北京の PM2.5 濃度、15% 改善 工場規制が効果

北京市環境保護局によると、今年上半期の北京の微小粒子状物質 PM2.5 の平均濃度が前年同期比で約 15% 改善した。 町全体が白くかすむ日はあるものの、春以降、青空の日が続くことが増え、市民の実感でも改善傾向にあるようだ。

同局によると、PM2.5 の 1 - 6 月の平均濃度は、1 立方メートル当たり 77.7 マイクログラム。 日本の基準値(15 マイクログラム)や中国の基準値(35 マイクログラム)は大幅に上回っているものの、前年より 15.2% 改善した。 同局によると、市内や河北省などで排出ガスの多い工場を大量に閉鎖・規制するなどした効果が出始めているほか、空気の滞留が少ない気候条件が重なった可能性もあるという。 (北京 = 林望、asahi = 7-4-15)


大気汚染告発の動画消える 中国、反響受け情報統制か

中国国営メディアの元記者が微小粒子状物質 PM2.5 による大気汚染を告発し、大きな反響を呼んだ動画が、ネット上で見られなくなった。 大気汚染問題は、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代)でも焦点の一つになり、当初は政府高官もこの動画を話題にするほどだったが、あまりの反響に当局が一転して情報統制を始めたようだ。

動画は、国営中央テレビの元記者柴静さんが自ら取材・制作し、全人代開幕前の先月 28 日に発表。 中国の大気汚染のひどさを紹介して企業や政府の無策を批判し、市民にも行動を呼びかけている。 1 日で 1 億回以上再生されたという。 多くのメディアにも取り上げられ、汚染が深刻な陝西省西安市では 8 日、マスク姿の市民約 15 人が「責任は政府にある」などと書いた紙を掲げて抗議デモをし、公安当局に 2 人が一時拘束された。 参加者の 1 人は取材に対し、「動画が導火線になった」と話した。

動画は 3 月上旬のうちに主なサイトから削除され、見られない状態になった。 新任の環境保護相が「尊敬に値する」と語ったという記事も削除された。 政府への批判が多くの市民に広がるのを恐れたとみられる。(北京 = 延与光貞、asahi = 3-10-15)


中国大気汚染、PM2.5 が 1 割減 対策強化を強調

深刻な状態が続く中国の大気汚染。 北京で開かれている全国人民代表大会(全人代)では今年も主要テーマだ。 環境行政のトップである環境保護相が 7 日に記者会見し、今度こそ「解決」をめざす姿勢をアピールした。 だが、規制強化は経済の減速に拍車をかけかねず、かじ取りは難しくなっている。

陳吉寧(チェンチーニン)環境保護相は 7 日の会見で、「私は中国の環境管理にとても自信を持っている」と語り、環境保護への投資を増やす考えを明らかにした。 排ガス対策で工場の設備改修や古い自動車の廃棄などを進めた結果、昨年の全国 74 都市の微小粒子状物質 PM2.5 の測定値を、前年より 11.1% 減らしたと説明した。

陳氏は環境問題の専門家で先月末、北京の名門、清華大学長から鳴り物入りで大臣に就任した。 年齢は 51 歳。 現職閣僚では最も若い。 習近平(シーチンピン)指導部には、陳氏の清新さと専門性をアピールし、環境悪化に対する国民の不満をやわらげる狙いがあるとみられる。

中国では 2012 年ごろから大気汚染が大きな社会問題となっている。 今年の全人代でも、広東省代表の朱列玉弁護士が中国メディアの取材に「汚染源が国有の大企業だと、環境保護省が調査しようとしない」と批判。 「全人代に環境報告を出し、反対が多ければ環境保護相は辞任するべきだ」とも語った。 (北京 = 益満雄一郎、斎藤徳彦、asahi = 3-8-15)


