中国、レアアース業界団体を設立へ 価格決定権握る狙い 【北京 = 吉岡桂子】 中国はレアアース(希土類)の業界団体を 5 月にも設立する。 政府内にはレアアース産業を統括する組織を作る方針。 2015 年までに採掘や加工にかかわる企業を 100 から 20 に減らす計画も加速させる。 中国政府は業界の管理を強め、官民一体で国際的な価格の決定権を握ろうとしている。 21 世紀経済報道など中国紙によると「中国レアアース業協会」は当初、93 社で発足。 日本企業などとの対外的な価格交渉の窓口となり、輸出の基準価格を決める方針。 各社はそれを目安に取引するという。 中国政府は、中国がレアアースの世界の輸出の 9 割を占めているにもかかわらず、価格を思うように決められないことに強い不満がある。 密輸の横行に加え、中国企業がそれぞれ輸出相手と交渉していることが一因とみている。 協会の設立でこうした動きを防ぎ、売り手側の交渉力を強めたい考えだ。 中国政府は 11 年、ネオジムなど 3 種のレアアースの輸出税を増税したほか、上半期の輸出枠を前年より 35% 減らす。 中国・水清華木研究所によると「中国は輸出のコントロールを強めており、価格は継続して上昇する時期に入った。(中国レアアース業研究報告)」 国営新華社通信によると、中国のレアアースの 10 年 1 - 11 月の平均輸出価格は 1 トンあたり 1 万 7,957 ドルで、01 年の約 4 倍になった。 また、中国の輸入も増えており、10 年 1 - 10 月で 1 万 381 トンと、初めて 1 万トンを上回った。 中国企業の関係者は「中国以外の国で共同開発したい」と述べており、今後、海外の鉱山の買収に動く可能性もある。 (asahi = 1-3-11) 中国レアアース輸出枠、前年比 35% 減 11 年上半期 中国商務省は 28 日、レアアース(希土類)の 2011 年上半期(1 - 6 月)の輸出量枠を、1 万 4,446 トンとすると発表した。 10 年の同期より 35% 少なく、11 年は通年でも 10 年を下回るとみられる。 米国など中国以外での生産が本格化するのは 12 年以降で、日本企業にとって来年は、レアアースの調達が一段と厳しい年になりそうだ。 内訳は、外資が 9 社で 3,684 トン、中国系が 22 社で 1 万 762 トン。 中国はこのところ輸出枠を年 2 回に分けて発表している。 その比率は年によって異なるが、業界関係者によれば下半期分が上半期分を上回ることはほとんどない。 11 年の場合、上半期分を単純に倍増すると通年では 10 年分より 5% の減少。 ただ、10 年の場合、7 月になって発表した下半期分が大幅に減らされ、通年で前年比 4 割減となったこともあり、日本企業は、夏ごろに発表される下半期分の行方を心配している。 ハイブリッド車のモーターや電池、排出ガスを浄化する触媒などにレアアースを使う自動車業界では「輸入が減るようなら、部品生産の一部を中国に移す必要があるかもしれない(部品会社幹部)」といった不安が根強い。 中国が決めた今年の輸出枠は 3 万トン。 大手商社の双日によると、来年の日本の供給不足は少なくとも 1 万 1,300 トン生じそうだ。 在庫もあるため工場が操業停止に追い込まれるようなことはないにしても、値上がりは必至で「かなり厳しい状況だ」という。 中国政府は、「10 年より減るが、その幅は大きくない(商務省次官)」としているものの、環境や資源の保護を理由に、一部のレアアースの輸出税を引き上げるなど管理をいっそう強める方針だ。 (吉岡桂子 = 北京、神谷毅、asahi = 12-28-10) 中国のレアアース輸出、11 年も数量枠減・さらに増税 【北京 = 吉岡桂子】 中国政府が近く、2011 年のレアアースの輸出数量枠を発表する見通しだ。 ネオジムなど一部については 11 年 1 月から輸出税率を引き上げ、国外への流出を減らそうとしている。 日本への荷動きは正常化してきたものの、11 年も輸出枠の減少は避けられない見通し。 米国など中国外での生産が本格化しそうなのは 12 年からで、それを待つ 11 年は、日本企業にとって調達が最も厳しい 1 年になりそうだ。 レアアースの輸出枠は08 年分は 08 年 1 月 2 日、09 年分は前年 12 月 26 日、10 年分は前年 12 月 31 日に中国商務省が正式に発表した。 同省は 11 年について「市場の需給をみながら検討中。 できるだけ早く発表する。(姚堅報道官)」方針。 その量は「(10 年よりも)減るが、その幅は大きくない(陳健同省次官)」としている。 10 年の輸出枠は前年より 4 割少ない 3 万トンだったが、実際には 9 月までに 3.2 万トンを輸出。 そのうち半分が日本向け、19% が米国向けだった。 