民泊仲介大手エアビー社に独禁法違反の疑い 公取委検査 民泊物件の仲介サイト運営で世界最大手の米 Airbnb (エアビーアンドビー)が、物件の貸主側に対し、ほかの民泊仲介サイトと契約しないよう求めた疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で同社の日本法人(東京)に立ち入り検査をしていたことがわかった。 民泊は、空き部屋などを旅行者に貸し出す仕組み。 物件の多くは、所有者から依頼を受けた代行業者が運営しており、業者はインターネットを通じた物件掲載の契約を仲介サイトと結んでいる。 関係者によると、エアビー社は国内の複数の代行業者から物件掲載の依頼を受ける際、ほかの民泊仲介サイトには掲載しないよう求めて契約していた疑いがあるという。 独占禁止法は、ライバル社の取引を不当に制限し、新規参入を妨げる契約手法を禁じている。 公取委はエアビー社の契約内容は「不公正な取引方法」にあたる恐れがあると判断した模様で、今年 10 月に立ち入り検査をしたという。 同社は「掲載の条件として他のサイトとは取引しないように要求した事実は一切ございません」と反論するコメントを出した。 訪日外国人客の増加に伴う民泊需要の高まりを受け、エアビー社は業績を拡大。国内で登録された物件は約 5 万 8 千件にのぼる。 (asahi = 11-17-17) 民泊の税逃れ、国税が集中調査 まず京都、張り込みも 訪日客の急増とともに広がる民泊の運営者の税逃れ対策に、国税当局が本腰を入れ始めた。大阪国税局は、特に民泊の需要が高いとみられる京都を足がかりに集中調査を進める。 ヤミ民泊、運営者に追徴課税 情報収集、京都市も協力 京都市内の、あるオートロック式マンション。 入り口からは中の様子はうかがえない。 物陰に潜み、人の出入りを長時間、見張っていた人物は、スーツケースを引いた外国人が現れると目を凝らした - -。 税務署員による、民泊の「外観調査」の一幕だ。 民泊と特定した建物の周囲に張り込み、利用者数や滞在日数を調べ、稼働実態から売り上げなどを推計する。 昨年以降、情報収集を重ねてきた。 旅行者を空き部屋などに有料で泊める民泊は、数年前から飛躍的に広がった。 特に外国人の人気が根強く、年間に国内外から 5 千万人以上が訪れる京都市でも、副業で民泊を始める個人や法人が相次いだとされる。 増え続ける旅行者に宿泊施設の供給が追いついていないことが背景にある。 京都市の推計では、市内に民泊施設が少なくとも 5 千件あり、2016 年には中高生ら修学旅行客と同規模の約 110 万人が利用したとみられる。 旅館業法に基づく宿泊施設も増え、特にホテルや旅館並みの設備のない「簡易宿所」の伸びが顕著で、民泊運営者が申請を進めている可能性もある。 しかし、旅館業法上の許可のない違法営業が依然大半を占めるとみられ、正確な施設数や稼働実態をつかみきれないのが現状だ。 国税局は所得の申告漏れや課税漏れが多発している可能性が高いと判断。 民泊調査を先行して行っていた京都・下京税務署に約 1 1年前、プロジェクトチームを置き、運営者の所得や納税状況を把握する集中調査に乗り出した。(岡野翔、asahi = 8-17-17) 「マンションで民泊やめて」 大阪の管理組合が提訴 部屋に有料で旅行者を泊める「民泊」を手がけるのは管理規約違反だとして、大阪・ミナミにある分譲マンションの管理組合が 3 日、部屋の所有者や管理代行業者らに対し、営業の停止や計 3,267 万円の損害賠償などを求める訴訟を大阪地裁に起こした。 訴状などによると、マンションは約 100 戸で、数年前からスーツケースを持った多数の外国人観光客が出入りするようになった。 飲酒して暴れたり、たばこの吸い殻が共用部分に捨てられていたりしているという。 所有者でつくる組合は民泊を禁止するため、2016 年 10 月に管理規約を改定。 所有者側に申し入れをしてきたが、改善されなかったという。 管理組合代理人の辻岡信也(しんや)弁護士によると、民泊行為が確認できたのは 5 戸でうち 2 戸は中国在住者が所有。 「訴状を海外送達することになり、住所が違っていた場合には、現地調査など膨大な費用が発生する可能性もある」と話す。 大手民泊仲介サイトに登録されている部屋もあり、サイト側に削除を求めているが掲載されたままという。 