中国 汚染企業に罰則強化の新法を厳格適用へ

中国の環境保護相は 7 日、大気汚染をはじめとする中国の環境問題について、「歴史上前例のない矛盾に直面している」と述べ、環境を汚染した企業の罰則を強化した新しい法律を厳格に適用する考えを示しました。 北京では 7 日も大気汚染物質 PM2.5 の 1 立方m当たりの濃度が 200 マイクログラムを超えて、「重度汚染」とみなされる状態となりました。

こうしたなか、全人代 = 全国人民代表大会に合わせて、環境分野の専門家で北京の清華大学の学長から環境保護相に先月就任したばかりの陳吉寧氏が記者会見を開きました。 冒頭、陳環境保護相は「着任してから、毎朝いちばん最初にやることは空を眺めることだ。 空が青くても安心はしないし、きょうのようなかすんだ天気だと不安になる。」と述べました。

そして、大気汚染をはじめ、土壌や水の汚染などの現状について、「われわれは発展と環境保護の間で、人類の歴史上前例のない矛盾に直面している」と述べて強い危機感を示しました。 そのうえで、陳環境保護相は環境汚染を巡って企業の罰則規定を強化した環境保護法がことし 1 月から施行されたことに触れ、「法律を『張子のトラ』にせず、鋭い鋼の牙にしないといけない。 どう執行するかが重要だ。」と述べ、新法を厳格に適用し、環境の改善に努めると強調しました。 (NHK = 3-7-15)


「中国政府は無策」 PM2.5 問題、告発動画 1 億回再生

中国で微小粒子状物質 PM2.5 を巡る問題を告発しようと、国営中央テレビの元記者が 100 万元(約 1,900 万円)を投じて製作した動画が、ネットで 1 億回を超える再生回数を稼ぎ大きな話題になっている。 企業や政府の無策を厳しく批判し、成長一辺倒の国のあり方に疑問を投げかけた。

動画をつくったのは、国営中央テレビの有名記者・キャスターだった柴静さん。 「大空の下」と題したニュースの特集番組仕立てで、103 分の力作だ。 1 年ほど前に出産した長女に先天性の腫瘍(しゅよう)があり、大気汚染との関係も疑われたことから、中国を覆う PM2.5 の原因と背景を探った。 違法操業をする鉄鋼工場などへの突撃取材のほか、科学者や政府、企業関係者にインタビュー。 中国が国を挙げて経済成長を追い求めた結果、様々な環境規制が企業の利益や雇用の維持を理由に守られてこなかった実態を指摘した。 (北京 = 林望、asahi = 3-2-15)


工事現場にも課徴金? = PM2.5、削減目標達せず - 北京

【北京】 5 日付の中国各紙によると、北京市は今年、大気汚染対策をさらに強化する。 ナンバープレートが偶数か奇数かによって走行できる車を半減させる措置について、発動する基準をこれまでより引き下げたり、粉じんを巻き上げる工事現場でも、新たに建築主らから「汚染排出費」を徴収したりすることが検討されている。

市は 4 日、呼吸器疾患などの原因となる微小粒子状物質 PM2.5 の昨年の年間平均値が、前年比 4% 減の 1 立方メートル当たり 85.9 マイクログラムだったことを明らかにした。 目標の 5% 減には届かず、中国の環境基準(35 マイクログラム)もはるかに上回っており、依然として深刻な状況だ。 (jiji = 1-5-15)


中国の PM2.5、依然高い数値 抜本的な改善進まず

中国環境保護省は全国主要 74 都市の今年上半期の大気汚染の状況を発表した。 北京や河北省などで深刻な微小粒子状物質 PM2.5 の平均値は、1 立方メートルあたり 100 マイクログラムで昨年同期比で 15 マイクログラム減ったものの、環境基準値を超える日が 6 割を超え、抜本的な改善は進んでいない。

22 日付の中国各紙が伝えた。 PM2.5 の全国の平均値は、1 立方メートルあたり 70 マイクログラムで前年同期比で 6 マイクログラム減った。 特に汚染が深刻な北京、天津、河北省では、中国の基準値(1 立方メートルあたり 75 マイクログラム)を超えた日が全体の 6 割を超え、重度の汚染に見舞われた日も 2 割に達した。 中国政府は PM2.5 などによる大気汚染対策を国家的な課題と位置づけ、汚染ガス排出量の多い工場の閉鎖など強制的な措置も講じているが、対策の難しさが浮き彫りになった。 (北京 = 林望、asahi = 7-23-14)


