世界をプラスチックで汚染している企業ランキングが公開される 世界的なプラスチックごみの問題に取り組む環境団体 Break Free From Plastic が、のべ 51 カ国で 7 万 2,541 人のボランティが参加した清掃活動の結果判明した、プラスチックごみの汚染源となるメーカーの名前を発表しました。 プラスチックごみ汚染源の栄えあるトップはコカ・コーラです。 コカ・コーラのブランドマークが印字されたプラスチック製品のごみは、4 つの大陸にまたがる 37 カ国で合計 1 万 1,732 個回収されました。 この数は、2 - 4 位を合計した数よりも多かったとのこと。 第 2 位がネスレで、31 カ国で合計 4,846 個のプラスチックごみが回収されています。 第 3 位がペプシコで、回収されたごみは 28 カ国で合計 3,362 個です。 4 位以降にはモンデリーズとユニリーバが続きました。 トップ 5 のメーカーはいずれも飲料や食料の販売と製造を主力とするグローバル企業です。 地域ごとの傾向を見ると、コカ・コーラはヨーロッパとアフリカ大陸で 1 位を獲得。南アメリカ大陸とユーラシア大陸でも 2 位と、圧倒的な強さを見せつけました。 また、北米ではスターバックスも 3 位にくい込む健闘を見せています。 ただし、上記の企業だけが責められるべきだというわけではありません。 2019 年 9 月 21 日のワールドクリーンアップデーに合わせて、世界中で行われた清掃活動で回収されたのべ 47 万 6,423 個のプラスチックごみには、実に 484 種類ものブランドのロゴが付いていました。 また、ブランドが判明したごみは全体の 43% で、残りの 57% は責任の所在さえ定かではありません。 もちろんグローバル企業たちも、何の対策も講じていないわけではありません。 プラスチックごみ 1 位のコカ・コーラは、2030 年までに新規生産される全てのペットボトルを、30% 植物由来の原料が使用された「PlantBottle」に置き換える方針を打ち出しています。 また、100% 植物由来の原料でできた「PlantBottle 2.0」の製造にも着手。 いずれはすべてのペットボトルを持続可能性の高い素材に置き換える考えだとのこと。 2 位のネスレも 2025 年までにすべてのパッケージを再利用可能な素材にすることを目標に掲げており、その最初の取り組みとして折り鶴にもできる紙製パッケージのキットカットを日本で生産開始しました。 ![]() もっとも、コカ・コーラとネスレのプラスチックごみは 2018 年に比べて増加しているという現状も報告されており、取り組みの効果が現れるのは当面先になりそうです。 Break Free From Plastic はレポートの中で「名だたる企業たちは『100% リサイクル可能』をうたい文句に、環境への影響を低減することを確約します。 しかし、リサイクルが可能なことと、実際にリサイクルされることは別です。」と指摘し、企業頼みではなく消費者一人ひとりが使い捨て文化と決別することが求められていることを強調しました。 (Maria Mendiola、Gigazine = 11-1-19) 「脱プラ」へ、チャック付き紙容器を開発 大日本印刷 大日本印刷が、何度も開け閉めができるチャック付きの紙容器を開発した。 食品や日用品の容器の「脱プラスチック」を進めたいメーカーなどの需要を取り込み、2022 年度に 10 億円の売上高をめざす。 紙容器の内側には独自の薄いフィルムを貼っているため、水蒸気や酸素を通しにくいという。 プラ製はフィルムとチャックだけで、通常のプラ容器と比べて使用量を大幅に減らした。 かさばらないため廃棄しやすく、輸送にも便利という。 同社の担当者は「保存性の高い容器なので、いろんな用途で重宝してもらえると思う」と話す。 (asahi = 8-2-19) 「脱プラ」、家電でも パナソニックが代替素材を開発 パナソニックは 8 日、冷蔵庫などの家電にプラスチックの代替品となる新しい樹脂素材を採用していく方針を発表した。 新素材は「セルロースファイバー」と呼ばれる植物性繊維を使ったもの。 海洋汚染の深刻化などを受けた「脱プラ」の動きが家電にも広がってきた。 パナソニックによると、新素材はセルロースファイバーを業界最高水準となる 55% 以上含み、プラスチックを超える強度を持つのが特長。 色が白く、自由に着色できるのも利点で色のついた家電にも使いやすい業界初の素材という。 同社は、この新素材を数年内にプラスチックの使用量が多い冷蔵庫や掃除機などの家電に採用することをめざす。 ほかにも、住宅建材や車載用の部品にも幅広く使い、「脱プラ」を実現していく考えだ。 