有毒植物食べた男性死亡 ギョウジャニンニクと誤り栽培

静岡県と御殿場署は 9 日、同県小山町に住む農業の男性 (76) が有毒植物のイヌサフランを食用のギョウジャニンニクと誤って食べ、死亡したと発表した。 県などによると、男性は 5 日未明に吐き気や下痢の症状を訴えて病院に入院。 9 日早朝に容体が急変し、死亡した。 男性は自宅の畑でイヌサフランをギョウジャニンニクと勘違いして育て、4 日の夕食で煮物にしたらしい。 (asahi = 9-9-14)


FM 補完中継局の AM 3 社、周波数 PR

TBS ラジオ、文化放送、ニッポン放送の在京 AM ラジオ 3 社は 5 日、AM 放送の番組を FM 放送でも流せる予備免許を総務省から交付されたことを受けて記者会見し、FM の周波数を PR した。 周波数は TBS が 90.5、文化放送 91.6、ニッポン放送 93.0MHz。 送信開始は来春以降の予定で、東京スカイツリーに 3 社の共同アンテナを置き、AM と FM で同じ放送を流す。 東京 23 区と埼玉県、千葉県、神奈川県の主要都市および周辺で聴くことができる。

FM 放送が実現すると、鉄筋マンションなど AM 波が届きにくい「難聴取地域」でも聞こえやすくなる。 地震など大災害で放送設備が被害を受けた場合に備える「災害対策」の面もあるという。 文化放送の三木明博社長は「一日も早い開設に向けて、3 社共同で取り組んでいきたい」と話した。 (asahi = 9-6-14)


小惑星が接近、「非常に近い」距離を通過へ NASA

米航空宇宙局 (NASA) は、新たに見つかった小惑星が米国時間の 7 日、地球から「非常に近い」距離を通過すると発表した。 小惑星「2014RC」の直径は推定 18 メートル。 米アリゾナ州にある観測所が 8 月 31 日に発見した。 日本時間の 8 日午前 3 時 18 分ごろ、ニュージーランドの上空を通過する見通し。 NASA によると、この小惑星が地球に衝突したり、地球軌道を周回する人工衛星に衝突したりする恐れはない。 肉眼では見えないものの、望遠鏡を使えばアマチュア天文家でも観測できそうだという。

地球を脅かす恐れのある小惑星は大量にあると NASA は推定する。 しかし近い将来、地球に衝突する可能性のあるものは現時点で見つかっていないという。 ただ、発見されないまま地球に接近する小惑星もある。 2013 年 2 月に大気圏に突入した小惑星は、ロシア上空で爆発して 1,500 人あまりが負傷した。 この爆発は核爆弾 30 発分もの威力があったが、事前の観測では見つかっていなかった。 一方、NASA が発見して観測を続けていた別の小惑星は、同じ日に無事、地球付近を通過した。 NASA は地球に被害をもたらす恐れのある小惑星の追跡を加速させ、地球からそらす方法について研究を進めている。 (CNN = 9-5-14)


FX 詐欺、337 億円集金か 容疑の 3 人を逮捕

投資関連会社オール・インが無登録で、外国為替証拠金取引 (FX) での高い運用益をうたい、巨額資金を集めたとされる事件で、北海道警と宮城、岡山、広島 3 県警の合同捜査本部は 3 日、大阪府の男性から会費約 22 万円をだまし取ったとして、同社の元専務、小原寛也容疑者 (42) = 神戸市長田区 = ら 3 人を詐欺容疑で逮捕した。 2010 年 11 月から中国に渡航中とみられる社長、森克彦容疑者 (47) の逮捕状も既に取っており、指名手配中。

捜査本部などによると、同社は 07 年ごろから FX への出資を勧誘し、全国の約 2 万 7 千人の会員から会費や出資金など約 337 億円の資金を集めたとみられる。 会員らには「月に 20% の利益が出る」などと話し、出資金は「キプロスの電子マネー会社を通じてパナマの会社が運用する」と説明していた。 逮捕容疑は 07 - 08 年、同社提供の FX の自動売買ソフトを利用すれば高い運用益を得られると偽り、大阪府箕面市の男性会員 (40) から会費としてソフト利用料 22 万 8 千円をだまし取った疑い。

オール・インをめぐる民事裁判では、元会員ら 100 人超が原告となった集団訴訟で東京地裁が昨年 7 月、同社と森容疑者に約 1 億 6 千万円を賠償するよう命じた。 (kyodo = 9-3-14)


危険ドラッグ、所持で免停検討 最大 6 カ月、警視庁

危険ドラッグ使用者による交通事故が相次いでいることを受け、警視庁がドラッグを所持している運転手に対して、交通違反がなくても最大 6 カ月間、運転免許を停止させる方向で検討していることが 1 日、警視庁への取材で分かった。 警視庁はほかにも、道交法が定める「過労運転等の禁止」を適用し、事故を起こす前や物損事故でも現行犯逮捕できる運用を始めるなど、既に危険ドラッグの取り締まり強化に乗り出している。 危険ドラッグの所持者に関しては「著しく交通の危険を生じさせる恐れがある時」との道交法の条文を適用するよう調整している。 (kyodo = 9-1-14)