民泊の実態を調査するサイト「民泊ポリス」を運営する「オスカー(東京都渋谷区)」代表の中込元伸さんによると、大手民泊仲介サイトで大阪はたびたび紹介されているが、人気に比例して地域住民からの苦情も増えているという。 「騒音やマナーへの苦情は非常に多い。 今後、こうした訴訟は増えていくのではないか。」と話している。 (大貫聡子、asahi = 8-3-17) 「ヤミ民泊」ゴミ投棄に吸い殻 … 住民「引っ越したい」 無許可で営業する「ヤミ民泊」とはどんなものなのか。 今月、大阪市内のある一室に記者が泊まってみると、外国人旅行者が次々と出入りする光景があり、近隣トラブルに悩む住民らの姿が見えてきた。 インターネットを通じた民泊仲介の最大手「Airbnb (エアビーアンドビー)」でアカウントを取得し、大阪市の繁華街・ミナミで 1 泊約 7 千円の部屋を見つけた。 予約すると、所在地と 4 けたの暗証番号がメールで送られてきた。 予約するまでは、細かい住所はわからない仕組みだ。 現地は、繁華街に近い 10 階建てのオートロックのマンション。 玄関脇のフェンスには、部屋番号が書かれた南京錠のような、鍵を収納するキーボックスが 20 個ほど無造作にぶら下がっていた。 暗証番号をそろえてキーボックスを開けると、泊まる部屋の鍵が 1 本あった。 自分の部屋はワンルームで、調理道具や洗濯機、シャンプー、タオルなどもあり、掃除が行き届いていた。 Wi-Fi (ワイファイ)も使える。 マンション自体は 40 部屋以上あった。 大半が「ヤミ民泊」とみられ、外国人客が頻繁に出入りしていた。 オーストラリアから来た男性 (34) もエアビーで予約した。 「初めて泊まったがとても快適。 宿泊費を安く抑えられた分、観光に金を使えた。」と笑顔を見せた。 アジア系の家族連れやカップル、日本人旅行者の姿もあった。 一方、2 年前からこのマンションに賃貸で住む 50 代の女性は、隣室が民泊だという。 1 年前から外国人客が出入りし、ルールを守らないゴミの投棄も目立つようになった。 ベランダ越しにたばこの吸い殻を投げられたこともある。 女性は「管理会社に苦情を言っても対応してくれず、もう引っ越したい」と嘆く。 管理会社の担当者は朝日新聞の取材に対し「民泊はマンションのオーナーがやっている。 オーナーは海外にいるため、詳しくはわからない。」と話した。 (中島嘉克、asahi = 6-13-17) 民泊ごみ、別のマンションに不法投棄容疑 2 人書類送検 民泊で出たごみを別のマンションのごみ置き場に不法に捨てたとして、京都府警は 31 日、民泊を運営する京都市左京区の不動産会社と、いずれも中国籍の同社元社員の男 (31) と社員の男 (23) を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで書類送検し発表した。 2 人は「ごみ置き場がいっぱいになったので捨てた」と容疑を認めているという。 下京署によると、2 人は 2 月 24 日、民泊施設として管理する同市中京区などのゲストハウスやマンションの 3 カ所から出たごみ計約 6.9 キロを、下京区内にあるマンションのごみ置き場に不法に捨てた疑いが持たれている。 2 人は車でごみを運んで捨てたと供述。 ごみは空き瓶や段ボールなどが目立ったという。 下京区のマンション住民から通報を受けた署員が、ごみ置き場でごみを捨てている 2 人を発見した。 (asahi = 5-31-17) ブッキング・ドットコム、日本でも民泊仲介を開始へ 世界有数の宿泊予約サイト、ブッキング・ドットコム(オランダ)のギリアン・タンズ CEO (最高経営責任者)が 29 日、朝日新聞のインタビューに応じ、旅行者を住宅に泊める「民泊」の仲介を日本でも始める考えを明らかにした。 有力サイトの参入で、民泊の普及が広がりそうだ。 民泊のルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)案が今国会で成立すれば、来春に施行される見込み。 その直後から、サイトに日本で民泊ができる施設を掲載する考えだ。 タンズ氏は「東京五輪もあり、日本市場は急速に拡大しているが、宿泊施設の供給不足が続いている。 民泊が広がれば、訪日客をさらに取り込める」と説明した。 