くも膜下出血の薬が水俣病に有効 症状軽減か、国水研が臨床試験へ

熊本県水俣市の環境省国立水俣病総合研究センター(国水研)は 8 日、手足のしびれなど水俣病特有の症状軽減に、くも膜下出血の治療薬が効く可能性があると発表した。 数年内の臨床試験を目指す方針で、水俣病初の治療薬として実用化も期待できるとしている。

この薬は、タンパク質の働きを低下させる「酵素阻害剤」の一つ。くも膜下出血の治療薬としてすでに実用化されている。 国水研毒性病態研究室の藤村成剛室長は、阻害剤が神経細胞の一部である軸索を収縮させるタンパク質の働きを抑制することに注目。 メチル水銀を与えたラットに投与したところ、軸策の収縮を防ぐことを確認できたとしている。 (kyodo = 9-8-14)


メルクの新種の抗がん剤を FDA が承認、米国初の PD-1 阻害剤

米食品医薬品局 (FDA) は 4 日、米製薬大手メルクの新種の抗がん剤「Keytruda (キートルーダ、一般名 ペンブロリズマブ)」を承認した。 米国で承認される PD-1 阻害剤の第 1 号となる。 同薬は免疫にブレーキをかける働きを持つ PD-1 を阻害するもので、年間売上高が数十億ドルに達する可能性がある。 承認された適応症は、切除不能あるいは転移性の悪性黒色腫(メラノーマ)。 臨床試験(治験)の比較的早い段階(第 1b 相臨床試験)のデータを基に迅速承認され、ペンブロリズマブへの強い関心を浮き彫りにしている。

FDA の迅速承認制度は、重篤または生命を脅かす疾患に用いる新薬を対象に、臨床効果が代用評価項目による評価で有効であることが見極められた際に早期に新薬としての承認を与えるもので、この制度による承認では新薬の有効性を市販後も調査することが義務付けられている。 静脈注射で投与されるキートルーダは、がんと闘うため免疫系の働きを高めることで効く新しい種類の免疫療法薬。 これとは異なる作用の仕組みを持つ、米ブリストル・マイヤーズ・スクイブの免疫療法薬「エルボイ(一般名 イピリムマブ)」など一部の治療薬に十分反応しなかった患者向けに承認された。

キートルーダによる治療費は高額だ。 メルクは患者 1 人当たり月間 1 万 2,500 ドル(約 130 万円)、年間 15 万ドル(約 1,580 万円)としており、この価格設定は進行した悪性黒色腫の標準治療やその他の画期的な抗がん剤と整合性があると述べた。

がん細胞は免疫にブレーキをかける働きを持つ PD-1 に結合することで破壊を免れる。 PD-1 阻害剤は、腫瘍の部位でそうした結合を阻止し、免疫系にがんを攻撃させる。 研究者によると、エルボイも免疫系のブレーキを解除することで効くが、そうした作用が起きるのは免疫細胞が活性化する過程の初期段階で、PD-1 阻害剤と比べると、より多くの健常組織の破壊が付随して起きる可能性がある。

PD-1 阻害剤はペンブロリズマブ以外にも、ブリストルとスイスのロシュ・ホールディングが開発を進めている治験薬があり、医師の間で反響を呼んでいる。 PD-1 阻害剤は腫瘍の縮小率が比較的大きく、治験ではこれまでの標準以上に平均生存期間を延長しているためだ。 研究者によると、PD-1 阻害剤に関連する副作用も管理しやすいもよう。

一部のアナリストは、さまざまながんを治療する免疫療法薬がさらに発売されれば、がんの免疫療法薬の年間売上高は 2025 年までに約 320 億ドル(約 3 兆 4,000 億円)に達するとみている。 リーリンク・スワンは、メルクのキートルーダだけで同年までに年間売上高が 60 億ドルを超えるとの見通しを示している。 (Peter Loftus、The Wall Street Journal = 9-5-14)


若年層のがん、診断時の進行度高く 61 万人を集計

胃がんや大腸がんなどの主要ながんで、若年層は診断時に最も進行した 4 期になっている割合がほかの年代より多いことがわかった。 国立がん研究センターが、全国のがん診療連携拠点病院の 2012 年のデータをまとめた結果を発表した。 がんセンターは、全国に 397 カ所ある拠点病院で 12 年にがんと診断されたか、他病院で診断されて受診した 61 万 3,377 人について集計した。

がんは進行度に応じて 1 期からもっとも進んだ 4 期まで 4 段階に分ける。 39 歳以下で診断時に 4 期とされた患者は胃がんでは 27.9%、大腸がんでは 20.3% だった。 40 代以上はいずれも 20% 未満だった。 肝がんでの 4 期は 39 歳以下だけが 30% を超え、33.1% だった。 肺がんでは 46.6% と高率で、90 歳以上の 50.8% を除けば 40 代以上はいずれも 30% 台だった。 (鍛治信太郎、asahi = 9-2-14)


STAP 細胞、現時点で再現できず 理研、検証は継続

STAP 細胞は存在するのか?