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危険ドラッグ販売、削除依頼 = 29 サイト、プロバイダーに - 警視庁

警視庁サイバー犯罪対策課は 29 日までに、薬事法で所持や使用などが禁止されている指定薬物の危険ドラッグをネット上で販売していた 29 サイトについて、削除するよう接続事業者(プロバイダー)などに依頼した。 これまでに 10 サイトが削除され、2 サイトが 29 日中に削除される予定という。 同課によると、対象は厚生労働省が 7 月と 8 月に指定した 23 物質を含む 61 製品。 サイバーパトロールの結果、29 のサイトで販売されているのを確認し、東京、静岡、大阪、京都の各都府県のプロバイダーなど 9 事業者に、8 月 22 日と 25 日に削除を依頼した。 (jiji = 8-29-14)

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危険ドラッグ、初の検査命令へ 厚労省、都内販売店に

厚生労働省と東京都などは 27 日午後、都内の繁華街にある危険ドラッグ販売店へ一斉に立ち入り検査を始めた。 薬事法に基づき、販売店に対し、商品の検査命令を全国で初めて適用する方針だ。 検査結果が出るまで販売できなくして、危険ドラッグを封じ込める。 検査には 1 カ月以上かかるとみられる。

関係者によると、厚労省関東信越厚生局や東京都、警視庁などが約 80 人態勢で、新宿と池袋、渋谷にある 30 以上の販売店に立ち入る予定だ。 薬事法では、国や都道府県は販売店に対して、規制対象の「指定薬物」の疑いがある商品の検査を命令できる。 「お香」や「アロマ」と称しても、危険ドラッグと推定されるすべての商品を対象とする。 (asahi = 8-27-14)

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危険ドラッグ、ネット販売主流に 自己流調合も広まる

客足が遠のき、店舗数も減った。代わりにインターネットでの販売が増えている、という。 東京・池袋であった危険ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)の使用者による 8 人死傷事故から約 2 カ月。 事故直後に取材した店を再び訪ねた。

東京・歌舞伎町にある専門店。 約 15 平方メートルの店内では、ショーケースに 20 種類ほどのドラッグが並んでいたが、種類は事故直後からすべて入れ替わっていた。 規制が厳しくなるなかで、対象になったドラッグを品ぞろえからはずしたという。 「客足は落ちました。 7 月の売り上げは 6 月に比べて半分です。」と男性店員。 常連客はお気に入りのドラッグがなくなれば、他店に流れる。 事故以降、警察の見回り回数が増えたことも影響しているという。 (山本孝興、甲斐弘史 津田六平、asahi = 8-18-14)

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脱法ドラッグ乱用、4 割超に幻覚・妄想 覚醒剤を上回る

全国の病院で入院・受診した脱法ドラッグの乱用者について、厚生労働省の研究班が調べたところ、幻覚や妄想の症状が覚醒剤を上回る 4 割超の人で出ていたことがわかった。 依存症状も覚醒剤と同程度で見られた。 覚醒剤や麻薬ほど危険ではないと思い、好奇心から手を出す人が多いが、実際には強い有害性がある実態が浮かび上がった。

興奮や幻覚など麻薬と似た作用がある脱法ドラッグは、毒性や依存性が確認されると、指定薬物や麻薬に指定されて法で規制される。 規制を逃れるために、化学構造の一部を変える新種が次々と生まれ、いたちごっこが続いている。 罰則も麻薬・覚醒剤より緩い。 研究班は、精神科病床がある全国 1,609 施設で、2012 年 9 - 10 月に治療を受けた患者を調べた。 1,136 施設が回答し、1 年以内の薬物使用者(脱法ドラッグ 126 人、覚醒剤 138 人、睡眠薬・抗不安薬 86 人)を分析した。 (伊藤綾、asahi = 7-16-14)


電気・ガス料金、10 月から値下げ LNG の価格下落

電力 10 社と都市ガス大手 4 社は 28 日、10 月の電気・ガス料金を発表した。 11 カ月ぶりに全社が値下げする。 火力発電や都市ガスに使う液化天然ガス (LNG) の輸入価格などが下がったためで、据え置きが続いた西部ガスも値下げする。 ただ北海道電力は、10 月からの再値上げを国に申請しており、審査中だ。 (asahi = 8-28-14)


日本版 FEMA 必要か 危機管理対応の組織、検討開始

与党などが新設を求めている「緊急事態管理庁」など、大災害時の国の対応や危機管理を一元的に担う組織のあり方を議論するため、政府は 27 日、関係省庁の副大臣らを集めた検討会議を設けた。 現在の省庁の枠組みで横断的な体制を立ち上げるのか、それとも新しい官庁をつくるのか。 どちらが望ましいか、今年度中に結論をまとめる。

会議は内閣官房、内閣府、国土交通省、防衛省、総務省、警察庁の副大臣らが参加した。 この日の会合では、外国の危機管理組織を参考に検討した。 東日本大震災では地震、津波、原発事故の被害が広範囲で起き、省庁の縦割り行政や連携不足による対応の遅れが指摘された。 2012 年にできた原子力規制委員会設置法や昨年の国土強靱化基本法で、一元的組織の検討が盛り込まれた。

