中国、3 月の輸出は予想超える減少 - 外需期待に冷水

→ 3 月の輸出、ドルベースで前年同月比 7.5% 減 - 予想は 1.9% 減
→ 3 月の輸入、1.9% 減 - 予想は 1% 増だった

中国の輸出は先月、予想より大きな減少となった。 外需が中国の景気拡大を後押しするとの期待に冷水が浴びせられた。 税関総署が 12 日発表した 3 月の輸出はドルベースで前年同月比 7.5% 減少。 輸入は 1.9% 減った。 エコノミスト予想は輸出が 1.9% 減、輸入は 1% 増だった。 同月の貿易黒字は 585 億 5,000 万ドル(約 8 兆 9,700 億円)となった。

韓国と台湾の 3 月の輸出が引き続き拡大するなど世界的な需要改善の兆しが示されていたが、今回の中国貿易統計はこうした傾向と矛盾する。 先に発表された製造業を含む中国経済に関するデータには明るさがあり、中国が今年 5% 前後の経済成長目標を達成するという期待を高めた。 ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなどは 2024 年の中国成長率予測を引き上げた。

ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は「今年先に見られたポジティブサプライズを踏まえると、輸出は緩やかながら回復傾向にあると引き続き考えている」としながらも、3 月のデータによって中国が来週発表する 1 - 3 月(第 1 四半期)国内総生産 (GDP) への「期待はやや控えめになるかもしれない」と述べた。 (Bloomberg = 4-12-24)


上海市の貨物輸送量、2 月は 19.4% 減

【上海】 中国上海市統計局が 20 日発表した 2 月の交通運輸業基本状況によると、同市の貨物輸送量は前年同月比 19.4% 減の 9,096 万 5,800 トンだった。 鉄道輸送は 11.2% 減の 32 万 7 千トン、水上輸送は 12.3% 減の 6,613 万 9,700 トン、道路輸送は 34.2% 減の 2,422 万 3,800 トン、航空輸送は 5.0% 増の 27 万 5,400 トンとなった。 全市の貨物輸送トンキロ数は 5.6% 減の 2,427 億 8,400 万トンキロだった。

港湾の貨物取扱量は 6.8% 減の 5,633 万 4,800 トンで、入港貨物は 12.0% 減の 3,057 万 5,200 トン、出港貨物は 0.1% 増の 2,575 万 9,600 トン。 コンテナ取扱量は4.0% 増の 380 万 1,700TEU(20 フィートコンテナ換算)で、入港は 1.4% 減の 187 万 7,900TEU、出港は 10.0% 増の 192 万 3,800TEU となった。 旅客輸送量は 34.0% 増の延べ 2,071 万 7,500 人で、鉄道が 41.6% 増の 1,103 万 3,600 人、道路が 0.5% 減の 461 万 4,100 人、航空が 66.2% 増の 504 万 600 人。全市の輸送人キロ数は 68.6% 増の 243 億 9,600 万人キロだった。 宅配企業の取扱件数は 0.8% 増の 2 億 6,689 万 9,700 件となった。 (中国・新華社 = 3-20-24)


EV、リチウム電池、太陽電池の「新御三家」が中国の輸出の新たなけん引役に - 韓国メディア

中国メディアの環球時報は 5 日、電気自動車 (EV)、リチウム電池、太陽電池の「新御三家」が中国の輸出の新たなけん引役になっているとする韓国メディア、マネートゥデイの記事を取り上げた。 記事はまず、今年に入って中国の国営メディアが「新三様(新御三家)」に言及することが増えたとし、「人々はかつて中国といえば安価な製品を連想したが、今ではこれら先端製品がメード・イン・チャイナを代表するようになった」と伝えた。

記事によると、昨年の中国の電気機械製品輸出額は前年比 2.9% 増の 13 兆 9,200 億元(約 286 兆 7,520 億円)で、輸出全体の 58.6% を占めた。 中でも新三様関連製品の輸出額は同 29.9% 増の 1 兆 600 億元(約 21 兆 8,360 億円)と初めて 1 兆元の大台を突破した。

最も注目されるのは EV で、中国の自動車輸出台数は昨年、522 万台を記録したが、うち 177 万 3,000 台が EV だった。 つまり全世界に輸出された中国車 3 台のうち 1 台が EV だったというわけだ。 「中国は自動車産業のグリーンエネルギー・低炭素転換で先頭を走り、EV 輸出が自動車産業の見通しを明るくしている」と中国税関当局者が激賛するほど EV は中国の誇りだ。 中国の自動車販売台数は昨年、EV 販売の急増に支えられ、初めて 3,000 万台を突破し、前年比 12% 増の 3,009 万台を記録した。

EV とくつわを並べて進むのがリチウム電池で、昨年の輸出額は前年比 27.8% 増の 650 億ドル(約 9 兆 6,200 億円)と過去最高を記録した。 グローバルバッテリー産業でも中国バッテリーメーカーの影響力は無視できない。 昨年 1 - 11 月のグローバル EV 用バッテリー市場で中国の寧徳時代 (CATL) はシェア 37.4% で首位となり、トップ 10 内に中国企業 6 社が入った中国企業の合計シェアは 63.7% で、韓国 3 社の合計シェア (23.1%) を大きく上回った。

