中国人民銀、追加利下げ発表 景気減速への危機感映す

中国の中央銀行、中国人民銀行は 10 日、金融機関の預金・貸し出しの基準金利を 11 日から 0.25% 幅引き下げると発表した。 利下げは 3 月 1 日以来。 企業や個人がお金を借りやすくする金融緩和策の連発は、歯止めのかからない景気の減速への中国当局の危機感を映し出している。

今回の利下げで 1 年物の金利は、貸し出しが 5.10% に、預金が 2.25% になる。 人民銀が昨年 11 月に 2 年 4 カ月ぶりの利下げに踏み切って以降、今回の局面での利下げは 3 度目だ。 この間、同様にお金を借りやすくする効果がある預金準備率の引き下げも今年 2 月と 4 月に繰り出しており、中国は本格的な金融緩和の段階に入っている。

中国の 1 - 3 月の国内総生産 (GDP) 成長率は 7.0% で、政府の年間目標ぎりぎりまで減速。 4 月も輸出が前年割れした。 人民銀は今回の利下げの理由について「外需も変動が大きく、我が国の直面する経済の下ぶれ圧力は強い」としている。 人民銀は同時に、金融機関の裁量で決められる預金金利の上限を現行の「基準の 1.3 倍」から 1.5 倍に引き上げ、金利の自由化をさらに進める。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 5-10-15)


中国の「労働力」 押し寄せる「ロボット化」の波 = 中国メディア

中国メディアの経済日報は 5 日、中国国内の製造業の現場では「人件費の上昇」などを背景に、労働者に取って代わって産業用ロボットの導入が進みつつあると論じる記事を掲載した。 記事は、広州、香港、マカオを結ぶ珠江デルタ地域が中国でもっとも労働者の多い地域の 1 つであることを紹介しつつ、現地の製造業の現場では労働者に取って代わって産業用ロボットの導入が進みつつあると伝えた。

さらに、珠江デルタ地域の各都市においても産業にロボットを活用することを推進する政策が次々と打ち出されていると伝え、その背景には「人件費の上昇がある」と指摘。 また、中国の人口ボーナスが失われ、今後は「総人口が変わらないという前提のもとでも、年 300 万 - 500 万人もの労働力人口が減少する見込みだ」と指摘した。 続けて、人件費の上昇だけでなく、「製造業の高度化」に向けてもロボットの活用が不可欠であると指摘し、生産性の向上や、製品の品質の安定化においてもロボット活用は有益だと論じた。

さらに、珠江デルタ地域や上海市と江蘇省南部・浙江省北部を結ぶ長江デルタ地域においては「大企業だけでなく、中小企業の工場においてもロボットが普及し始めており、今後もこの趨勢は続くだろう」と論じた。

また記事は、中国の従業員 1 万人あたりの産業用ロボット利用台数は約 30 台だと紹介、ドイツは中国の約 10 倍、日本は 11 倍にあたるとし、「中国の製造業におけるロボット "密度" は相対的に低い」と指摘。 一方で中国では産業用ロボット市場が拡大しており、市場として大きな需要があることを紹介し、製造業の高度化や経済構造の転換に向けては「インターネットやビッグデータ、クラウドコンピューティングといった新技術とロボットの融合が必要」と指摘した。 (Searchina = 5-10-15)


中国 輸出入とも減少 さらなる減速懸念 財政出動も

中国の 4 月の輸出は 2 か月連続で前の年の同じ月を下回ったほか、輸入も 6 か月連続で前の年を下回り、外需、内需ともに弱さがみえるなか、中国経済はさらなる減速の懸念が出ています。

中国の税関当局が発表した貿易統計によりますと、中国の先月の輸出は 1,763 億 3,100 万ドルで前の年の同じ月より 6.4% 減少し、2 か月連続の減少となりました。 これは日本やヨーロッパ、それに東南アジア向けを中心に衣類や靴、パソコンなどの輸出が振るわなかったことによるものです。 一方、輸入は 1,421 億 9,600 万ドルで、不動産向けの投資や企業の設備投資が伸び悩むなか、鋼材や自動車関連の取り引きが落ち込んだことなどから、前の年の同じ月より 16.2% 減って、6 か月連続の減少となりました。

中国経済の専門家の間では、貿易の不振は世界経済の回復が遅れ、外需に弱さがみえるなか、人件費の上昇など中国の輸出競争力が低下していることに加え、国内の内需も依然弱いことを反映していて、中国経済はさらなる減速の懸念が強まっているという見方が出ています。 中国政府は景気を下支えするため政策金利の引き下げといった金融緩和を行っていますが、今後、財政出動も含めてさらに踏み込んだ景気対策を打ち出すかが焦点です。 (NHK = 5-8-15)

◇ ◇ ◇

中国 3 月の輸出 15% 減 外需もブレーキ、景気に打撃

中国の税関総署が発表した 3 月の貿易統計によると、輸出が前年同月比で 15.0% 減の 1,445 億ドル(約 17.3 兆円)となり、昨年 2 月以来の大幅減となった。 好調だった外需にもブレーキがかかったことで中国の景気の減速がさらに深まる懸念があり、世界経済にも影響を与えそうだ。

