東証一時 2,500 円超下落、3 万 3 千円台 米の景気減速の懸念が波及 週明け 5 日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落し、一時、前週末の終値より 2,500 円超下落し、3 万 3,000 円台をつけた。 取引中に 3 万 4,000 円を割り込むのは今年 1 月以来、約 7 カ月ぶり。 前週末の米国株式市場で、主要な株価指数が大幅に下落した流れを引き継いだ。 米国の景気が減速するとの懸念が急速に広がり、日本市場にも波及している。 前週末 2 日のニューヨーク株式市場で、主要企業で構成されるダウ工業株平均が 610 ドルの大幅下落。 前日の 490 ドル安に続いて大きな下げとなった。 2 日に発表された米国の 7 月の雇用統計が市場予想を大幅に下回り、米国経済に対する不安が一気に強まった。 約 7 カ月ぶりに一時 144 円台 米景気経済の減速を背景に、米国の利下げ観測も強まっている。 このため、外国為替市場では、円を買ってドルを売る動きが急速に強まり、5 日午前の東京外国為替市場では一時、約 7 カ月ぶりに 1 ドル = 144 円台をつけた。 円高の進行は、日本の輸出関連銘柄の下押し圧力となる。 日経平均株価は 2 日に歴代 2 位の下落幅となる 2,216 円下落した。 最高値をつけた 7月11日からの下落は 6 千円を超えている。(東谷晃平、asahi = 8-5-24) 日経平均終値、2,216 円下落 「ブラックマンデー」に次ぐ下げ幅 2 日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続落し、前日終値より 2,216 円 63 銭 (5.81%) 安い 3 万 5,909 円 70 銭で取引を終えた。 約半年ぶりに 3 万 6 千円台を割り込み、下げ幅は 1987 年 10 月の歴史的株価暴落「ブラックマンデー」に次いで 2 番目となった。 前日の米ニューヨーク株式市場で主要な株価指数がそろって大幅に下落した流れを引き継ぎ、全面安となった。 円高ドル安の流れも株価の重しとなっている。 1 日の米株式市場で、主要企業でつくるダウ工業株平均が一時、700 ドル超下落した。 製造業の景況感を示す指数が市場予想を下回り、景気減速への懸念が強まった。 最近の株高を受け、いったん利益を確定する売りも重なって大幅な株安につながった。 ダウの終値は、前日より 494.82 ドル (1.21%) 安い 4 万 0,347.97 ドル。 下落は 3 日ぶり。 東京市場もこの流れを受け、取引開始直後から大幅安となった。 東京外国為替市場では円高ドル安の流れが続き、朝方には一時、1 ドル = 148 円台をつけた。 急速に進む円高も輸出関連株を押し下げている。 日経平均は 7 月 11 日に終値で 4 万 2 千円台をつけ、史上最高値を更新。 その後は調整局面に入り、前日までに 4 千円以上も値を下げていた。 株価急落の要因について、大和証券の細井秀司氏は「米国経済の減速懸念に加え、今後も円高が進むとみた海外投資家が日本株を一気に売っている可能性がある。 パニック売りだ。」と話す。 (東谷晃平、asahi = 8-2-24) 日経平均、一時 1,300 円超下落 米 FRB 議長発言で円高加速 1 日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日終値より 975 円 49 銭 (2.49%) 安い 3 万 8,126 円 33 銭で終えた。 下げ幅は一時 1,300 円を超え、取引中として今年最大となった。 東京外国為替市場で対ドル円相場は円買いドル売りが加速。 一時 1 ドル = 148 円台半ばをつけ、3 月中旬以来、約 4 カ月半ぶりの円高水準となった。 日米の金融政策の違いが円高の流れを強め、円高で利益が目減りする輸出関連株を中心に大幅な株安を招いた。 日本銀行は前日の金融政策決定会合で、4 カ月ぶりの利上げを決定。 植田和男総裁は「物価が見込み通りに進んでいることが判断できれば、次の判断をしていく」と述べ、さらなる利上げの可能性にも言及した。 一方、米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長は、金融政策を決める米連邦公開市場委員会 (FOMC) 後の会見で 9 月に利下げする可能性を示した。 日米の金利差縮小が意識され、金利の上がる円を買い、下がりそうなドルを売る動きが強まった。 野村証券の池田雄之輔氏は「日銀の予想外に早い利上げと、(植田総裁が)年内の追加利上げを否定しなかったことがタカ派的だと意識された」と指摘。 「急速に円高が進んだことで、円安が維持されるという企業の為替前提が崩れ、業績への期待が弱まった」と話す。 (久保田侑暉、asahi = 8-1-24) 日経平均一時 4 万 2 千円台 取引中の史上最高値を 5 営業日連続で更新 11 日午前の東京株式市場で、日経平均株価が一時、前日終値より 500 円超上昇して 4 万 2 千円台をつけ、取引時間中の史上最高値を更新した。 