中国 2 月 CPI は 1.4% 上昇、PPI 低下止まらずデフレ懸念

[北京] 中国国家統計局が発表した 2 月の消費者物価指数 (CPI) は、前年比 1.4% 上昇で、5 年ぶりの低い伸びだった 1 月から大きく加速し、ロイターが集計した予想(同 0.9% 上昇)を大幅に上回った。 一方生産者物価指数 (PPI) は前年比 4.8% 低下で、低下に歯止めがかからなかった。 市場予想は 4.3% の低下だった。 景気減速をあらためて印象付けるとともに、当局に新たな景気支援策実施の圧力が強まる内容となった。

統計局は、生鮮食品の大幅な値上がりが CPI 上昇加速の主因と分析。 PPI については、エネルギーを中心とした世界的なコモディティ価格の下落が低下の背景としている。 中国では、不動産市場の低迷と過剰生産能力に加え、世界経済の不透明感、コモディティ価格の下落でデフレリスクが高まっている。 5 日に始まった全国人民代表大会(全人代)では、2015 年の成長率目標は昨年の 7.5% から引き下げられ 7% 前後とされた。

今年の CPI 上昇率目標は 3% 前後。 昨年の実績は政府目標の 3.5% を大幅に下回り 2% だった。 中国人民銀行は 11 月以降 2 回の利下げを実施。 2 月には銀行預金準備率も引き下げた。 当局が第 4・四半期以降の弱い経済指標とデフレ圧力の高まりに懸念を強めている様子がうかがえる。 人民銀行系の金融時報は先月、中国経済がデフレに近づいているとの学術関係者の発言を報じている。 2 月の指標は、今年の旧正月が 2 月 19 日で、昨年は 1 月 31 日だったことによる歪みが影響している可能性がある。 (Reuters = 3-10-15)



中国物価 1.8% 上昇に鈍化 7 月、2 年半ぶりに 1% 台

中国国家統計局は 9 日、7 月の消費者物価指数が前年同月比で 1.8% 上昇した、と発表した。 2010 年 1 月 (1.5%) 以来、2 年半ぶりに 2% を下回った。 経済活動の鈍化を映しており、中国当局は景気を下支えするため、市場に流通するお金の量を増やす金融緩和を強化する構えだ。

消費者物価指数は政府が今年通年の目標としている 4% 前後を下回る状態が続いている。 同時に 9 日発表された 7 月の工業生産者出荷価格(卸売価格)指数は、前年同月比で 2.9% 下がり、5 カ月連続のマイナス。 その幅も拡大している。 6、7 月と利下げをした中国人民銀行(中央銀行)は近く、金融機関から強制的にお金を預かる比率を示す預金準備率をさらに引き下げるとの見方も出ている。 (北京 = 吉岡桂子、asahi = 8-9-12)


中国の消費者物価指数、2 年ぶり低水準 景気減速示す

中国国家統計局は 9 日、5 月の消費者物価指数が前年同月比で 3.0% 上昇したと発表した。 2010 年 6 月の 2.9% 以来、約 2 年ぶりの低い水準。 国内景気の減速を示すものだ。 1 - 5 月では前年同期比 3.5% 上昇し、政府が今年通年の抑制目標にしている 4% 前後に収まった。

8 日に 3 年半ぶりに利下げを実施した中国人民銀行(中央銀行)は、景気を底上げするため、金融緩和の姿勢を続ける方針だ。  中国の消費者物価指数で大きな比重を占める食品の上昇率が 6.4% と、前月 (7.0%) よりさらに縮小したことが大きい。 中国では、預金金利(1 年もの)を物価上昇率が上回る事実上の「マイナス金利」が続いていたが、4、5 月はわずかながら預金金利が物価の上昇を上回った。 (asahi = 6-9-12)