輸出は旧正月連休の時期によって年ごとの変動が大きい 1、2 月を除くと、2009 年 9 月以来、5 年半ぶりの減少幅となる。 3 月は日本向けが 24.8% 減、欧州連合 (EU) 向けが 19.1% 減と落ち込むなど、主要な貿易相手国向けがことごとく前年を下回った。 税関総署は「米国以外の主要国の景気回復が遅れ、受注が減っている」とする。 円安やユーロ安の影響も、中国の輸出に不利にはたらいたと見られる。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 4-13-15)

◇ ◇ ◇

中国の輸入 4 か月連続で減少 貿易総額、目標下回る

中国の先月の貿易収支は、輸入が前の年の同じ月に比べて 4 か月連続で減少していて、中国経済の内需の弱さを示すものだという見方が広がっています。 中国の税関当局が発表した貿易統計によりますと、中国の先月の輸出は 1,691 億ドルで、欧米向けを中心に衣料品や靴の取り引きが伸びたことなどから、前の年の同じ月より 48.3% 増加し 2 か月ぶりに増加に転じました。

一方、輸入は 1,085 億ドルで、自動車関連が振るわなったほか、不動産投資の伸び悩みで鋼材やプラスチックの取り引きが落ち込んだことなどから、前の年の同じ月より 20.5% 減り、4 か月連続で減少しました。 この結果、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は 606 億ドルの黒字となりました。

中国はことしの貿易総額の成長目標を 6% 程度としていますが、ことし 2 月までの累計ではマイナス 2.3% と目標を下回っていて、中国経済の専門家の間では内需の弱さを示すものだという見方が広がっています。 これについて中国の高虎城商務相は 7 日の記者会見で「3 月は貿易総額の伸びはプラスに転じる」と述べましたが、目標の達成に向けては、巨額のインフラ投資などを通じ冷え込んでいる内需を活性化できるかが焦点となりそうです。 (NHK = 3-9-15)

◇ ◇ ◇

中国 : 2 月の輸出は 48.3% 増加 - エコノミスト予想上回る伸び

中国の 2 月の輸出は予想を上回る増加となった。 最大の貿易相手国である米国の景気回復が要因。 税関総署が 8 日発表した 2 月の輸出は前年同月比 48.3% 増加した。 ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリストの予想中央値は 14% 増だった。 輸入は 20.5% 減少し、 貿易黒字は 606 億 2,000 万ドルに達した。 (Bloomberg = 3-8-15)


中国、主要インフラ事業への民間投資を解禁

[北京] 中国国家発展改革委員会(発改委)は 5 日、これまで認めていなかった主要インフラプロジェクトへの民間投資を解禁したと発表した。 民間投資家を保護するルールも定めた。 6 月 1 日から適用する。 発改委が発表したルールによると、民間投資家は認可を受ければ、エネルギーや交通、水関連、環境保護、都市公益関連の各プロジェクトへの参加が可能となる。 BOT (建設・運営・移管)方式による契約となる。 発改委は「社会資本の法的利益を保護し、認可運営の安定性および継続性を保証する」とした。 (Reuters = 5-5-15)


中国、上海自由貿易区で個人の海外直接投資認可へ = 関係筋

[北京] 中国は近く、上海自由貿易区で個人による海外市場への直接投資を試験的に認める。 関係筋 2 人が明らかにした。 これは、資本勘定における人民元の交換性を高めるために上海市政府と人民銀行、規制当局が進める取り組みのひとつ。 関係筋によると、ここ 2 年準備が進められており、下半期にも始まる見通し。 許可を得た個人は、外貨規制を受けることなく海外市場への投資が可能になる。

ただ、投資枠が設定される可能性もあるという。 マネーロンダリングなど違法な資金のやり取りを防ぐため、投資家は所得証明書の提出が義務付けられるという。 人民銀行からのコメントは得られていない。 (Reuters = 4-29-15)


中国国有企業が初のデフォルト 天威保変、利払い不能に

[上海] 中国の保定天威保変電気は 21 日、期限までに社債の金利支払いができないと明らかにした。 国有企業関連では初のデフォルト(債務不履行)となる。 低格付けの債券に対し、中国当局が政府保証を徐々に縮小し、デフォルトを容認している構図が浮き彫りとなった。 天威保変の声明が決済機関のウェブサイトに掲載された。 中国本土で上場企業が利払い不能に陥るのはこれで 3 件目だが、国有企業では初となる。

天威保変は 16 日に、8,550 万元(1,380 万ドル)の利払いができない可能性があると投資家に警告していた。 デフォルトとなったのは 15 億元の 5 年物社債。 2016 年償還で表面利率は 5.7%。 格付けは当初 AA プラスだったが、後に BB に引き下げられた。 天威保変は国有企業、中国南方工業集団の完全子会社である保定天威集団が株式の 23% を保有している。

中国南方工業のある社員はロイターの取材に対し、保定天威が子会社であることを認めたものの、「われわれはこの件に関し全く関係ない」と述べた。 中国南方工業が支援に乗り出す可能性は低いとみられている。 市場関係者らは、週末の中国人民銀行(中央銀行)による預金準備率引き下げにより、市場の流動性は潤沢で、デフォルトによる市場への影響は限定的と話している。 (Reuters = 4-21-15)


