メタ、アメリカの世論操作を画策した "中国拠点グループ" のアカウント削除 フェイスブックを運営する IT 大手メタは 27 日、アメリカ国内の世論を操作しようとした中国拠点のグループのアカウントを削除したと発表しました。 中国を拠点とするこのグループは、80 以上のフェイスブックやインスタグラムなどの偽アカウントを使い、去年秋以降、中国からアメリカ国内に向け政治的な投稿を繰り返していたということです。 2016 年のアメリカ大統領選はフェイスブックを通して海外から介入を受けたと指摘されていて、メタは 11 月の中間選挙に向けて、対策を強化しています。 中間選挙を前に世論操作を画策する中国拠点のグループが見つかったのは今回が初めてだと言うことです。 (TBS = 9-28-22) グーグルとメタ、ロシアで罰金計 143 億円 反政権派への圧力強まる モスクワの裁判所は 24 日、ロシア当局が求めたコンテンツの削除に応じなかったとして、米 IT 大手のグーグルに約 72 億 2 千万ルーブル(約 112 億円)、メタ(旧フェイスブック)に約 19 億 9 千万ルーブル(約 31 億円)の罰金の支払いを命じた。 インタファクス通信などが報じた。 ロシアでは反政権派が多用する外国資本の SNS や動画投稿サイトへの当局の締め付けが強まっている。 報道によると、裁判所は、無許可のデモに未成年の参加を呼びかけた投稿などの削除を求める通信規制当局の要請を、両社が繰り返し無視したと認定した。 罰金額は、両社のロシアでの年間売り上げの 5 - 10% に相当するという。 同通信によると、両社は 10 日以内に異議申し立てができる。 申し立てが認められなかった場合は、60 日以内に罰金を支払わなければならず、強制徴収の可能性もあるという。 反政権派が情報の拡散や政権批判に使う外国資本の SNS に、当局は神経をとがらせ、統制を強めている。 3 月には投稿の削除に応じなかったとしてツイッターの通信速度を制限。9 月のロシア下院選直前には、グーグルと米アップルに対し、反政権派指導者ナワリヌイ氏の陣営が開発したアプリの削除を命じた。 ロシア下院のヒンシュテイン情報政策技術通信委員長は同通信に、罰金の支払いに応じない場合は「通信速度の制限や接続を遮断する規定もある」と指摘し、裁判所の決定は「他の IT 大手に対する大きな抑止効果を持つ」と強調した。 同通信によると、グーグルの広報担当者は「裁判所の決定を精査し、今後の対応を検討する」とコメントした。 (モスクワ = 石橋亮介、asahi = 12-25-21) Dappi のツイート、誰が投稿? 平日に作業集中、頻出単語は … ツイッターアカウント「Dappi」による投稿で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の参院議員 2 人が訴訟を起こした。 第 1 回口頭弁論は 12 月 10 日に予定されている。 Dappi は、一部を切り取った動画を元に野党や報道機関に対して誤った印象を与える投稿をするなどして、問題になっていた。 訴訟を起こした立憲民主の小西洋之、杉尾秀哉両議員の開示請求で、投稿に使われたインターネット回線の契約者は、東京都内のウェブコンサルティング会社と判明。 ただ、プロバイダー側が提出した書面では、回線契約者と投稿者が異なることを示唆しており、契約者と投稿者の関係は分かっていない。 一体、誰が投稿していたのか。 ブラインドは閉められたまま、応対もなし 都心に近い駅から徒歩約 5 分ほど、幹線道路から路地に入ってすぐの 4 階建てのオフホワイト色の雑居ビル。 オートロックの入り口にあるフロア案内板によると、この 2 階が、ウェブコンサル会社の事務所のようだ。 信用調査会社によると、従業員は 15 人。 取引先には、自民党や大手出版社とある。 記者は Dappi とのつながりについて聞こうと、10 月以降、何度か訪れた。 だが、インターホンを押しても反応はなかった。 窓のブラインドは閉められたままで、社内の様子はわからない。 朝夕に出入りしている社員の姿も確認できず、日中に会社に電話をしても、「本日の営業は終了しました」との自動音声が流れ、つながらない状態が続いた。 ただ、同社の取引先の関係者によると、10 月半ばに提訴について報じられ始めてからも、業務は続けていたようだ。 社員の一人が「うちの会社がご迷惑をおかけしてすいません」と話していたという。 同社社長や取締役らにも接触を試みたが、一度も会えていない。 フォロワー 17 万人 Dappi のアカウント(@dappi2019)が開設されたのは 2019 年 6 月。 フォロワーは 21 年 12 月 3 日現在、約 17 万 8 千人だ。 開設後 2 日でフォロワーが 1 万人を超え、その後も毎月 1 万人ずつくらいのペースでフォロワーを増やしてきた。 プロフィル欄には、ティアドロップ型のサングラスのアイコン。 「日本が大好きです。 偏向報道をするマスコミは嫌いです。 国会中継を見てます。」と書かれている。 Dappi のアカウント このアカウント以前にも、同じ「Dappi」名のアカウント(@take_off_dress)が 15 年 1 月に開設されていた。 約 12 万人のフォロワーがいたが、19 年 6 月にアカウントは凍結され、現在もツイッターの「ルールに違反している」として凍結が続いている。 二つのアカウントの関係は分かっていないが、いずれもプロフィル欄に、「DAPPI のセイジコウサツ」という dappi を名乗るブログと、相互にリンクがはられている。 