中国 CPI 2 カ月ぶり上昇、追加金融緩和遠のく

【上海 = 河崎真澄】 中国国家統計局が 9 日発表した 3 月の消費者物価指数 (CPI) 上昇率は前年同月に比べ 3.6% 増と、2 カ月ぶりに前月を上回った。 1 - 3 月の CPI 上昇率は前年同期比 3.8%。 政府が年間目標とする 4% は下回ったが、原油高や農産物価格の値上がりなど不安定な要因も多く、中国政府はインフレ抑制策や不動産取引の規制を継続するなど、引き続き警戒する見込みだ。

CPI が再上昇に転じたことで、中国人民銀行(中央銀行)が金融機関から預金の一定割合を強制的に預かる預金準備率の再度引き下げなど、「追加的な金融緩和措置も遠のいた(市場関係者)」とみられる。 中国の CPI 上昇率は政府の金融引き締め策の効果もあり、昨年 8 月から 5 カ月連続で鈍化していた。 (sankei = 4-9-12)


1 月の中国 CPI は前年比 +4.5%、上昇率加速で市場予想上回る

[北京] 中国国家統計局が 9 日発表した 1 月の消費者物価指数 (CPI) は前年比 4.5% の上昇となり、12 月の 4.1% から上昇率が加速した。 前月比では 1.5% 上昇した。 ロイターがまとめたエコノミスト予想は前年比 4.1% 上昇、前月比 1.0% 上昇となっていた。 1 月の生産者物価指数 (PPI) は前年比 0.7% 上昇と、市場予想の 0.8% 上昇をやや下回った。 前月比では 0.1% 低下した。 (Reuters = 2-9-12)


中国の消費者物価、5 カ月ぶり 5% 台 燃料高騰など収束

中国国家統計局が 9 日発表した 10 月の消費者物価指数 (CPI) は、前年同月より 5.5% 上昇し、5 カ月ぶりに 5% 台に下がった。 中国の食卓に欠かせない豚肉やガソリンなど燃料の高騰が沈静化してきたため。 上昇率は 7 月をピークに 3 カ月続けて鈍化した。 インフレ退治のため続けてきた金融の引き締め策の効果や欧州債務(借金)危機の影響が出た。 (北京、asahi = 11-9-11)


中国、9 月の物価上昇率 6.1% 食品など高水準

中国国家統計局が 14 日発表した中国の 9 月の消費者物価指数 (CPI) は、前年同月より 6.1% 上昇し、4 カ月続けて 6% を超えた。 1 9 月の上昇率は 5.7% で、中国政府が通年の目標とする 4% を大きく上回り、通年でも 5% を超えるのは確実だ。

昨年 10 月からの金融引き締め政策や、欧州債務危機を受け、国内景気に減速の兆しも出ている。 中国当局は成長持続とインフレ抑制の両立に向け、一段と難しい舵取りを迫られる。 上昇率は 7 月の 6.5% をピークに下がってはいるものの、13.4% 上がった食品を中心になお高い水準。 食品は全体の上昇率の 4% 分を押し上げた。 (asahi = 10-14-11)


中国の消費者物価、6 月は 6.4% 上昇 3 年ぶり高水準

中国国家統計局が 9 日発表した 6 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月に比べて 6.4% 上昇した。 前月の 5.5% を大きく上回り、2008 年 6 月 (7.1%) 以来、3 年ぶりの高水準となった。 中国の食卓に欠かせないブタ肉など、食品を中心とした値上がりが響いた。

中国政府が今年の通年目標とする 4% を上回る状況が続いている。 農村部での上昇率は 7% に達し、都市部の 6.2% より高かった。 とりわけ 14.4% 上昇した食品のうち、ブタ肉の 57%、卵の 23% など身近な食品の値上がりが目立つ。 物価高が低所得者の生活を直撃し、各地で暴動が頻発する一因にもなっている。

中国人民銀行(中央銀行)が 7 日から今年 3 回目の利上げを実施。 中国政府は、「インフレ退治」を経済運営の最優先課題として、金融の引き締めを続けている。 (asahi = 7-9-11)