市場関係者の間では、11 年の輸出枠は 3 万トン弱ではないか、とみられている。 ただ、何度かに分けて発表されることが多く、今年は 7 月に入って下半期の大幅な削減が判明。 日本企業は 11 年についても全容が判明する時期がいつになるか気をもんでいる。 中国政府は 11 年 1 月 1 日から一部のレアアースの輸出税を引き上げる。 輸出の抑制を狙ってここ数年続いている動きだ。 日本の経済産業省などによると、ハイブリッド車の高性能モーターに使うネオジム、塩化ランタンをそれぞれ 15% から 25% に、レアアース元素を 1 割以上含む鉄合金を 20% から 25% に引き上げるなど数品目の課税を強化する。 ただ「レアアース全部の品目ではなく、大きな懸念はない(大畠章宏経済産業相)」としている。 中国政府は環境や資源の保護を理由に、採掘、生産から輸出までの管理を一段と強める方針。 レアアースの規制を本格化させた 06 年に新たな採掘許可証の交付をとりやめ、今年 9 月からは企業の統合を加速させている。 備蓄も近く始める。 中国はレアアースを用いた製品の生産が自国で増えていることから、資源の枯渇への危機意識を強めている。 世界の 3 割の埋蔵量なのに、安値で輸出することで 9 割の生産を担っている現状を変えようとしており、「他国の新たな開発を希望する」(姚報道官)という。 (asahi = 12-18-10) 中国レアアース、輸出関税引き上げ 1 月から 【北京 = 吉岡桂子】 中国財政省は 14 日、一部のレアアース(希土類)の輸出関税を 2011 年 1 月から引き上げる、と発表した。 具体的な税率は公表していない。 レアアースの輸出を規範あるものにするため、と説明している。 中国政府は 10 年の輸出枠を前年に比べて 4 割減らすなど、レアアースの生産や輸出を制限している。 11 年も輸出枠を減らす方針で、日本企業にも影響が出そうだ。 (asahi = 12-14-10) 日本向けレアアース、中国から 3 隻出港 双日が確認 中国からのレアアース(希土類)輸出が滞っている問題で、双日は 29 日、レアアースを積んだ船 3 隻が出港したと明らかにした。 日本の大手商社が扱うレアアースで荷動きが確認されたのは初めて。 27 日に天津と上海から 1 隻ずつ、28 日に上海から 1 隻が、計 66 トンを積んで出港した。 来月 4 日までに日本の港に入る予定だ。 レアアースの種類について双日は、「メーカーなど需要家との関係があり明らかにできない」としている。 中国からのレアアース輸出は、今年の中国の輸出枠がほとんど消化されてしまっている現状や、来年の輸出枠に大幅な増加が見込めない状況から、「品不足が続く状態に変わりはない(双日関係者)」とみられる。 (asahi = 11-29-10) 中国からのレアアース輸入、10 月は前月比 4 割減 財務省が 29 日発表した 10 月の貿易統計(通関ベース、確報)によると、中国からのレアアース(希土類)の輸入量は前月に比べて 43.1% 減の 1,278 トンだった。 中国は尖閣諸島沖で漁船衝突事故があった後の 9 月下旬から、レアアースの輸出検査を厳しくしており、その影響が統計でも裏付けられた。 貿易統計のうち、「希土類」と記された中国からの輸入品を合計した。 昨年 10 月と比べた輸入量は 49.6% 減った。 今年 1 月からの累計輸入量は前年同期比 7.4% 増の 1 万 8,596 トンだった。 (asahi = 11-29-10) レアアース工場、壁に「空母となる」 中国・内モンゴル 日本への輸入が滞っている中国のレアアース(希土類)の産地に朝日新聞記者が入った。 北京から空路 1 時間余。 内モンゴル自治区の包頭(パオトウ)市は、江西、広東両省など中国南部と並ぶ有数の産地だ。 「レアアースの郷(さと)」とも呼ばれている。 「レアアース企業の先兵として、レアアースの空母となり、富を築き、国家に報いよう。」 市内の鉄鋼メーカー、包頭鋼鉄の横にあるレアアース工場の壁には赤ペンキでこう書かれている。 工場のわきには、レアアースが混じる廃液をためた池があった。 いずれ資源化しようとためてあるようだが、国営新華社通信などによると、これがしみ出し、地下水を汚染しているという。 池の水面は近くの村の土地より高く、放射性物質が含まれているとの指摘もある。 近くに住む任さん (42) は「地下水が汚染されている。 金持ちから順番に引っ越していった。」と話した。 任さんも年末までに政府が用意した住宅に移る予定という。 包頭市中心部から約 170 キロ北上し、レアアースが眠る鉱山の町、白雲鄂博に着いた。 乾いた土に強い風。 風力発電の風車が回る。 レアアースハイテク技術産業開発区やレアアース公園、レアアース国際ホテル。 包頭市は特産物の名を冠する施設で目白押しだった。 