ウクライナ、領土問題で譲歩か … 米に提出の修正和平案巡り独首相が言及

ウクライナ危機

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「突然の裏切り」メキシコ、最大 50% 関税で中国排除へ … 北京激怒!

メキシコ議会は韓国と中国などメキシコと自由貿易協定 (FTA) を結んでいない国の輸入品に最大 50% の関税を課す法案を最終承認した。 中国を牽制するためのドナルド・トランプ米大統領の保護貿易基調に合わせつつ、自国の製造業を保護するための措置と見られる。 Newsis の報道によると、11 日(現地時間)のニューヨーク・タイムズ (NYT) やフィナンシャル・タイムズ (FT) などによれば、メキシコ上院は前日下院を通過した関税引き上げ法案を賛成 76 票、反対 5 票、棄権 35 票で可決したという。

法案はメキシコと FTA を締結していない韓国などの国から輸入される 1,400 余りの品目に対して 5 - 50% の関税を課す内容を含んでいる。 新たな関税は来年から施行される見込みだ。 特に中国製の自動車には最高水準の 50% の関税が課される。 FT によれば、中国企業は現在メキシコの乗用車市場の約 20%を占めており、メキシコは今年上半期に中国製自動車を最も多く輸入した国とされている。 FT は今回の 50% の関税が世界貿易機関 (WTO) が許可する範囲内で事実上「最高水準」だと指摘した。

ただし、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は今回の措置が中国だけを狙ったものではないと強調した。 彼女は「今回の措置は中国だけでなく、メキシコと自由貿易協定を結んでいないすべての国に適用される」とし、自動車・繊維など国内産業を保護し、自国生産を増やすことが今回の関税政策の直接的な目標だと説明した。 また「我々の関心事はどの国とも対立を生じさせないことだ」とし、「我々は中国を非常に尊重している」とも強調した。

ただし、ブルームバーグは今回の措置が中国製の輸出品が第三国を経由して米国に入るいわゆる「トランシップメント」に対する米国の懸念と軌を一にすると指摘した。 FT もトランプ大統領がメキシコ国内で高まる中国の経済的影響力を抑制し、自身の移民・安全保障政策を支持するようシェインバウム大統領に圧力をかけた後、今回の関税案が出されたと指摘した。

特に米国との通商・安全保障関係は今回の決定の重要な背景として挙げられる。 NYT と FT は今回の措置がメキシコと米国・カナダが結んだ「米国・メキシコ・カナダ協定 (USMCA)(USMCA)」の2026年再検討を前に出されたと説明した。米国は中国製品がメキシコを経由して高率関税を回避していると見て、中国製部品が使用されたメキシコ製の鉄鋼・アルミニウムなどにも追加関税を課してきた。

実際、メキシコの立場にとって対米関係は絶対的だ。 NYT によれば、米国はメキシコの最大の貿易相手国で、両国の貿易規模は昨年 8,4000億ドル(約 130 兆 7,844 億円)に達し、メキシコ・中国の貿易額の 7 倍に達した。 一方、中国はメキシコの第二の輸入相手国で、ブルームバーグによれば昨年の中国の対メキシコ輸出額は 1,300 億ドル(約 20 兆 2,404 億円)程度だったという。 中国はメキシコとの商品貿易で 700 億ドル(約 10 兆 8,987 億円)以上の黒字を記録したと伝えられている。

中国政府は強く反発している。 中国商務部は声明で今回の関税引き上げが「一方主義と保護主義に基づく誤った慣行」とし、「メキシコがこれらの措置をできるだけ早く是正することを望む」と述べた。 韓国も今回の措置の直撃弾を避けることは難しいとの見方が出ている。 メキシコと FTA を締結していない韓国はこれまでメキシコを「優良輸出市場」と見なしてきた。 一方、メキシコの議会は関税引き上げとともに、通商政策を担当する省庁が状況に応じて輸入関税率を柔軟に調整できるよう権限を付与する条項も承認した。 (織田昌大、江南タイムズ = 12-12-25)


マチャド氏、オスロに到着 ボートを使って出国? 「秘密作戦」報道

今年のノーベル平和賞を受賞したベネズエラの野党指導者、マリア・コリナ・マチャド氏 (58) が 11 日未明、ノルウェーの首都オスロに到着し、支持者に姿を見せた。 母国の当局から身を追われており、10 日の授賞式には間に合わなかったが、出国に成功した。 マチャド氏は 11 日午前 2 時半(日本時間同 10 時半)ごろ、宿泊先のホテルのバルコニーに現れ、外に集っていた数百人に手を振った。 その後は下に降りて、警察に守られながらホテル前で支持者と抱擁をしたり、写真を撮ったりした。