4 月の中国消費者物価、5.3% 上昇 目標の 4% 上回る

中国国家統計局が 11 日発表した 4 月の消費者物価指数 (CPI) の上昇率は、前年同月比で 5.3% だった。 3 月 (5.4%) からほぼ横ばいで、中国政府が通年の目標とする 4% を上回る状態が続いている。

官民の旺盛な投資意欲に加え、国際的な資源価格の高騰などが響き、工業製品も値上がりし始めた。 中国政府は社会不安につながる物価上昇の抑制を重視し、「あらゆる手を尽くす(温家宝〈ウェン・チアパオ〉首相)」方針。 石油などの輸入価格を下げる効果がある人民元の対ドル相場切り上げのペースを速めつつある。 (吉岡桂子、asahi = 5-11-11)


中国の消費者物価指数 4.9% 上昇 インフレ収まらず

【北京 = 吉岡桂子】 中国国家統計局が 11 日発表した 2 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月より 4.9% 上昇した。 前月と同じ上昇率で、インフレは収まっていない。 中国では、中東情勢の混乱に伴う資源価格の高騰の長期化を懸念する声が強い。 中国人民銀行(中央銀行)による追加の利上げなど、中国当局がさらなる金融引き締めに動くとの観測も広がっている。 (asahi = 3-11-11)


中国の消費者物価 4.9% 上昇 1 月、インフレ加速

【北京 = 高橋哲史】 中国国家統計局が 15 日発表した 1 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 4.9% 上昇した。 伸び率は 2010 年 12 月の 4.6% を上回った。 干ばつや寒害による食品の値上がりに加え、穀物など国際商品価格の上昇でインフレが加速した。 市場では中国人民銀行(中央銀行)が利上げを継続するとの観測が根強い。

1 月の CPI 上昇率は中国政府が今年の抑制目標に掲げる 4% 以内を 10 年 10 月から 4 カ月連続で超えた。 ただ 5% 台半ばが大勢だった市場の事前予想は大きく下回った。 15 日の中国国営中央テレビなどによると、国家統計局は今回の CPI から構成品目の変更を実施。 全体の 3 分の 1 を占める食品の比率を引き下げた。 1 月の CPI 上昇率が低めに出たのは、こうした算出方法の変更が影響したとみられる。

1 月は北部の干ばつと南部の寒害の影響で野菜などの生産や輸送が滞り、食品類が大幅に値上がりした。 米国の量的緩和でだぶついた資金の流入や、春節(旧正月)に伴う需要増が食品の値段を押し上げた面も大きい。

物価高は食品以外にも広がりつつある。 住宅価格の高騰を背景に家賃が上がっているほか、原材料や賃金など生産コストの上昇もあって一部の工業製品で値上がりが目立ち始めている。 CPI と同時に発表した 1 月の工業生産者価格(卸売物価)指数は前年同月に比べ 6.6% 上昇した。

人民銀は春節に伴う大型連休明けの 9 日に昨年 10 月以降、3 度目の利上げに踏み切ったばかり。 定期預金金利の利上げ幅を貸出金利より全般に大きくし、預金金利が CPI 上昇率を下回る「実質マイナス金利」の解消を急いでいる。 だが、利上げが物価上昇に追いついていない状況で「人民銀は年内にあと 2 - 3 回利上げする」との見方が市場では有力だ。 (nikkei = 2-15-11)


「物価保つ自信ある」中国・温首相アピール

【北京 = 吉岡桂子】 「物価を合理的な水準に保つことができる。 私にはその責任も自信もある。」 27 日の中国各紙は、前日のラジオ番組に出演した温家宝(ウェン・チアパオ)首相の発言をこぞって伝えた。 追加の利上げに踏み切った中国。 食品や住宅の値上がりに対する国民の不満が社会の混乱につながりかねないだけに、政府の「努力」を示す狙いがありそうだ。

中国人民銀行(中央銀行)が 2 カ月ぶりに利上げした 26 日、温首相は中国中央人民放送の番組に出演。 食品を中心とした物価の上昇について「中低所得の人々の生活は明らかにさらに困難になっている」と話した。 物価や住宅価格を抑制する政策を説明した。

