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旧安倍派など裏金問題関与の議員、要職起用を検討 高市新総裁 自民党の高市早苗新総裁は 4 日、党本部で開いた記者会見で、旧安倍派幹部らを含む派閥の裏金問題に関与した議員の要職起用を検討する考えを示した。 裏金問題の発覚後、岸田文雄前首相、石破茂首相は重用を避けていたが、方針転換が鮮明となった。 高市氏は、裏金問題に関与した議員の起用については、国政選挙を経たことなどを理由に「人事に影響はない。 しっかりと働いていただく。」と述べた。 裏金問題の実態解明は果たされていないが「(関与議員の)再処分は考えていない」と明言。 国民の理解を得られるかを問われると、「どうしてその人を選んだのか説明する」と語った。 今回の総裁選で高市氏は、旧安倍派を率いた安倍晋三元首相と近いことなどから、同派に所属していた議員から多くの支持を集めた。 高市氏の支持を表明した旧安倍派幹部の萩生田光一元政調会長らを党幹部で起用する可能性がある。 また高市氏は、総裁選で争った小泉進次郎農林水産相、小林鷹之元経済安全保障相ら 4 人についても要職で起用する方針を表明した。 党幹部や重要閣僚に据える可能性について「(総裁選で)それぞれに素晴らしいところが見えた。 全員活躍していただく。」と述べた。 また会見で、党役員人事は 5 日から検討を本格化させ、組閣も意識しながら 6 日の週前半に固める方針を示した。 高市氏は女性議員の積極的な登用を公言していることから、旧安倍派の松島みどり元法相らの起用が取り沙汰されている。 総裁選で 6 人が推薦人となった麻生派からも複数人が登用されるとの見方がある。 麻生派幹部の鈴木俊一総務会長の要職起用が有力視されている。 (asahi = 10-4-25) 自民に初の女性総裁が誕生、「ガラスの天井」破った? 識者が語る懸念 4 日に開票された自民党の総裁選で、高市早苗氏 (64) が新たなリーダーに選ばれた。 自民党の総裁に女性が就くのは初めて。 臨時国会での首相指名選挙を経て、日本で初の女性首相が誕生する見通しだ。 高市氏を含め、これまでも女性議員が総裁選に挑んだことはあったが、いずれも厚い壁にはばまれてきた。 「百合子とたか子 女性政治リーダーの運命」の著者である三重大の岩本美砂子名誉教授(女性学)は「『ガラスの天井』は破られた。 『第一号』となる女性総裁が誕生したことで、首相を目指す女性が出てきやすくなる」と評価する。 ガラスの天井とは、組織内で女性の昇進を阻む存在があることを意味する用語だ。 その天井を破った背景には、「ガラスの崖」の存在があったと指摘する。 組織が危機的状況のときほど女性がトップの地位に置かれやすい現象を示し、「自民党がピンチであることの表れ」とみる。 岩本氏は女性トップについて、@ 男性的な価値観に合わせ、男性と同じように振る舞うタイプ、A 女性と男性の利益に妥協点を見いだし、現実問題として解決を図り、「女性」ではなく「政治家」であることを強調するタイプ、B 男性中心の政治に挑み女性政策を推進させようとするタイプの三つに分かれると説明する。 現実の政策課題、見えづらくなる? 高市氏については、男性議員によってつくられた規範や価値観にあわせてきた @ に当たるとみており、「女性の支持も一部あるが、旧安倍派を中心に、保守派が首相になってほしいという層の支持をまとめたのが実態。 女性の貧困やしんどさについて考えている人たちに支持を広げてこそ、『鉄の天井』を破ったといえるのではないか」と指摘する。 総裁選で女性の健康問題などに触れる場面はあったが、これまで女性政策の推進を積極的に打ち出してきたわけではない。 選択的夫婦別姓や候補者や議席の一定割合を女性とするクオータ制の導入、同性婚などジェンダー・セクシュアリティー政策には反対の姿勢を示してきた。 岩本氏は女性首相の誕生によって、女性に優しい政権になるとの期待が広がる結果、現実の政策課題が見えづらくなることを懸念する。 「女性の貧困が政治の問題ではなく、個人の問題とすり替えられたり、女性のハンデをなくす支援を逆差別とみなされたりしないか。 男女の格差解消は、日本全体の課題として政治が取り組むべきだ。」と話している。 (上地一姫、asahi = 10-4-25) 石破首相「戦後 80 年メッセージ」、退陣目前の 10 日にも発表で調整 石破茂首相が在任期間中の発出を検討している戦後 80 年の節目に合わせた首相個人のメッセージについて、10 日にも記者会見を開いて発表する方向で調整に入った。 