ZARA に学ぶ、デジタル時代のファッションブランド哲学

いまこそ迅速化すべき 4 つのポイント

ZARA は、ファッション業界にとって、目の上のコブといえる。 ファッションブランドがランウェイで新しいスタイルを発表した数週間後には、ZARA で類似品が売り出されるからだ。 インディテックス (Inditex) というアパレルメーカーによるファストファッションブランド「ZARA (ザラ)」。 つい先日、2016 年の第 1 から第 3 四半期において、昨年比で 9% も増益があったと発表された。 これは 24 億ドル(約 2,800 億円)に値する。 ZARA に扇動される形で、ファンション業界は消費者からの要求やソーシャルメディア中心のトレンドに慌ただしく対応する必要がでてきた。

ファストファッション界の巨人となった ZARA は、もちろん問題点も抱えている。 大量生産における環境汚染や労働環境について批判されることが多いのだ。 しかし、ZARA と競争するにあたり、従来のリテール企業たちが ZARA から学ぶこともある。 「ZARA は従来のリテール企業たちの足元に火をつける格好となった。 ZARA と同じような成績を出そうと思うと、リテール企業は根本的な改革をしないといけなくなってしまう。 しかし、ここまでファッションブランドが行った対策にも優れたものが出てきている。」と語るのは、L2 のファストファッションに関するリテール専門レポートを制作したケイトリン・アイルワード氏(シニア・リサーチ・アソシエイト)だ。

現存のビジネスモデルを根本的に作り変えてしまうことなしに、ZARA の成功からブランドたちが学べる点について以下にまとめた。

体制変更して素早く「販売」

バーバリー、マイケル・コース、トム・フォード、そしてトミー・ヒルフィガーといったブランドが、プロダクト出荷スケジュールを早めたことで「(ランウェイで)見たものはすぐに買いたい」という消費者たちの欲求に答えたのは大胆な決断であった。 それまでは新しいプロダクトがランウェイで発表されてから店頭で買えるようになるまでに長く待たなければならない時間があったからだ。 人々の目にさらされてすぐに販売が開始されることで、ZARA による類似品の販売の脅威も減らすことができる。

アイルワード氏は「見たものはすぐに購入できるというスタイルは競争力をもつ。 従来のリテール企業からこの動きが出てきたことで、注目も彼らに引き戻されることになった。」と語る。 これを可能にするためには内部での生産システムを変更しなくてはいけなかった。 ランウェイでの発表と同時に、店舗へ出荷できる状態にコレクションを作るためには、迅速な生産システムが必要不可欠。  レガシーブランドの多くは、こうした素早い生産スタイルに慣れていない。

バーバリーの CEO であり最高クリエイティブ責任者であるクリストファー・ベイリー氏はこの点について、「ビジネス・オブ・ファッション」に語っている。 生産システムの変更さえ実行できれば、コレクションについての反省を反映し、新しいインスピレーションを集める選択肢が増えたということだ。

データ重視で素早く「企画」

ラグジュアリーファッション以外でも、リテイラーはデータを活用して消費者トレンドにより早く反応しようとしている。 コーズ (Kohl's) が最近、ミレニアル世代向けに発表したブランドに K/Lab というのがある。 K/Lab はソーシャルメディアのデータを使い、素材やスタイル、色についての判断を下しているという。 K/Lab の 3 人編成のチームはソーシャルメディア、ブログ、そしてカスタマーに関する分析データを読んで、プロダクションやデザインについて判断を下す。 そして、13 週間のペースでプロダクトを生産していくという。

11 月には、ロード & テイラーが 3 つのブランドとパートナーシップを組んで、毎週何かのプロダクトを出していくという計画を発表した。 3 つのパートナーは、アイザック・ミズラーイ、H. ホールストン、そしてハイライン・コレクティブだ。 毎週新しいアイテムを追加することでロード & テイラーは ZARA と同じペースで新しい在庫を獲得することになる。 こういったデータに基づいた、頻繁な在庫追加のスタイルは、ZARA が巧みに行ってきた戦略と重なっている。 ZARA はこれらをさらに大規模に、そして均質に行っているのだ。

「購入者たちが実際にいま見ているもの、こだわりをもってソーシャルでシェアされているもの、実際に欲しいと切望されているものであることが前提だ。 (ブランドたち)はマーケットでデザインをテストして、どのデザインが人気か特定することができる。 そして、それをほかのより確立したラインに取り組むことができる。」と、アーウィン・ペンランドの最高プランニング責任者であるジェシカ・ナヴァス氏はいう。

近場で製造して素早く「納品」

ZARA の在庫が次々と入れ替わることの理由のひとつに、製造の 60% がヨーロッパにあることがある。 そのため商品が店舗に到着するのに長い期間待つ必要がない。 ZARA の製造現場が販売店舗の近くに存在していることについて、アイルワード氏は「大きな要因だ」と同意する。 「そのおかげで工場と倉庫、店舗をつなげることがずっと容易になる。 ほかの企業も真似をしはじめている。」