中国が起業支援など実施へ、雇用創出ぺース拡大へ政策見直し

[北京] 中国政府は、雇用創出への圧力が高まっていることを受けて、より積極的な雇用政策を実施する方針を表明した。 国営テレビが 21 日、国務院(内閣に相当・直属機関)の定例会議のもようを伝えた。 具体的には、大卒者や失業者が創業した新興企業への税制優遇策などのほか、人員削減を控えた企業への失業保険を通じた支援の実施や地方からの出稼ぎ労働者の起業支援などを行う見通し。 国務院は「雇用への圧力が高まる中、一段と積極的な雇用政策を講じる必要がある」としている。 (Reuters = 4-21-15)


1 - 3 月の中国不動産投資は前年比 +8.5%、09 年以来の低い伸び

[香港] 中国国家統計局が発表した 1 - 3 月の中国の不動産投資は、前年同期比 8.5% 増と 1 - 2 月の同 10.4% 増から減速し、伸び率は 2009 年に記録した 8,3% 以来の低水準となった。 供給過剰の中、開発業者が在庫解消を優先していることが示された。 1 - 3 月の不動産販売面積は前年同期比 9.2% 減少。 1 - 2 月は 16.3% 減だった。 (Reuters = 4-15-15)

◇ ◇ ◇

中国 : 2 月の新築住宅価格、下落都市数が 66 に増加

中国で新築住宅価格 が前月比で下落した都市数は 2 月に再び増加した。 当局は不動産規制の緩和を進め、借り入れコストを引き下げているが、景気減速が需要を抑えている。

国家統計局が 18 日発表した資料によると、2 月は政府が継続調査する主要 70 都市のうち 66 都市で前月比下落した。 1 月は 64 都市だった。 2 月は 2 都市で前月比上昇、2 都市で横ばいだった。 中国当局は約 3 カ月で 2 回の利下げを実施し、不動産規制も緩和しているが、不動産市場はなお回復していない。 春節(旧正月)連休も需要を落ち込ませる一因となった。 (Bloomberg = 3-18-15)

◇ ◇ ◇

1 - 2 月中国不動産投資は前年比 +10.4%、販売 3 年ぶりの大幅減

[香港] 中国国家統計局が発表した 1 - 2 月の中国の不動産投資は、前年同期比 10.4% 増加した。 2014 年年間の 10.5% 増からやや鈍化した。 投資鈍化と供給過剰を背景に、1 - 2 月の不動産販売は同 15.8% 減と、2012 年以来 3 年ぶりの大幅な落ち込みとなった。  不動産セクターは、中国の国内総生産 (GDP) の約 15% を占める。 販売の弱さは政府の成長率目標 7% の達成も難しい可能性を浮き彫りにした。

SOHO 中国の最高経営責任者 (CEO) は先週、「成長率 7% というのは、投資が減少することを意味する。 今年は 2014 年よりも厳しい年になる」と指摘していた。 民間調査によると、2 月の不動産価格は前月比で下落したが、下落率は縮小しており、市場に底入れの兆しがみられる。 ただ、市場の低迷は少なくとも今年前半まで続く見通し。 上海を拠点とするデベロッパー、CIFI ホールディングスは 10 日、今年下期に状況が改善するとの楽観的な見方を示し、10 - 15% 値上げする計画を明らかにした。

中国人民銀行(中央銀行)は、不動産市場の悪化で打撃を受けている経済を支援するため、2 月下旬に追加利下げを実施した。 利下げは不動産販売を押し上げ、住宅価格の安定化につながるとみられるものの、エコノミストらは、セクターの力強い早期回復は見込めないと指摘している。 ノムラの中国担当チーフエコノミストは「市場は依然として供給過剰だ。 調整には少なくとも 1 年はかかる。」との見方を示した。 (Reuters = 3-11-15)


中国 GDP +7% 6 年ぶり低い伸び 不動産投資弱く

中国のことし 1 月から 3 月までの GDP = 国内総生産の伸び率は、去年の同じ時期に比べて 7% のプラスとなり、四半期ごとの GDP としては 6 年ぶりの低い伸びとなりました。 多くの都市で住宅価格の下落が続き、不動産向けの投資や生産が伸び悩んでいることなどによるもので、中国経済の減速傾向が一段と鮮明になっています。

中国の国家統計局が 15 日に発表した、ことし 1 月から 3 月までの第 1 四半期の GDP = 国内総生産の伸び率は、去年の同じ時期に比べて 7% のプラスとなりました。 伸び率は前の期より 0.3 ポイント下落して 2 四半期ぶりに低下し、四半期ごとの GDP としては 6 年ぶりの低い伸びとなりました。 これは、中国の多くの都市で住宅価格の下落に歯止めがかからず不動産向けの投資が伸び悩んでいるほか、鉄鋼やガラスなどの需要が弱まって生産が振るわないことなどによるものです。

中国政府は経済成長の速度よりも質を重視する方針を示し、ことしの経済成長率の目標を去年より低い 7% 程度としていて、今回の GDP はこの水準には達しています。 記者会見した国家統計局の盛来運報道官は、「構造改革は穏やかに進んでおり、中国経済は安定している」と強調しました。 ただ、ことしに入り、中国政府が政策金利の引き下げや住宅の購入を促す規制緩和などを相次いで行ったにもかかわらず、不動産市場に明確な改善傾向は見えておらず、今後も 7% 程度の成長が続くかどうか懸念する見方も出ています。 (NHK = 4-15-15)

