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方向教える靴、コード化点字ブロック 視覚障害者の外出を技術で支援 視覚障害がある人の歩行を振動や音声でサポートするナビ技術の開発が進んでいる。 目が不自由な人にも、自由に、安全に出歩いてもらうのが目的だ。 将来的には、障害の有無にかかわらず、誰もが使えるような改良も視野に入りつつある。 6 月中旬、仙台市障害者総合支援センター(泉区)近くの歩道で、最新技術を使った視覚障害者向けの歩行支援グッズ「あしらせ」などの体験会があった。 白杖を持った視覚障害者 9 人が参加した。 「ブルッ、ブルッ。」 参加者の靴が振動する。 スマホアプリに目的地を入れると、位置情報に応じて靴の中に装着したモーターが震える。 左に曲がるときは、左足の甲部分が、曲がり角に近づくほど小刻みに振動する。 進行方向が間違っていると、両足のかかとが震えて教えてくれる仕組みだ。 視覚障害者の中には、方向感覚が分からなくなる不安から、外出を控える人もいる。 持病で徐々に視力を失った舞石(もういし)幸江さん (47) = 仙台市青葉区 = も、その一人だ。 「娘を保育園に迎えに行く道中で、どこを向いているのか分からなくなり、その場でぐるぐる回ってしまった」と舞石さん。 体験後に「もしもあの時、あしらせをつけていたら、進行方向が分かって助かったはず」と振り返った。 不足する支援 宮城県内には視覚障害者が約 4,800 人いるとされる。 歩行の補助をするヘルパーが所属する施設は 88 カ所あるが、そのうち 57 カ所が仙台市内に集中している(2025 年 3 月時点)。 ヘルパーの数や補助できる時間には限りがあるため、自由に好きな時間に外出することは難しい。 参加者は、センター内の特殊な「コード化点字ブロック」も試した。 丸や三角のマークがついた点字ブロックにスマホアプリをかざすと「前方は出口方向です。 左は突き当たりです。」といった具合にナビ音声が流れる。 前後左右どの方向から読み取るかで、音声の内容も変わる。 東北ではこの場所が初めての敷設だった。 「技術がどこまで進んでも、それだけを頼ってはいけない。」 体験会を主催した日本盲導犬協会仙台訓練センター(仙台市青葉区)の大谷孝典さん (39) は、そう訴える。 最終的な安全は、自分で確認する必要があるからだ。 あしらせの体験者の中には、道路脇の雑草に足を取られたり、路肩の車に気付けずにぶつかりそうになったりする人もいた。 「立ち止まらないと、うまく点字ブロックは読み取れなかった」、「振動で曲がり角の近さを判断するのはまだできない」といった声も出ていた。 「目の不自由な人にとって、難易度が高いのは 1 人で外出すること。 その機会を、ナビ技術を通じて少しでも増やしてほしい」と大谷さん。 「点字ブロックを必要とする人と、必要としていない人で意識がまったく異なる。」 こう語るのは、コード化点字ブロックを開発した金沢工業大(石川県野々市市)の松井くにお教授 (68) だ。 松井教授は石川県内の公共施設でも点字ブロック上に案内板が置かれたり、自転車がとめられたりしていることに驚いたという。 「目の見える人は点字ブロックの重要性が分かりにくい。 ならば、障害の有無にかかわらず活用できるものに。」と考案したのがコード化点字ブロック。 事前に音声データを登録しておくことで、外国語での音声案内もできる。 災害時には避難情報へと切り替えることも可能だという。 一方で、数が不十分で、管理も不可欠という設備面の課題のほか、白杖とスマホを持つと両手がふさがるという問題もある。 ただ、今後、技術開発が進めば、位置情報から半自動で音声案内をすることも実現できそうだという。 松井教授は「同じ物を多様な形で使用できる。 それこそが私たちが目指すダイバーシティーだ。」と語った。 「制度の大幅な変化を」 日本視覚障害者団体連合の吉泉豊晴・総合相談室長 (67) は「『歩行をサポートするアプリがある』と言われても、そのもっと前の段階で止まっている人が多い」と話す。 厚生労働省が 2022 年に実施した「生活のしづらさなどに関する調査」では視覚障害者のうち、電話(携帯電話・スマートフォン)で日常的に情報を入手すると回答したのは 3 割程度にとどまる。 背景には視覚障害者のうち、高齢者の占める割合が高いことがある。 元々スマホを使っていない人も多く、視覚障害者用のスマホの使い方を教えてくれる場も少ない。 地方では公共交通機関の廃線が相次いでいるほか、ヘルパーの不足も深刻だ。 ヘルパーは支援先に車で向かう際の報酬については請求できないため、遠方の地方まで支援に出向くことをさらに難しくしている。 吉泉室長は、行政側が視覚障害者の使う有料アプリの料金を補助したり、ヘルパーが支援先に向かっている間も報酬を請求可能にしたりするなど「視覚障害者を支援するためには、制度を大幅に変化させる必要がある」と訴えている。 (三村悠、asahi = 8-30-25) 新型コロナ感染者、全国平均で 9 週続けて増加 例年夏に流行 厚労省