J. C. ペニーとギャップは、中央アメリカとカリブ地域に製造拠点のいくつかを移動させた。 アジアからこういった地域に製造を移動させることで製造時間の短縮に結びつくのだ。 アメリカ国内で衣服の全行程の製造をしてしまうことには問題もついてくるものの、製造業者とのコミュニケーションやプロダクションチェーンの管理という点ではるかに利点がある。

グロッシーのインタビューでアメリカン・ジャイアントの CEO であるベイヤード・ウィンスロップ氏は「品質に関する問題を見つけるのがはるかに容易になった。 パートナーが LA にいれば、問題について電話一本で話をすることができる。 そうでなければ、コミュニケーションという視点からいうと、失敗がどこにあるのか特定することは、すごく難しくなる」と語った。

ソーシャル上で素早く「勧誘」

ファストファッションに関する L2 による専門レポートでは、ZARA が行うオンラインでの戦略がふたつ紹介されている。 ひとつはプロダクトページで、売り切れになりそうなサイズやプロダクトに焦点を当てることで、急がないといけない雰囲気を生み出すことだ。 アイテムが売り切れた場合でも、在庫情報を閲覧したユーザーがいる場合、通知を受け取ることができる。 ZARA はこの情報を使って、どのようなスタイルやトレンドにより投資をすべきか決めることができる。

ZARA のプロダクトのなかで事前に計画されている部分は 15% しかない。 この「緊急性」を強調するという方法は、ほかのブランドも取り入れはじめている。 フェンディはその例だ。 フェンディの e コマースサイトでは、一定時間以上ユーザーが滞在した場合、ほかに何人が同じプロダクトを見ているか表示される仕組みになっている。

もうひとつは、ZARA のインスタグラムフィードが、ミニマルなプロダクト写真が並べられた自社サイトと似た雰囲気になっていることだ。 各ポストには参照用の番号が割り当てられており、オンラインでの購入を簡単にしている。 この手法もリボルブやアンテイラーによって行われており、ソーシャルのユーザーたちが好きなプロダクトを見つけやすくなっている。

「ブランドのなかにはキャプションを絶対視しているものも存在する。 もっと賢いキャプションやアクションを引き起こすような文面を入れたいと思っているので、こういった手法をとることはない。 しかし、フィードをただ眺めているだけのほとんどのユーザーにとっては、そこまで差別化されるものではない。」と、マーケティング分析会社ダッシュ・ハドソンの CEO であるトーマス・ランキン氏はいう。 (Hilary Milnes、Digiday = 1-5-17)


伊勢丹、福岡に中小型店 高級衣料扱う路面店検討

岩田屋三越(福岡市)の親会社で、百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD、東京)が、高級ファッションや雑貨を取り扱う伊勢丹ブランドの店舗の福岡出店を検討していることが分かった。 中小型の路面店を想定。 市場が縮小し、大型百貨店の再編が進む中、流行に敏感な客層をつかみ、競争力強化につなげる。 三越伊勢丹 HD の大西洋社長が西日本新聞のインタビューで明らかにした。

大西社長は、福岡市では高級衣料品店が売り上げを伸ばしているとして「(市内に)まだポテンシャル(潜在力)はある」と分析。 岩田屋や福岡三越に入居させるのではなく、名古屋市に 2016 年 3 月に開業した中型店のように、独立した路面店とする考えを示した。 立地は「良い場所と条件が合えば」と述べ、天神地区にこだわらず博多駅周辺も検討する。

名古屋の中型店は JR 名古屋駅前の「イセタンハウス」。 ビルの地下 1 階から地上 2 階に計約 3 千平方メートルの売り場を持ち、流行への関心が高く、上質な商品を好む 30 - 40 代の団塊ジュニア世代をターゲットにした化粧品や衣料品、雑貨などを扱っている。 名古屋を 1 号店に、全国主要都市での店舗展開を目指している。 同社は現在、商業施設内の「エムアイプラザ」などを含め、全国に約 100 店舗の中小型店を展開。 16 年度の売上高は 360 億円の見込みで、18 年度までの 125 店舗、年間売上高 400 億円達成を目標に掲げている。 (西日本新聞 = 1-1-17)


アダストリア、米で衣料品販売 まずニット

カジュアル衣料大手のアダストリアは米国で傘下ブランドの衣料品を販売する。 今年出資した米衣料品会社の店舗にまずニット商品を供給して販売。 米国は世界最大規模の衣料品市場で今後も拡大が見込めるが、日本の衣料品会社は十分に開拓できていない。 アダストリアは試験的な販売を通じて市場調査を進め、本格展開を検討する。 (nikkei = 12-28-16)

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アダストリア、「ページボーイ」や「ミスティウーマン」などのアリシアを買収

カジュアル衣料大手のアダストリアは 16 日、若い女性に強いブランドを持つ衣料品会社アリシア(東京・渋谷)を 2017 年 2 月に買収すると発表した。 アリシアの事業を吸収分割の形で切り離し、アダストリアが新設する子会社が取得する。 取得額は明らかにしていない。 アリシアは「ページボーイ」や「ミスティウーマン」など 10 - 20 代の女性に支持されるブランドを展開している。 (nikkei = 11-16-16)

前 報 (6-6-16)


漁師が 1 年はいたデニム、価格 2 倍に … 人気の秘密は?

