「血液一滴で診断」近づく夢 田中耕一さん、実用化挑む 血液一滴で病気を診断したい - -。 2002 年にノーベル化学賞を受けた田中耕一・島津製作所シニアフェロー (54) が、受賞時に掲げた目標をかなえつつある。 授賞理由となったたんぱく質分析技術に磨きをかけて感度を 1 万倍に高め、血液からアルツハイマー病の原因物質を検出できるところまできた。 4 月から新たな態勢で実用化に挑む。 京都市中京区の島津製作所本社。 朝 8 時に出社するとすぐに水色の作業服に着替え、研究室の若手の横から「ちょっとやらせて」と身を乗り出す。 作業服姿で戸惑いながら受賞会見に臨んだ田中さん。 12 年たった今も「生涯一エンジニア」の信念は揺るがない。 入社 2 年後の 1985 年、レーザーを使ってたんぱく質の重さを精密に量る技術を開発。 バイオ研究に不可欠な質量分析装置に実用化され、ノーベル賞に輝いた。 だが、「医療に役立ちたい」との初心を貫くには感度が足りなかった。 転機は 09 年に訪れた。 国の大型研究プロジェクトに選ばれ、5 年間で約 40 億円の研究費を得た。 約 60 人で「常識にとらわれない発想を」と挑み、約 1 年で画期的な分析手法を開発。 感度を最高 1 万倍に高めた。 13 年、血中にわずかしか含まれないアルツハイマー病の原因のたんぱく質アミロイドベータ (Aβ) を、1 ミリリットルの血液から検出することに初めて成功。 未知の Aβ 関連物質も 8 種類見つけた。 (佐藤建仁、asahi = 4-3-14) 検出困難「薬効かぬ菌」西日本で拡大か 大阪の院内感染 国立病院機構大阪医療センター(大阪市)で少なくとも患者 2 人が死亡した大規模な院内感染の原因になった新型耐性菌「CRE」は、通常の検査では検出困難な「ステルス型」と呼ばれる種類だと分かった。 5 年前に広島県で初めて見つかった新しい型で、治療が手遅れになりやすい特性がある。 複数の専門家が「日本で生まれたと見られる CRE が、西日本に広がりつつある」と警告する。 一般的な CRE は、切り札的な抗菌薬であるカルバペネムが効かない。 それに加え、ステルス型は実際にはカルバペネムが効かないのに、通常の検査法では「効く」という誤った結果が出る特異性がある。 このため、検出しにくいだけでなく、医師が検査結果を信じてカルバペネムを治療に使い、手遅れになる恐れも強い。 広島大の鹿山鎮男(しずお)助教らは、2009 年に初めて広島県内の複数の病院からステルス型 CRE を5株見つけ、その後、兵庫県の病院からも 8 株見つけた。 検出数は年々増え、12 年 10 月までに 2 県で計 87 株にのぼる。 その間にこの菌による死者が少なくとも 1 人出た。 鹿山助教らが詳しく調べると、ほぼ全ての菌で、リング状の細胞内物質「プラスミド」が同一だった。 (中村通子、asahi = 3-31-14) インフル「だらだら流行」の恐れ 患者数なお高止まり インフルエンザの流行が春になっても収まらない。 国立感染症研究所が 28 日公表した調査によると、1 医療機関あたりの患者数は最新 1 週間(17 - 23 日)で 18.59 人。 前年同時期の 6.75 人に比べ 3 倍近い。 ピークは過ぎたが、専門家は注意を呼びかけている。 都道府県別では、42 都道府県で前週よりも減少した。 ただ、福井 39.97 人、岩手 33.72 人で警報レベルの 30 人を超えているほか、宮城 29.42 人、青森 27.83 人、福島 27.57 人、新潟 26.30 人など、東北や北陸地方で多い状態が続く。 今シーズンは 1 月下旬から 2 月上旬がピーク。 その後は減ったが、2 月下旬に再び増えるなど例年に比べ減少するペースが遅い。 感染研によると、複数のタイプのウイルスが同時に流行しているのが今シーズンの特徴で、2009 - 10 年に新型として流行した H1N1 のほか、B 型の割合も多い。 そのため、同じシーズンに複数回かかる恐れもあるという。 感染研感染症疫学センターの砂川富正室長は「学校が春休みに入り、患者数は減るかもしれないが、だらだらと流行が続く可能性もあり今後も注意が必要だ」と指摘する。 (土肥修一、asahi = 3-30-14) 骨作れぬ難病に幹細胞移植 再生医療で男児の命つなぐ 骨をつくれない「難病」の男の子に、母親の骨髄を移植する手術が島根大学病院であった。 通常は 1 歳未満で亡くなるケースが多いが、命をつないだのは、間葉系幹細胞を移植する再生医療。 男児は今も人工呼吸器をつけているが容体は安定している。 大学病院と国内屈指の培養技術をもつ研究所との連携が功を奏した。 「おめでとう。」 今年 2 月 22 日、お祝いの言葉に包まれ、ベッド上で笑顔をふりまくのは、飯塚野々花さん (30) の長男奏音(かなで)くん (3)。 飯塚さんが「七五三の年齢になれた」と選んだ服を着て、ご機嫌だ。 奏音くんの病気は 10 万人に 1 人とされる「低フォスファターゼ症」。 