ユニクロ、ユニホームや制服事業強化 担当者アンケートで商機と判断

ユニクロの世界戦略

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百貨店、訪日客消費が失速 円高で割安感薄れ 呼び込み工夫重ねる

百貨店の動向

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三井物産系が衣料ブランド設立へ ザンビア農家の生産過程も新価値に

ザンビアなどアフリカの綿花農家を支援する仕組みを入れた衣料品ブランドを、三井物産の関連会社が立ち上げようとしている。 トレーサビリティー(履歴の追跡可能性)の技術を活用して消費者にアピールし、農家の収入増にもつなげる狙いという。 20 日に横浜市で開幕した第 9 回アフリカ開発会議 (TICAD9) のイベント会場。 三井物産のブースには、アフリカの小規模農家が生産した綿花を原料に作られた T シャツが掲げられていた。 関連会社「FL360」の事業を紹介したものだ。

「ここから読み取れます。」 来場者は T シャツに付けられたタグについて説明を受けていた。 タグには QR コードがあり、スマホをかざせば、コットンの原材料となる綿花がどこで生産され、どんな農家が携わっていて、各農家がどんな悩みを抱えているのかまで見ることができる。 FL360 が取り組むプロジェクト「farmers 360°link」が関わった商品で、売り上げの一部は農家の支援に使われる。 「農業資材購入の補助」、「学校へのソーラー電灯の設置」などメニューも購入者が選べる。 その後の変化の様子を写真などで確認できるようにもした。

農家対象の事業を考えたが …

FL360 の社長を務めるのは三井物産出身の小林希(のぞむ)さん。 同社が出資するアフリカの現地の農業関係企業とともに、新規事業の立ち上げを担当し、ビジネスと社会課題の解決をどう両立するか模索した。 農村の電化、森林消失対策、液化石油ガスを広める事業 …。 アフリカの農家を対象とした様々な事業を検討したが、世帯年収が 1 千 - 2 千ドル(約 15 万 - 30 万円)の農家が相手では、総合商社が収益を上げるようなビジネスは難しかった。

そこで、発想を変えた。 「アフリカの農家に寄り添いつつ、グローバルマーケットから収益をあげる(小林さん)」というものだ。 生産過程まで含めて商品購入の動機とする人が増えてきたこともあり、消費体験の中にトレーサビリティーを組み込むことに付加価値を見いだした。

「これです」というものを ブランド立ち上げへ

2021 年に実証事業をスタート。 すでに人気セレクトショップのロンハーマンやビームスなどがこの綿花を使い、QR コードがついた商品を扱った。 T シャツといえばファストファッション店なら 1 着 1 千円台の商品も珍しくないが、ブランドによっては 1 万円超で販売した。 ただ、「第三者のブランドに依拠していては『これです』というものをつくれない(小林さん)」との思いも強くなり、自社ブランドの立ち上げを決意した。 今年度内にどんな商品を売るのか固める計画という。

将来的には、綿花で培ったトレーサビリティーの仕組みをカカオやコーヒー豆などの農産品にも横展開できないか考えている。 システム自体は構築できているため、低コストで導入することができるのが利点だ。 そのためにも綿花の事業を早期に軌道に乗せる必要がある。 小林さんは「時間は無限ではない。 早く収益化していかないといけない。」と話す。 (岩沢志気、asah= 8-20-25)


世界を駆ける日本製靴下、輸出額が過去最高
 … 脚のむくみ軽減など機能性やデザイン向上で単価アップ

日本から海外に向けた靴下の輸出額が増えている。 品質の高さが現地で評価されていることに加え、高機能を売りにした商品が増えて 1 足当たりの単価が高まっているためだ。 大阪税関によると、奈良や兵庫など靴下の主要生産地を抱える近畿圏の 2024 年の輸出額は、約 18 億 1,000 万円と過去最高となった。 近畿圏の輸出額は、14 年には約 6 億 4,500 万円で、10 年で 3 倍近い伸びとなった。 近畿圏の輸出額アップが全体を押し上げ、全国の 24 年の輸出額は約 27 億 4,800 万円と、こちらも過去最高を記録した。

