大気汚染 … 上海でも「空気商戦」 売れる清浄機・マスク 【斎藤徳彦 = 北京、西村宏治】 大気汚染が深刻な中国で、空気清浄機やマスクの売れ行きが加速している。 昨冬に騒ぎになった北京地区から、今冬は上海地区などへ汚染が広がり、人々が争って商品を求める「空気商戦」が全国区となった。 日本の電機メーカーも増産を急いでいる。 上海市中心部の大手家電量販店「国美電器」。 12 月に入り、1 台 3 千元(約 5 万円)以上するオランダのフィリップスやシャープ製の空気清浄機が飛ぶように売れる。 男性店員は「去年は見向きもされなかったのが、今は入荷するそばから売れていく。」 4、5 台のまとめ買いも珍しくない。 「今冬は北京よりひどい」とされる上海では 11 月末から、大気汚染が深刻化。 微小粒子状物質 PM2.5 の濃度が、日本の基準の数倍に達する日も相次ぐ。 汚染は隣接する江蘇・浙江両省にも広がる。 いずれも経済が発達して人々の収入が高い地域で、関連商品の販売がはね上がっている。 (asahi = 12-29-13) 中国 PM2.5 濃度、針振り切れる「爆表」 基準値の 8 倍、「灰色クリスマス」 今月 20 日以降、中国北部の広い範囲で有害物質を含んだ濃霧が深刻な状況となっている。 24 日には観光名所である陝西省の西安をはじめ、河北省の石家荘や保定など 5 都市で微小粒子状物質 PM2.5 の濃度が上昇。 大気汚染の指数 (AQI) が上限値の 500 に達し、針が振り切れる「爆表」と呼ばれる最悪の状態となった。 華北地方の一部地域では今後、風が強まる 26 日まで濃霧が続くとの見通しもあり、中国版ツイッター「微博(ウエイボ)」では「今年はホワイト・クリスマスではなく、灰色のクリスマスだ」との声も上がった。 西安などでの PM2.5 の値は、多くの観測地点で大気 1 立方メートルあたり 600 マイクログラムを超え、中国政府の基準値(24 時間平均で 75 マイクログラム)の 8 倍に達した。 悪化の一途をたどる大気汚染に、中国国内では「神頼み」の動きまで出ている。 地元メディアによると、唐代の史跡を復元した西安近郊の大明宮国家遺跡公園では 22 日、冬至の祭礼を再現したイベントで、「有害濃霧の消散」を祈願する参列者も出たという。 (西見由章、sankei = 12-24-13) 中国で製鉄所の閉鎖加速へ、大気汚染問題への取り組み強化で [上海] 鉄鋼業界関係者によると、中国政府の環境対策強化に伴い、来年、製鉄所の閉鎖が進みそうだ。 前週、河北省武安市が節電のために一部製鉄所の閉鎖を命令。 これを受けて鉄鋼生産減少懸念が浮上し、上海鉄鋼先物は 11 週間ぶり高水準をつけた。 中央政府は大気汚染問題に取り組み、環境対策などで基準を満たさない製鉄所を閉鎖している。 すでに河北省、山東省、河南省は 9 月から生産の縮小を命じられているが、中央政府の対策強化に伴い、来年はさらに生産が抑制される可能性がある。 武安市の鉄鋼メーカー関係者は、一時的な閉鎖が足元の生産に及ぼす影響は大きくないとした上で、「われわれが恐れているのは、中央政府が来年、大気汚染対策で鉄鋼を対象に追加措置を講じることだ」と述べた。 この関係者は「社会不安や高失業率をもたらすため、すべてを閉鎖することはできない」としながらも、政府が長期的、段階的に閉鎖を進めるとの見方を示した。 (Reuters = 12-17-13) 8 億人が「呼吸困難に」 中国で大気汚染拡大 新華社が異例の論評 中国国営通信新華社通信のウェブサイト「新華網」は 11 日、深刻さが際立つ大気汚染を総括する異例の論評を掲載、有害物質を含んだ濃霧は全国 104 都市に拡大し「 8 億人余りが呼吸すら困難となった」と振り返った。 「応急措置は役に立たず、濃霧発生は常態化した。」とし、政府がここ 1 年、有効な解決策を打ち出せなかったことを示唆している。 国民の不満は高まっており、中国指導部は対応に苦慮。 共産党・政府系メディアは最近、有害濃霧発生によって「国民の団結が強まった」などとする記事をインターネットに相次いで発表、国民の大きな批判を受け即座に削除するなど迷走ぶりが目立っている。 