日本のテキスタイル、奮闘中! 世界のファッション業界に進出

日本のテキスタイルがファッション界で高く評価され始めたと話題となっている。 「インディペンデント」紙電子版は、愛知県一宮市の毛織物・化合繊織物・ニット服地を製造・販売するテキスタイルメーカー「中伝(なかでん)毛織」の衣料が、ニューヨーク・ファッション・ウィークに進出したことを伝えた。 今年 2 月、日本のファッションブランド「THEATRE PRODUCTS」が、中伝毛織とコラボレーションし、「Overnight trip (1 泊 2 日の旅)」をテーマにした新製品で、ニューヨーク・ファッション・ウィークにデビューを果たした。 小さなカバンにフィットする快適なリラックスウェアが大勢の観客の前で発表された。

一宮市はウール(毛織)の日本最大の生産地で、中伝毛織はその代表格ともいえる。 最先端技術を駆使し、柔らかくしわになりにくい衣料を開発した。 ほかにも、今年のニューヨーク・ファッション・ウィークでは、「カルヴァン・クライン」が日本のデニム、日本製の衣料を使用したコレクション、ロサンゼルスのブランド「James Perse」が東京のテキスタイルメーカー「A-Girl's Co」の衣料を使用した T シャツを披露するなど、日本のテキスタイルの魅力を見せつけた。 (ジャーニー = 4-18-17)


グンゼ、衣料品目数を最大 1 割削減 高機能肌着などに集中

肌着大手のグンゼは 2018 年 3 月末までに肌着など衣料品の品目数を最大 1 割減らす。 着心地の良さを追求した高機能肌着「キレイラボ」など売れ筋に絞り込み、品目数を現状の約 3 万点から 2 万 7,000 点程度に抑える。 「商品の選択と集中を進めて在庫を減らし、収益性を高める(広地厚社長)」考えだ。 女性用では縫い目がなく肌に負担がかかりにくい「キレイラボ(インナーで税別 1,400 円など)」や、ワイヤをなくし締め付け感を減らしたブラジャーなどがそろう「トゥシェ」など人気ブランドの品ぞろえを強化する。

男性用では快適性を重視する肌着「YG (T シャツで税別 800 円など)」や「ボディワイルド」などに集中する。 汎用的な品目は削減し全体で品目数を 1 割圧縮する。 グンゼの 16 年 4 - 12 月期のアパレル事業の売上高は 545 億円と前年同期に比べて 3% 増えた。 顧客の選別消費が強まるなか競争力の高い品目に注力して収益拡大をめざす。 (nikkei = 4-18-17)


「世界で唯一のビジネスモデル」、セーレンが衣料品でマスカスタマイゼーション

セーレンは、国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017 (2017 年 3 月 20 - 24 日、ドイツ・ハノーバー)」において、バーチャルオーダーにより顧客それぞれが求める好みの衣料品を製造/販売するデジタルプロダクションシステム「ビスコテックス (Viscotecs)」を展示した。 既に、ビスコテックスによって顧客から直接受注する店舗を百貨店内など国内 7 カ所に展開しており、2017 年は海外展開を開始する計画だ。

製造業では、カスタム生産を大量生産と同じ効率で行う「マスカスタマイゼーション」を、IoT (モノのインターネット)などの活用によって実現しようという取り組みが進んでいる。 ビスコテックスは、そのマスカスタマイゼーションを衣料品で実現したと言っていいシステムになっている。 まず、ビスコテックスのバーチャルオーダーシステムでは、シルエット、パターン、デザイン、カラーなどの組み合わせから顧客が好みの衣料品を発注する。 その組み合わせ総数は約 47 万着に上る。

セーレン本社にある福井工場では、注文内容に合わせた原糸や生地の生産、色柄のプリント、裁断、縫製を行って顧客に届ける。 注文は一定数のロットをまとめる必要はなく、1 着だけでもよい。 バーチャルオーダーによる注文内容のデータ化、CAM との連携といったソフトウェア基盤、1,677 万色を表現できるインクジェットプリンタなどは自社で開発した。

ビスコテックスの強みの 1 つになっているのが、ウール、シルク、綿などの天然繊維、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維をはじめ対応する素材が幅広いことだ。 これは、2007 年に買収したカネボウの原糸製造事業によるところが大きい。 「注文から、原糸、生地、プリント、裁断、縫製、製品の配送まで一貫してサービスを提供できるビスコテックスは、世界で唯一のビジネスモデルだ(同社の説明員)」という。 (IT Media = 4-6-17)


ラルフローレン、NY 五番街の旗艦店を閉店へ 苦戦続く

米衣料品大手のラルフローレンは 4 日、高級店が並ぶニューヨーク・マンハッタンの「五番街」にある旗艦店を 15 日で閉店すると発表した。 価格が高めの衣料品が多い同社は最近、安価なファストファッションに押されて業績不振が続いている。 今後はインターネット販売に軸足を移して立て直しを目指す。