近畿圏からの輸出先(金額ベース)は、マレーシアや中国のほか韓国、米国向けが多い。 近年では、靴下の輸出を巡り、単価アップの傾向が続く。 近畿圏の 1 足当たりの輸出単価は、14 年には 303 円だったが、24 年には 725 円と 2 倍以上となった。 各メーカーが、商品の高機能化に力を入れていることが背景にある。

圧縮力が足首で最も強くなり、脚の上部になるにつれて弱まる「段階的圧縮靴下」は、脚のむくみや疲れを軽減する効果があるとされる。 医療用でも使われることから単価が高く、輸出額の増加につながっているとみられる。 デザインにこだわった商品のほか、特殊な編み方をした商品なども増えている。 大阪靴下工業組合の中藤大介理事長は「日本の靴下は、寸法が丁寧で、フィット感が違う。 細かい部分を妥協せず、付加価値を高めてきたことが認められたのではないか。」と話している。 (yomiuri = 8-13-25)


グンゼ、インナーウェア製造の国内 4 工場を閉鎖へ アパレル不振で

下着大手のグンゼは 6 日、兵庫、山形、秋田県にある同社と生産子会社の計 4 カ所の工場を 2026 年中に閉鎖すると発表した。 アパレル事業の不振を理由にした構造改革で、物流拠点 2 カ所も閉鎖するほか、希望退職も実施する。 同社の梁瀬工場(兵庫県朝来市)と「養父アパレル(同)」は 26 年 3 月末、「東北グンゼ(山形県寒河江市)」と「矢島通商(秋田県由利本荘市)」は同 12 月末をめどに操業を停止する。 下着の国内生産は宮津工場(京都府宮津市)に集約することになる。

物流子会社「グンゼ物流」では、京都府の福知山市、綾部市にある拠点を 26 年末までに閉鎖する。 計 6 カ所の拠点で働く約 400 人については、グループのほかの拠点で雇用するか、再就職の支援を行っていくという。 また、アパレル事業の間接、営業部門で働く 40 歳以上の従業員を対象に希望退職を 10 月に募集するとした。 構造改革費用として、25 年 4 - 6 月期に 34 億円の特別損失を計上している。 (清井聡、asahi = 8-6-25)


衣料品の売り上げ比率 3 割超 中川政七商店が拓く繊維産地との共創モデル

ものづくりを日本で続けたいアパレルメーカーにとって中川政七商店の衣料品事業から学ぶことは少なくない。 同社は「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを衣料品事業にも応用し、産地メーカーとの共創を目指す。 同社が衣料品事業を本格化したのは 2010 年の新ブランド「中川政七商店」立ち上げ時。 現在は売上高 92 億 3,000 万円(2025 年 2 月期)の 3 割以上を衣料品が占めるまでに成長した。 「産地メーカーにとっても利益が出るビジネス構造に成長した」と語る中野鉄也商品部部長に戦略を聞く。

中川政七商店は「産地ではぐくまれる素材、作り手の技術や知恵を次代につなぎ、ものに込められた想いや姿勢を受け継ぎたい」という思いを起点にものづくりに取り組む。 この思想のもとで生まれたもんぺパンツや割烹着は同社を代表する商品だ。 「暮らしと工芸は密であり、"暮らしの道具" として気軽で着心地の良さをかなえる日本の素材を用いて、いずれも日本の伝統衣服を現代風にアップデートした」と中野部長は語る。