前日の米ニューヨーク株式市場で、主要 3 指数がそろって上昇。 特に半導体などハイテク株が中心のナスダック総合指数は 7 日連続で続伸した。 東京市場もこの流れを引き継ぎ、取引開始直後からほぼ全面高の展開となり、取引時間中の最高値を 5 営業日連続で更新した。 中でも東京エレクトロンをはじめとした半導体関連株に買いが集まっている。 日経平均は 6 月下旬以降、上昇傾向が続いている。 歴史的な水準が続く円安も、輸出企業を中心に株価の支えとなっている。 (東谷晃平、asahi = 7-11-24) 日経平均、終値も最高値更新 TOPIX も約 35 年ぶりに史上最高値 4 日の東京株式市場で日経平均株価が続伸し、前日比 332 円 89 銭 (0.82%) 高い、4 万 0,913 円 65 銭で取引を終え、今年 3 月につけた終値の最高値(4 万 0,888 円)を更新した。 幅広い銘柄で構成される東証株価指数 (TOPIX) も同 26.29 ポイント高い 2,898.47 で、バブル期の 1989年12月18日につけた終値(2884.80)を上回り、約 35 年ぶりに史上最高値を更新。 一時 2,900 を超える場面もあった。 前日の米ニューヨーク株式市場でハイテク株が上昇したことを受け、東京市場でも半導体銘柄を中心に株価が上昇。 日経平均と TOPIX を押し上げた。 日経平均は、3 月下旬に史上最高値を更新してから、一時 3 万 6 千円台まで下落していた。 だが、6 月中旬以降、歴史的な円安を背景に自動車などの輸出関連株が買われ、2,500 円以上値上がりを続けている。 TOPIX は、プライム市場などの上場企業約 2 千銘柄の株式の時価総額をもとに、68 年を 100 として算出する。 日経平均株価と並ぶ、日本の代表的な株価の指標だ。 225 銘柄の株価から算出する日経平均よりも、市場全体の動向を表すとされる。 年初に 2,300 ポイント台だった TOPIX は、半年間で 20% 上昇した。 円安を受けた輸出関連株の上昇に加え、最近は日本銀行が金融政策を正常化するとの見方が強まり、長期金利(新発 10 年物の国債利回り)が上昇傾向にある。 運用の改善が見込める銀行や保険会社といった銘柄で買いが優勢となっていた。 日経平均は 2 月にバブル期を上回り、史上最高値を更新した。 TOPIX は 5 月遅れでのバブル期超えとなった。 (山本恭介、asahi = 7-4-24) 日経平均終値、約 3 カ月ぶりに 4 万円台回復 前日比 443 円上昇 2 日の東京株式市場で日経平均株価は、前日より 443 円 63 銭 (1.12%) 高の 4 万0,074 円 69 銭で取引を終えた。 終値では 3 月 29 日以来、約 3 カ月ぶりに 4 万円台を回復した。 午前中は下落する場面もあったが、午後に入って上げ幅を拡大した。 国内の長期金利が上昇していることを受け、長期国債を購入して運用する銀行や保険会社の株が上昇した。 東京外国為替市場の対ドル円相場は、1 ドル = 161 円 70 銭台まで円安が進んだ。 東京株式市場では、円安が業績にプラスとなる自動車など輸出関連株も買われた。 (神山純一、asahi = 7-2-24) 日経平均株価、取引時間中の最高値をまた更新 一時 700 円超上昇 21 日の東京株式市場で日経平均株価が続伸して始まり、一時、7 日につけた取引時間中の最高値(4 万 0,472 円)を上回った。 前営業日の終値から 700 円超上昇する場面もあった。 20 日に米国の株式市場で主要指数が上昇したことに加え、円安の進行が、投資家の積極的な姿勢につながっている。 米国の連邦準備制度理事会 (FRB) が 20 日に政策金利の据え置きと、利下げ見通しを維持したことで、同日のニューヨーク株式市場で主要企業でつくるダウ工業株平均が史上最高値を更新した。 東京市場もこの流れを引き継ぎ、日経平均は前営業日比 507 円 95 銭高の 4 万 0,511 円 55 銭で取引を開始。 その後、上げ幅を広げ、一時、4 万 0,700 円台をつける場面もあった。 21 日午前の東京外国為替市場の対ドル円相場は、1 ドル = 150 円台半ばで取引されている。 日本銀行が 19 日、異次元緩和からの転換を決めながらも、緩和を当面続けるとの見通しを示したことで、低金利が続きそうな円を売って金利が高いドルを買う流れが加速。 円建ての利益が膨らむ輸出企業の株を中心に、幅広い銘柄が買われることにつながっている。 ただ、市場では 2022 年 10 月につけた 1 ドル = 151 円 94 銭の節目が意識され、財務省と日銀による為替介入への警戒感が再び高まっている。 (山本恭介、asahi = 3-21-24) 市場の関心、日銀政策に集中 株一時 1,100 円安・円高 146 円台 11 日の東京株式市場で日経平均株価が大幅に反落し、前週末比 868 円 45 銭 (2.19%) 安い 3 万 8,820 円 49 銭で取引を終えた。 下げ幅を 1,100 円超に広げる場面もあった。 年初から急速ピッチで上昇してきたが、過熱感があった半導体関連株が売られた。 