遼寧省は 10 日、汚染の原因となる有害物質の数値が基準を超えたとして、大連や瀋陽など省内 8 市に罰金計 5,420 万元(約 9 億 2 千万円)を初めて科した。 (kyodo = 12-11-13) 上海かすむ、バンドもかすむ PM2.5 跳ね上がる 【上海 = 金順姫】 上海で今月に入り、大気汚染の指数が跳ね上がった。 6 日夕には微小粒子状物質 PM2.5 の濃度が、24 時間平均で 1 立方メートル当たり 472 マイクログラムを記録。 日本で外出を控えるよう注意喚起する指針値(70 マイクログラム)の 7 倍近くに達した。 大気汚染指数は 482 で、6 段階で最悪の「深刻な汚染(301 以上)」に。 上海紙によると、2 日に初めて「深刻な汚染」を記録したばかりだった。 上海で長期滞在する日本人は約 5 万 7 千人。 日本総領事館は 5 日、不要不急の外出を避けるよう呼びかけた。 (asahi = 12-6-13) 上海、深刻な大気汚染 300 越え初の最悪レベル 中国上海市では 2 日、微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染指数が 300 を上回り、6 段階のうち最悪の「深刻な汚染」となった。 上海夕刊紙によると、昨年 11 月に 6 段階の指数表示が導入されて以降、「深刻な汚染」を記録したのは初めてという。 一部の観測地点では、PM2.5 の濃度が 1 立方メートル当たり 350 マイクログラムを超え、最悪レベルとなった。 環境保護当局は、児童や高齢者にできるだけ外出を控えるよう呼び掛けたほか、自動車の運転自粛を求めた。 多くの小学校が体育の授業を屋内で実施。 視界も悪くなり、市内ではマスク姿の歩行者が目立った。 (kyodo = 12-3-13) 中国の 8 歳女児、肺がんに 「PM2.5 が関係」と報道 中国東部で 8 歳の女児が肺がんと診断され、大気汚染の原因である微小粒子状物質「PM2.5」が関係していると中国の通信社、中国新聞社が 6 日までに報じた。 市民の間に大気汚染による健康不安が広がり、中国政府に対策を求める声が一段と高まりそうだ。 環境保護省は今月 1 日付で、深刻な大気汚染が予想される際には小中学校や幼稚園を休校や休園にするよう全国に通知を出した。 報道によると、肺がんと診断された女児の自宅は道路に面しており、自動車の排ガスなど有害物質を長期間吸ったことが原因と医師は指摘しているという。 この医師は江蘇省の病院に勤めており女児の自宅も近隣地域とみられる。 江蘇省など急速に経済が発展した中国東部では、自動車の排ガスのほか工場の排煙の影響で PM2.5 などの有害物質が頻繁に観測され大気汚染が深刻化している。 国家発展改革委員会の解振華副主任は 5 日の会見で「大気汚染は常態化し健康に大きな影響を与えている」と認めた。 (kyodo = 11-6-13) 中国覆う「濃霧」視界 50m も … 大気汚染深刻化 【瀋陽 = 蒔田一彦】 中国東北部では 2 日から 3 日にかけ、大気汚染による「濃霧」が発生した。 黒竜江省ハルビン市では、一部観測地点で 3 日未明に、微小粒子状物質 (PM2.5) が 1 立方メートル当たり 400 マイクロ・グラムを突破。 同市では 10 月下旬に、PM2.5 が観測上限の同 1,000 マイクロ・グラムに達したばかりだ。 華僑向け通信社「中国新聞社(電子版)」によると、市内では視界が 50 メートル以下にまで悪化した所もあり、高速道路の閉鎖や、航空便の欠航・遅延などの影響が出た。 また、中国気象局は 1 日、1 月から 10 月までの全国の「濃霧」発生状況を発表した。 これによると、今年に入って発生した日数は全国平均で 4.7 日。 平年(2.4 日)の約 2 倍に達し、1961 年以降で最多という。 観測史上最多日数を記録した地域は、東北部の黒竜江省や遼寧省から、内陸部の重慶市など広範囲に及び、大気汚染が全国的に深刻化していることを改めて示した。 (yomiuri = 11-4-13) 「極めて有害」北京で深刻な大気汚染、霧日数が 50 年ぶりの記録 中国北京市周辺は 1 日から 2 日にかけ、深刻な大気汚染に見舞われ、信頼性が高いとされる米大使館サイトによると、微小粒子状物質「PM2.5」の濃度が「極めて有害」に相当する1立方メートル当たり 300 マイクログラムを超えた。 2 日付の中国紙、新京報によると、気象当局は 1 日、中国全土で 10 月に霧を観測した日数の平均は 4.7 日になったと発表した。 例年同月と比べ約 2 倍になっており、約 50 年ぶりの記録だ。 霧には有害物質が含まれているため、大気汚染の深刻さをあらためて示した形だ。 特に北京から上海付近までの経済発展地域で、有害物質を含んだ霧が発生しており、北京市に比較的近い山西省や河南省の一部では 10 月、霧を観測した日数が 20 日を超えた。 北京市やその周辺の河北省などでも、平均よりも 5 - 10 日、霧の日が多かった。 (kyodo = 11-2-13) 北京、車の通行量を半分に規制 大気汚染の緊急対策で 【北京 = 林望】 北京市は 22 日、微小粒子状物質 PM2.5 などによる深刻な大気汚染が予想される日に、車の通行量を半減させることなどを柱とする緊急対策を発表した。 市担当者は、汚染物質の排出量が「環境の許容量を超えている」と述べ、解決のために各国の経験を学びたいとした。 市は深刻な汚染が 3 日間続くと予想される場合、自動車のナンバープレートの末尾が奇数か偶数かによって交通規制をかける。 排出ガスの多い企業の生産を止めさせたり、炭を使う露店の営業を禁じたりもする。 電車やバスの本数を増やすが、市民生活に大きな影響が出るのは必至。 効果を疑問視する声も出る中、市側は「大気汚染の原因の約 3 割が自動車などの排出ガスだ」との分析を示して協力を求めた。 北京などの大気汚染の根本的な原因や対策は見えておらず、担当者は日本などを念頭に「先進国の経験を学びたい」との考えも示した。 (asahi = 10-22-13) 中国東北部でスモッグ被害、一部空港が閉鎖 [北京] 中国東北部の黒竜江省ハルビンなどで 21 日、スモッグが発生し、学校が休校したほか、バス運行の一部停止や空港閉鎖などの影響が出た。 新華社によると、暖房の開始が背景にある。 人口約 1,100 万人のハルビンでは、一部地域で直径 2.5 マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM2.5」の大気中濃度が 1,000 を観測。 PM2.5 の大気中濃度は 300 に達すると危険水準とされており、世界保健機関 (WHO) は一日の基準として 20 以下を推奨している。 ハルビンでは視界も 10 メートル程度に低下したという。 スモッグは吉林省長春などでも確認された。 同市では高速道路と環状道路の一部が閉鎖されたほか、龍嘉国際空港でもフライトの欠航が相次いだ。 (Reuters = 10-21-13) 大気汚染やはり心配 中国、外国人旅行客が 5% 減 観光やビジネスなどで中国を訪問した外国人旅行客が 1 - 9 月の累計で前年同期比 5.0% 減の 1,936 万 3,100 人だったことが 20 日、中国国家観光局の統計で分かった。 微小粒子状物質「PM2.5」による大気汚染への懸念が強いためとみられる。 地域別ではアジアが 5.9% 減、欧州が 4.5% 減など、アフリカ以外は軒並みマイナスだった。 国別では日本が 23.8% 減と落ち込みが最も激しく、中国への旅行客数がトップの韓国も 3.7% 減となり、米国も 2.5% 減だった。 9 月単月の日本人旅行客は前年同月比 7.3% 減と 15 カ月連続のマイナスだった。 日本人旅行客は昨年、沖縄県・尖閣諸島をめぐる関係悪化の影響で大幅に減ったが、反日デモから 1 年がたっても大気汚染の懸念から前年割れが続いている。 (kyodo = 10-20-13) 中国 : 大気汚染「最悪」 連休ラッシュを直撃 【北京・石原聖】 中国・北京市を中心に 6 日、大気汚染が 6 段階で最悪の「厳重汚染」となり、視界不良のため北京国際空港の発着便に欠航・遅延が出る事態となった。 建国記念日「国慶節」の大型連休の U ターンラッシュが始まったが、北京と各地を結ぶ高速道路が霧やもやのため一時通行止めとなり、北京市環境当局は外出を控えるよう呼び掛けた。 大気汚染の原因となる微小粒子状物質「PM2.5」による厳重汚染は北京、天津市のほか、吉林、河北、遼寧、山東、山西などの北東部から陝西、湖南などの内陸部にかけて広がった。 北京の世界遺産・頤和園(いわえん)の昆明湖(こんめいこ)には、大型連休前から黄色いビニール製の巨大アヒル「ラバーダック」が浮かべられているが、「霧でかすみ、色が灰色に変わったようだ」と中国メディアが話題にしている。 大型連休が終了する 7 日ごろまで深刻な汚染が続きそうだと予測している。 (mainichi = 10-7-13) PM2.5 でかすむ毛沢東 北京、日本の基準値の 5 倍 【北京 = 林望】 中国は 10 月 1 日、64 回目の建国記念日に当たる国慶節を迎える。 北京では空が青く澄み渡る気持ちの良い季節として知られてきたが、今年は微小粒子状物質 PM2.5 による大気汚染で、天安門の毛沢東の巨大肖像画もかすんだ。 9 月 30 日午前、北京の 1 立方メートル当たりの PM2.5 濃度は、日本の環境基準値の約 5 倍の 160 マイクログラム前後を記録した。 雲南省大理市から北京に観光に来ていた男子大学生 (19) は「発展の負の遺産とはいえ、この状況に慣れてはいけないと思う」と話した。 北京では同月 29 日、PM2.5 濃度が 250 マイクログラムを超え、市は市民にマスクの着用を呼びかけた。 30 日も河北省石家荘市で 300 マイクログラムを超えた。 30 日、李克強(リーコーチアン)首相は人民大会堂で開いた国慶節のレセプションで、今後の重要課題の一つに大気汚染対策を挙げた。 政府はすでに 2017 年までに大幅改善を目指す計画を発表したが、汚染の原因も明確に特定されていない。 石炭燃料の消費が増える冬を控え、庶民の不安が消える兆しは見えていない。 (asahi = 9-30-13) 中国が大気汚染対策を発表、石炭消費削減などで新たな目標設定 [北京] 中国政府は 12 日、大気汚染問題の解決に向けた新たな総合計画を発表した。 エネルギー消費に占める石炭の割合を減らし、原子力や天然ガスの利用を増やすとともに、汚染を引き起こしている老朽化した製鉄所やセメント工場、アルミ精錬所を閉鎖する。 政府のウェブサイトで公表された計画によると、政府は国内のエネルギー総消費量のうち石炭が占める割合を 2017 年までに 65% 以下とすることを目指す。 昨年は 66.8% だった。 また、非化石燃料エネルギーの割合を 2017 年までに 13% に高める。 昨年の割合は 11.4% で、従来の目標は 2020 年までに 15% を目指すものだった。 原発発電容量については 2017 年までに現在の 12.5 ギガワットから 50 ギガワットに高める。 2020 年までに 58 ギガワットとする従来の目標がやや前倒しされた格好だ。 政府はまた、2015 年末までに、北部の北京・天津・河北省や、東部・南東部の長江デルタ、珠江デルタといった主要工業地帯をカバーする天然ガス幹線パイプラインの輸送能力を 1,500 億立方メートル増やす一方、こうした工業地帯への火力発電所の新設認可を停止する。 さらに、大気汚染を引き起こしている老朽化した工業施設の閉鎖を加速させ、2017 年までに沿岸部への工場移転を基本的に完了させるとともに、汚染と過剰生産能力の問題に対処することを目指す。 具体的には、2015 年までに老朽化した工業施設を閉鎖する目標を 2014 年に前倒しし、過剰生産能力の問題を抱える産業については未承認プロジェクトの建設をすべて中止する。 