サイトは世界で 120 万軒超の宿泊施設を掲載し、半数以上が住宅や別荘などの民泊用だという。 日本の施設は、ホテルや旅館など約 1 万 2 千軒。 国家戦略特区で合法化された物件など一部を除き、民泊用施設の掲載を見合わせてきた。 タンズ氏は「掲載物件が増えるに従い、日本人も使うようになる」とも述べ、日本人の国内旅行での利用増にも期待を示した。 掲載中の日本のホテルや旅館も、もともと訪日外国人客の利用が多かったが、最近は日本人客が急増しているという。 国内の観光地での、日本文化体験ツアーの販売も計画中だという。 日本には民泊仲介の専門サイト、米 Airbnb (エアビーアンドビー)が進出済みで、約 5 万 1千軒を掲載し、昨年は延べ 370 万人超に利用されている。 ほかに外資系大手や日本勢も参入の機会をさぐっており、競争は激しくなりそうだ。 (森田岳穂、asahi = 5-29-17) 民泊新法案の営業日数制限に懸念 規制改革会議 政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)は 23 日、住宅に旅行者を有料で泊める民泊のルールづくりなどをテーマに都内で会合を開いた。 出席者から年間営業日数を自治体が条例で制限できる政府の法案について「過剰な規制にならないよう歯止めをかけるべきだ」との意見が多く出た。 政府は 2020 年に訪日観光客を 4 千万人にする目標を掲げており、不足する宿泊施設の受け皿として民泊を普及させたい考え。 政府が通常国会に提出予定の住宅宿泊事業法案(民泊新法)は民泊の営業日数に年 180 日の上限を設定。 都道府県や政令市が独自に条例を定めれば営業日数を「0 日」にすることも可能だ。 この日の会合では、多くの自治体が条例で営業日数を制限し、民泊の普及を阻害する可能性を懸念する声があがった。 制限を認める日数や騒音レベルなどに関し「合理的な範囲になるよう政府が政令で基準を定めるべきだ」との指摘もあった。 (nikkei = 2-23-17) 民泊、最低 2 泊 3 日から利用可能に 6 泊 7 日から緩和 政府は 25 日、マンションなどの空き部屋に旅行客を泊める「民泊」の宿泊日数を、現在の最低 6 泊 7 日から、2 泊 3 日に緩和する政令を閣議決定した。 31 日に施行する。 対象は、国家戦略特区で民泊を認めている東京都大田区や大阪府門真市、北九州市など 37 市区町村。 これまで感染症の予防・拡大防止を理由に最低 6 泊 7 日の宿泊を義務づけていたが、短期滞在でも利用しやすくし、訪日客増加によるホテル不足の解消につなげる。 トラブルを防ぐため、近隣住民との調整と宿泊者名簿の設置も政令で義務づける。 (asahi = 10-25-16) Airbnd、釜石市と提携 民泊で地域活性化目指す 民泊仲介大手の米 Airbnb (エアビーアンドビー)は 20 日、岩手県釜石市との間で、農林漁業をしている家への民泊などで市内観光を促進し、地域を活性化させる覚書を結んだ。 同社が国内の自治体と覚書を締結するのは初めて。 釜石市は、2019 年に日本であるラグビーワールドカップの試合開催地の一つ。 1 万 6 千人収容可能なスタジアムを整備するが、市内の宿泊施設は 1 千人強が泊まれる程度にとどまる。 そのため、Airbnb と協力し、一時的に膨らむ宿泊需要に民泊で対応することも検討する。 釜石市は 11 年の東日本大震災で大きな津波の被害にあった。 Airbnb 共同創設者のジョー・ゲビア氏は 20 日の記者会見で、同市が災害にあった場合、登録してある各地の民泊を避難先として無料で活用してもらう支援策も表明した。 (asahi = 10-20-16) 民泊のルール整備、試行錯誤 政府、規制緩和へ本腰 旅館・ホテルは猛反発 内需が先細りする中、成長戦略の一環として外国人観光客増を目指す安倍政権は民泊の本格導入に向け、規制緩和を進めている。 国家戦略特区で先行的に認めているほか、無許可営業の実態も踏まえ、民泊の営業ルールなどを定める新法の制定も視野に入れる。 訪日外国人数は昨年、前年比 5 割増しの約 1,974 万人となるなど急増。 首都圏や京都、大阪でも既にホテル稼働率が 8 - 9 割に上るため、民泊で宿泊機能を "補完" するのが狙いだ。 