森友文書開示から浮かぶ改ざんの実態 検察や検査院に取り繕う財務省 財務省は 11 日、学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却に関する公文書を開示した。 売却に関する決裁文書の改ざんについて、現場の近畿財務局(近財)に本省理財局が指示した際のメモなどが記されていた。 開示文書からは、決裁文書の改ざんや廃棄に及んだ財務省が、その後の外部からの問い合わせに取り繕う様子が浮かぶ。 「ご指示通りの処理はできません。」 2017 年 3 月 27 日、近畿財務局職員の赤木俊夫さんの上司だった近財職員は、財務省本省の担当者に宛てたメールで不信感をあらわにした。 当時、財務省は連日の国会対応に加え、2 週間後に始まる会計検査院の実地検査への対処も難題となっていた。 「疑問が残る」 訴えた赤木さん メールからは、検査院や情報開示請求に対してどの範囲まで示すかを、本省と近財の間ですりあわせてきた様子がうかがえる。 この職員は「検査院への説明は到底できない状況まで書類が削られている」と、開示範囲を狭めようとする本省に異を唱えた。 格安での土地売却が報じられた同年 2 月以降、財務省は、本省理財局が主導して関連文書の廃棄を開始。 2 月下旬以降は、廃棄することができない決裁文書について改ざんを始めた。 改ざんの対象は広がり、本省から近財に具体的な指示が続いた。 改ざんの作業を強いられた赤木さんは 3 月 8 日、近財と理財局双方の職員に宛てたメールで「既に意思決定した(売り払い)調書を修正することに疑問が残る」と訴えた。 「とんでもない話」 怒りあらわのメールも 土地取引では地中のゴミが焦点となった。 「なぜガラを残したかは承知していない」とした国土交通省大阪航空局の説明について、近財職員が同 9 日、「とんでもない話」、「必要最小限の金額で抑える方法を考えてくれといったのは航空局」などと怒りをあらわにする文面もあった。 国会の紛糾を恐れて始まった改ざんや廃棄は、その後の検査院の検査や検察の捜査への対応に影響を及ぼした。 近財職員に対する告発を大阪地検特捜部が受理した翌日の 4 月 6 日には、近財内で検察への資料の提出を検討するメールが交わされた。 幹部は「検察から書類が外部へ出ることはない」、「だらだら出して心証を悪くするより、最初からすべて出してしまえばどうか」と提案していた。 検査院への対応は混乱した。 改ざんの作業は実地検査直前の 4 月上旬まで続き、検査 4 日前には、検査に対応する近財の担当者が、文書の廃棄をどう説明するかをメールで相談した。 財務省は国会で、学園との交渉記録について、保存期限が「1 年未満」にあたるとして廃棄済みだと説明してきた。 この職員はメールで、学園との取引以外の事案を念頭に「全て廃棄しているとは言い切れないのが実情」と懸念を伝えた。 近財内では検査初日の夜、本省理財局の総務課長の見解として、こう共有された。 「1 年を超えて保有する面会記録は『存在しない』。」 「学園と契約した時点で事案は終了し、保存年限は過ぎた」とする、廃棄の理屈が作られていた。 「AKAGI NOTE」に涙ぐむ雅子さん 赤木雅子さんの弁護団によると、雅子さんは 11 日午前 9 時過ぎに生越照幸弁護士とともに財務省に赴いた。 約 9 千ページの開示を受け、俊夫さんが仕事で使っていたとみられる自筆ノートの返還も受けたという。 表紙に「AKAGI NOTE」と書かれたノートは、この日の雨にぬれないようビニールや封筒などで包まれていた。 雅子さんは「丁寧に扱ってくれた」と涙ぐみ、何度も担当者にお礼を伝えていたという。 雅子さんはその後、報道陣に向けて「夫は財務省の方に初めて大事にしていただけたのではないか」、「内容はまだわかりませんが、夫の残したものをゆっくり読みたい」とのコメントを出した。 午後に大阪で会見を開いた生越弁護士は、文書の読み込みはこれからとしつつ、「一部からは(俊夫さんのいた)近畿財務局の緊迫感が伝わってくる」と話した。 同省からは 8 月をめどに俊夫さん以外の職員の手控えを開示し、来年 3 月までに主要な開示を終えると説明を受けたという。 (asahi = 6-11-25) 石破首相、コメ価格を「必ず下げる。 3 千円台に。」 党首討論で明言 石破茂首相と野党党首の党首討論が 21 日午後、国会内で開かれた。 今国会で 4 - 6 月で毎月開催することを与野党で合意しており、今回が 2 回目。 高騰するコメの価格をめぐり、首相が「新しい農林水産大臣のもとで、必ず米を下げることをやっていく。」と明言した。 「(5 キロあたり) 3 千円台でなければならない」とも語った。 立憲民主党の野田佳彦代表が 1 年間に限り食料品の消費税をゼロ%にすべきだと訴えたのに対し、首相は否定的な考えを示した。 野田氏は首相に対し、「期限と財源をしっかりと明示しながら、責任をもって減税をやるというのが我々の立場だ。 