2 万 2 千円の新品デニムを漁師が 1 年間はいたら、4 万 2 千円の中古デニムに - -。 そんな驚きの取り組み「尾道デニムプロジェクト」が広島県尾道市で続いている。 漁師や農家など、様々な職業の住民がはき古して色落ちさせる。 味が出た 1 点もののデニムは、全国のファンを引きつけている。

組合長「高値で誰が買うんじゃ」

「自分らのはいたデニムが倍の値段で売れるなんて信じられんけえ。 普通は新品がええじゃろ。」 そう話すのは、しまなみ海道を渡ってひとつ目の島、向島の漁協組合長を務める田頭信親(たがしらのぶちか)さん (73) だ。 プロジェクトが始まった 2013 年から参加し、これまでに 6 本のデニムをはき古してきた。

企画したのは町おこしを手がける会社「ディスカバーリンクせとうち(尾道市)」。 同じ備後地方の広島県福山市などでつくられたデニムを漁師や農家、大学教授や寺の住職など様々な職業の人たちに 1 年間はいてもらう。 普段の生活や仕事で色落ちさせた中古デニムを尾道に来て買ってもらうことで、観光や地場産業の発信につなげる狙いだ。

田頭さんは最初、無料で 1 年間デニムをはいてくれという企画に、半信半疑だったが、「タダではけるんじゃったら作業ズボンも買わんでええし、やってみよか」と軽い気持ちで引き受けた。 1 年後、色落ち具合や生地の傷みをチェックされ、4 万 2 千円の値がついた。 自分のはいたものに高値がついてうれしかった半面、「そんな高値で誰が買うんじゃ」と心配した。 ところが、間もなく買い手がついて 2 度驚いたという。 (内田光、asahi = 12-27-16)


衣料品店で電子タグ導入加速 在庫管理や購買分析

衣料品チェーンで電子タグの利用が広がってきた。 カジュアル衣料大手アダストリアは来春から順次採用。 ファストファッション大手インディテックスは主力「ZARA」の国内全店に導入した。 電子タグが普及すれば、在庫管理の時間が 10 分の 1 で済んだり、順番待ちが少ない無人レジも増えたりする見通し。 消費者の購買心理を分析するシステムの開発なども進んでおり、買い物の仕方も変わっていきそうだ。

「グローバルワーク」など複数ブランドで全国 1,300 店を展開するアダストリアは来春から電子タグを導入する。 まず新ブランド「LAKOLE (ラコレ)」全店で採用。 中国の工場や倉庫で商品に付け、集荷作業から効率化する。 効果を検証したうえで他ブランドへの導入を判断する。 店では店内にある商品のデータを一括して取得できるため、在庫管理や商品の陳列見直しなどの時間を大幅に削減できる。 先行して導入した他の企業の場合、30 時間近くかかっていた作業が 2 - 3 時間で済むようになったという。 アダストリアは少ない人数でも運営できる体制を整え、人手不足のなかでも多店舗化を進める考えだ。

ZARA は 2016 年に全店を電子タグ対応にした。 店員の商品管理が容易になり接客を充実したほか、試着サービスの質も高める考えだ。 タグ付きの服を試着室に持ち込むとデータを読み室内のタブレットに商品情報を提示。色違いやサイズ違いの商品を試したい時には、わざわざ店員に声をかけずに端末で知らせるサービスを試験的に始めた。 電子タグはファーストリテイリング傘下のジーユーやセレクトショップ大手のビームス(東京・新宿)など衣料各社が導入に取り組んでいる。 ビームスは 17 年春までに約 140 店ある国内全店で取り入れる考え。

ジーユーは無人レジを 10 店超で採用。 商品を入れたカゴをレジにかざすとまとめて即座に精算が済む。 店内が混雑していてもレジ待ちする時間が少なくなる仕組みだ。 電子タグの価格は仕様にもよるが 1 枚 10 円前後とされる。 このため単価が高い衣料品などで導入実験が先行してきた。 今後はコンビニエンスストアなどが大量導入を検討しており、さらなる低価格化が進む見通し。

普及期をひかえ、用途開発も広がっている。電子タグを付けた商品の小さな動きをアンテナで把握するシステムもある。 データを分析すれば「試着に持っていた組み合わせ」でコーディネートの流行を予想したり、「同じ商品でも並べ方で売れ方が変わる」といったことも分かったりする。 消費者の潜在的な心理をとらえた販促活動などへの応用が始まっている。 (nikkei = 12-23-16)


衣料品製造・販売の桜井に JBIC が協調融資、生産能力増強

国際協力銀行(JBIC、東京都千代田区)は 19 日、衣料品の製造・販売を手掛ける株式会社桜井(愛媛県今治市)との間で、融資金額 4 億 2,000 万円(JBIC 分)を限度とする貸付契約を締結した。