ブログでは 18 年 12 月まで、以前のアカウントのツイートを引用した投稿が行われていた。 投稿は平日に集中 朝日新聞が SNS 分析ツール「ブランドウォッチ」を使い、@dappi2019 のアカウントを調べたところ、19 年 6 月 22 日 - 21 年 10 月 1 日に、5,110 件ツイートやリツイートをしていた。 投稿数は 1 日平均 6 件で、最も多い日で 1 日 35 件。 最も投稿が多かったのが木曜日(1,167 件)で、逆に週末は極端に減り、土曜日が 139 件、日曜日が 143 件だった。 時間帯は、午前 9 時ごろから投稿が増え始め、午後 1 - 6 時に特に投稿が集中していた。 両議員による発信者情報の開示請求が認められた直後の 10 月 1 日、菅義偉前首相のツイートをリツイートして以降、投稿はぱたりと途絶えた。 「野党『ギャーギャー』」 投稿内容を、言葉の出現頻度などを調べることができるテキスト分析ソフト「KH コーダー」を使って分析した。 名詞で最も多く使われていたのが「野党」で 1,151 回。 「立憲(1,082 回)」、「民主党(710 回)」、「共産党(381 回)」といった言葉も多く使われていた。 また、安倍晋三元首相の「安倍(864 回)」も多かった。 「安倍」を含む 706 件のツイートを分析すると、最もよく使われたフレーズが「野党『ギャーギャー』」だった。 「野党『ギャーギャー』 委員長『静粛に!』 安倍総理『非難すれば不安を煽れるかもしれないが野党の信用は上がらない』 野『ギャーギャー』 委『静粛に!』 野『ギャーギャー(机ドンドン)』」といった内容だ。 野党の党名が出てくる投稿では、野党幹部の名前をあげ、「屑中の屑」といった形でたびたびつぶやいていた。 また、安倍元首相が辞任を表明した際には、「安倍総理お疲れ様でした。 しっかり静養して下さい。」と投稿した。 「マスコミ(433 回)」という言葉も頻繁に登場し、「左派マスコミの印象操作が悪影響を与えたケースは枚挙に暇がない」といった形で使われていた。 全 5,110 ツイートのうち、3,669 ツイートに動画や画像が添付され、多くがインターネット番組の DHC テレビ「虎ノ門ニュース」から切り出されたものだった。 一部を切り取って誤った情報を流すことも 国会での質疑については、資料や動画を掲載しながら即座にコメントする「速報性」があり、一部を削除するなどした上で誤った情報を流すこともあった。 今年 6 月の党首討論で、菅義偉前首相が 1964 年の東京五輪の思い出を 2 分半語り、立憲民主の枝野幸男前代表が「五輪を開催して命を守れるのかが注目されている。 ふさわしくない話だ。」と批判したやりとりについては、菅氏が東京五輪について語った部分だけを削除した動画と共に、「菅総理『立憲民主党の "ゼロコロナ戦略" は無症状も含めた徹底検査だが、私権制限強化に慎重だった立憲はどう国民に強制検査させるつもりなのか? また強い私権制限可能な台湾・NZ・オーストラリアと日本を比較する如何なものかと』 枝野幸男『党首討論に相応しくない話!』 哀れすぎる枝野」などと投稿した。 昨年 10 月 25 日には、立憲民主の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員の名前をあげ、公文書改ざんを強いられ自殺した財務省近畿財務局の職員について、「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が 1 時間吊るしあげた翌日に自殺」などと投稿。 両議員はツイートの内容は事実ではなく、名誉毀損に当たると主張して今年 10 月、回線契約者を相手取り、計 880 万円の支払いを求める訴訟を起こした。 訴訟までには、いくつかの段階があった。 両議員は昨年 12 月、まずはツイッター社を相手取り、投稿の際に使われたネット回線のプロバイダー(接続業者)を開示するよう求める仮処分を東京地裁に申し立て、今年 1 月に認める決定が出た。 3 月にはプロバイダーを相手取り、発信者情報の開示を求め提訴。 東京地裁は 9 月、両議員側の主張を認め、プロバイダーに発信者の情報を開示するよう命じる判決を言い渡し、判決は確定。 その後、回線契約者が開示された。 ウェブコンサル会社、自民党と長年の取引 Dappi によるツイッター投稿に使われたネット回線を契約していたウェブコンサル会社の事業内容を調べると、自民党と長年にわたって取引があることがわかった。 政治資金収支報告書によると、ウェブコンサル会社は 2007 年以降に複数の自民党支部や自民党議員の政治団体から仕事を受注し、少なくとも 88 件計約 2,708 万円の支払いを受けていた。 大半がサーバー代やウェブサイト制作費などの IT 関連の費用だった。 最も多かったのは、自民党東京都支部連合会(都連)で約 1,805 万円。07 年以降はほぼ毎年支払いがあった。 11 月 17 日に東京都選挙管理委員会が公表した 20 年分では、サーバー代として約 11 万円、テープ起こし代として約 67 万円が同社に支払われていた。 都連広報担当の川松真一朗都議は取材に対し「事務局職員だけでは手が回らないので、大臣の講演会のテープ起こしなどを(同社に)お願いしていた。 収支報告書に記載したもの以外の契約はない。 投稿を依頼したこともないし、依頼と受け止められるようなこともない。」と話す。 都連で同社との契約を担当する職員は取材に対し、「05 年の郵政解散の際に都連のウェブサイトを改修することになり、そのころからの付き合いだと記憶している」と語った。 