この鉱山の町も、レアアース大通り、レアアース広場住宅、レアアース鉱区銭湯、と同じ調子だ。 にぎわいから離れて鉱区を探し、工場への道をたずねた。 「レアアースがほしいなら人を紹介するよ。 一見(いちげん)さんは無理だよ。」 バイクにまたがった厳さんは言った。 中国政府が手を焼く「密輸」は健在らしい。 規制をかければ抜け道を探す。 厳さんによれば、二つある近くの工場のうち一つは環境への対応が不十分として今年 6 月、生産停止を迫られたという。 中国政府は乱立する採掘業者や加工業者を整理・再編し、国内での管理強化を急いでいる。 国内業者が密輸出しては安売りに走り、価格を統制できないできたからだ。 「中東に石油有り。 中国にレアアース有り。」 この言葉を残したのはトウ小平(トウは登におおざと)氏。 そのトウ氏が始めた改革開放策のもと私営企業が乱立し、レアアース産業の「悪性競争」が続くようになったという。 「中国の管理が乱れていたころ、ある国は安い値段で大量に買っていった。 その国には大量の備蓄がある。」 温家宝(ウェン・チアパオ)首相は欧州での演説で、名指しを避けたものの、日本などを念頭にこう述べた。 足元をみられ、日本や米国などに価格の主導権を握られたまま、輸出を続けた悔しさをにじませたものとみられる。 レアアース規制の出発点はここにある。 携帯電話に電気自動車。 中国自身もレアアース部品を使う製品を作り始めた。 資源を戦略的に使う動きは増し、尖閣事件に絡む「禁輸」は解けても、昔に戻りそうにない。 (白雲鄂博〈中国・内モンゴル自治区〉 = 吉岡桂子、asahi = 11-20-10) 中国側「レアアース、適切に解決」 大畠経産相に方針 横浜でのアジア太平洋経済協力会議 (APEC) 首脳会議に伴い、中国の張平・国家発展改革委員会主任(経済閣僚)と 13 日会談した大畠章宏経済産業相は、対日輸出が滞っているレアアース(希土類)について、張氏から「近く適切に解決する」と、輸出正常化の方針を示されたことを明らかにした。 大畠氏の説明によると、中国側は政府の関与は認めていないが、輸出が滞っていることは認識していた。 停滞の理由について「資源の秩序ある開発と持続的利用のため、税関での管理監督を強化した」と説明したという。 張氏はすでに税関など関係機関に対して検査手続きを効率よく、迅速にするよう指示した、とも述べたという。 9 月の尖閣諸島沖での漁船衝突事件後、レアアースの対日輸出は事実上「禁輸」状態が続いていたが、大畠氏は会談後、記者団に対し「正常な状態に戻る」と話した。 ハイテク製品に必要なレアアースは世界の生産量の 97% を中国が占めている。 とくにハイブリッド車モーターの高性能磁石に欠かせない元素ジスプロシウムは、生産可能な鉱床が現在、中国南部にしかなく、「禁輸」の長期化で企業の生産にも影響が及ぶと心配されていた。 (中野晃、asahi = 11-14-10) 中国、来年もレアアース輸出削減 品不足長期化か 【北京 = 吉岡桂子】 中国商務省の姚堅報道官は 2 日、ハイブリッド車やハイテク製品に使われるレアアース(希土類)の 2011 年の全世界向けの輸出枠について「(10 年よりも)減るが、その幅は大きくない」と述べた。 減らす理由として、資源や環境の保護の必要性を改めて指摘した。 中国国営新華社通信が同日伝えた。 中国はここ数年、輸出枠を前年比で 10% 以上減らしてきており、10 年は 4 割削減する方針を発表。 日本向けについては、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以降は通関手続きも遅れ、輸出が滞っている。 姚報道官の発言は、日米欧からの反発を受けてもなお、輸出制限を続ける方針を示したもので、品不足や価格の高騰など影響は長期化しそうだ。 中国商務省によると、中国のレアアースの埋蔵量は世界の 3 割で、輸出量は 9 割を占める。 これを理由として、姚報道官は「相当多くの国がレアアースを備蓄している」と指摘、削減の正当性を強調した。 具体的な削減量については触れていない。 中国の英字紙チャイナデーリーが先月、来年の輸出枠の削減について「(前年比)最大 3 割」と報じたが、同省は「根拠がなく誤報だ」とするコメントを発表している。 日本政府の関係者は「中国はレアアースの価格の決定権を握ろうとしており、日中関係の動向にかかわらず輸出の削減は続く。 日本は輸入先を増やし代替製品の開発を急ぐ必要がある。」と述べた。 (asahi = 11-3-10) 中国がレアアース輸出再開か 米紙報道 日本向けは遅れ 【ニューヨーク = 山川一基、ワシントン = 尾形聡彦】 ハイテク製品などの製造に重要なレアアース(希土類)の輸出を中国が止めているとされる問題で、米ニューヨーク・タイムズ紙は 28 日、中国政府が日本、米国、欧州すべてに対する輸出禁止措置を解除したと報じた。 