日本銀行が金融政策の転換に動くとの観測から急速に円高が進み、輸出関連企業も大きく値を下げた。 前週末の米国市場では主要株価指数がそろって下落した。 一部半導体関連企業の業績が市場予想を下回り、利益確定の売りが出た。 人工知能 AI) ブームで急伸していた半導体大手エヌビディアも 5.54% 下落した。 半導体関連 3 社で 300 円押し下げ その流れから、11 日の東京市場でも日経平均は急落。 下げ幅は一時 1,192 円まで広がった。 半導体株が軟調で、東京エレクトロンが 3.15%、アドバンテストが 4.78% 下落。 英半導体大手を傘下に持つソフトバンクグループと合わせた 3 社だけで 300 円超、日経平均を押し下げた。 外国為替市場で 1 ドル = 146 円台後半まで円高ドル安が進んだことも株価の重しになった。 前週末発表の 2 月の米雇用統計を受け、インフレが鈍っているとの見方から、米連邦準備制度理事会 (FRB) の早期利下げを見込んでドル売り円買いの動きが進んだ。 日銀が 3 月 18、19 日に開く金融政策決定会合でマイナス金利を解除するとの観測が強まったことも、円買いを誘っている。 円高で利益が縮む輸出株の代表格であるトヨタ自動車は 3.10%、ホンダも 2.27% 下げた。 日経平均は今年に入り 7 千円近くも上昇。 2 月 22 日にバブル絶頂期につけた史上最高値(3 万 8,915 円)を更新し、今月 4 日には初の 4 万円台に乗せていた。 (東谷晃平、asahi = 3-11-24) 日経平均、終値も初の 4 万円台に 半導体銘柄が押し上げ、勢い衰えず 週明け 4 日の東京株式市場で、日経平均株価が 2 営業日続伸し、前週末比 198 円 41 銭 (0.50%) 高い 4 万 0,109 円 23 銭で取引を終えた。 終値で 4 万円を超えるのは史上初めて。 日本企業の業績改善への期待などから、2 営業日連続で最高値を更新した。 日経平均は 2 月 22 日、バブル絶頂期につけた終値での最高値(3 万8,915 円)を約 34 年ぶりに更新したばかり。 その後も株高の勢いは衰えていない。相場を押し上げているのは、引き続き半導体関連銘柄だ。 米国で 1 日に発表された景気指標が市場予想より弱く、早期利下げへの期待が高まった。 金利低下が追い風となるハイテク株が買われ、エヌビディアやインテルなど半導体銘柄が相場を牽引。 ハイテク株中心のナスダック総合指数は、史上最高値を 2 日連続で更新した。 4 日の東京市場でも、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連株が軒並み上昇した。 4 日の東京外国為替市場で円相場が 1 ドル = 150 円前後と引き続き円安水準で動いたことも、株価を下支えした。 日本銀行の植田和男総裁が 1 日、大規模緩和から転換するタイミングを慎重に見極めるとの姿勢を改めて示し、早期転換の見方が弱まったことが背景にあるとみられる。 日経平均は年初から約 2 カ月で 7 千円近くも急騰している。 市場では「上昇速度から警戒感が広がり、上値は重いだろう」(大手証券アナリスト)と過熱感を指摘する声もある。 (多鹿ちなみ、asahi = 3-4-24) 日経平均、終値 3 万 9,239 円 史上最高値を 3 営業日連続で更新 27 日の東京株式市場で日経平均株価は前日比 5 円 81 銭 (0.01%) 高の 3 万 9,239 円 52 銭で終え、3 営業日続けて、史上最高値を更新した。 取引時間中の最高値も更新し、一時 3 万 9,400 円台をつけた。 ただ、利益を確定させるために売る動きも強く、株高の勢いは弱まった。 日経平均は前週末の 22 日、バブル期の 1989 年 12 月末につけた終値の史上最高値を超えた。 週明け 26 日も続伸した。 27 日は高値への警戒感から上値が重く、伸び悩んだ。 前日の米ニューヨーク株式市場で、史上最高値を更新していた主要企業で構成するダウ工業株平均、S & P500 指数がともに反落。 上昇を続けていた株を売る動きが広がった。 27 日の東京市場も同様の展開となり、上昇幅は限定的だった。 ただ、半導体銘柄は引き続き堅調で、株価の下支えとなったようだ。 (久保田侑暉、asahi = 2-27-24) 東証が史上最高値 3 万 9,098 円 34 年ぶり、バブル期超え 22 日の東京株式市場は、日経平均株価(225 種)がバブル経済期だった 1989 年 12 月 29 日の水準を上回り、約 34 年ぶりに史上最高値を付けた。 終値ベースと取引時間中のいずれも最高値を更新した。 22 日の終値は前日比 836 円 52 銭高の 3 万 9,098 円 68 銭。 取引時間中には一時、3 万 9,156 円 97 銭を付けた。 企業業績の拡大を背景に、賃金と物価がそろって上昇する経済の好循環に期待が高まった。 2023 年度の企業業績は、過去最高水準となる見通しだ。 新型コロナウイルス禍後、経済活動が回復。 外国為替市場の円安ドル高基調が輸出企業の業績を押し上げた。 訪日客の増加もサービス業を支え、株価上昇につながった。 ロシアのウクライナ侵攻後、歴史的な物価高が続いた。 