記事コピー (1-16-20 〜8-22-25) iPS 細胞での網膜治療法、「先進医療」に適合せず 厚労省専門部会
記事コピー (4-24-09〜8-21-25) マダニ感染症患者、過去最多の 135 人 草むらでは長袖、長ズボン マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)」について、国立健康危機管理研究機構は 19 日、今年の患者数が 135 人(速報値)になったと発表した。 2023 年の 134 人を上回り、過去最多になった。 国内では 13 年 1 月、初めて患者が確認された。 20 年まで毎年 60 - 100 人程度の患者が報告され、21 年以降は毎年 100 人以上の報告が続いている。 西日本を中心に報告されていたが、今年は関東や北海道などでも報告されている。 厚生労働省によると、SFTS は、SFTS ウイルスを保有するマダニに刺されることで感染する。 SFTS を発症しているネコやイヌなど動物の血液などの体液に直接触れた場合に感染する可能性もある。 発熱のほか、嘔吐(おうと)や腹痛などの症状が出る。 高齢者は重症化しやすいとされ、致死率は 10 - 30% 程度。 春から秋にかけてマダニの活動が盛んになるため、草むらに入るときには長袖、長ズボンを着用するなど肌の露出を少なくすることが重要という。 (武田耕太、asahi = 8-19-25) ◇ ◇ ◇ ネコ治療した獣医師死亡、マダニ感染症疑い 獣医師会が注意呼びかけ マダニを通じてウイルスが哺乳類に感染する重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) について、感染したネコの治療にあたっていた獣医師が死亡していたことが、わかった。 獣医師も感染していた疑いがあるという。 関係者によると、亡くなったのは三重県内で動物病院を開業している獣医師。 検査で SFTS と確認されたネコの入院治療にあたった後、5 月に呼吸困難など SFTS の症状がみられ、病院に搬送。 数日後に亡くなった。 マダニに刺された形跡はなかった。 ほかの動物病院関係者や飼い主らに症状はないという。 日本獣医師会は三重県獣医師会からの報告を受けて事案を把握。 6 月 12 日付で、各都道府県の獣医師会に対し、診療時の留意事項などについて注意喚起するメールを送ったという。 SFTS は、森林や草むらのマダニが媒介する。 マダニにかまれるほかに、感染したネコやイヌを通じてヒトに感染する。 6 - 14 日の潜伏期間の後、嘔吐や下血、発熱が起きる。 ヒトでの致死率は最大 3 割、ネコでは 6 割が死ぬとされる。 飼い主に感染するリスク 日本では 2013 年にヒトへの感染が初めて確認された。 国立健康危機管理研究機構のまとめでは、25 年 4 月末までに 1,071 例の患者が報告され、117 人が死亡した。 21 - 24 年は毎年 100 例以上、23 年には過去最多の 134 例の患者報告があった。 SFTS により獣医師が死亡したと確認されれば、初めての例になるとみられる。 獣医療をめぐる SFTS 感染に詳しい岡林環樹・宮崎大学教授(動物感染症学)は「SFTS が確認されている地域では、野外に出たことがあるネコやイヌが感染し、獣医師や飼い主に感染するリスクはどこでもありうる」と話す。 これまで SFTS が確認されたネコやイヌも、病院に連れられた段階では「発熱」、「元気がない」、「黄疸」といった、ありふれた症状が多いという。 「SFTS 発生地域の獣医師は、こうした症状でも SFTS の可能性を考慮に入れて、最初の診療行為から防護着やマスク、手袋などの対策が必要になる」と指摘する。 飼い主を含む一般の人も「屋外で体調の悪いネコにはできる限り接触を避け、もし触る場合には手袋やエプロンをすることも考えてほしい。 触ったあとには必ず手指消毒を」と呼びかける。 国立健康危機管理研究機構のまとめでは、18 年から今年 4 月までに、動物の診療などで SFTS に感染した獣医療関係者は 11 例にのぼる。 獣医療者向けの感染防御策や、飼い主へのリスクの伝え方をまとめた マニュアル も公開している。 (野中良祐、竹野内崇宏、杉浦奈実、asahi = 6-13-25) 新型コロナワクチン接種、都議会 4 会派が助成要望 感染者は増加傾向