日本向けの輸出再開だけは遅れているという。 業界関係者によると、中国税関職員が同日、説明なしに船積みを許可したという。 ただ、日本向けは追加調査が必要として、一定の遅れが出ている。 日本への輸出は 9 月 21 日から、欧米への輸出は今月 18 日から滞っていた。 レアアースの輸出禁止措置については、クリントン米国務長官が、戴秉国(タイ・ピンクオ)・国務委員と 30 日に会談する際に議題に持ち出す方針を示したばかり。 米政府は 11 月半ばの米中首脳会談でも議題とする方針。 欧州連合 (EU) も懸念を表明するなど国際的な批判が強まっており、中国が態度を軟化させたとみられる。 ただ、中国政府が「環境保護が目的」としている輸出制限は継続される見通しという。 同紙によると、中国の輸出制限や輸出禁止は、レアアースが 50% 以上含まれる素材が対象。 米国と欧州は加工品を主に輸入しているのに対し、純度の高いレアアースを輸入している日本には、影響がより大きかったとみられる。 米通商代表部 (USTR) 広報官は 28 日夕、「中国がレアアースの出荷を再開したとの報道は目にしている。 情報を収集しているところだ。」と語った。 また、ホワイトハウス国家安全保障会議 (NSC) のベーダー・アジア上級部長は 28 日、レアアース禁輸が実施されているのかどうか自体について、「事実関係は不透明だ」としながらも、米中首脳会談の議題になるかどうかについては「可能性はある。 重要な問題だ。」と述べた。 一方、中国商務省の広報担当者は 29 日朝、「報道は見ていない。 関連部門に問い合わせる。」と話した。 (asahi = 10-29-10) 経産相、レアアース制限の改善要請 中国側「努力する」 大畠章宏経済産業相は 24 日、中国商務省の副大臣に当たる蒋耀平副部長と都内で会談し、中国から輸入が止まっているレアアース(希土類)問題について、改めて早期の改善を求めた。 蒋氏は対日禁輸との疑いを否定したが、「国内のレアアースは 10 - 15 年で枯渇しかねない」と、輸出をここ数年制限している理由を説明。 「日中経済に支障が出ないよう努力したい」と話したという。 会談後、大畠氏が記者団に明らかにした。 会談は、同日の省エネに関する日中の官民フォーラムに合わせて開かれた。 大畠氏は同フォーラム出席のため来日した中国国家発展改革委員会の張暁強副主任(副大臣)とも 21 日に会談した。 大畠氏は両会談で、中国税関での日本向けレアアースの全量検査などで船積みができず、9 月下旬から輸出が停止しているとする経産省の調査を示し、「理解しがたい」と述べた。 中国がレアアースの輸出量を減らしていることについても、「レアアースを利用した日本製品は中国にも輸出されている。 レアアースの停止はぐるりと回って、中国の電子部品生産などにも大きな影響を与える。」と懸念を伝えた。 一方、中国側は全量検査は「横行している密輸を防止するため」と答え、日本だけを対象にした措置ではないと説明。 レアアースの輸出枠削減については「中国の埋蔵量は半減している」と、従来の生産ペースでは 15 年以内に枯渇するとの見方を示した。 24 日の会談では、東シナ海ガス田や反日デモなどについても中国側に改善を要求。 デモについて蒋氏は「法律に基づき日本企業の利益を保護したい」と述べたという。 (asahi = 10-24-10) レアアース輸入停滞 中国側が契約破棄、他国経由も拒否 ハイブリッド車 (HV) や省エネ家電づくりに欠かせないレアアース(希土類)の取引を、中国企業側から一方的に破棄される日本企業が出ていることが 20 日、分かった。 9 月下旬以降、レアアースを扱う日本企業 30 社のうち中国から輸入できたのは 2 社だけ。 民間の試算では、日本は来年、必要量の 3 割に当たる 1 万トンのレアアースが不足する見通しだという。 経済産業省の調べでは、日本の複数の企業が今月に入り、中国のレアアース供給会社から、輸出契約を破棄すると連絡を受けた。 中国側は破棄する理由として、税関での荷物検査が長期化して船積みの見通しが立たないため、日本向けを他国の企業に割り当てたい、と言っているという。 また、ある大手商社は韓国などを経由して日本に輸入しようとしたが、中国企業は「発覚するのが怖い」とし、契約を断ってきたという。 レアアースの中国税関での手続き停止は、沖縄県尖閣諸島沖の漁船衝突事件で逮捕された中国人船長の勾留(こうりゅう)延長が決まった 2 日後の 9 月 21 日に確認され、船長が釈放されると、手続きが再開された。 しかし、荷物の全量検査や、これまで必要なかった中国語による輸入申請書の提出などを求められる企業が相次ぎ、今度は企業が契約破棄の行動に出てきた。 経産省は「辛うじて輸入できる企業もあるが、契約破棄が出る状況では、事態は今後悪化するだろう(幹部)」と懸念している。 