自民党も今月、米国の連邦緊急事態管理庁 (FEMA) を参考に、自衛隊や警察、消防などの機関を動員する権限を持たせた「緊急事態管理庁(仮称)」の新設を政府に提言している。(石川智也、asahi = 8-27-14)

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土砂災害、前兆に気付いたら避難を 全国で昨年 941 件

国土交通省によると、土石流や崖崩れ、地滑りなどの土砂災害は過去 10 年間の平均で 1 年に約 1 千件が起きている。 昨年はほとんどの都道府県で 941 件が発生した。 居住地に土砂災害の危険がないかどうかを確認するには、国交省砂防部の下記ホームページ (asahi = 8-20-14)

国土交通省砂防部 :  http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/index.html

土砂災害から身を守るために知っておきたいこと : http://www.mlit.go.jp/river/sabo/h25_typhoon26/miomamoru.pdf


クレジット決済、消費者委が法改正要請 トラブル増加で

内閣府の消費者委員会は 26 日、クレジットカードの決済を巡るトラブルが増えているとして、経済産業省に割賦販売法の改正を求める建議書を提出した。 決済を代行する業者の増加が一因とみており、代行業者の登録制度を設けることや、悪質業者を排除するため加盟店の審査を義務づけることを求めている。

また、分割払いの場合はトラブルが解決するまで支払いを停止してよいという権利が消費者に認められており、翌月一括払いでも認めることを求めた。 建議は消費者委員会に認められた権限で、経産省は来年 2 月までに改善策を報告しなければならない。 消費者委の事務局によると、全国の消費生活センターに寄せられたクレジットカード取引に関する相談は 2013 年度は 4 万 9,978 件を数え、10 年前の 3 倍超に増えた。 多くは通信販売サイトで商品を買い、カードで料金を支払ったのに商品が届かないとか、宣伝と異なる粗悪品だったというものだという。 (小泉浩樹、asahi = 8-27-14)


代ゼミ、校舎の 7 割閉鎖へ 400 人規模で希望退職募る

大手予備校の代々木ゼミナール(学校法人・高宮学園)が、17 都道府県で展開する 29 の校舎のうち 7 割にあたる約 20 校舎を来春にも閉鎖する方針を固めた。 閉鎖する校舎では来春以降の生徒を募集しない。 少子化による受験生の減少や競争の激化で、かつての「3 大予備校」の一角が大規模なリストラを迫られた。 代ゼミ関係者への取材でわかった。 関係者によると、閉鎖に伴い、40 歳以上を対象に 400 人規模で希望退職を募り、人員面でのリストラを進めることも検討している。 20 日に法人の各部署で高宮英郎理事長名で方針が伝えられたという。 (asahi = 8-23-14)


高学歴化進めば人口激減? 安倍首相のおひざ元の山口

山口県で生まれる子どもは、高学歴社会が続けば 60 年後にはいまの 3 割に - -。 安倍晋三首相のおひざ元にある山口銀行系のシンクタンクが、こう指摘するリポートをまとめた。 「若者流出の主体は圧倒的に大卒者」として、大卒者が魅力と感じる本社機能や開発拠点を呼び込まない限り、人口は激減するという。

働き盛りの 25 - 39 歳の男性の最終学歴をみると、大学・大学院卒は山口県は 29.1%。 全国平均の 37.1% とは開きがある。 人口の移動を分析すると、県内の高校から大学に進む約 6 千人の大半が県外に出ていた。 大卒後に県外就職する人の方が U ターン組よりも多く、山口県の 22 - 23 歳は年 500 人規模で減少。 一方、大学進学者の半分ほどの高卒就職者では、県外流出は 300 人にとどまる。

山口県は製造業が多く集積し、生産現場で働く人の割合は高い。 安倍政権は成長戦略で地方の人口減にとりくむ姿勢を鮮明にしているが、事務職や専門的な技術職など高学歴者向けの職場の確保が早急に求められているようだ。 (土屋亮、asahi = 8-22-14)

前 報 (3-29-14)


7 月の訪日客、過去最高の 127 万人 中国倍増、韓国も 6 カ月ぶりプラス

政府観光局は 20 日、7 月に日本を訪れた外国人旅行者は前年同月比 26.6% 増の 126 万 9,700 人で、1 カ月間として過去最多を記録したと発表した。 1 - 7 月の累計は推計 753 万 100 人で、過去最高のペースとなっている。 羽田空港の国際線増便や、アジア方面からのチャーター便就航の影響とみられる。

中国は大型クルーズ船 17 便の入港などで、2.01 倍の 28 万 1,200 人と大幅に増加した。 買い物客の需要が大きい台湾は 18 カ月連続で各月の過去最高を更新し、17.1% 増の 27 万 9,300 人だった。 韓国は旅客船沈没事故による旅行自粛ムードが和らいで 6 カ月ぶりにプラスに転じ、2.7% 増の 25 万 600 人だった。 (SankeiBiz = 8-20-14)

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5 月の訪日外国人数、過去 2 番目 アジアの旅行客好調