政府はまた、新たな自動車燃料基準の導入を急ぐとし、22014 年末までにすべてのディーゼル燃料に「国 4」基準を適用し、主要工業地帯ではより厳しい「国 5」基準を 2015 年末までに適用する方針を示した。 (Reuters = 9-12-13) PM2.5、熊本県で全国初の注意喚起 健康への影響が懸念される微小粒子状物質 PM2.5 について、熊本県は 5 日、国が定めた暫定指針値の「1 日平均で 1 立方メートルあたり 70 マイクログラム」を超える可能性があるとして、県内の全市町村や保健所などに注意喚起の情報を流した。 環境省によると 2 月 27 日に国が暫定指針を定めて以来、こうした基準で注意喚起したのは全国で初めて。 国の指針では、午前 5 - 7 時の 1 時間あたりの平均濃度が 1 立方メートルあたり 85 マイクログラムを超えた場合としている。 ただ、熊本県は注意喚起の情報を出す判断基準として、この時間帯の平均ではなく、1 時間でも超えた場合として運用する。 85 マイクログラムを超えたのは、荒尾市の観測局。 午前 5 時に 91 マイクログラム、6 時に 90 マイクログラム、8 時には 110 マイクログラムを観測した。 荒尾市役所の窓口では、マスク姿の市民や職員が目立った。 もともと花粉症対策の人も多いが、「朝の注意報を聞いて二重の対策です」と話す人が多く、ある主婦 (58) は「いつもと違い、朝から目にごみが入ったみたいにチカチカしている」と話した。 市の駐車場では納税申告で訪れる市民の車を整理する臨時の係員 2 人もマスクを着けた。 「ニュースを聞き、外で仕事をするので、安全のため」と話した。 荒尾市はホームページに県の発表値に注意し、不要不急の外出などを控えるよう勧める緊急情報を掲載。 10 小学校と 3 中学校、社会福祉協議会など各施設にも注意を呼びかけた。 早朝の観測値に基づく注意喚起とは別に、山口県では 4 日夕、宇部市と山陽小野田市で 1 時間あたりの濃度が 1 立方メートルあたり 85 マイクログラムを超えたため、下関市を含む県西部に注意を呼びかけた。 ただ、1 日平均は最高でも 45 マイクログラムにとどまり、国の暫定指針値(70 マイクログラム)を下回った。 国立環境研究所によると、全国で今年になって 2 月 20 日までに、日平均 70 マイクログラムを超えたことはないが、福岡市によると、昨年 12 月に千葉市で 102.7 マイクログラムを記録するなど、20 の政令指定都市で超えたのは昨年 4 月以降 4 市で 6 回あるという。 (asahi = 3-5-13)
越境大気汚染、空から探る 東大チーム、鹿児島拠点に 【安田朋起】 中国からの越境大気汚染の実態を解明しようと、近藤豊・東京大教授(地球大気環境科学)らの研究チームが、上空の大気を直接調べる航空機観測に取り組んでいる。 鹿児島空港を拠点に、大気の取り込み口や特殊なセンサーを取り付けた改造機で東シナ海や黄海の上空を飛行。 微小粒子状物質 (PM2.5) や、すすの微粒子など様々な汚染物質をその場で測定する。 高度 150 メートルから約 7 千メートルまで上がったり下がったりしながら飛び、長崎県の五島列島・福江島や沖縄本島、韓国・済州島などの地上観測データとあわせ、汚染物質の分布や流れ方を立体的につかむ。 観測は 20 日から始め、3 月 8 日まで 9 回のフライトを計画。 27 日は韓国まで飛ぶ予定だ。 本格観測としては 2009 年春以来 2 回目。 国立環境研究所や気象研究所、韓国研究機関などと共同で計約 20 人の研究者が参加する。 東アジア上空は地球上でも大気汚染物質の濃度が高い地域とされ、健康への影響だけでなく、地球温暖化や雨の降り方などへの影響も懸念されている。 近藤教授は「越境汚染対策は政府間の冷静な話し合いが必要。 実態はどうか、なぜ起きるのか。 きちんとしたデータを出していきたい。」と話している。 8asahi = 2-28-13) 70 マイクログラム超は外出控えて PM2.5 暫定指針 【森治文】 大気汚染の原因となる微小粒子状物質 PM2.5 の健康影響について、環境省は 27 日、注意を必要とする暫定的な指針値を「1 日平均で 1 立方メートルあたり 70 マイクログラム」と決めた。 