北京、最悪の大気汚染 「危険」レベル

中国北京市周辺は 26 日午前、深刻な大気汚染に見舞われ、市中心部は白い霧に覆われた。 米大使館サイトによると、微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染の指数は最悪レベル(危険)の 380 となった。 北京の気象当局によると、北京周辺の上空を暖気が覆い気流が動かないため、汚染物質が上空にとどまる状態が生じている。 大気汚染は 28 日ごろまで続く見通し。 (kyodo = 3-26-14)


中国政府、大気汚染の深刻な地域に調査団を派遣

[北京] 中国政府は、国土の約 15% を覆っている煙霧に歯止めをかけるため、大気汚染が最も深刻な地域に調査団を派遣した。 環境保護省は、北京、天津および河北省などに 12 の調査団を派遣し、ここ数カ月の当局の対応を検証するとしている。 調査団は、建設現場のほか、鉄鋼、ガラス、セメント、石炭製品を製造する工場を視察し、製造基準に違反している場合は名称を公表する。

当局はこれまでにも、環境改善のため無数の指示や政策を打ち出し、公害対策事業に投資したり、裁判所に厳格な罰金支払い命令の権限を与えたりしている。 だが地方レベルでは、公害を起こしている産業からの税収に自治体がしばしば依存しており、政策の実行にはむらが生じているという。 (Reuters = 2-24-14)


中国国営メディアが異例の政府批判、スモッグ対応めぐり

[北京] 中国の首都・北京で先週にスモッグ被害が続いたことをめぐり、国営英字紙チャイナ・デーリーは 17 日、政府の対応が不十分だったとし、「弁護の余地はない」と異例の批判を行った。 北京では 14 日から大気汚染が深刻化し、週末でも危険とされる水準を上回った。 同紙は論説で、過去 1 カ月で最も深刻な大気汚染が発生したが、政府による対応はなかったと批判。 中国中央テレビ局 (CCTV) や人民日報も週末、ミニブログで同様の批判を投稿したが、その後削除された。

中国は、深刻なスモッグへの対策として緊急対応システムを昨年 10 月に導入。 しかし新華社が 16 日に伝えたところでは、導入後も濃いスモッグが確認されたが、それに応じた措置は講じられていない。 中国メディアは 13 日、北京市が深刻な大気汚染により、生活に「ほとんど適さない」都市になっているとする政府のリポートを報じている。 (Reuters = 2-18-14)


北京「人類の居住に適さぬレベル」 大気汚染、シンクタンク報告書

中国北京市周辺でここ数日、深刻な大気汚染が続いている。 米大使館サイトによると、15 日未明には微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染指数が、最悪レベル(危険)の値の範囲を超える 600 近くとなった。

政府系シンクタンク、上海社会科学院などがこのほどまとめた報告書は、北京の大気汚染状況を「人類の居住に適さないレベル」と指摘。 呼吸器系疾患などの健康被害も相次いでおり、当局の対応の遅れに対する市民の不満が高まっている。 北京市周辺では春節(旧正月)から 15 日目の元宵節を迎えた 14 日、大量の花火が打ち上げられ、汚染が深刻化した。 15 日も有害物質を含む濃霧が発生し、数十メートル先の建物が白くかすんだ。 (sankei = 2-15-14)


中国が大気汚染対策でファンドを立ち上げ、企業に報奨金

[北京] 中国政府は 12 日、大気汚染対策の一環として、排出削減の取り組みで先行する企業への報奨金の原資として 100 億元(16 億 5,000 万ドル)規模のファンドを立ち上げると発表した。 新華社によると、北京市は、汚染の原因となっている 300 カ所の工場を今年閉鎖すると表明し、操業を停止する産業プロジェクトのリストを 4 月末までに公表するとした。

