トヨタがチェコで EV と電池を生産へ 工場増強に 1,200 億円投資

トヨタ自動車の未来

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ホンダ・プレリュード、四半世紀ぶりに復活 電動化の「前奏曲」に

ホンダの世界戦略再建

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EV で米両海岸をドライブ旅行 電池切れの心配なし

EV はブームなのか?

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大井川鉄道、全線復旧へ年内に工事着手 台風被害から 3 年、課題山積

台風被害から 3 年、大井川鉄道の全線復旧に向けた工事がようやく動き始める。 早ければ 11 月に島田市内の不通区間で線路に流入した土砂などの撤去工事に入る予定。 沿線から期待の声があがる一方で、工事の具体的な計画や費用の協議はこれからだ。 工事費の高騰や大鉄の経営再建といった課題も山積している。 大鉄大井川本線の終着駅で、奥大井への観光の玄関口となる千頭駅(川根本町)。 駅前で自動車整備会社を経営する中原康夫さん (71) は「コロナ禍前は週末になると観光客で通りがあふれていた。 この 3 年間、SL の汽笛が聞こえない日常が当たり前になってしまってさみしい。」とこぼす。

大鉄は 2022 年の台風被害で、現在も本線の半分ほど、川根温泉笹間渡(島田市) - 千頭間の 19.5 キロが不通のままだ。 運行再開に必要な費用は、災害復旧に 4.8 億円、経年劣化したトンネルや軌道の機能回復に 16.2 億円と算定。 うち大鉄が負担すべき 7.8 億円を、県と島田市、川根本町が補助と貸し付けで追加支援し、29 年春までに全線開通をめざす内容で 3 月に合意した。 私鉄に対して異例の支援内容だ。

中原さんは町民らでつくる「大井川鉄道全線復旧を支援する会」の副会長を務め、署名活動に取り組んできた。 「ようやく光が見えてきた」と喜ぶ一方で、「最近は災害が頻発しているし、建設業界は人手不足と聞く。 復旧が順調に進めばよいのだが。」と心配する。

経営再建など課題山積

大鉄は今月、県と 2 市町に今年度の工事概要と、全体の工事スケジュール案を示した。 今年度は島田市内で土砂や倒木の撤去など災害復旧工事を見込む。 来年度は島田市内の工事を完了し、川根温泉笹間渡から隣の地名までの川根本町内の工区に入る。 地名までの運行再開は 27 年秋以降になる見通しで、地名から先は 27 年度から工事を順次進める。

しかし、土砂を撤去しないと損傷の程度がわからない事情もあり、来年度以降の具体的な工事や費用の詳細は決まっていないという。 川根本町の担当者は「国が返済の 7 割を負担してくれる過疎対策事業債の一部活用を考えている。 大鉄は工事の計画と費用を早く示してほしい。」とやきもきする。 県と島田市は追加支援のうち、機能回復分は貸し付ける予定だ。 金額は県が 2.7 億円、島田市が 9 千万円を見込む。 今月 20 日の島田市議会全員協議会では、市議から貸付金の利子や返済計画に関する質問が出たが、市の担当者は「今後の協議になる」との説明にとどまった。

大鉄はコロナ禍に加え、台風被害の影響で 19 年度から 6 期連続で赤字が続く。 県と島田市は「コロナ禍前の業績から経営再建は可能と判断し、貸し付けを決めた。 貸し付けにあたっては返済計画が必要」として、大鉄との協議を急ぐ。

鳥塚亮社長「まずは地名まで」

全線復旧に向けた取り組みや経営再建の見通しについて、大井川鉄道の鳥塚亮社長に聞いた。

復旧の見通しは。

来年度から本格的な復旧工事に入る。 まずは地名まで運行を再開し、川根本町に汽笛を響かせたい。 次は下泉か駿河徳山まで延ばして、千頭まで段階的に再開していく。

建設資材や人件費の高騰による工事費の上ぶれが懸念される。

税金を回していただくので、必要最低限の工事を優先して調整するしかない。 ただ、例えばトンネルは運休している間に全面改修したほうがいい。 将来に回すと工事でまた運休することになり、損失が生じる。 県などと協議をしたい。