閉めるのは「ポロ・ラルフローレン」の店で、トランプ米大統領が住んでいた「トランプ・タワー」のすぐそばにある。 閉店やオフィスの見直し、人員削減で年 1 億 4 千万ドル(約 155 億円)のコスト減を見込む。 同社は昨年 6 月、従業員約 1 千人の削減や 50 店以上の閉鎖を発表したが、さらなるリストラに踏み切る。 (ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 4-5-17)


カジュアル衣料のアダストリア、米子会社通じ Velvet, LLC を 41 億円で買収 米国事業拡充へ

カジュアル衣料店を SC 内軸に展開しているアダストリアは、Velvet, LLC (以下「VV 社」)の持分 100% をアダストリア 100% 子会社である Adastria USA, Inc. を通じて取得すると発表した。 取得価格は、370 万米ドル(1 米ドル = 112 円で日本円にして約 41 億円)。 VV 社は、米国コンテンポラリーアパレル市場において 3,960 万米ドル(2016 年 12 月期実績)のビジネスを展開しているアパレル企業。

アダストリアは、今回の出資によって、アダストリアの資金・ノウハウを注入することで、同社のビジネスをさらに成長させ、また同時に、米国でのブランドビジネスのノウハウ・ナレッジを獲得、アダストリアが昨年 4 月に出資した Marine Layer, Inc. も含めたブランドポートフォリオの強化を目指していく。 (M & A Times = 4-3-17)

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そごう・西武、働く母親向け衣料品 PB「リュアラ」を展開

そごう・西武は働く母親に向けたプライベートブランド(PB = 自主企画)「リュアラ」の展開を始める。 小さな子を持つ母親でありながら、写真共有アプリ「インスタグラム」への投稿で人気を集める「インスタグラマー」の 3 人と組み、働く女性の需要を反映した衣料品を開発。 20 日から同社の通販サイト「e.デパート」で販売する。 カットソー(中心価格 8,500 円)やパンツ(同 1 万 3 千円)など春夏合計で 18 型をそろえた。 20 - 40 代の女性に強い影響力を持つインスタグラムの利用者を起用し、悩みやニーズを共有。 機能性と流行を両立させた衣料品に仕上げた。 (nikkei = 4-2-17)


産学連携で熱中症予防対策にスマート衣料開発開始 大阪大学と信州大学

大阪大学と信州大学は、日本気象協会やクラボウと共同で、熱中症予防対策に特化したリスク管理システムおよびスマート衣料の開発を開始する。 近年、熱中症による死傷者数が増加傾向にあり、屋外での作業が多い建設業、運送業などでは熱中症予防対策の重要性が高まってきている。 これまでの熱中症予防対策としては、暑さ指数 = WBGT 値を参考とした休憩管理システムやスポットクーラーを設置した休憩所の確保、冷却ファンを備えた作業服などの導入が行われているが、各作業者の体調管理は、基本的に "自己管理" が中心のため、企業としても作業者個人レベルでのリスク管理が十分できていないのが実情。

そこで、大阪大学らの研究グループは、心拍センサーなどを備え付けたスマート衣料「Smartfit (スマートフィット)」から作業者の心拍数や体表温度などの生体情報を取得し、気象情報そして各地域での緊急搬送情報を融合した独自のアルゴリズムで解析した新指標をもとに、リアルタイムに熱中症のリスクを予測し、評価および管理するシステム「超局所リアルタイム熱中症リスク管理システム(特許出願済み)」の開発を目指す。

取得したデータは、クラウドサーバーに情報が自動的に送信され、解析された結果を現場管理責任者および作業者個人にリアルタイムに伝達され確認することができる。 このシステムにより、工事現場全体の危険度だけではなく、スマート衣料「Smartfit (スマートフィット)」を着用した作業者の集団(人センサー集団)から見える個々の作業現場(超局所)の危険度と作業者個々の個別事情の危険度をリアルタイムに判断できるようになる。

開発にあたり、大阪大学基礎工学研究科は、生体情報などをもとにしたデータの解析と熱中症発症リスクの評価アルゴリズムの構築、信州大学は、生体情報を高精度に取得できる快適な着心地のスマート衣料の開発を行う。 また、2017 年 5 月からは、鹿島建設、竹中工務店など大手建設・運送会社 9 社の協力のもと 200 人規模のモニター調査を実施し、2018 年度の実用化を目指す。 (大学ジャーナル = 3-25-17)


ヒマラヤ、築 101 年の商家に出店 カジュアル衣料新業態 岐阜

スポーツ用品販売のヒマラヤは 25 日、岐阜市にアウトドア衣料の新業態店を開業する。 築 101 年の古い商家を賃借し改装した。 今後、全国に同様のコンセプトを持つ店の 1 号店として位置づけている。 店名は「クラホリックゼロ 岐阜靱屋町」。 金華山のふもとの景観保護地域で、空き家となっていた紙問屋だった建物を改装した。 広さは約 100 平方メートル。 床の間を陳列スペースにしたり、納戸を試着室にしたりして、もとの建物をそのまま生かしている。

建物の奥にある蔵は、地元製の衣料などを扱う催事などに活用する。 金華山にはハイキング客も多く訪れ、来店が見込めると判断した。 「岐阜市で創業した企業として、1 号店を地元に出すことにした。(後藤達也社長)」 今後は全国の大都市や観光地に「クラホリック」の店舗を展開し、既存のスポーツ用品量販店とは異なる販路を開拓する。 (nikkei = 3-24-17)