記事コピー (12-31-19〜8-18-25) 早期のアルツハイマー病、徹底的な生活習慣の変更で維持・改善が可能 新研究 食事や運動、ストレスレベル、社会との交流を抜本的に変えることで早期のアルツハイマー病を改善することがこれまでの研究で判明していた。 今回、試験期間を延ばした新たな研究で、さらに認知能力に維持・改善がみられることが明らかになった。 タミー・マイダさん (68) は 50 代後半のとき、アルツハイマー病の影響で記憶力が衰え、生活上の手がかりを見失い始めた。 車の鍵、眼鏡、財布が日に何度も消え、読んでいた小説の登場人物を忘れてしまった。 食料品をガレージに置き忘れ、自営業の帳簿をつけることもできなくなってしまった。 「正直、正気を失ってしまうのではないかと思ったし、その恐怖はおそろしいものだった」と、マイダさんは 2024 年に放送された CNN のドキュメンタリー番組で語っている。 食事、運動、ストレスレベル、社会との交流を抜本的に変えることを目的とした無作為化臨床試験に 20 週間参加したところ、マイダさんの認知能力は改善した。 小説を読み、内容を思い出せるようになったうえ、帳簿も正しくつけられるようになった。 24 年 6 月に発表された研究によると、血液検査では、アルツハイマー病の特徴であるアミロイドの脳内濃度が低下していることが判明した。 合計 40 週間にわたり徹底的に生活習慣を変えたところ、マイダさんの認知機能はさらに改善したという。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校の臨床医学教授ディーン・オーニッシュ氏が明らかにした。 オーニッシュ氏は 29 日、カナダ・トロントで開催されたアルツハイマー病協会の年次国際会議でこの研究の最新情報を発表した。 介入を受けたグループの 26 人全員に利点があったわけではないものの、46% の被験者が四つの標準検査のうち三つで改善を示したという。 検査には、記憶力、判断力、問題解決能力に加え、家庭生活や趣味の活動、身体の衛生維持の能力における変化を測定するものも含まれていた。 「さらに 37.5% の被験者は、40 週間の介入期間中に認知機能の低下がみられなかった」とオーニッシュ氏は述べた。 「つまり、83% 以上の被験者が 5 カ月間のプログラム期間中に認知機能が改善または維持されたことになる。」 オーニッシュ氏によれば、こうした改善は長期間にわたって持続することが多い。 また、オーニッシュ氏は、既存のアルツハイマー病の治療薬とは異なり、生活習慣の改善には、最新型の薬で起こりうる脳出血や脳浮腫などの副作用がないと言い添えた。 介入が行われたグループは厳格なビーガン食を摂取し、毎日有酸素運動を行い、ストレス軽減策を実践。 オンラインのサポートグループにも参加した。 残りの参加者は対照群となり、日常生活に一切の変化を加えないよう指示された。 セラピストは週 3 回、1 時間のグループセッションを実施。 参加者は自分の気持ちを共有し、サポートを求めるよう促された。 瞑想や深呼吸、ヨガなど、ストレスを軽減するための活動に毎日 1 時間費やし、良質な睡眠を優先することも奨励された。 さらに介入群の全員には、マルチビタミン、クルクミン配合のオメガ 3 脂肪酸、コエンザイム Q10、ビタミン C とビタミン B12、マグネシウム、プロバイオティクス、ヤマブシタケなどのサプリメントが提供されたという。 食事の大部分は、全粒穀物、野菜、果物、豆腐、ナッツ、種子に含まれる複合炭水化物が占めていた。 砂糖、アルコール、加工食品や超加工食品に含まれる精製炭水化物は禁止。 カロリー制限は設けられなかったが、たんぱく質と総脂肪は 1 日の摂取カロリーの約 18% に抑えられていた。 これは平均的な米国人のたんぱく質摂取量よりもはるかに少ないという。 オーニッシュ氏によれば、介入群の中で、生活習慣を変える努力を熱心にした人ほど認知機能の改善も顕著だった。 「私たちの新たな研究結果は、早期のアルツハイマー病患者に、こうした徹底的な生活習慣の改善を行い、それを維持すれば、病気の進行を遅らせ、多くの場合は改善さえも期待できるということを知らしめ、力づけるものだ。(オーニッシュ氏)」 (CNN = 8-6-25) がんウイルス療法の新薬、皮膚がんで効果確認 東大チームが治験 ウイルスを使ってがん細胞を破壊するウイルス療法。 従来の薬を改良した新薬が、皮膚がんの一種、悪性黒色腫(メラノーマ)の患者に対して高い有効性を示すことが確認できたと、東京大と信州大の研究チームが 7 月 31 日、発表した。 今後、企業の参画を得て承認申請をめざしたいという。 ウイルス療法は、遺伝子を改変し、がん細胞だけで増えるように設計したウイルスをがんに感染させ、破壊する治療法だ。 ウイルスは一定程度まで増えると免疫によって排除されるが、その際に免疫ががん細胞を認識し、体内の別の部位にあるがんに対しても免疫を発揮する効果が期待できる。 東大医科学研究所の藤堂具紀(とうどうともき)教授らはこれまでに、「単純ヘルペスウイルス I 型」に遺伝子改変を施したウイルス「G47Δ(デルタ)」を開発。 