政府の声明によると、李克強首相は閣議で 100 億元ファンドの立ち上げを発表。 主要分野の大気汚染対策として、補助金に代わり報奨金を活用すると述べた。 排出削減で各分野を主導したとされる企業に報奨金が支払われる。 政府は大気汚染の問題は長い時間をかけて発生したと指摘。 「この問題の深刻さをわれわれが認識し、努力を続ける必要がある」と強調した。

政府は引き続き、エネルギー効率と、ガソリン基準の向上を含むクリーンエネルギーの施策を推進するとした。 また、環境保護組織の監視権限を強化し、汚染に関する情報発信方法の標準化に向けた取り組みを行う意向を示した。 (asahi = 2-12-13)


中国水質汚染「許容量はるかに超えた」 改善計画策定へ

中国環境保護省の●青次官は 11 日の記者会見で、中国の川や地下水などへの汚染物質の排出量が「環境の許容量をはるかに超えている」と話し、深刻な水質汚染が収まっていないとの見方を示した。 大気汚染と並ぶ重要課題と位置付け、改善に向けた行動計画を策定する。

●次官は「水環境は依然として非常に厳しい状況にある」と指摘。 水質汚染の各種指標を 30 - 50% は低下させなければならないとする専門家の分析を紹介し「そうしなければ中国の水環境は根本的には変わらない」と述べた。 特に地下水の汚染が「有効に抑え込むことができていない」と認めた。 中国では工場や鉱山の排水が原因とみられる川や湖、地下水の汚染が深刻化している。 中国メディアは魚の大量死や、飲料水汚染によるがんの多発などを伝えている。 (kyodo = 2-11-14)

● = 羽かんむりに集のうえ


中国大気汚染にかすむ「真の環境リスク」

中国の大気汚染は目に見えて深刻で、都市部の富裕層たちの悩みの種となっている。 しかし、この問題への対処が、もう 1 つの大きな問題を増幅させる恐れがある。 その問題とは水だ。 中国が本当に持続可能な成長を実現させたいなら、水を切望するエネルギー企業や消費者らに安い価格で供給するのをやめるべきだ。

大気汚染の主因とされる石炭業界などには今、社会的な圧力がかかっている。 石炭の絶対的消費量はなお増加しているが、新たな目標では、エネルギー源に占める石炭の相対的割合は 2017 年までに 65% 以下に低下する可能性がある。

政府は、石炭を使用する製鉄所や発電所を大都市圏から移転させようとしている。 この問題では、北京を取り巻く河北省に位置し、深刻な汚染源とされる老朽化した工業団地が特に注目されている。 このほか、不純物が多い高硫黄炭に対しても、新疆や内モンゴルで産出される高品位炭と比較して批判が高まっている。

厄介なことに、中国は比較的雨が少ない国だ。 石炭関連施設は新型のプラントを含め、降雨の少ない北部の省に位置することが多い。 石炭は多くの水を必要とする。 使用前に洗浄が必要であるほか、石炭火力発電も通常は蒸気を使って発電する。 都市部大気汚染の 1 つの解決策とされているのは、石炭から合成天然ガスにエネルギーを転換し、都市にガスパイプを通じて供給するという方法だが、世界資源研究所によると、これには通常の石炭火力発電所の 12 倍も水が必要になるという。

スモッグが同国最大の「市民の敵」である一方、水不足に陥る可能性は身近な脅威とは捉えられにくいかもしれない。 確かに、新規制では石炭火力発電所に水利用計画の提出が義務付けられるほか、当局は水道代の値上げを示唆しており、使い過ぎに罰則が科される可能性もある。 しかし、水資源に関する権限は分散しており、水利部が使用を監視するのに対し、汚染や都市部の汚水処理は別の機関が監督している。