記事コピー (asahi = 1-29-14 〜 8-27-14)


子から子へ、初のドミノ肝移植 自治医大など、経過順調

国立成育医療研究センターと自治医科大のグループは 25 日、肝移植を受けた患者から摘出された肝臓を別の患者に移植する「生体ドミノ肝移植」を、国内で初めて子どもの間で実施したと発表した。 グループによると、患者はどちらも 1 歳(手術時)の女児。 特定のアミノ酸を分解できない「メープルシロップ尿症」の女児に、父親の肝臓の 20% を移植した。 この際に取り出した女児の肝臓を、血液が固まらないようにするたんぱく質を肝臓でつくれない「プロテイン C 欠損症」の女児に移植した。

メープルシロップ尿症の患者は肝臓だけでなく、腎臓や筋肉などでも特定のアミノ酸を分解できない。 この病気でなければ、その肝臓を移植しても肝臓以外で分解できる。 メープルシロップ尿症の患者からのドミノ肝移植は世界で 16 例あり、移植後にこの病気を発症した人はいないという。 6 月に自治医大で父親から女児への肝移植をし、同じ日に女児の肝臓が国立成育医療研究センターに運ばれ、別の女児に移植された。 女児 2 人は順調に回復しているという。 日本でのドミノ肝移植は 2011 年までに 39 例あり、小児から小児へのケースはなかった。(福宮智代、asahi = 8-26-14)


脳性まひ : 新生児に幹細胞移植、秋から臨床研究

大阪市立大、埼玉医科大などは 26 日、脳性まひを減らすことを目的に、酸素不足などによる脳症で生まれた新生児に幹細胞を移植する臨床研究を秋から始めると発表した。 国内では初めてだが、米国の大学などで実施されており、同様の治療法で厚生労働省に申請していた。 対象になるのは、難産などで新生児が仮死状態になり、脳に酸素や血流が不足して意識障害などを起こす「新生児低酸素性虚血性脳症」。 死亡や脳性まひの原因になる。 現状では、頭を冷やす「低体温療法」を行うが、生存できても半数に重い障害が残る。

臨床研究では、あらかじめ同意を得た妊婦の新生児がこの脳症を起こした場合、低体温療法を行った上で、新生児のさい帯血に含まれる幹細胞を含む液を生後 3 日間、点滴投与する。 こうした移植により、脳の神経細胞の修復を助けたり、血流を改善させたりする効果があるという。 さい帯血は生まれる直前まで胎児の体を流れていた血液のため、副作用は少ないと考えられている。 米国のデューク大が今年 1 1月に公表した中間報告では、幹細胞移植をした 18 例と行わなかった 46 例とで生存率に差は見られなかった。 しかし、発達が正常だった割合は、移植を受けた子が 72% と、移植を受けなかった子の 41% より高かった。

臨床研究は全国 6 病院で行う計画で、研究代表の新宅治夫・大阪市立大教授(発達小児医学)は「1 年ぐらいで 6 例の実施を想定しており、安全性の検証を進めていく」と話す。 高知大は 2012 年、脳性まひと診断された乳児にさい帯血の幹細胞を移植する臨床研究を始めた。 さい帯血の凍結保存はしているものの、移植した例はまだないという。 (下桐実雅子、mainichi = 8-26-14)


狭心症に超音波で血管創生 治験開始

薬剤や手術では十分な効果が得られない重症の狭心症の新しい治療法を、東北大の下川宏明教授(循環器内科学)らが開発し、臨床試験(治験)をスタートした。 心臓に超音波を当てて新たな血管を作らせ、心筋の血流を改善する。 体内の様子を調べる検査に使われる超音波と同程度の強度で効果が得られることから、患者の負担が少ない治療法として期待される。

狭心症は、心筋に血液を送る太い動脈(冠動脈)が、動脈硬化などで狭くなったり詰まったりして起きる。 これまでは、主に薬物療法や心臓バイパス手術、金属の管で血管を広げるカテーテル治療の三つが行われてきた。 しかし、食生活の欧米化で動脈硬化が進み、これらの治療を施しても発作を繰り返す重症患者が増えている。

従来の治療法が適さない患者のため、下川教授らは、衝撃波を心臓に当て、新しい血管を作らせる治療法を開発し、2010 年に先進医療として国の承認を受けた。 だが、衝撃波は空気中では膨張する性質があることから、空気を多く含む肺を避けなくてはならなかった。 そのため、位置をあわせる手間がかかるうえ、肺気腫などの患者には使いにくいという短所があった。

下川教授らは、特定の周波数の超音波を断続的に当てることで、衝撃波と同じ効果が得られることを発見。 心筋の血流が低下したブタを使った実験により、超音波によって新しい血管が作られ、心筋の血流が改善したことを確認した。 また、副作用や合併症は現れなかった。 超音波は、肺に傷害を与える恐れがなく、1 回の治療に要する時間も大幅に短縮されるため、患者の負担が軽減されるなどの長所がある。 また、超音波機器については、日本企業も高い技術を持っているため、国産の装置開発が可能だという。