ウイルス療法薬「テセルパツレブ(商品名デリタクト注)」として、2021 年に脳腫瘍(しゅよう)の一つである悪性神経膠腫(こうしゅ)に対して条件付きで承認、販売されている。 今回は、G47Δ に、免疫反応を刺激する IL-12 遺伝子を組み込み、がんへの免疫効果を改良した「T-h IL12」を開発。 難治性の希少がんである悪性黒色腫で、手術ができない、または転移した患者への治療効果を治験で調べている。 9 人を対象にした中間解析では、標準治療で使われる免疫チェックポイント阻害剤に加え、T-h IL12 を併用して治療したところ、治療が効いた割合は 77.8% だった。 免疫チェックポイント阻害剤のみによる治療では 34.8% とされている。 新しい薬を併用することで、治療の効果を高めていることが確認できたという。 今後、さらに治験を続けていくという。 信州大の奥山隆平教授は「乳がんや頭頸部(けいぶ)がんなど、ほかのがんでも有効性を示せると考えている」と話す。 (松本千聖、asahi = 8-2-25) 感染症チクングニア熱が中国で流行、米 CDC が渡航情報発出を準備 米疾病対策センター (CDC) は中国でチクングニア熱の感染例が増えていることを受け、中国への渡航に関する注意情報を発出する準備を進めている。 同センターの報道官がブルームバーグ・ニュースに明らかにした。 中国では 7 月上旬に 1 件だった感染例が、現在では 5,000 件近くに増えている。 香港に近い広東省では、この 1 週間で 3,000 件近い感染が記録された。 CDC の報道官は「当センターでは中国広東省でのチクングニア熱流行を認識しており、現在はその規模と影響範囲を評価中だ」との声明を出した。 米 CDC は特定の感染症流行や自然災害に伴い、そのリスクを周知し、利用可能なワクチンを含む予防行動を促す目的で、渡航健康注意情報を発出する。 CDC によれば、チクングニア熱は蚊を媒体に感染し、突然の高熱と、手足など関節の痛みを起こすことがある。 (Jessica Nix、Bloomberg = 7-31-25) 百日せき 4週連続過去最多で勢い止まらず 全国の感染者数 3,682 人 今月 13 日までの 1 週間の全国の百日せきの感染者数は 3,682 人となり 4 週連続で過去最多を更新しました。 国立健康危機管理研究機構によりますと、今月 13 日までの 1 週間に全国の医療機関から報告された百日せきの感染者数は 3,682 人となりました。 前週の 3,578 人から微増し、4 週連続で過去最多を記録しています。 今年 1 月からの感染者数の合計は 4 万 8,073 人となりました。 百日せきは、子どもを中心に激しいせきが続く感染症で、多くは抗菌薬などで治癒しますが、乳児では重症化しやすく、まれに死に至ることもあります。 厚労省は、ワクチンの接種のほか、手指衛生やせきエチケットなど基本的な感染防止対策を呼びかけています。 (日テレ = 7-22-25) ◇ ◇ ◇ 流行続く百日せき、治療薬効きにくい耐性菌増える 赤ちゃん死亡例も 症状が 2 - 3 カ月続く「百日せき」の流行が収まらない。 今の調査方法となった 2018 年以降、最多になりそうな勢いで患者数が増えており、東京都内では、赤ちゃんが亡くなった。 これまで使われていた治療薬が効きにくい耐性菌に感染した患者も増えている。 専門家はワクチン接種などの対策を強く呼びかけている。 今年 3 月、東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)に百日せきが重症化した生後 1 カ月の女の子が運ばれてきた。 女の子は呼吸状態が悪くなり別の医療機関に入院して抗菌薬による治療を受けたが、呼吸不全を起こし、センターに転院した。 センターでは百日せきの耐性菌の感染を疑い、人工呼吸器をつけたうえで、耐性菌に効果があるとされる別の抗菌薬を投与した。 それでも肺炎が悪化して、呼吸不全や肺高血圧症、腎不全などを起こし、体外式膜型人工肺(エクモ)や人工透析などの治療を受けたが、転院から 5 日目に亡くなった。 女の子に基礎疾患はなく、ワクチンは接種前だった。 治療にあたった感染症科の堀越裕歩部長は、「重症化のリスクが高く、ワクチン未接種の小さい赤ちゃんは症状の進行が早い。 百日せき菌によって肺がダメージを受けたことで、様々な臓器にも障害が出て、救命は難しかった。」と話す。 国立健康危機管理研究機構の 20 日の発表によると、百日せきの今年の患者数は 11 日までで 1 万 6,475 人。 今の調査方法で最多となっている 19 年の 1 万 6,850 人を超えるペースで増えている。 特に注意が必要なのが、免疫のない生後数カ月の赤ちゃんだ。 