◇ ◇ ◇

中国、成長目標「7% 前後」に下げ … 全人代開幕

【北京 = 五十嵐文、栗原守】 中国の第 12 期全国人民代表大会(全人代 = 国会)第 3 回会議が 5 日、北京の人民大会堂で開幕した。 李克強(リークォーチャン)首相は冒頭の政府活動報告で、2015 年の経済成長率目標を「7% 前後」に設定した。 12 年から 3 年連続で掲げてきた「7.5% 前後」の目標を引き下げ、成長の質を高める構造改革を加速させる方針を打ち出した。 全人代に合わせて発表された 15 年の国防予算(中央政府分のみ)は前年実績比 10.1% 増の 8,868 億 9,800 万元(約 16 兆 9,400 億円)となり、5 年連続で 2 けたの伸びとなった。

中国が成長率目標を 7.0% 前後とするのは 04 年以来。 李首相は報告で「我が国の経済発展は『新常態(ニューノーマル)』に入った」と述べ、一定の減速を容認する考えを示した。 中国では、鉄鋼など製造業の一部で過剰生産が目立ち、経済の足かせになっている。 政府は過剰生産を解消するため一定の減速容認が必要と判断した。 14 年も大型の景気刺激策を避けた経済運営で成長率は 7.4% に鈍化し、24 年ぶりの低い伸び率だった。 目標引き下げは、足元で進む成長減速を追認する形となった。

経済が減速する一方で、中国の国防費は 1989 年以来、世界同時不況が影響した 2010 年を除いて、2 けた増が続いている。 日本の 15 年度予算案での防衛関係費は前年度比 2% 増の 4 兆 9,801 億円(在日米軍関連経費を含む)で、中国の国防予算は公表分だけでも約 3.4 倍に達した。 (yomiuri = 3-5-15)

◇ ◇ ◇

2015 年の中国成長率、6.9 - 7.1% に減速も - 人民銀調査機関 = 現地紙

[北京] 中国人民銀行(中央銀行)は、2015 年の中国経済成長率が 6.9 - 7.1% に鈍化する可能性があるとの見方を示した。 中国日報が 17 日報じた。 人民銀の調査部門責任者 Lu Lei 氏は報告書で、不動産市場の低迷や国による投資の減少を受けて同国の債券投資の伸び率はさらに鈍化する可能性が高いと予想。 「中国の 2015 年の経済成長率は、需要の低迷を受けて、比較的低い水準となる 6.9 - 7.1% にとどまるだろう」と述べ、「中期的にみて最も不確実な点はデフレリスクだ」と指摘した。

製造業者が引き続き原材料の供給過剰分の消化に苦慮しており、「生産者価格指数の上昇を期待するのは難しい」ことから考えて、Lu 氏は今年の消費者物価指数 (CPI) も低い水準にとどまると予想した。 14 年の国内総生産 (GDP) 伸び率は前年比 7.4% で、1990 年以来 24 年ぶりの低水準だった。

Lu 氏は、商業銀行における不良債権比率の上昇は流動性懸念につながり、銀行間金利を不安定にすると指摘。 中銀は債務レベルの上昇を抑える措置を取ることも示唆したが、詳細については触れず、「短期的に流動性が低下する可能性はあるが、全体として流動性危機が起きる見込みは低い」と述べるにとどめた。 (Reuters = 2-17-15)


中国攻勢「人民元をメジャー通貨に」 米は「時期尚早」

中国政府は、通貨人民元を、米ドル、英ポンド、欧州のユーロ、日本の円で構成する「メジャー通貨」に仲間入りさせようと攻勢を強めている。 中国が主導するアジアインフラ投資銀行 (AIIB) に 50 以上の国・地域を集めた勢いもあり、人民元の国際的な存在感を高めようと懸命だ。

中国がめざすのは、国際通貨基金 (IMF) が認める「メジャー通貨」への仲間入りだ。 各国は IMF への出資額に応じて、いざという時に資金を引き出せる「特別引き出し権 (SDR)」が認められる。 この SDR の価値は長年、米ドルや円など主要 4 通貨の相場で決められてきた。 今年、IMF が 5 年ぶりに SDR 構成通貨を見直すのを機に、人民元の採用を猛アピールしている。

中国の李克強(リーコーチアン)首相は 3 月 23 日、訪中した IMF のラガルド専務理事に「世界の金融安定に参加したい」と要望した。 採用されれば各国が外貨準備の一部を人民元で持つようになり、人民元の国際化が加速するとの期待がある。 (北京 = 斎藤徳彦、ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 4-5-15)


中国人民銀、国内銀行に農業セクター向け融資の拡大促す

[北京] 中国人民銀行(中央銀行)は 25 日、国内銀行に対し、農業セクターの資金調達支援を強化するよう要請した。 人民銀行は声明で、銀行業界は「負担可能なコストを負って、農業セクター向け資金の提供力を強化」すべきだと指摘した。 人民銀によると、2014 年末時点の農業セクター向け融資残高は 23 兆 6,000 億元(3 兆 8,000 億ドル)で、銀行融資全体の 28.1%。

前年比で 13% 増加し、融資全体の増加率を 0.7% ポイント上回る伸びだった。 農村部の商業銀行など小規模銀行による融資が 26% 増加した一方、国有銀行を含む大手行による融資は 11.5% の伸びにとどまった。 (Reuters = 3-25-15)