同大病院を含む全国の 8 施設で治験を行い、18 年度には国の承認を得る計画だ。 下川教授は、「狭心症治療の新たな選択肢として、国内だけで数万人の患者が対象になるとみられる」と話している。 (yomiuri = 8-22-14)


MRSA : 青い光で退治 患部に照射 マウス実験で成功

大阪市立大医学部の鶴田大輔教授らの研究グループは、抗生物質が効きにくい多剤耐性菌のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染の新たな治療法として、抗生物質を使わず患部に青い光を当てて菌を殺すことに、マウスの実験で成功したと発表した。 感染症治療には抗生物質が有効だが、多用すると新たな耐性菌を生む恐れがあり、新治療法の実用化が期待される。 21 日、米オンライン科学誌プロス・ワンに掲載される。

鶴田教授によると、皮膚の傷に MRSA など多剤耐性菌が感染すると治癒が遅れ、全身やけどでは死亡するケースもあるという。 実験は、光の照射前にアミノ酸の一種の 5-アミノレブリン酸 (5-ALA) を注射する方法を使った。 増殖している菌は 5-ALA を取り込み、5-ALA は菌の内部で、青い光を受けると活性酸素を生じる物質に変化する。 活性酸素は細胞膜を破壊し、菌を死滅させる。

免疫力を低下させたマウスの背中に直径 6 ミリの傷を作り、傷口に MRSA を感染させて治療法の有効性を調べた。 5-ALA を注射し、青色発光ダイオードで光を約 1 分間当てる治療を毎日続けると、13 日目で傷口が塞がり、菌の量は 100 分の 1 程度に減った。 治療しないと傷口は 2 割程度しか回復しなかったという。 MRSA 以外での実験も、今後予定している。 鶴田教授は「数年内に感染症治療にも使えるようにしたい」と話している。 (吉田卓矢、mainichi = 8-21-14)


採血 1 回、13 種のがん発見? 検査技術の開発に着手

1 回の採血でがん 13 種類や認知症を発見できる検査技術の開発に着手する、と新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) と国立がん研究センターなどが 18 日発表した。 患者約 7 万人分の血液を解析し、それぞれの病気に特有の物質を見つけるという。 2018 年度までに開発をめざし、健康診断などへの活用を想定している。

NEDO などによると、事業費は計約 79 億円の予定。 調べるのは血液や唾液(だえき)などに含まれる「マイクロ RNA」という物質で、近年、病気ごとに血液中の種類や量が変化することがわかってきた。 13 種類のがんは日本人に多い胃がんや大腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がんなど。 国立がん研究センターと国立長寿医療研究センターに保管されている各患者の血液を調べ、それぞれに特有のマイクロ RNA の種類を見つける。 (土肥修一、asahi = 8-18-14)


高齢者の膝痛、他人の軟骨細胞移植で治療計画

加齢で膝の軟骨がすり減って痛みが出る「変形性膝関節症」の患者に、培養した他人の軟骨の細胞を移植し、機能を回復させる試験的な治療(臨床研究)を、東海大の佐藤正人教授(整形外科学)らの研究チームが始める。 今後 5 年間で患者 10 人に移植する計画で、今月、厚生労働省の承認を得た。 患者は国内で 1,000 万人以上と推定され、高齢者が多い。 症状が悪化して歩くのが難しくなると、そのまま、介護が必要になる人も少なくない。 高齢化が進む中、国は「重点的に予防などの対策を進める病気」と位置づけている。

計画によると、子供などが先天的な疾患による指の手術で軟骨を切除した際に、同意を得た上で提供してもらう。 国の指針に従い、細胞に異常がないことを確認した上でシート状に培養して移植する。 他人の組織は移植後、免疫による拒絶反応が起きる恐れがあるが、軟骨はもともと拒絶反応が起きにくい性質があるという。 佐藤教授によると、若い細胞は軟骨の修復を促す成分を盛んに出すため、移植すると、軟骨の再生能力の向上が期待できる。 (yomiuri = 8-17-14)


脊髄の損傷を迂回、腕からの信号で歩けた 人工回路開発

脊髄(せきずい)損傷で足が不自由な患者らの治療につなげようと、損傷部分を迂回(うかい)する人工回路を開発して、脳からの電気信号を伝える研究を続ける生理学研究所(愛知県岡崎市)が、手の動きを足に連動させて動かすことができる新たな人工回路を開発し、発表した。 13 日付の米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(電子版)」に掲載された。 同研究所の西村幸男准教授 (42) によると、脳からの信号を伝える脊髄が傷つくと、腰にある歩行中枢とのつながりが途絶え、歩行障害や下半身マヒが起きることがある。

西村准教授らは昨年 4 月、首周辺の脊髄の損傷部分を迂回して手を動かす人工回路をサルを使った実証実験で成功させたと発表したが、今回の実験は、胸の辺りの脊髄を損傷し、足は動かないが手は動かせる想定の健常者で実施した。 従来の研究では電気信号を解読するために電極を埋め込むなどの手術が必要だったが、今回は手術なしで器具と肌の接触だけで成果があったという。 (北上田剛、asahi = 8-16-14)