伊藤忠商事、AKB48 とコラボ EC 向け衣料ブランド

伊藤忠商事は 15 日、人気アイドルの AKB48 グループと組んで電子商取引 (EC) 向けのファッションブランドを立ち上げたと発表した。 メンバーがモデルとなり、著名ブランドなどとコラボした商品を展開する。 伊藤忠が EC 専用ブランドを立ち上げるのは初めて。 3 年後をメドに 30 億円の売り上げをめざす。

ファッションブランド「UNEEDNOW (ユーニードナウ)」を立ち上げた。 AKB48 グループの運営会社である AKS (東京・千代田区)などと組んで商品展開する。 価格は T シャツが 4,000 円、パーカが 7,000 円、帽子が 3,000 円程度。 まず数量限定で第 1 弾の販売を始めた。 7 月にはエドウインのジーンズ「サムシング」ブランドとのコラボ商品を売り出す。 (nikkei = 3-15-17)


バングラデシュの衣料品製造工場 業務改善コスト、平均 7,000 万円

バングラデシュは、衣料品製造業で工場監査を積極的に実施して業務改善に努めている。 私立バングラデシュ大学などの調査によると、2013 年以降の 1 工場当たりの業務改善コストは 61 万 4,000 ドル(約 7,000 万円)だった。 現地紙デーリー・ニューズなどが報じた。 同国は、13 年 4 月に首都ダッカ近郊で衣料品工場が多く入居するラナプラザビルが崩落し、多数の死傷者が出た。 これを機に、全部で 3,600 カ所以上ある衣料品工場を対象に安全性や労働環境に関する監査を実施している。

同大が 33 カ所で調査を行ったところ、監査後の指摘に基づく改善コストは合計 2,000 万ドル以上だったという。 このコストには、工場移転による生産機会の損失や、現在改善中の諸費用などは含まれていない。 調査結果からは、各工場が監査に基づいて改善するうえでさまざまな困難に直面していることも判明した。 たとえば、30% の工場が改善費用の不足に直面したと答えたほか、27% が改善後に生産が減少したとの回答を寄せた。 一方で、77% の工場が今後の自主的な業務改善に意欲を示していることもわかった。

各工場の監査は、欧州系ブランドがかかわるアコードと、北米系ブランドがかかわるアライアンスの 2 機関が実施しており、これまでに 2,500 の工場の監査を終えたという。 このほか、バングラデシュ政府も国際労働機関 (ILO) と協力して 1,500 の工場で監査を行った。 業界団体のバングラデシュ衣料品製造業・輸出業協会 (BGMEA) は、現在のように複数の機関が別々の基準で監査と改善内容の確認を行っている状況では、工場側の改善活動に混乱が生じると指摘する。 アコードとアライアンスに与えられた法的権限が 18 年 7 月に期限切れを迎えるのを機に、統一基準を設けるべきだという考えだ。

同国の主要輸出品目である衣料品は、16 年 7 月 - 17 年 1 月の輸出額が 164 億 1,000 万ドルで前年同期比 4.1% 増だったものの、目標額の 172 億 8,000 万ドルには届かなかった。 他国との競争が激化するなか、適切な監査と改善をスムーズに終えて衣料品製造業の発展につなげられるか、今後の展開が注目される。 (ニューデリー支局、sankei = 3-14-17)


帝人、「素材」 + alpha で次の 100 年へ 新ビジネスを展開

素材 + alpha

記事コピー (3-12-17)


オンワードと C チャンネル、共同で新ブランド

アパレル大手のオンワードホールディングス (HD) と女性向けスマートフォン動画サービスを運営する「C Channel (チャンネル)」は 3 日、共同で新ブランドを始めると発表した。 ブランド名は「Two Faces (トゥー・フェイシーズ)」。 20 - 30 代の女性向けに、職場と仕事後のプライベートの両方で使えるよう、リバーシブルになったワンピースなど約 150 点をそろえる。 両社のサイトなどインターネットのみで販売する。 価格帯はブラウスで約 4 千 - 6 千円とオンワード HD の他ブランドより安めだ。

C チャンネルは、「クリッパー」と呼ばれる投稿者たちが洋服のコーディネートや髪形などを紹介する動画サイトを運営。 20 - 30 代の女性に人気で、オンワード HD は百貨店や 40 - 50 代に偏っていた販売先を広げたい考えだ。 C チャンネルのブランド立ち上げは初めて。 SNS での商品宣伝を強めるため、商品企画に女性クリッパー 2 人も参加している。 C チャンネルの森川亮社長は「これからのネット通販は検索して目的買いするのではなく、動画などのコンテンツを見て、『これ欲しい』ですぐ買うのがトレンドになる。 インフルエンサー(ネット上で影響力のある人)がブランドを立ち上げる流れを作りたい。」と話した。 (栗林史子、asahi = 3-3-17)


顧客満足度 1 位、生活用品店は無印良品 衣料品 1 位は?