重症化しやすく、脳症や肺炎になることがあるほか、息を止めるような「無呼吸発作」や、けいれん、呼吸停止などを起こし、亡くなる恐れもある。 治療にはマクロライド系の抗菌薬が使われる。 最近ではこの抗菌薬が効きにくい耐性菌の報告も増えてきている。 センターでは、亡くなった女の子を含め、24 年 11 月 - 25 年 3 月に計 5 人の百日せき患者から耐性菌が検出された。 堀越さんは「患者の地域はバラバラで、都内では耐性菌が広がっていると推測される。 重症化しやすい赤ちゃんの場合は、早い段階から耐性菌に効くとされる薬を投与するなどの対策が求められる」と指摘する。 このほか、昨年以降、沖縄県や大阪府、鳥取県でも耐性菌に感染した患者が報告されている。 予防には耐性菌を含めてワクチンが有効だ。 定期接種化されており、生後 2 カ月から 1 歳半までの間に計 4 回の接種が勧められている。 効果は次第に弱まり、接種を受けていても感染することがある。 このため、日本小児科学会は小学校入学前や 11 - 12 歳のときに追加で、百日せきワクチンの入った 3 種混合ワクチンを接種することを推奨している。 任意接種のため費用は自己負担で、5 千 - 6 千円ほどという。 堀越さんは「生後 2 カ月になったらすみやかに定期接種を受けてほしい」と強調。 「今の流行の主体は小学生から 10 代の子ども。 小さい赤ちゃんがいたり、生まれる予定だったりする家庭では、赤ちゃんを守るためにもきょうだいへのワクチン接種も検討してほしい。」と話している。 (土肥修一、asahi = 5-20-25) ◇ ◇ ◇ 百日せき患者急増、3 カ月で昨年 1 年上回る 赤ちゃんは重症化の恐れ 激しいせきが特徴で、症状が 2 - 3 カ月続く「百日せき」の患者が増えている。 国立健康危機管理研究機構によると、今年の患者数は 3 月 30 日までで 4,771 人。 4,054 人だった昨年 1 年間の患者数をすでに上回っている。 赤ちゃんが感染すると重症化する恐れがあり、専門家は注意を呼びかけている。 都道府県別では、大阪が最も多く 375 人。 次いで新潟 357 人、東京 330 人、沖縄 289 人、兵庫 274 人、福岡 257 人、宮崎 239 人と続く。 患者数は 2018 年、19 年はそれぞれ 1 万人超が報告されていた。 20 年の新型コロナウイルス感染拡大以降は、感染対策や人流が減ったこともあってか、少ない状態が続いていたが、コロナ以前の水準に戻りつつあるようだ。 百日せきは、百日せき菌が引き起こす感染症。 くしゃみやせきのしぶきなどを通して感染する。 はじめは軽いかぜのようだが、1 - 2 週間するとせきがひどくなる。 短く激しいせきが連続的に続く症状が 2 - 3 週間続き、その後 2 - 3 週間で次第に回復する。 赤ちゃんは激しいせきをしないことも 予防にはワクチンが有効で、定期接種化されており、生後 2 カ月から 1 歳半までの間に計 4 回の接種が勧められている。 効果は次第に弱まり、接種を受けていても感染することがある。 免疫がない生後数カ月の赤ちゃんは重症化しやすく、脳症や肺炎になることがある。 赤ちゃんの場合、激しいせきをしないこともあり、息を止めるような「無呼吸発作」や、けいれん、呼吸停止などを起こし、亡くなる恐れもある。 治療にはマクロライド系の抗菌薬が使われる。 せきが激しくなる前にのめば、症状は改善する。 せきがひどくなった後だと症状はあまり改善しないが、菌を排出する量が減り、ほかの人にうつすリスクが減る。 最近ではこの抗菌薬が効きにくい耐性菌の報告も増えてきているという。 耐性菌も増加 「今後も感染拡大の恐れ」 感染症に詳しい千葉大学真菌医学研究センターの石和田稔彦教授は「ここ数年流行がなく、免疫が落ちて感染しやすくなっている人が多く、耐性菌も増えていることから、今後も感染が拡大する恐れがある。 感染者が増えると、重症化する赤ちゃんも増える可能性があり、危機感を持っている」と指摘する。 石和田さんは手洗いやマスクの着用、せきエチケットなどの対策が大切としたうえで、「せきが長く続いたり、普段と違う激しいせきが出たりする場合は医療機関を受診してほしい。 赤ちゃんがいる家庭では、生後 2 カ月になったら予防接種を受けるほか、せきをしている家族がいるときは赤ちゃんとの接触を避けてほしい」と話している。 (土肥修一、asahi = 4-8-25) インスリン注射なしの 1 型糖尿病治療へ 徳島大が独自に再生医療 1 型糖尿病の患者に不可欠だったインスリン注射を使わない治療法の治験に徳島大学が乗り出す。 徳島大病院(徳島市)が 15 日、実用化に向けてクラウドファンディング (CF) で 2 千万円を目標に集めると発表した。 患者本人の細胞を使う独自の再生医療技術の確立をめざす。 1 型糖尿病は、血糖値を一定に保つインスリンを出す膵臓の細胞が、過剰な免疫反応で壊されてしまう病気。 