同融資は、あおぞら銀行(東京都千代田区)及び伊予銀行(愛媛県松山市)との協調融資によるもの。 桜井のベトナム現地法人で衣料品の製造・販売事業を行う桜井ベトナム (SAKURAI VIETNAM = SV) の追加設備投資に充てられる。 桜井は 1980 年設立。 衣料品の縫製加工技術に強みを持つ中小企業で、大手日系衣料品メーカーが販売する下着を中心とした衣料品の縫製加工を担っている。 2008 年に SV を新設。 生産能力を増強することで、今後市場の拡大が見込めるアジアへの事業拡大を図る。 (VietJo = 12-22-16)


しまむら、営業最高益 3 - 11 月期、冬物衣料好調で 2 割増

カジュアル衣料大手、しまむらの 2016 年 3 - 11 月期の連結営業利益は、前年同期比 2 割増の 380 億円前後だったようだ。 長引く残暑や台風上陸などの悪天候も加わって秋物の立ち上がりは遅れたが、気温の低下に伴い冬物衣料の販売が伸びた。 ベビー用品も好調だった。 値引き販売の抑制で採算も維持し、同期としては 4 期ぶりに最高益を更新したもようだ。

売上高(営業収入を含む)は 5% 増の 4,300 億円前後を見込む。 国内販売は 4.9% 増加した。 その中でもベビー用品を取り扱う「バースデイ」は 25.1% 増と、伸びが目立った。 秋口の苦戦を経て、足元の販売は持ち直している。 既存店売上高は 9 月が前年同月比 13.8% 減、10 月が 5.4% 減と低迷したが、11 月は 16.4% 増加した。 単価が比較的高い冬物では、裏地に起毛をほどこしたスエットなどの商品群「ウラモコ」や、円形の毛布やロールクッションなどの雑貨が健闘。 前期業績をけん引したヒット商品「裏地あったかパンツ」は発売から 3 年目で販売が一巡したものの、若い女性向けにブルゾンやスカンツなどのトレンドの商品も伸びた。

在庫管理の徹底も最高益更新に寄与した。 商品数を前年から 2 割程度減らし、商品ごとに割引率を設定。 できるだけ値引きせずに販売する体制を整え、9 - 10 月にかけて販売が伸び悩んだ時期でも採算悪化を防いだ。 円相場が 11 月ごろまでは前期と比較して円高水準で推移し、原価を抑えられたことも寄与した。 3 - 11 月期決算の発表は 26 日に予定する。 17 年 2 月期通期の売上高は前期比 5% 増の 5,751 億円(同)、営業利益は 16% 増の 462 億円を見込む。 3 - 11 月期の収益は計画から上振れしたが、通期予想の修正については先行きの販売動向を慎重に見極めた上で判断するもようだ。 (nikkei = 12-20-16)

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しまむらは「衣料品フロア」の救世主になるか

売れすぎパンツの陰で進む出店立地改革

しまむらが大々的に売り出した機能性パンツの快進撃が続いている。 昨年秋冬の「裏地あったかパンツ」の 102 万本のヒットを受け、今年の春夏商戦では従来より機能性を高めた「素肌涼やかデニム & パンツ」を展開。 同社によれば、この 2016 年 3 月 - 8 月に「デニム & パンツ」は 94 万本を売り切った。 「もう 3 年目で食傷気味だが、今年もやる(野中正人社長)」との宣言通り、同 9 月 - 2017 年 2 月も「あったかパンツ」の販売計画 135 万本(前期比 32.3% 増)を見込んでいる。

業績は過去最高に

しまむらが 10 月 3 日に発表した 2016 年 3 - 8 月期(第 2 四半期)決算は、売上高 2,810 億円(前年同期比 5.8% 増)、営業利益 251 億円(同 40.6% 増)と大幅な増収増益となった。 円高が進み仕入れコストが減少したことに加え、「素肌涼やかデニム & パンツ」など販売の主力となるコア商品を強化したことで、例年に比べて在庫処分が少なかったことも好調の要因となった。

同社はこれまで低価格衣料を武器に業績を伸ばしてきたが、2013 年度、2014 年度と 2 期連続で減益に沈んだことから方針を転換。 これまでの、多品種少量生産による売り切れご免型から、売れ筋をコア商品と位置づけ、注力するビジネスモデルに転換しつつある。 秋冬商戦では「裏地あったかパンツ」の販売を 135 万本計画。 「さらば 重ね履き」というキャッチフレーズのテレビ CM を集中投下しており、認知度拡大と販売促進に力を注ぐ。 コア商品の比率は上期で 1 割程度まで拡大しており、下期はさらに増やす予定だ。

品ぞろえ改革に脚光が当たるが、その陰では出店立地についても改革が進んでいる。 グループの店舗数は 2,032 店舗(2016 年 8 月 20 日時点)、そのうち主力の「ファッションセンター しまむら」は 1,354 店舗を占めている。