割烹着は洋服にもなじみやすいシャツのパターンと張りのある綿の生地を採用し、袖は昔ながらの直線断ちのパターンで作業のしやすさを追求した。もんぺパンツは「通常一枚仕立てが一般的だが、裏地には吸湿性と放湿性の優れた和晒を使用し着心地を追求した。」 中川政七商店は、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを実現する組織として活動する。 中期目標を「工芸大国に向けた需要創出」とし、2035 年には売上高 200 億円、45 年には売上高 300 億円を目指す。 長期目標を「工芸復活」とし、75 年には産地出荷額を現在の約 3 倍の 3,000 億円を、同社の売上高は 750 億円を目指す。

衣料品事業を拡大するにあたり、同社のルーツである麻を活用した商品開発に力を入れる。 「麻は夏素材と思われがちだが、四季折々に合った麻の提案をするために日本のメーカーと素材開発をはじめた。 例えば山形のメーカーとは麻とウールのニットを、愛媛や広島のメーカーとは和紙と麻のブラウスをつくった。この取り組みによってさまざまなメーカーや産地とのつながりも増えていった。

こうした産地とのものづくりが深まる中で、産地の若手人材の不足に直面した。 ものづくりを明るく、楽しく、伝えることで若者に刺さるコンテンツを作りつつ、メーカーの強みを引き出すものづくりで定番布を創出するなど、産地やメーカーの成長のきかっけをつくっていきたい。」 日本の各産地の織物や編み物の特徴を気軽に楽しめる T シャツ「日本の布ぬの」シリーズは年間 5,000 万円を売るまでに成長した。

テキスタイルメーカーの強みから始まるものづくり

「『中川政七商店』のものづくりの特徴は、日本の産地メーカーの強みを起点に素材の心地よさを追求する点だ。 一般的なアパレルメーカーはトレンドリサーチやペルソナ・マーケットリサーチからものづくりを始めるが、当社はメーカーの背景や技術などを理解したうえで、どうアップデートするかを考える。 商品力を高めるだけでなくメーカーにとっても新しいチャレンジや成長のきっかけになることを目指している。 一緒にものづくりに取り組み共に成長しているという感覚がある」と中野部長。

例えば「更麻」はインナーブランド開発にあたり、中川政七商店らしさについて追及した結果生まれた。 和歌山のオカザキニットと協働して約 2 年かけて発売にこぎ着けた。価格は1万円前後と高額ながらリピーターが多く今では年間1億円を売り上げる。「大手量販店の機能性インナーにはかなわないし、着心地や快適さを追求して天然素材にこだわろうと考えた。 天然素材のインナーの主流はオーガニックコットンだが、たくさん商品が出回る中でそれを作る必要があるかなどを検討し、調べていくと、かつて当社は麻製の汗取りをつくっていることがわかり、インナーと当社の共通点は麻であることがわかった。

当社にしかできないことは麻のインナーを突き詰めることであり、その挑戦に付き合ってくれたのがオカザキニットだ。 リネンにシルクプロテインを浸透させる加工を施すことで肌触りがやわらかいリネンフライスを実現した。 素材を開発でき、いざ発売となったが量産するにあたり、編み始めると麻の糸が切れ思うように編めなくなった。 麻は湿度の影響を受けやすく、開発した風合いのある生地は湿度が高い時期しか編めないことがわかり、発売を 1 年延期することになった。」

試行錯誤の結果、メーカーの知見や技術と素材のサイクルが重なり、中川政七商店を代表する商品のひとつになった。 現在の SKU (在庫管理における最小の管理単位)は 520。 「『工芸を元気にする』ことを重視しているので、衣料品が好調でも急拡大を狙わず、衣食住のバランスを意識している。 新製品を次々と入れ替えるのではなく、できるだけ長く深く売ることを意識している。 商売としても、取引先のメーカーにとってもメリットが出る方法で成長することを意識している」と中野部長は語る。 製品の多くは生地から開発し、1 アイテムだけではなく横展開し季節を超えて活用しているという。