今年 10 月の衆院選でも都内の自民候補者サイトの作成を同社に依頼した。 数社から見積もりを取った結果、この会社が一番低い金額を提示したという。 この職員は数年前に同社の男性社長と会ったこともあるといい、「価格が良心的で、土日も関係なく対応してくれるなど融通も利いた」と話した。 職員に Dappi についても聞いたが、「アカウント自体知らなかった」と話した。 このほかに、元経済産業相の小渕優子衆院議員の資金管理団体「未来産業研究会」は 19 年にホームページ保守管理費とウェブサイト制作費 109 万円など、少なくとも 08 年以降に 34 件計 438 万円を同社に支払っていた。 前参院議員の堀内恒夫氏が代表を務めていた「自民党東京都参議院比例区第 18 支部(解散)」は少なくとも 10 年から 30 件計 465 万円を同社に支払っていた。 いずれもウェブ関係やシステム構築費だった。 小渕氏の事務所は「以前事務所にいたスタッフが知り合いに紹介してもらった業者だったと聞いているだけで、ホームページのメンテナンス以外の仕事はありません。 (同社の)社長は存じ上げません」と文書で回答。 堀内氏の公式サイト事務局は「全くわからない」と回答した。 自民党本部「まったく存じ上げません」 自民党本部にウェブコンサル会社との関係を尋ねたところ、「取引はない」と文書で回答。 Dappi については「まったく存じ上げません」と記した。 信用調査会社によると、ウェブコンサル会社の取引先の一つに千代田区平河町の口座振替サービス会社がある。 この会社は 1977 年設立で、歴代の取締役を福田康夫元首相や岸田文雄首相、複数の元大臣、自民党事務総長らが務めていた。 2020 年の収支報告書によると、口座振替サービス会社には自民党本部から約 4,412 万円が支払われていた。 同社は取材に対し「ご質問の会社(ウェブコンサル会社)には口座振替のシステム開発やメンテナンスの一部を委託している。 ご質問のアカウント (Dappi) については全く存じあげません。」と文書で回答した。 ウェブコンサル会社は 10 月、文書での取材依頼に対し、「国会議員が弊社を提訴したと聞きました。 訴状を見ていないのでコメントのしようもなく回答は控えさせていただきます。」とメールで返答を寄せた。 投稿者との関係についての質問には回答しなかった。 その後、Dappi との関係や自民党関連の仕事を請け負った経緯について改めて文書で質問したが、回答はなかった。 ファクトチェック研究の観点からみると … ファクトチェックの研究をしている早稲田大政治経済学術院の瀬川至朗教授(ジャーナリズム論)は、Dappi の投稿について、「事実と異なる情報発信や一部の情報を切り取ったミスリーディングな内容が散見される」と指摘する。 著名人の発言や動画内のやり取りを引用した体裁で投稿する手法が特徴的で、「著名人の主張のように見せつつ、文意を変えている点は巧妙」と言う。 名誉毀損訴訟の対象になった投稿をファクトチェックの方法で判定すると、結果は「誤り」になるという。 この投稿は作家の新聞コラムを引用した形式をとり、「近財(近畿財務局)職員は杉尾秀哉や小西洋之が 1 時間吊るし上げた翌日に自殺」と書いている。 だが、元のコラムは「杉尾秀哉、小西洋之両氏が財務省に乗り込み、約 1 時間、職員をつるし上げている」と、2 人が訪れたのが大阪の近畿財務局ではなく東京の財務省本省だったとしている。 瀬川教授は「(Dappi の投稿を)読んだ人は『両氏が近財職員に会い、つるし上げた』と受け止めるのが相当だ」と話す。 一方で、Dappi の投稿に使われたネット回線の契約者が自民党東京都連からウェブ関係の仕事を受注しているウェブコンサル会社だと明らかになったことで、「今度は『自民党が組織的に投稿をさせていたのではないか』という仮説があたかも事実かのように広がっていくことも問題だ」と指摘する。 「ある仮説について『ピース』が部分部分で当てはまり、矛盾する点も見つからない場合、仮説を信じる人が増える」と瀬川教授。 「こうした言説は一種の『陰謀論』の性質がある」という。 回線の契約者がウェブコンサル会社だったとしても、名誉毀損訴訟の訴状で「(同社の関係者が)投稿者と推認される」と書かれているように、投稿者が誰かはわかっていないのが現状だ。 平日の日中に投稿が集中している点も「それだけでは組織的に投稿している証拠にはならない」と瀬川教授はみる。 まずは、投稿内容が「事実」なのか「意見」なのかを見極めることが誤情報にまどわされない一歩になるという。 そのうえで「投稿の根拠や発信源をたどり、何が事実で、何が推測なのかを分けて考えることが重要だ」と話す。 (牛尾梓、篠健一郎、保坂知晃、貞国聖子、asahi = 12-3-21) 河野大臣、ツイッターのブロック「問題ない」 SNS 上でも礼節求める 河野太郎行政改革担当相は 7 日の閣議後会見で、自身のツイッターで特定の人からのアクセスを制限する「ブロック機能」をたびたび使っている理由を記者団に問われ、「実際に道などで通りすがりに見知らぬ人を罵倒するようなことはやらないと思うが、SNS 上ではそういうことがかなり頻繁に起きている」などと説明。 誹謗中傷に悩む人がいるとして、機能を使うことの正当性を強調した。 自民党総裁選(17 日告示、29 日投開票)に立候補する意向の河野氏は、237 万を超えるツイッターのフォロワー数を誇る。 熱狂的な支持層がいる一方で、ブロック機能を多用することでも知られる。 次の首相候補として名前が挙がる河野氏に対しては、ツイッター上で「気に入らない意見は聞く耳を持たない人が、総理大臣になっていいのか」などの資質を問う声が出ており、「#河野さんにブロックされています」とのハッシュタグが広がっている。 