「顧客満足度調査(2016 年度 サービス産業生産性協議会調べ)」の生活用品店/ホームセンター部門で、無印良品が 1 位となった。 2 位セリア、3 位東急ハンズと続いた。 いずれも商品の品質や品ぞろえが評価の対象に。 ただ「無印良品」や「東急ハンズ」に比べるとマイナーな印象の 100 均ショップ『セリア』。 実は有名人にもファンが多い。 「ヒロミさんは店に在庫がないと取り寄せるほど。 森泉さんも、テレビでセリアを使った DIY を披露していたりしているから、ちょっとしたプレミア感があるんです。(東京都在住の 30 代主婦)」

衣料品部門で 1 位となったのは earth music & ecology。 2 位ハニーズ、3 位 GAP となった。 経済評論家・平野和之さんが言う。 「『earth music & ecology』はいち早くファッション通販『ZOZOTOWN』と連携し、店舗のない地域でも買うことができるようにした流行感度が順位に関係しているのでしょう。 同じように若い女性向けの洋服を扱う『ハニーズ』は 3 か月ごとに商品を入れ替えてお客さんを飽きさせずに、安くても最先端のファッションが常に楽しめるよさがあります。」

一方、巨大企業ユニクロは圏外。 「安くて品質もいいので男性の私はジャケット、シャツを買えますが、ファッション性を求める女性はどうでしょうか。(平野さん)」 移り気な女心をつかんだ企業が上位に来たということ。 (News Post/Seven = 2-28-17)


浅野撚糸、体温調節容易な「より糸」開発 スポーツ衣料向き

衣料品に加工する「より糸」を生産する浅野撚糸(岐阜県安八町、浅野雅己社長)は体温調節がしやすいより糸を開発した。 「スーパー ZERO425」で、この糸を使って生産した衣料品は吸水性が高く汗をかいてもすぐ蒸発するため、皮膚の体温を下げやすい効果があるという。 スポーツ衣料に向いているとみて売り込みを進める。

特殊なのりでコーティングした綿糸によりをかけた後、のりを溶かして仕上げている。より糸自体が空気を含み、手触りがよいうえ吸水性が高い。 普通の状態だと保温性が高い一方で、汗をかくと体温を下げやすい。 一般的な綿糸に比べ、運動した後、体温が 0.7 度低くなったという。 衣料品メーカーに採用を働きかけ、年間 2 億円の販売を目指す。 (nikkei = 2-27-17)


コックス 2 期連続営業赤字 衣料品販売が苦戦

カジュアル衣料専門店のコックスは 23 日、2017 年 2 月期の連結営業損益が 1 億 7,000 万円の赤字(前期は 4 億 1,400 万円の赤字)になりそうだと発表した。 赤字は 2 期連続となる。衣料品販売が想定以上に苦戦した。 売上高は 2% 減の 209 億円と、従来予想(3% 増の 220 億円)を下回る見込み。 商品構成を変えるなどして秋冬物で挽回しようとしたが、上期の出遅れ分を補えなかった。 投資有価証券売却益などを計上するため、純利益は 5,000 万円の黒字(前期は 7 億 3,500 万円の赤字)の見通しを据え置いた。 (nikkei = 2-23-17)


三陽商会、過去最大の赤字 「バーバリー」契約切れ苦戦

主力だった英ブランド「バーバリー」のライセンス契約が切れた三陽商会の苦境が続いている。 2016 年 12 月期決算の純損益は過去最大の赤字。 新ブランドで巻き返しを図るが、消費全体が低調で安価なファストファッションが主流となる中、業績回復は見通せない。 「顧客ニーズを把握できず、対応が遅れた。」 岩田功社長は、14 日の決算発表の記者会見で語った。 売上高は前年比 30.6% 減の 676 億円、純損失は 113 億円と、5 年ぶりの赤字。 17 年 12 月期の見通しは、売上高が前年比 6.8% 減の 630 億円、純損益は 14 億円の赤字の見通しだ。

今後は、20 - 30 代向けの新ブランドなど、3 - 4 の新規事業を展開する。 既存のブランドは価格帯が高めで、現在の売上高の 7 割は百貨店での販売が占めるが、駅ビルやショッピングセンターなどへの販路拡大を進める。 また、インターネット通販向けに価格帯を 2 - 3 割下げた専用ブランドも立ち上げる。 ネット通販での売上高は、19 年には現在の 2 倍の 80 億円に増やす計画だ。 岩田社長は「M & A (企業合併・買収)も含めた外部の力も借りながら、新たなビジネスを展開していきたい」と話す。

バーバリーブランドの商品を売るライセンス契約が切れたのは 15 年夏。 14 年以前は 1 千億円超の売上高があったが、この 2 年間で 4 割超も減少した。 長年、紳士向けコートやチェック柄の衣料で知られ、抜群の知名度があるバーバリーを超えるブランドの育成は容易ではない。 三陽は「ブルーレーベル クレストブリッジ」などを後継ブランドと位置付けたが、バーバリーの抜けた穴はカバーできていない。 当面は不振のブランドの廃止や、百貨店などの売り場の削減、早期退職での人員削減でコストを減らし、赤字を縮小する方針だ。 (栗林史子、asahi = 2-15-17)