住宅価格についても「私の(2013 年までの)任期内に、住宅価格を必ず合理的な水準にする」と述べ、低所得者向けの住宅を来年、1 千万戸建設する方針を示した。 人民銀が四半期ごとに実施している都市預金者アンケート(10 - 12 月)でも、75.5% が住宅価格を「高すぎる。 受け入れがたい。」と答えた。 この質問を始めた 09 年第 1 四半期以来、最悪の水準になっている。 (asahi = 12-27-10)


中国が 0.25% 追加利上げ インフレ抑制策

【北京 = 吉岡桂子】 中国人民銀行(中央銀行)は 25 日、金融機関の預金と貸し出しの基準金利(期間 1 年)を 0.25% 引き上げると発表した。 26 日から実施する。 利上げは 2 年 10 カ月ぶりとなった 10 月 20 日以来で、今年 2 回目。 世界的な金融緩和でだぶつく資金が成長力のある中国市場に流れ込み、食品や住宅の価格を押し上げており、インフレを抑制し、バブルの芽を摘む狙いがある。

今回の利上げで、基準金利は預金が 2.75%、貸し出しが 5.81% になる。 小幅にとどめたのは、中国当局はインフレやバブルを一段と警戒しつつも、景気を一気に冷やさぬよう、慎重なかじ取りを続けているためだ。

中国の物価は食品を中心に値上がりが目立っている。 「物価が最も上昇しやすい(中国商務省)」年末年始から旧正月を控え、金融の引き締めを強めた。 人民銀は金融機関から強制的に資金を預かる比率である預金準備率を、20 日までの 1 カ月あまりで 3 度も引き上げるなど、市場に出回る資金を減らそうとしている。 (asahi = 12-25-10)


中国、来年の CPI 目標を 4% に引き上げ = 国営テレビ

[北京] 中国は来年の消費者物価指数 (CPI) の目標を 4% に設定し、今年の 3% から引き上げた。 国営テレビが報じたもので、物価圧力が高まっても積極的な引き締め政策を停止する可能性が示された。 CPI 目標を小幅上方シフトしたことは、来年の新規融資目標額を今年の 7 兆 5,000 億元と同水準に維持するとした報道とも整合的。

国営テレビは国家発展改革委員会の張平主任の発言として、「経済社会発展に向け中央政府が設定した来年の主要目標は、国内総生産 (GDP) 成長率が 8%、CPI 上限が 4% だ」と報じた。 8% の成長率目標はこれまでと同様、議論の余地がある点で、エコノミストの多くは来年は 9% 成長になると見込んでいる。 CPI 目標の 4% は今年より高いが、2008 年は平均で 4.8%、09 年は 4% 程度を目標としていた。 (ロイター = 12-14-10)


中国、物価の安定に注力 金融引き締め方針確認

【北京 = 吉岡桂子】 中国共産党・政府は 12 日までの 3 日間、2011 年の経済運営について話し合う中央経済工作会議を開き、物価の安定にさらに力を注ぐ方針を決めた。 金融政策の引き締めへの転換と、景気を下支えするための積極財政の継続も確認した。 会議には、胡錦濤(フー・チンタオ)党総書記(国家主席)や温家宝(ウェン・チアパオ)首相ら党や政府、人民解放軍の首脳・幹部が出席した。

国営新華社通信によると、インフレ懸念が強まるなかで「物価水準の安定をさらに際だった位置に据える」方針を打ち出した。 中国の消費者物価指数は 11 月に前年同月比で 5.1% 上昇、2 年 4 カ月ぶりの高水準だった。 食品の値上がりや住宅価格の高騰に消費者の不満もたまっている。 新華社は米国や日本など先進国の金融緩和策が世界に資金をはんらんさせているとして、「中国内のインフレ予想が短期のうちに低下することは難しい」とする分析を伝えた。 (asahi = 12-13-10)