日本のレアアース使用企業の中には、「11 月初旬までに輸入できないと、操業を止めなければならない」と訴える液晶関連メーカーや、輸入に頼らずに済むように中国への工場移転を検討し始めたガラスメーカーなどもある。 日本向けが停止される以前から、中国は生産に伴う環境汚染の拡大などを理由に輸出を削減してきた。 今年の輸出枠は前年比 4 割減の 3 万トン。 大手商社の双日の試算では、来年の日本のレアアース需要は 3 万 2 千トンに上るが、ほぼ全量を中国に頼る調達は 2 万 1,800 トンにとどまり、1 万トンが不足する見通しだ。 世界生産の 97% を占める中国の輸出抑制に伴い、レアアース価格は高騰している。 大手商社のレアアース担当者は、「メーカーが製品にレアアース価格の上乗せをできなければ、経営にも影響が出るだろう」とみている。 中国は、政治的な動きだけでなく、資源市場での影響力強化も考えているようだ。 一方、中国政府は 20 日、「欧米への禁輸拡大」と報じたニューヨーク・タイムズ電子版に対し「事実関係を調査している」とコメント。 「中国、来年は最大 3 割削減」とした 19 日の中国紙チャイナデーリーの報道には「まったく根拠がない」と激しく反応した。 中国商務省は「限りある資源を守り、持続可能な発展を実現するために、レアアースの採掘、生産、輸出に対する規制措置を続ける。 これらの措置は、世界貿易機関 (WTO) のルールに違反していない」と付け加え、「禁輸疑惑」を否定した。 同省によると、中国はレアアースの輸出では世界の 9 割以上を占めるが、備蓄では 3 割程度。 チャイナデーリーは 19 日、同省関係者の話として「このままでは 15 - 20 年で(中国の)備蓄が枯渇する」と、制限する事情を伝えている。 (神谷毅、福山崇、北京 = 吉岡桂子、asahi = 10-21-10) 中国、米欧にもレアアース禁輸拡大か 米紙報道 【ワシントン = 尾形聡彦】 米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は 19 日、中国がハイテク製品の製造にとって重要なレアアース(希土類)の禁輸を米国や欧州にも拡大している、と報じた。 米通商代表部 (USTR) の広報官は 19 日夜、朝日新聞の取材に「報道は目にしており、情報収集している」とし、調査に入っていることを明らかにした。 今後、米中間の大きな火種となる可能性もある。 同紙は、産業筋の関係者の話として、中国が日本だけでなく「(米国などに)禁輸を拡大している」と指摘。 17 日に中国の政府幹部が米国の貿易措置について非難したのに続き、18 日朝から、レアアースを巡って幅広い輸出制限が課され始めたという。 同紙は「中国は、日本に禁輸しているレアアースの一部について、米国や欧州への出荷も静かに止めた」としている。 同紙は、中国商務省が日本への禁輸を繰り返し否定していることも紹介。 中国当局は、同紙による米欧への禁輸拡大についての事実確認にも応じていないという。 別の米政府高官は 19 日夜、「記事は見ているが、(真偽は)確認できない」と述べた。 中国によるレアアース禁輸を巡っては、米政府高官が 9 月末、議会公聴会で「中国が日本に事実上の禁輸を行っているという未確認の報道がある。 この問題の地政学的なリスクを示すものだ」と表明し、警戒感を示していた。 今回の報道が事実だとすれば、米中貿易摩擦が一気に拡大するのは必至で、人民元問題と並んで、レアアース問題が米中間の象徴的な問題になる可能性もある。 ◇ ニューヨーク・タイムズ紙の報道について、中国商務省の広報担当者は 20 日、朝日新聞の取材に対して「事実関係を調査している」と答えた。 レアアースの「禁輸」疑惑には、温家宝(ウェン・チアパオ)首相が「中国は禁輸したことはないし、(今後も)しない」と、6 日に訪問先のブリュッセルでの講演で述べていた。 中国政府は環境問題を理由に今年の輸出枠を前年比 4 割削減すると発表。 最近の会見で「中国は長期にわたり安い価格で大量に世界にレアアースを供給してきた。 国内法にのっとって管理と制限をしている。(外務省の馬朝旭報道局長)」、「世界貿易機関など国際ルールにのっとった輸出である(商務省の姚堅報道官)」と述べ、輸出削減の正当性を指摘しつつ、「禁輸」はしていないと反論している。 「中国の生産量の世界全体に占める比率は大きいが、(国内の)備蓄はとても低い(温首相)」との認識で、国内需要に対応するため備蓄を急ぐ方針。 中国紙チャイナデーリーは商務省関係者の話として「来年は最大 30% 削減」、「このままでは 15 - 20 年で枯渇してしまう」と伝えており、今後、輸出制限は強まる見通しだ。 (北京 = 吉岡桂子、asahi = 10-20-10) 中国、来年のレアアース輸出枠最大 3 割減か 現地紙報道 【北京 = 吉岡桂子】 中国の英字紙チャイナ・デーリーは 19 日、中国商務省担当者の発言として、中国が携帯電話やハイブリッド車などに使われているレアアース(希土類)の来年の輸出許可枠を、最大 30% 削減すると報じた。 将来の自国の需要を考慮し、備蓄を増やす必要性がある、としている。 中国はレアアースの世界生産の 9 割超を握る。 環境問題などを理由に今年の輸出枠を昨年より 40% 削減する方針を発表している。 同紙によると「このままでは 15 - 20 年で枯渇する恐れがある。」 環境、国内需要などの経済状況や国際戦略的な観点から「中国はこれまでのようにレアアースを世界の市場向けに供給する役割は果たせない」と指摘する政府関係者の発言も紹介している。 (asahi = 10-19-10) 「レアアースの密輸が横行」 中国で報道 【北京 = 吉岡桂子】 中国でレアアース(希土類)の密輸が横行している - -。 厳格な通関検査は「密輸対策」ともとれる記事を中国メディアが相次いで伝えている。 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以降、日本への輸出が滞っている問題で、日本は通関手続きの改善を求めている。 「毎年 2 万トン以上が密輸されている。」 雑誌『瞭望(10 月 11 日号)』が政府や企業関係者の話として報じた。 9 日付中国経営報電子版によると、2009 年は正常な輸出枠が 5 万トンで、密輸は 2 万トンだったという。 レアアースの国際価格が上昇するなかで、中国政府は環境保護などを理由に輸出を制限。 輸出枠を減らされた企業が密輸に走っている、と指摘した。 また、第一財経日報電子版も 9 月末、「米国への密輸が最も多い」とする企業関係者の話を伝えた。 尖閣事件後に発生した日本へのレアアースの「禁輸」問題については、「中国が資源を外交のかけひきに使った」として欧米でも批判が出た。 相次ぐ「密輸報道」は、国際社会の疑念や日本が問題視する通関の厳格化に対する「反論」ともとれそうだ。 (asahi = 10-12-10) 中国のレアアース対日輸出、改善見られず 経産相会見 大畠章宏経済産業相は 12 日の閣議後の記者会見で、中国から日本への輸出が滞っているレアアース(希土類)について「荷の動きは確認されておらず、実態的には正常な状態にはまったくいたっていない」と述べ、改善が見られないとの認識を示した。 経産省は、中国で建国を祝う国慶節の連休が明けた 8 - 11 日を中心に輸出状況を調べたという。 大畠経産相は「今週 1 週間の状況を見て、実質的な荷の動きに改善がなければ、来週あたりから直接、中国政府に改善を求める何らかの行動を起こしたい」とも述べた。 副大臣や政務官を派遣し、中国政府と交渉することも検討しているという。 ただ、レアアース以外の対日輸出入は「4 割くらいの企業で改善の動きがみられる」としている。 (asahi = 10-12-10) 「レアアース、駆け引きの道具にしない」中国首相が発言 【北京 = 吉岡桂子】 欧州を歴訪している中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は 6 日、ブリュッセルでの中国・EU (欧州連合)ビジネスサミットで講演し、レアアース(希土類)の輸出について、「管理と規制は必要だが、中国は決して封鎖しない。 駆け引きの道具にもしない。」と述べた。 中国は「禁輸」を否定しているものの、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に絡んだ日本への対応について、国際社会から批判が集中していることを念頭に置いた発言とみられる。 温首相は「中国でレアアースの管理が最も混乱していた時、一部の国はレアアースを安く買った。 彼らは現在も少なからず備蓄がある。」として「管理」の必要性も強調した。 (asahi = 10-8-10) レアアース取引全社が「輸入に支障」 中国に改善要求へ ハイブリッド車や省エネ家電の部品に欠かせないレアアース(希土類)の中国から日本への輸出が止まっていた問題で、経済産業省は 5 日、商社や部品メーカーなどへの緊急アンケート結果を発表した。 レアアースの取引をしている 31 社すべてが日本への輸入に「支障が生じている」と回答した。 同省は「現在も事態は進展していない」とし、中国に事態の改善を強く求める方針だ。 経産省は 9 月 28 - 30 日、レアアース取引の可能性がある 152 社にアンケートをした。 このうち実際に取引をしている 31 社が中国の天津や上海、広州、大連の各港からの輸出が滞っていると答えた。 滞り始めたのは、中国の漁船が海上保安庁の巡視船と衝突し、漁船の船長の勾留延長が決まった 2 日後の 9 月 21 日からだという。 