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中国コスト高で利するイタリア、繊維需要が欧州回帰

[香港/ビエッラ(イタリア)] 世界の繊維製品取引で、買い手側が仕入れ先を中国から欧州のサプライヤーに切り替える動きが増えつつある。 中国製品の生産コストが賃金やエネルギー価格上昇に伴って割高化していることが背景だ。 イタリア羊毛産業の中心地で北部ピエモンテ州にある都市ビエッラでは、中国製品との価格差縮小や買い手との地理的な近さがもたらす優位性によって高級衣料を扱う顧客を奪い返せるようになった、と工場経営者たちが口ぐちに話している。

その経営者の 1 人であるアレッサンドロ・バーベリス・カノニコ氏は、ある有名な欧州の顧客が最近同氏に対して何度も電話をかけてきて、コスト上昇や品質へのこだわりが高まっている状況のために中国製品の買い付けを断念し、多様な品ぞろえを実現する上でぜひともビエッラの力が必要だと訴えた、と打ち明けた。 カノニコ氏によると、この欧州の顧客は海外の仕入れに活路を求めたが結局うまくゆかず、イタリアに戻ってきたという。

中国が依然として繊維産業で世界の首位に立っているのは間違いない。 中国国家統計局や業界団体などのデータによると、繊維産業の雇用は 460 万人を超え、国内総生産 (GDP) の 10 分の 1 を生み出し、衣料品を含めた輸出額は 2015 年で 2,840 億ドルに上った。 しかし賃金は経済成長率を上回るペースで上昇し、もはやコスト面だけで十分競争できる水準ではない。

同時に中国の繊維産業は、綿花や羊毛といった原材料輸入に高い関税を支払い、環境基準達成のための費用も負担しなければならなくなっている。 中国政府が昨年 9 月に発表した繊維産業の 5 カ年計画でも、コスト上昇が国際競争力を弱め、技術力がより高いイタリアなどの先進国勢と、中国より賃金が低い新興国勢の挟み撃ちに見舞われている、と認めた。

品質重視も後押し

国際繊維製品製造業者連合会 (ITMF) のデータによると、イタリアと中国の労働力コストの差は、2008 年から 16 年までに 1 キログラム当たり 0.82 ドルから 0.57 ドルまで約 30% 縮小した。 香港の繊維メーカー、Wah Fung Group の Shiu Lo Mo-ching 最高経営責任者 (CEO) は「中国の賃金がそれほど低くはなくなったので、原材料を中国に輸入して欧州に製品を輸出するという手間をかけるだけの魅力が以前よりもずっと薄れた。 生産拠点を欧州に戻すことが好ましいと考えられており、この傾向は極めて鮮明だ。」と話した。

欧米のアパレルブランドは今品揃えの拡充を迫られており、消費者はますます自分独自の装いを求めている。 それだけにサプライヤーはアパレルブランドに近くに位置し、ニーズの変化に迅速に対応することが望まれており、この点からも原材料調達地と生産拠点が接近している欧州に利がある。 イタリアの繊維メーカー、レダのエルコル・ボット・ポアラ CEO は「中国ではサプライチェーンが分散しており、(イタリアに)競争上の優位をもたらしている」と指摘した。

これまでコストの安さを優先して品質に目をつぶっていた買い手が、お金を出す値打ちがある製品に再び注目するようになった、と話すのはイタリア繊維メーカー、トレグノ 1900 の幹部ジョバンニ・ゲルマネッティ氏だ。 アパレルブランドの中には、他社製品との差別化を図り、高品質をアピールするため、イタリア産羊毛を使用した製品に調達を切り替える動きも出ている。 (Venus Wu、Giulia Segreti、Reuters = 2-14-17)


着るだけで心拍数測れます タンクトップ型、実験開始

藤田保健衛生大と東レ、NTT、NTT ドコモは 6 日、肌着のように着るだけで心拍数を測定できる生地「hitoe (ヒトエ)」を使った実証実験を始めると発表した。 入院中の患者の心拍数や活動状況をモニタリングする。 効果的なリハビリで早期回復につなげ、退院後の遠隔見守りサービスにも役立てたいという。 3 年後の実用化を目指す。 hitoe は、東レと NTT が開発した。 電気を通しやすい性質を持ったペースト状のプラスチック(導電性高分子)を、ポリエステル繊維に塗り込んだ。 繊維の直径は一般衣料の 20 分の 1 と細く、皮膚との接触面積が増え、心臓の動きで発生する電圧を検出できる。 洗濯も可能だ。

実証実験では、脳卒中や整形外科疾患などの外来や入院患者にタンクトップ型のウェアを肌に直接触れるように着てもらう。 ウェアに付けた縦 70 ミリ、横 37 ミリ、重さ 24 グラムの端末で動きの様子が分かる加速度を計測する。 無線通信のブルートゥースを使って 24 時間データを集めるため、医師や理学療法士は患者の活動の様子をリアルタイムで見られる。 (月舘彩子、asahi = 2-8-17)