国家戦略特区では、指定地域で旅館業法を適用せず民泊を認めることとし、東京都大田区や大阪府が昨年、導入。 それぞれ条例で細かなルールを定める。 北九州市も郊外での「自然体験」や「地域交流」を目的にした民泊の導入を決め、年内に条例を策定する。 一方で、旅館業法そのものを今年 4 月に改正。 狭い部屋でも宿泊に提供できるよう要件を緩和した。 旅館業は消防設備を義務付ける消防法や建築基準法などもクリアする必要があるため、新法は民泊をホテルや旅館と「別もの」とし、要件や手続きも大幅に簡素化する方向だ。 ただし旅館・ホテル業界は「営業を圧迫する」、「不公平」などと猛反発。 民泊の年間営業日数を制限するよう訴えるなど調整がつかず、政府は今国会への新法案提出は見送った。 不動産業界は民泊 "解禁" を歓迎。 三好修・全国賃貸住宅経営者協会連合会長は「宿泊の選択肢を増やせば観光客の総数が増え、空き家の有効活用にもつながる」とみる。 本人確認や防犯対策の懸念についても「ウェブカメラや出入り履歴を記録するカードキーの活用など、 IT 技術で簡素化できる面もある」と話す。 自治体側も試行錯誤を続ける。 福岡市は昨年末、イベント開催時に自治体の判断で民泊を認める国の特例制度を活用した「イベント民泊」を実施。 ただホームステイに限定するなどしたため、実績は 4 件にとどまった。 治安への不安などから市議会では懐疑的な声も根強く、市は民泊解禁を慎重に判断していく方針。 京都市は昨年度、独自に民泊を実態調査し、指導を強化。 当面は旅館・ホテルや住民と「古都にふさわしい民泊」のあり方を探る。 千相哲・九州産業大教授(観光学)は「家主の同意が前提になるホームステイ型から段階を追って規制緩和するのが現実的」と指摘。 「利用ルールを明確に定めたモデルケースを行政が示すべきだ」と言う。 (西日本新聞 = 10-7-16) 無許可で「民泊」経営の疑い、都内の 2 社を書類送検 外国人観光客向けに無許可で「民泊」をさせたとして、警視庁は 13 日、再生エネルギー関連会社「ハイブリッド・ファシリティーズ(東京都港区六本木 6 丁目)」、親会社の「ピクセルカンパニーズ(同)」と、この 2 社の役員や社員ら計 6 人を旅館業法違反(無許可経営)容疑で書類送検し、発表した。 下谷署によると、書類送検容疑は 5 月、台東区長から旅館業の許可を受けずに、同区竜泉 2 丁目のマンションでシンガポール人やベルギー人の観光客計 4 人を民泊させたというもの。 「許可が必要だと知っていたが、取り締まりを受けることはないと思っていた」といずれも容疑を認めているという。 ハイブリッド・ファシリティーズは、昨年 5 月から 3LDK の賃貸マンション 3 部屋を使って計 6 室分で民泊事業を営み、約 1 年間で約 1,300 人を民泊させて計 1,323 万円を売り上げていたという。 同社は都内の別のマンションでも民泊事業をしていたといい、同署の捜査を受けて事業からの撤退を 6 月に発表。 ピクセルカンパニーズの担当者は「事実関係を確認中で答えられない」としている。 (asahi = 7-13-16) 「いたずらに反発招く」貸し手に戸惑いも 「民泊」有識者会議報告書 一般住宅に有償で客を泊める「民泊」の新法制定に向けた厚生労働省と観光庁の有識者会議の報告書が 20 日、まとまった。 インターネットの簡単な届け出で住居専用地域での営業が可能となる一方、民泊提供が外部から分かるよう「標識」を掲げることなどが義務付けられる。 だが、既に民泊を行っている貸し手から「いたずらに近隣住民の反発を招く」との声があるほか、独自の規制を検討する自治体もあり、なお課題も残る。 「(新法は)車の法定速度みたいなもの。 きっちり速度を守ることにメリットはない。」 東京都三鷹市に所有するマンションの一室を民泊として提供する男性 (63) はこう話す。 男性は昨年 5 月以降、自宅とは別に妻の仕事部屋として使用していた 3LDK の部屋を民泊として貸し出す。 これまで「三鷹の森ジブリ美術館」目当ての海外観光客など約 80 組が宿泊、100 万円近くの収入を得た。 「収入以上に、一緒に食事に行くなどの交流が楽しみだった」という。 騒音などのトラブルはなかったが、最近になって近隣住民から「見知らぬ外国人の出入りは気持ち悪い」と苦情があり、管理組合が規約を変更。 民泊禁止が盛り込まれた。 