28 日から港では輸出許可の申請は受け付けられ始めたが、いまだに厳しく検査されたり、船積みできていなかったりする状況が続いているという。 大畠章宏経産相は 5 日の閣議後記者会見で「輸出が再開されている状況ではない」との認識を示した。 日本向けレアアースの輸出が止まって以降、中国政府は一貫して「輸出差し止めの指示はしていない」と否定してきたが、大畠氏は「中国政府が公式に述べているものと違う実態にある。 事態打開のため、早急に中国に改善を要請したい。」と述べた。 また、同省はレアアース以外の輸入についても商社やメーカーなど 1,146 社に同様のアンケートを実施。 回答した 424 社のうち 124 社が中国との輸出入に「遅延が出ている」と答えた。 (asahi = 10-5-10) 中国、レアアース禁輸を解除 姿勢軟化の兆し 沖縄県・尖閣諸島沖の衝突事件を受けて止まっていた中国から日本向けのレアアース(希土類)の通関手続きが、28 日までに再開され、中国当局の禁輸措置が解除された。 中国政府高官は同日、事件について「(対立への動きは)ほぼ終わった」と一部報道陣に語り、日本との関係修復に転じる方針を示唆。禁輸解除は姿勢軟化のシグナルと見られる。 禁輸の解除は、現地に事務所を置く複数の日系商社が明らかにした。 通関手続きは 21 日以降受理されなくなっていたが、専門商社の担当者によると「インターネットなどでの申請が 28 日に受け付けられるようになった。 早ければ 29 日にも通関許可が下りる見通しだ。」という。 ただ、中国からの輸出品の検査強化は依然続いているもようだ。 レアアースについては禁輸措置の発動後、すでに通関受け付け済みの荷物に対しても全量検査が実施されている。 こうした状況は現在も続いており、当面解除される見通しはないという。 このため、正常化にはなお時間がかかりそうだ。 一方、中国外務省の姜瑜副報道局長は 28 日の定例会見で、関係修復のために日本の「誠実で実務的な行動」を促した。 日本側に求めていた事件の「謝罪と賠償」については直接言及せず、中国政府の姿勢の変化を印象づけた。 (神谷毅、福山崇、北京 = 古谷浩一、asahi = 9-29-10) 中国、レアアース対日輸出停止 尖閣問題で外交圧力か 【北京 = 峯村健司】 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は 22 日、中国政府が沖縄県・尖閣諸島沖での衝突事件を受け、排ガス浄化装置やハイブリッド車 (HV) のモーターなど、ハイテク製品の生産に不可欠なレアアース(希土類)の日本への出荷をすべて止めた、と香港発で報じた。 中国政府は勾留(こうりゅう)されている中国人船長の釈放を求めており、日本政府への圧力を強める狙いと見られる。 中国はレアアースの世界生産の 9 割超を握り、日本はその最大の輸入国。 8 月末の日中ハイレベル経済対話で輸入枠の拡大を求めるなど日本にとっては重要な品目で、禁輸が長期化すれば、HV などの生産への影響が必至だ。 同紙によると、禁輸措置は今月末まで。 船長の勾留(こうりゅう)期限となる 29 日を視野に入れ、日本側の対応をみて禁輸措置を継続するかどうか決めるとみられる。 一方、中国商務省の報道担当者は 23 日、朝日新聞の取材に「そのような通知は聞いていない」と回答した。 (asahi = 9-23-10) レアアース輸出拡大、中国側「ゼロ回答」 日中経済対話 【北京 = 琴寄辰男、古谷浩一】 日中両政府の経済閣僚が集まる「日中ハイレベル経済対話」が 28 日、北京で開かれた。 ハイブリッド車 (HV) や省エネ家電の部品生産に使われる「レアアース(希土類)」の輸出枠を中国が大幅に削減した問題で、日本側は「世界全体に大きな影響がある」などとして削減の再考を求めたが、中国側は採掘に伴う環境問題などを理由に応じず「ゼロ回答」に終わった。 直嶋正行経済産業相がこの日、中国の李毅中・工業情報相、陳徳銘・商務相との会談で中国側に申し入れ、閣僚がそろう全体会合でも輸出枠の拡大を求めた。 日本側の説明によると、中国側は「環境対応で生産量を減らす必要がある」、「資源の枯渇が見込まれ、節約が必要だ」と主張し、議論は平行線に終わった。 陳商務相はこの日、記者団に「国内でも採掘を制限しており、(日本にも)理解してもらいたい」と語った。 中国は 7 月、今年下半期向けの輸出枠を約 8 千トンと発表。 年初からの合計では約 3 万トンにとどまり、前年比約 4 割の大幅減となった。 世界生産の 9 割超を握る中国が今後も輸出枠を削減する姿勢を続ければ、HV や省エネ家電の生産にも影響が出る可能性がある。 日中ハイレベル経済対話は 2007 年 12 月に第 1 回会合が北京で開かれ、今回が 3 回目。 日本側は岡田克也外相、直嶋経産相ら 6 閣僚が訪中し、中国側は王岐山(ワン・チーシャン)副首相らが出席した。 