業トップの高木俊幸常務執行役員は黒物出身だ。 三菱電機も、かつて汎用計算機などに力を入れ、「情報解析などのノウハウが残っている」と、伊藤泰之専務執行役は力を込める。

両社とも IT のノウハウを生かし、機器の稼働データを統合するデータベースを構築する計画。 空調や照明、換気扇などのデータを連携させる。 施設ごとの利用状況をより深く分析できるため、省エネルギー化などをさらに進める考えだ。 (大阪・平岡乾、NewSwitch = 11-19-18)