その点について、河野氏は「SNS 上で誹謗中傷されて悩んでいる方は非常に多くいる」とし、「ツイッターはブロックする機能があるので、そういう機能を使うことに何も問題はない」と主張。 さらに「ツイッター上の会話を、普通のリアルのように一定の礼節をもってやってもらえればいいのではないか」と語った。 河野氏はまた、党総裁選に絡む世論調査で自身の支持が高いことについて、「ありがたい。 日本を前に進められるように頑張っていきたい。」と述べ、改めて立候補への意欲を示した。 正式な表明時期は「未定」としているが、党関係者らとの意見調整を終えたうえで、早ければ週内にも立候補会見を開く見通しだ。 一方、ワクチン接種担当である河野氏とともに、政府のコロナ対応を担当する西村康稔経済再生相は7日の会見で、党総裁選について「立候補するということは考えておりません」と述べた。理由については「緊急事態宣言のさなか。今の感染を抑え、経済再生につなげていかなきゃいけない」などと語った。(小野太郎、坂本純也、西村圭史、asahi = 9-7-21 トランプ氏、FB は「代償払う」 アカウント凍結を批判 トランプ前大統領は 5 日、米フェイスブック (FB) の独立監視委員会が自身のページ凍結の判断を支持したことについて、「言論の自由がアメリカの大統領から奪われた。 腐敗したソーシャルメディア企業は政治的な代償を払うことになるだろう。」などと批判した。 トランプ氏は FB の決定に先立つ 4 日、自身の政治団体のウェブサイト内に、自らのコメントや動画を投稿し、支持者がツイッターやフェイスブックで共有できるページを開設した。 ソーシャルメディアのアカウントを停止されているため、代わりの手段として構築したものだ。 トランプ氏は退任後、自らが所有するフロリダ州パームビーチの高級会員制リゾート「マール・ア・ラーゴ」を拠点に活動している。 2022 年の中間選挙に向けて、自らに同調する政治家を積極的に支持し、共和党内で大きな影響力を保っている。 一方で、「選挙が盗まれたというのは大うそだ」などとトランプ氏を批判するチェイニー下院議員やロムニー上院議員を攻撃する投稿を連日のように続けている。 チェイニー下院議員は、党下院のナンバー 3 にあたる下院共和党会議議長を務めているが、トランプ氏に同調する議員がなお多い共和党内では、チェイニー氏をこのポストから外そうとする動きが広がっている。 (ワシントン = 大島隆、asahi = 5-6-21) ◇ ◇ ◇ トランプ氏アカウント凍結は「妥当」 FB の独立監視委 米フェイスブック (FB) の独立監視委員会は 5 日、同社が今年 1 月に当時のトランプ大統領の FB のページやインスタグラムのアカウントを凍結した判断について、これを支持する決定を下した。 ただ、「無期限で停止する」とした具体的な措置内容については、FB のルール上にはないものだとし、同社のルールに沿った措置を 6 カ月以内にやり直すよう求めた。 約 3,500 万人のフォロワーがいたトランプ氏のページを、FB が「無期限で停止」とした判断が問われるとして米国内で大きな注目が集まっていたが、監視委は FB の判断自体は容認する決定を出した形だ。 監視委は 5 日の決定で、トランプ氏が 1 月 6 日に米議会議事堂を襲撃した人たちを「偉大な愛国者たち」などと投稿して称賛したことは、暴力賛美を禁じた FB の規約を著しく違反するものだと指摘。 トランプ氏のアカウントを凍結した FB の判断は妥当だったと認定した。 ただ監視委は、FB が利用者に科す通常の罰則は、「規約に違反した投稿の削除」や「期限つきのアカウント凍結」、「ページとアカウントの永久的な無効化」などであり、トランプ氏への「無期限の停止」という措置はあいまいで基準に基づかず、不適切だとも判断した。 そのうえで FB に対し、6 カ月以内に、他の利用者に適用されるものと同様の措置をトランプ氏に対しても出すよう検討すべきだと結論づけた。 この問題を巡っては、FB はトランプ氏が 1 月 6 日に議事堂を襲撃した人たちを称賛するような投稿を行ったことから、翌 7 日、トランプ氏のページやアカウントを「無期限で」停止。 1 月下旬、監視委にこの判断を負託していた。 監視委は、FB が 2018 年に設立を打ち出した組織で、世界各国の法律や人権の専門家や、ジャーナリストらで構成されている。 FB 上での投稿内容の削除やアカウントの停止といった FB による判断について、利用者や FB からの求めを受けて昨年末から審査を開始。 これまで、FB の判断を覆す決定も行ってきていた。 FB は、監視委の決定には従うとしている。 ただ、監視委は FB がつくっている組織であることから、米国内では「独立した第三者機関とはいえない」という批判も根強い。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 5-6-21) 「米国は死神」投稿、中国側が削除か 米側は日本に感謝 在日中国大使館がツイッターに投稿していた、米国を死に神になぞらえた画像が 1 日までに、見られなくなった。 中国大使館が削除したとみられる。 4 月 29 日午後 7 時半ごろに投稿された画像は、米国国旗を模した服を着た死に神が順番に開けたイラク、リビア、シリアなどと書かれた扉の向こうから血が流れ出してきているというもの。 日本語で「米国が『民主』を持って来たら、こうなります。」との文章と共に投稿されていた。 