企業は商品を値上げする一方、賃上げの動きも加速させた。 株式市場では長年続いたデフレからの脱却に近づいたとの受け止めが広がった。 企業の経営改革が進んでいることも海外投資家の日本株買いを促した。 (kyodo = 2-22-24) 日経平均、史上最高値まで 750 円 市場関係者「十分視野に入った」 15 日の東京株式市場で日経平均株価が大きく反発し、節目の 3 万 8 千円を超えて取引を終えた。 終値で 3 万 8 千円台に乗せたのはバブル期だった 1990 年 1月以来、約 34 年ぶり。 米国の早期利下げへの期待などから、日米とも歴史的な株高が続いている。 日経平均の終値は前日比 454 円 62 銭 (1.21%) 高い 3 万 8,157 円 94 銭。 年初から 1 カ月半で 15% 近く上昇し、上げ幅は 4,800 円を超えた。 1989 年 12 月末につけた史上最高値(3 万 8,915 円 87 銭)まで、あと 750 円ほどに迫った。 米連邦準備制度理事会 (FRB) の高官が利下げに前向きな発言をしたことなどから、前日の米ニューヨーク市場ではダウ工業株平均などの主要株価指数がそろって上昇。 東京市場も流れを引き継ぎ、東京エレクトロンなど半導体関連が引き続き買われた。 決算が堅調だった損害保険会社の株価も大きく上昇した。 外国為替市場で円相場が 1 ドル = 150 円台と歴史的な円安水準で動いていることも、輸出企業を中心に株価の支えとなった。 日本銀行が金融緩和を当面続けるとの見方から、低金利の円が売られ、高金利のドルが買われている。 ただ、15 日の東証プライム市場で上昇した銘柄は 3 割にとどまり、残りの 7 割近くは値下がりした。 半導体関連など一部の「値がさ株」の上昇が、日経平均を大きく押し上げている構図だ。 野村証券の沢田麻希氏は「好調な決算が相次ぎ、今後も日経平均は緩やかに上昇するだろう」として、史上最高値も十分視野に入ったとみている。(土居新平、asahi = 2-15-24) 「史上最高値の更新」も見えてきた? 日経平均、一時 3 万 7 千円台に 9 日の東京株式市場で日経平均株価が続伸し、前日比 34 円 14 銭 (0.09%) 高い 3 万 6,897 円 42 銭で終えた。 バブル期以降の高値を 2 営業日連続で更新した。 取引時間中には一時、400 円超値上がりし、3 万 7 千円台をつける場面もあった。 日米で企業業績が好調であることと、日本の金融緩和継続への期待から株が買われている。 米国ではこの数日、米マイクロソフトやグーグルの親会社、米アルファベットなど IT 大手企業が好決算を発表。 株価が大幅に上がり、株高を牽引。 前日 8 日のニューヨーク株式市場では、主要企業でつくるダウ工業株平均が 2 日連続で史上最高値を更新した。 米大企業を幅広く網羅する株価指数 S&P500 も一時、史上初めて 5,000 の大台を超えた。 世界的な IT 企業の好業績は、日本の株式市場にも波及した。 9 日の東京市場で日経平均は一時、3 万 7,287 円をつけた。 市場予想を上回る決算を発表した英半導体設計大手アームを傘下に持つソフトバンクグループが一時、前日比 10% 超上昇。 1 社で日経平均を 130 円ほど押し上げた。 決算が好調だったニトリホールディングスなどにも買いが入った。 円安も追い風となった。 9 日の東京外国為替市場の円相場は一時、1 ドル = 149 円 49 銭をつけ、昨年 11 月以来、約 2 カ月半ぶりの円安ドル高水準に。 円安で利益が膨らむ輸出企業を中心に株価の支えとなった。 円安株高につながる大きなきっかけが、日本銀行の内田真一副総裁の発言だ。 8 日の講演で、マイナス金利政策の解除など、金融緩和策を転換した後も「緩和的な状況は続く」との見方を表明。 投資家に安心感が広がり、低金利が続きそうな円を売ってドルを買う動きも加速した。 日経平均は年初から、1 カ月余りで約 3,600 円 (約 11%) も上昇したことになる。 急激な株高を主導しているのは海外投資家だ。 東京証券取引所によると、海外勢は 1 月、現物株を 2 兆 693 億円買い越した。 2 兆円を超えるのは昨年 5 月以来で、月間の買い越し額としては 1982 年以降、7 番目の規模となった。 週間ベースでも、 1 月第 5 週(1 月 29 日 - 2月 2 日)まで 5 週連続で買い越している。 意識され始めた「3 万 8,915 円」 株価はまだ上がるのか。 市場では 1989 年 12 月につけた史上最高値、3 万 8,915 円が意識され始めている。 日本企業の業績が好調であることから最高値を更新するとみるのが、マネックス証券の広木隆氏だ。 「上場企業の決算発表が本格化する 5 月には最高値を超え、3 万 9 千円台にのせる可能性がある」とみる。 円安の行方も大きく左右する。 日銀幹部が金融政策の正常化にかじを切った後も当面、緩和は続くとの見通しを示したことを受けて、みずほ証券の三浦豊氏は「歴史的な円安水準が続き、企業業績が押し上げられる」と語る。 6 月ごろには 3 万 8 千円に到達するとみる。 