大多数の人の健康が保たれるとされる環境基準値の 2 倍に当たる。 自治体が住民に注意喚起を促す判断基準にしてもらう。 指針値を超えた場合の行動の目安として、外出を控えたり、屋外での激しい運動を避けたりすることなどを挙げている。 指針は、同日あった同省の専門家会合(座長、内山巌雄・京都大名誉教授)で取りまとめられた。 午前 5 - 7 時台の 1 時間あたりの平均濃度が 85 マイクログラムを超えると、結果的に当日の 1 日平均で 70 マイクログラム超となる可能性が高いという。 健康な人が 72 マイクログラムの濃度の場所に 2 時間いたところ影響があったとする知見と、米国が指標として「健康に悪影響がある」レベルを約 65 マイクログラムとしていることを参考に、暫定的に 70 マイクログラムとした。 (asahi = 2-27-13) PM2.5 基準値超え、最大 3 割 国立環境研が集計 【山本智之】中国で大気汚染を引き起こし、日本への影響が心配される微小粒子状物質 (PM2.5) について、国立環境研究所(茨城県つくば市)は 21 日、全国の観測値の分析結果を発表した。 1 月の多い日には大気測定局の 3 割で環境基準値を超えた。 西日本で濃度が上昇しており、中国からの越境汚染が影響した可能性が高いとしている。 ただ、影響の少ない関東や東海などで高い日もあり、都市で発生した汚染と越境汚染が複合した可能性もあるという。 PM2.5 は直径 2.5 マイクロメートル(マイクロは 100 万分の 1)以下の粒子。 肺の奥深くに入り呼吸器や循環器系などの病気のリスクが高まるとされる。 日平均の環境基準値は 1 立方メートルあたり 35 マイクログラム。 (asahi = 2-21-13) 大気汚染物質「PM2.5」 中国からの飛来量は平年並み ■ 専門家「冷静な対応を」 中国に深刻な大気汚染をもたらしている有害な微小粒子状物質「PM2.5」が日本各地に飛来し、健康への不安が高まっている。 だが、実は日本への飛来は 10 年以上前に始まっており、今冬も平年並みの見通しだ。 呼吸器などに持病がある人は注意が必要との指摘もあるが、直ちに悪影響はなく、専門家は冷静な対応を呼び掛けている。 ■ 微小な粒子状物質 PM2.5 は特定の物質の名称ではなく、大気中に浮遊する粒子状物質 (PM) のうち、直径 2.5 マイクロメートル(マイクロは 100 万分の 1)以下の総称だ。 ディーゼル車や工場の排ガスに含まれるすす成分が代表格で、硫黄酸化物や窒素酸化物など多様な物質を含む。 直径は髪の毛の太さの 30 分の 1 程度と極めて小さく、普通のマスクでは防げない。 肺の毛細血管に入り込むと、呼吸器だけでなく循環器系に悪影響を及ぼす可能性がある。 日本では大気 1 立方メートル当たり日平均 35 マイクログラム以下、年平均 15 マイクログラム以下の環境基準が定められている。 中国は急速な工業化が進んでいる上、今冬は寒さが厳しく石炭暖房の利用が急増し、北部を中心に大気汚染が過去最悪レベルに。 一時、大気 1 立方メートル当たり 900 マイクログラムに達した北京市では、住民に外出自粛を呼び掛ける事態に陥った。 日本でも今年に入って、九州から北海道までの各地で日平均基準を超える濃度が相次いで検出された。 中国に近い福岡県では「大丈夫なのか」、「どう対応すればいいか」など、住民から 1 日 30 件以上の問い合わせが県環境保全課に寄せられている。 ■ 10 年以上前から飛来 こうした状況について、九州大の竹村俊彦准教授(大気環境学)は「PM2.5 の飛来は 10 年以上前から知られており、今に始まったことではない。 冷静に対応すべきだ。」と指摘する。 中国で発生した PM2.5 は、冬の冷たい空気がふたの役割をして、あまり上空へ拡散せず、高度千メートル程度までの安定した大気層に滞留する。 北京市が日中でも薄暗いのはこのためだ。 この大気層は気象条件に応じて日本へ移動する。 