ただ、15 日にも召集される臨時国会で新首相が決まる見通しで、退陣直前の首相が国内外に影響の大きい見解を発表することに党内からの反発も予想される。 複数の官邸幹部が明らかにした。 首相は歴代内閣が戦後 50 年、60 年、70 年の節目で閣議決定を伴い発出した「首相談話」は見送ることを決めたが、「なぜ、あの戦争を止めることができなかったか、政治はいかなる役割を果たさなかったか、私なりの考え方を申し述べたい」などとして、首相個人としてのメッセージ発出には意欲を示し、4 日の党総裁選投開票日後から新首相が選出されるまでの自身の任期中に発出を目指している。 次の首相を決める臨時国会を 15 日にも召集する方向となったことで、その前週の 10 日にも記者会見を開き発表する方向で調整に入った。 首相は、先の大戦で政治が軍を統制する文民統制(シビリアンコントロール)がなぜ機能しなかったのかという問題に強い関心があり、メッセージで言及する見通しだ。 また、当時の政府や国会、メディアが軍部の暴走に歯止めをかけられなかったことを「無責任の体制」とし、戦後 80 年の今もその兆候があると指摘する案も検討している。 ただ、退任直前の首相のメッセージの発出に、党内からの反発は予想され、高市早苗前経済安全保障相や小林鷹之元経済安保相ら総裁選候補者の一部は発出に反対する考えを示している。 (asahi = 10-2-25) 「反軍演説」議事録の復活案浮上 石破首相が意欲、与野党協議で調整 日中戦争をめぐって政府や軍部の対応を厳しく批判した斎藤隆夫・元衆院議員 (1870 - 1949) の「反軍演説」について、大半が削除された議事録の全文を復活させる案が与野党内で浮上している。 今月中旬に退陣する石破茂首相は実現に向けて強い意欲を示し、自民党の森山裕幹事長に野党との調整を指示。 ただ、議事録修正のハードルは高く、実現できるかは不透明だ。 立憲民政党所属の斎藤氏は、戦前戦中にわたって軍部に擦り寄る政治家を批判し、軍が政治に関わることの危険性を説いていた政党政治家。 日中戦争が泥沼化していたさなかの 1940 年 2 月、帝国議会の衆院本会議で 1 時間半にわたり、「ただいたずらに聖戦の美名に隠れて …」などと国民に犠牲を要求する内閣や軍部を追及し、戦争の収拾を求めた。 だが、反発した軍部は取り消しを求め、議長の職権で演説の全体として約 3 分の 2 にあたる後半部分の約 1 万字を議事録から削除。 軍部の求めに多くの議員が従い、斎藤氏も帝国議会から除名された。 翌年 12 月、日本は真珠湾攻撃を行い、太平洋戦争へと突入した。 反軍演説と呼ばれるこの演説をめぐっては戦後、一部の国会議員が議事録復活を求めていたが、首相もその一人。 首相就任前に講演などでたびたびこの演説を引用し、就任後も 1 月の会合で斎藤氏が議会を追われた経緯に言及し、「議会、そして言論が権力に屈せず、本当のことを言わないと国は傾く」と主張した。 首相は 9 月に退陣表明に追い込まれたが、森山氏に議事録復活に向け野党との調整を指示。 野党側の一部も「戦後 80 年の今だからこそやるべきだ(立憲民主党のベテラン)」と前向きで、来週中にも議長の諮問機関である衆院議会制度協議会で協議に入る方向で水面下で調整している。 復活実現へのハードルは ただ、実現に向けてハードルは高い。 衆院事務局によると、議事録から削除された部分を復活させた前例はないという。 議事録の根拠法も、戦前の帝国議会は議院法であり、現在の根拠法である国会法をもとに復活できるかどうかは定かではない。 官邸内にも歴史的価値のある議事録の修正に慎重意見もある。 官邸幹部の一人は首相に対し「負の歴史だが、帝国議会ではこうした過去があったということを残すことにも意義があるのではないか」と意見したという。 この幹部は「帝国議会の決定を戦後の議会が覆していいのか」とも指摘する。 退陣直前の「レームダック(死に体)」化する首相による「レガシー(遺産)」づくりの側面もある。 ただ、首相は周囲に「在任期間中に復活を決めるところまではしたい。 俺がやらなければ、誰も未来永劫やろうとしない。」と意気込みを語る。 (森岡航平、安倍龍太郎、asahi = 10-2-25)