従来のプラスチックよりコストが高いのが課題だが、他社製品にも使ってもらうことで生産量を拡大してコストを下げることをめざす。 プラスチック製の食器などへの採用を働きかけていくという。 廃プラによる海洋汚染などの問題から、石油由来のプラスチックは使用量の削減が世界的に求められている。 国内でも飲食店がプラスチック製ストローを廃止したり、小売店がショッピングバッグを紙袋に切り替えたりする動きが相次いでいる。 (中島嘉克、asahi = 7-9-19) レジ袋、来年 4 月から有料義務化 対策迫られるコンビニ 世耕弘成経済産業相が 15 日、スーパーなどで配られるプラスチック製のレジ袋の有料義務化(無料配布の廃止)について、来年 4 月 1 日の実施をめざすことを明らかにした。 省令改正を念頭に関係省庁と調整するとともに、義務化の対象となるレジ袋の範囲や素材など具体的な検討を進める。 流通業界では、レジ袋の利用が多いコンビニエンスストアなどがとくに早急な対策を迫られそうだ。 長野県軽井沢町でこの日始まった主要 20 カ国・地域 (G20) エネルギー・環境関係閣僚会合。 冒頭のあいさつで世耕経産相は「早ければ来年 4 月 1 日に間に合うよう結論を得たい」と語った。 経産省によると、容器包装リサイクル法の省令改正を念頭に置く。 同法の所管は環境、経産、財務、厚生労働、農林水産の 5 省にまたがるため、調整を進める。 対象となるレジ袋の大きさや素材、業種、中小企業への配慮策なども検討していく。 レジ袋の有料義務化(無料配布の廃止)は日本政府が先月まとめたプラの資源循環戦略に盛り込まれた。 原田義昭環境相は今月 3 日、東京五輪・パラリンピック前に法令で義務化する意向を表明。 規制手法は今後検討するとした。 しかし、15 日の世耕経産相の表明について事前の調整はなかったといい、環境省関係者は「環境相も事前に知らなかったはずだ。」 足並みは必ずしもそろっていない。 小売業界は対応を迫られる。 大手スーパーなどはすでに有料化を進めているが、コンビニではレジ袋を希望する客が多く、レジ袋の辞退率は 2 - 3 割程度と低い。 大手コンビニの広報担当者は「スーパーと違い、コンビニはふらっと立ち寄る場所。 エコバッグを常に持っている客は少ない。」と話す。 セブン-イレブンは 2030 年をめどにレジ袋使用をゼロにし、紙袋などに変える方針を打ち出しているが、追加の対応を迫られることになる。 (桑原紀彦、伊藤弘毅、土居新平、asahi = 6-15-19) 海洋プラごみ削減で行動計画 政府、G20 で表明 ![]() 海洋プラスチックごみの削減に向けた政府の行動計画案がわかった。 全てのペットボトルを再生など有効利用するよう支援に取り組むほか、海に流出しても影響の少ない素材の開発などを盛り込んだ。 政府は 6 月に大阪で開く 20 カ国・地域 'G20) 首脳会議で対策を議題の柱の一つに据える方針。 日本が先んじて総合的な取り組みを示し、議論を主導する狙いがある。 政府が海洋プラスチックごみの削減に絞って包括的な対策をまとめるのは初めてとなる。 31 日に首相官邸で関係閣僚会議を開いて計画案を確認する。 これを受け、予算措置などの検討に入る。 日本のペットボトルのリサイクル率は欧米を上回っており、飲料業界の取り組みは活発だ。 政府は 100% の有効利用に向けて弾みをつけるため、自動販売機の横にリサイクルボックスを設置することを支援する。 容器の散乱やポイ捨てが海洋ごみの問題につながっているとの認識から、陸上での回収を一段と進めるほか、ボックスに入った容器の回収頻度も上げる。 政府は地方自治体や関係団体に協力を求める。 強制力はないため、補助金などの予算措置で誘導することが想定される。 行動計画には海に流出しても影響の少ない素材を官民で連携して開発することも盛り込んだ。 例えば、海中で分解されるプラスチック素材の開発が想定されている。 イノベーションにより代替素材への転換を進める。 海洋ごみで問題になっている漁具などが対象になる。 このほか、廃棄物処理法や海洋汚染等防止法、条例に違反する投棄の取り締まりを徹底する。 毎年「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」を中心として国、自治体が集中的な監視パトロールを実施している。 こうした監視も強化する。 世界的な取り組みに広げるため途上国に対して法整備の支援や、東南アジア地域でのモニタリング人材の育成なども打ち出す。 海洋プラごみ問題は主要 7 カ国 (G7) など先進国で主に議論されてきた。 日本での開催となる G20 首脳会議やアフリカ開発会議 TICAD) で発展途上国も巻き込む形で協議することで対策を共有する。 国連の推計によると、プラごみは廃棄量が年 3 億トンに及ぶ。 海への流出は年 800 万 - 1,200 万トンとの試算もある。 (nikkei = 5-30-19) 1 万メートル超の深海にもプラスチックごみ、記録達成の潜水で発見