黒字化の見通しは。

鉄道は装置産業で、設備投資がものすごくかかる。 半分止まっている状況で黒字化は困難だ。 当面は乗車人員を増やすことに力を入れ、キャッシュフローの向上を図る。 昨年 6 月の就任後、冬の集客を底上げしようと、食堂車や夜行列車の企画を打ち出した。 前年同期と比べると客足が伸び、手応えを感じた。 来年度は乗車人員を 1 - 2 割増やしたい。

今年、国鉄の寝台特急「ブルートレイン」の塗装を再現した電気機関車を導入したが、狙いは。

蒸気機関車は毎年の定期検査に 4 カ月かかり、SL ときかんしゃトーマス号がそろうのは 1 年のうち 4 カ月間だけ。 この列車を三つ目の柱とし、観光列車を常に二つ以上走らせたい。

訪日外国人の誘客の取り組みは。

来年 1 月に姉妹鉄道締結 40 周年を迎える台湾の阿里山森林鉄道などとタイアップして、現地で PR したい。 台湾や中国、韓国など、アジアを中心に外国人観光客を獲得していきたい。 (青山祥子、asahi = 8-31-25)


インド採用の次期新幹線「E10 系」、国内デビューは 2030 年度

来日したインドのモディ首相は 29 日午後に石破茂首相と会談し、JR 東日本が開発中の次期新幹線「E10 系」をインド初の高速鉄道計画に採用する方向で、両首相が確認する見通しだ。 新幹線技術をめぐり、インドは日本との長年の交流もある。 「E10 系」とはどのような車両なのか。 海外の高速鉄道で日本の新幹線方式が採用されるのは、JR 東海が技術支援を行っている 2007 年開業の台湾に続き、インドの高速鉄道計画が 2 例目となる。 インドについては、JR 東日本が日本政府からの協力要請に応えるかたちで技術支援を続けている。

16 年には、JR 東のグループ会社「日本コンサルタンツ」が、国際協力機構 (JICA) から整備支援事業を受注。 現地で新幹線建設に協力しているほか、今年 1 月からはインド高速鉄道の研修員 16 人を受け入れ、福島県内の研修センターなどで新幹線運転士になるための学科講習や技能講習を行っている。 「E10 系」は、東北新幹線の主力車両「E5 系」の後継となる次世代車両で、JR 東が 3 月、設計に着手すると発表したばかりだ。

最高速度は E5 系と同じ時速 320 キロだが、非常時に用いるブレーキの制動力を高め、緊急停止するまでの距離を 15% 短 縮。 将来の自動運転に向けた機能の搭載も検討されている。 27 年秋以降に量産先行車を完成させ、日本国内では 30 年度の営業運転デビューをめざしている。

開発支える試験車両「ALFA-X」

E10 系など次世代車両の開発を支えているのが、試験車両「ALFA-X (アルファエックス)」だ。 北海道新幹線の札幌延伸時に時速 360 キロで営業運転することをめざし、19 年に登場。 ブレーキ力に空気抵抗を利用する「空力ブレーキ」の実用化や、将来の自動運転化に必要な車両制御技術の開発に挑みながら、試験走行を重ねている。 (細沢礼輝、asahi = 8-29-25)


三菱自、26 年 3 月期は 76% 減益予想 関税回避で米国外の競争激化

三菱自動車は 27 日、2026 年 3 月期の純利益が前年比 76% 減の 100 億円になる見通しだと発表した。 5 月時点の予想から 300 億円引き下げた。 日米両政府の合意で自動車関税の負担は減る一方、米国外での販売競争が激しさを増している。 想定よりも販売にかかる費用が高止まりし、値上げも難しい状況だ。 売上高は従来予想から 900 億円下ぶれて前年比 3% 増の 2 兆 8,600 億円、営業利益は 300 億円下ぶれして同 50% 減の 700 億円と見込む。