心停止 82 分からの生還 後遺症なく回復、国内最長例か

愛媛県八幡浜市の市立八幡浜総合病院は 9 日、心筋梗塞(こうそく)で 1 時間 22 分にわたり心停止を起こした男性 (62) が後遺症なく回復したと発表した。 上村重喜院長は「通常体温で心停止状態が 1 時間を超えて後遺症がないケースを知らない。 今回は停止時間が国内で最長の回復例ではないか。」としている。

発表によると、男性は今年 2 月 4 日朝、同県西予市の自宅で背中の痛みと吐き気を訴え、近くの診療所で受診した。 だが症状が重いため同病院に救急車で搬送中、午前 9 時 47 分に心停止を起こした。 3 分後に到着した同病院でも心肺蘇生措置が続けられ、午前 11 時 9 分に心拍が再開したものの意識は戻らなかった。 4 日午後に同県東温市の愛媛大付属病院に転院し、体温を下げて脳を守る「低体温療法」を受け、その後意識が戻った。 3 月 31 日に退院した。

上村院長は「救急隊員の心臓マッサージが適切だった。 諦めずに治療を続ける大切さを感じた。」と話した。(佐藤英法、asahi = 8-9-14)


細胞死、食品成分が抑制 赤ワインやゴマ、京大解明

細胞内の不要なタンパク質が分解できなくなるなど機能が低下した細胞の生存率を上げるのに、赤ワインに含まれるポリフェノールやゴマの成分が有効なことを、京都大のチームがハムスターを使って明らかにし、31 日付の英科学誌電子版に発表した。 アルツハイマー病の予防などに役立つ可能性があるという。 過剰な摂取は避ける必要があるが、チームの阪井康能教授(分子細胞生物学)は「一般に健康に良いとされる食品成分が、細胞レベルでも効果があることを示す成果だ」と話している。 細胞内にあるタンパク質を分解する機能が落ちた細胞では、内部に異常なタンパク質が蓄積。 (福島民友 = 7-31-14)


C 型肝炎治療薬、副作用で 15 人死亡

2011 年に発売された C 型肝炎の治療薬「テラビック(一般名テラプレビル)」を服用した患者のうち、約 23% に肝不全や全身の皮膚炎などの重い副作用が出て、50 代 - 70 代の男女 15 人が死亡していたことが 26 日、製造販売元の田辺三菱製薬(大阪)への取材で分かった。 同社によると、死亡例の多くが、対象外としていた重度の肝硬変や肝臓がんの患者への処方だった。 処方後、発疹など副作用の兆候を医師が見逃していた疑いのある例もあった。 同社は「適正に処方するよう、医療機関に十分に情報提供していた」としている。

テラビックは、C 型肝炎ウイルスの複製にかかわる酵素を阻害し、増殖を抑える飲み薬。 市販後の調査では、従来の治療で効果の無かった患者の 7 割でウイルスが排除されることが確認された。 11 年 11 月の発売以降、昨年 9 月までの約 2 年に 1 万 1,135 人が服用し、約 23% の 2,588 人に重い副作用の症状が出たという。 同月までに 13 人が亡くなり、その後 2 人の死亡も確認された。 発疹が悪化し、全身の皮膚がただれて亡くなるケースもあった。 服用との因果関係は否定できないとされた。

臨床試験で副作用の報告があったため、処方は、皮膚科専門医と連携できる肝臓専門医に限定されていた。 死亡例以外でも、医師が副作用の重症化を防ぐ措置を適切に施さなかったケースが目立ったという。 (kyodo = 7-26-14)


家族承諾、心臓移植へ 北海道大学病院、15 歳未満女子の脳死判定

日本臓器移植ネットワークは 24 日、脳血管障害で北大病院に入院していた 10 歳以上 15 歳未満の女子が 24 日午前 8 時 18 分、臓器移植法に基づき脳死と判定されたと発表した。 15 歳未満の脳死判定は 5 例目で、道内では初めて。 本人は書面での意思表示をしていなかったが、家族が心臓の提供を承諾した。 25 日午前 8 時半ごろから北大病院で摘出手術を行い、大阪大病院で 18 歳未満の10代男子に移植される。 (北海道新聞 = 7-25-14)


訪問診療撤退 155 施設 報酬下げ影響、団体調査

医療機関に支払われる診療報酬が 4 月に改定され、有料老人ホームなど高齢者施設への訪問診療の報酬が大幅に減額された影響で、全国の少なくとも 155 施設で医療機関が撤退したり交代したりしたことが、20 日までに全国特定施設事業者協議会など業界団体の調査で分かった。

改定で報酬は最大約 4 分の 3 カット。 施設で一度に大勢の患者を診察する医師の「荒稼ぎ」を防ぐ狙いだったが、現場からの反発が強まっており、厚生労働省も来月以降、影響を調べる予定だ。 今回の調査は 5 - 6 月に、有料老人ホームや認知症グループホームなどの事業者でつくる計 4 団体が共同実施。 1,764 施設から回答を得た。 (kyodo = 7-20-14)