中国の消費者物価指数、11 月は 5.1% 上昇

【北京 = 吉岡桂子】 中国国家統計局は 11 日、11 月の消費者物価指数 (CPI) が前年同月より 5.1% 上昇したと発表した。 2008 年 7 月以来、2 年 4 カ月ぶりの高い水準だった。 前月の 4.4% より高く、今年 7 月以降、5 カ月続けて上昇幅が拡大。 中国政府が 10 年通年の目標とする 3% を 5 カ月続けて上回った。 食品の上昇率が 11.7% と高かった。

世界的な金融緩和を背景にだぶつく資金が成長力がある中国に流入し、農産物を中心とした物価や不動産価格を押し上げている。 CPI の上昇率が市場関係者の予想を上回って 5% を超えたことで、中国政府はインフレ警戒を強めている。 物価の上昇が収まらなければ、10 月に続いて追加の利上げに踏み切る可能性がある。

中国人民銀行(中央銀行)は市場に出回る資金量を減らそうと、預金準備率を 12 月 20 日から再び引き上げる。 また、中国政府は 11 月に入って食品の備蓄の放出や流通業者の買いだめや売り惜しみを取り締まるなど対応を本格化させている。 (asahi = 12-11-10)


中国、金融引き締めへ政策転換 インフレ抑制へ軸足

【北京 = 吉岡桂子】 中国共産党は 3 日、物価上昇を抑えるため、金融政策を引き締め方向へ転換し、「穏健(中立)」に戻すことを決めた。 2008 年秋の金融危機以降、景気を回復させようと低い金利で大量に資金を市場に供給してきた「適度な緩和」策を終える。 世界経済のエンジン役になってきた中国の政策転換は、世界各国の経済に大きな影響を与える可能性もある。 4 兆元(約 50 兆円)の景気対策に代表される危機後の「積極財政」は継続する。

胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が主宰する政治局会議で、金融・財政を中心に来年の経済運営の方針を固めた。 最高指導部が出席する会議で政策変更が明示されたことで、市場関係者の間では、10 月の 2 年 10 カ月ぶりの利上げに続き、近く再び利上げに踏み切るとの見方が広がっている。 中国では今夏以降、農産物など食品を中心に品物の値上がりが続いている。 住宅など不動産は、融資や購入を制限しているにもかかわらず、取引は旺盛で、価格は高止まりしたままだ。

このため、10 月に 2 年 10 カ月ぶりに利上げをしたほか、中国人民銀行(中央銀行)が銀行から強制的に資金を預かる比率を引き上げて市場に出回る資金を吸い上げるなど、物価や不動産価格を抑制する金融政策をとっている。 備蓄品を放出し、値上がりを待つ買いだめや価格のつり上げ行為を厳しく取り締まる政策も打ち出した。

それでも消費者物価指数は 10 月に前年同月比 4.4% 上昇、約 2 年ぶりの高い伸び率を記録した。 11 月も前年同月より 4% 以上伸びることは確実で、政府が通年の目標とする 3% を上回る状態が続く。 油の値段や、電気や水道などの料金も国際価格の上昇を受けて上がり気味だ。 物価の上昇率を預金金利が下回る「マイナス金利」が長く、預金者の不満はたまっている。

一方、貿易黒字や不動産などの投資は高水準にあり、国内総生産 (GDP) の成長率は今年、3 年ぶりに 10% を超える見通し。 1 日発表された製造業の景況感を示す「製造業購買担当者景気指数」は 4 カ月続けて改善するなど企業の生産活動は活発だ。 このため、米国など世界的な金融緩和でだぶついた資金が中国市場へ流入している。

中国は輸出競争力を維持するため、人民元相場を低く抑えようと、元を売ってドルを買う市場介入を続けている。 このため、市中に流通する資金は常に過剰気味で、これも物価の押し上げ圧力になっている。 中国は不動産価格が急上昇して景気の過熱が心配された 07 年に 6 回の利上げを実施。 08 年 9 月のリーマン・ショック以降は 5 回の利下げを実行した。 (asahi = 12-3-10)