同社は、米国への自動車関税が現在の 27.5% から 15% に引き下げられる時期が「10 月以降」になると想定。 米国への関税支払額は従来予想から 129 億円減って 385 億円に縮小する一方、米国外での販売費の増加などが営業利益を 290 億円押し下げるとみている。 同社によると、米国での販売減を盛り返すために、東南アジアやオーストラリアで自動車大手各社の販売競争が激化している。

加藤隆雄社長は「今の販売環境では、他社より突出して売価を上げると、受注が落ちるリスクがある。 適切なインセンティブ(販売奨励金)をつける必要もあり、当初『このくらいの挽回策を打ちたい』と思っていたところまでは達していない」と述べた。 同社は 7 月 24 日に 25 年 4 - 6 月期決算を発表した際、前日に急きょ日米両政府が関税引き下げに合意したことを受け、業績予想については「好転要因と悪化要因の両面がある」として、いったん据え置いていた。 (中村建太、asahi = 8-27-25)


三菱ふそう、台湾の鴻海と EV バスの共同開発で合意 国内生産を想定

三菱ふそうトラック・バスは 22 日、台湾の受託製造大手の鴻海(ホンハイ)精密工業と電気自動車 (EV) バスについての協業に合意したと発表した。 鴻海の EV バスを土台にした車両を共同開発し、生産や販売でも協力する。 鴻海の大型 EV バス「モデル T」と小型 EV バス「モデル U」を土台とし、三菱ふそう子会社の三菱ふそうバス製造(富山市)で生産することを想定している。 いつ市場に投入するかは未定という。 海外での販売も検討する。

国内の大手商用車メーカーでは、大手のいすゞ自動車と日野自動車が合弁会社で EV バスを生産している一方、三菱ふそうは EV バスの生産をしていなかった。 鴻海は米アップルのスマートフォン「iPhone (アイフォーン)」などの受託生産で成長し、近年は新たな成長分野として EV に注力。 大手メーカーとの協業を加速させている。 5 月には三菱自動車が鴻海から EV の供給を受けると発表していた。 (中村建太、asahi = 8-23-25)


Luup を生み出した東大同期生 構想は「小型、1 人乗り、電動」

自家用車の助手席に乗っていると、若い女性の電動キックボードが脇をすり抜け、前方におどり出た。 「ひょっこり出てきて危ないのよ。」 運転する妻が言う。 これが Luup (ループ)との出会いだった。 私がおそるおそる乗ってみると … 風を切って走り爽快だ。 危なっかしいけど快適。 そんな両面をもち、急速に普及するループに迫った。

出会いは東大のダンスサークル

創業したのは、東京都板橋区の常盤台で育った岡井大輝 (32) である。 会計事務所を営む両親のもとに生まれ、進学校の海城中高から 2013年、東大農学部に進学。 そこでストリートダンスのサークル BOILED(ボイルド)に入ったことが人生を決めた。 出会ったのが工学部の岡田直道 (30)、牧田涼太郎 (31) だった。 「僕らは決してチャラい感じではなく、鏡に向かって首を 1 時間ずっと動かし続けるような、ダンスを突き詰める人が多かったんです」と岡田。 求道的な情熱に支えられていた。

明るく社交的な岡井はその中で自然とリーダー格に収まった。 数十人だったメンバーは 3 年余で 200 人に増え、各種コンテストにも出場。 まるで産声をあげたばかりのスタートアップ企業の急成長に立ち会うかのようだった。 岡井は岡田、牧田ら 4 人に「卒業したら会社を作ろう」と切り出し、彼らは同志的な絆で結ばれるようになった。 岡井の両親は総合商社を勧めたが、それを振り切って小さなコンサルティング会社に就職したものだから「母は発狂しそうでしたよ」と苦笑する。