しまむらはこれまで、地方の幹線道路沿いに大型の路面店を出店してきた。 商品の価格が安くても、賃料水準が安い郊外を中心に運営することで、成長を維持してきた。 そのため、集客力があっても、賃料が相対的に高い地方や都市部の総合スーパーやショッピングセンターへ進出する例はほとんどなかった。 だが、近年は方針を転換。 2011 年に総合スーパー、「ゆめタウンみゆき店(広島市)」へ初出店。 2013 年 11 月にはヨーカ堂系ショッピングセンター「ショッピングプラザ鎌ヶ谷(千葉県鎌ケ谷市)」にも出店した。

商業施設の開拓が焦点に

背景にあるのが、西友やイトーヨーカドーといった総合スーパーの衣料品部門の不振だ。 特に西友は自前主義と決別、この 7 月には「西友与野店」に「しまむら」をオープンさせたように、自社の衣料品売り場に続々と誘致を進めている。 総合スーパー側から好条件の出店要請が舞い込むようになっており、着実に出店事例を積み重ねている。 実際に上期に出店したしまむら 10 店のうち、4 店舗がこうした業態への出店だった。 今月 10 月 13 日にも船橋市の商業施設「ビビット南船橋」 1F に千葉県内最大級のしまむら店舗をオープンする予定だ。

しまむらは今期、グループ全体で約 70 店の出店を計画しているが、数年以内に年間 100 店舗までに引き上げる見込みだ。 その際に、比率が高まるのが総合スーパーやショッピングセンターだ。 「空いた区画は貪欲に取っていきたい、まさに全方位外交だ。(野中社長)」

ただ、懸念材料もある。 既存店売上高の前年対比は 8 月、9 月と 2 か月連続で前年を下回った。 特に 9 月は前年同月比 86.2% と 2 ケタ減だ。 「度重なる台風直撃などの天候不順の影響。(会社側)」 「GU」や「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどが同価格帯の商品を投入するなど、競争も激しくなってきている。 野中社長は 2015 年度にグループ 2,000 店舗を達成したことで、長期的な目標として 3,000 店舗の実現を掲げる。 はたして、しまむらの快進撃はこのまま続くのか。 コア商品でヒットを出し続けられることがカギを握る。 (菊地悠人、東洋経済 = 10-13-16)


郵船ロジと浪速運送、カンボジア発衣料品物流のワンストップサービス

【カンボジア】 郵船ロジスティクス(東京都港区)と浪速運送(大阪市)は 2017 年春から、カンボジアから日本への衣料品物流ワンストップサービスを提供する。

カンボジアの縫製工場で生産された商品の検品、検針、流通加工、店舗仕分けなどを浪速運送の現地検品物流センターで行い、郵船ロジスティクスが国際輸送を担当する。 顧客企業が日本に設けていた物流センター機能を浪速運送が一括で請け負い、人件費の安いカンボジアに機能を移管することで、コスト削減が可能になる。 また、郵船ロジスティクスのサプライチェーン可視化システムを使い、浪速運送の現地検品物流センターでの検品状況、検品結果から日本までの輸送状況を一元管理し、インターネット環境があればいつでも進捗状況を確認することが可能になる。 (Newsclip = 12-18-16)


アパレル各社が衣料リサイクルで不振打開

環境保護の企業イメージ

アパレルメーカー各社が衣料品の回収、再利用に力を入れている。 羽毛を再生して仕立て直したり、毛布を作って被災地に送ったりと手法はさまざまだ。 繊維製品のリサイクル率は 1 割前後と他の資源より大幅に低い。 環境にやさしい企業イメージを醸成し、販売不振の打開に少しでもつなげたい考えだ。

大きな襟の最新デザインのロングコートには「グリーンダウン」と印刷された緑色のタグが付いている。 再利用した羽毛を使う業界共通の目印で、タグがなければ再利用と分からない。 コート 1 着には水鳥約 10 羽分の羽毛が必要。 中国をはじめとする世界的な需要増加で、高品質な羽毛の確保が年々難しくなっている。 羽毛には耐久性があることから、アパレル大手の三陽商会は再利用した羽毛を使ったコートやジャケットの製造販売を 2014 年に始めた。 回収したコートや布団から集めた羽毛は、三重県明和町の羽毛メーカー「河田フェザー」が地元の地下水で洗浄する。 細かな汚れや臭いが落ち、洗浄前より軽くて暖かになるという。

製造できる数は限られるが認知度は上がり、三陽商会に「リサイクルに使って」と古いダウンコートなどを持ち込む顧客が増えた。 担当の橋村有幸さんは「年間約 9 万 - 10 万着のダウンを製造するメーカーとして、売って終わりではない企業の在り方を提案したい」と話す。

「五大陸」のブランドがあるオンワード樫山は 09 年から年 2 回、自社ブランドの衣料品を店頭で回収している。 天然繊維や合成繊維を混ぜて毛布や軍手を作り、国内外の被災地に寄贈する。 これまでに毛布は約 2 万 5,500 枚、軍手は約 60 万組を製造した。 スポーツ用品メーカーのゴールドウインは、ブランドや素材を問わず年間を通して衣料品の回収を続けている。 繊維リサイクル会社に送り、フリースや布製バッグなどに生まれ変わる。 担当者は「環境保護のためにできることをやりたい」と話している。 (sankei = 12-17-16)