阪大病院 心臓に筋芽細胞シート 移植女児の心機能改善

重い心臓病の女児 (11) に対し、ふくらはぎから筋肉のもとになる細胞を採取してシート状に成形し、心臓に移植して機能を改善させる手術に成功したと大阪大病院(大阪府吹田市)が 16 日、明らかにした。 大阪大病院によると、子供での実施、成功は国内で初めてという。

重い心臓病では根本的な治療は心臓移植しかないが、子供の場合は提供者(ドナー)が少なく、移植を待つ期間が長引くことが問題になっており、今回の治療法は新たな選択肢として有用となりそうだ。 病院によると、澤芳樹教授(心臓血管外科)のチームが 23 日、手術の結果や経過の詳細について記者会見する。

女児は 9 歳の時に、心不全を引き起こす拡張型心筋症と診断され、徐々に症状が悪化。 5 月に筋肉の細胞を採り、筋肉のもとになる「筋芽細胞」を選んで培養し、薄いシート状にした。 6 月18日にシートを心臓に張り付ける移植手術を実施。 手術後1カ月で心機能が改善する効果を確認し、近く退院する予定という。 (sankei = 7-17-14)


熱中症対策、水だけ補給は逆効果 高齢者は特に要注意

のどが渇くなどの感覚が弱まっている高齢者は、脱水症状に気づきにくく「隠れ脱水」の状態になり、特に熱中症になりやすい。 高齢者は熱帯夜なのに冷房をつけなかったり、寝る前に水分を控えたりしがちなのも危険だ。 室内で熱中症を起こすこともある。

兵庫医科大の服部益治教授によると、水だけを補給すると体内の塩分濃度が薄まって尿が出やすくなり、かえって熱中症になりやすいという。 服部さんは「水と一緒に梅干しや塩こんぶをとったり、みそ汁を飲んだりするといい」という。 水1リットルに砂糖40グラム(大さじ4・5)、塩3グラム(小さじ0・5)を溶かせば、水分と塩分を補給するための補水液をつくれる。 体液に近い濃度なので、寝る前に飲んでも夜間のトイレの回数は増えにくく安心だ。 (asahi = 7-13-14)


肝炎と知りながら … 53 万人治療続けず 厚労省推計

肝炎ウイルス検査で感染がわかっても、継続して治療をしていない人が全国に少なくとも 53 万人いると、厚生労働省の研究班が推計した。 自覚症状がほとんどないためとみられるが、放っておくと肝硬変や肝がんに進行するおそれがある。 同省の肝炎対策推進協議会で 9 日、報告された。 専門家が継続して治療するよう呼びかけている。

研究班は、献血で感染が判明した人の割合から、知らないまま感染している人が 2011 年時点で全国に約 78 万人いると試算。 00 年時点では 240 万人以上いたとされ、その後治癒した人や死者、通院者数などをもとに推計。 その結果、感染を知りながら治療を続けていない人は、全国で 53 万人以上となった。

ウイルス検査で陽性と判定された 2,177 人の追跡調査では、医療機関を受診したのは 1,442 人。 そのうち、継続して治療を受けたのは B 型肝炎で 70%、C 型肝炎で 85% だった。 調査した田中純子・広島大教授(疫学・疾病制御学)は「自覚症状がなく治療の必要性を感じないため、検査が治療に結びついていない。 効果の高い治療薬や医療費助成もある。 陽性ならば医療機関を受診してほしい。」と話している。 (伊藤綾、asahi = 7-9-14)


脳振盪、甘く見ないで 2 度目のショックで死亡例も

スポーツをしていて起こす脳振盪(のうしんとう)を甘く見てはいけない。 軽い症状だと思って練習を再開すると、頭の中の軽い出血を見逃して、2 度目の小さなショックで死に至るケースがある。 「セカンドインパクト症候群」などと呼ばれ、医学界は注意を促すとともに現場向けガイドラインの作成を急いでいる。 事故が多くなるのは合宿などで厳しい練習をする夏場。 現場もいざというときの対応を知っておきたい。

高校 1 年生だった柔道の女子選手が 2002 年、夏合宿中に背中から落ち、意識を失って病院に運ばれた。 頭蓋(ずがい)骨の内部で出血する急性硬膜下血腫と分かり緊急手術をしたが、寝たきりの状態に。 11 年後、亡くなった。

「セカンドインパクト症候群」の例だ。 この時は背中を打っただけだが、実は数日前に頭を打って頭痛が残り、脳振盪や軽い内出血の疑いがあった。 「最終日だから」と練習に誘われ、重大な事故になった。 神奈川県立足柄上病院の野地雅人医師によると、転倒して頭を打ったバレーボールやラグビー、柔道の選手など、わかっているだけでも 10 人ほど同じような事故例があるという。 脳の腫れも起きる。 (後藤太輔、asahi = 7-8-14)


子宮頸がん、ワクチン副作用 176 件 原因不明 慢性的な痛み、運動障害

子宮頸けいがんワクチンの接種後に体の痛みなどの重い症状が出ている問題で、厚生労働省は 4 日、検査しても原因が分からない痛みや運動障害などの副作用が、2009 年 12 月から今年 3 月末までに 176 件報告されていることを、同日開かれた有識者検討会で報告した。