日本政府観光局は 18 日、5 月に日本を訪れた外国人が前年同月より 25.3% 増の 109 万 7 千人だったと発表した。 月間の訪日外国人数では 2 番目の多さだった。 アジアからの旅行客が好調で、とくに台湾からは 44.1% 増えて 2 カ月続けて最多を更新した。 ビザを得る要件の緩和が進む東南アジアも、調査している 6 カ国すべてが 5 月では最も多かった。 韓国は旅客船沈没事故の影響などから 14.6% 減になり、4 カ月続けて前年同月を下回った。 (asahi = 6-18-14)

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訪日外国人数、4 月も過去最高更新 羽田国際線拡大で

日本政府観光局は 21 日、4 月の訪日外国人は、前年同月比 33.4% 増え 123 万 2 千人だったと発表した。 1 カ月間としての過去最高を 2 カ月連続で更新した。 羽田空港発着の国際線が拡大した影響などで、台湾、タイ、フィリピン、ベトナム、フランス、米国の 6 カ国・地域の人が過去最高だった。 一方、韓国は旅客船沈没事故の影響で前年同月比 5.0% 減った。 (asahi = 5-21-14)

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訪日外国人客、過去最高の 105 万人 3 月、中国が好調

日本政府観光局は 23 日、3 月の訪日外国人客が前年同月比 22.6% 増の 105 万 1 千人だったと発表した。 1 カ月間の数としては過去最大という。 ビザ条件を緩和した東南アジアからの観光客が伸びたほか、大型のクルーズ船が寄港したことなどで中国からの客が過去最高になったという。

これまでの最高は 2013 年 7 月の 100 万 3 千人だった。 中国からの客は昨年 9 月から 7 カ月連続で過去最高を記録。 タイ、ベトナム、マレーシアは前年同月より 50% 超伸びた。 一方、韓国からの客は同 7.2% 減だった。 (asahi = 4-23-14)

前 報 (2-25-14)


科学への関心、米中韓より低く 4 カ国の高校生を調査

日本の高校生は、米国、中国、韓国の高校生と比べて自然や科学への興味や関心が少ない。 そんな実態が、国立青少年教育振興機構が実施した意識調査でわかった。 調査を担当した明石要一・千葉大名誉教授は、「科学への関心を高める『調べ学習』や『実験的学習』が日本では少なく、これらを踏まえた指導が求められる」と指摘する。

調査は昨年 9 - 12 月、4 カ国の高校 1 - 3 年生にアンケート形式で実施。 6,453 人から回答を得た。 今月 6 日に発表した。 自然や科学への興味や関心について四択で聞くと、「とてもある」、「ある」と答えたのは、日本の 59.5% に対し、中国 79.3%、米国 64.6%、韓国 63.1%。 男女別では日本の女子が 50.5% と最も低く、最多だった中国男子の 84.6% と大きく差が付いた。 (高浜行人、asahi = 8-19-14)


かもめ〜るで販促、人気 町内に全戸配達、今夏 18% 増

暑中・残暑見舞いはがきの「かもめ〜る」を、町内やマンション単位で全戸に配達する日本郵便のサービス「かもめタウン」が好調だ。 今夏の販売枚数は、初の 1 千万枚超えをした昨夏を約 18% 上回るペース。 お店や塾、美容院などが販促のため近所に配る例が多い。 あて名が要らず、「新規顧客の開拓に有効」と売り込んでいる。 かもめタウンは配達地域指定郵便物(タウンメール)の一種で、2009 年度に始まった。 1 枚 52 円で、1 千 - 2 千枚程度の利用が中心だという。 販売枚数は右肩上がりで、昨年度は前年度の 1.5 倍以上となる 1,247 万枚だった。

強みは、はがきの信頼性。 通常のチラシより費用はかかるが、目を通してもらえる割合も高いという。 また現金 5 万円などが当たるくじ付きのため、抽選日(今年は 9 月 1 日)まで保管してもらえる可能性が高いのも売りだという。 担当者は「季節のあいさつも盛り込めて、通常のダイレクトメールより読んでもらえるチャンスが広がる」と話す。 (竹山栄太郎、asahi = 8-18-14)


子ども食堂、優しさ満腹 1 人で食事する子支える NPO

貧しさのせいでおなかをすかせている子や、いつも 1 人でご飯を食べている子を地域で支えたい - -。 東京都豊島区で地元 NPO 法人が月 2 回開く「要(かなめ)町あさやけ子ども食堂」のオープンから 1 年余りが過ぎた。 スタッフ手作りの夕食をにぎやかに囲むひとときは、孤立しがちな親子への支援にもつながっている。

東京メトロの要町駅から、歩いて 10 分ぐらいの住宅街。 築約 50 年の 2 階建て住宅に、子どもや親子がぞくぞくとやってくる。 1 階の和室と洋室にある四つのテーブルは、25 人ほどの人ですぐいっぱいになった。 貧困家庭に限らず誰でも利用できるので、近所の親子連れや高齢者の姿もある。 「私、魚食べられないから欲しい人いる?」、「余ったオレンジのじゃんけんしよう!」 子どもたちの元気な声が飛び交う。 食事が終わると、子どもたちは庭の桑の実を取って食べ、追いかけっこや紙芝居を楽しんだ。 最後は、ぞうきんがけの手伝いもした。