発想した「ウーバーの介護版」

5 人は毎週水、金曜日の夜、岡井宅にそろい、起業を夢見ながら寝落ちした。 岡井は「50 年後、100 年後の日本に必要とされ、なおかつ自分たちじゃないとできないものをやりたい」と考えた。 18 年 7 月創業。 社名は「ユメリス」。 ラテン語の「肩」を意味し、「巨人の肩に乗る」という慣用句に由来する。 「先人の積み上げてきた知識や技術を土台にして、さらに先に進む」という思いを込めた。 岡田は大学院を中退し、牧田はマッキンゼーを辞めて加わった。 最初は人類の知能を向上させようと、質問に対して回答する AI のようなことを考えた。 「でもビジネス的に抽象的すぎて(岡田」)と断念。

岡井の祖母が認知症だったため、続いてアプリを使って訪問介護を呼ぶアイデアを着想した。 「ウーバーの介護版という発想でした。(岡井)」 だが自宅に介護スタッフを呼ぶ手軽な交通手段がないと気がついた。 東京の交通網は、都心から放射状に延びる鉄道が中心だ。 ひとたび鉄道網やバスの路線を外れると、「訪問先のお宅から次のお宅までの移動効率が悪いんです。(岡井)」 彼が育った東武東上線沿線が何よりそうだった。

街中に新しい交通手段を配するなら、小さな乗り物をレンタルするのが良い。 高齢化を考えれば、1 人の運転手が 1 人を運ぶタクシーのような業態は効率が悪く、1 人乗りが望ましい。 高齢者が乗るなら、自転車のように自力でこぐのは難しい。 こうして「小型、1人乗り、電動」というコンセプトが浮かんだ。

乗り越えた資金調達の壁

岡井はその間、ベンチャーキャピタルの ANRI (アンリ)に足を運び、中路隼輔 (34) に相談を持ちかけた。 中路は、1 時間の約束が 2 時間になり、数日後には「またお会いできませんか」と連絡してくる岡井に魅了された。 「頭の回転が速いのに頭でっかちではない。 大義を持って行動できる。 バランス感覚が良い。 彼を見て『投資したい』と思いました。」 アンリが出資の可否を決める投資委員会を開く際、岡井は「非常識ですが」と、電動キックボードや電動アシスト自転車など 7、8 種類の乗り物を持参し、東京には短距離の交通インフラが必要と力説した。 ニコニコし愛敬があり、説得力あるストーリーだった。

中路は岡井から「先進地の米国を見に行きませんか」と誘われ、ついていった。 岡井が電動キックボードに乗っている人に突撃取材して感想を聞きまくる。 「ワシントンの政府に勤める官僚も普通に乗っているんです」と岡井。 中路はその光景を見て、「交通空白区が多い東京だともっと相性が良いかも」と思った。 社名をループに変更した。 循環、輪を意味する loop の「o」を「u」にした。 移動して循環し、次なるインフラの進化につなぐ。 そんな思いを込めた。

中路は「岡井さんにはひきつける力があります」と言う。 「ひきつける力」のある起業家は採用と資金調達に成功する。 中路は経験則からそう学んでいた。 岡井にはそれがあった。= 敬称略 (編集委員・大鹿靖明、asahi = 8-23-25)

◇ ◇ ◇

Luup が新型車両を発表、免許返納の高齢利用者も想定 実証実験へ

電動キックボードなどのシェアリング事業を展開する「Luup (ループ、東京)」が 5 日、三輪で一人乗りの新型車両の導入を発表した。 16 歳以上は運転免許がなくても乗れる特定小型原付き自転車に分類される。 2026 年度から各地で実証実験を始め、利用者のニーズなどを調査したうえで導入を目指す。 新型車両の名称は「Unimo (ユニモ)」。 座席に腰掛けて運転ができ、車道での最高速度は時速 20 キロ。 6 キロ以下に設定すれば、一部の歩道で走行できる。 同社のアプリを使って、無人の拠点「ポート」からの貸し出しを予定している。