米国の海底探検家が 13 日、有人潜水艇を使って太平洋南端のマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵(かいえん)の潜水に挑み、単独潜水の新記録を達成したと発表した。 チャレンジャー海淵の深さは世界最高の 1 万 927 メートル。 この海底にもプラスチックごみが沈んでいた。 記録を達成したのは資産家のビクター・ベスコボ氏 (53)。 潜水艇で複数回にわたってチャレンジャー海淵に潜り、5 月 1 日に 1 万 927 メートルの海底に到達した。 それまでの深海潜水は、映画監督のジェームズ・キャメロン氏が 2012 年に打ち立てた記録が最高だった。 ベスコボ氏はこの潜水で、生命の起源を探る手がかりとなり得る新種 4 種を発見した。 さらに、海底でポリ袋 1 枚と、キャンディーの包みを何枚か見かけたと伝えている。 マリアナ海溝の深さは、世界最高峰エベレストの標高を上回る。 チャレンジャー海淵には、エビのような姿をした巨大な端脚類や、海底にすむナマコなどが生息していた。 探査チームはこうした生物について、体内のプラスチックの量を調べる検査を行う意向。 チャレンジャー海淵の潜水は、米ディスカバリーチャンネルの番組撮影の一環として実施された。 同番組ではマリアナ海溝など世界の 5 大深海の探査を行っており、次回は 8 月に、まだ未踏の北極海のモロイ・ディープに挑む。 (CNN = 5-14-19) フリース洗浄・庭の洗濯ばさみ … 微小プラ原因、身近に 私たちの生活は、プラスチックに支えられている。 一方で、海に流れ出たプラスチックごみが紫外線などで劣化して細かく砕けた主に 5 ミリ以下の粒「マイクロプラスチック」が、海の生態系に影響を及ぼすと心配されている。 日本近海はマイクロプラスチックの「ホットスポット」。 国外から流れ着くのに加え、日々の生活の中からも発生している。 私たち自身が向き合わなければならない問題だ。 米ジョージア大は、日本から最大年 5.7 万トンのプラスチックごみが海に流出していると推計。 世界で 30 番目に多いという。 九州大の磯辺篤彦教授は「海への流出を減らすためには、私たちの生活で使うプラスチックの総量を減らすしかないだろう」と指摘する。 「海に流れ込んでいるプラスチックは、街でポイ捨てされたものとは限らない」と話すのは、研究している東京理科大の二瓶泰雄教授だ。 街中にあるごみ箱などプラスチック製品がボロボロになって、マイクロプラスチックを生み出すこともあるからだ。 国連環境計画 (UNEP) によると、自動車のタイヤが削れたときに出るカスや、フリースやセーターなどの化学繊維の服を洗濯したときに出る繊維ごみもマイクロプラスチックになるという。 日々の生活のちょっとした工夫で、街中のマイクロプラスチックを減らすことはできる。 例えばプラスチック製の洗濯ばさみ。庭やベランダなどで紫外線を浴び、ボロボロになりがちだ。 破片が排水溝に流れ込み、そのまま河川から海へと流れ出す恐れもある。 住宅街を歩けば、プラスチック製の植木鉢や、植木鉢代わりに使っている発泡スチロールが劣化してボロボロになり、周りに破片が散らばっているケースも見られた。 陶器製の植木鉢を選択するという手もある。 すでに街中に出てしまっているマイクロプラスチックを海に流さないためにできることはないのか。 東京理科大の二瓶教授らが、清掃活動の盛んな東京都練馬区の路上を調べてみると、ほかの都市よりプラスチックごみが少ない傾向にあったという。 「プラスチックごみが細かく砕ける前に、清掃活動で回収してしまうのが効果的だろう。」 (杉本崇、asahi = 3-24-19) 微小プラ、すでに人体に 貝からも検出 健康への影響は 海に流れ出たプラスチックごみが砕けた微小な粒「マイクロプラスチック」。 有害な化学物質を吸着しやすく、生態系への影響が懸念されている。 海の生きものだけでなく、すでに人間の暮らしに深く入り込んでいる。 人間の口に入るものから、マイクロプラスチックが検出される例が相次いでいる。 英ブルネル大は 2018 年、英国のスーパー 8 店で売られている貝を調べたところ、すべての貝からマイクロプラスチックが検出されたと発表した。 推計でムール貝 100 グラムあたり 70 個が含まれているとみられる。 日本でも東京農工大の高田秀重教授らが、東京湾でイワシやムール貝の一種、ムラサキイガイなどから検出しているという。 