楽天、プラチナバンドで苦境脱せるか 遠い黒字化「財務上のリスク」 「第 4 のキャリア」として参入した楽天モバイルが 23 日、悲願の「プラチナバンド」を獲得した。 アキレス腱となっていた「つながりにくさ」を改善し、巻き返しをねらう。 ただ黒字転換にはまだ時間がかかりそうで、経営への懸念は拭えていない。 楽天モバイルの鈴木和洋・共同最高経営責任者 (CEO) はこの日、総務省でプラチナバンド割り当ての認定書を受け取った。 取材に応じ、「さらに高品質なサービスを提供できるようになる。 加入者の獲得を増加させて、一刻も早くビジネスの黒字化を目指していきたい。」と述べた。 プラチナバンドは楽天にとって、モバイル事業の成否を左右する。 「解約理由の大半は通信品質。 屋内、繁華街、地下での改善を望む声は大きい。」 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長はかねて、モバイル事業の弱点をこう説明してきた。 楽天は 2020 年の本格参入後、データ通信の利用が 11ギガバイトまでは月額無料の「ゼロ円」プランなどで契約者数を一気に伸ばしたが、足元の解約率は 2.4% にのぼる。他社の 1% を切るような水準に比べ、水をあけられている。 電波は特性として、周波数帯が高ければ通信速度は速いが、障害物に弱い。 逆に低い周波数帯は速度は緩やかになるものの、障害物をよけて届きやすいという特性がある。 楽天に割り当てられるプラチナバンド 楽天が現在、4G 用に使う周波数は 1.7 ギガヘルツ帯で、「ミッドバンド」と呼ばれる。 ミッドバンドは中間の位置づけで「バランスは良い(楽天広報)」とされるが、建物や地下が多い都会では電波が届きにくい場所が生まれてしまう。 こうした弱点の克服に帯域が低いプラチナバンド(700 - 900 メガヘルツ)が必要だった。 NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンクは複数のプラチナバンドを割り当てられており、大手 3 社との競争には欠かせない帯域だ。 KDDI の回線を借りる「ローミング」の新しい協定も 6 月に始まり、東京 23 区や大阪市、名古屋市の中心部が対象に追加された。 プラチナバンドと新しいローミング契約を組み合わせ、特に都心部での通信品質の改善が期待される。 プラチナバンドの獲得までには曲折を経た。 楽天は事業参入当初からプラチナバンドを求めてきた。 それには競合 3 社が持つ帯域を分けてもらう必要がある。 業界の競争を促したい総務省も希望する事業者があれば、割り当て済みの周波数を再割り当てする仕組みをつくるなど、準備を進めてきた。 ところが昨年 2 月に始まった総務省の有識者会議では、費用や移行期間を巡り、競合 3 社と対立した。 23 年の利用開始を求めた楽天に対し、3 社は基地局の改修などで 10 年程度が必要と主張。 最終的に会議がまとめた報告書では、移行期間は「5 年間が標準」と結論づけた。 流れが変わったのは、ドコモが示した未利用のプラチナバンドの活用案だった。 周波数帯で隣り合う地上デジタルテレビ放送などへの干渉を防ぐため、空白の帯域としていたものだ。 総務省も、ドコモ案を技術的に利用可能と判断し、当時の松本剛明総務相が「本年秋ごろの割り当てをめざす」と明言した。 ただ、プラチナバンドをめぐる攻防の火だねは残る。 割り当て済みのプラチナバンドの再割り当ては、楽天が希望すれば、総務省が検討を始めることになる。 今回割り当てられた未利用帯でまかなえるのは約 1 千万回線規模で「(再割り当てについても)引き続き検討していく(鈴木氏)」という。 識者「今のペースだと黒字には 3 年以上」 プラチナバンドの獲得で苦境を脱することができるかは、まだ見通せない。 モバイル事業の黒字化(減価償却費などの影響を除く)には 800 万 - 1 千万件の契約件数が必要だが、足元では約 500 万件にとどまる。 昨年 7 月に目玉の「ゼロ円プラン」を廃止したことで、契約者数は減少に転じた。 今年に入り下げ止まったものの、増加のペースに勢いはない。 市場シェアは 2% 程度にとどまり、2 - 3 割程度の競合 3 社に大きく差をつけられたままだ。 モバイル事業では、目標にしていた 2023 年度中の単月の営業黒字は「困難」とみている。 