電動キックボードなどの利用者は、20 - 50 代が 9 割超を占めるという。 ただ、新型車両では運転免許証を返納した高齢者の利用も想定している。 力を入れたのは、転倒事故への対策だ。 自動車部品メーカー「アイシン(愛知)」の技術により、運転中の車体の傾きを自動で制御し、カーブでも安定させられるという。 また、車体にカメラを取り付けることで、交通違反を検知する仕組みの導入も考えている。 将来的には自動運転化も見据えているという。 同社は現在、21 都道府県で事業を展開している。 新型車両について岡井大輝社長は「高齢者の多い町にも展開していける」と語った。 (板倉大地、asahi = 8-5-25)


お盆の新幹線、東北や北陸など避暑地が人気 航空は国際線が好調

JR 旅客 6 社は 18 日、お盆期間(8 月 8 - 17 日)の利用実績を発表した。 全国主要 46 区間の新幹線、在来線特急の利用者は 1,317 万 9 千人で、前年同期を 8% 上回った。 コロナ禍前(2018 年)と比べても 3% 減にまで回復した。 昨年は南海トラフ地震の臨時情報や新幹線の計画運休があったが、今年は九州地方を除き比較的好天に恵まれたことなどが好調の要因という。 新幹線は東北が前年同期比 6% 増、北陸(JR 東日本管内)が 4% 増で、避暑地への利用が目立った。 東海道は 13% 増、山陽は 7% 増で、いずれも大阪・関西万博の効果とみられるという。 大雨で運休が出た九州はほぼ前年並みだった。

航空各社も 18 日、お盆期間の利用実績を発表した。 大手の全日本空輸 (ANA) と日本航空 (JAL) のいずれも国際・国内線ともに前年を上回り、国内線では万博が開かれた関西方面への旅客数が多かった。

ANA は国際線の旅客数が 26 万 4,129 人と前年同期比 13.2% 増で、昨年度に新規就航したミラノやストックホルム路線などが人気だったほか、ハワイ路線の旅客数は過去最多の 2 万 3,249 人と好調だった。 JAL グループは国際線の旅客数が 23 万 1,366 人で同 10.5% 増だった。 東南アジア(前年同期比 11% 増)や北米(同 19.8% 増)を中心に旅客数が前年を大幅に超えた。 (細澤礼輝、増山祐史、asahi = 8-18-25)


自動車 7 社、米国関税が利益 2.6 兆円超押し下げ 26 年 3 月期予想

トランプ米政権による関税政策が自動車大手 7 社の営業利益(2026 年 3 月期)に与える影響の見通し額は、合計 2 兆 6 千億円超となった。 販売に占める米国の比率が高い社を中心に、大幅な減益予想を示している。 米政府は今年 4 月から、日本から輸入する完成車に 25% の追加関税を課し、5 月からは主要な部品にも課税した。 日米両政府は 7 月、自動車関税を 15% (従来の 2.5% を含む)に引き下げることで合意したが、実施時期ははっきりしない。

メキシコやカナダを含め、第三国からの輸入車への関税や、自動車関税以外の関税がかかる原材料もある。 自動車各社はそれぞれ前提を仮定して影響額を見積もった。 各社はまず、取引先の部品会社から協力を得つつ、生産体制の工夫で業績改善を目指す。

車種構成や工場のシフト見直し

マツダの 4 - 6 月期は、697 億円の関税影響を受けて 461 億円の営業赤字(前年同期は 504 億円の黒字)に転落した。 毛籠(もろ)勝弘社長は「米国の関税による甚大な影響を下半期には前年並みの巡航水準まで押し戻したい」と述べた。 通期での関税影響は 2,333 億円を見込むが、米国工場の生産を増やしたり、生産地や車種の構成を見直したりする工夫で 608 億円を軽減。 さらに、生産コストの削減や固定費の見直しによって 800 億円を抑える。 毛籠社長は「簡単ではないが、取引先(部品会社)と一体でチャレンジしたい。」