ただ、今年11月にある米大統領選や中東情勢など、世界経済の先行きに不透明感があることから、「史上最高値の更新は難しいのではないか」とし、年末の株価を 3 万 6 千円と予想している。 (東谷晃平、土居新平、asahi = 2-9-24) 東証続伸、終値で 3 万 6,000 円台回復 バブル期以来 34 年ぶり 週明け 22 日の東京株式市場で日経平均株価が続伸し、バブル期の 1990 年 2 月以来、約 34 年ぶりに終値で 3 万 6 千円台を回復した。 米景気の先行きへの安心感などから前週末に米株式相場が大幅に上がっており、その流れを引き継いだ。 終値は前週末比 583 円 68 銭 (1.62%) 高い 3 万 6,546 円 95 銭だった。 バブル後の最高値を 2 営業日連続で更新した。 取引終了にかけて上げ幅を拡大する展開で、終了間際には 600 円超値上がりする場面もあった。 前週末 19 日の米ニューヨーク株式市場では、半導体市況の回復への期待からハイテク株を中心に買われた。 同日発表された消費者の景況感を示す指標が市場予想を上回ったことも、投資家心理を改善させた。 主要企業でつくるダウ工業株平均は史上最高値をつけた。 米大企業を幅広く網羅する株価指数「S & P500」も約 2 年ぶりに史上最高値を更新した。 週明けの東京市場でも半導体関連株を中心に買いが集まり、東京エレクトロンやアドバンテストが上場来高値を更新するなど相場を押し上げた。 (久保田侑暉、asahi = 1-22-24) 日経平均、7 営業日ぶりに反落 6 連騰で 2,600 円超高の反動か 16 日の東京株式市場は、日経平均株価が 7 営業日ぶりに反落し、前日比 282 円 61 銭 (0.79%) 安い 3 万 5,619 円 18 銭で取引を終えた。 日経平均は前日まで 6 営業日続伸。 バブル後の高値を連日更新し、この間の上げ幅は 2,600 円超に達していた。 市場には過熱感を指摘する声が出ており、利益を確定させる売り注文が広がったとみられる。 日経平均は 16 日の取引開始直後は上昇したものの、その後は売りに押された。 このところ大きく値を上げていた東京エレクトロンなど半導体株を中心に幅広い銘柄が売られた。 (東谷晃平、asahi = 1-16-24) 株価の高騰、どこまで続く? 5 日続伸、バブル期後の最高値また更新 12 日の東京株式市場は、日経平均株価が 5 営業日続伸し、前日比 527 円 25 銭 (1.50%) 高い 3 万 5,577 円 11 銭で取引を終えた。 4 日連続でバブル期後の最高値を更新し、4 日間の上げ幅は 2,000 円を超えた。 連日の急伸で過熱感も指摘されている。 取引開始直後には 700 円超値上がりし、3 万 5,800 円台をつける場面もあった。 好決算だった「ユニクロ」を運営するファーストリテイリング株に買いが集中。 1 銘柄で日経平均を約 230 円押し上げた。 前日の米ニューヨーク市場でダウ工業株平均が上昇したことも下支えになったとみられる。 ただ、週末を控え、高値では利益を確定させる売り注文も出た。 日経平均の急騰はどこまで続くのか。 大和証券の細井秀司氏は「全体でみれば下落銘柄が多く、実態としては調整に入っている」と指摘。 「すぐに 3 万 6 千円を突破するのは厳しい。 月末にかけて本格化する日米の企業決算がカギ」と話す。 一方、楽天証券の窪田真之氏は「早ければ 2 年で 4 万円になると予想しており、(現在の株価に)なにも違和感はない」とする。 「急騰の主役である外国人投資家にとって日本は賃金も物価も株価も安く、魅力的な投資先であることは簡単には変わらない」と、さらなる上昇を見込む。 (久保田侑暉、asahi = 1-12-24) 日経平均続伸、終値 3 万 5,049 円 3 日間の上げ幅は 1,600 円超 11日の東京株式市場で日経平均株価が続伸し、前日比 608 円 14 銭 (1.77%) 高い 3 万 5,049 円 86 銭で取引を終えた。 33 年 11 カ月ぶりに 3 万 5 千円台を回復した。 3 日連続でバブル後の最高値を更新した。3日間の上げ幅は1600円を超えた。 米国の早期利下げ観測から、前日のニューヨーク株式市場で主要株式指数がそろって上昇。 特に金利の影響を受けやすいハイテク企業株が買われ、米半導体大手エヌビディアは 3 日連続で上場来高値を更新した。 東京市場もこの流れを引き継ぎ、取引開始直後から幅広い銘柄が買われた。 円相場も 1 ドル = 145 円程度で動き、円安で特に業績が押し上げられる自動車や商社などの株価が上昇。 半導体関連株も引き続き買われ、東京エレクトロンは 2.86% 上昇した。 日経平均は 9 日、バブル期だった 90 年 3 月以来、約 33 年 10 カ月ぶりの高値に達した。 10日もさらに上昇し、3 万 4 千円台に乗せたばかりだった。 (東谷晃平、asahi = 1-11-24) 東証、1990 年 3 月以来の 3 万 4 千円台回復 一時 500 円超上昇 10 日の東京株式市場で、日経平均株価が一時、バブル期の 1990 年 3 月以来、約 33 年 10 カ月ぶりに 3 万 4 千円台を回復した。 