マチャド氏は昨年の大統領選の結果に異議を唱えたとして当局から捜査対象とされ、現在はベネズエラ国内に身を潜めて暮らす。 国外に出れば「逃亡犯」になると当局から脅されていた。 また、ノーベル委員会がノルウェーメディアに明かしたところでは、国内外で多数の殺害予告を受けていた。 出国は難航を極めたとみられ、9 日の前日会見は急きょ中止に。 授賞式も欠席した。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは 10 日、複数の米当局者の話として、マチャド氏が 9 日、ボートを使って出国し、カリブ海に浮かぶキュラソー島(オランダ領)に向かったと伝えた。 安全を守りながらオスロへ来るための「秘密作戦」で、支援者も公にならないように尽力したという。 米ブルームバーグ通信によると、悪天候のために予定が数時間遅れ、授賞式に間に合わなかった。 出国は、マチャド氏を敵対視するマドゥロ大統領の体制側のメンバーも手伝ったという。 11 日はノルウェー議会への訪問やストーレ首相との会談、記者会見などが予定されている。 (オスロ・藤原学思、河崎優子、asahi = 12-11-25)


パラマウントがワーナーに敵対的買収 ネトフリ上回る買収額を提示

米メディア大手パラマウント・スカイダンスは 8 日、米ワーナー・ブラザース・ディスカバリー (WBD) に対し、敵対的買収を始めると発表した。 WBD をめぐっては米ネットフリックスが映画事業などを 720 億ドル(約 11 兆 1,600 億円)で買収する契約を結んでいるが、パラマウントはより高い買収額を提示した。 パラマウントは WBD の株式について、ネットフリックスの 1 株 27.75 ドルを上回る 30 ドルで買うと発表した。 ネットフリックスと WBD が統合すれば、動画配信の独占が進むとも指摘。 「パラマウントは迅速に規制当局の認可を達成できることに強い自信を持っている」とした。

トランプ政権との近さ強調か

パラマウントのデビッド・エリソン最高経営責任者 (CEO) は、米 IT 大手オラクルの共同創業者ラリー・エリソン氏の息子で、トランプ米政権と近いとされる。 米 CNBC は関係者の話として、政権との友好的な関係などで認可プロセスが短くなると主張していく計画だと報じた。 ネットフリックスによる買収についてトランプ米大統領は 7 日、「問題になる可能性がある」と語っていた。 パラマウント・スカイダンスは、8 月にパラマウント・グローバルと、映画制作会社スカイダンス・メディアが合併して誕生した。 傘下に CBS テレビなどを抱えている。 (ニューヨーク・杉山歩、asahi = 12-9-25)

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ネットフリックス、米ワーナーの配信事業などを 11 兆円で買収

米メディア大手の再編が加速している。 米動画配信大手ネットフリックスは 5 日、米ワーナー・ブラザース・ディスカバリー (WBD) の一部の事業を 720 億ドル(約 11 兆 1,600 億円)で買収することで合意したと発表した。 配信サービスの拡大で各メディアが変革を迫られるなか、象徴的な出来事となった。 WBD は、ハリー・ポッターシリーズなどの映画制作や、CNN や HBO といったテレビ事業など、傘下に様々なメディアを抱えている。 テレビの契約者が減るなどして業績が振るわず、他社への事業売却を含めた再建案を検討していた。

ネットフリックスが買収するのは、映画・テレビスタジオや配信サービスを手がける HBO マックスの事業。 規制当局の認可などを経て、買収完了は 1 年 - 1 年半後を予定している。 5 日の説明会で、ネットフリックスのグレッグ・ピーターズ共同最高経営責任者 (CEO) は「ワーナー・ブラザースは世界で最も深い知的財産の『書庫』の一つを持っている」と話し、買収で顧客により幅広い作品を提供でき、会員の獲得にもつながると意義を語った。 5 日の米ニューヨーク株式市場で、ネットフリックスの株価は、前日の終値から 2.88% 下落し、WBD は 6.27% 上昇して取引を終えた。

米メディア大手では、事業環境の変化に伴い再編が進んでいる。 NBC などを抱えるコムキャストは昨年、ケーブルテレビ事業の分離を発表し、配信サービスなどの成長分野に注力する方針を示した。 また、パラマウント・グローバルと映画製作会社スカイダンス・メディアは、今年 8 月に合併して「パラマウント・スカイダンス」となった。 米メディアによると、コムキャストとパラマウント・スカイダンスの両社は、WBD に買収を提案していた。 (ニューヨーク・杉山歩、asahi = 12-6-25)