「今は 1 アイテムで年間 7,000 万円売れる製品もある。 効率性や継続性がない多品種小ロットのものづくりサイクルはメーカーを苦しめてしまうので、そうではなく、ひとつの素材を長く作り続ける商品開発を目指している。 一方で、現状でできることをするだけでなく、メーカーにとって技術革新も必要だと考えている。 『更麻』のように一緒にチャレンジすることが日本のものづくりを拡げることに繋がるのではないか。 こうした取り組みは、『中川政七商店』の商品を作るという観点だけでなく、メーカーにとっても代表商品・技術・素材となるはず。 それを目指している。」

中川政七商店らしさとは「奈良であること」

中川政七商店として衣料品づくりに取り組むときに大切にしていることのひとつは「らしさ」だ。 「らしさとは何かをデザインチームでも頻繁に話題になっており、社内で議論を重ね、『奈良であること』をらしさの本質として言語化した。 『奈良であること』とはキーワードにすると『太さ』、『天然』、『潔さ』、『清らかさ』、『愛らしさ』『精緻』。 例えば『太さ』は、質素で力強さがあることを指し、京都が華やさや繊細さを持つとしたら奈良は素朴で飾らない太さがあると考えている。」

class="script">「抽象的な概念ではあるが、デザイン時に行き詰まらないようあえて余白を残している。」 この指標をもとに、奈良を拠点に奈良で育まれた価値観や美意識の表現に取り組んでいるという。 中川政七商店の展望のひとつが「麻畑の復活」だ。 「奈良で『手績み手織り麻』の復興を検討しており、近い将来、苧麻の栽培から製品化まで一貫生産を目指している。 単なる伝統的な素材の再興ではなく、なぜ、麻を復活させるのかという思想や文化を深堀することで、麻畑を起点に学びや文化継承など複合的な価値を提供するものにしたい。」 (WWD Japan = 7-29-25)


トランプ関税 50% の最貧国 国王は再エネに活路 日本に支援要請も

米国から世界最高の 50% の「トランプ関税」を通告されたアフリカ・レソトの国王レツィエ 3 世が 7 日までに、朝日新聞の取材に応じた。 主力の縫製業は北米市場が主な輸出先で、関税がかかれば深刻な打撃となる。 レツィエ 3 世は「北米市場に依存する危険を目の当たりにした」と語り、エネルギー事業の整備を進める考えを示した。 レソトは国連が「最貧国」に指定する、南アフリカに囲まれた人口 230 万人の小国。 政権運営には国王の一族が携わり、国王自身も政治的な影響力を持つ。

レソトは米国が 2000 年に施行した「アフリカ成長機会法 (AGOA)」によって米国への輸出の関税が免除され、米国向けの縫製業が盛んになった。 縫製業は国内総生産 (GDP) の約 2 割を占めるまで成長したが、貿易赤字の解消を進めるトランプ大統領は今年 4 月、レソトに 50% の関税を課すと表明した。 関税の発動は一時的に停止されたが、今月 9 日の停止期限を控え、米国との交渉に進展はないという。 先行きの不透明さで一部の受注が停止。 米国向けの工場で働く計 1 万 2 千人の従業員の一部は、時短勤務を強いられているという。

打開策の一つとして、レツィエ 3 世は再生可能エネルギーに注力するとした。 国土の多くが山岳地帯のレソトは水資源が豊富で、水力発電所を含めたインフラの整備が進めば、「南アなどへ電力を輸出することが可能になる。 新たな経済モデルが必要だ。」と主張。 8 月に横浜市で開かれるアフリカ開発会議 (TICAD 9) で技術面などの支援を日本に求めるという。 (多鹿ちなみ、長島一浩、asahi = 7-8-25)

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「リーバイス」作るアフリカの小さな王国、トランプ関税 50% の衝撃

アフリカの小さな王国、レソト。 国連が「最貧国」に指定する小国が、世界最高の 50% の「トランプ関税」に揺れている。 4 月 3 日深夜。 レソトのシェリレ貿易相は、スマートフォンが鳴り続ける音で起こされた。 数十件ものメッセージを受信したスマホは、バッテリーが切れかけ、手に取ると熱を帯びている。