水道水を調査したのは米ミネソタ大の研究チーム。 米国や英国、イタリア、キューバ、インドなど 14 カ国 159 カ所の水道水を調べたところ、イタリア以外の 13 カ国の水道水からマイクロプラスチックが検出された。 研究チームは「米国など先進国でも多く検出されており、一概に浄水設備の問題とは言えない。 様々な要因が関係していそうだ。」とみている。 マレーシアやフランス、英国などの国際研究チームは、マレーシアで販売されている食塩を調べた。 豪州や日本、フランスなど 8 カ国で製造されたものからマイクロプラスチックが検出された。 研究チームは「健康に影響が出る量ではなかったが、体内に蓄積されるので引き続き調べていく必要がある。」と話している。 マイクロプラスチックはすでに人間の体内に取り込まれている。 オーストリアの研究チームが日本、英国、イタリア、オランダ、オーストリア、ポーランド、フィンランド、ロシアの計 8 人の大便を調べたところ、すべてからマイクロプラスチックを検出した。 便 10 グラムあたり平均 20 個が見つかった。 こうした情報を収集している欧州食品安全機関 (EFSA) は「マイクロプラスチックの人間の体内での挙動や毒性を明らかにするにはデータが十分でなく、有害かどうかを言及するのは時期尚早だ」との見解を公表している。 だが、東京農工大の高田教授らの研究では、魚を食べている海鳥の体内にマイクロプラスチックが原因とみられる有害物質が蓄積していることが分かっている。 (杉本崇、asahi = 2-19-19) 海洋プラごみを抑制、国が東南アジア技術支援へ ![]() 海洋汚染への影響が深刻化するプラスチックごみの排出を抑制するため、環境省は来月以降、主な排出源となっている東南アジア各国への技術支援に乗り出すことを決めた。 海に漂うプラごみなどを分析し、ごみの量の把握や排出ルートの特定に役立ててもらう。 支援対象はインドネシアなど 2 か国を候補に検討している。 世界の海では近年、魚やウミガメ、クジラなどの体内からペットボトルやポリ袋が次々と見つかっている。 米大学研究者らの推計(2010 年、最大値)によると、世界の海を漂う海洋プラごみは 1,275 万トン超。 その内訳を国別にみると、上位 10 か国にはインドネシアやベトナムなど東南アジア 5 か国が入り、排出量の 3 割近くを占める。 環境省は来月以降、東京海洋大や九州大などと連携し、排出源の特定につながる技術を支援対象国の政府や研究機関などに伝える。 具体的には、プラごみを採集する調査船や漁船を使って、海を漂うごみの種類や大きさ、船による発見頻度などから、その海域のプラごみの種類や量を推計する。 一方、プラごみが日光などによって劣化し、細分化された「マイクロプラスチック (MP)」も大量に検出されている。 プラスチックの微粒子が貝や魚に吸収され、それらを食べると人体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。 日本はこれまで、最小 0.35 ミリ・メートルまでの MP を特殊なネットで採集し、材質や分布を調査。 海洋のプラごみの量や排出源について、他国に比べて精度の高い結果を得る手法を磨いてきた。 環境省などは、海上の MP を採集・分析する技術も支援対象国に伝え、ごみの排出量を把握しやすくする。 6 月に大阪市で開かれる主要 20 か国・地域 (G20) 首脳会議ではプラごみ対策もテーマとなる予定で、原田環境相は 1 月、「途上国を巻き込んだ実効性のある取り組みを打ち出さなければならない」と表明していた。 東海正・東京海洋大教授(海洋生物資源学)は「海洋プラごみの発生源や排出量を把握して抑制対策につなげ、各国の環境への意識を変えるきっかけにしたい」としている。 (yomiuri = 3-15-19)
死んだクジラの胃から大量プラスチックごみ 深刻なごみ対策にインドネシア、バスのフリーライド導入
インドネシアのスラウェシ島(旧セレベス島)の東南スラウェシ州ワカトビ県にあるワカトビ国立公園内のカポタ島の海岸に 11 月 18 日、1 頭のクジラの死骸が流れ着いた。 地元の漁民や国立公園関係者さらに環境保護団体メンバーなどが海岸で死骸を調査したところ、胃の中から大量のプラスチック製のごみが出てきたという。 消化されることなく残された胃の中のプラスチックごみが直接このクジラの死因に関係しているかどうかは、死後の腐敗が激しいため特定することはできなかった、としている。 だが今インドネシアなどの東南アジアでは海洋に投棄された大量のプラスチックのごみが海洋の環境汚染だけでなく、海洋生物の生態系にも深刻な影響を与え、プラスチックごみ対策が喫緊の課題であることを、このクジラの死骸は物語っている。 