骨をつくるのに必要な酵素ができず、胎児の時に発症すると、1 年以内に呼吸障害などで死亡する場合が多い。 確立した治療法はない。 (野中良祐、asahi = 3-29-14) 酵母の人工合成に成功 米チーム、染色体入れ替えで パン作りなどに使う酵母の人工合成に成功したと、米ジョンズホプキンス大、ニューヨーク大などの研究者が 27 日付米科学誌サイエンス電子版で発表した。 生命の設計図である遺伝情報を含む染色体を、コンピューターなどを使って設計・合成し、生きた酵母の染色体と入れ替え、自然界に存在しない酵母をつくった。 生物の人工合成は細菌では成功例があるが、ヒトなどと同じ「真核生物」に分類される酵母では初めて。 (冨岡史穂、asahi = 3-28-14) 新型インフルエンザ用の新薬「アビガン錠」厚労省が承認 厚生労働省は 24 日、新型インフルエンザが既存の薬に対する耐性を持ち、効かなかった場合の対策として、富山化学工業(東京都新宿区)が開発した新しい抗ウイルス薬「アビガン錠」の製造・販売を承認した。 強い副作用があるため、厚労省の要請を受けてから供給される。 同省によると、既存のタミフルやリレンザなどの薬はウイルスが細胞から細胞に移るのを妨げて増殖を防ぐが、アビガン錠は細胞内で増えること自体を阻害して増殖を防ぐ。 ただ、妊娠中の女性が服用すれば胎児に重篤な副作用が出る危険性があるため、同省は流通制限など安全対策に加え、さらなる有効性を確認するための治験を実施することを条件に承認した。 (桐野耕一、mainichi = 3-24-14) 結核 : 大学生ら 23 人が集団感染 宮城・大崎保健所管内 宮城県は 20 日、大崎保健所管内(大崎、色麻、加美、涌谷、美里の 1 市 4 町)で、大学生ら 23 人が結核に集団感染したと発表した。 1 人が発病して一時入院、22 人も予防治療を続けているが、感染拡大の恐れはないという。 県疾病・感染症対策室によると、同管内の大学生の女性 (19) が昨年夏ごろからせきなどの症状で医療機関を受診。 仙台市の病院が 11 月 25 日に結核と診断し、県に届け出た。 県は女性と接触があった 346 人に健康診断を実施、22 人が潜在性結核感染症と診断された。 (久木田照子、mainichi = 3-21-14) 元教授、論文撤回を呼びかけ アルツハイマー研究 アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J-ADNI (アドニ)」の臨床研究データに基づいて米国学会誌で発表した論文について、筆者の 1 人である杉下守弘元東大教授が 20 日、データの 14% に改ざんを含む不適切な例があったとして、共同筆者 12 人に論文撤回をメールで呼びかけた。 STAP 細胞の論文撤回問題で揺らぐ日本の先端医療研究への信頼がさらに失われる可能性がある。 杉下氏は J-ADNI にデータ検証の責任者として参画する一方、認知症研究の国内第一人者で代表研究者を務める岩坪威東大教授ら 12 人と共同でアルツハイマー病患者の脳の特徴を探るために行う PET (陽電子放射断層撮影)に関する論文を 2013 年 8 月、米国の神経放射線学会誌に発表していた。 杉下氏が論文発表後に新たな資料を入手し検証した結果、論文に使ったデータ 274 例中、14% の 39 例が、@ 記憶を試す面談検査で国際的手順に合わせる目的で検査時間を改ざんした、A 被験者の同意を得ていなかった、B 被験者が基準外の年齢だった - - など不適切だったことが判明したという。 (渡辺周、青木美希、asahi = 3-21-14) 死産・新生児死亡、25% は救えた可能性 滋賀医大検証 出産前後に赤ちゃんが死亡した 200 以上の症例を滋賀医科大学が検証し、医療機関や妊婦側が適切に対応していれば 4 人に 1 人が助かる可能性があったと判定した。 厚生労働省や専門家によると、全県的な検証は珍しく、再発を防ぐ取り組みとして注目される。 高橋健太郎・特任教授 (62) らのチームが、厚労省の許可を得て保健所から医療機関名や妊娠週数などのデータを入手。 滋賀県で 2007 - 11 年に届け出があった出産前後の死亡症例 352 件について担当医にアンケートし、死亡時の状況や思い当たる問題点をすべて答えてもらった。 これまでに 233 件の検証と判定を終了。 うち 59 件 '25%) は命が助かった可能性があると判定した。 内訳は妊娠満 22 週以後の死産が 38 件、新生児死亡 21 件。 (asahi = 3-20-14) 重い心臓疾患の 2 歳児 世界初の手術成功 神戸 兵庫県立こども病院(神戸市須磨区)は 19 日、血液を大動脈に送る左心室の出口に弁がない「大動脈弁欠損」など、重い心臓疾患がある 2 歳男児の手術に成功したと発表した。 極めてまれな症例で手術の成功例は世界初。 記者会見した両親は「子どもを助けてもらい、感謝の気持ちでいっぱい」と語った。 