レアアースを巡る議論のほか、マグロ類資源保護での協力や省庁間の定期協議設置などに合意した。 ■ 「戦略資源」高値化狙う 中国側がレアアースの輸出を制限するのは、ハイブリッド車 (HV) や省エネ家電などに欠かせない「戦略資源」を、国内需要向けに計画的に使うとともに、価格支配力を強めて海外にもっと高値で輸出したいからだ。 「下半期だけでみれば輸出枠は 7 割減。 これはやりすぎだ。」 直嶋経産相は、中国側の関係 2 閣僚との会談でこう食い下がった。 中国が削減の理由に挙げた採掘に伴う環境問題について「日本に技術的に協力できるところがあるかも知れない」とも申し出たが、中国側が譲る気配はまったくなかったという。 中国国土資源省幹部は今月、地元テレビのインタビューで「乱開発で価格を押し下げられてきた。 ある地方政府幹部に言わせれば『大根や白菜のような値段』だ」と不満を表明。 中国ではレアアースを国内で加工し、付加価値をつけて高く売ることを目指している。中国メディアによると、広東省河源市の国土資源局幹部は「加工すれば金やダイヤモンドの値段になる」と話した。 レアアースの世界生産の 9 割超を握る中国に対し、輸入に頼る日本の立場は弱く、打開策はすぐには見つかりそうもない。 液晶テレビのガラス基板の研磨剤などに使われるセリウムの価格は 1 キロあたり 40 - 50 ドルと、1 年前の 5 - 6 ドルから急騰。 家電 1 台あたりの生産に必要な量は少ないため、商品価格がすぐに上がることは考えにくいが、製造過程に支障が出るおそれもある。 日本の合金メーカー大手の幹部は「これまでも中国は輸出枠を絞ってきたが、今回は日本の景気が回復しつつあり、モノがほしい時に重なった。 価格も青天井で上がる気配で、ショックは大きい。」と困惑を隠さない。 輸出規制だけではなく、採掘制限の強化もささやかれている。 この幹部は「いまは在庫はあるが、レアアース自体が入ってこなくなることが心配だ。 今後は中国国内での生産や、中国以外の調達先を探すことも考えなければならない。」と話した。 (琴寄辰男 = 北京、神谷毅、asahi = 8-29-10) 中国がレアアース輸出削減 ハイブリッド車生産に影響も ハイブリッド車 (HV) や省エネ家電の部品生産に使われる「レアアース(希土類)」を巡り、世界生産の 9 割超を握る中国が 7 月、輸出枠を大幅に削減することを決め、日本の産業界が懸念を強めている。 状況打開のため、直嶋正行経済産業相は 28 日から北京で始まる日中ハイレベル経済対話で、中国政府に輸出枠を拡大するよう申し入れる方針を固めた。 中国政府は 7 月、今年下半期向けのレアアースの輸出枠を約 8 千トンと発表。 年初からの合計では約 3 万トンと、今年の輸出枠は、約 5 万トンだった昨年と比べ約 4 割の大幅減になる。 日本は中国産レアアースの最大の輸入国だ。 輸出枠の削減を受けてレアアースの価格は急上昇し、モーターの磁石に使われるネオジムなどは発表後、30% ほど値上がりした。 日本の商社や合金メーカーからは「業界はパニックになっている(大手商社双日の担当者)」との声が上がる。 中国が輸出枠の削減を今後も続ければ、ハイブリッド車や省エネ家電の生産に影響を与えかねない。 輸出削減の理由について中国政府は、レアアースの採掘には環境汚染を伴うとして「環境保護の観点から実施した(商務省の崇泉・国際貿易交渉副代表)」と説明する。 ただ、中国メディアによると、温家宝(ウェン・チアパオ)首相は 7 月のドイツの企業関係者らとの会合で「輸出を止めることはないが、適切な価格で適切な量が輸出されるべきだ」と発言。 レアアースがこれまで安価で過剰に国外に流出してきた、との認識を示唆している。 今月 10 日には、レアアースの主要産地である広東省河源市など中国南部の 15 都市が、採掘量の厳格管理や統一市場の構築検討を盛り込んだ行動計画に調印。 安価での国外流出を防ぐ狙いとみられ、中国国土資源省の汪民次官は「レアアースはハイテク、軍事産業などの発展で重要な戦略性資源」と強調した。 さらに、日本の商社などは「製錬や加工技術を持った海外企業を中国に呼び寄せ、技術移転を図る狙いがある」とみる。 ハイテク産業に必要不可欠なレアアースは、中国にとって経済外交の有力な武器になりつつある。 18 日には、訪中した近藤洋介経産政務官が中国商務省に改善を要請。 中国側は、昨年の輸出枠約 5 万トンが完全に消化されなかったことなどを指摘し、輸出を減らしても問題はないと主張した。 これに対し日本は、不況、減産による「特殊要因」とし、昨年並みの水準の確保を求める構え。 直嶋経産相は、日中ハイレベル経済対話で輸出枠の拡大を強く訴える方針で、閣僚級の交渉で打開策を見いだしたい考えだ。(琴寄辰男 = 北京、大月規義、神谷毅、asahi = 8-20-10) |