「米国が我々に 50% の関税を課すと発表した。」

閣僚や部下からのメッセージはどれも同じ内容だった。 荒唐無稽で、できの悪い作り話だと思った。 「ありえない。 うそのニュースに違いない。」

トランプ氏プロデュースのゴルフウェアも「メイド・イン・レソト」

しかし、その数時間前、1 万 3 千キロ以上離れた米ワシントンでは、トランプ大統領が各国への相互関税を発表していた。 対象には財政難に苦しむアフリカ諸国も含まれていた。 かつてトランプ氏が「誰も知らない国」とあざけったレソトにかけられた税率は 50%。 シェリレ氏は混乱する頭を抱えながら、部下や閣僚に電話をかけ続けた。 星空が白み、やがて朝焼けに変わる頃、ようやく実感した。 「これは悪夢ではない。 本当に起きていることなんだ。」 米国は今月 12 日、報復関税の応酬で 145% に達していた対中国の税率を 30% まで引き下げた。 いまやレソトの税率は世界最高だ。

失業率 15% 超 「縫製業しか生きるすべない」

人口 230 万人のレソトの主要な輸出産業は縫製業。 米アパレル大手「リーバイス」や「カルバン・クライン」、「リーボック」などのブランド製品を輸出する。 地元報道によると、トランプ氏がプロデュースするゴルフ着の一部もレソト製という。 首都マセルには、約 30 の縫製工場が並び、計 3 万 6 千人が働く。 最大規模の設備をもつ工場では、約 800 人が裁断、縫製、ロゴの圧着、検品などの工程に分かれて作業していた。 縫製フロアは、工業用ミシンのけたたましい音が響く。 縦横約 20 台ずつミシンが配置され、ほこりを吸い込まないようにマスクをした従業員たちが、マニュアル通りに正確に布を縫い上げていく。

「クビを宣告されないか。 不安が大きく、仕事が手に着かない。」 勤務歴 9 年のマモケテ・マガゲさん (32) は、そう漏らす。 レソトは縫製のほかに目立った工業はない。 失業率 15% 超の国で、2 人の子どもを養える新たな職はみつかるのだろうか。 (マセル・今泉奏、asahi = 5-17-25)


東レ、かばん向けに植物 100% ナイロン 「物語と技術で脱炭素」

素材メーカー東レの脱炭素戦略が幅を広げている。 高級かばん向けに植物由来のナイロンを手がけ、漁業で使用済みの網をもう一度漁網にする。 二酸化炭素の排出が少ない素材をいかに普及させていくか。 カギを握るのは「物語と技術革新だ」と大矢光雄社長は話す。

戦略的なプライシング(値決め)を強調しています。

「良いものを安く売ることこそが素晴らしい、という商習慣が日本には長くありました。 しかし、これからは良いものはその価値に見合った値段で売っていく必要があります。 それは脱炭素を進めるためにも欠かせません。」

具体的には。

「植物由来 100% のナイロン繊維が『吉田カバン』の代表シリーズに採用されました。 原料はトウモロコシとヒマシ油の原料になるヒマ。 石油由来の原料を一切使わず、従来のナイロンと同等の強さと耐熱性を備えています。 価格は高めですが、売れ行きは好調です。 環境に優しい素材を使っているという『物語』を含めて買って頂いています。」

「物語」は産業向けでも通用しますか。

「石油由来ではありますが、漁業で使用済みの網をもう一度、新品にする取り組みを始めています。 貝や藻が付着してしまう使用済みのものを、強さが求められる漁網に再生することは難しかったのですが、独自の技術で乗り越えました。 環境に優しい網でとった魚介類が『物語』として一般消費者にも受け入れられることが理想です。」