国立公園関係者などによるとカポタ島の海岸に流れ着いたのは体長 9.5 メートルのマッコウクジラで、その胃の中から合計で約 5.9 キロものブラスチックごみが回収されたという。 世界自然保護基金 (WWF) インドネシア支部の発表によると、このマッコウクジラの胃から回収されたのは、@ 硬いプラスチック片 19 個、A プラスチックカップ 115 個、B ビニール袋 25 枚、C ビニールのヒモ 3.26 キログラム、D ペットボトル 4 個、E ビーチサンダル 2 足の合計 5.9 キロという。 世界第 2 位の海洋ごみ排出国 インドネシア政府も海洋のプラスチックごみに関しては問題の重要性を認識して対策に乗り出してはいる。 それというのも米 NGO などの調査で、世界の海洋に投棄されるプラスチックごみはその約半分が中国を筆頭にインドネシア、フィリピン、ベトナム、タイと、アジアの 5 カ国から出されたものであるとの調査結果や、海洋投棄が中国の 882 万トンに次いでインドネシアは 322 万トンという「世界のプラスチックごみ投棄大国」であると指摘されていることが背景にある。 事実、2018 年 3 月には世界的な観光地であるインドネシア・バリ島で大量のペットボトルやストローなどのプラスチックごみが漂う海中をダイバーが泳ぐ映像が FaceBook にアップされ、100 万回以上再生されたこの映像は世界のダイバーとともにインドネシア人にも衝撃を与え、問題解決が急務であるとの認識が広まったとされている。 約 1 万 3,500 の島からなる海洋群島国家インドネシアではごみの河川、海洋投棄がごく当たり前にこれまで行われていた。 しかし近年のプラスチックごみによる汚染問題の深刻化から、政府は 2025 年までに海洋プラスチックごみを 75% 削減し、家庭ごみも 30% 削減するという目標を掲げてゴミ対策に乗り出そうとしている。 インドネシア第 2 の都市ジャワ島東部のスラバヤ市は 2018 年 10 月から、市内のバスにプラスチックごみで乗車できる環境対策を導入した。 乗客はペットボトル 5 個かブラスチックカップ 10 個を持参してバスに乗ると 2 時間乗車できる無料券と交換することができるというアイデアだ。 回収したプラスチックごみは同市が競売にかけて再生業者に売り、得た利益はバス運営や環境対策に当てるというものである。 インドネシア全体のプラスチックごみ対策からみればこうしたスラバヤ市の取り組みはごく小さな規模に過ぎないが、インドネシアが今真剣にプラスチックごみ対策に乗り出そうとしている一例としては注目に値するだろう。 (大塚智彦、NewsWeek = 11-22-18) 太平洋プラごみ 巨大回収装置「出航」 5 年間で半減構想 【ブリュッセル 八田浩輔】 海のプラスチックごみを回収する巨大な浮遊装置が 8 日、米国本土とハワイ沖の間の海域「太平洋ごみベルト」に向け、米西部サンフランシスコ湾を「出航」した。 オランダの非営利組織 (NGO) 「オーシャン・クリーンアップ」が計画。 太平洋ごみベルトのプラごみを 5 年間で半減させる構想だ。 装置は長さ 600 メートル、深さ 3 メートルの U 字フェンス型。 動力源はなく、波や風を利用して海面を浮遊しながら、ごみを捉える。 ごみは専用船で回収し、リサイクルする計画だ。 装置は 10 月中に米西海岸から 2,000 キロ離れた太平洋ごみベルトに到着する見通しという。 海洋生物は装置の下をくぐることができると、同 NGO は説明しているが、回収活動が生態系に悪影響を与えるとの懸念があるほか、計画の実現性に懐疑的な見方も根強い。 約 2,000 万ユーロ(25 億 6,000 万円)の費用は寄付や企業の協賛金でまかなった。 同 NGO と欧米の研究機関の共同調査によると、太平洋ごみベルトには世界で最も多くのプラごみが集積する。 総重量 7 万 9,000 トンで、日本の面積の 4 倍以上の 160 万平方キロに広がっている。 「海の清掃」を意味するこの NGO は、海のプラごみ削減を目的にオランダ人の発明家ボイヤン・スラット氏が 2013 年に 18 歳で設立した。 プラごみによる深刻な海洋汚染には国際的な関心が高まっており、削減に向けた各国で動きが加速している。 (mainichi = 9-10-18) 30 分で柔らかく、吸えなくなる紙製ストロー 試してみた ストリングスホテル東京インターコンチネンタル(東京都港区)は 9 月から原則、ホテル内のレストランなどで紙製のストローを導入する。 カフェラウンジで紙製を試してみた。 目の前に現れたのは、紙を巻いて作られたまっすぐなストロー。 