中国国有化学、伊タイヤ大手ピレリを 9,200 億円で買収

【中国総局】 中国の国有化学大手、中国化工集団は 23 日、イタリアのタイヤメーカー、ピレリを買収すると発表した。 買収額は 71 億ユーロ(約 9,200 億円)の見通し。 中国国内のタイヤ市場で高いシェアを持つ中国化工は、欧州の大手企業を傘下に収めることで、利幅の大きい高性能タイヤなどの技術獲得を狙うとみられる。

中国化工が 22 日、約 26% のピレリ株を 1 株 15 ユーロで買い取ることで大株主と合意した。 残りは TOB (株式公開買い付け)で取得する。 ピレリは欧州などで一定のシェアを持つが、同地域の販売は伸び悩んでいる。 成長が見込まれるアジア市場では、仏ミシュランや独コンチネンタルなどとの価格競争が激しくなっており、採算の確保に苦しんでいた。 (nikkei = 3-23-15)


1 - 2 月の中国鉱工業生産は前年比 +6.8%、約 6 年ぶりの低い伸び

[北京] 中国国家統計局が発表した 1 - 2 月の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資は、いずれも市場予想を下回った。 鉱工業生産の弱さは、昨年 7.4% だった成長率が、今年は追加の景気刺激策を実施しても 7% 程度に鈍化するとの見方を裏付けている。 1 - 2 月の鉱工業生産は前年比 6.8% の増加。 2008 年終盤以来の低い伸びとなり、市場予想(同 7.8% 増)を下回った。

フォーキャスト PTE (シンガポール)のエコノミスト、Chester Liaw 氏は「習国家主席が掲げる新常態(ニューノーマル)を示す内容」と指摘。 「鉱工業生産が 2 桁台(の伸び)となるのは過去のことで、小売売上高も 10% を上回る状態が長く続くとは考え難い」と述べた。 1 - 2 月の小売売上高は前年比 10.7% 増、1 - 2 月の固定資産投資(都市部)は前年比 13.9% 増。 市場予想は、小売売上高が 11.7% 増、固定資産投資は 15.0% 増だった。

国家統計局は、各データが春節(旧正月)の連休の影響を受けるため、1 月と 2 月の合算で発表している。 春節の連休は、昨年は1 月にあり、今年は 2 月だった。 1 - 2 月の電力生産は前年比 1.9% 増。 2014 年通年の電力生産は 3.2% 増で 16 年ぶりの低い伸びだった。 (Reuters = 3-11-15)


中国 2 月 CPI は 1.4% 上昇、PPI 低下止まらずデフレ懸念

中国、インフレからデフレへ?

記事コピー (asahi = 11-6-10 〜 3-10-15)


中国が追加利下げ 3 カ月ぶり、景気を下支え

【北京 = 大越匡洋】 中国人民銀行は 28 日、銀行の貸出と預金の基準金利の引き下げを決めた。 貸出金利(期間 1 年)を 0.25% 下げて 5.35%、預金金利(同)は 0.25% 下げて 2.5% とする。 3 月 1 日から適用する。 中国の利下げは昨年 11 月以来、約 3 カ月ぶり。 追加利下げで企業の資金調達負担を軽くし、減速する中国景気の下支えをめざす。

人民銀は 28 日の声明で、今回の利下げについて「企業の資金調達負担を一段と和らげる効果がある」と説明した。 一方で「『穏健な金融政策』という政策の基本姿勢の変化を意味しない」とも強調し、景気を安定させるための政策の微調整だとの認識を示した。 中国の 1 月の消費者物価指数 (CPI) の伸びは前年同月比 0.8% と、5 年 2 カ月ぶりに 1% を下回った。 卸売物価指数は 35 カ月連続で前年水準を下回り、デフレリスクを懸念する声もある。

人民銀は昨年 11 月、約 2 年 4 カ月ぶりに利下げを実施し、貸出金利を 0.4% 下げて 5.6%、預金金利は 0.25% 下げて 2.75% とした。 さらに今年 2 月初めに市中銀行から預かる資金の比率を示す預金準備率を引き下げた。 中国政府は 25 日、零細企業の減税拡大を決めた。 財政、金融の両面で小刻みな施策を繰り出し、景気を下支えする構えだ。

人民銀は金利の自由化を進める措置も決め、銀行が裁量で決められる預金金利の幅を広げた。 これまで預金金利の上限は基準金利の 1.2 倍だったが、今後は 1.3 倍まで認める。 (nikkei = 2-28-15)


中国、銀行の不良債権比率が高水準に

中国政府は、国内の景気が減速するなか、銀行の不良債権比率が去年末の時点で 1.25% となり、年ごとの統計では 5 年ぶりの高い水準になったことを明らかにしました。 中国の銀行監督当局によりますと、国内の銀行が保有する不良債権の総額は去年末の時点で 8,426 億人民元、日本円で 16 兆円余りで、1 年前と比べて 42% 増えました。 この結果、銀行の貸し出しに占める不良債権の割合、不良債権比率は去年末時点で 1.25% となり、1 年前と比べて 0.25 ポイント上昇したということです。