漁網のような水平リサイクルは、衣類向けの化学繊維など汎用品にも広げられますか。

「技術的にはすでに可能です。 残る課題はコスト競争力です。 2050 年のカーボンニュートラルに向け、技術革新を進めるしかありません。 素材の再利用にも再生にも日本の技術が欠かせない。 そんな社会をめざします。」 (聞き手・山本精作、asahi = 7-2-25)


ユニチカ、ユニホーム事業売却でシキボウと合意 フィルムなどに注力

経営再建中の繊維大手ユニチカ(大阪市)は 25 日、繊維事業のうち、ユニホームや寝具向け繊維などの事業を同業のシキボウ(同)に売却することで基本合意したと発表した。 祖業である繊維事業からの撤退を決めており、不織布事業や合成繊維事業もそれぞれ別の 2 社に売却する方針だ。

シキボウには中国やベトナムといった海外の営業拠点も売却する。 それぞれの事業の譲渡は年内を予定しており、雇用をできるだけ維持するよう求めている。 売却額は今後詰める。 ユニチカは繊維事業の主力工場、岡崎事業所(愛知県岡崎市)はすでに同業のセーレン(福井市)への売却で合意しており、これで撤退事業の大半で譲渡先のめどがたったかたちだ。 今後は包装、工業用のフィルムなど高分子事業に注力する。

ユニチカは昨年 11 月、官民ファンド「地域経済活性化支援機構」の支援で私的整理の手続きに入る方針を公表。 赤字続きだった祖業の繊維を含めた課題事業は売却できなければ清算するとし、売却先を探していた。 同日、大阪市内で会見したシキボウの尻家(しりや)正博社長は「特に海外の販売の拡大につなげたい」と語った。 ユニチカの藤井実社長は「今回の事業譲渡の合意で、(撤退する)繊維事業のかなりがカバーされた」とした。 (清井聡、諏訪和仁、asahi = 6-25-25)

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ユニチカ、繊維事業をセーレンに売却 岡崎事業所の存続にめど

経営再建中の繊維大手ユニチカ(大阪市)は 20 日、同業のセーレン(福井市)と繊維事業などの売却に向けた基本合意を結んだと発表した。 セーレンは旧カネボウの繊維事業を買収し、再生させた実績がある。 これで、ユニチカの岡崎事業所(愛知県岡崎市)の存続にめどがついた。 売却の対象は岡崎事業所が手がける衣料繊維、不織布、産業繊維、ポリエステル原料の 4 事業。 8 月初旬までに最終契約を結び、年内に譲渡を完了させる予定。 売却金額は未定。 岡崎事業所の約 400 人と関連する営業部門をあわせて 500 人超の雇用が維持される見通しだという。

同日、大阪市内で会見したセーレンの川田達男会長は「工場の新設には時間がかかり、事業拡大をスピーディーに進めるためにも岡崎事業所は有効。 優秀な人材が獲得できることにも魅力がある。」と語った。 ユニチカの藤井実社長は「重視していた事業の存続と雇用の継続の面で良い提案をいただいた。 セーレンは事業再生でも、過去にめざましい効果をあげられている」とした。

ユニチカはかつて日本 3 大紡績会社の一角に数えられた名門だが、昨年 11 月に 200 億円の出資を受けて官民ファンド「地域経済活性化支援機構」の支援で私的整理の手続きに入る方針を公表。 赤字続きだった祖業の繊維を含めた課題事業は売却できなければ清算するとし、売却の相手先を探していた。 2025 年 3 月期の売上高は 1,264 億円、工場や子会社の価値の引き下げで 379 億円分の損失が出たことで純損益は 242 億円の赤字だった。 岡崎事業所以外で手がける繊維事業は引き続き売却などを模索するという。

セーレンは源流となる会社がユニチカと同じ 1889 (明治 22)年の設立。 エアバッグなどの車両資材を主力とし、25 年 3 月期の売上高は 1,596 億円、純利益は 138 億円で、従業員数は 6,898 人。 粉飾決算などで破綻したカネボウの繊維事業を 2005 年に買収して「KB セーレン」を発足させ、国内子会社の稼ぎ頭にした実績がある。 (諏訪和仁、清井聡、asahi = 6-20-25)


