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本人同意ないままマイナ保険証の利用登録、新たに 27 件確認

マイナンバーカードを健康保険証としても使う「マイナ保険証」に関して、厚生労働省は 22 日、本人の同意なく利用登録された事例が新たに 27 件あったと発表した。自治体の事務手続きの誤りが原因で、対象すべての登録を解除した。 誤登録は計 38 件となった。 新たに確認されたのは東京や大阪など 19 都道府県の 27 市町。 マイナンバーカードの取得などで得られる「マイナポイント」の申し込みを支援する自治体などの窓口で、本人の意思確認などをしないまま手続きされていた。 同意なく登録された場合、同省は自治体からの申し出を受けて、個別に解除している。 今後も申し出があれば対応するという。 (吉備彩日、asahi = 9-22-23)

〈編者注〉 基本的に遅かれ早かれ「保険証」は使えなくなることをちゃんと説明しているのかどうか? 「本人の同意なし」は勿論ダメだけれど、片手落ちの説明だけはやめてください。


マイナ保険証 77 万人使えず … ひもづけ未了なぜ? 本人気づかぬ事情

マイナンバーカードの「マイナ保険証」で、また新たな問題が浮上した。 マイナンバーと医療保険情報がひもづけされず、マイナ保険証として使えない状態になっている人が約 77 万人に上ることが厚生労働省の調査でわかった。 岸田文雄首相は 24 日、11 月末までをめどにひもづけ作業を完了するように厚労省に指示。 「カードに対する信頼回復のためには国民目線に立って、個々の課題に迅速に対処していく」と述べ、使えない状態になっていたことを急ぎ本人に知らせることも指示した。

なぜこうした事態が生まれたのか。 マイナ保険証の利用を開始するには、二つの手順が要る。 一つは健康保険組合などの保険者が、保有する加入者のデータと、それぞれのマイナンバーをひもづける作業。 もう一つは、カードを持つ本人が専用サイト「マイナポータル」やコンビニ ATM、医療機関に設置されたカードリーダーなどで、マイナ保険証の利用登録の申し込みをすることだ。 この両方がそろって、初めてマイナ保険証が利用可能となるが、今回明らかになった約 77 万人は、前者の作業が済んでいなかった。

管理を嫌がる事業主も

作業が滞っていた原因は、加入者のマイナンバーがひもづけをする保険者側に提出されていなかったためだという。 各保険者は、マイナ保険証の運用に先立ち、2017 年からひもづけ作業を進めてきた。 マイナンバーは本来、加入者が事業主に届け出て、それが保険者に提出されてひもづけられる。 しかし、実際には本人がマイナンバーを提出しなかったり、事業主がマイナンバーの管理を嫌がって収集しなかったりするケースもあるという。 マイナンバーカードの取得率が低かった当初は、マイナンバーが記載された通知カードの認知度も低かったために、全員から届け出てもらうのが難しかった面もある。

マイナンバーが提出されないと、保険者は住民基本台帳のシステムを使って、加入者のマイナンバーを検索することになる。 氏名や生年月日、性別、住所を手がかりに探すが、加入後に結婚して名前が変わったり引っ越しで住所が変わったりしたことが、保険者側の情報に正しく反映されていないと突合できず、ひもづけができなくなる。 厚労省によると、こうした事情でひもづけられず未登録のままとされた人が 21 年 8 月時点で、協会けんぽだけで約 92 万人いた。 その後も、各保険者が事業主にマイナンバーの提出を呼びかけるなどして未登録を減らす作業は続けてきたが、現時点で協会けんぽや健保組合などの加入者約 8 千万人の約 1% が未登録として残っていたことになる。