上昇幅は、過去 10 年で最も大きく、不良債権比率は年ごとの統計では 5 年ぶりの高い水準になりました。 これは、中国経済が減速するなか、製造業など、銀行の融資先である企業の経営が厳しさを増しているためだとみられています。 中国政府は、「銀行業界は全体としてリスクに対応する力が比較的強い」と説明しています。 ただ、金融関係者の間では、中国政府が公表する不良債権は日本などと比べて審査基準が甘く実際の比率はこの数倍に上るのではないかという指摘も出ていて、中国政府は、景気の先行きに不透明感が出るなか難しいかじ取りを迫られています。 (NHK = 2-14-15)

◇ ◇ ◇

中国、預金準備率を引き下げ 景気減速で 2 年 9 カ月ぶり

中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は 4 日、民間金融機関から強制的に預かる「預金準備率」を 5 日から 0.5% 幅引き下げると発表した。 これにより金融機関の手持ち資金が増え、貸し出しや投資などに回ることを期待した金融緩和策だ。 アジア各国では景気の減速を食い止めようと金融緩和が相次いでいる。

中国の預金準備率の引き下げは欧州危機の影響があった 2012 年 5 月以来、2 年 9 カ月ぶりとなる。 0.5% 幅の引き下げで、金融機関は約 6 千億元(約 11.2 兆円)分を使えるようになるとされる。 企業や個人がお金を借りやすくなり、投資や消費が活発になる効果を期待する。 この手法とは別に人民銀は昨年 11 月、2 年 4 カ月ぶりに金融機関の貸し出しや預金の基準金利を引き下げた。 立て続けに金融緩和策を打つ背景には、景気の減速への危機感がある。 (北京 = 斎藤徳彦 シンガポール = 都留悦史、asahi = 2-4-15)


中国の偽造品対策が「不幸を招く」理由 防止は不可

アリババ、ニューヨークでの新規株式公開 (IPO)

記事コピー (asahi = 3-18-14 〜 2-12-15)


中国の輸入急減、統計歪める要因多く鵜呑みにはできず

[シンガポール] 中国税関総署が 8 日発表した1月の中国貿易統計では、輸入が予想以上に減少、中国の景気悪化への警戒感があらためて広がった。 ただ原油などの価格動向や春節休暇のタイミングにより、輸入下振れが大きく出た可能性もあり、単月の統計を鵜呑みにすべきではないとの指摘もある。 1 月の中国の輸入は前年同月比 20% 減少。 世界的な金融危機を受けて在庫削減の動きが加速していた 2009 年 5 月以来の大幅なマイナスを記録した。 一方、輸出は前年比 3.3% 減少した。

コモディティを中心に輸入量が急減したことは、中国経済が一般に考えられているよりも早いペースで鈍化していることを示唆している。 暫定データによると、石炭の輸入量は 1,678 万トンとなり、昨年 12 月の 2,722 万トンから 40% 近く減少した。 原油輸入は 2,798 万トンと、前月比 7.9% 減少し、前年同月比ではほぼ横ばいだった。 一方、中国政府が輸入原油の戦略備蓄を減らしていることに注目する向きもある。 コンサルタント会社チャイナ・マターズのディレクター、マイケル・メイダン氏は「備蓄が統計を歪めることがあるため、月間のデータでは、構造的なトレンドは把握しずらい」と述べている。

そのほか、昨年は 1 月に始まった春節(旧正月)休暇の時期が今年は 2 月にあることや、世界的なコモディティ価格の下落、主要輸出国の通貨下落も、トレンド把握を難しくしている要因に挙げられる。 メイダン氏は「原油に関しては、備蓄の影響が非常に大きい。 これまでの大規模な輸入は SPR (戦略石油備蓄)の積み増しに伴うものだった」と話す。 中国の石油備蓄タンクが満タンになるにつれて、原油輸入は実需をより正確に反映した水準に落ち着くだろう、としている。

市場は一段の緩和策予想

市場は中国の輸入急減を冷静に受け止めており、06:00GMT (日本時間午後 3 時)現在、ブレントは約 0.4% 高で推移している。 それでも、1 月の貿易統計が内需減退や、産業の弱さを裏付けたことは確かであり、市場では当局が一段の緩和策をとると見られている。 ドイツ銀行のチーフエコノミスト、張智威氏は、自動車輸入が前年比 9.5% 減少したことに注目。 消費需要の弱さを示すものであり、経済成長にとって下方リスクになるとし「3 月と第 2・四半期の利下げ、第 2・四半期の預金準備率引き下げを予想している」と述べた。 (Henning Gloystein、Reuters = 2-9-15)

◇ ◇ ◇

中国の 1 月輸出・輸入が前年割れ 内需、生産とも低調

【北京 = 大越匡洋】 中国税関総署が 8 日発表した 1 月の貿易統計によると、米ドルベースの輸出額は前年同月比 3.3% 減、輸入額は同 19.9% 減となった。 輸出入ともに前年の水準を下回るのは昨年 3 月以来だ。 景気の減速や春節(旧正月)を控えた生産活動の鈍化に加え、価格の下落を機に進めていた原油などの買いだめが一服し、輸入が大幅に落ち込んだ。

1 月の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は 600 億ドル(約 7 兆 1 千億円)の黒字だった。 中国の 1 月の原油の輸入額は前年同月に比べ 4 割も減った。 14 年は原油価格の下落を背景に買いだめを進めてきたが、勢いが一服した。 内需の鈍さを受け、鉄鉱石や石炭などの輸入も落ち込んだ。