本田圭佑氏が新ブランド スポーツ衣料販売、AI 使い低価格実現

サッカー元日本代表の本田圭佑氏が 6 月 13 日、スポーツアパレルブランド「mgh」を立ち上げた。 機能性とデザインにこだわったほか、人工知能 (AI) を活用することで、手頃な価格での販売を実現している。 本田氏が取締役を務める mgh 社が開発と販売を手掛ける。 mgh の社長は、スポーツ関連のウェブメディア「スポーツブル」創業者の黒飛功二朗氏が務める。 また、三菱商事出身の林周一郎氏(取締役)が mgh のプロダクト戦略を担う。

黒飛氏は同日の記者会見で「高価格化とハイブランド信仰へのアンチテーゼとしてブランドが生まれた」と説明。 実店舗を持たず、卸販売も行わない D2C メーカーとして中間コストを削減。 ブランドサイトは EC だけではなく、コミュニティー機能も用意する。 また、企画開発からマーケティング、生産・販売に至るまで AI を活用することで、販売価格に還元する。 AI によるトレンド分析を行い、デザインサンプルも AI で生成。 サンプル段階でファンコミュニティーの反応が高かったものを商品化する。 また、クリエイティブも AI で生成するほか、AI による需要予測・在庫管理も行う。

価格は T シャツが 4,620 円、パンツが 5,720 円、ソックスが 1,320 円、シューズが 1 万 3,200 円(いずれもメンズ)。 この 4 点を「CORE 4」としてセットにし、同日より 2 万 4,860 円で男性向けに 1,000 人限定で抽選販売する。 10 月には女性向けに 1,000 人限定の抽選販売を実施。 来年 2 月には通販サイトを本格オープンし、春夏商品を販売する。 同日の記者会見で本田氏は「mgh が目指すのは『カッコよくてリーズナブル』。 アスリートだけではなく、さまざまな目的で『運動をしたい』という人たちのハードルを下げたい」などと意欲を語った。 (通販新聞 = 6-19-25)


岡山・児島でファッションイベント 中高生とともに魅力発信

中高生がモデルとなって繊維産業の魅力を発信する - - 繊維企業が多数ある岡山県倉敷市の児島で、ファッションイベント「コジマスタイルコレクション」が開催された。 地元の中高生が、地元企業によって作られた学生服や作業服、ジーンズカジュアルウェアを着て演奏を披露。 着用者や来場者が、地域の繊維産業をもっと知る・考える、そして誇りや愛着を感じるきっかけを目指した。

中高生が地元企業の作った服を着て演奏を披露した

このイベントは、岡山県の繊維産業の活性化を図る岡山繊維産地協議会の中にある金融検討会議が初めて企画したもの。 児島エリアに支店を持ち、普段はコンペチターでもある金融機関 8 行 9 支店が、「地域の活性化と産地の人材確保を目指そう」と協力して話し合いを重ねてきた。 特に活発な議論を繰り広げたのが 20 代の若手行員たち。 金融機関として地域や企業、次世代をつなぐ役割を発揮し、イベントを実現した。

児島が大きくにぎわう大型イベント「2025 春児島フェス #せんいさい」の初日となる 4 月 26 日に開催した。 演奏したのは岡山県立倉敷鷲羽高校、倉敷市立児島中学校、倉敷市立味野中学校の吹奏楽部生。 企業は明石スクールユニフォームカンパニー、寅壱、ジョンブルが参加した。 演奏の合間にはトークコーナーを設置。 「ジーンズ 1 本作るのにどれぐらいの時間がかかるのか?」など、学生から企業に活発な質問も続いた。 (繊研新聞 = 6-2-25)