衣料ビジネス、VB が「衣替え」 IT や AI 活用

ベンチャー企業 (VB) が衣料の新たな事業モデルを提供している。 シェアリング(共有)サービスに加え、IT (情報技術)や人工知能 (AI) でネット通販の普及を後押しする。 VB のアイデアが市場全体を活性化させる可能性もある。 「月何回でも使え、出費も抑えられる。 家に余分な服をためこむ必要もない。」 昨秋からエアークローゼット(東京・港、天沼聡最高経営責任者 = CEO)が提供する衣料品のレンタルサービスを使う都内の団体職員、大倉美智子さん (32) はうれしそうに話す。 大倉さんは月 4 回ほど自宅に届けられたワンピースやスカートなどを職場に着ていく。

普段は落ち着いた色柄を好むが、たまに鮮やかな服を着ると、同僚の評判もいい。 利用料は月額で税別 6,800 円から。 好みに合わせ、スタイリストが 3 着選んで、配送してくれる。 送料や返品時のクリーニング代は無料だ。 シェアリングサービスが普及すると、新品の売り上げが減少することを懸念するアパレル企業もある。 エアークローゼットでは気に入った商品の購入もできる。 利益をブランドに還元する仕組みをつくったことで、協力企業は増え、取り扱う衣料は 300 ブランド以上、約 10 万点にのぼる。 衣料の管理は寺田倉庫(東京・品川)、クリーニングは「ホワイト急便」の中園ホールディングス(熊本市)が協力する。

会員は約 10 万人まで増えた。 2016 年にはセレクトショップ大手のビームス(東京・新宿)と連携、新作衣料の試着サービスを始めた。 エイブルとも連携、東京・表参道にレンタルする前に試着できる店も出した。 既存業者と摩擦を起こしやすい一般的なシェアリングビジネスの枠を超え、アパレル企業、レンタル会社双方が利益を取れるウインウインのビジネスモデルを志向する。

「以前はサイト上で見てもサイズが不安で、結局店で見てから購入するか決めていた。 不安が軽減された。」 都内在住の 30 代男性はこう語る。 利用したのはスウェーデンの VB、バーチャサイズ(東京・渋谷、上野オラウソン・アンドレアス社長)のサービスだ。 ウェブの商品と以前購入した商品のイラストを重ねてサイズやシルエットを比較でき、ネットであたかも試着している雰囲気を味わえる。 履歴が残っていない場合は、手元の衣料の実寸を入力すればよい。 ユナイテッドアローズなど 14 サイトで導入が進んでいる。

2 月下旬からは新サービス「フィッティングルーム」を始める。 提携したサイトで同サービスを使うと、過去に購入した商品の一覧が表示される。 サイトが異なっても表示される。 利用者が以前購入したジーンズを選ぶと、サイトで購入できる商品のうち、手持ちの品のサイズに近い順に商品が一覧で表示される。

カラフル・ボード(東京・渋谷、渡辺祐樹 CEO)は AI を活用する。 昨年 7 月には新サービス「センシークローゼット」を始めた。 同社の AI を活用。 消費者の服の好みを学習し、通販サイトにある商品と購入済みの商品を組み合わせた着こなしを提案する。 ネット通販の夢展望が導入。 「AI で在庫過多という業界の課題を解決したい」と渡辺 CEO は話す。

経済産業省によると、衣類・服飾雑貨などの消費者向け電子商取引 (EC) 市場は 2015 年に前年比 7.9% 増の 1 兆 3,839 億円。 15 兆円を超える衣類・服飾雑貨市場での EC 比率は約 9%。 バーチャサイズのアンドレアス社長は「欧州の半分」と指摘する。 言い換えると、潜在成長率は高い。 試着というボトルネックが解消すれば、ネット比率は一気に高まりそうだ。 (nikkei = 2-6-17)


小松精練、栃木のセイホウを完全子会社に 非衣料分野を強化

小松精練は 1 日、繊維素材を製造・販売するセイホウ(栃木県足利市)を 3 月 1 日付で簡易株式交換により完全子会社化すると発表した。 セイホウは独自技術を強みに医療用サポーターなどの製品を展開している。 小松精練が持つ高度な素材の加工技術と組み合わせて新製品を開発し、非衣料分野の拡大につなげる。 セイホウの資本金は 1,000 万円で、発行済み株式は 200 株。 このうち 59% に当たる 118 株を現金で既に取得した。 取得額は非公表。 残りの 82 株はセイホウ株 1 株に対して小松精練株 1,700 株を割り当てる。

小松精練はファッションやスポーツなど衣料向けの素材に強く、売上高の 65% 程度を占める。 ただ衣料分野は国内を中心に伸び悩んでおり、収益基盤の強化に向けて炭素繊維複合材など非衣料分野の強化に力を入れている。 セイホウをグループに加えることで医療などヘルスケア分野の拡大を見込む。 セイホウの 2016 年 9 月期の売上高は 5 億 55,900 万円、純利益は 2,500 万円だった。 (nikkei = 2-2-17)