男性は別のマンションを探し、民泊を継続する予定という。 「民泊新法」を見据えた報告書によると、民泊は住宅地を含め "全面解禁" とするが、管理規約で禁じるマンションでは営業できない。 また、宿泊者のパスポートの写しを含む名簿の作成や、外部から民泊提供が分かるような標識の掲示、男性のケースのような「家主不在型」では、標識に管理者の連絡先を示すことも義務付けるなど、防犯対策が新たに加わる。 男性は「届け出は国がお墨付きを与えてくれるものではない。 標識を掲示すれば近隣住民が反発し、民泊がやりにくくなるのは間違いない。 届け出が簡単とはいえ、今の貸し手で届け出る人は限定されるのではないか。」と予想した。 こうした住宅地での民泊拡大を懸念する自治体もある。 京都市議会は今月、国に対し、地域の現状に応じた運用ができる法制化を求める意見書を可決。 市担当者は「条例などで(規制の)網をかけていくか考えたい」と警戒する。 報告書では、違法民泊への罰則引き上げや、行政による立ち入り権限を明記。 取り締まり業務の一部は民間委託を想定している。 だが「啓発活動は委託できても、踏み込んだ指導などはできないだろう。 (違法民泊)すべてを網羅するには人手も必要。(京都市担当者)」なのが実情だ。 条例でワンルームでの民泊営業を禁止している東京都台東区でも、「新法の詳細をみて対応を検討したい(担当者)」としている。 (sankei = 6-21-16) ホテル「迷惑客お断り」 OK に 民泊に合わせ法改正へ 厚生労働省は 10 日、ホテルや旅館などで「迷惑客」の宿泊を断れるように旅館業法を見直す方針を有識者検討会で示した。 訪日旅行客の増加をにらみ、空き部屋などに有料で泊める「民泊」を営みやすくする狙いだが、障害や人種による差別など合理的でない拒否はできないように条件は残す。 今年度中に同法改正案を国会に提出する。 敗戦直後の 1948 年施行の同法は、だれでも寝場所を確保できるよう、伝染性の病気の客や賭博など違法行為の恐れがある客らを除き、原則として宿泊拒否を罰則つきで禁じている。 世界的に広がってきた民泊の大手仲介サイトでは、客から民泊提供側(ホスト)への評価とともに、ホスト側が騒音やごみ投棄など迷惑行為があったか登録客ごとに評価し安全を担保するシステムがあり、評価の低い客を断れる実態がある。 民泊を法規制の対象にした上で普及させていくには、迷惑客拒否を認める必要があると厚労省は判断、現在は多くの宿泊施設があり、拒否制限の意義も薄れたとして大幅に緩和する。 法改正されれば、民泊で女性オーナーが「女性客だけを泊めたい」といった営業ができるほか、大人専用のホテルや旅館などが増え、利用者の選択肢が広がる可能性もある。 ただ、恣意(しい)的な差別の宿泊拒否につながる恐れもある。 (竹野内崇宏、asahi = 6-11-16) 民泊特区 1 カ月、宿泊ゼロ … 6 泊規定緩和要望 大阪知事 マンションの空き室などに旅行客を泊められる国家戦略特区「民泊」の制度が大阪府内で 4 月に始まって 1 カ月あまりたつが、まだ宿泊客がいない。 状況を打開しようと、松井一郎知事は 10 日、最低滞在日数の規定を 6 泊 7 日から 2 泊 3 日に緩和するよう政府側に要望した。 東京都内であった国家戦略特区の会議で示した。 石破茂地方創生相とも会談し、大阪市で制度が始まる 10 月をめどに緩和を実施するよう求めたという。 旅館業法では宿泊料を取って客を泊める場合、自治体の営業許可が必要。 特区民泊は許可の基準が緩和される。 1 月に東京都大田区、4 月に大阪府内 33 市町村で始まったが、府内で認定されたのはまだマンションの 1 室のみ。 宿泊客もいない。 大田区でも認定は 13 件(36 室)のみだ。 (上田真由美、asahi = 5-11-16) 京都市内の民泊、7 割が違法営業か 市が実態調査 京都市がマンションの空き部屋などに客を泊める「民泊」の実態を調べたところ、市内には約 1 万 2 千人が宿泊できる 2,702 施設があり、このうち少なくとも 7 割の 1,847 施設が、無許可で違法に営業をしている可能性が高いことがわかった。 市は「無許可の施設には営業を中止するよう指導する」とするが、タイプによっては営業しやすくすることも検討する。 9 日、市が市議会の経済総務委員会に報告した。 