中国、物価抑制に奔走 投機マネー、食品襲う

【北京 = 吉岡桂子】 中国政府が物価の抑制に奔走している。 野菜や果物など食品の値上がりが目立ち、所得の低い家庭ほど影響が大きい。 社会の安定のため、民衆の不満を鎮める必要があるからだ。 背後では、世界から集まる投機資金「熱銭(ホットマネー)」もうごめいている。

価格上限設定も視野

「大衆の切実な利益にかかわる。 高度に重視しなければならない。 物価の速すぎる上昇を抑制する。」 11 日、広州市のスーパーを視察した温家宝(ウェン・チアパオ)首相の発言が、物価対策の号砲となった。 中国政府はそれから、砂糖や食用油の備蓄放出、野菜のビニールハウス建設に補助金拠出、新鮮な農産品を運ぶ車両の通行料の無料化、と物価の抑制策を連打。

値上がりを待つ買いだめや価格のつり上げ行為に目を光らせ、緑豆(りょくとう)の投機を取り締まって吉林省の企業から 100 万元(約 1,200 万円)の罰金を徴収した。 17 日の国務院(政府)常務委員会議では「必要ならば重要な生活必需品・生産財に、臨時価格介入措置を実行する」方針を決めた。 政府が設けた上限を超える価格での販売を禁じるものとみられる。 25 日には一部の食品や綿花などの値下がりも発表されたが、手を緩める気配はない。

中国の消費者物価指数 (CPI) は 10 月、前年同月より 4.4% 上昇し、約 2 年ぶりの高水準となった。 7 月以降、政府が通年の目標とする 3% を上回っている。 とりわけ食品の上昇率は 10% に達した。 要因は天候不順や災害にとどまらない。 マメ、ニンニク、ショウガなどは投機資金の標的となり値上がりした。

中国は 2008 年の世界金融危機後、景気を回復させようと低金利を続け、市場に大量の資金を供給してきた。 今秋以降は金融緩和を進める先進国から、だぶつく資金が流れ込んできた。 「中国のマネーが多すぎるのは争いのない事実(呉暁霊・前中国人民銀行副総裁)」で、こうした資金が食品にも向かっている。 人民銀は 10 月の 2 年 10 カ月ぶりの利上げ後、市場から資金を吸い上げる政策を強めている。

追加利上げは尻込み

中国政府は物価抑制の切り札である追加の利上げを、尻ごみしているようにみえる。

第 1 の理由は、金融緩和を進める米国などとの金利差が広がり、いっそう多くの「熱銭」が流れ込むのを心配しているからだ。 金利を高くすると人民元が買われ相場が上がる。 それを抑えるにはドルなど他国通貨を買って元を売る市場介入を今以上にやらなければならない。 すると、ますます市中に元が出回り、物価押し上げ要因となる。

もう一つの心配は、利上げが不動産価格の急激な値下がりを招きかねないことだ。 中国政府は不動産の使用権を売って財政収入にしている。 急激に値下がりすればこうしたシステムにひびが入る。 上がりすぎれば民衆から不満が出て、下がりすぎれば財政が破綻(はたん)する。 その微妙なあやを見極めようとしている。

もっとも、「追加利上げは避けられない(易憲容・中国社会科学院金融研究所研究員)」との見方は少なくない。 市場関係者の間には年内の実施を予想する声もある。 物価の上昇率が預金金利を上回る状況が進み、民衆に不満がたまっているからだ。 また、今回の物価上昇の根底には「人件費や燃料費、不動産価格などさまざまな生産コストの上昇(易研究員)」があり、これらの要因から来るインフレ懸念は、食品の価格対策では防げないからだ。 (asahi = 11-26-10)


中国、価格統制も視野 インフレ抑制に本腰

【北京 = 吉岡桂子】 中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は 17 日、国務院常務会議を開き、価格統制も視野に入れたインフレ抑制策を進める方針を打ち出した。 食品を中心に値上がりが続いているため、消費者の不満に対応する措置だ。