インスリン注射を毎日、生涯続ける必要がある。 国内に 10 万 - 14 万人ほどの患者がいるとみられる。 徳島大病院消化器・移植外科の池本哲也教授らの研究チームは、患者から取り出した幹細胞をもとにインスリンを分泌する新たな細胞を作り出す方法を開発した。 この細胞をマウスに移植した動物実験では、長期にわたって血糖値が正常になる効果を確認した。 今年 3 月、患者に移植して効果や安全性を確かめる治験計画届を独立行政法人「医薬品医療機器総合機構 (PMDA)」に提出した。 今秋にも治験を始めるという。 池本教授は「患者の幹細胞から作った細胞を移植するため、拒絶反応はなく、ほかの再生医療に比べて安全性などの面で利点が多い」と話す。 移植した細胞が免疫反応によって再び壊される可能性はある一方で、壊されない移植細胞が一定の割合で残れば、生涯にわたって血糖値を正常化する効果も期待できるとしている。 集めた資金は、多くの患者を対象に治験を実施して有効性を確かめたり、機械で自動的に細胞を培養する方法を開発したりすることに活用するという。 大学が設立した一般社団法人「大学支援機構」の CF サイト「Otsucle(おつくる)」で 11 月末まで寄付を受け付ける。 (吉田博行、asahi = 7-15-25) 傷に塗る遺伝子治療薬、承認へ 皮膚もろい難病「表皮水疱症」が対象 軽い刺激で皮膚に水ぶくれができたり傷になったりする難病「表皮水疱症」の遺伝子治療薬について、厚生労働省の専門家部会は 7 日、国内での製造販売承認を了承した。 繰り返し使うことが想定され、販売が先行する米国では単価が高いため、患者あたりの薬剤費は高額になることも予想される。 治療薬は米クリスタル・バイオテック社が開発した「バイジュベック・ゲル」。 病気の原因になっている遺伝子のはたらきを補う遺伝子治療薬のなかでも、世界で初めて患部に塗るタイプとなっている。 米国では 2023 年に承認された。 1 製品あたり約 2 万 4 千ドル(約 350 万円)。 使用量は患者の患部の大きさで異なるが、1 人の患者あたり年間約 63 万ドル(約 9 千万円)ほどともされる。 日本での販売価格は今後、別の審議会であらためて検討される。 対象疾患は、皮膚がはがれやすくなる難病「表皮水疱症」のうち、「栄養障害型」とよばれるタイプ。 このタイプは、皮膚の最外層の「表皮」とその下の「真皮」をつなげている複数のたんぱく質のなかでも、「7 型コラーゲン」の機能不全で起こる。 厚生労働省によると、国内に約 250 - 500 人ほどの患者がいるとされる。 バイジュベックは、週に 1 回、表皮がはがれて傷になった部分に塗ることで、正常に機能する「7 型コラーゲン」がつくられ、はがれにくい皮膚ができるとされる。 米国で患者 31 人が参加した臨床試験(治験)では、偽薬だと 6 カ月後に 21.6% の傷が治ったのに対して、バイジュベックを塗った傷だと 67.4% が治った。 日本での臨床試験には患者 5 人が参加。うち 4 人が試験を終えた。 バイジュベックを塗ると、6 カ月後までに 100% の傷がふさがった。 日本での製造販売にあたっては、開始後、3 年半の間に約 200 人の患者に使用した成績を調べ、長期の安全性や有効性を検証するという。(野口憲太、asahi = 7-7-25) ES 細胞から卵子のもとになる細胞作りに成功 不妊の解明に 京都大 様々な細胞になれる能力を持つ ES 細胞(胚性幹細胞)から卵子になる直前の状態の細胞をつくることに、京都大学の研究チームがマウスで成功した。 卵子がどのような過程でつくられていくのかの解明につながるという。 ヒトでも作れるように目指し、不妊の原因の解明につなげたいとしている。 これまで卵子のもとになる「卵母細胞」をつくるには、卵巣にある体細胞を一緒に培養することが必要だった。 研究チームはこれまで、体細胞なしに精子や卵子になる大元の細胞から卵母細胞の初期段階までつくるのには成功していたが、今回、生理活性物質を与えるタイミングなどを工夫し、発生率が数 % だったものをほぼ確実につくる方法を開発した。 さらに、卵母細胞を卵子に成熟させるために必要な体細胞から分泌される物質の特定をすすめた。その結果、細胞間や細胞内で情報を伝えるたんぱく質や、ビタミンEなどの抗酸化物質を加えることで、卵子になる直前の状態まで再現することにも成功した。 研究チームは、卵子の作製を目指すとともに、ヒトでも同じことができるか研究を進めている。 チームの京都大学ヒト生物学高等研究拠点の斎藤通紀拠点長(発生生物学)は「今回の研究をさらにすすめてヒトの卵子ができる過程の詳細がわかれば、不妊の原因の解明につながる」と話す。 研究成果は 6 月 30 日発行の科学誌「ディベロップメンタル・セル」に掲載された。 (坪谷英紀、asahi = 7-1-25) 米国で HIV 予防薬承認 年 2 回投与、高い有効性 感染者減に期待 米食品医薬品局 (FDA) は 18 日、米製薬大手ギリアド・サイエンシズが開発した HIV (ヒト免疫不全ウイルス)の感染予防薬を承認した。 高い有効性に加え、年 2 回の投与で済むため、毎日服用が必要な既存薬より使いやすい。 世界で年間 100 万人以上いる新規感染者を減らしうる画期的な薬として期待されていた。 新たに承認されたのは「レナカパビル(販売名 イェズトゥゴ)」。 ウイルスの増殖を阻害することで、感染を予防できるとされる。 初回に注射と経口で薬を投与した後、6 カ月ごとに注射する。 この薬は二つの臨床試験で高い有効性が示された。 アフリカの約 2 千人を対象にした一つ目の試験では、新たな HIV 感染者はゼロ。 南米や米国などで実施された二つ目の試験では、約 2 千人のうち新規感染者は 2 人のみ。 投与しなかった場合に想定される HIV 感染率と比較すると、感染リスクを 96% 減少させることができたという。 科学誌サイエンスが選ぶ昨年の「最も重要な成果」にも HIV の構造や機能の理解から生まれた薬であることも評価され、米科学誌「サイエンス」が選ぶ、2024 年の科学分野の最も重要な成果「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれていた。 ギリアド社のダニエル・オデイ会長兼最高経営責任者 (CEO) は承認を受け、この薬が「HIV 流行の終息に大きく貢献する非常に現実的な機会を提供する」とのコメントを発表した。 AP 通信によると、米国での販売価格は年約 2 万 8 千ドル(約 410 万円)という。 国連合同エイズ計画 (UNAIDS) によると、世界での 2023 年の新規感染者は約 130 万人で、約 3,070 万人が抗 HIV 治療を受けた。HIV が原因でエイズを発症し、関連疾患で死亡した人は 63 万人だった。 厚生労働省によると、2023 年の日本での HIV 新規感染者は 669 人。 (サンフランシスコ・市野塊、asahi = 6-19-25) 10 年後の糖尿病リスク、健診データだけで予測 試して分かった対策 やせている糖尿病患者が少なくない日本人向けに、10 年以内の糖尿病発症リスクを精度高く予測できるモデルを、京都府立医大などの研究チームが開発した。 40 歳以上が対象で、健康診断で得られる簡単なデータをウェブサイトに入力するだけで計算できる。 利用者が自らのリスクを早期に把握し予防策をとるのに役立つと期待される。 開発したのは同大の内分泌・代謝内科学の岡田博史助教と宗川ちひろ研究員、生物統計学の堀口剛助教と内藤あかり助教らのチーム。 糖尿病は、膵臓の細胞からのインスリン分泌が著しく低下する「1 型」と、食生活や運動不足といった生活習慣が大きく影響する「2 型」に大きく分けられ、日本では「2 型」が約 95% を占める。 世界的にも患者が増え、大人の 10 人に 1 人が罹患しているとされ、日本は世界で 9 番目に患者が多い。 治療薬が進歩し血糖値を管理しやすくなった一方で、診断が遅れて透析や失明、心血管病といった合併症になる人も多く、発症予防が課題だ。 日本糖尿病学会などは、新たな呼称案を英語名に基づく「ダイアベティス(Diabetes)」とすると公表している。 世界各国で 2 型糖尿病の発症を予測するモデルが開発されているが、肥満タイプの患者が多い欧米とちがって、日本ではやせていても発症する人が少なくなく、欧米モデルをそのまま日本人に適用しにくい。 日本人向けの予測モデルもいくつかあるが、何年後までの発症をみるか観察時間が短かったり、研究対象の人数が少なかったりしていた。 また、健診では一般的でない指標の「食後血糖値」などが使われ、精度や実用性に課題があったという。 研究チームは今回、2008 年に健診を受けた大手電機メーカーの 40 歳以上の従業員 7 万 2,124 人(当初からの糖尿病患者らを除く)を 10 年にわたり追跡した結果、5,133 人が糖尿病を発症していた。 このデータをもとに、年齢、性別、BMI (肥満度)、収縮期血圧、中性脂肪、HDL、ALT、空腹時血糖、体重増加、喫煙状況の 10 項目で精度高く、2 型糖尿病の発症リスクを計算できる予測モデルをつくった。 これを岐阜県内に住む 1 万 2,885 人の別グループにあてはめても精度がよく、高い信頼性が確認された。 宗川さんは「(予測モデルを使えば、)糖尿病リスクを自身で簡単に知ることができる。 例えば、自治体の健康プログラムに適用し、リスクが高い人を早期に特定して保健指導などで生活習慣を見直してもらうほか、高リスクでなくても健康意識の向上につなげてもらい、糖尿病の発症を低下することに貢献したい」と話している。 