同省によると、医療機関やワクチン製造販売業者が報告した重い副作用は 617 件あり、脳脊髄炎や、アレルギー反応による呼吸困難、じんましんなどが確認されている。 このうち、原因となる病気が特定できないのに、広範囲に広がる慢性的な痛みや手足の動かしにくさなどの症状が表れ、子宮頸がんワクチン接種後の副作用として特に問題になっている症例は 176 件だった。

子宮頸がんワクチンは、昨年 4 月から国が接種を勧める定期予防接種となったが、重い副作用の報告が相次いだ。 厚労省は同年 6 月にワクチンの接種を積極的に勧めることを中止しており、この日の検討会でも引き続き議論を続けることを確認した。 一方、昨年 6 月以降の接種者は月に約 2,000 人で、同省は今後、接種後の危険性や注意点などについてまとめた手引を作成し、接種を受ける子どもや保護者などに情報提供を進める。 (yomiuri = 7-5-14)


メタボ健診受診率、微増 46% 目標なお遠し

生活習慣病を防ぐための特定健康診査(メタボ健診)の 2012 年度の受診率は、46.2% だった。 厚生労働省が 4 日、発表した。 前年度より 1.5 ポイント増えたが、目標としている「70%」には遠く及ばなかった。 メタボ健診は 40 - 74 歳の約 5 千万人が対象だ。 08 年度から始まり、受診率は年々、わずかながら増えている。 保険者ごとにみると、大企業の健保組合が 70.1% に達しているのに対し、市町村の国民健康保険は 33.7%、中小企業の協会けんぽは 39.9% にとどまっている。 (asahi = 7-4-14)

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脱メタボ、保健指導が有効 男性 2 割、女性 3 割が改善

特定健診でメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や肥満とされ、積極的に保健指導を受けた人は 1 年後、体重や血圧などの値が改善し、男性は 2 割、女性で 3 割が「脱メタボ」に成功していた。 厚生労働省が 18 日、調査結果を初めて公表した。 厚労省は「一定の効果が見られたので、受診率向上をめざしたい」としている。

特定健診は 2008 年、生活習慣病予防のため、40 - 74 歳を対象に始まった。 男性で腹囲 85 センチ以上、女性で 90 センチ以上の人のうち、血糖、脂質、血圧の二つ以上で基準値を超えるとメタボリックシンドローム、一つだけだと「予備群」と判定される。 企業の健保組合や国民健康保険などには、判定された人たちへの保健指導が義務づけられている。

厚労省は 08 年度から 11 年度にかけ、特定健診で保健指導の対象となった人のうち 600 万人以上のデータを調べた。 08 年度に保健師らから電話や面接などの指導を 3 カ月以上受けた人たちは、受けなかった人たちに比べ、男女いずれもすべての項目で値が改善。 指導を受けた人たちは 1 年後、腹囲は男性で 2.2 センチ、女性で 3.1 センチ、体重は 1.9 キロ、2.2 キロそれぞれ減った。

その結果、メタボリックシンドロームと診断された人は、男性で 51.0% から 29.8%、女性で 54.8% から 25.1% に減った。 予備群も男性で 41.8% から 32.0%、女性で 35.3% から 25.5% に減った。 ただ、09、10 年度からの 1 年間の保健指導では、「脱メタボ」の成功率は 2 - 1 割強と初年度の 08 年度より低かった。 厚労省は「初年度に指導を受けた人は意欲が高かったからではないか」とみている。 今後、健診と保健指導がどのくらい医療費の抑制につながるかを分析する。 (伊藤綾、asahi = 4-19-14)

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メタボ健診受けたら 1 万円還元も 自治体が呼び込み作戦

国民健康保険の赤字が膨らむなか、生活習慣病による医療費の増加を抑える - -。 6 年前に始まった特定健康診査、通称メタボ健診の狙いだ。 国保を運営する市町村は財政難を抱え、あの手この手で受診率アップに努めるが、医療費の抑制効果はまだ見えてこない。

「糖尿病の入り口ですね。」 2 月半ば、愛知県清須市の清洲保健センター。 初の特定健診で血糖値が高く出た 50 代の女性に、管理栄養士の山田佳代子さん (58) が食事減量を求めた。 山田さんは「入り口から進むか戻るかは本人や家族にとって大事。 指導も必死です。」と話す。 ある人が生活習慣病の糖尿病を悪化させ人工透析を始めると、医療費は年 500 万円にもなり、国保にも重荷になる。

国保会計は全国の半数の市町村で実質赤字。 一般会計からの繰り入れなどでしのぐ。 「全国の首長が悪戦苦闘している。 独自策なしに生き残れない。(岡山県総社市の片岡聡一市長)」と、各地で特定健診の受診率アップ作戦に躍起だ。 総社市の特典は 1 万円キャッシュバック。 受診から 1 年間、病院にかからなかった世帯に、特定健診費にがん検診費を加えた 2 人分にあたる 1 万円を渡す。 2012 年度の特定健診受診率は 26.7% と低く、「未受診世帯を振り向かせたかった。(市民課)」 (嶋田圭一郎、asahi = 3-23-14)