食堂が本格的に始まったのは、昨年 5 月。 経済的に厳しい家庭の子を支援する NPO 法人「豊島子ども WAKUWAKU ネットワーク」が運営する。 1 人で食事する「孤食」の子や、貧困でおなかをすかせた子を、食堂を通して地域の人たちと結びつけ、学習などほかの支援にもつなげるのが目的だ。 法人は無料の学習支援教室も開いているが、そこに来ない子も、食堂ならなじみやすいと考えた。 (斉藤純江、asahi = 8-16-14)


ローソンが「介護コンビニ」 ケアマネ配置し高齢者支援

ローソンは、介護が必要な高齢者を支援するコンビニの展開を始める。 介護事業者と提携し、ケアマネジャーが常駐して介護サービスを紹介したり、生活相談にのったりする。 超高齢化が進むのに対応し、新たなサービスで客を増やすねらいだ。 首都圏で介護事業を手がける「ウイズネット(本社・さいたま市)」と提携し、同社がローソンの加盟店となり、店を運営する。 1 号店は来年 2 月に埼玉県川口市に開く予定。 ローソンは他の介護事業者にも加盟店になってもらう計画で、提携先がみつかれば、大阪や名古屋など大都市部を中心に 3 年で約 30 店を出す計画だ。 (生田大介、asahi = 8-16-14)


同窓会、企業がスポンサー 宣伝に絶好の場

高校や大学などの同窓会に対し、企業や自治体が PR の場として注目している。 参加者の年齢や地域などがはっきりし、商品や地元の魅力を効果的にアピールできるためだ。 同窓会側は、企業や自治体から資金や運営面でのサポートを受けられる。 「お金がない」、「手間がかかる」などの理由で開くに開けない同窓会の幹事にとっては朗報だ。

「このキャラクターの名前は何でしょう。」 7 月半ば、都内のホテルで開かれた都立三田高校の同窓会に約 90 人が集まった。 参加者は 40 歳になる同期の男女ばかり。 「スラムダンク」、「花より男子」など高校生当時人気だった漫画についてのクイズで、かつてのクラスごとに一つずつ渡された電子書籍端末に映った問題を見ながら、答えていった。 (篠健一郎、asahi = 8-16-14)


線香花火、国産が復活 火花 4 変化、細やかさ風流

夏の風物詩、線香花火。 中国産に押され、一度は姿を消した国産の人気が徐々に広がっている。 14 年前の復活当時は 3 千本だった出荷量が今夏、100 万本に達した。 火が付いてから玉が落ちるまでの微妙な変化の美しさが魅力だ。

「ママー、線香花火の形が変わったよ。」 8 日夜、東京都渋谷区の代官山駅に近い大型書店の敷地に、子どもたちの歓声が響き渡った。 国産花火を小売店に卸している「メソッド(同区)」が開いた花火大会。 親子連れなど約 250 人が集まった。 「1 分近く持ちましたよ。 温かい感じがいい。 淡い明かりって、今は見ないですから。」 近くに住む通訳の渦尻(うずしり)りささん (38) は線香花火を見つめて話した。 会社員の山下達雄さん (42) は「少年時代、よく庭先でやりましたよね」と懐かしがった。 「100 円ショップの中国産と違って火花が安定している。」 (小森谷清光、asahi = 8-14-14)


バターや脱脂粉乳の不足深刻 昨夏の猛暑で生乳減る

ケーキに使うバターや、ヨーグルトやアイスクリームに使う脱脂粉乳の不足が深刻だ。 昨夏の猛暑や農家の廃業に伴う乳牛の減少で、原料となる「生乳」の生産量が減っているためだ。 農林水産省は緊急輸入を決めたが、乳業業界の不安は収まっていない。

「すぐに輸入できないので、早めに要請した。」 4 日、乳業メーカーなどでつくる日本乳業協会は農水省に、バター 5 千トン、脱脂粉乳 1 万 2 千トンの緊急輸入を求める異例の要請文書を出した。 クリスマスケーキなどの需要が高まる年末に向け、同省は 5 月にバター 7 千トンの緊急輸入を決めた。 ただ、業界には「生乳不足はしばらく続きそうで、すぐ足りなくなる」との危機感が強い。

貿易自由化への不安などから酪農家の廃業が続く。 今年 2 月の乳牛の頭数は前年より 2% も減少した。 昨夏の猛暑の影響で搾乳に必要な妊娠・出産も思うように進まず、生乳の生産量は 6 月まで 13 カ月連続で前年割れとなっている。 (編集委員・小山田研慈、asahi = 8-14-14)


「アナと雪の女王」 DVD、史上最速で 200 万枚突破

公開中の映画「アナと雪の女王」の映像ソフト(ブルーレイと DVD 同梱〈どうこん〉)が発売から 4 週で 202.5 万枚を売り上げた。 調査会社オリコンが 12 日発表した。 映像ソフトの 200 万枚突破は、2002 年発売の「千と千尋の神隠し(累計 240.3 万枚)」以来で、史上 2 作目。 200 万枚突破までの期間は同作の 11 週を抜き、最速記録となった。 (asahi = 8-13-14)