モバイル事業が他事業の利益を食いつぶす状況が続き、楽天グループ全体の財務体質も悪化している。 今年償還を迎える社債の返還や設備投資のため、楽天は 5 月、公募増資などで約 3 千億円を調達。 ただ、今後 2 年間でさらに約 7 千億 - 8 千億円の償還が控える。 グループ会社の株式を切り売りするなどして資金をつなぐ構えだ。 今回、楽天が総務省に提出した計画書では「2026 年度中に単年度で黒字化」するとした。 総務省は、認定の条件として、楽天に 3 カ月ごとの財務に関する計画の進捗の報告を求めた。 シティグループ証券のアナリスト鶴尾充伸氏は、プラチナバンドを獲得したとはいえ「楽観はできない。 プラチナバンドのネットワーク整備には 2 年ほどかかり、さらに投資計画に盛り込まれていない追加の設備投資も必要になる」と指摘する。 契約件数の積み上げペースにも懸念を示す。 「今のペースだと黒字には 3 年以上かかる計算で、資金流出が続き財務上のリスクが高い」とする。 通信品質を改善し競合 3 社を追いかけるが、各社もポイント経済圏での囲い込みを強めており、「楽天は強みのポイントを武器にうまくプロモーションを打てるかがカギになる」と分析する。 (松本真弥、asahi = 10-23-23) 楽天 G、モバイル不振で 4 年連続赤字 カード子会社中心の事業再編も 楽天グループが 10 日発表した 2023 年 6 月中間決算(国際会計基準)は、純損益が 1,399 億円の赤字だった。 前年同期に比べて赤字幅は縮小したものの、中間期では 4 年連続の赤字になった。 モバイル事業の不振が続くなか、好調なカード子会社の上場など、新たな財務改善策を模索する可能性も示した。 グループ全体の売上高は前年同期比 9.5% 増の 9,728 億円だった。 旅行需要の回復などで、「トラベル」などインターネット事業や金融事業がともに堅調だった。 一方、モバイル事業は、基地局整備などの巨額な先行投資が依然として重しになっている。 モバイル事業は 1,850 億円の営業赤字で、他事業の黒字をのみ込んだ。 6 月末時点の楽天モバイルの契約件数(格安スマホサービスの MVNO を除く)は 481 万件で、前四半期から 24 万件増えた。 昨年 5 月に発表した料金「0 円」プランの廃止後に続いていた減少傾向が反転した。 減価償却費や税の影響を除いた場合、契約が 800 万 - 1 千万件、平均単価が 2,500 - 3 千円まで伸びれば黒字化できるとの試算も提示。 三木谷浩史会長兼社長はオンライン会見で、「近いうちに 500 万回線を実現できる」と語った。 楽天はまた、建物内でも携帯電話がつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の獲得を目指しており、総務省は今年秋ごろに新たな割当先を決める予定だ。 この日の会見で、楽天モバイルの鈴木和洋・共同最高経営責任者 (CEO) は、秋に割り当てを受ければ「早くて、本年末には最初の電波の発射ができる」との見通しを示した。 財務基盤の改善が課題となるなか、楽天は同日、グループの再編も発表した。 スマホ決済の「楽天ペイ」を手がける子会社の楽天ペイメントを、クレジットカード子会社の楽天カードの傘下に置く。 複数の決済関連事業をカード会社に集約することで、キャッシュレス事業全体を強化する狙いだという。 あわせて、楽天は「第三者との戦略的パートナーシップや独自の資本調達なども柔軟に検討する」としており、将来的なカード子会社の上場も視野に、財務の強化を図る狙いもあるとみられる。 モバイル事業が経営を圧迫する中、楽天はこれまでも財務改善策を相次いで打ち出してきた。 23 年 4 月には傘下の楽天銀行を上場し、株式の一部を売却。 5 月には公募増資などで約 3 千億円を調達。 7 月には、子会社の楽天証券ホールディングス (HD) の株式上場申請をしている。 三木谷氏はこの日の会見で、カード子会社を中心とする決済事業の再編についても「楽天銀行、楽天証券、そして今回の楽天カードも、やろうと思ったらいつでもマネタイズ(現金化)できるというメッセージをマーケットに送る意味もある」と語った。 (渡辺淳基、鈴木友里子、asahi = 8-10-23) 楽天、3 千億円の公募増資を検討 モバイル事業不振で財務状況が悪化 楽天グループが公募増資に向けて最終調整していることが 15 日、分かった。 