昨年の中国バッテリーの輸出先は、1 位が米国、2 位がドイツ、3 位が韓国で、ベトナムが 5 位に入ったのも韓国と関係している。 サムスン電子がスマートフォン工場を中国からベトナムに移転した後も、スマホ用バッテリーを中国から輸入しているためだ。 太陽光製品も「中国発津波」に直面している。 中国のポリシリコン生産能力は世界全体の 88.2%、ウエハー生産能力は 97.2% を占めるなど、太陽光製品の生産能力は世界全体の 80% 以上を占め、太陽光産業のバリューチェーン全体を掌握している。

昨年の中国の太陽光製品(ウエハー、セル、モジュール)輸出金額は 91 億ドル(約 7 兆 2,668 億円)で前年比 5.6% 減少したが、輸出重量は 1,818 万トンで同 25.6% 増加した。 これは輸出量が急増した一方で、価格が大きく下がったことを意味する。 記事は「メード・イン・チャイナは、欧米などの先進国が重視しない安価な製品から、技術集約的な高付加価値製品へと姿を変えた。 変化したメード・イン・チャイナにどう対処するかは、欧米だけでなく韓国も直面する問題だ。 変化したメード・イン・チャイナに対抗するために、メード・イン・コリアも変化について検討すべき時が来ている」と結んだ。 (柳川、Record China = 2-6-24)



中国、11 月の輸出は 7 カ月ぶりに増加 通年はマイナス見通し強まる

中国税関総署が 7 日発表した 11 月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比 0.5% 増の 2,919 億ドル(約 43 兆円)だった。 7 カ月ぶりに増加したが、ゼロコロナ政策の影響で輸出が大幅に減った昨年 11 月の反動増という面が大きい。 1 - 11 月でみると輸出額は前年同期比 5.2% 減で、2023 年通年では 7 年ぶりに減少する見通しが強まっている。

11 月の輸出額を品目別にみると、スマートフォンが前年同月比 54.6% 増で、自動車も 27.9% 増えた。 地域別では米国向けが 22 年 7 月以来のプラスとなった一方、欧州連合 (EU) と東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けはそれぞれ 7 カ月連続の減少となった。 11 月の輸入額は 0.6% 減の 2,235 億ドル(約 33 兆円)で、2 カ月ぶりに減った。 輸出が増えて輸入が減ったため、貿易黒字は 4.0% 増えた。 (北京 = 西山明宏、asahi = 12-7-23)


中国、10 月の輸入は 8 カ月ぶりプラスに 輸出は減少が続く

中国税関総署が 7 日に発表した 10 月の貿易統計によると、輸入額は前年同月比 3.0% 増の 2,183 億ドル(約 33 兆円)だった。 増加は 8 カ月ぶり。 原油や鉄鉱石などの輸入額が増えた影響が大きかった。 一方、輸出額は 6.4% 減の 2,748 億ドル(約 41 兆円)と、米中対立などを背景に 6 カ月連続で減った。

輸入額を品目別にみると、金額が最も多い原油が 8.4% 増えたほか、鉄鉱石が 22.1%、パソコンや関連部品が 60.0% 伸びた。 いずれも輸入量も増えており、堅調な内需が背景にあるとみられる。 輸出額は、対立する米国向けが 15 カ月連続で減った。 輸入が増えて輸出が減ったことで、貿易黒字は 31.2% 減の 565 億ドル (8.5 兆円) となった。 (北京 = 西山明宏、asahi = 11-7-23)


中国輸出入ともに 6.2% 減 内需も外需も振るわず

中国税関総署が 13 日発表した 9 月の貿易統計によりますと輸出と輸入ともに 1 年前と比べ 6.2% のマイナスでした。 輸出と輸入がともに前年割れとなるのは 5 カ月連続です。 マイナス幅はいずれも前の月から縮小しました。 習近平指導部は新型コロナウイルス禍後の経済回復を目指していますが内需、外需ともに弱い状況が続いています。 (テレ東 = 10-13-23)


中国 3 月輸出、11.4% 増に引き下げ 予想外の大幅修正との見方

[北京] 中国税関総署は今年 3 月の輸出額を 105 億 5,000 万ドル下方修正し、前年同月比の伸び率を 14.8% から 11.4% に引き下げた。 ロイターが 11 日に税関のウェブサイトで確認した。 エコノミストは予想外に大幅な修正だとしており、今年初めの貿易が当初の見解より弱かった可能性がある。 当初発表された 3 月の貿易統計は予想より好調だったが、輸出はその後失速し、5 月以降は減少している。 3 月の数字の強さに疑問を投げかけていたエコノミストらは、年内に輸出が大きく回復するとは予想していない。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、Xu Tianchen 氏は、今回の大幅な修正は異例だが、貿易統計や国内総生産 (GDP) 統計に大きな影響はないとの見方を示した。 その上で「輸出業者が税還付を受けるために実在しない取引をでっち上げたり出荷額を水増ししたりする偽の貿易の取り締まりに絡み、さかのぼって修正した可能性がある」と述べた。 ロイターの算出によると、3 月の輸出は国別では米国向けが 22 億ドル、韓国向けが 4 億 1,290 万ドル、日本向けが 1 億 0,990 万ドル、それぞれ下方修正された。