米国市場で半導体関連株が堅調だった流れを受けた。 円安も株価を押し上げた。 前日比 133 円 15 銭高の 3 万 3,896 円 33 銭でスタート。 その後、買いが広がり、前日比で一時、500 円超上昇した。 (asahi = 1-10-24) 日経平均株価 終値 3 万 3,018 円 バブル崩壊後の最高値を更新 東京株式市場の日経平均株価は大幅に上昇し、終値で 3 万 3,000 円台をつけました。 バブル崩壊後の最高値を更新しています。 日経平均株価は前日のニューヨーク市場でダウ平均株価などが値上がりした流れを受けてきのうに比べ、一時 600 円以上大きく値上がりしました。 午後に入っても半導体関連株などが一段と値上がりし、3 万 3,000 円台を回復しました。 終値はきのうより 584 円高い3 万 3,018 円となり、バブル崩壊後の最高値を更新しています。 (テレ朝 = 6-13-23) 日経平均が 3 万 2,000 円台、バブル後最高値更新 米株上昇受け 5 日の東京株式市場で、日経平均株価は前週末 2 日の終値より一時 500 円超値上がりし、3 万 2 千円台を超えた。 取引時間中として、バブル期だった1990 年 7 月以来の最高値を更新した。 米国で前週に政府の債務不履行が回避され、市場に安心感が拡大。 週末の米ニューヨーク株式市場で主要指数が大幅上昇した流れを引き継いだ。 午前の終値は前週末より 521 円 61 銭高い 3 万 2,045 円 83 銭だった。 (asahi = 6-5-23) 日経平均、バブル後最高値を更新 約 33 年ぶり一時 3 万 1,500 円台 29 日午前の東京株式市場で、日経平均株価が一時、前週末より 600 円超値上がりした。 バブル期だった 1990 年 7 月以来、約 32 年 10 カ月ぶりとなる 3 万 1,500 円台にのせた。 米国の債務上限の引き上げ問題で、米政権と共和党が大筋合意に達したことを受け、投資家がリスクを取る動きを見せている。 米国のバイデン大統領は 27 日に声明を発表し、共和党のマッカーシー下院議長との間で大筋合意に達したと説明した。 米国史上初めての債務不履行の回避に向け、協議が前進したと市場から受け止められた。 これを受け、週明けの東京株式市場は取引開始から幅広い銘柄で上昇した。 大手証券会社のアナリストは「債務不履行の回避にはまだ手続きが残るものの、大筋合意で先行きに対する不透明感が和らいだ」と話す。 アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体関連のほか、電子部品、商社の銘柄が株価を引っ張っている。 また、29 日午前の東京外国為替市場ではドルを買って円を売る動きが進み、一時、2022 年 11 月以来の水準となる 1 ドル = 140 円 90 銭台をつけた。 前週末の午後 5 時時点より、ドルに対して 1 円超の円安方向となる。 米国でインフレを抑えるための利上げが長引くとの見方が一段と広がり、金利の高いドルを買う動きが強まっている。 (土居新平、asahi = 5-29-23) 日本株 3 万円、なぜ一人勝ち 「日本は賃金上がる …」海外視線の変化 日経平均株価が 17 日、3 万円台を回復した。 企業の好決算や自社株買い、日本銀行の大規模緩和の継続など追い風が重なった。 米欧の金融不安や世界経済の後退懸念などで各国の株価が伸び悩む中、日本株が「一人勝ち」の様相を呈している。 「最後の一押し」は、脱コロナ銘柄だった。 17 日午前 8 時 50 分に公表された 1 - 3 月期の国内総生産 (GDP) で、個人消費が市場予想を上回っていたことが確認されると、直後の午前 9 時に始まった取引で鉄道や航空関連株に買いが集まった。 30 分ほどで日経平均は 3 万円の節目を超えた。 大手証券アナリストは「GDP が良かった。 訪日外国人による需要拡大への期待で株が買われたのだろう。」とみる。 SMBC 日興証券によると上場企業の 2023 年 3 月期決算は、最終的なもうけを示す純利益が過去最高水準になる見通しだ。 コロナ下で大打撃を受けていた非製造業の業績が著しく改善した。 足元で株価をさらに引き上げているのが、堅調な業績を背景にした企業の自社株買いラッシュだ。 市場に出回る自社の株式を買い取ることで、保有資産を減らして資本の効率を高めるとともに、株価の上昇も期待できる。