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「アナと雪の女王」 13 年ぶり 250 億円突破

大ヒット中のディズニー・アニメ映画「アナと雪の女王」が公開 19 週目の 19 日に、興行収入 250 億円を突破したことが 22 日、わかった。 累計動員数は 1,973 万 2,446 人、興収は 251 億 584 万 7,600 円となり、ジブリ「千と千尋の神隠し」が 2001 年に記録して以来、実に 13 年ぶりの 250 億円超えとなった。

日本歴代興行収入記録で「千と千尋の神隠し」、「タイタニック」に次ぐ 3 位。 松たか子や神田沙也加、May J. らが歌う日本語版の劇中歌も大ヒット。 今月 16 日には Blu-ray Disc も発売され、発売わずか 3 日で 104.6 万枚とミリオンを達成した。 夏休みに入り、いまだ劇場には多くの人が訪れているとあって、「タイタニック」が持つ歴代 2 位の 262 億円の記録にも迫っており、「アナ雪」フィーバーは今後も続きそうだ。 (asahi = 7-22-14)


離れた地域の被害、「レインバンド」原因 台風 11 号

台風 11 号では、栃木県で竜巻、三重県で大雨と、中心から 500 キロ以上離れた地域で大きな被害が出た。 気象庁によると、「レインバンド」と呼ばれる帯状に発達した積乱雲が原因という。 同庁は本格的な台風シーズンを前に「離れていても油断せず警戒してほしい」と呼びかけている。 栃木県の竜巻は 10 日午前 11 時半ごろ発生し、栃木市や鹿沼市で477 棟が被害を受けた。 台風の中心は兵庫県付近にあったが、関東上空に午前 8 時ごろ、神奈川から群馬に至る南北 150 キロにわたってレインバンドが発生。 高さ 10 キロほどに発達し、昼にかけて栃木県あたりまで移動した。

三重県で大雨特別警報が出された 9 日午後 5 時ごろも、台風の中心は四国の南海上だったが、紀伊半島付近を南北 200 キロほどに延び、高さ約 10 キロになるレインバンドが覆っていた。 気象庁によると、台風の東側には、反時計回りの渦に引き込まれるように南から湿った空気が大量に入り込む。 この風が別の方向から吹く風や山などにぶつかって上昇気流が生じ、台風のへりに沿うように積乱雲が急発達する。 勢力が強く大きい台風の場合は、中心から1千キロ近く離れた場所でも発生するという。 同庁は「今回を教訓に、遠い台風でも早めの警戒をしてほしい」としている。 (石川智也、asahi = 8-11-14)


特殊詐欺被害 268 億円 56 億円増、過去最悪ペース

振り込め詐欺などの「特殊詐欺」の今年上半期(1 - 6 月)の被害が 5,682 件、268 億 2,950 万円に上ったことが 7 日、警察庁のまとめでわかった。 年間被害額が過去最悪だった昨年の同期より 26.5% (56 億 2,290 万円)増えた。 未公開株や社債購入を電話で持ちかけられて、金をだまし取られる被害が急増。 暴力団も事件への関与を強めている。

うその話を電話で持ちかけて金をだまし取る「架空請求詐欺」の被害は 1,167 件、68 億 4,369 万円。 昨年同期と比べて、件数がほぼ倍増し、被害額は 2.8 倍になった。 未公開株や社債購入を名目にした詐欺もこの一つで、被害額は 27 億 6,015 万円で昨年同期の約 4 倍に達した。 未公開株や社債の購入をことわっても、しつこく勧誘され、名前を貸してほしいと頼まれて了承すると、警察官や弁護士を装う別の人物から「名義貸しは違法。 キャンセル料金がいる。」と脅されたりした事例が多かったという。 (八木拓郎、asahi = 8-7-14)


国内レジャー市場、11 年ぶり拡大 外国人客の増加影響

日本生産性本部は 4 日、2013 年の国内レジャー市場の調査結果を発表した。 前年より 0.8% 増の 65 兆 2,160 億円の規模になり、02 年以来 11 年ぶりに前年を上回った。 「観光・行楽部門」が前年より 4.0% 増になり、2 年続けて増えたことが貢献したという。 円安で日本への旅行が割安になった外国人観光客が増えたほか、株高などで財布のひもが緩んだ人が国内観光を楽しんだという。 開業 30 周年を迎えた東京ディズニーリゾート、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ) などテーマパークも好調だった。 (asahi = 8-4-14)


"顔認証" で出入国可能に? 実証実験再スタート

2020 年東京オリンピック前の運用開始を目指しています。 成田空港と羽田空港では、IC チップに組み込まれた顔写真データとゲートで撮影した写真を照合し、日本人が出入国できる「顔認証」の実証実験が始まりました。 この実験は 2 年前にも実施されましたが、誤った認識が 18% 近くあり、改良が続けられてきました。 法務省入国管理局は、早ければ 2018 年度からの運用開始を目指しています。 また、「日本人の審査を合理化し、増加する外国人の審査に人と時間を使いたい」としています。 (TV Asahi = 8-4-14)