調達額は総額 3 千億円規模とみられる。 携帯電話の基地局の設備投資が膨らんでおり、悪化した財務体質の改善をはかる。 取締役会で近く決める見通し。 公募増資以外の方法も検討している模様だ。 楽天はモバイル事業の苦戦が続き、2022 年 12 月期決算で、4 年連続の最終赤字となった。 急ピッチで進めた基地局への投資が累計で 1 兆円に上り、金融事業を除く有利子負債は 22 年 12 月末時点で 1 兆 7 千億円と、前年から 3 割増えた。 財務状況の改善を図るため、4 月には傘下の楽天銀行を東京証券取引所プライム市場に上場。 株式の 3 割強を売り出し、約 700 億円の資金を調達するなど対応を急いでいる。 (asahi = 5-15-23) 楽天、赤字 825 億円 携帯事業で苦戦、投資抑制へ 1 - 3 月期 楽天グループが 12 日発表した 2023 年 1 - 3 月期の連結決算(国際会計基準)は、純損益が 825 億円の赤字(前年同期は 918 億円の赤字)だった。 基地局投資の負担が重い携帯電話事業の苦戦で、大幅な赤字決算が継続。 楽天は今後、KDDI の回線網を借りる「ローミング」の拡大により、投資抑制と通信品質の改善を進める方針だ。 携帯事業は 1,026 億円の赤字。 データ使用量 1 ギガバイトまでは料金が「0 円」となるプランを廃止した影響で、契約者数は 454 万件(格安スマートフォンを除く、前年同期は 492 万件)に減った。 多額の基地局投資により財務の健全性に対する懸念も強まっている。 こうした苦境から抜け出すため、ローミングを拡大する方針に転換する。 大都市部で KDDI 網を活用することで、基地局投資を 3 年間で 3,000 億円抑制。 さらに、つながりやすさが改善し、人口カバー率も 99.9% に上昇する。 三木谷浩史会長兼社長は同日の決算説明会で「KDDI とのローミング合意は大きな前進だ」と強調した。 合わせて、6 月 1 日に携帯プランを改定。 月額 3,278 円で使い放題の料金は据え置きつつ、従来は 5 ギガバイトとしていたローミングでのデータ通信の上限を撤廃する。 三木谷氏が「最強だ」と自信を示す新プランで、顧客獲得と収益改善につながるかが焦点となる。 (jiji = 5-12-23) 楽天、過去最大の赤字 3,728 億円 モバイル、基地局整備の負担重く 楽天グループが 14 日発表した 2022 年 12 月期決算(国際会計基準)は、純損益が 3,728 億円の赤字となり、過去最大の赤字幅となった。 前年は 1,338 億円の赤字だった。 携帯電話の基地局整備の負担が重いモバイル事業の営業赤字は 4,928 億円で、EC などインターネットサービス事業や金融事業の利益でも埋めきれない構図が続いている。 楽天モバイルは昨年 5 月、携帯電話料金の「0 円プラン」廃止を発表し、契約数が減る傾向が続いていた。 契約回線数は昨年 9 月末時点で 518 万件(格安スマホサービスの MVNO 含む)となり、昨年 3 月末時点からは 50 万件も減少していた。 (鈴木康朗、女屋泰之、asahi = 2-14-23) 楽天モバイル、「初の契約者純減」の先に待つ関門 「最初は大盤振る舞いしないとシェアを取れなかったが、これからは適正な売り上げを上げる方向に大きく舵を切った。」 楽天グループの三木谷浩史社長は 8 月上旬、オンラインで開いた 2022 年 1 - 6 月期の決算会見で楽天モバイルについてそう語った。 楽天モバイルの契約回線数(MVNO 除く)は 2022 年 6 月末時点で 477 万と、3 月末と比べて 14 万減少した。 四半期ベースで契約数が減少するのはキャリア事業参入以来、初めてのこと。 楽天によると、2022 年 4 - 6 月期の解約者の 8 割が、料金支払いが発生しない「0 円ユーザー」だったという。 競合キャリアへの流出が顕著に 三木谷氏が冒頭で「大盤振る舞い」と表現したのは、まさにこの0円ユーザーへの取り組みだ。楽天は2020年4月の本格参入以来、データ使用量1GB(ギガバイト)以下の基本料金が0円となるプランやキャンペーンを展開し、契約数を上積みしてきた。 そんな中、楽天モバイルは 5 月中旬、最低基本料を 0 円から 1,078 円(税込み)に引き上げると発表した。 