最大規模の「Airbnb (エアビーアンドビー)」など民泊を仲介する 8 サイトを調べたところ、市内では 2,702 施設が掲載されていた。 下京、中京、東山の 3 区で 6 割を占めた。 所在地が特定できたのは 1,260 件 (46.6%) にとどまった。 2,702 件のうち旅館業法上の許可を得ていると確認できたのは 189 件 (7%) で、1,847 件 (68.4%) が無許可営業の可能性が高いという。 市観光 MICE 推進室の担当者は「場所が特定できないなど調査できなかった所も含めれば、全体の 9 割は違法状態と考えている」とする。 市は 40 施設について、周辺住民に聞き取りをおこなった。 「トラブル時の連絡先がわからないことが、不安を増大させている」、「周辺住民への事前説明がなかった」などの不満の声があったという。 仲介サイトを運営する Airbnb 社(米国)は市の調査に「問題のある施設は、複数回の注意で改善が見られなければ削除している。 管理者不在は推奨していない。 管理者が宿泊者をもてなすべきだ。」などと回答。 市は 4 月、同社に民泊施設の所在地の情報を提供するよう文書で求めたという。 一方、市は民泊施設の運営者 10 人にも聞き取り調査を実施した。 「今の施設では許可を得られない」、「条件を満たすには投資が必要で、手続きにも手間がかかるため、許可を得ようと思わない」といった回答があったという。 市の担当者は「ワンルームマンションなど営業許可が望めない物件は、営業中止を求める」と厳しい態度で対処する考えだ。 一方で、国が規制を緩和する方針を示す、家主が同居する「ホームステイ型」の民泊施設については、「市民レベルの国際交流や短期留学生の受け入れを促進する観点から、国の検討を見極める」とし、営業をしやすくするため柔軟に対応する姿勢をみせる。 (波多野陽、asahi = 5-10-16) 民泊を無許可で営業、容疑の女ら 3 人を書類送検 大阪 外国人観光客向けにマンションなどで無許可の「民泊」を営んだとして、大阪府警は 26 日、いずれも大阪市生野区の韓国籍の飲食業の女 (71)、中国籍のレンタルビデオ店経営の夫 (37) と韓国籍の妻 (55) を、旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検し、発表した。 「金もうけのためにやった」と全員、容疑を認めているという。 外事課によると、女は昨年 1 月 - 今年 2 月に自ら借りた生野区のマンションなど 3 カ所で、夫婦は昨年 6 月 - 今年 2 月に一戸建ての自宅など 2 カ所で、大阪市から旅館業の許可を受けずに韓国人観光客らを有料で宿泊させた疑いがある。 いずれも主にインターネットの民泊サイトで予約を受け付け、1 人 2 千 - 3 千円で宿泊させたという。 府警は、女は約 450 組から約 840 万円、夫婦は約 300 組から約 450 万円を売り上げたとみている。 (asahi = 4-26-16) 大阪の「民泊」 認定第 1 号は賃貸マンションの 1 室 大阪府は 8 日、大阪府大東市の賃貸マンションの 1 室を、国家戦略特区の「民泊」ができる部屋として認定した。 今月から制度がスタートしており、認定はこれが初めて。 旅館業法よりゆるやかな規制基準で宿泊客を泊めることができる。 認定されたのは、宿泊予約サイト運営会社「とまれる(東京都千代田区)」が管理する部屋で、JR 住道(すみのどう)駅から徒歩 3 分の賃貸マンションの 2 階にある 1K (25.5 平方メートル)。 府は 1 日に申請を受け、部屋に外国語の施設案内や台所、トイレ、浴室があるかなどを確認した。 このマンションも含めた周辺 20 メートル以内に住む住民に、同社が民泊を始めることを説明したかどうかも確かめたという。 府環境衛生課によると、申請は 8 日現在で、この 1 件だけという。 同社はすでにインターネットで宿泊の募集を始めており、11 日以降泊まれるという。 1 部屋につき 1 泊 8 千円 - 1 万円となる見込み。 ただ、特区では「6 泊 7 日以上」の客しか利用できないことになっている。 (asahi = 4-8-16) ホームステイ型民泊、届け出れば OK 営業許可不要へ 厚生労働省は、空き部屋などに旅行者を有料で泊める「民泊」のうち、家主が同居する「ホームステイ型」について、将来的に都道府県などへの届け出のみで営業できるようにし、審査や営業許可の取得は不要とする方針を固めた。 15 日に開かれる厚労省と国土交通省の有識者会議で、厚労省が提案する。 厚労省は、カプセルホテルなどと同様に、民泊を旅館業法の「簡易宿所」に位置づけ、都道府県などへ届け出て、審査を受けて営業許可を取得することを義務づけた。 その一方、許可を得やすいように 4 月から規制を緩和する。 客室の最低床面積は現行の 33 平方メートルから 3.3 平方メートルに改め、ワンルームマンションでも可能にした。 ホームステイ型も当面、同じ扱いで営業許可などが必要になる。 ただ厚労省は、ホームステイ型ならば近隣トラブルが起きにくいとみて、都道府県などの審査、営業許可の取得は省略できると判断した。 ホテルや旅館に配慮し、年間の営業日数に上限を設ける方向で検討する。 宿泊者名簿をつくる義務や、行政の立ち入り権限などは残す方針。 民泊ではインターネットでの仲介時に、家主側の判断で宿泊を断れる仕組みを採り入れているのが一般的だ。 旅館業法では違法行為をする恐れがある場合などを除いて宿泊を拒めないため、厚労省はこの規定を見直すことを考えている。 (竹野内崇宏、野口陽、asahi = 3-15-16) 「民泊」初認定へ 東京・大田、築 60 年木造平屋建て マンションや住宅の空き部屋などに旅行客を有料で泊める「民泊」について、東京都大田区は 12 日、民泊を条件付きで認める条例に基づいて申請のあった物件を初めて認定する。 国家戦略特区の規制緩和を利用した民泊施設の営業が、全国に先駆けて始まる。 認定するのは旅行関連会社「とまれる(東京都千代田区)」が申請した築 60 年の木造平屋建て。 広さ約 50 平方メートルの 1LDK で、同社は 4 人程度での宿泊を想定している。 松原忠義区長が「とまれる」の三口聡之介社長 (40) に認定書を手渡す。 民泊は全国各地で広まっているが、旅館業法では原則、認められていない。 区は条例で 7 日以上の滞在や近隣住民への周知などの条件を満たす物件について民泊を認め、1 月から申請を受け付けていた。 (辻健治、asahi = 2-12-16) ワンルームでも民泊 OK 厚労省が客室面積の規制緩和へ 空き部屋などを旅行者に提供して代金を受け取る「民泊」について、厚生労働省は 25 日、旅館業法上の営業許可を出す最低の客室床面積を、現行の 33 平方メートルから約 3 平方メートルに緩和する方針を固めた。一般的なワンルームマンションでも営業許可が得られるようになる。 広く意見を募るパブリックコメントを近く実施、早ければ 4 月から導入する。 厚労省は、民泊を旅館業法の「簡易宿所」に位置づけ、都道府県知事などに申請して許可を取得することを家主に求める。 33 平方メートルはカプセルホテルなどの簡易宿所で認められている客室の最低の床面積で、10 人が宿泊することを想定。 緩和策では、これを 1 人が宿泊するとして約 3 平方メートルを出した。 (竹野内崇宏、asahi = 1-26-16) 「民泊」に安全など 3 つの課題 有識者会議の議論スタート 国土交通省と厚生労働省は 27 日、一般住宅に旅行者らを有料で泊める「民泊」の解禁に向け、有識者会議の議論を始めた。 民泊は旅館業法で禁止されているが、両省は省令改正などで来年 4 月にも解禁する。 解禁に向けたルール整備では安全の確保、近隣住民とのトラブル防止、旅館やホテルとの公平な競争環境の確保という 3 つが課題となる。 違法な状態での普及に対応するため、両省は来年 4 月にも解禁する。 その後にインターネット仲介業者の扱いも合わせた抜本的なルール整備を法改正も含め関係省庁と進める。 有識者会議はその課題を洗い出す。 主な論点は 3 つある。 第 1 に安全の確保だ。 民泊がテロリストや犯罪者の温床とならないよう宿泊者の情報をどうつかむかが焦点。 宿泊者の名簿を数年間保存してもらう案などが想定される。 第 2 に近隣住民とのトラブル防止。 外国人観光客は日本のマナーがわからず、ゴミ出しや夜間の騒音などで近隣住民から苦情が出ることも多い。 第 3 は旅館やホテルとの公平な競争環境をどう確保するか。 