大阪府東大阪市の佐藤空斗ちゃん。 健康状態は安定しており、同日退院した。 執刀した心臓血管外科の大嶋義博部長によると、空斗ちゃんは母奈美さん (25) の実家に近い公立豊岡病院(豊岡市)で生まれたが、四つの心臓疾患があり、こども病院に緊急搬送されてきた。 大動脈弁欠損は 1975 年以降、空斗ちゃんのほか世界で 22 例しか報告されていない。 ほとんどが流産や生後数日で死亡。 左心室が異常に小さい場合が多く、手術に成功した 2 例も、全身に血液を送り出す左心室の機能を右心室に代替させた。 しかし、空斗ちゃんは左心室の大きさに問題がなかったため、世界で初めて左右両方の心室の機能を修復、正常な心臓と同様の構造で血液を循環させることに成功。 手術は 2 年余りで計 4 回に及んだ。 大嶋部長は、背景に出生直後の迅速な診断や搬送があったことなどを挙げ「救える命を救う医療体制をさらに充実させたい」と話した。 (藤森恵一郎、神戸新聞 = 3-19-14) 角膜細胞、体外で増やして移植 世界初、3 人の視力回復 ![]() 角膜が濁って視力が大幅に下がる「水疱(すいほう)性角膜症」の患者に体外で増やした角膜の細胞を移植する臨床研究を同志社大や京都府立医科大などのグループが始めた。 3 人に移植し、視力がよくなるなど効果が上がっているという。 角膜の細胞を増やして移植した治療法は世界で初めてという。 12 日発表した。 水疱性角膜症は、角膜の内側にある角膜内皮細胞が病気やけがで傷つき、角膜が濁る病気。 人間やサルの角膜内皮細胞は増えて再生しないため、これまでは角膜や内皮の移植しか治療法がなかった。 国内で角膜移植を受ける人は年間約 3 千人いる。 その 6 割以上が水疱性角膜症だという。 同志社大の小泉範子教授(医工学)らは、角膜内皮細胞を体外で人工的に増やし、角膜の裏側に注入して定着させる技術を開発。 角膜内皮細胞をはがしたカニクイザル 14 匹に移植し、細胞が定着して濁りが治ることを確かめた。 米国のアイバンクから提供を受けた 10 代の人の角膜内皮細胞をこの方法で増やし、京都府立医大の木下茂教授(眼科学)らが、昨年 12 月から今年 2 月にかけ、3 人の患者に 1 人あたり約 100 万個移植した。 まだ経過途中だが、0.06 以下だった矯正視力が 0.1 - 0.9 に回復しているという。 グループは 2014 年度からの 2 年間で約 30 人に移植する計画で、17 年には企業と協力して製品化を目指す。 木下さんは「これまで 1 時間かかった手術が 5 分になり、視力も回復しやすい。 1 人の角膜提供者から多くの人に移植できるなどメリットが大きい。」と話している。 (鍛治信太郎、asahi = 3-12-14) ハネムーンでは蚊に注意 タヒチから帰国、ジカ熱 2 人 ハネムーン先として人気のタヒチ・ボラボラ島から帰国して「ジカ熱」を発症した患者が、国内で初めて確認された。 蚊に刺されて感染し、現地で流行しているという。 発熱や発疹など症状は風疹やはしかに似ている。 重症化することはまれで大きな心配はいらないが、幸せな旅行に水を差されないためにも蚊には注意したほうがよさそうだ。 国立国際医療研究センターのグループが欧州の専門誌(電子版)で報告した。 患者は 20 - 30 代の男女 2 人。 それぞれ別の旅行で昨年 12 月、島に 6 - 10 日間滞在。 帰国後、発熱、関節痛、発疹などがあった。 いずれも数日で快復したという。 報告した忽那賢志(くつなさとし)医師は「長袖を着るなど体の露出をなるべく避け、虫よけ剤を使うなどしてほしい」と話す。有効な治療薬やワクチンはない。 米疾病対策センター (CDC) などによると、タヒチでこれまで、ジカ熱に感染した疑いのある患者は 8 千人以上。 現地では、蚊に刺されて感染するデング熱も流行している。 重症化することもあるため、帰国後に症状があれば受診が望ましいという。 タヒチ観光局などによると、タヒチを訪れる日本人は年間約 1 万 3 千人。 7 - 8 割はボラボラ島で、多くがハネムーンという。 豪華な水上バンガローなどで知られ、「地球で最も美しい島」と言われている。 世界 30 カ国で展開する旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で昨年、南太平洋人気ナンバー 1 の島に選ばれた。 (武田耕太、asahi = 3-10-14) 乳がん増殖の仕組み解明 徳島大チーム「新たな抗がん剤開発につながる可能性」 乳がん細胞だけにある「BIG3」というタンパク質が、がん増殖にブレーキをかける別のタンパク質の働きを抑え増殖を促進させていることを、徳島大の片桐豊雅教授(分子腫瘍学)らのチームが 8 日までにマウスを使った実験で解明した。 BIG3 の働きを阻害する化合物を見つけており、片桐教授は「従来の治療では効果がなかったり、薬に耐性ができたりした患者にも効く新たな抗がん剤の開発につながる可能性がある」と話している。 