10 月末までは別のキャンペーンやポイント還元で実質的に無料期間が続くものの、発表直後からユーザーの離脱が相次いだ。 こうした動きは競合キャリアの追い風になっている。 ソフトバンクの宮川潤一社長は 8 月上旬の決算会見で「0 円プラン廃止の発表後は楽天モバイルへの転出が減り、転入が増えている」と明かした。 NTT ドコモや KDDI も同様に流入が増えている。 また、低価格プランが豊富な MVNO (仮想移動体通信事業者)への流入も増加している。 日本通信の福田尚久社長も「楽天モバイルから月額基本料 290 円プランへの転入が急増した」と語る。 MVNO 最大手の IIJ も、6 月時点で契約数が 112 万に上り、近年最高ペースで契約数を伸ばしている。 ただ、そもそも 0 円プランの廃止に伴うユーザー減自体に驚きはない。 三木谷社長自身も「これまでまったく使わず、ずっと 0 円だった人もいる。 一定の離脱はしかたない。」と語る。 むしろ、今後重要となるのはユーザーの離脱を下げ止めると同時に、ドコモなど主要キャリアと同じ土俵にしっかりと立つことができるかどうかだ。 直近では、力を入れてきた 4G の基地局整備が一巡しつつある。 2022 年 6 月末時点では、人口カバー率が 97.6% に達した。 都市部を中心に、国内の主要エリアはほぼ網羅しつつある状況だ。 それに伴い、地方顧客の開拓が視野に入ってくる。 楽天は自社でカバーしきれていないエリア・地点において、KDDI に利用料を支払って、回線を借り受けるローミング契約を交わしている。 この費用が重いため、ローミングエリアの利用者にはデータ利用量を最大 5GB までとしている(自社エリア内の利用者は 3,278 円でデータ利用無制限)。 首都圏など都市部を基盤としてきた楽天モバイルだが、地方部に自社エリアを拡大できれば、契約者を上積みできるとみているわけだ。 今後も地方部などで基地局建設を継続するほか、「9 月にも通信衛星のロケットを打ち上げ、日本全国をカバーできるようにする。(三木谷社長)」 また、通信がつながりにくい屋内や地下空間などには専用基地局を設置して対応しているという。 切望するプラチナバンドの割り当て 主要キャリアと戦ううえでもう 1 つ重要なポイントが「プラチナバンド」をめぐる動きだ。 楽天モバイルは新規参入事業者ということもあり、国から割り当てられている周波数帯が少ない。 そこで同社が割り当てを強く求めているのがプラチナバンドだ。 プラチナバンドは障害物を越えてつながりやすく、広範囲をカバーするのに適していることから、エリア整備をするうえで優位性の高い 700 - 900MHz 周波数帯のことだ。 NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンクが長らく継続して割り当てられており、楽天モバイルも割り当てを目指している。 これまでは、電波の周波数免許は、一度割り当てられたら各社とも更新して使い続けるのが基本だった。 が、2022 年 6 月に改正電波法が成立したことで、総務省の審査を経れば別の事業者に割り当てることが制度上できるようになった。 現時点で楽天モバイルにプラチナバンドが割り当てられるかは不明だが、それを求める同社にとって再割り当ての仕組みが整ったのは大きな一歩と言える。 目標達成時期は明言せず 戦ううえでの環境整備と同時に、自社の強みを生かせるかも大事な点だ。 2022 年 10 月に法人向けの携帯通信事業を開始する。 楽天はグループ全体で約 40 万社の取引先があるが、そのうち 10 万社以上は楽天モバイルへの切り替えを見込めると試算しており、契約数を伸ばすきっかけになりうる。 楽天グループは、モバイル事業で 2023 年中の単月黒字化を目指している。 モバイル事業は今後、地域別の特性を生かした広告やイベント実施などにより、契約獲得を進める方針だ。 今回の決算会見で、三木谷社長は将来的に楽天モバイルの契約数を 1,200 万まで増やすという目標を初めて明かした。 電気通信事業者協会の調査(2022 年 6 月末時点)によると、楽天の競合キャリアの回線数は、NTT ドコモが 8,524 万、KDDIが 6,167 万、ソフトバンクは 4,873 万。 それらに比べるとまだ少ないものの、現状比では 2 倍以上となる計算だ。 ただ、1,200 万契約の達成時期について問われた三木谷氏は明言を避けた。 