一部のエコノミストは 3 月の修正について、過去最大の引き下げ幅だと指摘する。 3 月の引き下げ幅は 2022 年通年の輸出額修正幅の約 44% に相当する。 税関総署は先月、22 年の輸出額を 242 億 1,000 万ドル下方修正した。 これにより、今年の数字は前年比のベースが低くなった格好だ。 ロイターは修正の理由について税関総署に問い合わせたが、回答は得られていない。 ANZ の中国担当シニアストラテジスト、Xing Zhaopeng 氏は、22 年の統計が修正されたことで今年の数字は前年比で 1% ポイント程度押し上げられる可能性があると述べた。 (Reuters = 8-14-23)

〈編者注〉 軽々な批判は慎まなければいけませんが、これまでの統計に、輸出補助金目当ての「みなし輸出」が含まれていたのではないかと勘繰ってしまいます。 もともと輸出力は陰っていたのかもしれません。


「世界の工場」中国、やまない輸出への逆風 約 3 年半ぶりの大幅減

中国税関総署が 8 日に発表した 7 月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比 14.5% 減の 2,817 億ドル(約 40 兆円)となった。 減少は 3 カ月連続で、新型コロナの感染拡大の影響を受けた 2020 年 2 月(同 40.6% 減)以来の下げ幅となる。 「世界の工場」として輸出が牽引してきた中国経済へ逆風が吹いている。 品目ごとに前年同月比の減少幅をみると、鋼材が 4 割、パソコン関連や玩具などが 3 割弱、衣服や紡績品なども 2 割弱となった。 8 割超えの増加となった自動車や船舶を除き、大半の品目で輸出額が落ち込んだ。 中国にとって三大輸出先となる米国、欧州連合 (EU)、東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けはいずれも前年同月比で 2 割ほど落ち込んだ。特に対立が深刻な米国向けでは、12 カ月連続の減少となった。 (asahi = 8-8-23)


エルニーニョ現象で中国製エアコンの輸出に「火が付いた」 中国メディア

今年のエルニーニョ現象で世界各地が暑い夏を迎え、中国製エアコンの月間輸出量がマイナスからプラスに転じた。 10 日に調査機関の産業在線が発表したところによると、今年 1 - 5 月の中国製家庭用エアコンの輸出量は前年同期比 0.04% 増の 3,684 万 5,000 台、輸出額は同 2.36% 減の 72 億 2,000 万ドルだったが、6 月の輸出予定量は同 12.2% 増、7 月は同 7.9% 増だった。

中国電気機械製品輸出入商会のまとめたデータでは、中国の家庭用エアコンの輸出量は今年 4 月には同 6% 増の 807 万台、5 月には同 2% 増の 707 万台だった。 今年 1 - 5 月には、中国から複数の国・地域へのエアコン輸出額が大幅に増加した。 そのうち日本は 14% 増、メキシコは 9.4% 増、スペインは 27% 増、アルゼンチンは 32% 増、イラクは 40% 増、ブラジルは 43% 増だった。

同商会家電分科会の周南(ジョウ・ナン)事務局長は、「今年のエルニーニョ現象で地球温暖化が進み、人々は酷暑を乗り切るためにエアコンなどの家電が必要になった。 欧州地域でもエアコンニーズが持続的に増加している。 6 月の輸出量成長率はさらに高くなる見込みだ。」と述べた。 (中国・人民網/Record China = 7-14-23)

〈編者注〉 中国の輸出は全く元気がありませんが、上記「エアコン」のように伸びる余力があるものもあるはずです。 産業構造の改革に取り組むのが先決でしょう。


中国輸出、6 月は前年比 -12.4% 予想以上の減少

[北京] 中国税関総署が 13 日発表した 6 月の貿易統計によると、輸出は前年比 12.4% 減少、輸入は同 6.8% 減少でいずれも予想以上に減少した。 ロイターがまとめたエコノミストの予想は輸出が 9.5% 減、輸入は 4.0% 減だった。 中国経済はゼロコロナ政策解除を受け第 1・四半期に力強い回復を見せたが、その後減速している。 (Reuters = 7-13-23)