空き家撤去へ税制改正 政府検討、15 年度実現目指す

政府は荒廃した空き家の撤去を促すため、住宅が建つ土地の固定資産税を軽減する措置を見直す検討に入った。 屋根が飛ぶなど近隣の住民に迷惑がかかる空き家を減税の対象から外すことを検討する。 2015 年度税制改正での実現をめざす。 土地の固定資産税は住宅が建っていれば本来の 6 分の 1 に軽減される。 高度成長期の 1973 年に農地などの宅地化を進めるために導入された。 空き家でも軽減されるため、いつまでも荒廃したまま取り壊さずに放っておく原因になっている。

13 年時点で全国の空き家は過去最高の 820 万戸に達し、住宅全体の 13.5% を占めた。 火災が起きたり犯罪の温床になったりする恐れもあるため、政府は撤去を促す対策が必要と判断した。 自治体が危ないと判断した空き家を軽減の対象から外すことを検討。 持ち主が自主的に更地にした場合、一定期間は固定資産税の軽減を続けることも検討する。 (nikkei = 8-2-14)

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空き家率、過去最高 13.5% 820 万戸、総務省調査

全国の空き家が 820 万戸にのぼり、総住宅戸数に占める割合が 13.5% で過去最高となったことが 29 日、総務省の住宅・土地統計調査で明らかになった。 人口減少や高齢者の施設への入所などが、空き家率を押し上げている。 団塊の世代の高齢化が進めば、空き家の増加がさらに加速する見通しだ。

調査は 1948 年以来、5 年ごとに実施。 今回は昨年 10 月時点の総住宅数、空き家数などを調べた。 全国の空き家率は前回調査時の 13.1% から 0.4 ポイント上昇した。 もっとも高いのは山梨県 (22.0%)、次いで長野県 (19.8%)、和歌山県 (18.1%)。 人口減少や高齢化が進む地方が上位を占めた。 (田中聡子、武井宏之、asahi = 7-30-14)


孫に教育費、5,000 億円超を贈与 非課税の信託広がる

祖父母が孫に将来の教育費をまとめて贈っても課税されない制度を使った商品「教育資金贈与信託」の贈与額が、6 月末までに 5 千億円を突破した。 信託協会の調査でわかった。 同協会の想定よりも利用者のすそ野が広かったためだが、祖父母の資産によって教育格差が広がる心配もある。

教育資金一括贈与の非課税制度は、高齢者の資産を子育て世代に移し、教育費の負担を軽くするのがねらいで、2013 年 4 月に導入された。 子や孫 1 人あたり 1,500 万円まで一括して教育資金を贈っても、贈与税はかからない。 制度に基づく教育資金贈与信託の利用件数は、信託を扱う 52 社が加盟する信託協会の 6 月末現在のまとめで 7 万 6,851 件、贈与額は 5,193 億円。 導入から 1 年 3 カ月で、国の私学助成の年間予算額(14 年度で約 4,400 億円)を超える規模に膨らんだ。 (杉原里美、asahi = 8-1-14)

初 報 (3-31-13)


日本人男性の平均寿命、初の 80 歳超え 女性も過去最高

日本人男性の平均寿命が初めて 80 歳を超えた。 2013 年の平均寿命が前年を 0.27 歳上回り、過去最高の 80.21 歳となった。 女性は前年より 0.2 歳上がって過去最高の 86.61 歳となり、2 年連続の世界一になった。 厚生労働省が 31 日に発表した「簡易生命表」でわかった。

厚労省は毎年 1 回、各年齢の人が平均してあと何年生きられるかを表す「平均余命」の見込みを計算していて、そのうち 0 歳の平均余命が平均寿命となる。 平均寿命を押し上げたのは、各年齢でがんや心疾患、脳血管疾患、肺炎の死亡状況が改善したためという。 厚労省が把握している海外の国・地域のデータと比べると、日本人女性は前年に続いて世界一だった。 日本人男性の平均寿命は前年の 5 位から 4 位に上がった。 世界一は香港の 80.87 歳だった。 (石松恒、asahi = 7-31-14)


ウオーターサーバーの水、水道水の基準満たさないものも

家や会社での利用者が増えているウオーターサーバー(給水器)の宅配水。 麻布大学の古畑勝則教授(微生物学)が調べたところ、使用中に細菌が増殖し水道水の基準を満たさないものが数多くあるとわかった。 体に影響のあるレベルではないが、「安全性確保のため、衛生管理の対策が必要だ」と話している。

宅配水とは、業者がサーバーを利用者に貸し出し、定期的に容器入り飲料水を宅配するもの。 原料は地下水や濾過した水道水など。 一般家庭では、家族の人数にもよるが 10 - 12 リットル程度の容器 1 本を 10 日前後で消費するという。 昨年度、家庭や事務所などで使用中のサーバーの水 140 検体を調べた。 その結果、全体の 3 割にあたる 42 検体が、水道水の水質基準における一般細菌の基準値(1 ミリリットルあたり細菌の集落数が 100 以下)を上回った。 (編集委員・大村美香、asahi = 7-31-14)