設備要件などが厳しい旅館・ホテルと比べ民泊が過度に有利になれば不公平だ。 初回の会議では「民泊は経済成長につながる。 法改正しなくてもできるものは早く対応すべきだ(松村敏弘東大教授)」との意見が出た。 一方で、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の北原茂樹会長は「諸外国が規制を強める中(事例を)検証していくべきだ」と慎重な取り組みを求めた。 今年度中に中間報告をまとめ、来秋をメドに最終報告書をつくる。 訪日外国人の急増で東京や大阪ではホテルや旅館が足りない。 インターネット仲介などを利用し、民泊は事実上広がりつつある。 厚労省は繰り返し料金を取る場合、マンションや戸建て住宅を使った民泊も旅館業法の営業許可が要るとの立場で、いまの民泊は多くが違法だ。 無許可の民泊がこのまま広がれば、安全の確保が難しくなるほか、近隣住民とのトラブルも増えかねない。 このため国交・厚労両省は旅館業法の省令改正などで来年 4 月にも民泊を認める方向。 民泊を客室数の制限がないカプセルホテルなど「簡易宿所」の一種として位置づけ、面積基準などを緩める案を軸に検討している。 (nikkei = 11-28-15) 「民泊」に新ルール検討 トラブル多発、届け出制導入も 政府の規制改革会議は 19 日、自宅やマンションの空き部屋に旅行客らを泊める「民泊」に適用するルールづくりの検討を始めた。 周辺住民と宿泊客とのトラブルが相次いでおり、空き部屋の仲介業者や提供者に届け出制や許可制を導入する案が出ている。 安倍政権は急増する外国人旅行者の受け皿として、民泊の拡大をめざしている。 しかし、ルール整備の遅れから都市部を中心にトラブルが続発。 このため、規制改革会議では、従来の旅館業法よりも緩やかな新ルールを整えることでトラブルを防ぎつつ、普及を後押ししたい考えだ。 この日の会議では、政府に民泊の推進を提言している経済団体「新経済連盟」が民泊の経済効果を 10 兆円台とする試算を紹介。 従来の旅館業法の適用を受けない新サービスと位置づけ、空き部屋の提供者に宿泊者名簿の保存を求めたり、仲介業者に関係省庁への届け出を義務づけたりすることで、相次ぐトラブルを防ぐことはできるとした。 しかし、規制改革会議の委員は「施設を提供する人も、どこかに登録しなくていいのか」などと指摘。 仲介業者には届け出制より厳しい許可制を導入した上で、提供者にも届け出制を導入することを含めて検討することになった。 また、宿泊料について、施設を利用した旅行者らが部屋の提供者に直接支払うと金額をめぐるトラブルが起きたり、所得税や宿泊税が適切に徴収されない問題が起きたりするという課題も出ている。 委員からは「代金の授受に仲介業者が入ることで、税金を含めてトラブルを防げるのでは」といった意見が出され、今後は仲介業者を経由した支払いを義務づけるかどうかも検討する。 パリの同時多発テロの容疑者が長期滞在型ホテルに宿泊していたとみられていることから、同会議議長の岡素之・住友商事相談役は「テロ対策も絶対に必要だ」と指摘した。 (河合達郎、asahi = 11-20-15) 民泊トラブル 特区推進より官民で戦略を 訪日外国人の増加を背景に、個人宅やマンションの空き部屋を提供する「民泊」が広がっています。 背景には米国発の民泊仲介サイトの躍進や、政府の国家戦略特区による推進の影響が大きいようです。 一方で、無許可での空き部屋提供による旅館業法違反や、近隣住民からゴミ出しや騒音へ苦情が呈されるといった問題も頻発、都内のマンションでは規約で民泊禁止を打ち出す管理組合も増え始めました。 観光業に詳しい専門家に聞くと、そもそも「民泊」とはホームステイなど "原則無料" で宿泊させること。 有料で泊めるのは「民宿」で、旅館業法の許可が必要。 両者の定義を混同したまま議論されているとのことです。 個人宅の空き部屋を有料で貸し出すには、1948 年に施行された旅館業法の規制緩和が不可欠です。 しかし、それには「安全・安心が担保できない」と反対する旅館業界を抑えられない。 そこで政府は、国家戦略特区という形で業法適用除外エリアを設けたともいえます。 ただ、民泊仲介を活用するホスト側には、不動産業者の空き部屋対策に使っているケースもあり、個人宅の提供とは異なる現実が見られます。 (asahi = 11-14-15) |