バイデン米大統領が 28 日の施政方針演説で、中国の習近平(シーチンピン)国家主席を「専制主義者」と呼んだことを受けたものとみられるが、「これが大使館がするツイートか」、「品がない」などと批判する書き込みが相次いでいた。 投稿された画像が見られなくなった後とみられる 30 日午後 10 時、在日米国大使館はツイッターに「あの極めて不快なツイートに対して声を上げてくださった日本の皆さまに感謝いたします」との文章を投稿した。 「不快なツイート」が何を指すのかについては触れていないものの、「これはまさに、日米同盟が共通する価値観に深く根ざしていると改めて気付かせてくれる出来事です」とした。 (多鹿ちなみ、asahi = 5-1-21) ◇ ◇ ◇ ![]() 死に神の服に米国旗 在日中国大使館、画像を SNS 投稿 「米国が『民主』を持って来たら、こうなります。」 在日中国大使館が 29 日午後 7 時半ごろツイッターで、そんなつぶやきとともに、米国を死に神になぞらえた画像を投稿した。 ツイートは、28 日にあったバイデン米大統領の施政方針演説を受けたものとみられる。 バイデン氏は演説で中国の習近平(シーチンピン)国家主席を「専制主義者」と呼び、民主主義の優位性を強調していた。 中国大使館が投稿した画像は、米国国旗を模した服を着た死に神が、イラク、リビア、シリアなどと書かれた扉を順番に開け、扉の向こうから血が流れ出してきているというもの。 これに対し「これが大使館がするツイートか」、「品がない」などと批判する書き込みが相次いでいる。 書き込みの中には「台湾の方が書いたという風刺画」として、中国国旗を模した服を着た死に神が、新疆、チベット、香港などと書かれた扉を開けている画像を示し、中国大使館の投稿画像は「パクリだ」と指摘しているものもある。 ツイッターの投稿画像をめぐっては、中国外務省の趙立堅副報道局長が 26 日、葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を模した画像を投稿し、東京電力福島第一原発の処理水放出を批判し、物議を醸していた。 (山根祐作、asahi = 4-30-21) 「サイバー攻撃犯はロシア」と初断定 米政府、制裁発動 米政府機関などが昨年に大規模なサイバー攻撃を受けた問題をめぐり、ホワイトハウスは 15 日、ロシア対外情報庁 (SVR) が「犯人」であると初めて断定し、発表した。 関連する企業などへの制裁も発動した。 SVR は関与を否定している。 問題のサイバー攻撃は昨年 12 月に発覚し、米国を中心に大きな問題となった。 米 IT 企業ソーラーウィンズ社がハッキングを受けたことを契機に、同社が顧客に送っている更新プログラムを通じて被害が広がった。 製品を通じて顧客を標的とする「サプライチェーン型」と呼ばれる手法だった。 米メディアによると、国務省や財務省、米航空宇宙局 (NASA) など幅広い政府機関や企業でサイバー攻撃が確認された。 米国では当初からロシアの関与が疑われてきたが、ホワイトハウスは今回、一連のサイバー攻撃について SVR を「広範にわたるサイバースパイ活動の犯人」だと公式に発表。 調査結果には「強い自信を持っている」とした。 発表によると、ソーラーウィンズ社のソフトウェアを通じて、SVR は世界 1 万 6 千以上のコンピューターシステムへの諜報が可能になっていたと分析している。 「ロシアがサプライチェーンを利用して世界規模に企業を標的にするリスクが浮き彫りとなった」と指摘した。 SVR はロシアで国際スパイ活動を担う機関として知られる。 インタファクス通信によると、SVR は米国の発表について「ナンセンスだ」とコメントした。 この問題をめぐっては、英国も同日、英国立サイバーセキュリティーセンターによる分析の結果から、ソーラーウィンズ社へのサイバー攻撃に SVR が関与した可能性が極めて高いと判断していると発表。 ラーブ外相は声明で「英国は、ロシアが我々の民主主義を弱体化するために何をしているかを知っている」と述べた。 (ワシントン = 高野遼、ロンドン = 金成隆一) ロシア反発、首脳会談実現は視界不良に バイデン米大統領は 15 日、対ロシア制裁を発動したことを受けてホワイトハウスで記者会見し、サイバー攻撃や米大統領選への介入について「ロシアが関与したと結論づけた」と述べ、ロシアに対して「安定した予測可能な関係を望む」と呼びかけつつも、強く牽制した。 今回はバイデン政権下でて初めての大規模な制裁で、トランプ政権と比べてロシアに対する厳しい姿勢の表れとなった。 バイデン氏は会見で「ロシアとの対立を深刻化させるつもりはない」とは述べたものの、「我々の民主主義に介入しつづけるのなら、さらなる行動を取る用意がある」と警告した。 バイデン氏はこの日、対ロ制裁の大統領令に署名した。 ロシアの外交官 10 人を追放するほか、サイバー活動に関連した企業や米大統領選への介入を試みた組織、個人などを制裁対象とすることを発表した。 また、バイデン氏は 13 日にロシアのプーチン大統領と電話会談をした際に、夏に欧州で首脳会談をすることを提案したと明かし、「我々 2 人が直接対話することは、より効果的な関係のために重要だと伝え、(プーチン氏は)その点において同意した」と語った。 ただ、その後の対ロ制裁を受けてロシアは激しく反発しており、バイデン政権になって初の米ロ首脳会談の実現は見通せない状況にある。 (ワシントン = 高野遼、asahi = 4-16-21) 前 報 (1-1-21) ロシア、ツイッターに接続遮断を警告 違法投稿を名目に ロシア当局は 16 日、SNS 大手の米ツイッターに対し、「違法な投稿」の削除要請に応じない場合は 1 カ月後にロシア国内での接続をブロックすると警告した。 