ホンダは、日本から米国への輸出は少ないものの、カナダやメキシコと一体で生産体制を築いてきた。 藤村英司 CFO (最高財務責任者)は、「(米国で) 1 日 2 交代のところを 3 交代にするなど、投資をかけずに稼働率を上げていく。」

関税転嫁の値上げにはなお慎重

今のところ米国での販売は堅調だが、関税を転嫁するための値上げには、各社はなお慎重だ。 トヨタ自動車は 7 月、年 1 回の価格改定にあわせ、「トヨタ」ブランドで 1 台あたり約 4 万円を値上げした。 だが、関税分をカバーするにはほど遠い。 上田裕之渉外広報本部長は「関税が上がったから、自動的に上乗せするものではない。 お客様が、いろいろな車を乗り比べながら判断するものだ。」と述べ、市場環境をみながら検討する姿勢を示した。

関税は、部品についても引き上げられた。 自動車大手に納めるスイッチ類やシートベルトなどを手がける東海理化(愛知県大口町)は、米国外から製品や部品を持ち込む際に、関税を払っている。 篭橋栄治・収益改革本部長は「粘り強く交渉して、しっかり価格転嫁は進めたい。」 こうした費用をだれがどれだけ負担するのかも、今後の注目点になっている。 (大平要、高橋豪、中村建太、asahi = 8-8-25)


JR 東海社長「米原乗り入れは困難」 北陸新幹線のルート問題で

JR 西日本などが運行する北陸新幹線の新大阪延伸をめぐり、敦賀駅(福井県)から東海道新幹線の米原駅(滋賀県)に向かうルートの再検討を求める声が出ている。 東海道新幹線を運行する JR 東海の丹羽俊介社長は 7 日に大阪市内で開いた記者会見で、この点を問われ、「東海道新幹線はすでに大変密度の高いダイヤになっている。 米原駅から東海道新幹線に乗り入れることは難しいという認識だ」との見解を示した。 ただ、社内で具体的に課題を検討したことはないという。

整備新幹線の一つである北陸新幹線のルート問題について、丹羽氏は「当事者ではない。 国が検討して決定していくべきだ。」との立場を改めて示した。 敦賀 - 新大阪の延伸をめぐっては、政府・与党が 2017 年、敦賀から小浜(福井)を通り京都に向かう「小浜・京都ルート」を決めている。 しかし、昨年夏、京都府・市が地下水への影響などへの懸念を表明し、その後進んでいない。 早期の全線開業を求めるなどとして、石川県や大阪府などで米原ルートの再検討を求める声が再浮上。 ルートを議論してきた自民・公明の与党整備委員会の西田昌司委員長も小浜・京都ルートが妥当か再検証する考えを明らかにしている。

丹羽氏は、政府・与党が米原ルートを再検討するにあたり協力要請があれば、「必要な協力はする」と語った。 (細見るい、asahi = 8-7-25)


ANA ホールディングス、日本貨物航空を完全子会社化 世界 14 位に

ANA ホールディングス (HD) は 4 日、航空貨物輸送を手がける日本貨物航空 (NCA) を 1 日付で完全子会社にしたと発表した。 ANAHD は 2023 年 3 月、当時の NCA の親会社だった日本郵船から全株式を取得することで基本合意。 その後、就航している国による独占禁止法などの審査を受けていた。 今回、最後となる中国当局からの認可が出たという。

ANA は貨物専用機を 8 機、NCA が 8 機運航しており、両社をあわせた輸送重量ベースでは世界 14 位の規模になる。 NCA は日本と欧米をつなぐ路線に強みを持つ。 ANAHD の芝田浩二社長は、NCA の拠点となる成田空港での記念式典後に取材に応じた。 成田が香港や韓国の空港に貨物の取扱量で後れを取っていることに懸念を示し、「成田の国際航空貨物の取扱高はかつては世界最大だったが、今は取り切れていない。 (NCA のグループ入りで)東アジアのハブ空港をめざすところに貢献していきたい」と語った。