「『石破辞めるな』の動き、ありがたかった」首相が謝意も 会見要旨 石破茂首相が 7 日の会見で語った主な内容は以下の通り。 ☆ 自民党総裁の職を辞することにした。 米国との関税交渉に道筋をつける必要があると強く考えてきたが、覚書の署名が行われ、米大統領令も出された。 一つの区切りがついた。 昨年 9 月に総裁に就き、期待に応えることができたかと自問すると、本当に忸怩たる思いだ。 地方創生は最も成し遂げたい事業だったが、残念ながら道半ばだ。 政治とカネの問題など政治不信を払拭することができていない。 私にとって最大の心残りだ。 自民党はけじめをつけなければならない。 党が信頼を失えば、日本の政治がポピュリズムに堕するとの危惧を強めている。 まだやり遂げたいとの思いもある中、身を退く苦渋の決断をした。 臨時総裁選要求の意思確認に進めば、党内に決定的な分断を生みかねない。 それは私の本意ではない。 党は難局を乗り越えて欲しい。 古い自民のままだと国民から見られるようでは、党の明日はない。 真の解党的な出直しを遂げなければならない。 (衆院解散については)国民と党の考え方に乖離があることを考えねばならないと思っていた。 いろんな考えがあったことは否定しない。 しかし政府の機能が停滞することはあってはならないと、この判断に至った。 少数与党であり、党内に大きな勢力も持っていない。 多くの方々に配慮し、融和に誠心誠意努めてきたことが、結果として「石破らしさ」を失い、どうしたら良かったのかとの思いはある。 「石破辞めるな」という動きはありがたいことだった。 野党はもちろん、その向こうにいる有権者に向けて話すことが一定の支持につながったのかもしれない。 (asahii = 9-7-25) 自民党総裁選前倒し、意思確認へ 首相が取り得る三つの選択肢は 参院選大敗後、約 50 日間続いてきた自民党内の権力闘争は 8 日、最終局面を迎える。 東京・永田町の党本部では同日、史上初めてとなる総裁選前倒し要求の意思確認が所属国会議員と都道府県連を対象に行われ、総裁選実施か否かの結論が出る。 そのとき、石破茂首相(党総裁)はどのような行動を取り得るのか。 三つの選択肢をシミュレーションした。
「辞める必要なくない?」 石破首相擁護に傾く人びと、そのココロは? イシバサンガコロンダ! 自民党内の反石破派や一部メディアが勢いこんで声を張り上げ、がばと振り返ったけれど、当のイシバサンはピタッと静止、焦った鬼役が「イシバサンガ …」を連呼する間にじりっじりっと歩を進め、内閣支持率は上昇、首相辞任「必要ない」も軒並み 5 割を超えた。 いやはや石破茂首相、慇懃にギンギンとふてぶてしい。 こういう芸当ができるタイプだとは露ほども思っていなかった。 考えてみれば石破茂という政治家は 1990 年代初め、金権腐敗極まる自民党で「党改革派の急先鋒」として頭角を現し、宮沢喜一首相の私邸を急襲して政治改革を直談判したり、自民党を離れて新生党 → 新進党と渡ったり、4 年後に復党すると「裏切り者」として冷や飯を食らい続けたりしたのだ。 そりゃ打たれ強いわな。 いまの鬼とあの頃の自分、鬼気の度合いを引き比べ、「まだまだ」と踏んでいるのかもしれない。 国政選挙で連敗したのだから、首相は責任を取って辞任すべきだ - - まったき正論である。 ところが私の周りは「石破さんのこと好きじゃないけど、辞める必要なくない?」と、小声でささやく女性たちだらけ。 これまで舌鋒鋭く自民党を批判し、政権交代の必要性を説いてきた人たちのいわば変節であるから、「いまさら首相擁護とは笑止、ならばなぜ選挙で自民党に投票しなかったのだ?」とこれまたド正論の批判を浴びせられるのも当然のこと。 だけどまったくめげずに小声でぴちぴちささやき続けている。 「辞める必要なくない?」 渡るセケンに鬼はなし、茂るイシバに鬼はかたなし、まことにけったいな事態の出来(しゅったい)だ。 旧安倍派のいわゆる裏金議員たちが自らの責任を棚に上げ、「石破おろし」の旗を振っていることへの嫌悪が、首相続投支持につながっていることは間違いない。 さらにもう一歩踏み込んで言えば、忖度が蔓延し、うそと詭弁がまかり通り、自由にものが言いにくい「安倍一強」のような時代に舞い戻るのはまっぴらごめん、二度とごめんだという気分もベースにあるのではないか。 そう考えるに至ったのは 8 月 13 日、公文書改ざんを強いられ自死した財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻、雅子さんの会見を聞いたから。 森友学園に格安で国有地が売却された問題をめぐる文書公開を受け、「これ(文書)出たの石破さんのおかげだと思います。 石破さんに続投してほしいです。」 ☆ 8 月 6 日の広島。 9 日の長崎。 15 日の東京。 丁寧に織られたあいさつを聞き、少なくとも戦後 80 年の夏の首相は石破氏で良かったと、素直に思えた。 原爆忌の首相あいさつは一時「コピペ」が当たり前、読み飛ばした人さえいたのだから。 言葉をないがしろにする政治家は、民をないがしろにしているに等しいと私は思う。 政治家の言葉はいわばひときわ大きな舟。 だから一人でも多くの人が安心して乗れるように言葉を磨くのが政治家の本分だ。 行き先を誤らぬよう歴史認識という帆をはり、謝罪や反省、議論を繰り返すことで「わたしたち」をはぐくみ、理想の航路を共に描く - -。 ところが「こんな人たち」と敵/味方を分断する首相が長期政権を築き、舟は壊れた。 いまや漂流する民を「釣る」道具として言葉を弄する政治家だらけ。 イシバサンが転ぼうが転ぶまいがあきらめの夏、何も言えなくて … 夏、きれいな指の爪を研いで危急存亡の秋(とき)を待つ。 (編集委員・高橋純子、asahi = 8-30-25) 石破政権続投を後押し! 小泉親子が放った「阿吽の呼吸」発言の破壊力 石破政権の続投をめぐり、永田町は大きく揺れている。 そんな中で注目を集めているのが、小泉純一郎元首相と小泉進次郎農水相 - -。 "親子タッグ" の最新動向だ。 8 月 24 日夜、石破茂首相は小泉元首相、さらに石破氏の指南役とされる山崎拓元自民党副総裁とともに、都内ホテルの日本料理店で約 2 時間会食した。 呼びかけたのは石破首相自身とされるが、実際には山崎氏が "仕掛け人" と見られている。 官邸担当記者の話。 「会食での議題は、自民党の参院選 3 連敗を受けた総裁選の前倒し問題だったという。 小泉元首相や山崎氏は『やるべきではない』と反対の立場を明言。 出席者からも『政権支持率が急上昇している今、前倒しに疑問を持つ議員が増えている』との声が出たといいます。」 実際、石破内閣の支持率は急伸している。 読売新聞の世論調査(8 月 22 日 - 24 日)では、前月 22% から17ポイント増の39%と過去最大の上昇幅を記録。NHK、共同通信の調査でも大幅な支持率アップが確認されている。 会食ではさらに、小泉元首相が自らの経験を踏まえ、ブッシュ元米大統領との関係構築を例に挙げながら「トランプ大統領との向き合い方」について助言したという。 側近関係者は「小泉氏の強い支持に石破首相は大いに勇気づけられていた」と明かす。 一方で石破首相をさらに喜ばせていたのが、進次郎農水相の発言だった。 20 日の BS 日テレ「深層 NEWS」で総裁選前倒し論について問われた進次郎氏は「世論は冷ややかだと思う」と断言し、反対の意向を鮮明にしたのだ。 政治アナリストはこう分析する。
石破政権の行方を左右するのは、依然として小泉純一郎の存在感。 そしてその背後で力を蓄える進次郎の一手である。 (田村建光、アサ芸プラス = 8-25-25) 与野党支持者が集う「石破辞めるな」デモ 続投求める理由を聞いた 参院選での与党の大敗を受けて、自民党内で石破茂首相の退陣論がくすぶり続けるなか、金曜日の夜に首相官邸や自民党本部前に集まり、「石破辞めるな」と訴える人たちがいる。 選挙で有権者から厳しい評価を突きつけられ、党内基盤も弱まっている首相に対し、続投を求めるデモが起きるのは異例だ。 どんな人が、なぜ集まっているのか。 参加者に話を聞いた。 ☆ 1 日夜、自民党本部前。 東京都内の語学講師の女性 (38) は、「石破さん踏ん張れ」と印字された紙とペンライトを手に立っていた。 主催者がペンライトの持参を呼びかけているのを見て、家にあった子どものおもちゃを持ってきた。 かつて無党派だったという女性は、コロナ禍と、その同時期の出産がきっかけで、政治に関心を持った。 離婚後の共同親権を導入する民法改正案が成立したとき、反対を貫いた共産党の姿勢に共感し、支持する気持ちが固まったという。 一方で、石破首相には好感を持ってきた。 夫は、敗戦で中国に残された残留日本人の 3 世。 女性にとって、戦争や歴史認識は大切なテーマだ。 沖縄戦やフィリピン残留日本人への対応をめぐり、石破首相には歴史を顧みようとする姿勢があると感じてきた。 参院選では共産党に投票した。 「選挙では 1 票しか入れられないので、譲れないものはある。」 だが退陣圧力が強まり、ポスト石破候補としてタカ派的な人物の名前も取りざたされた。 自民が与党であるならば、そのなかでは「石破さんがまし」だと思った。 「このままでは危ない。 自分が今できることをしたい。」と、参加を決めたという。 「石破さんの 80 年談話が聞いてみたい」と願う。