問題の根源は、環境の持続可能性が重要とされていない点にある。 権力者は自分たちの体制の持続可能性、もしくは安価なエネルギー供給の持続可能性に関心が向いているようにも見える。 長期的には、環境、体制、エネルギー供給の 3 つは全て結び付く。 しかし、水不足が中国共産党の権威に直接的脅威とならず、安い石炭に依存する経済が続く限り、水問題は優先順位の低いまま放置されるだろう。 (Katrina Hamlin、Reuters = 2-6-14)


中国 石炭の液化・ガス化 大気汚染抑制に期待

輸入した石油や天然ガス、石炭などを大量に消費して経済成長を続けてきた中国が、自国で多くを採掘できる石炭の液化・ガス化に本腰を入れ始めた。 安定供給が可能になれば、クリーンエネルギーを自前で獲得し、大気汚染も抑えられる「一石二鳥」が期待できるためだ。 石炭の液化に力を入れる中国の工業団地の現場を訪ねた。

難関を突破

中国内陸部、寧夏回族(ねいかかいぞく)自治区。 区都の銀川(ぎんせん)から東へ約 50 キロ、荒涼とした黄色い大地を進むと、石炭液化基地の巨大なプラント(生産設備)がいくつも立ち並ぶ工業団地が姿を現した。

国有企業「神華グループ」の基地は 2011 年の稼働。 面積は「第一期」の区域だけで東京ドーム約 64 個分の 300 ヘクタールを超える。 神華グループの関連会社「中国神華石炭液化化工」の張継明(ちょうけいめい)総裁は「(石炭の液化で)実用化レベルに達したのは、世界でもウチだけ」と胸を張った。

石炭を高温・高圧で分解するなどしディーゼル油やナフサなど別の燃料をつくり出すのが石炭の液化。 液化でできた燃料を使えば、石炭を直接燃やすことに伴う大気汚染の不安が減る。 液化の過程で出る汚水処理などに課題があったが、張総裁は「(汚水処理などを解決する)技術的な難関は既に突破した」と強調。 事業拡大に自信を示した。

計画は無謀?

中国は肺がん、ぜんそくなどのリスクを高める微小粒子状物質「PM2.5」に悩む。 石炭の燃焼物は PM2.5 の一因とみられ、中国政府は暖房用燃料の石炭から天然ガスへの切り替えを急いでいる。

ただ天然ガスの輸入依存度は約 30%。 石油も約 70% に達する。 このため「エネルギー安全保障(張総裁)」の観点から、中国政府は石炭の液化・ガス化計画の認可を加速させているようだ。 昨年末には石炭に圧力をかけて生成した人工ガスを、内モンゴル地区から北京に向けて供給する事業もスタート。 人工ガスの成分は天然ガスとほぼ同じで液化への期待は大きい。

液化に続き本格始動した石炭のガス化。 だが不安もある。 認可された人工ガス計画の生産量の合計は年 2,600 億立方メートルで、中国が年間に消費する天然ガス(12 年は 1,471 億立方メートル)を優に超える。 このため「計画は無謀だ」と指摘する中国紙も出てきた。 通常の銀行融資と違う「影の銀行(シャドーバンキング)」から生産設備の建設費を調達する地方政府もあるとみられ、安価なシェールガスが流通し各地の計画が破綻、融資が回収できなくなれば中国経済に悪影響が出る恐れもある。

石炭の液化・ガス化は戦前から日米独など各国が取り組んできた課題。 しかし製造コストがかさむこともあり大きな進展はない。 採掘場所の近くに液化・ガス化に必要な施設をつくることなどでコスト抑制に成功した中国が「歴史」を変えられるか。 今後の動きが注目されそうだ。(中国総局・新貝憲弘、東京新聞 = 2-2-14)

中国の石炭消費> 2012 年は約 37 億トンに上り、世界の消費量の約半分を占めた。 国内埋蔵量は 1,145 億トンで、米国、ロシアに次ぎ世界第 3 位。 ただ経済成長に伴って消費が増えており、09 年からは輸入量が輸出量を上回るようになった。