プーチン政権は SNS を通じた反政権運動の拡大に警戒を強めており、ネット規制が一気に強まる可能性がある。 インタファクス通信によると、連邦通信情報技術マスコミ監督庁のスボーチン副長官が 16 日、「ツイッターがしかるべき対応をしなければ、裁判手続き無しにブロックされる」と述べた。 同庁は 10 日、ツイッターが児童ポルノや麻薬などに関する 3 千件以上の違法な投稿の削除に応じないとして、ツイッターの画像や動画の投稿や閲覧の速度を制限している。 今回はツイッターに対する最後通告の意味合いがある。 同庁はツイッターに対する圧力について、「ロシアの法を順守させ、子どもを含む利用者を違法なコンテンツから守るためだ」と主張。 ロシア大統領府も、「ブロックしたいとは誰も考えていない。 国民は世界のあらゆる情報にアクセス可能であるべきだ(ペスコフ報道官)」とし、あくまでも違法な投稿の削除が目的だとしている。 一方、ロイター通信によると、ツイッターは声明で、同庁による速度制限が「意図的に、広範かつ無差別に行われた」とし、「オンラインでの公共の会話に対する抑圧の増加を深く懸念する」としている。 プーチン政権は、9 月の下院選に向け、反政権派の弾圧とネット上の言論の取り締まりを強化。 国内のメディアや反政権派の間では、国内で比較的ユーザーの少ないツイッターのブロックで、より利用者が多く影響力の大きな他の SNS 大手に圧力をかける狙いがあるとの見方が広がっている。 ロシアでは 1 月、当局に拘束された反政権活動家のアレクセイ・ナバリヌイ氏の解放を求めるデモが全国に拡大。 政権は、デモは無許可で違法だとし、全国で 1 万人以上を拘束した。 さらに、未成年に違法なデモへの参加を呼びかける投稿を削除しなかったとして、FB やツイッター、米グーグルなど SNS 大手 5 社を提訴している。 ロシアメディアによると、FB など 3 社には最大 400 万ルーブル(約 600 万円)の罰金が科される可能性があるという。 (モスクワ = 石橋亮介、asahi = 3-18-21) ツイッター社、在米中国大使館のアカウントを凍結 米ツイッター社が在米中国大使館に「ウイグル族に関するツイート」を削除するよう求めたのに対し、大使館側が応じず、同社がアカウントを凍結していることが分かった。 取材に対し、同社が明らかにした。 問題となったツイートは今月 7 日、ワシントンにある中国大使館のアカウントに投稿されたもの。中国政府の政策により、「ウイグルの女性たちの心は解放され、彼女たちは赤ちゃんを産む機械ではなくなった」との内容だった。 米メディアなどによると、ツイッター社は 7 日の時点では内容を問題視していなかったが、トランプ大統領のアカウントが停止になり、米国内の保守層から「大統領のアカウントは停止したのに、中国のプロパガンダは許している」との批判が広がった。 同社は翌 8 日、人間性を否定する投稿を禁じる規約に反しているとしてこのツイートを表示しない措置をとり、中国大使館側にツイートの削除を求めた。 しかし、大使館側が応じないため、アカウントの凍結が続いているという。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 1-21-21) ユーチューブ、トランプ氏の投稿停止 少なくとも 7 日間 米動画投稿大手「ユーチューブ」は 12 日夜、トランプ米大統領のチャンネルについて、少なくも 7 日間、新たな投稿ができないようにする措置をとったと発表した。 米連邦議会議事堂の襲撃事件を受け、ツイッターやフェイスブックの厳しい措置にユーチューブも続いた形で、トランプ氏は支持者に直接メッセージを発する主要なツールを失った。 米グーグル傘下のユーチューブは 12 日、「ドナルド J トランプ」のチャンネルで新たな投稿に規約違反があったと発表。 暴力を誘発する懸念があるとしてその投稿を削除し、一時的に新たな投稿ができないよう措置を講じたと明らかにした。 ただ、これまでに投稿された動画は引き続き視聴できる状態だ。 トランプ氏のチャンネルには 277 万人のフォロワーがいる。 ユーチューブのルールでは 90 日の間に 3 度、規約に違反するとチャンネルを削除されることになっている。 トランプ氏はすでに、ツイッターのアカウントが 8 日に「永久停止」になり、フェイスブックのページも 7 日、少なくとも 2 週間の「停止」になっている。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 1-14-21) ツイッター社、Q アノン関連のアカウント 7 万超を凍結 米ツイッター社は 11 日、陰謀論を展開する集団「QAnon (キューアノン)」に関連する 7 万以上のアカウントを凍結したと明らかにした。 6 日に起きた米連邦議会議事堂の襲撃事件では、QAnon に関連した人が多く加わったと指摘されており、SNS での暴力的な投稿の取り締まりを強める米 IT 企業の対策の一環だ。 QAnon は、「Q」を名乗る正体不明の人物の投稿を信じる人らで構成され、トランプ大統領の支持者の間で広がっている。 「トランプ氏に反対する一派が、子供を性的な人身売買の対象にしている」などと陰謀論を展開し、議事堂襲撃事件の前の集会でも「Q」と描かれた服などを着ている人がいた。 ツイッター社によると、議事堂襲撃事件を機に暴力を促す投稿を削除する動きを強めており、8 日から QAnon 関連の投稿を共有するために主に使われているアカウントを永久停止にする措置をとっている。 