達成の見通しを見極めるうえでは、プラチナバンドをめぐる動きや独自の営業施策の展開がカギを握りそうだ。 (高野馨太、東洋経済 = 8-21-22) 宇宙から日本全土の「楽天モバイルエリア化」めざす 楽天グループで代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏は決算会見で、出資している AST SpaceMobile について「人工衛星は 9 月に打ち上がる。 楽天モバイルにとって大きな差別化要素になる。」とコメントした。 AST SpaceMobile は、地球低軌道 (LEO) にバスケットコート大の巨大な通信衛星を浮かべ、スマートフォンに 4G や 5G の電波を直接届けることを目指している。 仮に実現すれば、これまでセルラーサービスを利用できなかった山間部や過疎地域、洋上のエリア化も低コストで実現できる。 楽天モバイルは AST SpaceMobile と組んだ「スペースモバイル構想」を発表。 2023 年度以降に、宇宙から日本全土の自社回線エリア化を目指している。 三木谷氏は同構想について「他の携帯キャリアの場合、人口カバー率が 99% を超えていても、本当の山間部だとか過疎地では圏外になることもある。 AST SpaceMobile を利用することで、圏外が基本的になくなり、物理的に日本全土を 100% カバーできるようになる。 これは楽天モバイルにとって大きな差別化要素になる。」と述べた。 なお、AST SpaceMobile は試験衛星「BlueWalker 3」を 9 月中旬から下旬に打ち上げると発表しており、三木谷氏の「9 月に打ち上がる」という発言も、同試験衛星の打ち上げを指すものと思われる。 また、バスケットコート大にもなる巨大な通信衛星に対しては、スペースデブリの衝突を懸念する声もあるが、AST SpaceMobile は「軌道上を進む方向への投影面積はわずかであるため、デブリの影響は受けづらい」と説明する。 また、日本では衛星とスマートフォンが直接通信することは制度上想定されておらず、楽天モバイルが総務省などの関係各社と議論を進めている。 (UchuBiz = 8-10-22) 楽天モバイル契約、22 万件減 「0 円プラン」廃止が影響 7 月に「月額 0 円プラン」を廃止した楽天モバイルの契約数が 546 万件に減ったことが 10 日わかった。 3 月時点では 568 万件で、約 22 万件減った。 楽天グループが 2022 年 6 月中間決算(国際会計基準)で発表した。 純損益は 1,766 億円円の赤字で、前年同期から 996 億円悪化した。 モバイル事業の赤字は 2,593 億円だった。 楽天モバイルは 20 年 4 月の本格参入以降、基地局建設などの負担で赤字が拡大する一方、回線数は増え続けていた。 今年 5 月に「データ通信 1 ギガバイトまで 0 円」の料金プランを変更し、月額 1,078 円からとすると発表した。 最大の売りにしてきた「0 円プラン」がなくなり、他社への流出が増えたとみられる。 (杉山歩、asahi = 8-10-22) 楽天モバイル、自社回線を全都道府県に拡大へ 4 月から順次 携帯電話事業を手がける楽天モバイルは 4 日、今月から全都道府県で自社回線への切り替えを始めると発表した。 基地局整備が不十分な地域では KDDI の回線網を借りているが、切り替えによって楽天はその費用を削減できるほか、利用者は高速通信をより多く使えるようになる。 2020 年 4 月にサービスを開始した楽天は、急ピッチで基地局整備を進め、今年 2 月には屋外基地局が 4 万局超、全国の人口カバー率が 96% に達した。 人口カバー率が 70% を超えた都道府県から自社回線へ切り替えており、昨年 10 月までに 39 都道府県で作業を始めると公表していた。 残る 8 県(岩手、山形、山梨、和歌山、島根、高知、長崎、鹿児島)でも今月から順次切り替える。 切り替えで通信がつながりにくくなった場合は、他社の回線を使う代替機を用意するなどの対応をするという。 楽天のサービスは通信量によって料金が変わり、自社回線の地域では 20 ギガバイト (GB) 以上は使い放題で 3,278 円(税込み)という安さが売りだが、KDDI の回線を使う地域では高速通信が 5GB までしか使えない。 