トランプ大統領の支持率急落を示す最近の世論調査
 『ニューズウィーク』が分析

米トランプ政権

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東南アジアの豪雨被害、死者 460 人超に インドネシア、タイで拡大

東南アジアで豪雨被害が拡大している。 インドネシア政府は、スマトラ島北部を中心に発生した洪水で、29 日までに 303 人の死亡が確認されたと発表した。 タイでも洪水による 162 人の死亡が確認されている。 インドネシア国家防災庁によると、一連の洪水は熱帯低気圧「セニャール」に伴う 24 日からの豪雨が原因。 被害が最も深刻な北スマトラ州で 166 人、アチェ州で 47 人、西スマトラ州で 90 人の死亡が確認された。 3 州では 270 人以上が行方不明になっている。 各地で道路の寸断や水没が起きるなか、当局が救助活動をしている。

被害はタイやマレーシアでも発生。 AFP 通信によると、タイ南部で起きた「過去 10 年間で最悪級」の洪水で、計 162 人が死亡。 マレーシアでも過去 1 週間で 2 人が死亡したという。 シンガポールメディアの CNA は、専門家の分析として、太平洋の中部から東部にかけての赤道付近で海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」などの影響を指摘している。 (ジャカルタ・河野光汰、バンコク・武石英史郎、asahi = 11-30-25)

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東南アジアで豪雨被害拡大 インドネシア、タイで 300 人超が死亡

インドネシア政府は 28 日、スマトラ島北部を中心とする豪雨の影響で洪水が発生し、これまでに 170 人以上が死亡したと発表した。 タイでも洪水による 145 人の死亡が確認され、被害は拡大する可能性がある。

インドネシア国家防災庁によると、一連の洪水は熱帯低気圧「セニャール」に伴う 24 日からの豪雨が原因。 被害が最も深刻な北スマトラ州で 116 人、アチェ州で 35 人、西スマトラ州で 23 人の死亡が 28 日までに確認された。 3 州では 70 人以上が行方不明になっている。 各地で道路の寸断や水没が起きるなか、当局が救助活動をしている。 被害はタイやマレーシアでも発生。 タイ政府によると、同国南部で計145 人が死亡。 ロイター通信によると、マレーシアでも過去 1 週間で 2 人が死亡したという。 (ジャカルタ・河野光汰、バンコク・武石英史郎,、asahi = 11-28-25)

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タイ南部で洪水、33 人死亡 空港滑走路も冠水、外国人多数が足止め

タイ南部で大雨による洪水被害が広がり、同国政府によると、26 日時点で 33 人が死亡、270 万人以上が影響を受けている。 地元メディアによると、洪水は 21 日ごろから広がり、南部の中心都市ハジャイでは家屋が最大 2 メートルほどの水につかった。 救援活動の拠点となっていたハジャイの国際空港は 26 日、滑走路が冠水して発着ができなくなった。 多数の旅行者が足止めされているという。 タイ政府は 25 日、被災地一帯に非常事態を宣言。 軍部隊を展開し、救援拠点とするため現地の沖合に空母を派遣した。

地元メディアは、2 階の高さまで冠水した家屋の屋根の上で救援を待つ住民の様子や、濁流の上に架かる送電線を伝って避難する人の映像を報じている。 被災地は隣国マレーシアとの国境に近い。 タイ外務省によると、マレーシア人約 4,200 人が被災地で足止めされているという。 公共放送 PBS は、現地の複数のホテルにシンガポール人約 400 人が食事もままならないまま、足止めされていると報じた。 (バンコク・武石英史郎、asahi = 11-26-25)


香港火災、なお 150 人と連絡取れず 追悼や工事見直しの動きも

香港北部の新界地区で高層住宅 7 棟が焼けて 128 人が死亡した大規模火災で、香港の警察当局は 29 日、依然として 150 人と連絡が取れていないと明らかにした。 ただ、火災当時住んでいたか分からない人も多く、被害がどこまで拡大するかは不明だ。 犠牲者の多さに、香港社会では大きな衝撃が広がっている。 当局によると、焼けた 7 棟のうち 2 棟の捜索を終えた。 今後、燃焼がより激しかった他の棟の安全が確保され次第、捜索を進めるとしている。 見つかった遺体のうち、44 人の遺体の身元がわかっていないという。

同日夕、現場近くの公園には献花する市民らで長蛇の列ができた。 香港の別の地域から訪れた男性 (57) は「同じ香港市民として、罪のない人たちがこれだけ巻き添えとなった。 胸が痛い。」と涙ながらに語った。 香港政府は 29 日から 3 日間を追悼期間とし、各所に記帳台を設置。 期間中は香港の旗や中国国旗は半旗としている。 香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は同日午前、政府庁舎前の広場で半旗に向かい、政府職員らと 3 分間黙祷した。