親世代が築いた「世界の工場・中国」、子にバトン渡せるか

[瑞昌(中国)] スティーブン・デュー氏 (29) は、両親が上海で経営していた温度制御システム製造工場を引き継いだ。 デュー氏が最初に着手した改革の 1 つは、冬季に工場の暖房を稼働させることだった。 倹約家の両親は、それさえちゅうちょしていたのだ。 「労働環境を改善しなければ従業員は気持ちよく働けないし、ベストを尽くすのも難しくなる」とデュー氏は言う。 「コストはかかるが、その価値はある。」 デュー氏のように、中国の工場を率いる若いリーダーは何万人もいる。 彼らが引き継いだのは、基本的な製造事業だが、かつて中国を世界最大の製品輸出国へと変貌させた労働集約型の事業モデルにはもはや頼れない。

労働人口の減少と高齢化、東南アジア諸国やインド、その他の国との競争により、中国の産業基盤の少なくとも 3 分の 1、つまりローエンドの製造業は時代遅れになりつつあるというのが中国の研究者らの見立てだ。 新たな技術を導入し現実的な改革を進めるという、選択の余地なき任務を担うのは、もっぱら 20 - 30 代の経営者たちだ。 彼らは、甘やかされて育った富裕層の子女を指す蔑称「富二代」をもじって、「廠二代」と呼ばれている。

「もし私が廠二代だったら、今は家族経営の事業が倒産しないように努力しているところだろう」と語るのは、深セン高品質開発・新構造研究所で研究アシスタントを務めるチャン・ジーペン氏。 同氏の試算では、この年齢層のうち約 4 万 5,000 - 10 万人が、今さまざまな段階で、中国の民間製造企業の最大 3 分の 1 を引き継ぎつつあるという。 中国の成長予測に陰りが見える中で進んでいる大規模な世代交代は、毛沢東の死後数十年で「廠二代」の親世代が工場経営者として台頭して以来初めて、中国の民間セクターが経験するものだ。

ロイターは「廠二代」の 8 人に取材した。 彼らは、自分たちが試みているのは効率改善によって家族経営ビジネスを現代にふさわしい姿に変えていくことだと述べつつ、人件費の上昇、人手不足、そして場合によっては最善の改革に対して親族の同意が得られないといった課題に悩まされている、と話す。 冒頭のデュー氏は、セミリタイアした両親のプライバシーを守るために会社の名前を出さないことを条件に取材に応じた。 両親は 50 代で、工場経営はほぼデュー氏に任せきりだという。

デュー氏も同世代の人々と同じく、両親が夢にも見なかったような豊かでチャンスの多い条件の下で育ってきた。 ニュージーランドの高校・大学に通い、電気工学を専攻した。 米国に渡り、アップルのサプライヤーであるフォックスコンのウィスコンシン工場で働いた。 台湾や日本の製造手法を学び、非効率性の削減に注力した。 国営として 1951 年に設立され、2002 年に民営化された工場では、こうしたスキルが力を発揮する。

父親のビジネス面での才覚と母親の勤勉さにより、一家の工場は国内家電大手のサプライヤーの座を確保した。 ショッピングモールやサーバー室、バッテリーの冷却や医療機器で用いられる温度制御システム用の部品も出荷している。 だが、2019 年にデュー氏が経営を引き継ぐまで、製造プロセスはほぼ旧態依然だった。 同氏はそれまでは手作業で処理していた経理、受注処理、調達、納品その他のプロセスを統括する専門的な産業用ソフトウェアを導入した。

また、フォークリフトが動き回りやすいように工場内のレイアウトを変更し、平均年齢 50 歳の従業員の身体的な負担を最小限に抑えるため、倉庫部門と製造部門では異なるグループ分けを導入した。 複雑な業務を完了するために 1 人の従業員が歩く距離は、これまでの 1 キロから 300 メートルへと短縮され、所要時間も 3 分の 1 以下で済むようになった。 母親は製造工程を細かく管理するために長時間働いていたが、デュー氏はたいてい午後 4 時頃には仕事を終え、工場内に設置して従業員にも開放しているスポーツジムでトレーニングし、車を運転して帰宅する。

「若い世代はもっと楽をしたいと考えるが、怠惰さは実は進歩の現れなんだ」とデュー氏は言う。 過去 3 年間で賃金も 10 - 20% 引き上げ、離職率は 5% 以下だ。 それでも、この工場の効率を 50% は改善できたとデュー氏は言う。 前述の研究者チャン氏は、「工場はハイエンドの製造分野への移行を求められており、それができなければ失敗する。 コストが上昇しているからだ。」と語る。

親とともに改革を

チャン・ジチン氏 (30) は、中国南東部の都市瑞昌で卵製品工場を経営している。 両親との共同経営を始めて以来、工程のデジタル化によって、やはり同じような効率改善を達成できたと考えている。 瑞昌市溢香農産品有限公司では、緑の制服を着用した従業員らが、真空包装機へとつながるベルトコンベアーに装着されたカップに鴨卵を置いていく。 機械の上方にある真新しいスクリーンには、卵が包装されるスピードと、従業員 1 人あたりの平均処理量、そして 1 万個の卵を包装するために必要な時間と労働力の推計値が表示されている。