チームによると、乳がん細胞内にある「PHB2」というタンパク質は、女性ホルモン受容体と結び付き、がんの増殖を抑えている。 しかし、BIG3 が PHB2 にくっつくと、PHB2 は女性ホルモン受容体と結合できず、がんが抑制できなくなることを突き止めた。 (sankei = 3-8-14) 砂糖は 1 日スプーン 6 杯分限度に WHO 指針案 【ジュネーブ】 世界保健機関 (WHO) は 5 日、糖分の摂取量に関する指針案を発表、肥満や虫歯の防止のため総エネルギー摂取量の 5% 未満に抑えるべきだと提言した。 平均的な大人の場合、1 日約 25 グラム、ティースプーン 6 杯分の砂糖に相当するという。 先進国での平均摂取量を大幅に下回るとみられる。 指針案は今後、インターネットなどを通じて一般の人々から幅広く意見を聞いた上で正式決定する見通し。 食品業界の反発も予想されそうだ。 WHO は、5% 未満が実現困難な場合でも、10% は超えないようにすべきだと強く忠告している。 (kyodo = 3-6-14) 子宮 : 切除部分が再生 慶大チーム、ラットで妊娠にも成功 子宮の一部を切除したラットに、細胞の「足場」となるたんぱく質の膜を移植すると、切除された部分が再生し、妊娠も可能になることが、慶応大の研究チームの実験で明らかになった。 子宮頸(けい)がんの治療などで部分切除した後の子宮の再生医療に将来、応用できる可能性があるという。 京都市で開催中の日本再生医療学会で 6 日、発表する。 臓器を作っている細胞は、コラーゲンなどのたんぱく質でできた細かい網のような膜が「足場」となって支えている。 丸山哲夫・慶大講師(産婦人科学)らは、ラットの子宮を取り出し、細胞を溶かして膜部分だけ採取。 さらに別のラットの子宮を一部切除し、そこに膜を当てるように移植すると、新たな細胞が徐々に膜に定着し、切除部分が再生した。移植した 4 匹すべてが自然妊娠し、胎児は順調に育った。 細胞を取り去った膜は、移植しても基本的に拒絶反応がない。 丸山講師は「足場の移植で子宮が再生できる可能性が示された。 将来、部分的に進行した子宮頸がんや、子宮内膜の組織が筋肉中にできる子宮腺筋症などの患者の子宮再生に応用できるかもしれない」と話す。 (須田桃子、mainichi = 3-6-14) 血液作りを制御する遺伝子 … 京大グループが特定 骨髄にある造血幹細胞が血液細胞に変化する詳しい仕組みを解明したと、長澤丘司(たかし)・京都大再生医科学研究所教授らの研究グループが明らかにした。 造血幹細胞に変化を促す細胞で働く遺伝子を、マウスの実験で特定した。 血液細胞を人工的に作ることや新たな治療法の開発に生かせる可能性のある成果で、英科学誌ネイチャー電子版に 3 日掲載される。 グループは造血幹細胞が、ある特定の細胞から伸びた突起にくっつくと、白血球や赤血球などの血液細胞に変化することを発見し、「CAR 細胞」と命名した。 今回、CAR 細胞で活発に働く遺伝子「Foxc1」に着目。 Foxc1 が CAR 細胞で機能しないようにしたマウスでは、骨髄中の CAR 細胞や造血幹細胞が減少し、血液細胞も作れなくなることを確かめた。 長澤教授は「Foxc1 は、CAR 細胞にくっついた造血幹細胞を変化させる機能を持っているらしい。 Foxc1 の働き方を調節できれば、白血病などの新たな治療につながるだけでなく、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)から CAR 細胞を作って、試験管内で血液細胞を生産することも期待できる」と話す。 (yomiuri = 3-3-14) アルツハイマー病リスク抑えるたんぱく質、役割を解明 アルツハイマー病にかかるリスクを抑えるたんぱく質の働きを、東京大薬学系研究科の富田泰輔准教授らの研究グループが明らかにした。 アルツハイマー病の原因とされる異常たんぱく質をできにくくする役割があるという。 予防法の開発につながる可能性がある。 グループが注目したのはカルムというたんぱく質。 このたんぱく質の働きが弱い遺伝子タイプをもつ人は、そうでない人に比べて発症の確率が 13% ほど低いことが、これまでの海外の研究で判明している。 ただ、たんぱく質の働きはよくわかっていなかった。 富田さんらは培養細胞や遺伝子改変マウスを使って実験。 すると、このたんぱく質は、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータを脳内でつくる酵素がどれくらい活発に機能するかにかかわっていた。 カルムの働きが弱いと酵素の活発度合いも落ち、アミロイドベータができにくくなるという。 (asahi = 3-1-14) ◇ ◇ ◇ 認知症 : 脳梗塞の再発予防薬、抑制に効果 秋にも臨床試験 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の猪原匡史(いはらまさふみ)医長らは、脳梗塞(こうそく)の再発予防薬「シロスタゾール」に、認知症の一種のアルツハイマー病の進行を抑える効果があることが分かったと発表した。 