中国本土でも高層建築物のリスク調査に関する通達

今回の火災では、修繕工事中に窓を保護するために取り付けられていた発泡スチロールが激しく燃えたとされる。 香港紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、当局が火災後に他の建物の修繕現場を調査し、同様に発泡スチロールを使用していた 2 カ所に対して即時撤去を命じたという。 発生直後は、竹製の足場に注目が集まっていた。 同紙は、香港政府幹部の「早期に竹製の足場を鉄製に完全移行させる」との発言も伝えている。

ただ、他の香港メディアによると、竹は燃焼しにくいと指摘する専門家もいる。 原因の解明に向けて香港政府は 28 日、部門横断的なチームを立ち上げ、調査を進めている。 高層住宅は中国本土の各都市でも数多く建設されている。 中国国営中央テレビ (CCTV) によると、中国政府の国務院も同日までに高層建築物の火災リスクの調査に関する通達を出したという。

なぜ被害拡大? 日本の防災専門家は

元東京消防庁麻布消防署長で公益財団法人「市民防災研究所」理事の坂口隆夫さんは、高層住宅が激しく燃えた要因について、修繕工事に燃えやすい資材が使われていたほか、「囲まれた狭い空間の中で熱気が上昇して対流する『煙突効果』が周囲の防護ネットなどと外壁の間で生まれたのではないか」と指摘する。

過去にも煙突効果で大きな火災に発展した例はある。 2017 年にロンドンで 72 人が死亡する大規模な住宅火災が起き、外壁に燃えやすい断熱材が使われ、壁の構造の中で煙突効果が起きたという。 また多くの死者を出したことについて、居住者が煙で避難出来なかった可能性があるといい、「防火扉が設置され、階段も耐火で煙が入りにくい日本のような構造ではなかったのではないか」と構造上の問題もあげた。 (香港・里見稔、asahi = 11-29-25)

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香港の火災、死者 128 人に 高層住宅から炎や煙は消える

香港北部の新界地区で 26 日に起きた高層住宅の大規模火災で、香港当局は 28 日午後、死者数が 128 人、けが人は 79 人に上ると明らかにした。 焼けた 7 棟での消火活動は同日午前中に完了したという。 当局はまた、これまでに行方不明者に関する 467 件の通報があったとした上で、このうち約 200 人の状況がわかっていないとも明らかにした。

現場は同日午前 11 時(日本時間同正午)時点で、高層住宅から立ち上っていた炎や煙は消え、黒い焼けこげた外壁があらわとなっていた。 前日まで立ち込めていた焼けた匂いもなくなり、消防隊員らが機材を車両に詰め込むなどして撤収作業を進めていた。 火災現場は計 8 棟が立つ集合住宅。 26 日午後 3 時(日本時間同 4 時)ごろ、このうち 1 棟から出火し、計 7 棟が焼けた。

当時、現場では修繕工事が行われていた。 香港当局は、外壁に設置された防護ネットや防水シート、プラスチックシートが防火基準を満たしていなかった疑いを指摘。 27 日、修繕工事会社の幹部ら 3 人を過失致死の疑いで拘束した。 また、工事には竹の足場が使われており、燃えた竹の破片が飛散してほかの棟に燃え移った可能性があると消防当局はみている。 香港政府の資料などによると、集合住宅は 1983 年に完成し、約 2 千戸の住居がある。(香港・里見稔、高田正幸、asahi = 11-28-25)

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香港火災で市民の不満爆発も、政治統制進める中国政府に試練

[香港/北京] 香港北部・新界地区大埔(タイポ)の高層住宅群で 26 日に発生した大規模火災は、2019 年の大規模な民主化デモ以降、国家安全維持法(国安法)の施行などで香港への政治的な締め付けを強めてきた中国政府にとって、最大の試練になろうとしている。 香港の政治から民主派は一掃され、12 月 7 日に投開票が迫る立法会(議会)選挙には、政府が「愛国者」と認めた候補者しか出馬できない。

一方で香港政府と中国共産党はすぐさま、今回の悲劇を重大視する姿勢を示し、警察は住宅改修工事を請け負っていた企業の責任を巡る捜査に着手。 この企業の幹部ら 3 人が過失致死容疑で逮捕された。 しかし複数の専門家によると、香港の不動産価格高騰が長らく市民の不満の種となってきた下地があるだけに、当局が政治的統制を強化する取り組みを進めているにもかかわらず、今回の大規模火災が当局への反感を一気に高める可能性があるという。