農場から工場、店舗へと流れるすべての製品がバーコードで追跡され、管理者は注文、生産、そして納品をスマートフォンで確認し、リアルタイムのデータに基づいて判断を下すことができる。 「以前はすべて手作業で、紙ベースで記録していた」とチャン氏は言う。 「社内のデータはどれもゴチャゴチャで、大量の廃棄につながっていた。」 ロイターの取材に応じた他の「廠二代」 5 人と同様に、チャン氏も工場を親から継ぐつもりなどまったくなかった。 フランスで景観デザインの勉強をしたいと思っていたからだ。

だがチャン氏は、少なくとも 2 - 3 年は関わる必要があると感じ、現在 55 歳の両親に、最新テクノロジーを導入し、電子商取引サイト上で新たな販路を開拓することは投資に見合う価値があると説得した。 何か手を打たなければならない、とチャン氏は考えた。 「現場の従業員は高齢化しているし、若い人たちは現場で働きたがらなくなっている」からだ。 中国では若年層失業率が過去最高となっているが、その多くは大学卒で、学歴に見合わない仕事に就くとしても、できれば工場では働きたくないと考えている。

両親は、すでに順調であると感じていたビジネスへの追加投資に消極的で、最初は抵抗した。 だが最終的には納得してくれた。 チャン氏が経営に参加してから、売上高は年 35% のペースで成長している。 チャン氏は言う。 「ときどき、よそはオンライン販売で失敗しているのに、どうしてウチは成功したのかと不思議に思う。 ある会社の経営者が私に言ってくれたのは、君の母親のおかげだ、と。 たとえ失敗しても、母が私をどこまでもサポートしてくれる、と。」

あまりにも大変

もちろん中国全体では、デュー氏やチャン氏のような若手工場経営者が実行しているような改革に比べ、もっと本格的な形で大規模工場の刷新が進んでいる。 大量のロボットが導入された電気自動車産業など一部のセグメントは、政府からの補助金、さらには外国からの資本やノウハウの力を借りて、グローバル市場を席巻しつつある。 だが、ロイターの取材に応じた産業界の専門家 2 人によれば、世界の製造業に占める中国のシェアを維持するうえでは底上げも大切で、「廠二代」はそこに貢献しているという。

チャン氏が導入したテクノロジーの一部は、周宇翔氏 (34) が創業した黒湖科技によるものだ。 同社の顧客には、「廠二代」経営者が 1,000 人以上いる。 「ここ数十年、国内工場の多くのビジネスモデルは収益成長がベースになっていた。 だから、生産効率やデジタル化に関心を払うところは非常に少なかった。」と周氏は言う。 同氏は両親の事業を継いだわけではないが、自分も「廠二代」の 1 人だと考えている。 「私たちの親の世代は、たいてい、山のような書類を介して事業を経営していた。 多少進んだ工場ではエクセルを使っていたが、その程度だ。」

政府系シンクタンクの科学技術革新研究所で製造業の革新を専門とする研究者のティアン・ウェイファ氏は、「廠二代」はテクノロジーに精通しており、外国での経験もあることから、コスト上昇、国外需要の減少、中国よりコストの低い開発途上国における製造拠点の台頭といった新たな環境においては、親の世代よりも競争力を維持できる可能性が高くなっている、と話す。 だがティアン氏は、「テクノロジーを刷新するだけですべて解決とは行かない」と述べ、製品の刷新も含め、さらに踏み込む必要があるだろうと続ける。

「廠二代」全員が成功するわけではない。 チャン・イン氏 (29) はロンドン芸術大学でテキスタイルデザインを学び、2017 年に中国東部の寧波市にある家族経営の衣料品工場を継いだ。 だが、経営は苦しい。 10 年間で賃金を 2 倍以上に引き上げ月 7,000 元としたが、内陸部の出身者を中心とする労働力は不足しており、解雇することもできない。 昨年、チャン氏は出産のために休職し、他の経営幹部に事業を任せた。 経営の場に戻る気持ちはない。 「あまりにも大変だった。 唐突に大きなプレッシャーがかかった。 ストレスでじんましんが出て、1 年間投薬を受ける必要があった。 だから、仕事を離れた。」とチャン氏は語った。 (David Kirton、Reuters = 6-23-23)


中国の輸出、5 月は予想を上回る落ち込み - 景気リスク増大

→ 5 月の輸出は前年同月比 7.5% 減少、予想 1.8% 減 - ドルベース
→ 期待外れのデータ、政策支援強化への期待強まる - ANZ ゴー氏

中国の輸出は 5 月に 3 カ月ぶりの減少となった。 予想を上回る落ち込みで、外需減速に伴って中国経済のリスクは増している。 税関総署が 7 日発表した 5 月の輸出はドルベースで前年同月比 7.5% 減少。 エコノミスト予想中央値は 1.88% 減だった。 一方、5 月の輸入は前年同月比 4.5% 減少と、予想(8% 減)よりもマイナス幅は小さかった。 貿易黒字は約 660 億ドル(約 9 兆 1,900 億円)。