衣料 値下げの冬 青山や ABC マート、節約志向受け集客重視

衣料品や服飾雑貨で値下げの動きが広がっている。 紳士服の青山商事が傘下のカジュアル衣料店でほぼ全ての商品を対象に値下げに踏み切るほか、靴専門店の ABC マートは従来より価格を約 2 割下げた商品を売り出した。 景気や賃金の先行き不透明感から家計の節約志向は強まっており、セールを含めた値下げ商戦が一段と広がる可能性がある。

青山商事は子会社が運営するカジュアル衣料店「アメリカンイーグル」の約 30 ある全店舗で、ほぼ全商品を対象に来年 1 月から価格を見直す。 値下げ幅は一律でないが春夏向けが中心で 3 千円の T シャツの場合、500 円ほど下げる見通し。 12 年からアメリカンイーグルの出店を始めて以降、初めての値下げとなる。 ABC マートはビジネスや婦人、カジュアル靴の一部をこのほど 2 割値下げした。 商品数に占める割合は数 % だが、全体の約 2 割の約 200 店に導入したところ客数は前年を上回っているという。 「値ごろ感のある製品を用意することで、地方や郊外の店舗を中心に新しい顧客を掘り起こしたい(小島穣取締役)」という。

アパレル業界で先行して値下げしたのはファーストリテイリング傘下のユニクロだ。 2014、15 年の 2 年連続で値上げしたが顧客離れを招き、15 年の年末は既存店売上高が前年末に比べ約 1 割減った。 今年に入って方針を転換し、春夏商戦でハーフパンツやシャツなど主要製品の価格を下げた。 10 月まで 2 カ月連続で国内既存店客数が前年同月を上回るなど客足が回復している。 ユニクロは下げた価格を来年も据え置く方針で、アパレル各社はこうした動向もにらみながら価格の見直しに動く。 青山商事は「競合店に価格で負けてしまった(宮武真人副社長)」としており、低価格による集客にカジを切り、売り上げ増につなげたい考えだ。

三陽商会は来年の春夏向け商戦から「マッキントッシュロンドン」の婦人服を 10% 値下げする。 最低価格帯はコートが 5 万円台から、ジャケットが 3 万円台からと、従来よりそれぞれ 2 万円程度安くする。 婦人服のハニーズもニットやコートなど秋冬物の過半を前年比 10% ほど値下げした。 ミャンマーの自社工場を本格稼働し、人件費の高まる中国から生産を移してコストを抑える。 衣料雑貨店「無印良品」を運営する良品計画は来年 1 月から新商品を順次値下げする。 オーガニックコットンの T シャツは 990 円、チノパンは 2,990 円とそれぞれ 500 - 1 千円ほど安くする。 価格の大幅見直しは 7 年ぶりとなる。 (nikkei = 12-1-16)


脱税、衣料品販売会社を告発 大阪国税局

女性向けファッションブランド「GRL (グレイル)」を展開する大阪市西区の衣料品販売会社「Gio (ジオ)」が約 4,700 万円を脱税したとして、大阪国税局が塚原大輝前社長 (38) = 大阪市西区 = と、法人としての同社を法人税法違反の疑いで大阪地検に告発したことが分かった。 重加算税を含む追徴税額は約 6,900 万円に上る見込みで、一部は納付したという。 (mainichi = 11-30-16)


純国産衣料に再起を託す アパレル熱心、産地は静観

日本国内で製造工程が完結する「純国産」の衣料品に光を当てる取り組みがアパレル業界で始まっている。 「繊維産業の復活」の旗が翻るが、繊維産地には冷ややかな見方もある。 「純国産衣料」の普及を促しているのは業界団体の日本ファッション産業協議会だ。 織り・編み、染色・整理加工、縫製、企画・販売をすべて日本で手掛けた国産品を「J∞QUALITY (ジェイ・クオリティー)」商品として認証する制度を 2015 年 2 月、創設した。

ヒット商品も誕生

日本の繊維産業は、製造から販売まで工程ごとに細かく企業が分かれているのが特徴。 「川下」で製品の企画・販売を担うアパレル企業の力が強く、「川上」の企業は下請けの色合いが濃い。 今回の認証制度も、各工程の企業が認証を受けた後、アパレル企業が商品ごとに改めて申請する仕組みだ。 9 月末時点で、認証を受けた企業数は 700、商品数は 850 を超す。 審査を通過した商品は専用タグを付けて販売され、三陽商会の「100 年コート」などのヒット商品も生まれた。

オンワード樫山の「五大陸」ブランドの紳士コートも認証商品。 織り・編みはイチテキ(愛知県一宮市)、染色・整理加工はソトー(同)、縫製は東和プラム(岩手県花巻市)が担当する。 価格は税抜きで 13 万円と決して安くはないが、高品質と着心地の良さをアピールしている。 オンワード樫山の関口猛執行役員は「技術力が高い産地企業との関係を強化したい」と話す。