中国、旧正月祝う花火や爆竹で汚染「危険レベル」に

北京市で春節(旧正月)前の 30 日の大みそかから 31 日にかけ、新年を祝う花火や爆竹で大気汚染が悪化した。 在中国米大使館サイトによると、微小粒子状物質「PM2.5」を含む汚染の指数は 31 日未明、最悪レベル(危険)の 479 となった。 中国政府は引き続き花火の自粛を呼び掛けている。

一方、北京市政府は 31 日、年越しの花火や爆竹の使用が例年に比べて大幅に減り、PM2.5 の濃度が事前予想よりも良かったとして、市民に対する「感謝状」を公表した。 中国メディアによると、江蘇省南京市では 30 日夜、花火が大量に打ち上げられ、一部地域で PM2.5 の濃度が、1 立方メートル当たり 500 マイクログラムを超え、測定不能となった。

中国では 31 日午前も各地で有害物質を含む濃霧が発生。 短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」には「なぜ春節に花火を打ち上げるのか。 悪習でしかない。」との声も上がっている。 (kyodo = 1-31-14)


中国の大気汚染が米国本土に到達、安価製品への需要も一因 = 研究

[北京] 米中のチームによる新たな研究で、中国で発生する大気汚染が、太平洋を渡って米国本土に到達していることが明らかになった。 同チームは大気汚染の一因について、安価な中国製品に対する米国の需要によるものだと指摘している。 米科学アカデミー紀要に発表された研究論文によると、米西部では、中国での化石燃料の燃焼による硫酸汚染が確認された。 またロサンゼルスなどの都市では、中国の輸出向け製品工場で排出される窒素酸化物や一酸化炭素により、スモッグが発生したという。

研究を行った米カリフォルニア大学アーバイン校のスティーブ・デービス氏は、「われわれは製造業や大気汚染の大半を(外国に)委託しているが、その一部は太平洋を横断して戻ってきている」と指摘。 同チームは「国境を越えた大気汚染を削減するには、他国の消費活動をサポートするために一国で放出される汚染に対し、誰が責任を負うべきかを考える必要がある」とした。

論文は、2006 年に中国で発生した大気汚染物質のうち、17 - 36% は輸出用製品の製造に関連したものだとしている。 米環境研究団体、ワールドウォッチ研究所によると、中国で発生する温室効果ガスの 3 分の 1 は、輸出用産業から放出されている。 (Reuters = 1-22-14)


北京が大気汚染対策、火力発電所などの新規建設禁止へ

[北京] 中国北京市が石油精製、鉄鋼やセメント工場、火力発電所の建設や増設の禁止を計画していることが、最新の政策文書で明らかになった。 大気汚染対策が目的。 北京市の公式サイト上で 22 日に公表されたもので、地区の人民代表大会で先週承認された。 同市は、汚染源の微小粒子状物質「PM2.5」の排出量を今年 5% 削減することを表明した。 (Reuters = 1-22-14)


中国:上海市長、旧式の車 7 万台処分へ 大気汚染対策

中国上海市の楊雄市長は 19 日に開幕した同市人民代表大会(市議会)で、微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染対策として、今年、排ガス基準を満たさない旧式の自動車約 7 万台の処分を進める方針を示した。

揚市長は環境汚染の中でも大気汚染は突出した問題と指摘。 旧式車の処分のほか、石炭火力発電所に高性能の集じん装置を設置したり、ボイラーの燃料を石炭から天然ガスなどのクリーンエネルギーに転換したりする考えを明らかにした。 上海市は昨年 10 月、2017 年までに PM2.5 の年平均濃度を 12 年に比べ 20% 削減するとの目標を発表している。 (kyodo = 1-19-14)


中国が大気汚染改善に向け新目標、汚染物質を 5 - 25% 削減

[北京] 中国当局は、主要都市や省に対して、大気汚染物質を 5 - 25% 削減することを求める新たな目標を設定した。 国営メディアが 7 日夜報じた。 中国はこれまでにも、主要都市の大気汚染を緩和すべく、さまざまな通達を出してきたが、思うような効果は上がっていないのが現状だ。