1 人が複数のアカウントで陰謀論を拡散しているケースが多く、停止したアカウントは 7 万以上に上るという。 ツイッター社は 8 日、8,870 万人のフォロワーがいるトランプ氏のアカウントを永久停止にした。 米フェイスブック (FB) も 11 日、選挙不正があったと主張する人たちが使っているスローガン、「ストップ・ザ・スチール(選挙が盗まれるのを止めろ)」という表現を含む投稿について、削除を始めたと公表した。 選挙結果を認めない人たちが、このスローガンで集おうとする動きが続いており、6 日の事件の参加者たちもこの表現を使っていたことから、さらなる暴力事件につながりかねないと判断。 1 月 20 日の大統領就任式に向けて、この表現を含む投稿は削除することにしたという。 一方、米保守層の人気を集めながら、10 日夜にサービスの一時停止に追い込まれた新興 SNS 「パーラー」は 11 日、サーバーの提供を打ち切ったアマゾンを米連邦地裁に提訴した。 パーラーは訴状で、アマゾン側の行為が競争を阻害する反トラスト法(独占禁止法)違反だと主張し、サービス再開の仮処分や損害賠償を求めている。 また、両社の取り決めでサービスをやめる際は「30 日前」に通告する必要があるのに、アマゾン側の通告期間は 30 時間に満たず、契約違反だとしている。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 1-13-21) ツイートが作った非現実の世界 トランプ劇場、強制終了 米ツイッター社が 8 日、トランプ大統領のアカウントを「永久停止」にした。 トランプ氏の支持者がワシントンの連邦議会議事堂に乱入した事件の衝撃が続くなか、暴力の再発を防ぐためだ。 トランプ氏にとってツイッターが主要な政治ツールだっただけに、影響は極めて大きい。 IT 企業がこうした判断をすることの是非をめぐる議論は、米議会などでも高まりそうだ。(サンフランシスコ = 尾形聡彦、ワシントン = 園田耕司)
トランプ氏は 8 日、この二つのツイートを投稿した。 これまでも繰り返し投稿してきたような内容だが、ツイッター社が、アカウントを「永久停止」とする引き金になった。 ツイッター社によると、トランプ氏がバイデン次期大統領の就任式に出席しないと表明したことは、多くのトランプ支持者には「大統領選が正統なものではないと、受け止められる」と判断したという。 トランプ氏が欠席することで、暴力的な行為を考えている者にとって、就任式が「安全な」標的になりうるとも言及した。 また、トランプ氏が「米国の愛国者」という表現を使ったことは、6 日に連邦議会議事堂に乱入した自身の支持者を「支持していると受け止められる」とした。 同社はさらに、ツイッターの内外で、議事堂などへの「第 2 波」の攻撃を 17 日に行うことを含め、武装抗議の計画が既に拡散していると指摘。 「トランプ氏の二つのツイートは、6 日の出来事の再現を、他の人たちに惹起する可能性が高い」と結論づけた。 ツイッターにとって、トランプ氏の投稿内容は以前から懸案だった。 トランプ氏は昨年の大統領選をめぐり、何度も根拠なく「不正があった」などとツイート。 ツイッター社はそのたびに「ミスリーディングな内容が含まれている」という警告をつけ、利用者を公式の選挙結果に誘導するなどの対応をとってきた。 だが、「トランプ氏のうそを容認している」との批判は多かった。 そんな中、6 日に議事堂乱入事件が発生。 ツイッターはトランプ氏のアカウントを一時凍結するなどの措置をとったが、米メディアによると、事件を機に社内でもトランプ氏のアカウント停止を求める声が強まったという。 トランプ氏投票の 8 割近くが「不正選挙」 トランプ氏にとって、ツイッターは最大の政治的武器だった。 政敵を激しい言葉で攻撃する一方、政権幹部の更迭や北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談などをツイッターで突然発表することで世界の注目を集め、「トランプ劇場」を作り出した。 今後、新たな情報発信手段を探るとみられるが、ツイッターで発信できなくなったことによる影響は極めて大きい。 トランプ氏は日によっては早朝 5 時ごろからツイートを始め、多いときは 1 日 200 回投稿してきた。 それでも、世界の最高権力者の発信だけに、関係者は一つ一つに反応せざるを得なかった。 米政府の政策が突然、百八十度変わる時もあった。 ワシントン政界の関心がツイートに注がれることで、トランプ氏は政治的求心力を高めた。 ただし、より重要だったのが、トランプ氏と支持者を直接つなぐコミュニケーションのツールだった点だ。 トランプ氏は新聞やテレビなどの既存メディアを「フェイクニュース」と批判しつつ、ツイッターを通じて支持者に自身の生の声を届けた。 バージニア大政治センターの選挙分析専門家のカイル・コンディック氏はトランプ氏にとってツイッターが「政治的な血管だった」と表現する。 トランプ氏は同時に、陰謀論めいたツイートを何度も発信することで、支持者たちに「もう一つの世界」を作り出した。 特に大統領選で敗北が確実になってからは根拠なく「不正選挙が起きた」、「私は大差で勝った」と繰り返し主張。 議事堂乱入事件の直前までも「不正選挙」への怒りをぶちまけ、「強くあれ!」などとツイートした。 こうした投稿の効果は絶大だ。 トランプ氏に投票した 8 割近くが「バイデン氏が勝利したのは不正選挙のため」と信じているという世論調査もある。 なだれ打つグーグル、アップル 「巨大 IT 企業は、国家よりも力があるというのか。」 