野党支持者だが、自民党のなかでは穏健にみえる石破首相に続投してほしいという声が、参加者には多かった。 8 日夜のデモで取材した千葉県の 30 代男性も、選挙では共産候補に投票したと明かしつつ、「排外主義を訴えるような人が総理になったら、それが一番怖い。 本音を言えば、1 票の 10 分の 11くらいは石破さんに入れたかった」と語った。 ☆ これまでに開かれたデモは 3 回。 参加者は、首相官邸前であった 7 月 25 日が 1,200 人。 その後は自民党本部前に場所を移し、8 月 1 日に 600 人、8 日に 200 人が集まっている(いずれも主催者発表)。 デモ参加者の支持政党や投票行動は 8 日の取材では、支持政党や参院選での投票行動も尋ねた。 取材に答えてくれたのは、20 - 70 代の男女 41 人。 統計的な正確性は無いことが前提だが、比例区と選挙区のどちらかまたは両方で自民候補に投票した人は、このうち 12 人だった。 支持政党は自民党ではないが、「戦略的投票」として今回は自民党に入れたという人も含まれる。 残る人たちは共産党や社民党、立憲民主党、れいわ新選組などを投票先に挙げた。 参政党や日本維新の会の候補を支持した人は、取材に答えた中にはいなかった。 ☆ 自民党支持者たちの思い 野党支持者も多いなかで、自民党を支持する人たちはどんな思いで集まっているのだろう。
1 日夜、自民党支持者という東京都内の女性会社員 (45) は自作のプラカードを手に立っていた。 女性はアニメの二次創作が趣味で、表現の自由に理解がある自民党の参院議員を応援し続けてきたという。 「今までは表現の自由だけフォーカスしていればよかったけど、今回の結果を見て、そんな悠長なこと言ってられなくなってきたぞと。」 仕事で情報モラルの教育に携わっているため、「フェイクと政治」には関心がある。 参院選では、根拠の不確かな主張を織り交ぜる参政党の躍進に危機感を持った。 石破首相については、強いスローガンで分断をあおろうとしない姿勢に好感を持ってきたという。 それだけに、一部報道機関が「首相退陣へ」と報じたことに、「石破おろしのムードが作られている」と不信感を持った。 石破首相を辞めさせようとする自民議員が、裏金問題で追及されていた人たちであることも心証を悪くした。 「なにかできることはないか」と、初めて政治的なデモに参加することにした。 野党支持者も多く参加していることについて女性は、「選挙の時には自分の支持政党に投票して、困ったときに自民党に頼るのは筋が通っていない」という。 デモが野党支持者ばかりでは、石破首相の自民党内での立場を弱めてしまうとも考えた。 「自民党支持者も石破首相を応援していることを示したい。」 デモ参加には、そんな思いもあったという。 女性はいま、こう願っている。 「自民党はディス(攻撃)っていい政党という位置づけになっている気がするんで、本当にケンカはやめて、しょうもないことをしないでほしい。」 自民党が大敗した選挙結果を、冷静に受け止める支持者もいた。 埼玉県の 30 代のアルバイト男性は自民党支持者という。 「社会の価値観が多様化し、政党の選択肢も増えた。 どんな人が総理になっても一つの政党が大勝ちすることはないのでは。」 デモに参加したことはなかったが、このデモには 3 週連続で駆け付けた。 「首相就任から 1 年も経っていないのに成果を出すのは難しい。 なんでおろされないといけないの。」 ☆ 野党支持者が続投求めるのは「筋違い」にどう答える? 「石破辞めるな」デモは SNS 上での呼びかけで始まり、主催者も毎回違うという。 東京都内に住む介護職員の平山貴盛さん (29) は初回の主催者に連絡し、引き継いで 2 回目を自ら主催した。 互いに面識はなかったという。 平山さんは自民議員を支持した時期もあるが、近年は共産候補を支持することが多いという。 今回の参院選で気がかりなのは、「日本人ファースト」を掲げ、外国人への規制強化を訴えた参政党の躍進だ。 歯止めをかける政治家として、石破首相に期待するという。 石破首相の続投を望むのなら、参院選で自民に投票したらよかったのでは? 野党に投票した人が求めるのは筋違いでは? 野党支持者も多いとされるデモには、こんな批判や疑問も投げかけられてきた。 どう考えるのか。 平山さんは記者の問いに、こう言った。 「選挙が民主主義のすべてではないので。 石破さんは自民党総裁ではあるけれど、同時に日本の総理大臣でもある。 個人への支持は、自民党への支持と別にあってもいいと思います。」 (富永鈴香、asahi = 8-16-25) 戦争の「反省」復活に首相こだわり 安倍氏が封印、反発招く可能性も 戦後 80 年の節目となる今年、石破茂首相は全国戦没者追悼式の式辞に独自色を織り込んだ。 「反省」は、戦争を繰り返さないために不可欠 - -。 そんな強い思いがあったが、安倍晋三元首相が封印した言葉の復活は、自民党保守派などの反発を招く可能性がある。