気温上がらず各社低調、ユナイテッドアローズは 16 ヶ月連続前年超え
 国内アパレル関連大手 25 年 4 月度

国内アパレル関連大手各社が、2025 年 4 月度の既存店売上高を発表した。 平年と比べて高気温だった 3 月から打って変わって、4 月は気温が低く推移し、ファーストリテイリングの国内ユニクロ事業や良品計画の衣類・雑貨カテゴリー、アダストリアなどは減収。 一方、ユナイテッドアローズは業績を伸ばし、16 ヶ月連続の前年超えとなった。

ファーストリテイリングの国内ユニクロは、4 月の中旬に気温が下がったことで夏物衣料が動かず、前年同月比 1.3% 減で着地。 4 月 26 日から実施したゴールデンウィークのキャンペーンは好調だったが、月中旬の不振をリカバリーするには至らなかったという。 「4 月後半は本来エアリズムや UT などが売れる時期だが、気温の影響で初動が遅れてしまった」と広報担当者。 アイテム別に見ると、「ユニクロ : シー (NIQLO : C)」のスウェット、「JW アンダーソン (JW UNDERSON)」とのコラボレーションパンツ、新作のバレルレッグジーンズをはじめとする春物が売れた。

良品計画の衣類・雑貨カテゴリーは同 0.8% 減。 全体では生活雑貨と衣類カテゴリーが売り上げをけん引し、9.8% 増で着地した。 アダストリアでは、春物商品の値引き販売を実施したことに加え、低気温で夏物主力のカットソーの販売が伸びず同 5.0% 減。 アイテム別で見るとジャケット、シャツなどの羽織物のほか、新生活に向けた家具などが動いたという。 しまむらは、低気温のなか婦人、キッズのアウター衣料が売り上げを伸ばし、同 1.8% 増と微増。 重点販売商品と位置付けた「ヘビロテ」ニットシリーズも好調だった。

衣類で見ると減収およびほぼ横ばいの企業が多いなか、ユナイテッドアローズは同 7.7% 増と売り上げを伸ばした。 前年同月と比べて平均気温が低く、初夏物カジュアル軽衣料の動きが鈍かったものの、メンズではジャケットとスーツ、ウィメンズではジャケットとパンツが好調に推移。 買上客数は前年を下回ったが、価格帯の低い軽衣料の動きが弱かったため、相対的に客単価が上昇したとしている。 (FashionSnap = 5-8-25)


ソファにも直接縫える「未来ミシン」 万博の会場で試作機を展示へ

万博は「未来」を感じる新たな技術に触れる機会でもある。 大阪・関西万博では立体的な物の表面に直接、布を縫い付けたり、縫い目を入れて装飾したりできる「MIRAI ミシン」の試作機が出展される。 一般的なミシンは、上糸と下糸で平らな布地を挟みながら縫っていく。 一方の MIRAI ミシンは両手で持ち、電動ドリルを使うような格好で糸を通した小さなプラスチック「タグピン」を打ち込んでいくことで、立体物の表面に直接装飾品を縫い付けることなどができる。

手がけているのは 1946 年創業のミシンメーカー「アックスヤマザキ(大阪市生野区)」。 「タグステッチ工法」と呼ばれる車のダッシュボードの装飾に利用されるトヨタ車体(愛知県刈谷市)の特許技術を活用している。 この技術を車の部品に使う以外にも広められないかと考えていたトヨタ車体からの申し出を受けて開発が始まり、試作機が完成。 8 月に、万博の大阪ヘルスケアパビリオンで催される関西大学による中小企業などの支援企画事業「リボーンチャレンジ」で展示される。

2026 年の商品化をめざし、タグメーカーとタグピンの形や材質の改良を進めるなどしている。 アックスヤマザキの山崎一史社長は「ソファや自転車のサドルなどを気軽に補修したり、装飾したりできるようにしたい」と話している。 (前田智、asahi = 4-14-25)