糖尿病新薬で低血糖や脳梗塞 … 学会が注意喚起

新しい糖尿病治療薬の服用後に、低血糖や脳梗塞などを起こした例が報告されており、日本糖尿病学会は、適正使用をするよう注意を呼びかけた。 新薬は、今年 4 月以降、相次ぎ発売されている「SGLT2 阻害薬」。 腎臓で、尿に出た糖を再び取り込むのを妨げる働きがあり、体重を減らす作用がある。

同学会によると、報告されたのは、低血糖 24 例、脳梗塞 3 例、全身の発疹 7 例など。 このうち低血糖 4 例、脳梗塞 2 例、発疹 6 例は重い症状だった。 低血糖は他の糖尿病治療薬を併用している場合が多いため、同学会は他の薬は減らすようにし、併用は原則 2 剤程度までを推奨する。 新薬を服用すると、尿の量が増えて体内の水分が減り、脳梗塞の要因になるので、適度な水分補給など十分な脱水対策を求めた。 (yomiuri = 6-28-14)


新型出生前診断、異常確定のうち 97% が中絶

妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断を実施している病院のグループは 27 日、導入から 1 年間で陽性と判定された 142 人のうち、113 人の異常が確定し、97% に当たる 110 人が人工妊娠中絶したと発表した。 残る 3 人は流産したり、妊娠を続けたりしている。 新型出生前診断は昨年 4 月、35 歳以上の妊婦らを対象とした臨床研究として始まった。 胎児にダウン症など 3 種類の染色体異常があるかどうかを調べている。 全国 37 病院での 1 年間の実績を集計した結果が明らかにされた。

集計によると、診断を受けたのは 7,740 人で、このうち異常の可能性がある陽性と判定されたのは 142 人 (1.8%) だった。 この検査では、異常がないのに陽性と判定される「偽陽性」が出ることがあるため、確定診断には羊水検査が必要になる。 しかし、3 人が羊水検査を受けずに中絶していた。 (合田禄、asahi = 6-28-14)

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ダウン症児の出生、過去 15 年で倍増 全国調査から推計

ダウン症で生まれる赤ちゃんの数が過去 15 年間で約 2 倍に増えているとする推計が、日本産婦人科医会の全国調査の分析をもとにまとまった。 高齢妊娠の増加に伴い、ダウン症の子を妊娠する人が増えていることが背景にあるという。 同医会が全国約 330 病院を対象に毎年実施している調査結果を、横浜市立大学国際先天異常モニタリングセンターが分析した。 ダウン症で生まれた赤ちゃんの報告数は 1995 年が 1 万人あたり 6.3 人で、2011 年は 13.6 人と倍増していた。

また、ダウン症を理由に中絶をしたとみられる数も推計。 95 - 99 年の中絶数を基準とすると、05 - 09 年は 1.9 倍に増えていたという。 妊娠を継続していれば生まれていたとされるダウン症の赤ちゃんの数の推計では、11 年は 1 万人あたり 21.8 人だった。 調査では実数を出していないが、11 年の人口動態統計の出生数に当てはめると、ダウン症の赤ちゃんは約 2,300 人生まれるはずだったが、実際に生まれたのは約 1,500 人となる。 差の約 800 人の一部が中絶されたとみられる。

この 15 年間で超音波検査による出生前診断などが広がっている。 昨年 4 月には、妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断が導入された。 半年間の集計では、異常が確定した 56 人のうち 9 割以上が中絶を選んでいた。 センター長の平原史樹教授は「今後、中絶数がどう変化するか、注意深く見守っていく必要がある」と話す。 結果は 19 日、東京都内で開かれる日本産科婦人科学会学術集会で発表される。 (岡崎明子、asahi = 4-19-14)

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「新型出生前」 7,775 人受診 = 導入から 1 年で - 研究チーム

妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断を、昨年 4 月の導入以降 1 年間で 7,775 人の妊婦が受けたことが分かった。 診断を行う全国 41 の医療機関のうち 38 機関でつくる研究チームが 19 日、東京都内で報告会を開いた。

1 年間に生まれる赤ちゃんは約 100 万人のため、1% 弱の妊婦が検査を受けた計算になる。 平均年齢は 38.3 歳だった。 研究チームの関沢明彦昭和大教授によると、7,775 人のうち 1.8% に当たる 141 人が染色体異常の疑いがある陽性と判定された。 陽性判定後は羊水検査などの確定診断を受ける必要があるが、確定診断を受けた人数や、妊娠継続の有無は集計中という。 (jiji = 4-19-14)

前 報 (2-27-14)