加入者にとって問題なのは、マイナ保険証の利用登録が済んでいると思って医療機関に行っても、未登録で使えない可能性があることだ。 厚労省によると、マイナ保険証の利用申し込みをする場合、マイナポータルでは、ひもづけが未了の人にはエラー表示が出て気づくことができる。だが、自治体の窓口で利用申し込みとポイント付与の手続きをすると、ひもづけが未了の人でもポイントが付くことになり、本人が気づかない状況が起きうるという。 実際、協会けんぽによると、「(未了のため)医療機関でマイナ保険証が使えなかった」との問い合わせが複数寄せられているという。 厚労省は 9 月から順次、各保険者からデータが未登録の人に連絡してもらい、マイナンバーの提出を求めていく。 (村井隼人、asahi = 8-28-23)


マイナ保険証で窓口負担異なるトラブル続出 規模不明、厚労省調査へ

マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」で、患者が医療機関の窓口で使う際、本来とは違う患者負担が表示されるトラブルが続出している。 厚生労働省が調査する方針だが、現状ではミス全体の規模は把握できていない。 医療現場からは不安の声が上がっている。 窓口負担が違うミスは千葉市で 6 月に見つかった。 その後、各地でも判明。 全国保険医団体連合会が医療機関に聞き取り調査(7 月 14 日 - 8 月 1 日)をしたところ、21 都府県の計 370 機関からトラブルが報告された。

千葉県船橋市の診療所では、70 歳以上の高齢者がマイナ保険証を使ったときに本来とは違う「3 割負担」と誤表示されるトラブルが 4 月から相次いで起こった。患者が受け付けの際にカードリーダーの画面上で高額療養費制度の「限度額情報の提供」に同意しなかった場合に生じているという。

「これ以上はどうしようもない」

トラブルは月に数回程度あるといい、担当者は「医療機関側は窓口でマイナ保険証の手続きを本人の代わりにできない。 『同意してください』と指示も出せないので、同意しなかった人にはいちいち声をかけて、紙の保険証で正しい負担割合を確認させてもらったりしている」と話す。 機器のメーカーに問い合わせると、「システム上そうなってしまう」と回答された。 その後、9 月に改修すると返事があったという。

75 歳以上の後期高齢者医療でもトラブルが起きている。 神奈川県後期高齢者医療広域連合には「マイナ保険証の負担割合の登録が間違っているのではないか」との相談が医療機関から寄せられている。 ただ、広域連合側では正しい負担割合が登録されていたといい、担当者は「コンピューターとマイナ保険証の間で何かトラブルがあるのではないか」とみている。 6 月には神奈川県や同県内の市町村などと連名でトラブル解決を求める要望書を厚労省に提出。 しかし、現時点で国から原因は知らされておらず、「これ以上はどうしようもない」と困惑する。

厚労省によると、診療報酬請求を行うコンピューターと連携するときに誤って独自の負担割合を算出するミスが一部で生じる可能性があるという。 ただ、こうした問題について注意喚起をしているのはシステム業者のみが閲覧できるサイト内に限られる。 本人が気づかないまま、誤った金額で支払っている恐れもあるが、医療機関や患者に積極的に広報していない。 同省の担当者は「追加の周知の必要は検討したい」としている。

さらに千葉市で最初に発覚したトラブルは、市職員がシステムの詳細を把握していなかったことによる入力ミスが原因とみられ、市内ではその後も同様のミスが数件見つかった。 同省は「千葉市と同様のシステムを入れているところではミスが発生している可能性がある(国民健康保険課)」とする。 実際にトラブルに巻き込まれた診療所の担当者は「保険証を信じればいいのか、マイナ保険証を信じればいいのかわからない」と話す。 同省はトラブルの主な原因はシステム上の連携の不具合や自治体職員らの入力ミスにあるとみるが、「すべてのケースを把握していないかもしれない。(担当者)」 調査のうえ対策を検討するとしている。 (村井隼人、asahi = 8-20-23)