首相は 3 分にわたり、式辞を読み上げた。 周辺は「式辞は時間も文字数も限られるが、首相は特に『戦争の反省と教訓』の部分に思いを込めた」と明かす。 政治が軍を統制する「文民統制」が機能しなかったことを含め、なぜ先の大戦を止められなかったのか。 経緯を検証し、反省することが戦争を再び起こさないために必要だと考えているという。 表現に首相の強い意向 式辞をめぐっては、1993 年に細川護熙首相がアジア諸国への「哀悼の意」を表明。 翌年、村山富市首相は「深い反省とともに謹んで哀悼の意を表したい」と述べた。 その後も、歴代首相が加害責任に触れ、「反省」という言葉を使ってきた。 転機は第 2 次安倍政権の誕生だった。 安倍氏は 13 年の首相式辞から加害責任に言及しなくなった。「反省」を使わず、「歴史の教訓を深く刻み」といった表現をした。続く菅義偉、岸田文雄両首相も「反省」を使わない路線を踏襲した。 石破首相は 15 日、「反省」に踏み込んだ理由について「反省の上に教訓がある」と記者団に語った。 韓国大統領府関係者は、「反省」が盛り込まれたことについて「注目している。日本の指導者たちが、過去の痛ましい歴史を直視しながら、国家間の信頼が損なわれないよう努力する姿は、よりよい未来と互いの利益につながる」と評価した。 自民・保守派「これ以上の談話は不要」 式辞の「進む道を二度と間違えない」、「不戦に対する決然たる誓い」も首相の強い意向だったという。 安倍氏は 15 年以降の式辞で「戦争の惨禍を繰り返さない」といった表現をしたが、首相周辺は「『戦争の惨禍』は結果を表す言葉。 石破首相はそれでは足りないと考え、戦争を起こしてはいけないと強調したかった」と解説する。 ただ、日本の加害責任には言及しなかった。 石破氏が式辞にこだわった背景には、戦後 80 年の終戦の日に「首相談話」などの発出を見送らざるを得なかったことがある。 歴代内閣は戦後50年、60年、70年の終戦の日に合わせ、閣議決定を伴う首相談話を出してきた。1995年、村山首相は「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明。2005 年に小泉純一郎首相も「村山談話」と同じ文言で歴史認識を受け継いだ。 安倍首相は 15 年の談話で「歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」としつつ、「私たちの子や孫、その先の世代の子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とし、過去への謝罪に区切りをつけようとした。 自民党の保守派は「これ以上の談話は不要」との立場で、党内基盤の弱い石破氏は首相談話を見送る方針を固めた。 しかし、式辞での「反省」の使用で、保守派の反発が強まる可能性がある。 首相は談話に代わる個人としてのメッセージを「首相在任中にどうなってでも出す」と周囲に語るが、15 日は記者団に「まだ具体的に内容が決まっているものではない」とだけ述べた。 (森岡航平、川嶋かえ、asahi = 8-15-25) 森友文書開示から浮かぶ改ざんの実態 検察や検査院に取り繕う財務省 財務省は 11 日、学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却に関する公文書を開示した。 売却に関する決裁文書の改ざんについて、現場の近畿財務局(近財)に本省理財局が指示した際のメモなどが記されていた。 開示文書からは、決裁文書の改ざんや廃棄に及んだ財務省が、その後の外部からの問い合わせに取り繕う様子が浮かぶ。 「ご指示通りの処理はできません。」 2017 年 3 月 27 日、近畿財務局職員の赤木俊夫さんの上司だった近財職員は、財務省本省の担当者に宛てたメールで不信感をあらわにした。 