27 日付の米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。 軽度の場合に有効といい、アルツハイマー病の進行予防薬としても使えるよう、国の薬事承認を目指す臨床試験(治験)を今秋にも始める。 シロスタゾールは血管内に血栓を作りにくくし、血管を広げて脳の血流を増やす効果がある。 認知症は、脳の血管や神経細胞に障害が起こり、記憶力などが低下。 アルツハイマー病は認知症の 4 - 5 割を占めるとされ、異常なたんぱく質が脳内に蓄積するとされる。 猪原医長らは、兵庫県洲本市内の病院との共同研究で、1996 - 2012 年のアルツハイマー病患者のカルテを調査。 軽度の患者だと、認知機能テスト「MMSE」の点数が低下(悪化)する速さが、アリセプトを服用した 36 人(平均年齢 78.4 歳)は年平均 2.2 点だったが、脳梗塞予防のためシロスタゾールを併用していた 34 人(同 77.2 歳)は平均 0.5 点だった。 (斎藤広子、mainichi = 2-27-14) ◇ ◇ ◇ アルツハイマー防ぐ物質解明 脳内「掃除役」、大阪大 脳内のタンパク質が、アルツハイマー病の原因とされる物質の蓄積を防ぎ、発症のリスクを下げているとみられることを大阪大とドイツの医学研究所のチームが解明し、米医学誌電子版に 13 日発表した。 この「掃除役」のタンパク質を増やせれば、予防や治療に役立つとしている。 アルツハイマー病は、脳の細胞内で作られたアミロイドベータ (Aβ) という物質が細胞の外に出て脳内で蓄積し、神経細胞が死滅して発症するとされる。 (kyodo = 2-13-14) ◇ ◇ ◇ 遺伝子発見 アルツハイマー治療の可能性も 大阪大学の研究グループは、アルツハイマー病の発症に直接影響を与えている遺伝子を新たに発見したと発表した。 アルツハイマー病の根本的な治療方法につながる可能性もある。 研究グループによると、アルツハイマー病の患者の脳には「アミロイドβ」という特定のたんぱく質が多く蓄積されているが、「KLC1」と呼ばれる遺伝子がその量をコントロールしていることが新たにわかったという。 研究グループはアルツハイマー病になりやすいマウスとなりにくいマウスを調べ、KLC1 に注目、ヒトの患者の脳でも KLC1 がアミロイドβの量をコントロールしていることがわかったという。 どうすればこの遺伝子を減らせるのかや、減らした場合の副作用についてはまだわかっていないが、研究が進めばアルツハイマー病の根本的な治療につながる可能性があるという。 (日テレ = 2-4-14) 新型出生前診断、一般妊婦にも有効? 米大が研究報告 35 歳以上などハイリスクの妊婦らに限定している新型出生前診断が、一般の妊婦を対象にした「マススクリーニング(ふるい分け)検査」にも利用できる可能性を示す研究結果がまとまった。 米タフツ大などが 27 日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表、「一般の妊婦への検査として検討すべきではないか」としている。 新型出生前診断は、母親の血液で胎児の染色体異常の有無を調べる。 これまで一般の妊婦を対象にした検査精度のデータがなかった。 ふるい分け検査に用いることには、「命の選別につながる」と日本ダウン症協会などが反対している。 研究は、2012 - 13 年に米国内の 21 医療機関で出生前診断を受けた約 1,900 人を対象に実施した。 新型出生前診断と、米国ではふるい分け検査として 6 割以上の妊婦が受けている「母体血清マーカー」という従来の検査法の両方で、採取した血液を検査。 実際には異常がないのに陽性と判定される「偽陽性」の確率と、陽性の判定通りに異常があった「陽性的中率」の結果を比較した。 妊婦の平均年齢は 29.6 歳だった。 ダウン症の偽陽性の確率は従来法が 3.6% で新型は 0.3%、陽性的中率は従来法が 4.2% で新型は 45.5% と、どちらも新型の方が優れていた。 18 番染色体が 3 本ある 18 トリソミーでも同じ傾向だった。 13 番染色体が 3 本ある 13 トリソミーは人数が少ないため、今回の研究では比べていない。 新型はハイリスクの妊婦が受けた場合、陽性的中率は 70 - 90% 台に上がる。 しかし、新型も従来法もそれだけで確定できず、羊水検査などが必要だ。 今回の研究結果について昭和大の関沢明彦教授(産婦人科)は「結論を出すには、もう少し大規模な研究での検討が必要だろう」と話す。 国内では、新型などの出生前診断を受ける妊婦は数 % にとどまる。 標準的な費用は新型が約 20 万円、従来法が 1 万 - 2 万円程度とされる。 (岡崎明子、asahi = 2-27-14) ◇ ◇ ◇ 新型出生前診断、中国企業が既に実施 学会は注意喚起へ 【岡崎明子、阿部彰芳】 妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断について、日本で営業活動を始めた中国 BGI 社に医療機関から数十件の問い合わせがあり、すでに一部で検査を行ったことが分かった。 十分な遺伝カウンセリング(遺伝相談)なしに検査が広がりかねないとして、日本医学会は 23 日に会見し、指針を守るよう注意喚起する。 中国 BGI 社の関連会社 BGI ヘルスジャパン(神戸市)の劉建楠社長が朝日新聞の取材に応じ、複数の病院やクリニックと 1 件約 10 万円で検査の契約を結んだことを明らかにした。 すでに、採取した血液を香港の事業所に郵送し、これまでに結果が出た検査はすべて陰性だったという。 具体的な施設名や数は明かしていないが、日本医学会が審査して、遺伝相談が整っていると認定した医療機関は含まれていないと認めた。 同社は今月から関東や関西地方を中心に、産婦人科の医療機関を調べて資料を送付。 これまでに数十件の問い合わせがあり、担当者が出向き、費用や検査方法を説明しているという。 (asahi = 12-22-13) ◇ ◇ ◇ 自信ない … 新型出生前検査で陽性、53 人中絶 妊婦の採血で胎児の三つの染色体の病気が高い精度でわかる新型出生前検査について、今年 4 月の導入から 9 月末までの 6 か月間で陽性の判定を受けた 67 人のうち、その後の羊水検査などで確定診断がつき、流産もしなかった 54 人中 53 人 (98%) が人工妊娠中絶をしていたことがわかった。 新型検査を受けた 3,514 人の解析で、病気の診断がついた妊婦の多くが中絶を選ぶ結果となった。 全 31 施設のうち 29 施設の医師らによる共同研究組織「NIPT コンソーシアム」の資料によると、新型検査で陽性と判定された 67 人のうち、羊水検査などの確定診断を受けたのは 62 人。 2 人はその前に流産し、3 人は受けなかった。 確定診断で、実際には病気でないと診断された人が 6 人いた。 診断がついた 56 人では、2 人が流産し、53 人が「育てる自信がない」などの理由で中絶した。 (yomiuri = 11-22-13) 前 報 (10-20-13) 血圧下げるにはベジタリアン型食事に 2 万人データ分析 血圧を下げるには、肉を控え、野菜や穀物を中心にした食事が有効 - -。 国立循環器病センター予防医学・疫学情報部の西村邦宏・室長らが 25 日、複数の研究を分析して米専門誌で発表した。 野菜と血圧の関係は研究されてきたが、はっきりしていなかったという。 西村さんらは、医学論文データベースを調べ、2013 年 11 月までに発表された 258 論文に着目。 食事内容などから国内外の 39 論文に絞り込み、約 2 万 2 千人を約 6 週間から最長 22 年間追跡した血圧データと、野菜や豆類、豆腐、精製しない穀物などベジタリアン型の食事の関係を調べた。 すると、野菜などを積極的に食べさせた研究 7 件では、肉類を食べる人に比べ、最高血圧(単位はミリ水銀柱)が 4.8、最低血圧が 2.2 低かった。 (asahi = 2-25-14) はしか患者、今年に入り急増 … 昨年 1 年の約半数 はしか(麻疹)の患者数が今年に入って急増し、すでに昨年 1 年間の半数近くに達していることが 25 日、国立感染症研究所のまとめで分かった。 海外の流行国で感染して帰国後に発症するケースが目立っており、同研究所は予防接種を受けていない人へのワクチン接種を呼びかけている。 はしかは 2007 年に高校・大学生らに流行。 08 年の患者数は1 万 1,000 人を超えたため、08 - 12 年度の間、免疫が不十分だった若年層はワクチンを無料で接種できるようにした。 その後、患者数は減り、昨年は 232 人となった。 しかし、今年 1 月から 2 月 16 日までの患者数は、すでに 103 人。うち 64% は予防接種をしていなかった。 渡航歴が確認できた患者の 3 - 4 割は、フィリピンやインドネシアなど流行国へ行っていた。 同研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長は「感染を広げないために、ワクチンを接種したかどうか分からない人も、ぜひ接種してほしい」と話す。 はしかは、せきやくしゃみの飛まつや、空気中のウイルスを吸い込むなどして感染し、39 度前後の高熱や全身の発疹が出る。 3 - 4 割の患者は重症化し、肺炎や脳炎などで入院する。 有効な治療薬はないが、ワクチンの接種で予防できる。 (yomiuri = 2-25-14) 透析装置携帯化へ期待 物質・材料研究機構 物質・材料研究機構(つくば市)は、携帯用の透析装置への応用が期待できる新素材を開発したと発表した。 尿毒素の一種を除去できる繊維状の素材で、被災地での応急措置用として実用化を目指すという。 