マイナ保険証、40 万人ひもづけされず 利用できない状態

マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」で、少なくとも約 40 万人がデータのひもづけがされずに利用できない状態になっていることがわかった。 保険者では最も多い加入者がいる中小企業の全国健康保険協会(協会けんぽ)が 16 日、取材に明らかにした。 本人や事業主がマイナンバーを提出していないことで作業が滞っているのが主な原因とみられるという。 マイナ保険証は、加入する公的医療保険の保険者が加入者情報とマイナンバーをひもづけた上、加入者本人がマイナ保険証の利用登録をすることで使えるようになる。 協会けんぽによると、マイナンバーとのひもづけ作業は 2016 年から開始。

ただ、マイナンバーが提出されないことなどから今年 3 月末時点で、加入者約 4 千万人のうち 1% (約 40 万人)について、ひもづけ作業が完了できていないという。 加入者側からマイナンバーが未提出の場合、住民基本台帳のシステムを使って氏名や生年月日、性別、住所が一致するマイナンバーを入手してひもづける。 ただ、システム上の加入者の住所と協会けんぽ側が持つ住所データが一致しないことが少なくなく、そのケースではひもづけできない。 協会けんぽは 18 年と 21 年に事業主にマイナンバーの提出を呼びかけたが、応じない事業主もあるという。 協会けんぽだけでなく、ほかの健康保険組合などでもひもづけができていない状態が起きている可能性がある。 (村井隼人、asahi = 8-16-23)


マイナ保険証の誤登録 新たに 1,069 件 年金ひも付けミス 118 件 総点検「11 月末までに」と岸田首相

岸田文雄首相は 8 日午後、トラブルが相次ぐマイナンバーカードを巡る総点検本部の会合であいさつし、総点検について「原則として 11 月末までに個別データの点検を実施してほしい」と述べた。

  • 登録ミスは計 8,000 件超 今後増える可能性も

    本部長を務める河野太郎デジタル相は終了後の記者会見で中間報告を公表。 マイナカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」に他人の医療情報が誤ってひも付けされたケースについて 1 日現在、新たに 1,069 件確認したことを明らかにした。 このうち実際に薬剤情報などが閲覧されていた事例は 5 件あった。 総点検本部によると、2021 年 10 月から今年 5 年 22 日までに誤ったひも付けが確認されたのは 7,372 件。 このうち実際に薬剤情報などが閲覧されていた事例は 10 件だった。 政府は今年 5 月、全国の健康保険組合などに 7 月末までに登録データを点検するよう要請。 その結果、マイナ保険証の誤登録の件数は 8,441 件、閲覧件数は 15 件となった。

    総点検本部によると、転職や転居により被保険者資格を失った人などに関する 55 万件の確認作業を現在実施中で、誤登録数は今後増える可能性がある。 岸田文雄首相は 4 日の記者会見で来秋に健康保険証を廃止しマイナカードに一本化する方針を当面は維持する考えを示した上で、今年秋までの総点検の結果を踏まえて「さらなる期間が必要と判断される場合には必要な対応を行う」と、進み具合によっては、点検作業の状況次第で保険証廃止の先送りにも含みを持たせている。

  • 障害者手帳のひも付け 自治体 2 割で不適切作業

    マイナンバー制度で相次ぐトラブルを受け、総点検本部はマイナカードの個人向けサイト「マイナポータル」で閲覧できる医療や年金など 29 項目を総点検している。 マイナ保険証以外でも、地方公務員や国家公務員の共済組合での年金情報ひも付けミスが 118 件あった。 すでに修正済みで、政府は「年金支給額に影響はない」としている。 マイナンバーと障害者手帳とのひも付け作業が不適切だった自治体が、都道府県や政令指定都市、中核市など障害者手帳を発行する計 237自治体のうち 2 割程度の 50 自治体に上ることも明らかになった。 このうち、静岡県で 62 件、宮崎県で 2,336 件、鳥取市で 485 件、それぞれひも付け誤りがあったことから、総点検本部は 237 自治体すべてで「個別データ総点検」を実施する。 (東京新聞 = 8-8-23)

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