2 社の通信が混在する地域では KDDI の電波をつかみやすい傾向もあり、回線を借りる費用の削減や、利用者の満足度向上のために基地局整備を急いできた。 自社回線に切り替えた地域でも、屋内や地下などでは当面 KDDI 回線を使うが、契約期限の 26 年 3 月末までに完全に切り替えることを目指す。 楽天モバイルの契約件数は、新規受け付けを停止した格安スマホと合わせて 550 万件を超えている。 (杉山歩、asahi = 4-4-20) iPhone 不正購入容疑で逮捕 楽天モバイルの被害総額 2 億円か 楽天モバイルのオンラインストアで米アップルのスマートフォン「iPhone」を他人になりすまして不正に購入したとして、警視庁はいずれも中国籍で大学生の魏莉 (23) と郝津漢 (24) の両容疑者 = 東京都豊島区上池袋 2 丁目 = を窃盗の疑いで逮捕し、31 日発表した。 容疑を認めているという。 楽天モバイルの「iPhone」の不正購入の被害総額は 2 億円近くにのぼり、警視庁は海外に拠点を持つ犯行グループが関与したとみている。 今回逮捕した 2 人の自宅が届け先になっていたという。 被害者、全国に 1 千人近くか サイバー犯罪対策課によると、2 人は何者かと共謀して昨年 4 月 30 日 - 5 月 7 日、楽天 ID に何らかの方法で入手したクレジットカード情報を登録し、楽天モバイルの「iPhone」 10 台(計約 125 万円相当)をオンラインで購入した疑いがある。 同課は、2 人を通して「iPhone」を受け取った指示役が国内の買い取り店に転売して利益を得ていたとみている。 楽天モバイルは昨年 4 月末に「iPhone 12」シリーズの販売を始めたが、直後に不正購入される事案が相次いで発覚し、警察に相談していた。 警視庁によると、販売から 1 カ月で被害は約 1,250 台(計約 1 億 9 千万円相当)にのぼり、クレジットカードを勝手に使われた被害者は全国に 1 千人近くいるとみられるという。 被害が確認できた利用者には楽天モバイルが返金対応したという。 警視庁が逮捕した 2 人のほかにも、北海道警と奈良、鹿児島の両県警が、同じ手口を使ったとされる荷受け役と指示役計 4 人を窃盗容疑などで逮捕したという。 警視庁はこの日、ゲーム機を不正に購入したとして、この 2 人を詐欺などの疑いで逮捕したことも発表した。 何者かと共謀し、昨年 9 月 5 日にフィッシングメールで入手した他人のカード情報を使い、バーコード決済アプリで東京都内の店舗で人気ゲーム機「Nintendo Switch」やゲームソフトなど 22 点(計約 15 万 9 千円相当)を購入した疑いがあるという。 悪用された簡単で買いやすい仕組み 今回の事件では、手間のかからないオンライン購入の仕組みが悪用された。 楽天モバイルは当初、回線契約が伴わない「SIM フリー」端末をオンラインで買う場合は、本人確認の手続きを求めていなかった。 フリーメールで作成できる「楽天 ID」を使ってログインすれば、その支払いに登録されているクレジットカード情報で購入できた。 購入者にとっては申し込みが簡単で買いやすい仕組みだったが、その半面で、カード情報が犯罪グループの手に渡ると勝手に購入されるリスクがあった。 楽天モバイルは被害の発覚後、不審な大量注文に対し出荷停止にするなどの措置を執った。 昨年 5 月以降は、不正対策として配達時に免許証やマイナンバーカードなどによる本人確認を実施。 購入時に登録した住所と本人確認書類に記載された住所が一致しなければ、商品を受け取れないようにした。 現在は一部の商品ではオンライン購入の際に本人確認書類のアップロードも求めており、不正購入対策を進めているという。 警視庁や楽天モバイルによると、こうした対策をして以降は同様の被害は確認されていない。 楽天モバイルによると、楽天グループのサービスからの顧客情報の流出は確認されておらず、他のサービスから流出した ID やパスワードと同じものを使っていたユーザーが被害に遭った可能性もあるという。 楽天モバイルは利用者に対し、▽ パスワードの使い回しをしない、▽ ログイン履歴を定期的に確認したり、ログイン時にメール通知が届く「ログインアラート」を設定したりして、不正ログインに警戒する - - などの対策を呼びかけている。 (大山稜、asahi = 3-31-22) |