もっとも、衣料品全体に占める割合はまだ、ごくわずか。 同協議会が運動を始めたのは、「日本の繊維・縫製産地の地盤沈下に歯止めをかけたい(松田雍晴事務局長)」狙いからだ。 景品表示法では、衣料品の最終工程である縫製だけを日本で手掛ければ「国産」と表示できる。 にもかかわらず、日本で販売中の衣料品の品番数のうち「国産」は業界推計で 3%。 純国産は多く見積もっても国産のうちの半分程度とみられている。 日本の繊維産業の事業所数は約 1 万 3 千と過去 20 年間で約 4 分の 1 に減っている。 バブル崩壊後のデフレ経済のもとで、アパレル各社が、中国を中心とする海外からの調達を増やして製造原価を引き下げたのが主な原因だ。

円安で国内回帰

国内産地を再活用する動きが出てきた大きな理由として円安の定着がある。 輸入品と国産品との価格差が小さくなり、国内の技術力に改めて目を向けるアパレル企業が増えてきた。 品質や安全性を重視する消費者の一部も「純国産衣料」に注目し始めている。 ただ、「川上」の繊維産地の反応はまちまち。 「国内回帰」を歓迎する声がある一方、「アパレル企業はどこまでやる気があるのか読めず、大幅な受注増は期待できない」と模様眺めの企業も多い。

繊維産地の実態調査を続ける大阪府大阪産業経済リサーチセンターの小野顕弘主任研究員は「受注減で廃業を余儀なくされた企業と、自社ブランド品の直接販売や海外ブランド企業からの受注などで活路を開く企業の二極化が進んだ」と分析する。

染色加工業の松尾捺染(大阪市)はインクジェットプリンターを活用したデジタル印刷技術に強みがあり、ハンカチや雑貨などへのプリントを本業にしてきた。 08 年のリーマン・ショック後、苦境を脱するために目を向けたのが「川下」への進出だった。 地元企業と協力して自社ブランドのストールなどを開発し、百貨店の催事に積極的に参加する。 松尾治社長は「下請けだけでは生き残れない」と従業員に意識改革を促す。

消費者にとって「純国産」は数ある判断材料の一つにすぎない。 産地の疲弊で急速に分解と崩壊が進行しつつある国内の製造・販売システムをどのように立て直し、消費者に純国産の魅力を浸透させるのか。 アパレル企業は重い課題を背負っている。

日本製、評価する声多く

「試着して気に入った服が日本製だとうれしくて買う」、「日本の縫製技術はすごい。 中国製とは違うよと叫びたい。」、「本当なら日本製を選びたいけど、経済的な理由で、いまは買い足せる余裕はない。」 ツイッターでは、日本製の質の高さを高く評価する声がある半面、値段の高さが購入をためらわせると不満を訴える人がいた。 一方、「ここ数年、安価な服を買うたびに生地が薄く縫製が甘くなっている気がする」、「服を購入するときはデザインと素材をみる」といった書き込みも多く、値段が高いと感じても質を重視して服を選ぶ人は増えているようだ。 調査は NTT コムオンラインの協力を得た。

「染色技術を武器に」東大阪・中小企業の挑戦

日本の繊維産地の苦境が続くなか、新機軸を打ち出す企業が増えている。 繊維産業の地盤沈下が進んできた大阪で逆風を跳ね返し、新規事業に取り組む中小企業の事例を紹介する。

松尾捺染(大阪市)の創業は 1926 (大正 15)年。 初代の松尾治三郎氏は木版によるプリントを手掛ける有限会社「松尾盛進堂」を大阪・船場に設立した。 木版は1色のプリントには向いているが、多色刷りになるとうまくいかない。 2 代目の正男氏は「シルクスクリーン」を活用した捺染(なっせん)に変える。 東大阪市内の工場でハンカチやスカーフを染色し、業容を拡大した。 1964 年に株式会社「松尾捺染」を立ち上げ、事業の基盤を築く。

3 代目の治氏が社長に就任したのは 36 歳のとき。 1975 年にドイツ・ロイトリンゲン繊維工科大学で、修士に相当するディプロームを取得し、25 歳で帰国後、一社員として働いてきた。 ハンカチと雑貨向け染色事業は堅調で財務内容も良好だった。 80 年代後半からのバブル経済の波に乗り、年商は 20 億円に。 キャラクター商品の全盛期であり、サンリオ、バンダイ、ディズニーなどからの受注が急増した。

90 年代に入り、バブル経済が崩壊すると業績が悪化する。 95 年、京セラの「アメーバ経営」を導入して部門別の採算管理を徹底し、苦境を乗り切ろうとした。 取引銀行からの「貸しはがし」を何とか防ぎ、生き残りを模索する。 2001 年には米国からの大型受注が舞い込み、息を吹き返す。 しかし、08 年のリーマン・ショック後、再び受注が急減した。

このままでは生き残れないと危機感を強める中で目をつけたのが、自社ブランド品の直接販売だ。 地元企業と協力してストールなどを開発し、百貨店の催事に出店している。 直接販売のサポート役は、大阪府と協同組合関西ファッション連合が事務局を務める「せんば適塾」。 新商品や新事業の開発を支援するプラットフォーム事業で、中小企業や関連団体などが交流する場として、10 年に発足した。