トランプ氏を支持することが多い FOX ニュースでは 8 日夜、ツイッター社の判断についてこんな批判が相次いだ。 「永久停止」によって、トランプ氏の最大の発信手段が一気に塞がれたためだ。 同様の動きは他の IT 企業にも広がる。 全世界で約 32 億人の利用者を抱えるフェイスブック (FB) は 7 日、約 3,500 万人のフォロワーを持つトランプ氏のページを「無期限」で停止した。 1 月 20 日までの残り任期の間は停止を続ける方針だ。 保守層の間では、ツイッターや FB の代わりに、2018 年に創業された「パーラー」を使う動きも出ている。 ツイッターと似た機能のサービスだが、投稿内容への規制が少なく、議事堂乱入事件後も、過激な投稿が続いている。 だが、グーグルは 8 日、「暴力を誘発する投稿が続いている」として、自社の配信サービスを通じたパーラーのアプリのダウンロードを停止した。 米メディアによると、アップルもパーラーに 24 時間以内の改善を要求し、アプリ配信停止を示唆しているという。 一方、表現の自由は米国憲法で保障された、重要な権利だ。 SNS の投稿内容について、民間企業が線引きすることの是非は以前から議論となり、昨年の米議会公聴会では、共和党議員らが「保守派の声を検閲している」とツイッターや FB の経営者を追及した。 トランプ氏も、ツイッター社への反発を強め、利用者の投稿内容に関してネット企業の責任を幅広く免除する「通信品位法 230 条」の削除を求めてきた。 しかし、企業側は「条項がなくなれば、訴訟リスク回避のため、投稿内容の規制がさらに厳しくなる可能性が高い」と強調している。 (asahi = 1-9-21) トランプ氏、別アカウントで反論 ツイッター社が即削除 米ツイッター社がトランプ米大統領のアカウントを永久停止したことを受け、トランプ氏は 8 日夜、別のツイッターアカウントから「ツイッターの従業員たちは民主党員や急進左翼と連携し、私や私に投票した 7,500 万人を黙らせるため、私のアカウントを削除した」と反論した。 ツイッター社は直後に、これらの一連のツイートを削除する措置をとった。 ツイッター社は 8 日、6 日の米連邦議会議事堂の乱入事件にからみ、約 8,870 万人のフォロワーがいるトランプ氏本人のツイッターアカウント (@realDonaldTrump) を永久停止にした。 一方で、トランプ氏には、約 3,340 万人のフォロワーがいる米大統領としてのアカウント (@POTUS) もある。 トランプ氏はこのアカウントから 8 日夜に反論のツイートをしたが、これらの投稿も直後に表示されなくなった。 ツイッター社は 8 日夜、朝日新聞の取材に「別のアカウントを使って、停止措置を逃れることは我々の規約に反する。 @POTUS からのツイートについては対策をとった」と説明し、ツイートを削除したことを明らかにした。 @POTUS というアカウントは英語で「米国大統領」の略語で、バイデン次期大統領にも引き継がれるため、ツイッター社はアカウント停止などの措置はとらないものの、今後もツイート削除などの対応はとるものとみられる。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 1-9-21) ◇ ◇ ◇ トランプ氏のツイッター、一時凍結に 永久停止も警告 米ツイッター社は 6 日、トランプ大統領のツイッターアカウントが規約に違反しているとして、12 時間凍結する措置をとった。 さらに違反が続けば、永久停止になる可能性があるとも警告している。 フェイスブック (FB) も同日、トランプ氏のページを 24 時間の停止とすると共に、一部投稿を削除した。 トランプ氏の支持者が米連邦議会議事堂に侵入したことなどを受け、ツイッター社などが従来以上に厳しい対応に転じた。 議事堂に侵入した支持者に対し、トランプ氏はツイッター上で、「家に帰るときだ」などと述べた動画を投稿した。 ただ、動画の中では「選挙が盗まれた」、「不正選挙だ」と、混乱の原因になっている、根拠のない主張を繰り返した。 また、侵入者たちを「特別な人たち」とも呼んだ。 ツイッター社の規約では、暴力賛美につながる行為は禁じられている。 同社は 6 日夕、トランプ氏のこうしたツイートが「規約に対する、繰り返しの、重大な違反だ」とし、三つのツイートを表示されないようにした。 また、トランプ氏側にそのツイートの削除を求めると共に、アカウントを 12 時間停止した。 当該ツイートを削除しなければ、アカウントの停止が継続するという。 「今後さらに違反があれば、アカウントが永久停止になる結果をもたらす」とも警告した。 トランプ氏のアカウントは 8,870 万人のフォロワーがおり、支持者にメッセージを発する主要なツールになっている。 ツイッターはトランプ氏のツイートに何度も警告をつけてきたが、アカウントを一時停止するのは初めてだ。 FB も 6 日、トランプ氏の支持者が議事堂に侵入したことを「緊急事態」ととらえ、トランプ氏の関連投稿や、関連して暴力を誘発する投稿の削除を始めた。 FB は、「選挙不正」を訴える投稿に対しては今後、「全 50 州で認定された結果に基づき、ジョー・バイデン氏が次期大統領に選出されている」という新たなラベルをつけるとも発表した。 FB は 6 日夕、約 3,500 万人のフォロワーがいるトランプ氏のページについて、24 時間にわたり、新たな投稿ができなくする措置をとったことも明らかにした。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 1-7-21) |