顕著なのは 3 - 6 月で、東へ向かう春の移動性高気圧に運ばれてやって来る。 北西の風が吹く冬場は時々来る程度で、南風が多い夏場は一番少ない。 竹村准教授は 2007 年から、この飛来メカニズムを中国の化石燃料の消費量の推定値と気象条件に基づく拡散シミュレーションで解明。 PM2.5 がほぼ日本全域に到達することも指摘していた。 国内での急激な不安の高まりについては「PM2.5 が一般に知られていない中で、中国の汚染状況がショッキングに伝えられたためだろう」と話す。 日本の PM2.5 の環境基準が定められたのは 09 年。 これを受けて各都道府県で観測システムの整備が始まったが、実際の観測は "最前線" の福岡県でも 11 年度から。 全国的には、ほとんど知られていない存在だった。 ■ 高濃度で「警報」も 竹村准教授によると、日本へ飛来する PM2.5 は通常、移動途中で海に落下するなどして、濃度は中国の 10 分の 1 程度に薄まるという。 中国の濃度が過去最悪になったとしても、海への落下の増加などで、日本の濃度が比例して増えることはなく、「今年も平年並みではないか」とみている。 11 年度から今冬までの福岡市の観測データを見ても、同市西区元岡で環境基準を超えた日数は、昨年を大きく上回っているわけではない。 健康への影響について、環境省大気環境課は「今のところ各地で基準値を超えるのは一時的なもので、長期間は継続していないため、直ちに影響はない」との見解を示している。 ただ、影響がないのはあくまで健康な人で、呼吸器や循環器に疾患がある人は、濃度が高い日の外出を控えるなどの注意が必要との指摘もある。 このため環境省は 13 日、専門家による検討会を急遽設置。 濃度が高い日は「警報」を出すことなどを検討しており、月内にも今後の対応方針を打ち出す計画だ。 (伊藤壽一郎、sankei = 2-18-13) PM2.5 の専用ページ開設 環境省、大気汚染問題で 環境省は 12 日、中国で深刻な大気汚染を引き起こしている微小粒子状物質 (PM2.5) の情報や、自治体による濃度測定結果へのリンクを盛り込んだ専用サイト(http://goo.gl/KjAp9)を開設した。 PM2.5 は自動車の排ガスや工場のばい煙などに含まれ、中国から日本にも一部が飛来。 西日本などで一時的に環境基準を上回る事態も起きている。 ![]() 1 月以降、中国の汚染状況が伝わると、全国の自治体の測定データを集計した同省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」にアクセスが集中。 接続が難しくなっているため、専用サイトを立ち上げた。 そらまめ君も今週中には、サーバー容量を増やすという。 (asahi = 2-13-13) 中国大気汚染、日本の空は大丈夫? 識者から懸念の声も 中国の大気汚染の影響が海を越え、日本にも及んでいる。 環境省は「直ちに健康に影響はない」というが、識者からは懸念の声も上がる。 自衛策に乗り出す動きも出始めた。 先月からの深刻な大気汚染で、北京市では 29 日に一時、汚染物質が日本の基準の 10 倍以上の 1 立方メートル当たり 500 マイクログラム(マイクロは 100 万分の 1)を記録。 青空が消えた中国各地の模様が報道されると、環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」や、大気汚染微粒子や黄砂の飛来予測サイト「SPRINTARS」にはアクセスが集中した。 幼稚園児の娘がいる福岡市内の 40 代女性も、「そらまめ君」や「SPRINTARS」をほぼ毎日チェックする。 東京電力福島第一原発の事故後、関東から娘と避難してきたが、「福岡も空気が良くない。 私が過敏なだけかもしれないけど、目がゴロゴロする。」 大気汚染が心配される日は洗濯物は外に干さないし、娘にはマスクをさせる。 「もっとひどくなるようなら、福岡を離れることも考えないといけない」と不安を募らせる。 (asahi = 2-3-13) |