今年前半の輸出の底堅さは中国経済にとって明るい材料で、厳格な新型コロナウイルス対策廃止後の景気回復を下支えしてきたが、5 月の製造業購買担当者指数 (PMI) は活動の縮小を示唆したほか、住宅販売額の伸びも鈍るなど、景気回復ペースの鈍化が浮き彫りとなっている。 中国当局は追加の刺激策を余儀なくされるのではないかとの観測が広がっている。 一部のエコノミストは向こう数カ月以内の預金準備率引き下げを見込む一方、来週にも利下げが必要かもしれないと予想する向きもある。

オーストラリア・ニュージーランド銀行 (ANZ) のストラテジスト、クーン・ゴー氏は 5 月の貿易統計について、「さらなる期待外れのデータだ。 景気懸念が広がり、政策支援強化に対する期待が強まるだろう」と述べた。 (Bloomberg = 6-7-23)


中国の金保有が 6 カ月連続で増加、外貨準備高も増える - 4 月末

中国の金準備は 6 カ月連続で増えた。 地政学的・経済的リスクが高まる中、世界の中央銀行が金保有を拡大している。 国家外為管理局が 7 日に発表したデータによると、中国は 4 月に金保有を約 8.09 トン増やした。 3 月までの 5 カ月間に約 120 トン増加した後、総保有量は約 2,076 トンに達している。 一方、4 月末の外貨準備高は 3 兆 2,048 億ドル(約 432 兆円)で、前月から 209 億ドル増加したことがデータで示された。 (Bloomberg = 5-7-23)


中国は輸出が困難に、「政府が笛吹けど企業は踊らず」の恐れも - 中国人実業家も警鐘

最近、中国では多くの人が「あの外国からの貿易の注文はどこに消えたのか」を話題にしている。 「国内消費者や経済の国内循環で(中国経済を)救えるのか」などの話題も出る。 いずれも、厳しい状況に置かれていることを物語るものだ。 春節期間の状況も輸出の不振を反映していると貿易関係者は言う。 上海の貿易会社の関係者に話を聞くと、春節期はかつて、海外から注文が殺到した時期だった。 多くの企業は受注をこなすために、賃金を引き上げて労働者を確保した。 しかし、2022 年には状況が一変した。 多くの工場が春節期の休業を早めに始めた。 しかし、労働者のほとんどが休みを取らずに出勤したがった。 「懐がさびしかった」からだ。

結果を出せていない輸出のための「受注防衛戦」

中国では多くの地方政府が、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策が続いている時期からすでに、地元経済を維持するために、チャーター便を手配して、企業代表者が参加するビジネスイベントを海外で多く開催するようになっていた。 「受注を何とか確保」するための試みだった。 中国企業にとって新たな顧客を得ることは容易ではなく、急務は自らが海外で開催される展示会などに参加して、古い顧客との関係を維持することという。 米中関係は悪化しているので、中国による「売り込みイベント」は主に欧州と日本で行われている。 「ゼロコロナ」政策が転換されたことで「売り込みイベント」はさらに活発になり、日本でもしきりに開催されるようになった。

中国メディアによると、例えば、湖北省武漢市政府が取りまとめた訪日代表団は 12 日から 5 日間にわたって東京、大阪、名古屋、奈良、神戸などを回って投資交流会を開催し、三菱商事やイオンなど 40 社を訪問した。 15 日には、山東省の青島市政府商務局と日中経済協会が東京都内で企業交流協議会を開催した。 目的は青島の企業が日本側から受注を獲得することや、新たな取り引き相手を得ることだった。

日本でビジネスを展開している中国人のビジネスマンによると、コロナへの対応を余儀なくされた 3 年間において国際情勢は大きく変化し、また日本では中国に関連するビジネスマインドが急速に冷え込んだ。 中国の「売り込みイベント」の参加者は在日中国人が多く、効果は限定的という。 中国メディアは「受注防衛戦」の厳しさを説明するが、基本的には取り組みが始まったことを大きく報じるだけで、結果は紹介しない。 ある在日中国人ビジネスマンは、結果を出せていないことが背景にあると考えるのが自然だとの見方を示した。

中国の「輸出不振」の原因は欧米の景気後退だけではない

外国からの受注の減少の原因についての公式の説明は「欧米では自らの経済上の原因で消費需要が減退している」だ。 しかしスイス在住で貿易業を手掛ける中国人実業家によると、事はそう単純でない。 欧米の景気後退が一因であることは確かだが、このような全方位的な減少はあまりに唐突だ。 さらに、ある分野は比較的ましだが、アパレル加工業のような全滅状態に近い分野もある。 つまり、欧米側の景気の後退だけなく、輸出する側に逆境にやや強い産業と極端に弱い産業が存在すると考えねばならない。

また、詳しく調べてみれば、欧米の需要全体が減っていること以外に、注文が流出していることが分かる。 欧米の顧客は商品を求めなくなったのではなく、中国に注文しなくなったのだ。 例えば、中国はフィットネス機器分野における絶対的な王者に登りつめた。 生産規模はすでに世界のフィットネス機器生産量の 7 割以上を占めるようになった。 しかし、この分野は参入の敷居が低いため、受注が流出しやすい。 健康器具への需要は急増しているが、取引相手の多くは過去 3 年内に中国企業との関係を断った。