しっかりとした硬さがあり、アイスコーヒーを飲んだところ全く問題なく使えた。 ただ 30 分ほどすると、ストローが湿って柔らかくなり、うまく吸えなくなった。 同ホテルのネイザン・クック総支配人は「日本のホテルでは、欧米と異なり、プラスチック製歯ブラシなどの常備も求められる。 プラスチック問題全体を考えながらベストな選択をしていきたい。」と話す。 紙製ストローは、利便性ではプラスチック製に劣るが、一人ひとりが意識改革を求められており、生活の小さなところから行動を変えていくことが大切ではないかと感じた。 (安田信介、yomiuri = 8-25-18) ◇ ◇ ◇ プラ製ストロー相次ぐ廃止 = 海洋環境配慮、課題も 【ワシントン】 米国などの大手企業でプラスチック製ストローの使用を取りやめる動きが相次いでいる。 廃棄されたストローは海洋を汚染し、生物の体内に取り込まれる問題が指摘されてきた。 数年前から盛り上がる草の根的な廃止運動が企業を動かした形だが、廃止には課題もある。 薄い材質のプラスチック製ストローは海水で微小な「マイクロプラスチック」に短時間で分解され、海鳥やクジラ、魚介類が口にする。 2015 年に投稿された、生きた海ガメの鼻から大量のストロー片が取り出される動画は 3,000 万回以上再生され、反響を呼んだ。 インターネットを介して広まった「ストロー不要」の波を受け、米コーヒーチェーン大手スターバックスは先週、プラスチック製ストローの使用を 20 年までに取りやめると発表。 アメリカン航空も機内で今後使用しない方針を決めた。 追随する動きは広がり、食品業界専門のニュースサイトは「他の企業も『反ストロー主義』を受け入れざるを得なくなる」との見方を示す。 ただ、代替する材料にも課題はある。 堆肥化可能なプラスチック製ストローは高価で、生分解するには専用の施設が必要という。 紙製は水分に弱く、金属製も曲げられない上に、熱や冷たさを伝えやすいデメリットがある。 体に障害を持つライターは米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、障害者がストローなしで直接熱い飲み物を飲めば、やけどをするか、のどを詰まらせる危険性があると指摘。 ストロー廃止運動を「障害者の生活が困難になるという視点が全く反映されていない」と批判した。 (jiji = 7-16-18) コンタクト、プラごみの一因か 米の下水に年間 33 億枚 米国の下水に流されているコンタクトレンズは年間最大 33 億枚に達する - -。 そんな推計を米アリゾナ州立大の研究チームが 19 日、米化学会で発表した。 細かく砕けて環境汚染の原因になるマイクロプラスチックを増やしている可能性があるとして注意を呼びかけている。 研究チームによると、米国のコンタクトレンズの利用者は約 4,500 万人。 ほとんどがプラスチック製のソフトコンタクトレンズを使用し、そのうち「15 - 20% の着用者が流しやトイレに使用済みレンズを流している」ことを調査で突き止めた。 その結果から、米国だけで年 18 億 - 33 億 6 千万枚のレンズが下水に流されていると推測した。 下水に流されたコンタクトレンズは下水処理場に至る。 チームによると、汚泥 2 ポンド(約 900 グラム)当たり 2 枚程度のレンズが見つかるという。 一部のレンズは小さく砕かれたマイクロプラスチックになり、下水処理場の設備を通り抜けて水環境に流出するか、汚泥に含まれて処分場の地中などで拡散している可能性がある。 ただ、詳しい実態は不明という。 研究チームは、メーカーに正しい捨て方の周知や、自然界で分解される樹脂製のレンズを開発するように求めている。 マイクロプラスチックによる環境汚染は近年、世界的な問題になっている。 コーヒーチェーン世界最大手の米スターバックスは、2020 年までに世界の全店でプラスチック製ストローを廃止すると発表。 欧州委員会は今年 5 月、ファストフードの容器など使い捨てプラスチック製品を規制する案を加盟国に示すなど動きが広がっている。 (松尾一郎、asahi = 8-22-18)