当時、財務省は連日の国会対応に加え、2 週間後に始まる会計検査院の実地検査への対処も難題となっていた。 「疑問が残る」 訴えた赤木さん メールからは、検査院や情報開示請求に対してどの範囲まで示すかを、本省と近財の間ですりあわせてきた様子がうかがえる。 この職員は「検査院への説明は到底できない状況まで書類が削られている」と、開示範囲を狭めようとする本省に異を唱えた。 格安での土地売却が報じられた同年 2 月以降、財務省は、本省理財局が主導して関連文書の廃棄を開始。 2 月下旬以降は、廃棄することができない決裁文書について改ざんを始めた。 改ざんの対象は広がり、本省から近財に具体的な指示が続いた。 改ざんの作業を強いられた赤木さんは 3 月 8 日、近財と理財局双方の職員に宛てたメールで「既に意思決定した(売り払い)調書を修正することに疑問が残る」と訴えた。 「とんでもない話」 怒りあらわのメールも 土地取引では地中のゴミが焦点となった。 「なぜガラを残したかは承知していない」とした国土交通省大阪航空局の説明について、近財職員が同 9 日、「とんでもない話」、「必要最小限の金額で抑える方法を考えてくれといったのは航空局」などと怒りをあらわにする文面もあった。 国会の紛糾を恐れて始まった改ざんや廃棄は、その後の検査院の検査や検察の捜査への対応に影響を及ぼした。 近財職員に対する告発を大阪地検特捜部が受理した翌日の 4 月 6 日には、近財内で検察への資料の提出を検討するメールが交わされた。 幹部は「検察から書類が外部へ出ることはない」、「だらだら出して心証を悪くするより、最初からすべて出してしまえばどうか」と提案していた。 検査院への対応は混乱した。 改ざんの作業は実地検査直前の 4 月上旬まで続き、検査 4 日前には、検査に対応する近財の担当者が、文書の廃棄をどう説明するかをメールで相談した。 財務省は国会で、学園との交渉記録について、保存期限が「1 年未満」にあたるとして廃棄済みだと説明してきた。 この職員はメールで、学園との取引以外の事案を念頭に「全て廃棄しているとは言い切れないのが実情」と懸念を伝えた。 近財内では検査初日の夜、本省理財局の総務課長の見解として、こう共有された。 「1 年を超えて保有する面会記録は『存在しない』。」 「学園と契約した時点で事案は終了し、保存年限は過ぎた」とする、廃棄の理屈が作られていた。 「AKAGI NOTE」に涙ぐむ雅子さん 赤木雅子さんの弁護団によると、雅子さんは 11 日午前 9 時過ぎに生越照幸弁護士とともに財務省に赴いた。 約 9 千ページの開示を受け、俊夫さんが仕事で使っていたとみられる自筆ノートの返還も受けたという。 表紙に「AKAGI NOTE」と書かれたノートは、この日の雨にぬれないようビニールや封筒などで包まれていた。 雅子さんは「丁寧に扱ってくれた」と涙ぐみ、何度も担当者にお礼を伝えていたという。 雅子さんはその後、報道陣に向けて「夫は財務省の方に初めて大事にしていただけたのではないか」、「内容はまだわかりませんが、夫の残したものをゆっくり読みたい」とのコメントを出した。 午後に大阪で会見を開いた生越弁護士は、文書の読み込みはこれからとしつつ、「一部からは(俊夫さんのいた)近畿財務局の緊迫感が伝わってくる」と話した。 同省からは 8 月をめどに俊夫さん以外の職員の手控えを開示し、来年 3 月までに主要な開示を終えると説明を受けたという。 (asahi = 6-11-25) 石破首相、コメ価格を「必ず下げる。 3 千円台に。」 党首討論で明言 石破茂首相と野党党首の党首討論が 21 日午後、国会内で開かれた。 今国会で 4 - 6 月で毎月開催することを与野党で合意しており、今回が 2 回目。 高騰するコメの価格をめぐり、首相が「新しい農林水産大臣のもとで、必ず米を下げることをやっていく。」と明言した。 「(5 キロあたり) 3 千円台でなければならない」とも語った。 立憲民主党の野田佳彦代表が 1 年間に限り食料品の消費税をゼロ%にすべきだと訴えたのに対し、首相は否定的な考えを示した。 野田氏は首相に対し、「期限と財源をしっかりと明示しながら、責任をもって減税をやるというのが我々の立場だ。 赤字国債は発行しない。」と強調。 「減税もやらない、給付もやらないのは、無策じゃないか」と迫った。 首相は「税率を下げるのにはどれくらい時間がかかるのか。 スーパーなどを見ても 1 年はかかる。」と語り、準備などの時間がかかることを理由に消費減税に反対した。 さらに「減収をどう補填をするか。 