新華社が環境保護省の発表として伝えたところによると、今回新たに発布された規制では、北京市、天津市、河北省は、汚染源の微小粒子状物質「PM2.5」の量を年 25% 削減することが義務付けられる。 その他の地域の削減目標は、上海市、江蘇省、浙江省、山東省、山西省が 20%、広東省、重慶市が 15%、内モンゴル自治区が 10%。

チャイナ・デーリーによると、中国国務院(内閣に相当)は現在、目標達成に向けた進捗状況を評価するためのシステム構築を検討中。 目標を達成できなかった地方政府は「名指しされ、辱められる」という。 (Reuters = 1-8-14)


中国の大気汚染対策、「しわ寄せ」は上海に

[北京] 中国政府による北京周辺での大気汚染対策に伴い、同国の鉄鋼生産の中心地である河北省では製鉄所の閉鎖が加速している。 しかし一方で、上海の周辺地域では鉄鋼生産が拡大しており、上海が政府の環境対策の「しわ寄せ」を受ける可能性が懸念されている。 北京と隣接する河北省での環境規制の厳格化は、上海周辺の製鉄所だけでなく、セメント工場やガラス製造工場にとっても新たな成長機会となっている。

北京や河北省の都市では過去一カ月間の大気汚染は比較的改善したが、上海や東部沿岸部では汚染を示す指数が過去最悪を記録している。 上海でも昨年に鉄鋼生産量は 10% 以上削減されたが、隣接する江蘇省などでは小規模の製鉄所が生産を拡大している。 国家統計局によると、2013 年末時点の鉄鋼生産量は河北省では大幅に減少した一方、上海に近い江蘇、安徽、浙江の各省では拡大した。

マッコーリー・グループのアナリスト、グレアム・トレイン氏は「河北省で公害が減っても、今度は上海で増える。 明らかなのは、中国の鉄鋼生産量は非常に多いということだ。」と述べた。 環境問題の専門家らは、北京など中国北部の主要都市での大気汚染対策は、製鉄所やセメント工場、火力発電などの移転を意味するに過ぎないと指摘。 移転先として有力なのは比較的経済発展が遅い内陸部で、上海に近い地域も含まれるという。

過去には、中国で最も汚染度の高い都市の一部は河北省にあり、省都である石家荘市では 2013 年の初め、大気汚染が悪化しすぎて指数が数値化できないこともあった。

新たな総合計画

中国政府は大気汚染問題の解決に向けた新たな総合計画を 9 月に発表。 エネルギー消費に占める石炭の割合を減らし、原子力や天然ガスの利用を増やすとともに、汚染を引き起こしている老朽化した製鉄所やセメント工場、アルミ精錬所を閉鎖するなど幅広い対策を示した。 河北省も 2020 年までに粗鋼の生産量を 8,600 万トン削減する方針を明らかにしている。 これは昨年の生産量の約 4 割に相当する。

一方、河北省に次いで鉄鋼生産能力が最も高い江蘇省では、2012 年の生産量は前年比 8% 増の 7,420 万トンに上り、国内全体の 10.35% を占めた。

セメントなども生産拡大

河北省では 11 月のセメント生産量が前月から 20% 減少。 2013 年 1 - 11 月では前年比 1.82% 減となった。 一方、江蘇省では 11 月の生産が前月から 8.3% 増加し、1 - 11 月では前年比 8% 増となった。 このほか、江蘇省と浙江省を含む長江デルタ地域での製造活動が、上海の大気汚染を悪化させる可能性も懸念されている。 浙江、江蘇、安徽の各省では、2013 年 1 - 11 月の銅・アルミニウム製品の生産量が 2 桁台の増加を示した。

中国政府系調査会社「安泰科」のアナリスト、FengJuncong 氏は「需要拡大や堅調な経済を受け、銅・アルミニウム製品の生産は伸びている」と指摘。 その上で「製造活動や製錬能力の拡大が、上海のスモッグ悪化の一因となっている可能性もある」と述べた。 (David Stanway、Reuters = 1-4-13)