生態系守れ 環境にやさしいプラスチック、製品開発次々 植物を原料にするバイオプラスチックや、自然界で分解されるプラスチックの生産増強に向けた動きが目立ってきた。 プラごみが海洋汚染を引き起こし、生態系への影響が懸念されているからだ。 二酸化炭素 (CO2) の排出量を減らす狙いもある。 自動車用品の開発を手がけるミラリード(東京)は 2014 年、植物などの生物資源を原料としたバイオプラスチック事業を立ち上げた。 三重・尾鷲のヒノキ(間伐材)や、静岡・掛川の茶葉、愛知・津島のレンコンを使い、もみ殻や樹皮も扱っている。 愛知県一宮市の工場でそれらを粉砕し、石油由来のプラスチック樹脂を混ぜてペレットにする。 成型業者に卸し、園芸用品やウッドデッキなどに使われる建材となって市場に出回る。 ペレットの生産量は 1 日 2.4 トン。 東山克基社長は「石油資源には限りがある。 バイオプラなら CO2 の排出量も減らせる。」 17 年 12 月に販売を始めたところ、環境志向の高まりで引き合いが多く、工場の増設を計画している。 田中厚二取締役は「身の回りにプラスチック製品はたくさんある。 どんどんバイオプラに置き換えたい。」 20 年までに年間 10 億円の売上高をめざす。 環境省は 14 年度に 8 万トンだったバイオプラの国内出荷量を 30 年度に 197 万トンに増やす目標を立てており、追い風になっているという。 バイオプラは、原料を供給している地元からも歓迎されている。 ミラリードは今後、本格的に三重・桑名市の孟宗竹(もうそうちく)を使う予定で、竹の粉末を同市の NPO 法人「桑竹会」から仕入れる。 放置竹林を整備する団体で、伐採する竹は毎年約 6 千本。竹炭にして土壌改良材として販売してきた。 桑竹会の酒井重信・副理事長 (68) は「切った竹の処理に困っている人は多い。 有効活用になればうれしい。」と話す。(細見るい、asahi = 8-9-18) 一見きれいな東京港、極小ごみの脅威 貝の体内から検出 波穏やかな東京港。 一見きれいな海面にも、潮や風の影響でごみがたまる一角がある。 清掃船が回収すると、貯蔵スペースはペットボトルなどで埋まった。 今、砕けて小さくなったプラスチックごみが世界の海を汚染している。 「マイクロプラスチック」と呼ばれ、一般的に直径 5 ミリ以下のものを指す。 ペットボトルの破片、衣服の化学繊維、プラスチック製品の原料「レジンペレット」など様々な種類があり、陸上から川を通じ、海へ流れる。 東京農工大の高田秀重教授は、魚やプランクトンが飲み込み消化管を傷つけたり、化学物質が生物の体内に蓄積されたりする可能性を指摘する。 山形県の海岸で採取されたサンプルには色も大きさも様々なマイクロプラスチックが含まれ、東京湾で採取したムラサキイガイの体内からも、繊維状のマイクロプラスチックが見つかった。 プラスチックごみを減らす動きは始まっており、6 月にカナダで開かれた主要 7 カ国首脳会議(G7 サミット)では、使い捨てプラスチックの使用削減などを掲げる「海洋プラスチック憲章」が採択された。 しかし、日本と米国は署名を見送っている。 一方で、米国のコーヒーチェーン大手・スターバックスは 7 月 9 日、2020 年までに世界の全店でプラスチック製ストローの提供をやめると発表した。 高田教授は「対策としては、プラスチックの再利用や、自然の中で分解される製品の開発などが考えられる。 しかし、一番大切なのは使用量を減らし、『蛇口を閉める』ことです。」と話す。 (諫山卓弥、asahi = 7-31-18) 貝に微小プラスチック粒子が蓄積 沖縄・座間味で大量に、東京湾も 地球規模の海洋汚染が問題になっているプラスチックの微小粒子「マイクロプラスチック」が、東京湾や沖縄県・座間味島の海岸の二枚貝の中に大量に蓄積していることを東京農工大の高田秀重教授らのグループが 18 日までに確認した。 グループは過去に東京湾のカタクチイワシから見つけているが、貝は海外で検出例があるだけだったという。 生物の体内に取り込まれやすい直径 0.02 - 0.08 ミリのごく小さな粒子が多く「貝の生息や生態系への影響を詳しく調べる必要がある」としている。 2015 - 17 年に東京都と川崎市の東京湾でムラサキイガイなど、座間味島ではイソハマグリの体内を調べた。 (kyodo =6-18-18) 史上初の太平洋遠泳横断へ、仏冒険家の挑戦 難関は「プラごみ」 フランス人のベン・ルコントさん (51) は 5 日、千葉・銚子の海岸からサンフランシスコまで、太平洋約 9,000 キロを泳いで横断する冒険に飛び込んだ。 太平洋を泳いで渡る人類史上初の偉業を達成するには、ルコントさんは大波と対峙するだけでなく、サメやクラゲ、さらには「太平洋ごみベルト」の中も泳がなくてはならない。 スタートから数百メートルは、ルコントさんの息子と娘が一緒に泳いで冒険の始まりを祝った。 その後 2 人は岸に戻り、集まった 70 人の支援者や親族、友人らと抱擁を交わした。 冒険家でもあり環境保護活動家でもあるルコントさんは、今回の挑戦を通じて海洋汚染とプラスチック汚染に対する人々の関心を高めたいと考えている。 彼のサポートチームは、6 - 8 か月かかるとみられる旅の最中に数多くの実験を予定している。 