喫煙率、ついに 20% 割れ JT 調査、推計 2,059 万人

日本たばこ産業 (JT) は 30 日、今年の国内の喫煙率が前年より 1.2 ポイント下がって 19.7% だったと発表した。 健康意識の高まりや消費増税に伴う値上げが影響し、19 年連続で減った。 喫煙率の調査を始めた 1965 年以降、20% 割れは初めて。 男女別の喫煙率は男性が前年比 1.9 ポイント減の 30.3%、女性が同 0.7 ポイント減の 9.8%。 全国の喫煙者数は推計で 2,059 万人(男性 1,526 万人、女性 533 万人)だった。

「毎日吸う」という人が 1 日に吸う平均本数は男性が 19.0 本、女性が 15.1 本で前年からほぼ横ばいだった。 喫煙率は 66 年の 49.4% をピークにほぼ右肩下がりで、83 年に 40% を、2004 年に 30% を割り込んだ。 JT は「高齢化や健康意識の高まりで今後も減少傾向が続く(広報)」とみる。 5 月に全国の 3 万 2 千人を対象に調査し、60.5% から有効回答があった。 (asahi = 7-31-14)


9 月の電気ガス料金、13 社で一斉値下げ 3 カ月連続

電力 10 社と都市ガス大手 4 社は 30 日、9 月の電気・ガス料金を発表した。 電力 10 社と東京ガス、大阪ガス、東邦ガスは 3 カ月連続で一斉に値下げする。 火力発電で使う液化天然ガスなどの輸入価格が下がったためだ。 西部ガスは横ばい。 輸入燃料費の変動を自動的に毎月の料金に反映させる燃料費調整制度による変更で、政府に申請する本格的な料金改定とは異なる。 (asahi = 7-30-14)


ウナギ、完全養殖で救え 孵化は成功、ただし値段は …

絶滅の恐れがあるとして、ニホンウナギが国際自然保護連合 (IUCN) のレッドリストに載ってから初の「土用の丑(うし)の日」を 29 日に迎える。 日本の食文化にも欠かせない希少生物の保護や増殖に取り組む最前線の現場を訪ねた。

青い光に包まれたひんやりした実験室の水槽で、ニホンウナギの幼生がゆらゆら。 孵化(ふか)したばかりで体長は数センチだが、サメの卵などを食べて体長 5 - 6 センチ、親と同じ形の稚魚(シラスウナギ)に育つ。 三重県にある水産総合研究センター増養殖研究所。 4 年前、人工授精から育ったウナギが卵を産み、孵化する「完全養殖」に世界で初めて成功した。

ニホンウナギは日本から約 2 千キロ離れた太平洋で産卵し、川で 5 - 10 年ほど生きるが、海での暮らしはよくわかっていない。 漁獲量が不安定な天然の稚魚を使わない完全養殖は夢の技術だ。 昨年度は約 400 匹が稚魚まで育った。 研究の第一人者、田中秀樹・ウナギ量産研究グループ長は「水槽さえ増やせば人工授精から育った稚魚の出荷は今でもできる」と言う。 ただ、値段は天然の数十倍。 親ウナギはホルモンを与えないと卵を産むまで成熟しない上、生まれて稚魚になるまで長くて 700 日と手間がかかる。 稚魚に育つ生存率も 1 割以下だ。

それでも 4 年間で餌やホルモンの開発が進み、研究の舞台も「実験室」から「工場」に移りつつある。 今年 2 月、静岡県にある千リットルの大型水槽で稚魚の飼育に成功したと発表。 生存率は実験室よりさらに低い 1% ほどだが、今も 300 匹余りが育つ。 今後、民間の技術協力で水槽を増やす。 「研究すればするほど稚魚を大量に飼う難しさが分かってきた」と話す田中さん。 天然の稚魚を守るためにも、将来、養殖に使う稚魚の一部を人工生産で補うことを目指している。 (小寺陽一郎、北上田剛、asahi = 7-28-14)

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土用前、新仔うなぎ出荷進む 今年は豊漁、価格もダウン

7 月 29 日の「土用の丑(うし)の日」を前に、半年をかけて養殖した「新仔(しんこ)うなぎ」の出荷が宮崎県で進んでいる。 ニホンウナギは絶滅が危惧され、稚魚の不漁が続いていたが、今年の出荷量は多く価格も下がっている。 「こんなときこそ、多くの人に食べてほしい」と業界は呼びかけている。 昨年 12 月の漁の解禁後から養殖されたウナギは、40 センチ程度に成長し、元気に身をくねらせている。 「1 年もの」とも呼ばれ、肉質が良く柔らかい。 日高水産 = 同県新富町 = の日高良浩社長 (31) は「量だけでなく質のいいものがたくさん育った。」 今年は昨年より 20 万匹多い 35 万匹を育てたという。

同県は、養殖ウナギの生産量が全国 3 位。 2012 年度のシラスウナギ採捕量は 168 キロで、4 年連続の減少となり、統計のある 1994 年度以降で最低だった。 2013 年度は 496 キロにアップし、1 キロあたりの平均価格も大幅に下がった。 1 位の鹿児島でも採捕量は上向いており、業界は活気を取り戻しつつある。 (伊藤あずさ、asahi = 7-20-14)