肝炎防ぐたんぱく質発見 … 北大、来月臨床実験へ

北海道大の尾崎倫孝教授(消化器外科学)らのグループは 25 日、脂肪肝が肝炎に悪化するのを食い止めるたんぱく質をマウスによる実験で突き止めた、と発表した。 尾崎教授らは、このたんぱく質のヒトの肝臓での働きを調べる臨床研究を 7 月から始める予定で、一定の役割が分かれば、肝炎の予防薬の開発に乗り出す。

肝臓の疾患は自覚症状なく進行することが多く、脂肪肝は肝炎の "予備軍" とされる。 特にアルコール分解などの肝機能が低下すると、元の状態に戻すのは難しいとされている。 悪化のメカニズムは不明な点が多く、尾崎教授らは臓器や細胞内の栄養状態を調整する「オートファジー」に関わるたんぱく質のうち「p62」と呼ばれるものに着目した。 (yomiuri = 6-26-14)


肺炎球菌、0 - 4 歳児の重症化半減 ワクチン助成効果?

肺炎球菌に感染し重症化する乳幼児が、2011 年以降は半減している - -。 厚生労働省が全国から集めたデータを川崎医大(岡山県倉敷市)などが分析し、分かった。 担当した研究者は、10 年 11 月に始まった予防接種の公費助成の効果とみている。 乳幼児が肺炎球菌に感染すると肺炎や中耳炎になるが、時に菌が髄液や血液に入り、重い全身症状を引き起こす。 薬剤耐性菌も多く、予防が重要だ。

川崎医大の山根一和(くにかず)講師(公衆衛生学)らは、全国約 1,400 医療機関が参加している厚労省サーベイランス (JANIS) のデータを利用。 08 - 12 年の 5 年間ずっと検査部門に参加登録した 101 の医療機関から提出された血液と髄液で、肺炎球菌が見つかった重症患者数を調べた。 (中村通子、asahi = 6-19-14)


脊髄損傷の新薬、臨床試験へ 細胞再生効果に期待 慶大

慶応大は 16 日、脊髄(せきずい)損傷の新しい治療薬の臨床試験(治験)を 6 月中にも始めると発表した。 細胞の再生を促す働きがある HGF (肝細胞増殖因子)というたんぱく質から作った薬を使う。 HGF による脊髄損傷の治験は国内初という。

同大によると、新たに脊髄損傷になる患者は日本で年間約 5 千人。 交通事故やスポーツ外傷などが原因となる。 リハビリ以外に有効な治療法はなく、薬による治療が期待されている。 治験を実施するのは、同大の中村雅也准教授(整形外科)らのグループ。 傷を負ったばかりの比較的重い患者が対象。 目標人数は 20 歳以上 75 歳未満、傷を負ってから 60 時間以内の患者で、同大以外の二つの医療機関で計 48 人という。 (今直也、asahi = 6-16-14)


「ずっと喫煙」高齢者、認知症リスク 2 倍 九大大学院の研究チーム発表

たばこを吸う高齢者は吸わない人に比べ、認知症の発症リスクが 2 倍に高まる - -。 こうした疫学調査結果を、九州大大学院の研究チームが 14 日、福岡市で開かれた日本老年医学会の学術集会で発表した。 福岡県久山町の住民を 15 年間、追跡調査して判明した。 日本人を対象に、認知症と喫煙の関係を研究したのは初めてという。

追跡調査したのは 1988 年に健康診断を受けた老年期の 712 人(当時の平均年齢 72 歳)。 2003 年までに 202 人が認知症になった。 「喫煙なし」、「過去に喫煙」、「ずっと喫煙」の 3 群に分け、それぞれ認知症になった割合を調べたところ、ずっと吸っている人は吸っていない人に比べ、発症リスクが 2 倍になった。

712 人のうち 578 人は中年期(平均年齢 57 歳)の健診データもあり、「中年期も老年期も喫煙なし」、「中年期は吸ったが、老年期までにやめた」、「ずっと喫煙」の3群で比較すると、ずっと吸っている人は吸っていない人より、リスクが 2.8 倍に上昇した。 一方、たばこをやめた人は 1.5 倍にとどまった。 小原知之助教(精神病態医学)は「喫煙が脳神経細胞の老化や動脈硬化を促進させ、認知症を引き起こすと考えられる。 禁煙が認知症に発症するリスクを下げる可能性がある。」と説明した。 (西日本新聞 = 6-14-14)


認知症に抗精神病薬、死亡率 2 倍 11 週以上でリスク増

認知症に伴う暴力や妄想、徘徊(はいかい)などを抑えるために使われている精神病の薬について、日本老年精神医学会は、使い始めてから 11 週以上過ぎると、死亡のリスクが高まる可能性があるとの調査結果をまとめた。 学会は「使う場合は短期間が原則。 減量や中止を常に検討すべきだ」と注意を呼びかけている。 13 日に学会で報告する。

統合失調症などに使う抗精神病薬は、暴力などの症状を抑える一定の効果があるとされる。 認知症では公的医療保険が認められていないが、医師の判断で広く使われている。 2005 年 4 月に米食品医薬品局 (FDA) が、抗精神病薬を認知症に使うと死亡のリスクが約 1.6 倍高まる、と警告していた。 (武田耕太、asahi = 6-12-14)