社会保障をどうするかということもパッケージとして示さないと、それこそ選挙目当てに過ぎない。」として、野党の減税の主張を批判した。 そのうえで、「次の選挙に責任をもつのも当然だが、次の時代に責任を持つ、そういう政策を展開する」と反論した。 コメの価格引き下げ「1 日でも早く実現する」 野田氏が物価高対策について、政府は「無策」だと批判した際、首相はガソリン価格の引き下げなどに合わせて、コメの価格も引き下げると強調。 「新しい農水大臣のもとで、必ず(価格を)下げるということをやっていく」、「安定的に安くなることをめざす」と明言した。 その後に登壇した国民民主党の玉木雄一郎代表は、「米 5 キロをいつまで、いくらに下げるのか」と追及。 首相は「3 千円台でなければならないと思っている。 1 日でも早く実現する。」と答弁。 玉木氏が「5 キロ 3 千円台に下がらなければ、首相として責任を取るか」とたたみかけると、「責任をとっていかねばならないと思っている。 仮に下がらなければ、きちんと説明するのが政府の責任だ。」と語った。 日本維新の会の前原誠司共同代表は、新年度予算に賛成する条件とした社会保険料の負担引き下げの改革協議が進んでいないことを首相に追及した。 「社会保険料を下げることが、生活を少しでも楽にさせる大きな要因になる。 だからこそ我々は野党でありながら本予算に賛成した。 約 3 カ月経って、(自民、公明との) 3 党協議は全く前進がない」と指摘。 「守られなかったら不信任に値する」と語気を強めた。 首相は「予算が成立したらもういいや、という信義に欠けるようなことは絶対にあってはならない」とし、「責任政党の長として、御党との約束を反故にすることは絶対に許されないと思っている」と低姿勢を見せた。 (国吉美香、asahi = 5-21-25) 消費減税の財源「示すべきだ」 72% 内閣支持 33% 朝日世論調査 朝日新聞社が 17、18 日に実施した全国世論調査(電話)で、政党や政治家が消費減税を訴える際、代わりの財源を示すべきか尋ねたところ、「示すべきだ」が 72% で「示す必要はない」の 21% を大きく上回った。 石破茂内閣の支持率は 33% で、4 月の 30% から微増。 不支持率は 56% だった。 政党支持率や参院選の比例区での投票先をみると、昨年 10 月の衆院選以来、勢いがあった国民民主党に陰りが見える。 消費税率のあり方については「食料品だけ引き下げ」が最多で 33%、「全品目で引き下げ」 23%、「いまのまま維持」 21%、「消費税廃止」 20% と続いた。今夏の参院選で、消費減税を訴える政党や候補者にどの程度、投票したいか尋ねた質問では、投票したいと答えた人は「大いに」と「ある程度」を合わせて 68% で、投票したくないとの回答は「あまり」と「まったく」で計 28% だった。 ただ、消費減税を求める層や消費減税を訴える政党や候補者に投票したいと答えた層の 6 割以上、消費税廃止を求める層でも56%が、代替財源の提示を求めており、有権者は野放図な減税にクギを刺していると言える。 消費税のあり方をめぐっては、自民支持層は「維持」がトップの 36% で、「食料品だけ引き下げ」が 33% と続いた。 立憲支持層は「食料品だけ引き下げ」が 5 割を占めた。 国民民主支持層は「食料品だけ引き下げ」、「全品目で引き下げ」がともに 34%、「廃止」 23% だった。 自民と連立を組む公明の支持層では、約半数が「食料品だけ引き下げ」と答えた。 今回の調査では、昨年 10 月の衆院選で躍進した国民民主党の勢いの衰えが明らかになった。 同党の支持率は同 11 月以降 10 - 12%。 12 月以降は立憲民主党を上回って支持率でみれば「野党第 1 党」だったが、今回は 8% (前回 4 月 12%)で、7% の立憲との差が縮まった。 参院選比例区の投票先でも 13%(同 17%)で、立憲と並んだ。 国民民主は 14 日、同党の元衆院議員の山尾志桜里氏や日本維新の会に所属した前衆院議員の足立康史氏、立憲の前参院議員の須藤元気氏らの公認を発表し、ネット上では山尾氏らの過去の言動をめぐり、批判が出ている。 主要政党の党首 4 人のうち、いま誰が首相にふさわしいか尋ねたところ、トップは石破首相の 21% で、国民民主の玉木雄一郎代表が 12%、立憲の野田佳彦代表が 11%、維新の前原誠司共同代表は 3%。 「この中にはいない」が 49% だった。 (蔵前勝久、asahi = 5-18-25) |