香港の政治に関する複数の著書を執筆している政治学者ソニー・ロー氏は「中国政府は 2 つの問題を非常に大事に考えていると思う。 1 つはこの悲劇に政府がどう対応するか、もう 1 つは香港政府に対する市民の認識が変わるかどうかだ」と述べた。 ロー氏は「政府は国家安全保障の面ではうまくやってきたが、それには人間の安全保障という側面も含まれる」と指摘する。

直近の情報によると少なくとも 94 人が死亡し、300 人前後の消息が分かっていない。 火災警報器の不備から工事現場労働者の喫煙、竹製の足場に至るまで、多くの住民はリスクが無視されていたのではないか、あるいは工事において安全を担保する仕組みが導入されていたのかと疑問視している。 避難所に身を寄せた被災者の中からは、過失やコスト削減が火災の原因であると批判する声が上がり、インターネット上でも同様の意見が相次いだ。

習近平国家主席は、まだ炎が住宅の窓から吹き上がっていた 26 日夜 10 時ごろ、消火と死傷者や被害を最小限にするため「総力を挙げた取り組み」を行うよう関係各所に指示した、と複数の国営メディアが伝えた。 習氏は「犠牲者や被災者の家族に哀悼の意を表明」するとともに、今回の事故を非常に重視し、救助活動や死傷者の状況を随時報告することを求めたとされる。

その 4 時間後には、避難所への視察を終えた香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官が記者会見を開き、消火と取り残された住民の救助を最優先とする方針を強調。 「次に負傷者の手当て、その次は(被災者)支援と復旧、その後、徹底的な捜査を始める」と語った。 ただ、この会見からわずか 3 時間を経た時点で、警察は火災が広がった原因を明らかにした上で、改修工事担当企業の経営幹部 2 人と設計コンサルタント 1 人を逮捕したと発表した。

警察の説明では、建物全体を覆っていた防護ネットやプラスチックのシートが防火基準を満たしていなかった恐れがあるほか、被害を受けていない建物の一部の窓は発泡素材でふさがれていたという。 「この会社の責任者が重大な過失を犯した結果、火災が発生して制御不能な状態にまで拡大し、多数の犠牲者を生んだと考える根拠がある」と警察幹部は言及した。

怒りの矛先

香港ではデモは相当厳しく規制されているが、さまざまなネット上のフォーラムにはなおアクセス可能で、市民の心情をいち早く知る手掛かりになりそうだ。 複数の専門家は、市民の怒りは改修工事会社だけでなく、政府の防火安全措置や建設規制当局に向かう可能性があり、今回の火災に関する広範囲かつ公開形式での調査を求める圧力が高まるだろうと予想する。 香港政府は伝統的に、大規模な事故について公開の調査を設置してきており、その多くは独立した裁判官が主宰してきた。

例えば香港が英国から中国に返還される 1 年前の 1996 年、九龍中心部で 41 人が死亡した商業ビル火災では、その後の調査結果が政府の消防安全条例改正につながった。 だが、こうした取り組みだけでは、もはや十分とは言えない可能性がある。 香港建設業従業員総連合会のトップは「業界全体や政府の監督を含めて、防火安全と現場の安全管理を真剣に見直す必要があると考えている」と述べた。 (Greg Torode、Antoni Slodkowski、Reuters = 11-28-25)

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香港高層住宅火災 44 人死亡 工事業者 3 人を逮捕

26 日に香港の高層住宅で発生した火災で、これまでに 44 人が死亡したことが明らかになりました。 香港当局は 27 日朝、過失致死の疑いで工事業者 3 人を逮捕したと発表しました。 又、香港の消防当局はこれまでに少なくとも 44 人が死亡したと明らかにしました。 更に、200 人以上と連絡が取れなくなっています。 現場は 8 棟の高層住宅が集まる団地で、改修工事が行われている最中でした。 香港メディアによりますと、外壁に設置されていた竹で作られた足場から出火したとみられています。

この火災をめぐり、香港当局は 27 日朝、50 代から 60 代の工事業者の取締役ら 3 人を過失致死の疑いで逮捕したと発表しました。 外壁を覆っていた保護ネットなどが、防火基準を満たしていない疑いがあるということです。 また、エレベーターホールの窓が可燃性の高い発泡スチロールで覆われていたため、火が急速に燃え広がった可能性があるということです。 まだ広い範囲で火災が続いていて、消防が到達できていないエリアもあるということで、鎮火の見通しはたっていません。 (日テレ = 11-27-25)