途中、最も困難になるとみられているのが、ハワイ州とカリフォルニア州の間に浮かぶ巨大な「ごみの渦」の中を泳ぐことだ。 このごみの固まりは、ほぼテキサス州と同じ大きさで、絡まり合ったプラスチックが非常に危険だという。 同海域では、サポートチームが海水サンプルを採取してマイクロプラスチックの蓄積について調査する。 挑戦中は全長20 メートルのボート「ディスカバー」号が常時随行する。 ルコントさんは食事や休憩、睡眠をここでとり、朝になると前日に泳ぎ終えた場所まで戻り、泳ぎ始める。 ■ 「いたるところにプラスチック」 スタート直前、ルコントさんは AFP のインタビューに、「身体面よりもメンタル面の方が非常に重要だ。 必ず、常にポジティブなことを考えるか、何かしら思案し続ける必要がある。」と語った。 「頭の中をいっぱいにするものがないと、悪循環に陥ってしまう。そういう時に悪いことが起きるんだ。」 ルコントさんによると、最もつらいのは、朝、海に戻るときだという。 また、毎日 4 - 6 時間泳いだ後には「壁」にぶつかるという。 「心と体、そして痛みや寒さなど自分の体に起きることを切り離すよう努力する。 8 時間のあいだ、何について考えるのかきちんと予定を立ててある。 頭の中を常に忙しくさせていないと駄目なんだ。」 ルコントさんは 1998 年、大西洋を泳いで横断した。 当時は「もう二度とやらない」と誓ったが、自分の家庭を持つとまた海に戻りたいと思うようになったという。 「自分が幼いときは、父親と浜辺を歩いていてもほとんどプラスチックのごみなんて見なかった。 いまは、子どもを連れて行くといたるところにプラスチックが落ちている。」 今回の挑戦では、福島の原発事故による影響を確認するため、放射性物質の測定器も身に着ける。 (Harumi OZAWA、AFP = 6-5-18) ごみ汚染進む地球の海 マリアナ海溝の深海にポリ袋片 水深 1 万メートル超の深海でポリ袋の破片がみられるなど、プラスチックごみが深海にまで到達している実態を、海洋研究開発機構などの研究グループがまとめた。 研究者は、世界中の海が表層から海底までプラスチック汚染にさらされている、と警告している。 機構は、有人潜水調査船「しんかい 6500」などが潜水調査時に撮影した画像や動画のうち、プラスチック片や金属片などのごみが写ったもののデータベースを構築。 研究グループはこれを活用し、太平洋などで 1982 - 2015 年に行われた 5,010 回の潜水調査のデータを分析した。 確認できたごみは 3,524 個、うち 3 分の 1 がプラスチックごみだった。 水深 6 千メートル以上ではこうしたごみが半分以上を占めた。 プラごみの 9 割はポリ袋やペットボトルなど使い捨て製品だった。 最も深くで見つかったのは、太平洋のマリアナ海溝の水深 1 万 898 メートルの海底にあったポリ袋の破片だった。 同機構地球環境観測研究開発センターの千葉早苗・主任研究員は「陸から遠く離れた深海まで、私たちの日常生活の影響が及んでいる。 プラスチック汚染の観測手法を確立し、国際的な観測ネットワークを作って、効果的な対応策を検討していくことが必要だ。」としている。 (川村剛志、asahi = 5-19-18) 海氷によって北極海に運ばれるマイクロプラスチック 大量のマイクロプラスチックが海氷に捕捉され、北極海全域に運ばれていることを報告する論文が、今週掲載される。 この新知見は、海氷がマイクロプラスチックの一時的な貯蔵庫として働いていることを実証し、気候変動によって海氷の融解が進むと大量のマイクロプラスチックが海洋に放出される可能性があることを裏付けている。 今回、Ilka Peeken たちの研究グループは、氷床コアに含まれるマイクロプラスチック(5 ミリメートル未満のプラスチック)の組成と海氷の漂流軌跡を分析し、海氷成長モデルを用いて、海氷の成長過程でマイクロプラスチックが海氷に捕捉された海域を同定した。 海氷に捕捉されたマイクロプラスチックのポリマー組成は、氷床コアによって異なっていることが判明し、海氷の起源水域ごとに独自のポリマー組成が同定された。 また、Peeken たちは、今回の研究で用いられた海氷試料の起源がアメラジアン海盆とユーラシア海盆にあり、その大部分が、主要な北極海流の 1 つである北極横断流によって北極海中央部に運ばれてきたことを実証した。 Peeken たちは、北極海中央部におけるマイクロプラスチックの分布がこれまで考えられていた以上に複雑であり、海氷が融解してマイクロプラスチックが放出されると、それらは北極海の表層から深層まで全体にわたって分布する可能性があると主張している。 (Nature Communications = 4-25-18) |