シチズン時計の佐藤敏彦社長は 12 日の決算説明会でそう語った。 シチズンは 2 月、最大 400 億円分、発行済み株式の約 4 分の 1 にあたる大型の自社株買いを発表。 株価は急騰し、今は発表前に比べ 3 割ほど高い。 シチズンだけではなく、第一生命ホールディングス、日本郵政、大和ハウス工業、京セラなども相次いで自社株買いを打ち出している。 市場や企業などの調査分析をする東海東京調査センターのまとめでは、上場企業が今年 1 - 4 月に設定した自社株の買い入れ枠は 2 兆 3,036 億円。 年間で過去最高だった昨年同期(2 兆 6,875 億円)に迫るペースだという。 東京証券取引所が 3 月末、「資本コストや株価を意識した経営」を企業に求めたのは、保有する資産に比べて株価が低い企業を問題視したためだ。 その後、自社株買いをする企業が続出。 東海東京センターの鈴木誠一氏は「東証の要請で、過去にない積極的な自社株買いをする企業が出ている。 要請の浸透とともに、今後さらに活発化していくだろう。」とみる。 景気が良くなれば、通常は金利も上がって株価の重荷になる。 しかし、欧米の主要国がインフレ対策で利上げを進める中でも、日本はマイナス金利など大規模な金融緩和を続けている。 資金調達は依然容易で、債券よりも株式への投資が相対的に優位となるなど、株式を買いやすい環境を作り出している。 1 月に一時 1 ドル = 127 円台だった円相場は、金融緩和の継続を受けて足元で 1 ドル = 137 円前後まで下落。 円安でもうけが膨らむ輸出企業にも追い風となった。(東谷晃平、山本恭介) 外国人投資家が買い増し 日本株を大きく買い増しているのは外国人投資家だ。
外資系の UBS 証券の足立正道チーフエコノミストはそう話す。 4 - 5 月に欧米の投資家を訪問した際、アベノミクスが始まったとき以来の日本株に対する強い関心を実感。 海外投資家とのオンライン面談も増えているという。 きっかけはインフレだ。 昨年から物価が上がり始めたうえ、今年の春闘では市場の想定以上に大幅な賃上げが実現。 長らく物価が上がらなかった日本経済に対する、海外投資家の見方が変わったと足立氏はみる。 地政学リスクから中国への投資が難しくなっていることも、日本への関心の高まりにつながっている。 東京証券取引所の投資部門別売買動向(東証・名証 2 市場)によると、海外投資家は 5 月第 1 週に現物株を 1,602 億円買い越した。 買いが売りを上回る買い越しは 6 週間連続。 4 月は 2 兆 1,510 億円もの買い越しで、2017 年 10 月以来 5 年半ぶりの高水準となった。 こうした動きを象徴するのが、4 月に訪日した米著名投資家ウォーレン・バフェット氏だ。 運営する投資会社バークシャー・ハサウェイが、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・丸紅・住友商事の 5 大商社株を買い増したと朝日新聞などに明らかにし、ほかの日本株投資にも意欲を示した。 大和証券の阿部健児チーフストラテジストは「バフェット氏の発言で日本株への関心が一定程度集まった。 米国株に比べ、割安とみられたのだろう。」と話す。 海外投資家の関心は日本の鉄鋼やエネルギー株などにも広がり、幅広い業種の株価が押し上げられてきた。(栗林史子、中川透) 懸念は海外経済の減速や金融不安 日本企業は今後も業績を拡大させ、株価をさらに上げていくのか。 資源高の一服や賃上げによる消費の拡大などを見込み、24 年 3 月期も好業績を予想する企業が多い。 外国人観光客による、いっそうの消費回復への期待も高まっている。 一方で、懸念されているのは海外経済の減速だ。 17 日発表の 1 - 3 月期の実質 GDP は、輸出が前期比 4.2% 減と 6 四半期ぶりのマイナスだった。 悪化幅は新型コロナの感染が拡大した 20 年 4 - 6 月期以来の大きさとなった。 米国では物価高を抑えるため、米連邦準備制度理事会 (FRB) が景気を冷ます利上げを続けている。 米景気は近く後退局面に入るとみる市場関係者も少なくない。 そうなれば日本の企業や市場も無縁ではいられない。 金融不安もくすぶる。 利上げで保有していた債券の価値が大きく下がったことを機に、米国では 3 月以降、中堅の 3 銀行が相次いで経営破綻した。 金融不安は欧州にも飛び火し、スイス金融大手のクレディ・スイス・グループが買収される事態にまで発展した。 不安の連鎖で投資家が守りに入り、株を売る動きが強まる可能性もある。 一方、FRB が利下げに転じれば、日米の金利差が小さくなり、円相場は円高ドル安に向かうことが予想される。 日本でも、日銀がいずれ大規模緩和の副作用是正に動き、円安に一定の歯止めがかかるとの見方がある。 円安環境が一変すれば、株式相場には逆風になりうる。 (久保田侑暉、北川慧一、asahi = 5-17-23) 日経平均株価 2 万 9,000 円台を回復 約 8 か月ぶり 週明けの東京株式市場で、日経平均株価がおよそ 8 か月ぶりに 2 万 9,000 円台を回復しました。 きょうの東京株式市場では取引開始直後から買い注文が広がり、日経平均株価は取引時間中としては、去年 8 月以来、およそ 8 か月ぶりに 2 万 9,000 円台を回復しました。 先週末に日銀が大規模な金融緩和策の維持を決めた一方、アメリカの中央銀行にあたる FRB = 連邦準備制度理事会は今週、追加の利上げに踏み切るとの見方が強まっていて、1 ドル = 136 円台後半まで円安・ドル高が進んだことから、輸出関連株が買われました。 (TBS = 5-1-23) 米富豪 3 人が東京見直す動き、何かの始まりか 東京は主要な金融センターとしての地位を再び確立するために何年も苦しんできたが、東京を取り巻く環境の「初期設定」が変わり、消去法で東京が残っていることが救いになるかもしれない。 