輸出は鋼材の増加傾向は続いているものの、全体としては低調だ。 主要な地域別では米国向けが 4.8% 増、東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けは 15.5% 増と堅調だったが、欧州連合 (EU) 向けは 4.6% 減、日本向けは 20.5% 減となった。 この結果、輸出全体では 10 カ月ぶりに前年の水準を割り込んだ。 (nikkei = 2-8-15)

◇ ◇ ◇

中国の 14 年貿易黒字、過去最高 輸出の伸びは鈍化

中国税関総署が 13 日発表した 2014 年の貿易統計は、輸出が前年比 6.1% 増の 2.34 兆ドル(約 276 兆円)となる一方、輸入は 0.4% 増の 1.96 兆ドル(約 231 兆円)にとどまった。 このため、貿易黒字は約 48% 増の 3,824 億ドル(約 45 兆円)と大きく伸び、過去最高となった。

輸出入の総額は前年比 3.4% 増の 4.30 兆ドル(約 507 兆円)だった。 モノのやり取りに限った貿易の金額は前年に続き世界首位だったと見られるが、中国政府が「年率 7.5% 程度」としていた伸び率の目標は大きく下回った。 中国経済を引っ張ってきた輸出の伸びは、前年より 1.8 ポイント鈍化した。 人件費などのコストの上昇で、安いモノを大量につくって輸出するモデルが力を失いつつある。 ただ、14 年は米国景気が回復したことを受けて、金額の最も大きい米国向けの輸出が 7.5% 増え、全体を下支えした。 (杭州 = 斎藤徳彦、asahi = 1-13-15)


米ハイテク大手、中国企業と相次ぎ提携 厳しさ増す事業環境

[北京] 中国に進出する米大手ハイテク企業の間で中国企業と提携する動きが広がっている。 中国で外資系企業を取り巻く環境が厳しさを増していることが背景。 地元企業と組めば事業が進めやすくなるとの計算が働いているようだ。 中国政府は国内産業育成のため、以前から国産技術の採用を奨励している。 また、米国家安全保障局 (NSA) のエドワード・スノーデン元職員が米政府によるサイバー監視活動を暴露したことで、米ハイテク企業への風当たりは一層強まっている。

中国政府は、中国の金融機関にシステムを納入する企業に対し、国産技術の活用を求める新規制を提案。 米経済団体は規制の導入延期を求めているが、この規制が導入された場合、中国企業との提携を模索する動きがさらに広がるとみられている。 すでに IBM、インテル、デル、シスコシステムズ、ヒューレット・パッカード、ジュニパー・ネットワークスといった大手ハイテク企業が、中国企業と提携。 技術の共有、共同プロジェクトの実施、中国企業への出資などを進めている。

16 年前に中国に進出したデルは先週、国有企業の中国電子信息産業集団との提携を発表。 IBM も昨年 8 月、サーバーシステムの設計支援で、中国の浪潮国際と合意した。 浪潮国際は当時、IBM に代わるシステムを国有企業に積極的に売り込んでおり、両社の提携は予想外と受け止められた。 インテルは昨年 9 月、中国政府系のモバイル半導体メーカー 2 社に 15 億ドルを出資すると表明している。

フォレスター・リサーチのバイスプレジデント、ブライアン・ワン氏は、米中企業の提携について、中国政府の狙い通りに国内企業の競争力が高まれば、海外企業の必要性は薄れていくと指摘。 「提携は(外資系企業にとって)一時しのぎの対策でしかない。 (中国政府は)最終的には、自社で知的財産権を持つ純粋な中国企業しか求めなくなるだろう。」との見方を示した。 (Reuters = 1-30-15)


中国証券監督当局、46 社の信用取引業務を調査 = 新華社

[上海] 中国証券監督管理委員会(証監会)は、通常の監督業務の一環として、46 社の信用取引業務を調査する。 国営の新華社が 29 日伝えた。 新華社によると、証監会は「調査は通常の定期的な監督の一環で、深読みすべきではない」としている。 3 人の関係筋は 28 日、ロイターに対し、中国当局が信用取引の調査を開始すると明らかにしていた。 またこれら関係筋によると、当局は銀行の融資資金が株式市場に流入しないよう、監視を強化するよう銀行に求めたという。

中国株は昨年 11 月以降で約 40% 上昇しており、中国経済が減速する中で懸念が強まっていた。 信用取引融資残高はこの 3 日間で過去最高を更新し続け、28 日に 7,800 億元(1,245 億ドル)に達した。 証監会は今月、信用取引業務で違法行為があったとして、国内証券大手 3 社に処分を科した。 また、銀行監督当局も、株式投機の背景になっているとみられる銀行間市場の取り締まりに乗り出した。 (Reuters = 1-29-15)

◇ ◇ ◇

中国の証券株、当局処分で軒並み急落 信用過熱で「見せしめ」か

【香港 = 長尾久嗣】 週明け 19 日の中国・上海株が急落している。 上海総合指数引は前場に一時、前週末比 6% 超安の 3,160 前後まで下げた。 引き金を引いたのは 16 日に発表された中国証券当局による証券 3 社への処分。 最大手の中信証券などは一定期間の信用取引の新規口座開設を禁止された。 足元で急増する信用取引に水を差しかねず証券株が軒並み急落し、相場全体に動揺が広がった。