国際貨物はトランプ米政権による関税政策の影響を大きく受ける業界の一つだ。 7 日からは、米国に輸出する多くの日本製品に対して、15% の「相互関税」が課せられる。 芝田社長は「関税そのものは高くなっているが、(税率が固まったので)予見性は高まった。 航空事業にとっては良い環境だと思っている。」と話した。 NCA の本間啓之社長は「地殻変動が起こっているが、変革のチャンスと思っている」と強気の姿勢だ。 (吉田貴司、asahi = 8-4-25)


山手線の初乗り運賃、10 円値上げし 160 円に 国交相が改定認可

JR 山手線の初乗り運賃(大人)が 2026 年 3 月、150 円から 160 円に値上げされる。 国土交通相が 1 日、JR 東日本の申請していた運賃改定を認可した。 普通・定期運賃全体で平均 7.1% 値上げする。 東京駅からの普通運賃は、新宿駅が 210 円から 260 円、横浜駅が 490 円から 530 円、大宮駅が 580 円から 620 円に高くなる。 首都圏の一部区間で割安となる「山手線内」と「電車特定区間」を廃止して「幹線」に統合することを受けたもの。 値上げで得たお金は、ホームドアやバリアフリー設備への投資などに使うという。 (asahi = 8-1-25)


「空飛ぶホテル」 A380 の運航に各国航空会社が悲鳴
 頻発する故障と巨額の補償で "世界最大の旅客機" の実力発揮できず

「空?飛ぶホテル」とも呼ばれる超大型旅客機 A380 (2 階建て機) の運航において、各国の航空会社が頭を悩ませている。 一度に多くの乗客を輸送できる利点はあるが、機体の老朽化によって故障が増え、大型機であるがゆえに遅延が発生した際の補償も巨額になりがちだ。

『ブルームバーグ通信』によれば、今月 14 日、カンタス航空の A380 がシンガポールからシドニーへ出発予定だったが、技術的問題で数日間遅延したという。 同機は 5 月 7 日にもシドニー - ロンドン線を運航中に燃料ポンプの不具合でシンガポールに足止めされていた。 ブリティッシュ・エアウェイズの A380 も最近、フィリピン・マニラに 100 日以上も滞在したままで、6 月になってようやくロンドン・ヒースロー空港へ戻ったものの、その後の 30 日間で飛行したのはわずか 7 日だけだった。 具体的な原因は公表されていないが、機体トラブルの可能性が高いとみられている。

A380 は 2 階建て構造でエンジン 4 基を搭載し、部品数はおよそ 400 万点にのぼる複雑な構造を持つ。 これにより整備コストは他の機種よりも高く、もし機械的な問題で運航に支障が出た場合、搭乗人数の多さから航空会社の補償負担も膨大になる。 加えて機体の老朽化に伴い安全基準も厳しくなっており、2020 年 1 月以降、欧州連合航空安全庁 (EASA) が発出した A380 関連の耐空性改善通報は 95 件に達している。 これは同時期のボーイング製大型機の 2 倍に相当する数だ。

EASA は「A380 は他の航空機と比べて整備が難しい複合機であり、安全確保のために耐空性改善通報を発表することは当然」と強調している。 A380 はフランスのエアバス社が開発した世界最大の旅客機で、2007 年から商業運航を開始。 搭乗効率は高いが、燃費が悪く、満席にできなければ損失が大きいため、パンデミック以降は多くの航空会社が退役を進めてきた。 だが A380 に代わる大型機の供給が追いつかず、各社は引き続きこの機体を飛ばさざるを得ない状況にある。