かつて金融界の中心地であった東京は先月、ある銀行業センター番付で、アジアのライバルであるソウルや北京、深センに後れを取り、トップ 20 から陥落した。 東京市場が 30 年前に絶頂期を迎えていたころ、金融界の地図に辛うじて記されていた深センは現在 9 位だ。 外国人トレーダーを呼び込むためのさまざまな試みは、東京都の小池百合子知事らでは解決が難しい現実に直面している。 香港やシンガポールに比べて高い税率や、日常生活や行政で用いられる言語が英語ではなく日本語だということ、それに煩雑で迷路のようなお役所仕事は東京に不利に働く。 ただ、東京が魅力的な都市になりつつあることを示す兆しもある。 資産家ケン・グリフィン氏のヘッジファンド、シタデルは世界金融危機時に閉鎖した日本事業を再開する計画だとブルームバーグ・ニュースが報じた。 ポイント 72 アセット・マネジメントを率いるスティーブ・コーエン氏はつい最近、同社が年内に日本でスタッフを約 20% 増やす計画だと明らかにした。 小さな始まりかもしれないが、それでも何かが始まっている。 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に長く門戸を閉ざしていた日本が見直されつつある。 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は今月、12 年ぶりに来日し、日本にお墨付きを与えた。 今後半世紀にわたって市場が成長し続けるという「強い感触」が理由だ。 しかし、東京が金融市場としての魅力を取り戻したとしても、「東京国際金融機構(フィンシティー・トーキョー)」という、東京を「世界で最も多様で開かれた金融都市」にするため設立された社団法人が先頭に立ちアピールしたことによるものではないだろう。 2019 年 4 月のこの法人設立時には、もっと大きなことがアジアの一角で起きていた。 香港の民主化デモだ。 4 年後の今、状況はかなり変化し、香港はパンデミック期の制約から立ち直りつつあるようだが、国際的なハブとしての機能は低下し、中国政府がうたう「一国二制度」の空虚さを露呈させている。 外国人駐在員の流出により、香港の人口は減少。 先週はインターナショナルスクールに在籍する外国人生徒が 4 年間で 12% 減ったことが明らかになった。 上海や北京、深センなど中国本土の都市は金融センター番付で順位を上げていくかもしれないが、新型コロナウイルスを徹底的に封じ込めるとしていた習近平指導部の「ゼロコロナ」政策と、その混乱した終幕が多くの人々を警戒させている。 米国と中国の関係悪化に加え、台湾を巡る戦争という話も語られるようになっている。 リスクは低いと思われるが、カナダ人のマイケル・コブリグ、マイケル・スパバ両氏が中国本土で 3 年近く拘束されたように、恣意的な外国人拘束が散見されることも駐在員の不安をかき立てる。 アステラス製薬の社員拘束は記憶に新しい。 税率が低くて治安のよいシンガポールが勝ち組となるのはもっともだが、独自の問題も抱えている。 特に供給が限られる住宅の価格が高騰。 2022 年だけで家賃は 30% も跳ね上がった。 シンガポールは外国人人材の誘致と貧富の格差を巡る懸念のバランスに腐心している。 チャンスの窓が開いているのは東京だ。 4 年ぶりに大挙して外国人観光客が押し寄せているのを目にすれば、東京が衰退の一途をたどっているとの一部の指摘も忘れてしまう。 新型コロナのパンデミック期に続いていた建築ラッシュで、東京の景観もかつてないほど良くなっている。 5 カ所の主要ビジネス街では今年、76 万平方メートルの新たなオフィススペースが加わる。 虎ノ門やハイテクに強い渋谷の再開発も完成が近い。 ある調査によると、賃貸マンション市場は活況を呈し、供給が過去最低水準となっているにもかかわらず、家賃は驚くほど手頃だという。 平均家賃は過去 3 年間でわずか 3.6% しか上昇していない。 働き手は香港などよりもずっと簡単に住まいを見つけることができる。 移民受け入れに消極的と見なされている日本だが、エリート専門職の呼び込みには熱心だ。 政府は最近、高学歴の高収入者を対象にわずか 1 年で永住権が取得可能なビザ(査証)プログラムを開始した。 外国人駐在員にとって懸念される幾つかの問題も解決されつつある。 インターナショナルスクールはちょっとした新設ブームで、英名門校ハロウのキャンパス建設などで今後数年間で 3,000 人余りの生徒枠が追加される予定だ。 こうしたことはいずれも東京の復興を告げているわけではない。 東京都が夢見るように東京が再び国際社会の中心都市になるということも言えない。 しかし、世界金融危機や 11 年に起きた東日本大震災とそれに伴う津波・原子力発電所事故といった傷跡は薄れつつある。 一方、地政学的な観点から米国にとっての東京の重要性は増している。 米国でそれぞれ 4 番目、21 番目、50 番目の富豪であるバフェット、グリフィン、コーエンという目利きの 3 氏が東京が復活したと考えるなら、見直す価値はあるだろう。 (リーディー・ガロウド、Bloomberg = 4-24-23) |