きょうの証券株は軒並み制限値幅の下限(ストップ安)水準。 中信証券は同 3.29 元 (9.99%) 安の 29.62 元で張り付いたままだ。 同じく処分を受けた海通証券も同 9.98% 安のストップ安。 各社ともストップ安水準の 10% 近い下落率となっている。

中国証券監督管理委員会は中信、海通、それに香港上場の国泰君安証券の 3 社に対し、信用取引口座の新規開設の 3 カ月間禁止を命じた。 口座開設に必要な顧客の資産残高確認を怠り、本来なら信用取引ができない顧客にも開設を認めたり、多くの顧客に違法なロールオーバー(繰り延べ)を認めたりしていたという。 このほか複数の証券会社が警告を受けた。 現地報道によると保険当局も保険会社による信用取引を調査中といい、きょうの上海株式市場では中国人寿保険などの保険各社も軒並み急落している。

足元の株高を受け、信用取引は急増が続く。 2013 年末は 3,465 億元だった取引残高は昨年末には約 3 倍の 1 兆 0,257 億元に拡大した。 証券会社にとっては委託手数料の増加につながるだけでなく、顧客への融資も年 8.6% の高金利で固定されるため、うまみが大きい。 このため昨年末から中信や海通は重複上場する香港市場で相次いで増資に踏み切り、融資資金を拡充。 香港市場のみに上場する国泰君安も上海上場を当局に申請中で、認可が下りれば上場時の資金調達で融資事業を強化する算段だった。

こうした信用取引のブームは相場反転時に投資家と証券会社双方の傷を深めかねないだけに、政府が警戒感を深めていたのは確実。 「当局は急激な株価上昇に警戒感を強めている」とみる市場関係者も多く「証監会は見せしめの意味も込めて 3 社の処分に踏み切った」との見方が出ている。

処分の実効性については「あまりない」との声が聞かれた。 「大手 3 社の不在をついて、その他の証券会社が新規顧客を奪い合うだろう。」 中国人民銀行(中央銀行)は今年、再度の利下げや預金準備率の引き下げなどで金融を緩和していくとの見方が多いだけに、投資家のレバレッジ拡大意欲は根強いといい、信用取引ブームが急速に沈静化する可能性は低いという。

ただ、上海総合指数は前週末 16 日までの 2 日間で 4.7% 上昇し、昨年来高値を更新したばかり。 処分の直接的な影響は限定的とみられるが、相場過熱に当局が警鐘を鳴らしたとの受け止めが多いだけに、投資家が警戒感を強めるきっかけとなる可能性はある。 (nikkei = 1-19-15)


中国全土で市場開放なら日本に打撃 アジ研など試算

中国が香港なみの市場開放を全国に広げた場合、国内総生産 (GDP) を 0.9% 程度押し上げる一方、日本の大都市が競争力を失う - -。 日本のアジア経済研究所と中国の上海社会科学院は 23 日、中国の自由化をめぐり、こんな報告を公表した。 両研究所は 2013 年から、中国政府が上海で投資や貿易を自由化するために設けた「上海自由貿易試験区」の効果について、自由化が進まなかった場合や、想定以上に進んだ場合などについて、中国や周辺各国への経済効果を試算した。

自由化が上海だけにとどまった場合は、効果は当初の想定の 20 分の 1 程度にとどまるとする一方、25 年をめどに今の香港なみに製造業やサービス業の自由化が進めば、GDP を強く押し上げるとした。 周辺国は改革を進めていなければ、サービス業が競争に負けてマイナスの影響が出るとされ、東京など大都市が強い影響を受けるという。 アジア経済研究所の磯野生茂・研究員は「中国の取り組みは、他国にとっても自由化を進める圧力になる」と指摘した。 (上海 = 斎藤徳彦、asahi = 1-24-15)

◇ ◇ ◇

中国、自由貿易区を広東省など 3 地域に新設

中国政府は、地域を限定し金融や貿易などの規制を大幅に緩和する自由貿易区について、今の上海市に加え、新たに南部・広東省など 3 つの地域にも設けることを決め、対外開放を進め、外資を呼び込む新たな経済発展のモデル作りをアピールするねらいがあるものとみられます。 上海市の郊外で去年 9 月に始まった自由貿易試験区は、中国国内で地域を限定して大幅な規制緩和を試験的に導入する取り組みです。

これまで金融や貿易などの規制緩和として、中国の通貨、人民元の国際化を見据え一定の範囲で国外との資本の取り引きを自由化したり、禁止されてきたゲーム機の輸入や販売などが行われたりしています。 これについて中国政府は 12 日、上海市の自由貿易試験区と同じように規制緩和を行う自由貿易区を、広東省と天津市、それに福建省の 3 つの地域にも新たに設けることを決め、今後、具体的な内容を検討するとしています。

中国は、不動産投資の伸び悩みなどから景気が減速していて、共産党と政府は 11 日、来年の経済運営について、質と効率性を重視する経済成長を目指すとしたうえで、行政手続きなどを改革し、外国からの投資額を増やすなどとする方針を示しています。 中国政府としては、自由貿易区の数を増やすことで、対外開放をさらに進め、外資が積極的に投資できるような新たな経済発展のモデル作りを内外にアピールするねらいがあるものとみられます。 (NHK = 12-13-14)