バブル崩壊後、中国産をはじめとする安価な輸入品が繊維産地を直撃した。 大手アパレルからの受注を待つだけでなく、自ら企画・販売を手掛けたいと考える中小繊維メーカーが増えたが、アパレル企業に代わる「まとめ役」の不在に悩んでいた。 「せんば適塾」はそんな悩みに応える役割を担う。 せんば適塾で交流を深めた企業を中心に、デザイナー、糸・生地・染色・縫製などの企業がノウハウを持ち寄り、新たな商品をつくる「ZOO PROJECT」が 13 年にスタートした。 プロジェクトから生まれた商品を百貨店でも定期的に販売している。

松尾捺染は来春、創業の地である大阪・船場に店舗を設ける計画だ。 松尾社長自ら店頭に立って生地などを販売するほか、アーティストが作品を発表する場を提供するなど、繊維・ファッションの情報発信の拠点としても活用する。 同社の売り上げ全体に占める直接販売の割合はまだ小さいが、「近い将来、収益の柱に育つ」と 50 人強の従業員に理解を求めている。 (編集委員 前田裕之、nikkei = 11-20-16)


「無印良品」 300 点値下げへ 衣料品や食品、来春から

「無印良品」を運営する良品計画は、来年春から夏にかけて投入する衣料品や食品など約 300 点を値下げすると明らかにした。 消費者の節約志向が強まるなか、主力の定番商品を値下げして集客力を高めるねらいだ。

衣服では、婦人用 T シャツを 1,500 円から 990 円に、チノパンは 3,980 円から 2,990 円にそれぞれ値下げする。 2 万 5 千円のキャリーケースは約 5 千円値下げする。 食品では、「ブールドネージュ」などのクッキーを 200 円から 190 円に下げる予定だ(価格はいずれも税込み)。 同社は昨年 12 月に値上げした 3 足セットの靴下を、8 月から値下げした。 品質を高めての値上げだったが売れ行きが鈍り、値下げに踏み切った。 松崎暁社長は先月、「来年以降は価値に見合ったプライスライン(価格帯)を強化したい」と述べ、定番の商品群を値下げする可能性を示唆していた。 (栗林史子、asahi = 11-10-16)


英小売大手「マークス & スペンサー」衣料品不調で店舗を大幅閉鎖へ

イギリス国内では衣料品、生活雑貨、食料品のフルラインを扱う店舗を今後 5 年で 30 店舗閉鎖。 売上の落ち込みが顕著な衣料品部門は店舗面積を縮小し、好調を維持する食料品のみを扱う形態の店舗に移行する。 また中国、フランス、ベルギーなど 10 カ国で展開する 53 の店舗を閉鎖することも合わせて発表され、海外はアイルランド、香港、チェコのみの展開となる。

同社によるとここ 5 年、衣料品部門が足かせになり売上が減少。 今後、衣料品は全体の売り上げの 17% を占めるオンラインストアに注力し、店舗縮小でランニングコストを削減しつつ、効率のいい食料品事業で穴を埋めたい考えだ。 (Fashionsnap = 11-10-16)


ばあちゃん特製ふんどしパンツ 1 万円のセットが完売

縁結びの「御利益」で知られる島根県の出雲地方。 その山間部に位置する雲南市の高齢化率は 36% を超え、全国平均の 20 年先を走っている。 この地域から「縁結びパンツ」と名付けた商品が売り出されようとしている。 中心になっている福山順子さん (31) は市出身。 東京で看護師をしていることもあり、健康に良いとされる締め付けがゆるい「ふんどしパンツ」に関心があった。 デザインがかわいいと思えるものが市販されておらず、自分で作ってみてもうまく裁縫できなかった。 思い浮かんだのが裁縫が上手な田舎の「ばあちゃん」たちだった。

昨年夏、故郷の市職員に「高齢女性に縫ってもらいたい。 欲しい人はいるはずなので私が全国で売りたい。」とアイデアを伝えた。 若手起業家らを支援している市の NPO おっちラボを紹介され、資金確保や売り出し方のアドバイスを受けることができた。 生地を福山さんが仕入れ、縫製業をしている市内の女性 2 人に 1 枚千円で裁縫を発注。 60 代後半の 2 人は「若い人のチャレンジを応援したい」と賛同した。 つるつる滑るシルクは縫製が難しいことなどの助言をしながら仕上げてくれた。

今年 9 月からネット上で試験販売。 シルクとコットンの 2 枚セットで 1 万円もする商品 88 枚が 2 週間で完売した。 消費者の健康志向に加え、「縁結び」、「おばあちゃんが縫う」というキャッチフレーズも受けた。 11 月からは縫い手を増やし、本格的にネットで売り出す予定だ。 おっちラボの事務局長で弁護士の小俣健三郎さん (35) も東京からのIターン者。 雲南市では最近、住民が交流するカフェや訪問看護ステーションなど地域の課題解決につながる起業の動きが出てきたという。 「下着も高齢者の生きがいにつながる事業。 ビジネスとして成り立つよう支援していきたい。」と話す。 (asahi = 11-2-16)