会議では「物価の安定は重要で緊急性がある」と指摘。 「必要な場合は生活必需品に臨時に価格介入措置を行う」として、物価しだいで価格統制を実施する方針を示した。 ニンニクなど身近な食品が投機の対象になっていることを念頭に、過度な投機行為を抑え、違法行為を取り締まる姿勢も改めて強調した。 貧しい家庭や学生向けに緊急の補助制度を設ける意向も示した。

中国の消費者物価指数は夏以降上昇し、10 月は前年同月比 4.4% 増の高い伸びとなった。 とりわけ食品が 1 割ほど値上がりし、低所得層の生活を直撃しつつある。 中国指導部は物価高が政治批判に転じることを強く懸念。 スーパーを視察した温首相は「人々の切実な利益にかかわるもの。 重大視しなければならない。」と庶民の生活に配慮する姿勢を示していた。 (asahi = 11-18-10)


中国、10 月の物価指数 4.4% 増 2 年ぶり高い伸び

【ソウル = 吉岡桂子】 中国国家統計局が 11 日発表した 10 月の消費者物価指数は、前年同月と比べて 4.4% 上昇した。 食品価格が 10.1% 上昇したのが主因。 2008 年 9 月の 4.6% 以来、約 2 年ぶりの高い伸びとなった。 中国政府の年間目標である「3% 前後」の水準を 4 カ月続けて上回った。 しかも 3.3%、3.5%、3.6% と上昇率は月を追うごとにじわじわと大きくなっている。

インフレを警戒する中国当局は、市場に出回る資金を減らして物価を抑制しようと、中国人民銀行(中央銀行)が 16 日から、金融機関から強制的に資金を預かる比率を示す預金準備率を引き上げる。 (asahi = 11-11-10)


衣類が暴騰、庶民を直撃、救世主は日本の「ユニクロ」 - 中国・北京

中国・北京の市民は、あらゆる物の値段が暴騰していることから、近づく「寒い冬」の到来に恐れをなしている。 特に衣類の値上がりは想像を絶するほどで、北京のアパレル売場では、コート 1 着の値段が 1 千元以上する。 台湾紙・聯合報が報じた。

北京の監測データによると、下着やタオルなど綿製品の平均値上がり幅は 13% - 24%。 このうち一番上がっているのは下着で、平均 23%。 原因は、中国本土の綿花生産高が昨年と一昨年に比べ 1 万トン以上減産しており、供給が約 400 万トン不足している状況にある。 今年の黄河流域の多雨は、綿花の減産を招き、品質も下がり、総生産量は 2 割以上落ち込む恐れがある。 アパレル業者はこの上ない苦境に陥り、そのマイナス影響は消費者にも及んでいる。

寒さが続いた 10 月下旬、北京百貨公司は創業記念祭を華々しく展開した。 出版業界で働く暁英さんは、北京新世界百貨のセール会場でお得な買い物をしようと出かけたが、衣服売場に一歩足を踏み入れた途端、創業祭なのに全く安くなってないことが分かった。 6 - 7 千元という暁さんの月給レベルはそれほど低くはないが、値引き後価格が 1 千元を超えるロングコートを前にして、「こんなの買える訳がないじゃない」と思わずうめいた。

うなぎ昇り状態の衣類価格を相手に、暁さんはやむを得ず戦略を転換、「オフシーズンの掘り出し物」に狙いをつけた。 つまり、「夏に綿の下着を買い、冬にスカートを買う」のだ。 北京でマスコミ関係の仕事をする文静さん。 洋服をほんの数枚買うだけでお給料がすっからかんになるため、最近はもっぱら日本のカジュアルブランド「ユニクロ」で買うという。 「ユニクロはとにかく安い。 上着 1 枚も 49 元で買えるのよ!」と喜んで話す。 (サーチナ = 11-6-10)