糖尿病リスク予測のサイトは こちら。 研究成果の論文は こちら。 発症確率「22.49%」 どう受け止めれば? 身長 180 センチ、体重 80 キロ超の記者 (52) も試してみた。 今年 3 月に受けた健診データを入力したところ、10 年後の糖尿病発症確率が「22.49%」と出た。 この数字をどう受け止めればいいのか。 研究チームの岡田博史さんからは「リスクが高いですね。 日本人はやせ形の糖尿病患者も多いが、(記者はそうではなく)体重と血糖値が問題。 脂肪肝など余剰の脂肪の影響でインスリンが効きにくくなり血糖値が高くなっている可能性がある。」と指摘された。 数年前に比べ、これでもやせたのだが、減量が引き続き必要そうだ。 岡田さんによると、今回の研究では平均的な 40 - 50 歳の人の 10 年後の糖尿病発症確率が 5% 弱だったといい、「10% を超えるようなら自身の生活を見直してください。 一方、人それぞれで体の状態が違うので、数字が低いからといって安心材料とせず、かかりつけ医としっかり相談を。」 まずは毎年、健診を受けることが大切だという。 (桜井林太郎、asahi = 6-16-25) カフェの店主はお医者さん コーヒー注ぎ、悩みに寄り添う「保健室」 田んぼが広がる三重県伊賀市の幹線道路沿いに、「保健室」の名を冠したカフェがある。 経営する女性の本業は、医者。 病気になってから病院にかかるだけでなく、日頃から身体(からだ)や心の悩みを話す場になれば。 オープンしてから 1 年余り。 そんな思いは、様々な「仕掛け」とともに徐々に浸透しつつある。 伊賀、名張両市をつなぐ国道 368 号沿いにある伊賀市上之庄。 付近に飲食店は少ない。 元クリーニング店だったことを示すシールが残るガラス扉を開く。 カウンターから、山崎直美さん (37) がお薦めの「玄米コーヒー」をいれてくれた。 店名は「暮らしの保健室い〜な」。 「い〜な」は伊賀市と名張市の頭文字だ。 「毎日病院」より充実の生活 夫の親族が所有する家を修繕し、昨年 3 月末にオープンした。 山崎さんは名張市のクリニックに週 3 日勤務しながら、木曜日を中心に月 8 回ほど開く。 店には山崎さんのほか、看護師や理学療法士、管理栄養士らが詰めることもある。 この 1 年余りをふり返り、「毎日病院で働いていた時より、生活が充実している」と手応えを語る。 「薬を飲み続けていいかどうか」、「家族が認知症ではないか」、「介護で悩んでいるけど、誰に相談したらいいのか」、「足が痛いが、手術をした方がいいか」。 来店者との会話は、本人だけではなく、介護者が身内の悩みを語る場面も多いという。 「近所の人同士の会話だと、解決に至らない。 すごく悪くなってから病院に行く人もいる。」と山崎さん。 「医者が専門的になり、その人を全体的に見ることが難しくなった」こともあり、普段の暮らしを見ることで、変調に気づけるポイントがある、という。 山崎さんは岡山市の出身。 カトリック系の小学校に通い、人のためになる仕事をめざすように。 母親から資格のある職を勧められ、医学の道を志した。 順天堂大で学び、泌尿器科の専門医になった。 大阪と紀南地域の診療所を行き来していたが、数年前に結婚して伊賀市に移住した。 移住してふと思った。 「私自身が納得する形で亡くなることができる土地なのか。」 在宅診療に携わることが多かったが、その「前段階」として関わり合いの場づくりを考えた。 人を呼び込む仕掛けも 以前の職場だった松阪市のクリニックで、「暮らしの保健室」をいなべ市で開設する理学療法士と出会ったことも大きかった。 伊賀市社会福祉協議会と協定を結び、「出張保健室」と称して自分から集いの場に出向くこともある。 カフェのメニューは 300 - 400 円の飲み物が中心だが、そのひとつがコメ農家の義父がつくる伊賀米を焙煎したノンカフェインの「玄米コーヒー」。 コーヒー好きが高じて、学生時代にコーヒーチェーン店でバイトをしたこともあり、「カフェは楽しい。」 伊賀米のライスジェラートもある。 いろいろな世代の人を呼び込みたいと願う。 そのための仕掛けとして、昨年 7 月から、それぞれの人がリンゴ箱ひとつのスペースにお薦めの本を持ち寄るシェア型図書室を開設。 今年 4 月から、「身体に優しいマルシェ」を始めた。 医師や薬剤師、看護師らが薬膳カフェやピザ、アロマ、野菜などを提供し、健康チェックもする。 地元の要望にこたえ、月に 1 度、名張市の店から購入した天然酵母のパンの販売も始めた。 昨年 7 月、長男を出産した。 「体力はある。 そもそも楽しくなかったらしません。」 会社員の夫の協力も得ながら続ける。 「子育てや子ども向け、防災のイベントなどで多世代交流ができれば。」 暮らしの保健室の開催日はインスタグラム(@kurashi_ina2023)で確認できる。 (小西孝司、asahi = 6-15-24) |