2021 年からは、台湾系のフィットネス機器メーカーが大陸から次々に撤退し、生産ラインをメキシコに移した。 彼らは 1 年余りをかけて生産規模を拡大させて大陸メーカーの受注に急速に食い込んだ。 メキシコは生産環境が劣るが、人件費の低さに加えて物流や関税関連も低コストだ。 その結果、大陸の製品は今年になり、競争力を大きく失った。 こうした状況はますますエスカレートしている。 さらに、米中の貿易戦争という要因により、多くの海外業者が、価格が多少高かったり、いろいろな欠点があっても、可能な限り中国製以外の代替品を選ぶ傾向が顕著になった。

政府の提唱も「笛吹けど企業家踊らず」になる恐れ

繊維製品や靴製品については、これまで多くの海外ブランド品が中国で生産されてきたが、中国から撤退する動きが本格化した。 その分、中国からの輸出額は減少した。 中国ブランドの製品は生産コストが急上昇したために、ベトナムやインド、メキシコなどでは優位性が失われつつある。 一方で、中国当局はしばらく前から加工業のモデルチェンジと質の向上を奨励している。 たしかに「労働力集約型」から「先進技術集約型」に移行すれば、他国の企業への「注文先の変更」は食い止められるだろう。

実際に、技術開発への注力を継続することで、すでに成果を出している中国企業も存在する。 しかしスイス在住で貿易業を手掛ける中国人実業家は、多くの中国企業には製品の研究開発の実績が不足しており、自主ブランド樹立の意識も乏しいと指摘した。 注文の減少という現実に直面して、多くの企業経営者は廃業を考慮するか、あるいは情勢が好転することを受け身の姿勢で待ちながら経営を続けているという。

モデルチェンジや質の向上には長期的な投資が必要だ。 効果はなかなか見えてこない。 決して平坦な道ではなく、さまざまな試練に満ちている。 労働者の生計を維持するためにライバルを打ち破るべく奮闘すべきか、それとも撤退して手っ取り早く収入を得られる他の方法を探すべきか、あるいは蓄積した富を使って人生を楽しむべきなのか。 これは 2023 年に中国の企業家が直面せねばならない選択だ。 (RecordCjina = 2-19-23)


中国輸出 12 月 9.9% 減 米欧向け不振、3 カ月連続減少

【北京 = 川手伊織】 中国税関総署が 13 日発表した 2022 年 12 月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比 9.9% 減の 3.060 億ドル(約 39 兆円)だった。 3 カ月連続の減少で、マイナス幅も 11 月の 8.9% から拡大した。 世界経済の減速懸念が強まるなか、米欧向けが落ち込んだ。 輸出の減少率は、新型コロナウイルスの感染が初めて広がった直後の 20 年 2 月(41% 減)以来の大きさだった。 輸入は 7.5% 減の 2,280 億ドルで、3 カ月連続で前年同月を下回った。 輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は 780 億ドルで、前年同月より減少した。

22 年通年の輸出は前年比 7.0% 増、輸入は 1.1% 増だった。 12 月の輸出を国・地域別にみると米国向けは 2 割減少し、5 カ月連続のマイナスだった。 欧州連合 (EU) 向けも 18% 減り、3 カ月連続で前年同月を下回った。 東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けは 7% 増え、伸びは 11 月の 5% から高まった。 品目別ではパソコンなどが 36% 落ち込み、5 カ月連続の減少となった。 労働集約的な玩具や衣類もそれぞれ 1 割減った。

輸入は主要品目である集積回路が 22% 落ち込み、8 カ月連続で減った。 化粧品も前年同月を 3 割下回った。 新型コロナの封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策の緩和に伴う感染急拡大で外出を控える人が増えて、消費が落ち込んだ影響が出たとみられる。 原油は15%増えた。 12 月のロシアとの貿易は輸出入ともに 8% 増えた。 このうち、輸出は 6 カ月連続で増加した。 (nikkei = 1-13-23)



中国輸出 11 月 9% 減 米欧不振、コロナ直後以来の下げ

【北京 = 川手伊織】 中国税関総署が 7 日発表した 2022 年 11 月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比 8.7% 減の 2,960 億ドル(約 40 兆円)だった。 2 カ月連続の減少となり、マイナス幅は新型コロナウイルスの感染が初めて広がった直後の 20 年 2 月(41% 減)以来の大きさだった。 急速な利上げで景気が減速する米欧向けが落ち込んだ。

輸入は 10.6% 減の 2,262 億ドルだった。 10 月に続き減少した。 輸出入がそろって 2 カ月連続でマイナスとなるのは、19 年 8 - 10 月に 3 カ月連続で減少して以来だ。 22 年 11 月の輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は 698 億ドルだった。 輸出を国・地域別にみると米国向けは約 3 割減少し、4 カ月連続のマイナスだった。 欧州連合 (EU) 向けも 11% 減り、2 カ月連続で前年同月を下回った。 東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けは前年同月を 5% 上回ったが、伸びは 10 月までの 2 ケタ増から鈍った。