実際、ボーイング 777X や A350 といった後継機の納入が遅れているため、ブリティッシュ・エアウェイズは A380 の客室アップグレードを計画し、エミレーツ航空も今後 10 年間にわたり運航継続を予定している。 かつて同社のティム・クラーク社長は A380 を「他の機体よりも乗客を一気に吸い込む巨大な掃除機」と表現したことがある。 ブルームバーグ通信は「A380 はパンデミック後の旅行需要回復により予想外の再活躍を見せたが、老朽化が進む中でその運航維持には高額なコストが伴い、航空会社にとっては悩みの種となりつつある」と伝えている。 (織田昌大、江南タイムズ = 7-31-25)


仏ルノー、1.9 兆円の赤字 日産の経営悪化響く 1 - 6 月期決算

仏自動車大手ルノーが 31 日発表した 1 - 6 月期決算は、純損益が 111 億 8,500 万ユーロ(約 1.9 兆円)の赤字となった。 保有する日産自動車株の会計処理の変更に伴って 93 億ユーロの損失を計上するなど日産の経営悪化が響いた。 同社は最高経営責任者 (CEO) に同社幹部のフランソワ・プロボ氏 (57) を昇格させる人事も発表し、新しい体制のもとで収益改善に取り組む方針だ。 ルノーの売上高は前期比 2.5% 増の 276 億 4 千万ユーロと伸びた。 グループの世界販売台数はフランスやスペインなどで増え、前期比 1.3% 増の 117 万台と堅調だった。

大幅な赤字の要因は、提携先である日産の不調だ。 ルノーは保有する日産株の評価について、持ち分法による処理から、6 月 30 日時点の株価をもとに金融資産として計上する形に変更。 日産の株価が大きく下落したため、93億ユーロの損失を計上した。 さらに日産の赤字を踏まえた持ち分法の損失を含め、日産関連で利益が計 116 億ユーロ押し下げられたという。

CEO に就任したプロボ氏は、日産自動車との出資比率の見直しや協業を主導するなど、日産との関係が深いという。 プロボ氏は記者会見で日産の再建計画について「適切で日産の持続可能性にとって必要だ」と述べ、実行に向けて支援していく考えを強調した。 ルノーのスナール会長も「私たちは日産の友人だ。 日産は非常に困難なリストラ期を迎えているが、それは必要なことだ。 (再建の)プログラムは良い。実行するだけだ。 それを注意深くみている」と話した。 (ベルリン・寺西和男、asahi = 7-31-25)


トヨタ・ホンダ米国好調 トランプ関税影響は限定的か 1 - 6 月実績

国内の自動車大手 8 社が 30 日、2025 年 1 - 6 月の販売や生産の実績を発表した。 トランプ米政権の関税政策による影響が懸念された米国の販売も堅調だった社が多い。 販売や生産の動きについていえば、今のところ悪影響は限定的だ。

トヨタ自動車(レクサスを含む)の世界販売は 515 万 9,282 台(前年同期比 5.5% 増)で、過去最高となった。 米国での販売は 4.2% 増の 123 万 6,739 台で、関税が引き上げられた 4 月以降も、前年を上回って推移している。 とくにハイブリッド車 (HV) が 38.3% 増と大きく伸びた。 担当者は「(値上げに備えた)駆け込み需要は落ち着きつつあるものの、現地の需要は底堅い」と話す。 ホンダも米国販売は 7.1% 増と好調だ。 一方で中国は 24.2% 減となるなど、アジアでの不振が響いて前年割れした。

マツダの 1 - 6 月の米国販売は 3.9% 増。 ただ、6 月だけをみると 6.5% 減で、日本から北米への輸出も 13.2% 減った。 担当者は「駆け込み需要の反動は少しはあるかもしれないが、一時的なものだと考えている」という。 日産自動車は 1 - 6 月の米国販売が 0.2% 減で、日本から北米への輸出は 34.1% 減と際だった。 (大平要、asahi = 7-30-25)


日産の赤字 1,100 億円、米中で苦戦し関税も逆風 4 - 6 月期決算

ゴーン氏退場後の日産

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