ユニチカとクラレ、戦闘服巡る談合で排除命令へ 公取委

防衛省や防衛装備庁が発注する自衛隊の戦闘服などの入札で談合を繰り返していたとして、公正取引委員会は 27 日、大手繊維メーカーのユニチカ(大阪市中央区)とクラレ(東京都千代田区)に対し、談合の再発防止を求める排除措置命令を出す方針を伝えた。 ユニチカには約 2 億円の課徴金を求める方針も通知した。 関係者によると、2 社は 2010 - 15 年、戦闘服などの衣類の入札で落札者を事前に話し合って決めていた独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがある。 直近 3 年間の 2 社の契約で、公取委が談合があったと認定した受注総額は約 80 億円にのぼるという。 (矢島大輔、asahi = 1-28-17)


日本のギャル系ファッション、中国資本で開花

日本で一世を風靡した若い女性向けの「ギャル系ファッション」が中国で開花しつつある。 バロックジャパンリミテッドは年 100 以上の大量出店を計画する。 マークスタイラー(東京・渋谷)は通販での人気を足場に直営店の出店に乗り出す。 ともに中国資本を受け入れ、出店先の選定や物流で支援を受けながら、大量に販売される商品にあきたらない女性をつかんでいる。

上海市内のバロックの店舗。 ブランド「マウジー」がお気に入りという女性 (31) は「デザインも品質も良い」と語り、中国東北部から来た王佳さん (21) は「他の町でもバロックの店があれば立ち寄る」と話した。 バロックは 2000 年前後に東京の渋谷を発信地とする「ギャル系ファッション」で人気を集めた。 かっこよさ、かわいさを際立たせたのが「ギャル系」だ。 国内のブームが一段落し、少子化で市場も縮小していることから、中国で成長をめざすことにした。

中国では世界の衣料大手がひしめく。 欧州の「ZARA」と「H & M」はそれぞれ約 200 - 300 店を出店している。 ファーストリテイリングの「ユニクロ」は 500 店に達し、年 100 店ペースの出店を続ける。 この激戦区に活路を求めるバロックが選んだのは、現地資本を受け入れる道だ。 07 年に中国系投資ファンド、CLSA キャピタルパートナーズジャパンの傘下に入り、13 年からは中国の靴専門店大手、百麗国際控股(ベル)が筆頭株主だ。

バロックは中国で約 2 万店を展開するベルのデータをもとに出店場所を選ぶ。 販売員の採用もベルに委ね、ベルの配送網も使うことで出店を加速した。 13 年に約 20 店だった中国の店舗数は現在約 180 店。 店舗数では世界の衣料大手に迫る。 中国では多少の出費をしても、周囲と同じ服を着たくない若者が増えている。 ベルはバロックがその受け皿になるとみて出資。

実際、バロックでは T シャツが 500 元程度(約 8,300 円)と日本より 5 割も高いが、それでも支持を集める。 16 年 1 月期の中国での売上高は前の期比 2.5 倍の 108 億円となった。 バロックは 17 年にも中国でファストファッションの新業態店の出店を始める。 既存の業態との合計で年 100 店以上と、ユニクロ並みの出店をめざす。 現在約 700 億円の売上高の 8 割以上を日本国内が占めているが、村井博之社長は「日本国内は将来 3 分の 1 以下でよい」と言い切る。

「ムルーア」などのブランドを持つマークスタイラー。 14 年に中国から撤退したあと、16 年 4 月に上海に現地法人を設立して再進出した。 セレクトショップに商品を卸すほか、中国インターネット通販最大手、アリババ集団のサイト「天猫(T モール)」でも販売を始めた。 ネット通販が盛り上がる 11 月 11 日の「独身の日」の売り上げは計画の 4 倍。 予想外の成果に自信を深め、17 年中にも直営店を出店することを検討する。

マークスタイラーは再進出に先立つ 15 年、中国の国有複合企業、中国中信集団 (CITIC) 系の CITIC キャピタル・パートナーズの傘下に入った。 人材の採用や通販サイトの評価など幅広い機能を備える CITIC キャピタルの下で中国展開を加速する。 (東京 = 奥津茜、nikkei = 1-21-17)


衣料大手、商品数絞り込み 売れ筋や定番に集中

衣料品大手が店頭に並べる商品数を絞り込む。 2017 年春夏商品についてセレクトショップ最大手のユナイテッドアローズ (UA) は前年比で最大 3 割減らし、衣料品小売大手のしまむらも 3 割程度削減する。 幅広い品ぞろえを売り物に集客してきたが、売れ残り消化のためのセールが増え、利益を圧迫している。 売れ筋や定番に集中して収益力を高める。

国内衣料品市場はファーストリテイリングのように定番商品に絞り大量販売する SPA (製造小売り)と、利便性が高いインターネット通販に人気が集中し、他の業態は苦戦が続く。 百貨店アパレルなどに比べると、UA としまむらの業績は堅調だが一段の効率化が必要と判断。 一部の客離れのリスクを取り、売れ筋商品の提案を優先する。

UA は主力の「ユナイテッドアローズ」や「グリーンレーベルリラクシング」など 20 を超える店名で店舗を展開する。 17 年の春夏物から商品の絞り込みを本格的に始め、店ごとに前年比 1 - 3 割減らす。 同社は色違いなどを除いても 1 万品以上の品目を扱っているとみられる。 一方、売れ筋の商品はシーズン途中でも販売計画を修正して追加で投入する。 売れ行きが鈍い商品は従来より値引き販売の判断を前倒しして、在庫を増やさないように工夫して割引率を抑える。