品目別ではパソコンなどが 3 割近く落ち込み、4 カ月連続の減少となった。 労働集約的な玩具や衣類も 1 - 2 割減った。 輸入は主要品目である集積回路が 28% 落ち込み、7 カ月連続で減った。 化粧品も前年同月を 2 割下回った。 中国では新型コロナの封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で移動制限が厳しく、内需が弱まっている。 原油は 3 割増えた。 11 月のロシアとの貿易は輸出が 18%、輸入が 29% それぞれ増えた。 このうち、輸出は 5 カ月連続で増加した。 (nikkei = 12-7-22)


中国の輸出入、ともに減少 2 年 5 カ月ぶり、ゼロコロナが影響

中国税関総署が 7 日に発表した 10 月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比 0.3% 減の 2,983 億ドル(約 44 兆円)、輸入額は同 0.7% 減の 2,132 億ドル(約 31 兆円)だった。 輸出入額ともに減少するのは 2 年 5 カ月ぶりだ。 欧米で続く金利上昇やインフレ、中国国内のゼロコロナ政策の影響を受けた。 輸出は今年に入ってもコロナ禍から回復する世界の需要を背景に高い伸びを維持してきたが、足元では欧米で利上げが続き、インフレによって需要が減退。 米国への輸出は 3 カ月連続で減った。 またゼロコロナ政策による移動制限などで、輸出品の生産や出荷などに影響が出た可能性もある。

一方で輸入は、移動制限によって旅行が出来なかったり、外食や買い物を控えたりする人が増えて内需が落ち込んだため、3 月以降低い伸びが続いてきた。 10 月は習近平総書記(国家主席)が異例の 3 期目を決めた中国共産党大会が開かれたことに伴い、北京市を中心に厳しい移動制限が敷かれたり、企業が活動を抑制したりしたことも輸出入の減少に影響した可能性がある。 一方、ロシアとの 10 月の輸出入額はいずれも前年同月比で 35% ほど伸びた。 輸出額の増加は 4 カ月連続となった。 (昆明 = 西山明宏、asahi = 11-7-22)


成長の主役たちが老いてゆく 若者そっぽ、世界の工場に迫る時間切れ

記事コピー (10-4-22)


中国産品への海外需要減退、貿易への大きなリスクに−中国商務省次官

→ 対外貿易は下期もなお伸びる見通しも米欧の景気鈍化が逆風に
→ 金額ベースの貿易が伸びている主要因は価格上昇

中国商務省の王受文次官は世界経済の成長減速に伴い、中国産品に対する海外需要が減退していると警告した。 ただ対外貿易は今年下期もなお伸びる見込みだとした。 王次官は 27 日の北京での記者会見で、「中国の貿易が直面している最大の不確実性は外需の鈍化だ」と発言。 「主要市場の需要が減退する中、中国企業は受注の減少を報告している」と説明した。

インフレ高進などの逆風で世界的に需要が抑制される中、新型コロナウイルス禍の間に中国経済のけん引役を果たしてきた輸出ブームに陰りが見え始めている。 8 月の中国の輸出はドルベースで前年同月比 7.1% 増と、上海のロックダウン(都市封鎖)の影響で輸出が滞った 4 月以来の低い伸び。 一方、世界経済の伸び鈍化を背景に中国からの輸送コストは低下している。

金額ベースの貿易が伸びている主な要因は価格上昇であり、貿易量の増加ではない。 上海港の今月の発表によると、同港の 8 月の取扱量は前年同月比で 8.4% 減少した。 王次官は中国が今年下期に対外貿易が伸びると自信を持っていると述べる一方で、米欧の景気鈍化が主要な逆風だと指摘した。 (Bloomberg = 9-28-22)


中国輸出、4 月は急減速の 3.9% 増 上海のロックダウンが影響

中国税関総署が 9 日に発表した貿易統計によると、4 月の輸出額が前年同期比で 3.9% 増の 2,736 億ドル(約 36 兆円)だった。 2020 年 6 月以来の低い伸び率で、3 月の 2 けた増から急減速した。 上海のロックダウン(都市封鎖)などで生産や物流が停滞している影響が出たためとみられる。 品目別では、パソコンなどの電子機器の輸出が減っている。 一方、輸入額は 2,225 億ドル(約 29 兆円)で横ばい。 外出や移動の制限によって消費が停滞しているためとみられる。

4 月のロシアとの貿易は輸出額が前年同月から 3 割弱減っていた。 米欧日によるロシアへの金融制裁などで中国企業がロシアとの貿易に慎重になっているためとみられる。 輸入額は同 6 割弱伸びていたが、原油高などによるものとみられる。 (北京 = 西山明宏、asahi = 5-9-22)