腎不全によって人工透析が必要な患者は、専用の装置を使って週に 3 回程度の透析を受ける必要がある。 しかし、東日本大震災では施設が被害を受け透析を受けられず、亡くなった人もいた。 こうした教訓から、災害時に "透析難民" を出さないために携帯用装置の必要性が指摘されている。 同機構の荏原充宏主任研究員らは、血液をきれいにする透析膜に使われる高分子物質を繊維にし、その内部に、尿毒素を吸着できる鉱物ゼオライトを取り込ませた。 血清で試したところ、尿毒素の一種クレアチニンを吸着することが確認できたという。 研究チームはこの素材から作ったシートを用いて、腕時計のように装着できる携帯用透析装置を試作した。 乾電池で作動するため停電になっても使えるという。 吸着能力向上などの課題があるが、荏原さんは「発展途上国での使用も見据えて開発を進めたい」と話している。 (yomiuri = 2-22-14) がん新治療法、国内で年内にも 免疫の攻撃力高める 新しいがんの治療法が、早ければ年内にも国内で始まる。 免疫の攻撃力を利用する「免疫療法」の一種で、効果が限定的だった従来の方法とは異なる仕組みだ。 小野薬品工業が昨年末に厚生労働省に医薬品としての承認を申請し、今秋にも認められる見通し。 がんの有力な治療法になると期待されている。 申請されたのは点滴薬ニボルマブ(一般名)で、既存の治療法で効果がなくなった皮膚がん患者が対象。 必要性が高い医薬品として優先的に審査されている。 これまでの免疫療法は、免疫の攻撃能力を高めて、がん細胞を殺そうとしていた。 だが、攻撃が過剰になると自分を傷つけるので免疫自体がブレーキをかけてしまい、効果は不十分だった。 新しい免疫療法は、免疫のブレーキがかからないようにし、攻撃のアクセルを踏み続けるようにする。 (asahi = 2-17-14) アスピリンで大腸ポリープ抑制 がん予防に期待も 解熱鎮痛剤のアスピリンをのむと、大腸ポリープの再発リスクが低下することを厚生労働省研究班が臨床試験で明らかにした。 ポリープは進行して大腸がんになる可能性が高いとされる。 胃がんの次に患者が多い大腸がんの予防につながると期待される。 ただし、大腸がんを完全に予防できるという結果ではなく、研究班は「アスピリンには消化管出血などの副作用を起こす危険もあり、自己判断での服用は避けてほしい」としている。 国際専門誌(電子版)で公表した。 試験は、国立がん研究センターや京都府立医大など国内 19 施設が参加し、2007 年から実施した。 大腸ポリープを切除した患者 311 人について調べた。 (asahi = 2-13-14) 糖尿病関与の遺伝子解明 = 新薬開発に期待 - 京都府立医大 糖尿病でインスリンの分泌障害を起こす遺伝子の働きを、京都府立医科大の的場聖明助教らの研究チームがマウスを使った実験で解明した。 新薬開発につながる成果と期待される。 論文は 11 日以降、米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。 糖尿病は、インスリンを生み出す膵臓(すいぞう)のベータ細胞内で、小器官ミトコンドリアの機能が低下して発症する。 ただ、ミトコンドリアの機能低下の仕組みはよく分かっていなかった。 研究チームは、がんの抑制や老化に関係する遺伝子「p53」に注目した。 糖尿病にかかったマウスでは p53 が増加し、不良のミトコンドリアを区別するたんぱく質と結合。 区別ができなくなって機能低下が起きることを突き止めた。 p53 をなくしたり、働きを妨害する薬を投与したりしたマウスでは、糖尿病の抑制や改善が見られたという。 的場助教は「膵臓の p53 を短期的に抑えることができれば、糖尿病治療につながるのではないか」と話している。 (jiji = 2-11-14) 食べる量、カロリ−より BMI で 体格に合わせ新基準 ![]() 1 日にとるべき食事の量を定めている食事摂取基準が、大きく変わる。 厚生労働省は 3 日、朝昼晩で計 2 千キロカロリーなどとエネルギー量を決めていたのを改め、身長と体重から算出する BMI の目標を示し、それを維持できる量を薦める方針を決めた。 個人による体格の違いを反映させ、生活習慣病の予防につなげる目的だ。 目標とする BMI は 18 歳 - 49 歳で 18.5 - 24.9 と設定。 50 代以上は下限を上げる。 国内外の論文をもとに総死亡率が低い範囲などを検討、年齢が高いほど栄養状態が悪い人の割合が増えることを踏まえた。 これまでは 30、40 代で運動量が中くらいの女性は 1 日 2 千キロカロリー、18 - 49 歳の同様の男性は 2,650 キロカロリーが必要量とされていたが、高身長の女性や小柄な男性などには対応できなかった。 生活習慣病の改善や重症化予防では、体重の減少が推奨されており、病気の可能性がある人にも使える基準にする。 (asahi = 2-5-14) 骨粗しょう症 : 骨の減少抑える遺伝子特定 東京医科歯科大など、マウスで 治療に期待 加齢による骨の減少を抑える働きをする遺伝子を、東京医科歯科大などの研究チームがマウスで特定した。 ヒトでの研究が進めば、骨粗しょう症の新しい治療薬への応用が期待される。 3 日付の米国科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。 骨粗しょう症は骨がもろくなる病気で、推定患者は国内 1,200 万人。 高齢者の寝たきりの原因になるほか、大腿(だいたい)骨を折ると寿命が縮まるというデータがある。 女性が閉経後に骨量が減る現象はホルモンの影響であることが分かっているが、それ以外に加齢とともに減少する仕組みは分かっていない。 研究チームは、心機能を調節することで知られるたんぱく質「Cnot3」に着目。 高齢(生後 24 カ月)のマウスは生後 4 カ月の若いマウスに比べて骨量が 3 分の 1 と少なかったが、このたんぱく質の量を減らすように遺伝子を操作したマウスの骨量は、同じ月齢の高齢マウスの骨量の約半分だった。 このたんぱく質が減ると同時に、骨を壊す「破骨細胞」が増えることも確かめた。 これらの結果から、Cnot3 を作る遺伝子が、骨量減少を抑えるブレーキとして働くと結論づけた。 チームの野田政樹・東京医科歯科大教授(分子薬理学)は「骨粗しょう症の治療は長期化するが、長く使えない薬もあり、新しい効き方の薬が必要。 ヒトでも同様の仕組みがあるのか検討したい。」と話す。 (下桐実雅子、mainichi = 2-4-14) 口に含むタイプの花粉症治療薬、厚労省が初承認 厚生労働省は、スギ花粉症の根治を期待できる、口に含むタイプの新治療薬を初めて承認した。 花粉症の原因となるアレルギー物質の花粉エキスを少しずつ服用して体に慣れさせる仕組みの薬で、既存の注射による投与よりも患者の負担が少ない。 4 月に保険適用され、6 月以降に医師の処方薬として販売が始まる見通しだ。 承認されたのは、鳥居薬品(東京都)申請の「シダトレンスギ花粉舌下液」。 患者は、目薬のような形の容器から、花粉エキス入りの液状の薬を舌の下にたらし、その後のみこむ。 12 歳以上が対象で、2 年以上の毎日の服用によって症状が治まることが期待される。 自宅で服用できる。 花粉が鼻などから入り、アレルギー反応を促進する細胞が増え、花粉症につながる。 新薬を服用し続けて、このアレルギー促進細胞の増加が抑えられる体質に変えていくという。 (yomiuri = 2-3-14) 魚介類摂取で心臓病・脳卒中のリスク低下 厚労省研究班 魚介類に含まれる DHA (ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸を多く摂取する人ほど脳卒中や心臓病による死亡率が低い傾向にあることが、厚生労働省の研究班(代表・三浦克之滋賀医科大教授)の調査で分かった。 日本人を対象に 24 年間にわたって追跡調査したといい、欧州動脈硬化学会誌に発表される。 研究対象は 1980 年に厚労省の栄養調査に参加した当時 30 歳以上の男女 9,190 人(平均年齢 50 歳)。 平日 3 日間の食事から不飽和脂肪酸の 1 日あたりの摂取量を推計し、2004 年までに亡くなった対象者の死因が脳卒中や心臓病といった循環器疾患だったかどうかを調べた。 (asahi = 2-2-14) インフル、子どもの重症肺炎注意 小児科学会治療指針 日本小児科学会は、15 歳以下の子どもの季節性インフルエンザ治療指針をまとめた。 今季増えつつある型のウイルスは重症肺炎を起こす恐れがあるため、幼児や呼吸器の持病がある場合は早めに抗インフル薬で治療するよう呼びかけている。 1 - 9 歳はタミフル、10 歳以上には吸入薬のリレンザやイナビルを推奨している。 今季は、2009 年に大流行を起こした新型インフル (H1N1) が主流になりつつある。 このウイルスでタミフルが効きにくいものも見つかっており、指針は「小児で重症肺炎多発の可能性がある」と警告。 重症化の恐れがある子は、抗ウイルス薬をなるべく 48 時間以内に使うとした。 タミフルで症状が改善しない場合、リレンザやイナビルを使うことを薦めている。 タミフルは、服用とその後の異常行動の因果関係は不明だが、体格が大きく行動の制止が難しい 10 歳以上は、厚生労働省は使用を制限している。 指針も「10 歳以上は原則として使用を差し控える」とする。 ただし、ぜんそくなど呼吸器の持病がある時は「副作用に注意しながら使用も考慮する」とした。 重症化した場合、保護者の同意などを得た上で、点滴薬ラピアクタを通常の 2 倍量投与する治療も選択肢の一つとした。 同学会で予防接種・感染症対策担当理事の野々山恵章防衛医大教授は「多くの子は重症化せず回復するので過剰に恐れる必要はない。 ただし、注意深く観察し、息苦しいなど症状が重くなりそうなら早く受診して欲しい。」と話す。 (大岩ゆり、asahi = 2-1-14) |