しまむらは主力の「ファッションセンターしまむら」で 17 年春夏物の品ぞろえを前年比で約 3 割減らす見通し。 16 年秋冬物から本格的に店頭商品の絞り込みを始めたが、今後も継続する。 靴下や肌着などの定番品は売れ筋だけに絞る。 浮いた人手を販売量の多い戦略商品に振り向ける。 「無印良品」を運営する良品計画も、17 年の春夏物は靴やかばんなど服飾雑貨も含めて前年比で約 1 割減の約 1,000 品目に削減する。 肌着やシャツなどを中心に絞る。

90 年に約 15 兆円あった国内の衣料品市場は 9 兆円程度まで減少し、値ごろ感の高い SPA とネット通販に人気が集中する構図が続く。 ファストリは 16 年 9 - 11 月期の連結純利益が前年同期比 45% 増の 696 億円となった。 経済産業省によると、衣類・服装雑貨市場に占めるネット販売比率は 15 年で 9% と、物販市場全体の約 2 倍に上る。

特に苦戦が目立つ百貨店アパレルはブランド削減に取り組むほか、オンワードホールディングスなど大手 4 社は 15 年度からの約 2 年間で 1,600 店以上を閉店する見込み。 UA やしまむらといった比較的、業績堅調な衣料品大手も利益を確保できる商品開発や販売手法の確立を迫られている。 (nikkei = 1-14-17)


D & D 富山で衣料再生プロジェクト 藍染めの技術でオリジナルの一着に

富山県民会館(富山市新総曲輪 4) 1 階の「D & DEPARTMENT TOYAMA(TEL 076-471-7791)」で 1 月 4 日、「d & RE WEAR 2017 AIZOME」の受け付けが始まった。 D & DEPARTMENT の「染め」による衣料再生プロジェクト「d & RE WEAR」は、2014 年に東京でスタート。 年に 2 回、定番色とその時期のシーズンカラーを織り交ぜ、染め直しサービスを行っている。 富山では 3 回目の開催。

同プロジェクトは、ロングライフデザインの考え方をファッションで表現する活動。 まだ着ることができるのに廃棄される服や、染みや色あせなどで着なくなったお気に入りの服などを染め直して、再び着られるようによみがえらせる。 目まぐるしく流行が移り変わり、消費のサイクルが速く、廃棄が社会問題化しているファッションというジャンルに警鐘を鳴らす同社。 同店の石井唯さんは「コンセプトである『ロングライフデザイン』という考え方を、ファッションという分野でどう反映させられるかを問う新たなチャレンジだ」と話す。

藍染めを行うのは、埼玉県の「武州中島紺屋」。 約 160 年間にわたり藍染めの技術と文化を継承している。 今シーズンは、藍色と浅葱色(あさぎいろ)の中間の色合い「縹(はなだ)」に染め上げる。 天然植物染めのため、服の素材や状態によって仕上がりの色や風合いも変化し、オリジナルの一着に生まれ変わるという。 石井さんは「過去の開催では予想以上の反響があり驚いた。 お気に入りだった服をもう一度楽しんでもらうという、ファッションにおけるロングライフの取り組みを考えるきっかけになれば。」と話す。 (富山経済新聞 = 1-10-17)


ストライプ社 東京に KOE 旗艦店 18 年 1 月 衣料とホテル複合施設

アパレルメーカー・ストライプインターナショナル(岡山市北区幸町)は 5 日、来年 1 月をめどにカジュアル衣料ブランド「KOE (コエ)」の旗艦店を東京・渋谷に出店すると発表した。 ホテルを併設した初の複合施設で、外国人観光客らの利用も想定している。 2020 年以降の世界展開に向け、ブランドの知名度アップにつなげる狙い。 不動産のヒューリック(東京)が建設中のビル(地上 9 階、地下 1 階)の 1 - 3 階に入居する。 延べ床面積は約 1,500 平方メートルで、1、2 階はKOEの衣料や雑貨を販売するほか、飲食やイベントスペースを設ける。飲食は既に手掛けているアイスクリームやサラダバーに続く新しい品目を検討している。

ホテルは 3 階の約 560 平方メートルに開設し、10 室程度を確保する予定。 複合施設は、07 年に閉鎖したファッションビル「渋谷パルコパート 2」跡に建設している。 一帯は衣料や飲食店など若者文化の発信地として知られ、外国人観光客も多いことから開設を決めた。 KOE は 14 年 9 月から展開し、国内に現在 15 店舗を持つ。 主力店「アースミュージック & エコロジー」が 20 - 30 代女性が中心なのに対し、同世代男女や子ども服など幅広い客層のカジュアル衣料を扱う。 20 年以降に欧米で店舗展開する予定。

ストライプ社は新店舗について「買い物だけでなく、日本のファッションや文化を体験できるユニークな店にしたい」としている。 (山陽新聞 = 1-5-17)