赤字国債は発行しない。」と強調。 「減税もやらない、給付もやらないのは、無策じゃないか」と迫った。 首相は「税率を下げるのにはどれくらい時間がかかるのか。 スーパーなどを見ても 1 年はかかる。」と語り、準備などの時間がかかることを理由に消費減税に反対した。 さらに「減収をどう補填をするか。 社会保障をどうするかということもパッケージとして示さないと、それこそ選挙目当てに過ぎない。」として、野党の減税の主張を批判した。 そのうえで、「次の選挙に責任をもつのも当然だが、次の時代に責任を持つ、そういう政策を展開する」と反論した。 コメの価格引き下げ「1 日でも早く実現する」 野田氏が物価高対策について、政府は「無策」だと批判した際、首相はガソリン価格の引き下げなどに合わせて、コメの価格も引き下げると強調。 「新しい農水大臣のもとで、必ず(価格を)下げるということをやっていく」、「安定的に安くなることをめざす」と明言した。 その後に登壇した国民民主党の玉木雄一郎代表は、「米 5 キロをいつまで、いくらに下げるのか」と追及。 首相は「3 千円台でなければならないと思っている。 1 日でも早く実現する。」と答弁。 玉木氏が「5 キロ 3 千円台に下がらなければ、首相として責任を取るか」とたたみかけると、「責任をとっていかねばならないと思っている。 仮に下がらなければ、きちんと説明するのが政府の責任だ。」と語った。 日本維新の会の前原誠司共同代表は、新年度予算に賛成する条件とした社会保険料の負担引き下げの改革協議が進んでいないことを首相に追及した。 「社会保険料を下げることが、生活を少しでも楽にさせる大きな要因になる。 だからこそ我々は野党でありながら本予算に賛成した。 約 3 カ月経って、(自民、公明との) 3 党協議は全く前進がない」と指摘。 「守られなかったら不信任に値する」と語気を強めた。 首相は「予算が成立したらもういいや、という信義に欠けるようなことは絶対にあってはならない」とし、「責任政党の長として、御党との約束を反故にすることは絶対に許されないと思っている」と低姿勢を見せた。 (国吉美香、asahi = 5-21-25) 消費減税の財源「示すべきだ」 72% 内閣支持 33% 朝日世論調査 朝日新聞社が 17、18 日に実施した全国世論調査(電話)で、政党や政治家が消費減税を訴える際、代わりの財源を示すべきか尋ねたところ、「示すべきだ」が 72% で「示す必要はない」の 21% を大きく上回った。 石破茂内閣の支持率は 33% で、4 月の 30% から微増。 不支持率は 56% だった。 政党支持率や参院選の比例区での投票先をみると、昨年 10 月の衆院選以来、勢いがあった国民民主党に陰りが見える。 消費税率のあり方については「食料品だけ引き下げ」が最多で 33%、「全品目で引き下げ」 23%、「いまのまま維持」 21%、「消費税廃止」 20% と続いた。今夏の参院選で、消費減税を訴える政党や候補者にどの程度、投票したいか尋ねた質問では、投票したいと答えた人は「大いに」と「ある程度」を合わせて 68% で、投票したくないとの回答は「あまり」と「まったく」で計 28% だった。 ただ、消費減税を求める層や消費減税を訴える政党や候補者に投票したいと答えた層の 6 割以上、消費税廃止を求める層でも56%が、代替財源の提示を求めており、有権者は野放図な減税にクギを刺していると言える。 消費税のあり方をめぐっては、自民支持層は「維持」がトップの 36% で、「食料品だけ引き下げ」が 33% と続いた。 立憲支持層は「食料品だけ引き下げ」が 5 割を占めた。 国民民主支持層は「食料品だけ引き下げ」、「全品目で引き下げ」がともに 34%、「廃止」 23% だった。 自民と連立を組む公明の支持層では、約半数が「食料品だけ引き下げ」と答えた。 今回の調査では、昨年 10 月の衆院選で躍進した国民民主党の勢いの衰えが明らかになった。 同党の支持率は同 11 月以降 10 - 12%。 12 月以降は立憲民主党を上回って支持率でみれば「野党第 1 党」だったが、今回は 8% (前回 4 月 12%)で、7% の立憲との差が縮まった。 参院選比例区の投票先でも 13%(同 17%)で、立憲と並んだ。 国民民主は 14 日、同党の元衆院議員の山尾志桜里氏や日本維新の会に所属した前衆院議員の足立康史氏、立憲の前参院議員の須藤元気氏らの公認を発表し、ネット上では山尾氏らの過去の言動をめぐり、批判が出ている。 主要政党の党首 4 人のうち、いま誰が首相にふさわしいか尋ねたところ、トップは石破首相の 21% で、国民民主の玉木雄一郎代表が 12%、立憲の野田佳彦代表が 11%、維新の前原誠司共同代表は 3%。 「この中にはいない」が 49% だった。 (蔵前勝久、asahi = 5-18-25) |